SUMMER SONIC 2024(2024年8月17日、8月18日)
昨年に続いて、今年も全日参加したサマソニ。2024年夏の野外フェスはこれ1本に集約させるつもりで臨みました。正直、ヘッドライナーとしてMÅNESKINとBRING ME THE HORIZON(こちらは当初メインステージのトリと名言されていませんでしたが)が出演するとわかった時点で、行かない選択肢はゼロ。基本的に、それ以外の出演者に関しては“社会見学”という感覚が強いので、誰が出ようと関係ないというか。
そんなこんなで、初日から軽く振り返っていきたいと思います。
■VIOLETTE WAUTIER(PACIFIC STAGE)
「タイとベルギーのハーフで横浜生まれ」というプロフィールを持つヴィオレット・ウォーティアですが、ビジュアル的にはセクシーというより可愛らしい印象。サウンドに関してもダンスミュージックというよりは、ダンサブルなポップスと解釈するのが正解か。華があるので、観ていて楽しかったです。
■BAND-MAID(PACIFIC STAGE)
久しぶりにライブを観たけど、出音の重心がより低くなり、女王感に満ち溢れていた。何曲かでフィーチャーされたKANAMIさんとMISAさんのソロバトルも見応えあってライブ感が増していたけど、ただこういうフェスの場面で強く感じたのは似たり寄ったりの楽曲が多いこと(パターンの画一的な点)とエンディングのワンパターン化。いい感じに成長できているだけに、ここからさらにワンランク上へステップアップしていただきたい。
■離婚伝説(Spotify RADAR: Early Noise Stage)
数曲流し見。過去に一度ライブを観たことがありましたが、印象は大きく変わらず。もちろん極上のポップスが展開されており、歌を引き立てるための演奏という形ではなく、歌同様にすべての楽器が花形というイメージ。本当は最後まで観たかったけど、次が控えていたので早々に退散。
■LAUFEY(SONIC STAGE)
予習なしで臨みましたが、遠目に上白石萌音っぽさがあって日本人が好きそうなヴィジュアルだなと。昨年に一度BLUE NOTEで来日公演を行なっているとのことからもわかるように、サウンド自体はジャズ寄り。ただ、かなりポップスとしての解釈が強めで、非常にとっつきやすい。ジャズの敷居を若干低くして、一般のポップスリスナーにも親しみやすくしてくれている印象。レイヴェイ自身は曲によってギター弾いたりピアノ弾いたりチェロ弾いたりと多才ぶりを発揮。声も良いし、これりゃ売れるわけだと納得。最後まで気持ちよく堪能しました。
■NOTHING BUT THIEVES(MOUNTAIN STAGE)
たぶん8年前も観てるはずだけど、印象は変わらず。スケール感が大きくなったのはわかるんだけど、自分の好み的には今ひとつ、いや今ふたつかな。音源で十分といったところか。
■BLEACHERS(SONIC STAGE)
初日の個人的目玉。新作音源はTHE 1975のDrity Hitから出ていることもあり、ステージ後方スクリーンのスタイリッシュさはモロにTHE 1975。サウンドのちょっとした味付けにもTHE 1975っぽさが感じられるんだけど、軸にあるのはニュージャージー出身バンドらしいオーソドックスなアメリカンロック。比較対象としてブルース・スプリングスティーンの名前が挙げられるみたいだけど、個人的にはサウスサイド・ジョニー的なのかなと解釈。そういうスタイリッシュさと泥臭さという相反する要素が絶妙なバランスでミックスされていて、しかもそれを極上のエンタテインメント色で表現するわけだから、楽しくないわけがない。プロデューサーとしても著名な存在となったフロントマンのジャック・アントノフの佇まいやアクションからは目が離せないし、6人編成のバンドが曲ごとにパートを次々と変えていくところも素敵。ツインドラム編成でベースレスかと思いきや、次の曲ではドラムのひとりがサックス吹き始めたり、また次の曲ではツインドラム&ベースにギター3本という。これはずっと観ていたい!ということで、最初から最後まで楽しんじゃいました。間違いなく初日のベストアクト! 次に来るときは、さらに大きなステージで観たいな。
セットリスト
01. I Am Right On
02. Modern Girl
03. Jesus Is Dead
04. How Dare You Want More
05. Chinatown
06. Rollercoaster
07. I Wanna Get Better
08. Tiny Moves
09. Don't Take The Money
10. Stop Making This Hurt
■GLAY(MOUNTAIN STAGE)
デビュー30周年の節目に夏フェス初出演。しかも地元・北海道のライジングではなくサマソニを選ぶという。考えてみたら今年は1999年の幕張20万人ライブから25年という節目でもあるし、そこにデビュー30周年も重なり幕張にまた戻るというのがまた粋といいますか。選曲は1曲目こそ最新の「whodunit」で現役感を提示。そこはヒット曲じゃないのか……と思いきや、ギターソロ前にUNDERWORLD「Born Slippy」を挟んでくる遊び心。これ、以前もやってなかったっけ?(あれ、別のバンド?) サマソニらしさを意識したんでしょうね(前夜のソニマニで、同じステージでUNDERWORLDがプレイしてますしね)。
で、以降は「サバイバル」「口唇」を間髪入れずにぶち込んでくる。そりゃ大合唱になるわな。さらに「SOUL LOVE」からの「HOWEVER」コンボで昇天。ここで多くの人はマリンに移動したようですが、これは全部見ないとダメだと確信しそのまま居座ることに。以降は「夏らしい2曲」と「Blue Jean」「BLEEZE」と2000年代以降の楽曲を連発。MCではTERUさんが「名前だけでも覚えて帰ってください」って……新人か! 初々しいったらありゃしない。で、後半戦は最新曲「会心ノ一撃」を披露しつつも「FATSOUNDS」「SHUTTER SPEEDSのテーマ」と通常運転に戻り、「彼女の"Modern…"」(これを聴かないと帰れない)で盛り上がり、「誘惑」でクライマックス。お見事なセトリでした。あと、スクリーンに歌詞字幕が出てるあたりにも、彼らの優しさを感じました。
セットリスト
01.whodunit 〜 Born Slippy(UNDERWORLD cover)
02.サバイバル
03.口唇
04.SOUL LOVE
05.HOWEVER
06.Blue Jean
07.BLEEZE
08.会心ノ一撃
09.FATSOUNDS
10.SHUTTER SPEEDSのテーマ
11.彼女の"Modern..."
12.誘惑
■MÅNESKIN(MARINE STAGE)
この日唯一のMARINE STAGE。GLAYを最後まで観てしまったために、移動時間などもあって中盤から参加することに(あとでセトリを確認したら、インストパートから「Gasoline」に入るあたりに会場周辺に到着したので、頭5曲を見逃したのみで3分の2くらいは観れたようです)。スタンド席は通路にまで人が溢れかえっていて、久しぶりにここまでパンパンの“サマソニのマリンスタジアム”を目にした気がします。そんなこんなで、なんとか自分の場所を確保して「Beggin'」あたりからじっくり堪能。
にしても……
MÅNESKIN、やっと観れたーっ!(笑)
過去2回の来日は「2022年8月→コロナ感染」「2023年12月→メニエル再発」と、それぞれ観る予定があったものの泣く泣く断念。ということで、2年越しに観ることができたわけです。バンドとしての佇まいなど含め、久しぶりにど真ん中のアリーナ/スタジアムロックバンドらしいヘッドライナーでした。客席を見渡しても、明らかに10代〜20代前半の若年層から自分みたいな高齢者(笑)まで、国籍や男女問わず幅広い層を集まり、マリンスタジアムを満員にしてしまうわけですから。しかも、サウンド的にはオーソドックスなロックサウンド。もっと言ってしまえば、古き良き時代のクラシックロックなわけですよね(もちろん現代的な解釈を施しているわけですが)。映像面などの演出に頼ることなく、メンバーのカリスマ性の高さや破天荒なステージング、曲間に用意された長尺ソロパート(特に、アンコールは5分前後におよぶギターソロから始めるという振り切れっぷり)、そして何より良質な楽曲の数々で90分のステージをやり切るその姿は、圧巻の一言でした。ここ10数年、日本の洋楽ロックフェスでトリを張れる若手バンドがなかなか出てこない中、たった数年でここまで到達できた事実は本当にすごいことだと思います。いやいや、久しぶりに胸がスカッとした夏フェスヘッドライナー公演でした。
セットリスト
01. Don't Wanna Sleep
02. Gossip
03. Zetti E Buoni
04. Honey (Are U Coming?)
05. Supermodel
〜Instrumental Solo〜
06. Gasoline
07. Coraline
08. Beggin'(THE FOUR SEASONS cover)
09. For Your Love
10. I Wanna Be Your Slave
〜Bass & Drum Solo〜
11. Mammamia
12. In Nome Del Padre
13. Bla Bla Bla
14. Kool Kids
アンコール
〜Guitar Solo〜
15. The Loneliest
16. I Wanna Be Your Slave
■水曜日のカンパネラ(SONIC STAGE)
詩羽体制になってからライブを観るのは初めてかな。非常にステージ映えしたパフォーマンス含め好印象。前体制時代の「桃太郎」まで飛び出すわけですが、あのデカい透明バルーンに入って客の頭上を転がる演出まで踏襲されていたのには笑ったな。ただ、この日はこうしたクラシックよりも“今”の楽曲のほうが強い光を放っていて、そちらに惹きつけられた。「最新作がベスト」というのはアーティストとしてもっとも幸せなことじゃないですか。この編成でもうひとつ大きな山を迎える日も、そう遠くない印象でした。
■BODYSLAM(PACIFIC STAGE)
タイのハードロックバンド。シングルギター&キーボードという編成なので、サウンド的にはポップな印象。本当はもっとエッジの効いた音なのかもしれないけど、ドラムやギターの出音含めちょっと引っ込みがちだったので、そこまでガツンと来なかった。事前告知されていたBABYMETALが登場し、「Leave It All Behind」が始まった途端にフロアの様子が一変。後ろからどんどん人が押し寄せ、この日一番の盛り上がりに。彼女たちが引っ込んだあとは、再び平常運転でした。
■乃紫(Spotify RADAR: Early Noise Stage)
可愛らしいビジュアルと相反し、演奏や楽曲は意外と骨太(いくつかはそのイメージに沿ったポップな楽曲もありましたが)。ステージ慣れしていることもあってか、ライブ自体が気持ちよく進行していくので、気がつけば長々と観ていました。
■BOYNEXTDOOR(PACIFIC STAGE)
初見。音源のイメージで接したのですが、ライブはバンド編成でより躍動感が強いもの。パフォーマンスのキレ含め、なるほどこりゃカッコいいわと納得。観たのは頭数曲だけでしたが、“Japanese Version”で歌われると……ハングル特有のリズミカルさや刺々しさが気に入っているだけに、そこを奪われてしまうと個人的に感じていた魅力が減退してしまっている気がしました。
■サバシスター(Spotify RADAR: Early Noise Stage)
裏がCreepy NutsやJO1やBOYNEXTDOORということで、始まる前はかなり客入りが厳しそう。なので進んで前方へ移動しjました。7月上旬のワンマン以来でしたが、この短期間でもバンドとしてのグルーヴ感がさらに増していることが伝わり、メジャーデビュー以降右肩上がりの成長がまだまだ続いていることがしっかり感じ取れました。1曲目とラスト2曲が2年前の初サマソニ出演時と一緒というポイントもエモかった。今年後半もまたさらに進化してくれることに大期待。
■INI(PACIFIC STAGE)
初見。彼らもバンド編成でのパフォーマンスで、結果的にかなりハードロック的なアレンジに。特に国内のこの手のアーティストの場合、ライブだとこういうアレンジになってしまいがちで、それが良くも悪くもというところも。とはいえ、ここも頭数曲を観たのみなので、その後どういうアレンジだったのかはわかりませんが、個人的にはもっとしなやかさを強調したバンドアンサンブルでもよかったんじゃないかという気がしました。あ、メンバーのパフォーマンスに関しては文句なし。ひたすらカッコよかったです。
■YVES TUMOR(SONIC STAGE)
去年のフジロックにも出演していたんですね。完全にノーマークで予習なしで臨みましたが、80年代後半から90年代序盤にかけての「エレクトロの要素を取り入れたオルタナ」ロックや、ジミヘンやプリンスを彷彿とさせるカラー、時にはグラムロック的なテイストも見せるなど、完全に自分好みの音。曲中は「ぎゃーっ!」と叫んだりアグレッシヴに動いたりとかなり破天荒なのですが、曲間は意外と紳士的な印象。その落差もたまりません。なんだかんだで終盤まで観て、マリンステージへ移動。
■GRETA VAN FLEET(MARINE STAGE)
この日は初日よりも気温抑えめで、16時くらいでもギリギリ野外ステージを楽しめる環境。日陰を選んで彼らのライブを観たのですが……もちろんパフォーマンス自体は極上なんですが、やはり高気温から生じる不快さが災いしてちゃんと楽しめなかった。曲中、長尺ギターソロなどもあったんだけど、これも環境のせいで心から満喫できたかと言われると……本当に勿体ない。彼らにはまったく罪はないんだけどね。やっぱり単独公演で、室内でじっくり楽しむべきかな。
セットリスト
01. The Falling Sky
02. Safari Song
03. Meeting The Master
04. Heat Above
05. Black Smoke Rising
06. The Archer
07. Highway Tune 〜 Runway Blues
■CHRISTINA AGUILERA(MARINE STAGE)
ライブを観るのは初めて。1stアルバムリリースから今年で25周年という節目もあって、選曲的には文句なしの内容。しかも、ショーとしての見せ方も古き良き時代からのエンタメを踏襲しつつモダンにアップデート、かつ日本向け要素も随所に散りばめられており(アギレラのヘアアレンジも日本を意識したものでしたよね)、仮に1曲も知らなかったとしても最後まで楽しめたはず。個人的には「Lady Marmalade」でひとつのピークを迎えたあとに訪れる、エモーショナルな3曲の流れに食らいました。BMTHを除けば、2日目のベストアクトだったと断言しておきます。
セットリスト
01. Dirty
02. Can't Hold Us Down
03. Bionic
04. Vanity
05. Genie In A Bottle
06. What A Girl Wants
07. Your Body
08. Feel This Moment(PITBULL cover)
09. Ain't No Other Man
10. Say Something(IAN AXEL cover)
11. Express
12. Lady Marmalade(THE ELEVENTH HOUR cover)
13. Beautiful
14. Fighter
15. Let The Be Love
■BRING ME THE HORIZON(MARINE STAGE)
昨年11月の『NEX_FEST』との大きな違いは、ジョーダン・フィッシュ(Key)正式脱退後であることと昨年発売されている予定だったニューアルバム『POST HUMAN: NeX GEn』がようやく世に出たこと。おそらく昨年のライブは新作の世界観を踏襲したコンセプチュアルなものになるはずだったところ、中途半端な形になってしまい本来伝えるべきものがちゃんとした形で伝わらなかったんじゃないでしょうか。あと、最近のインタビューでジョーダン中心の体制(オリヴァー・サイクスとジョーダンの2人ですべてのソングライティングとレコーディングを完結してしまうこと) に対してほかのメンバーが不満を持っていたことが明らかになり、ジョーダン離脱以降から着手した楽曲では現在のメンバー4人でまとめていく当初の形に戻り、より“バンドらしく”機能し始めた。そういうタイミングの来日だけに、期待値は昨年以上に高まるわけです。
今回でいえば、例えば家庭用ゲーム機の立ち上げムービー(PlayStationのパロディ)からゲームソフトの待機画面(絵面およびBGM含め、往年の『FINAL FANTASY』シリーズを彷彿とさせるものあり)へと続くオープニングムービー、そこからログインして前回のライブ同様にオペレーターとともにライブを交えた一連の“活動”を一緒に体験していくという形は、アルバムやそれにまつわるさまざまなプロモーションの甲斐もあってよりわかりやすくなっていたのではないでしょうか。そこから「DArkSide」で一気に『POST HUMAN: NeX GEn』の世界へと落とし込まれ、途中で「Happy Song」や「MANTRA」、冒頭にピアノアレンジを加えた「Sleepwalking」など往年の代表曲も交えて『POST HUMAN: NeX GEn』の世界をより深掘りしていく。しかも、それをスタジアムという広大な規模において、爆音で表現していくのだから圧巻以外の言葉が出てこない。
ただ、観客の入りは決してベストと言えるものではありませんでした。開演前はアリーナ(スタジアムのグランド部分)すら埋まっていませんでしたし、スタンド席においてはひとり2〜3席使えるほどの空きっぷりで、正直前日のMÅNESKINとは比較にならないほど。でも、あのゴリゴリのサウンドをマリンスタジアムで爆音にて鳴らし続け、フロアではモッシュやウォール・オブ・デスが発生する“いつも通り”の光景は、かつてサマソニで観たSLIPKNOTやLINKIN PARK、あるいはNINE INCH NAILSあたりのステージと重なるものがありました。思えばLINKIN PARK以降この手のニューヒーローは登場しておらず、我々はフェスのトリを張れる次世代ヒーローの登場を待っていたはずなんです。でも、それがうまく機能せずにここまで来てしまった。そんな中、今年で20年選手となるBMTHがようやくそのポジションを掴もうとしている。本当なら満員のスタジアムでその成功を祝福したかったところですが、そこに至るまではもうちょっと時間がかかりそうです(特に今回に関しては、裏にBE:FIRSTがいたことも大きく影響しているんじゃないかな。加えて、隣のBEACH STAGEでは同系統のHOOBASTANKのステージがあったし。とにかく今年は各ステージのコンセプトの希薄さ、ライナップの下手くそな並べ方が目立ちました)。あと、みんなもっと彼らの曲を歌えるようになろうな。あれは前日と比べちゃって正直寂しかったよ。
ネガティブなことばかり書いちゃいましたが、ライブ自体は本当に素晴らしかった。本来のコンセプトをより濃厚に深掘りできるような構成なんだけど、ちゃんとフェスということも意識したセットリストは非常によいバランスで組まれていましたし、前日の大阪公演でライブ初披露となった『POST HUMAN: NeX GEn』収録曲「liMOusIne」も、大阪では出演時間の都合で実現しなかったオーロラとの共演をここで目にすることができたし、お昼にBODYSLAMとコラボしていたことから「これは匂わせでは?」と察したとおりBABYMETALも登場し、昨年の『NEX_FEST』に続いて「Kingslayer」での再共演も果たせたし。前者のダーク&ヘヴィさ、後者の多幸感とそれぞれ今のBMTHならではの見せ方が際立ちました。アンコールは「Doomed」「Drown」「Throne」と『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)からの3連発で完全昇天モード。そういえば、ライブ中何度か飛び出した紙テープ?は、往年のアイドルみたいでちょっと笑えました。
終演後のアナウンスを拒否したこと、客席からの撮影をNGにしたことなど規制も多いライブだったようですが、そういう要素を潰すことで観ている一人ひとりが自身と対峙し、この演出を通じてライブへの没入感を高めていく。その中でオリーやバンドと真正面から向き合っていき、自分は孤独じゃないことに気づかされる。今のBMTHはそういうスタンスで我々と“次の時代(=NeX GEn)”を作ろうとしているんだろうな。そう強く実感させてくれた、唯一無二のスタジアムロック公演でした。
セットリスト
01. DArkSide
02. Happy Song
03. Sleepwalking
04. MANTRA
05. Teardrops
06. Kool-Aid
07. Shadow Moses
08. liMOusIne(feat. AURORA)
09. AmEN!
10. Itch For The Cure (When Will We Be Free?)
〜 Kingslayer(feat. BABYMETAL)
11. Anti-vist(feat. fan)
12. Follow You
13. LosT
14. Can You Feel My Heart
アンコール
15. Doomed
16. Drown
17. Throne
両日とも、それぞれいろんなジャンルのアーティストをいいとこ取りしながら楽しむことができました。初日は急務が発生し、会場到着が14時からだったにもかかわらず、それでも10組程度楽しむことができましたし、2日目は午前中入りでまったりしながら10組楽しんだ。例年通りのペースだったかなと思います。
もちろん、改善すべきポイントも少なくありませんでした。例えば、今年から幕張メッセの9〜10ホールを新たに借りて、そちらに物販スペースを移動させたほか、新たに休憩スペースを作っていました(僕は用がなかったので行きませんでしたが)。これで、飲食スペースがちょっとは余裕できるのかなと思いきや、新たにお笑いステージを復活させたことで午後遅い時間帯に大混雑する事象が発生。お笑いステージを観ている人が近くに座り込んでしまい、なかなか前に進めないなんてことがあったり、飲食物購入列もえげつないことになっていたりで、結局僕は2日間ここを使うことはありませんでした(食事はSpotify RADAR: Early Noise Stage周辺の餃子やマリンスタジアム周辺で済ませた)。あと、飲食スペースを使って休息する人もいる中で、場内に漫才やコントの叫び声が響き渡るのはどうしたものか。併設していたキッズコーナーでの催しと違って、神経を逆撫られますよねあれは。
あとは、BMTHのところでも書いたように、今年のステージ/アーティストの組み合わせの悪手ぶり。トリがうまく決まらない中でいろいろオファーした結果、パズルのように組み合わせていったんだろうけど、正直今年の並びは過去イチの悪さだと思いました。同ジャンルのアーティストが同じ時間帯に並んでいたり、それこそBMTHにようにサマソニの未来を占うであろう新たなヘッドライナーの裏に集客の固いK-POPやボーイズグループを置いたり。興行主としては正解なのかもしれないけど、特に今回はBMTH目当てのファンにとってあまり気持ちいものではなかったと思います。
ビールもまた値上がってましたね(苦笑)。特に今年はサントリーがスポンサーに入ったためか、オフィシャルバーや会場内で販売するビールがすべてサントリーのもので、会場外では「サントリー以外のビール持ち込み禁止」なんて看板もあったほど。そこまで徹底するならせめて安くしてよと思わずにはいられませんでした(なもんで、会場での飲酒は1日1杯のみ)。
最後くらいは明るい話題で締めくくりたいのですが……今年この形で成功したことが、来年以降にどう響くのか。フジロックがSZAキャンセルで新たな道を切り開けなかったぶん、サマソニは成功と言いたいところですが……サマソニ然りフジロック然り、来年のヘッドライナー選びは今年以上に苦労するんじゃないでしょうか。世界的にもフェスでのヘッドライナー選びが難しくなっている中、円安がまだまだ続くとなると若くて勢いのあるビッグネームは値踏みする可能性が高いし(フジでのSZAや、サマソニが今年オファーしていたトラヴィス・スコットのように)。かといって、旧来の大御所たち中心という過去の形に戻るならば、若者中心の集客観点ではますますK-POPやボーイズグループ頼りになる(フジロックはKやボーイズに頼らないだろうから、また別の悩みが生じるかもしれませんが)。後年「2024年が洋楽ロックフェスの分岐点だった」と言われるようになるのか否か、ここが正念場なのかもしれませんね。