ヨーロッパでは既に3月末にリリース済み、ここ日本ではいよいよ8月にリリース決定したイギリスのテクノユニット、FUTURESHOCKがやっとリリースしたファーストアルバム「PHANTOM THEORY」。何故「やっと」なのかというと、彼等これまでの活動歴が結構長いんですね。以前はリミックスが主な音源でしたが(UNDERWORLDやMOBY、CHEMICAL BROTHERS、NEW ORDER等のリミックスを手掛けてきた)、ここにきてようやくオリジナルアルバムのリリース。しかもアルバムリリース前にシングルカットした"On My Own"も英国及びヨーロッパで大ヒットを記録。英国音楽雑誌の表紙を飾る程、今注目されているテクノユニットではないでしょうか。
俺はもう完全にこのアルバムで彼等を知ったくちで、そういうリミックスをやってるってのを知ってから家のCD棚を漁ると、確かに彼等が手掛けたリミックス音源が結構出てきましたよ。そういう凄い人達が、やっとオリジナルソングを収録したアルバムをリリースした‥‥なんか初期のCHEMICAL BROTHERSと印象が重なるところですが、実はこのFUTURESHOCKもそのCHEMICAL BROTHERSと同じ「JUNIOR BOY'S OWN」(現在は「JUNIOR」)レーベルからのリリースなんです。ダンス系では名門と呼ばれるレーベルで、過去にはUNDERWORLDやX-PRESS 2なんかも所属してた、と言えばその凄さが何となく判ってもらえるんじゃないでしょうか?
既にCD屋なんかでは「ポストUNDERWORLD」という売り文句でプッシュされているので、ジャケットを目にしたことのある人も多いかもしれませんし、実際に視聴した人もいるんでしょうね。俺も視聴してハマッたんですが‥‥言われてる程、UNDERWORLDっぽいと感じなかったのは、俺だけでしょうか? どうしても今の‥‥"Born Slippy" 以降の彼等と比べてしまいがちなんですが、例えば「DUBNOBASWITHMYHEADMAN」辺りと比べると、意外と共通するものが見えてくるような‥‥あと、個人的にはLEFTFIELD辺りとの共通点も感じ取れたし、DJ/リミキサーとして有名になって後にオリジナルアルバムでデビュー‥‥という流れは先輩のCHEMICAL BROTHERSと同じですし、その音楽にも彼等との共通点を感じずにはいられません。
基本的にはこういうの、ハウスになるんでしょうかね? プログレッシヴ・ハウスっていうのかしら? う~ん、その手の細かい名称までは俺、把握してないっつうか‥‥そんなの気にしながら聴いてないしね。基本的には俺、この手の音楽の場合は「気持ちよく踊れるか否か」だから。その点、このアルバムは聴いてるだけで身体が勝手に動くし、正直モニターの前でジッとしながら聴くタイプの音楽ではないよね。夜中、大音量でカーステで聴いたり、爆音のフロアで身を委ねたり、そういう楽しみ方をする音楽だと思います。
確かに曲が複雑な展開をする点なんかはUNDERWORLDに近いと思うけど、最大の違いが‥‥カール・ハイドの役目をする人間がいないのと、ギターの音がないことが大きいよね。それらが加わることで、UNDERWORLDの音楽ってよりロック的に感じられるんだけど、FUTURESHOCKの場合は完全にテクノやハウスのそれだと聴いて理解できます。どっちが良いとか悪いって意味じゃなく、取っ掛かりとしての「ポストUNDERWORLD」っていう触れ込みはいいんだけど、全く同じようなものを求めて接すると痛い目を見るよ、ってことです。FUTURESHOCKにはFUTURESHOCKの良さが沢山あるんですから。
あ、爆音って点では、ヘッドフォンで聴いても楽しめると思いますよ。勿論ジッとしながらじゃなく、踊りながらね。非常にスペイシー且つトランシーなシンセサウンドを堪能することができるはず。そういう点では特に目新しさは感じないんだけど、昨年のX-PRESS 2のアルバム同様、安心して楽しめる作品だな、と。個人的にはそういうの、大事だと思うんで。何もテクノは常に革新的でなければならないとは限らないし。ま、本来は常に革新的であるべきなのかもしれないけどさ。
さてさて、日記の方にも書きましたが、このアルバムにはCCCDの疑いが掛けられています。現在出回っているEU盤なんですが‥‥まっ、詳しい内容は日記の方をご参照ください。CCCDは絶対に嫌!って人にはちょっと博打になっちゃうと思うんですが‥‥勿体ないなぁ、いいアルバムなのにさ。

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