2018年10月18日 (木)

THE CHARLATANS『TELLIN' STORIES』(1997)

1997年4月に発表された、THE CHARLATANSの5thアルバム。本作からメジャーレーベルのMCA / Universal Recordsからの流通となり(イギリス以外。本国イギリスでは本作まで古巣のBeggars Banquet Recordsからのリリース)、それも影響してか(また、折からのブリットポップムーブメントの影響もあってか)、バンドはこのアルバムで通算3度目の全英1位を獲得。前年に発売されたシングル「One To Another」(全英3位)を筆頭に、「North Country Boy」(同4位)、「How High」(同6位)、「Tellin' Stories」(同16位)と数々のヒットシングルが生まれます。

アルバムのミックス作業中だった1996年夏、メンバーのロブ・コリンズ(Key)が交通事故で死去。結果として、ロブを含む布陣での純粋な作品はシングル「One To Another」が最後となってしまいます。しかしバンドは PRIMAL SCREAMのキーボーディスト、マーティン・ダフィーをゲストに迎えて作業を継続。1997年初頭に無事本作が完成します。

90年代前半という時代性を反映させた初期のダンサブルな作風から徐々に変化を遂げ、この5作目では強いビート感はそのままに、ティム・バージェス(Vo)のボーカルの深みやマーク・コリンズ(G)のギタープレイの多彩さが増したこと、また残されたロブのプレイのみならず、ゲスト参加のマーティン・ダフィーの尽力もあって、ハモンドオルガンやピアノの存在感もより強いものとなり、バンドとしての表現力が急成長。ソングライティング面でも歌詞に具体性が増し、メロディやバンドアンサンブルも鉄壁と言わんばかりの仕上がり。文句なしの1枚なんですよね。

初期のサウンドが好きだというリスナーからは拒絶されたのかもしれませんが、逆に僕のような“好きな曲と嫌いな曲の差が激しかった”リスナーにはこの内容には当時かなり驚かされました。

ストーンズにおける60年代後半のサイケ期〜南部サウンド系統期の中間にあるようなサウンドといい、一見古臭いのに一周回って新しい(と感じてしまう)方向性といい、90年代後半の時代性と見事に一致したんでしょうね。そういえば、「One To Another」や「With No Shoes」「Tellin' Stories」のループを手がけたのが、THE CHEMICAL BROTHERSのトム・ローランズでしたし。なるほど、そりゃ売れるわ。

上に挙げたようなシングル曲はもちろんですが、個人的にはアルバム中盤の山場に置かれたインスト「Area 51」がお気に入り。「You're A Big Girl Now」のようなアコースティックチューンも本作ならではですし、パーカッションを強調した「Only Teethin'」も捨てがたい。ロブに捧げられたラストのインスト「Rob's Theme」含めて、1曲たりとも聴き逃せない、だけど肩の力を抜いて楽しめる名作です。



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投稿: 2018 10 18 12:00 午前 [1997年の作品, Charlatans, The, Chemical Brothers, The, Primal Scream] | 固定リンク

2017年6月 9日 (金)

THE CHARLATANS『DIFFERENT DAYS』(2017)

THE CHARLATANS通算13枚目のオリジナルアルバム。ドラマーのジョン・ブルックスが2013年8月に脳腫瘍で急逝し、悲しみを乗り越えて制作された前作『MODERN NATURE』(2015年)が全英7位と、久しぶりのTOP10ヒットとなった彼ら。そこから2年を経て届けられる今作には、ジョニー・マーやポール・ウェラー、スティーヴン・モリス(NEW ORDER)、アントン・ニューコム(THE BRIAN JONESTOWN MASSACRE)といったアーティスト仲間に加え、推理作家のイアン・ランキンとカート・ワグナー、ティム・バージェス(Vo)の長年の友人である女優のシャロン・ホーガンがゲスト参加しています。

作風としては、全体的に前作の延長線上にある1枚と言えるでしょう。が、冒頭の低音ボーカルを生かした穏やかなスローチューン「Hey Sunrise」にはきっと驚かされるはず。今回は内省的な作品なのか!?と思いきや、続く「Solutions」でアップテンポに。しかし、どこか物悲しさが伴うメロディや空気感は1曲目から変わらず、ちょっと心配になっているとエンディングの日本語ナレーションにハッとさせられ、そのままタイトルトラックに突入。若干穏やかながらも、ようやくこのバンドらしさが出てきたなと。先行シングル「Plastic Machinery」あたりでやっと、“俺たちのシャーラタンズ”が戻ってきた!とガッツポーズをとってしまうのではないでしょうか。

エレクトロの要素を取り入れた「Not Forgotten」や「Over Again」など、後半に進むにつれてダンサブルさが増していき、グワーッと盛り上がったところで、アコースティックの小楽曲「The Setting Sun」とポール・ウェラーがゲスト参加したスローなサイケチューン「Spinning Out」とダウナー2連発。予期してなかったこのエモさに心を一気に持っていかれてしまいます。

確かに穏やかさがより強まったように感じられますが、それもこのバンド本来の持ち味。その風味がより濃くなったと思えば、なんら違和感なく楽しめるはずです。まぁ今さら彼らに「Weirdo」みたいにアドレナリン溢れまくりなアッパーなダンスチューンを求めるのは筋違いだと思いますし、この進化(というか深化かしら)はバンドの成長としてまったく正しい歩み方だと思いました。



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投稿: 2017 06 09 12:00 午前 [2017年の作品, Charlatans, The] | 固定リンク