THE CHARLATANS「A HEAD FULL OF IDEAS 32nd ANNIVERSARY BEST OF TOUR」@LIQUIDROOM ebisu(2022年10月3日)
コロナ禍以降フジロックやサマソニなどの大規模フェスは極力避け、コロナに罹らなよう注意してきた私ですが、今年8月にとうとう初めての妖精 陽性に。最初は症状が軽いと思ったものの、意外に熱出たり長引いたり後遺症あったりで、完治と言えるまでに1ヶ月前後かかってしまいました。
それもあり、当初は8月に予定していた外タレライブもキャンセルし、気づけば2020年1月末に観たFEVER 333から2年8ヶ月、大阪のイベントで観たエイミー・リー(EVANESCENCE)からも2年7ヶ月が経過していました。本当ならこの夏、アメリカでMOTLEY CRUEとDEF LEPPARD(プラスPOISONとジョーン・ジェット)のスタジアムツアーを観るはずだったんですけどね。
まあ、そんな愚痴はここまでにして。要はコロナ明け1発目の外タレライブをどれにしようか、真面目に悩んでいたんですよ。すでにチケットを確保している10月後半以降のライブの前に、体を慣らしておきたいなと。そんなとき、直前にTHE CHARLATANSの来日公演を見つけ、そのままチケット購入ボタンをポチり。2016年3月のO-EAST公演以来、6年半ぶりのTHE CHARLATANSです。
会場はオールスタンディングで、客入りは9割強でまずまず。みんなマスクこそつけているものの、ビールなどのドリンクを飲みながらライブを待つその様子は2020年までと何も変わらず。そして、ほぼ定刻どおりに暗転し、メンバーがステージに登場。2013年のジョン・ブルックス(Dr)逝去以降サポートを務めるTHE VERVEのピーター・サリスベリーは今回も参加していました。
相変わらず変なシャツ(笑)着たティム・バージェス(Vo)は、ステージに姿を現したと同時にスマホで写メ撮りまくり(笑)。彼のTwitterを見ている方ならおわかりのとおり、彼はSNSを巧みに使ってファンサービスを繰り返しており、それはここ日本でも積極的に行われていました。バンドが1曲目「I Don't Want To See The Sights」のイントロを奏で始めても、一向に撮影をやめないティム。次の瞬間、おもむろに変な踊り(ダンスというよりも「踊り」。笑)をしながらあの脱力ボーカルで歌い始める……ああ、そうだった。これがTHE CHARLATANSだ、と思い出すのに少々時間を要してしまいました。
ツアータイトルやセットリストからもおわかりのとおり、今回はデビュー30周年を祝したツアーの一環。当初は2020年に行われる予定だったものが、気づけば「32nd」になっていたわけですね。しかし、結果として今年は2ndアルバム『BETWEEN 10TH AND 11TH』(1992年)のリリース30周年に当たり、90年代の楽曲多めなオールタイムベストに『BETWEEN 10TH AND 11TH』からの選曲多め(大阪と東京で2曲入れ替えがありましたが、両日とも同アルバムから5曲)の、初期ファン歓喜の内容でした。ありがてえ。
冒頭から「I Don't Want To See The Sights」「Weirdo」「Can't Get Out Of Bed」と攻めまくりでしたが、個人的に印象に残ったのは「So Oh」や「You're So Pretty - We're So Pretty」「Blackened Blue Eyes」といった比較的後期および最近の楽曲。特に「So Oh」の緩やかなグルーヴ感は、ライブで聴くとたまらないものがあります(前回の来日時も披露していたはずですが、不思議と記憶に残っておらず)。
かと思えば、ライブ中盤に「One To Another」が登場し、フロアがクライマックスのような盛り上がりを見せるし、それに続く「Tremolo Song」(東京のみ披露)でさらにテンションが上がる。後半は「Ignition」を起点に名曲「The Only One I Know」、そして「North Country Boy」「How High」と名盤『TELLIN' STORIES』(1996年)からのヒットシングル連発で本編終了。そういえば、本編のどこかでティムがフロアに降りてきて、またまた写メっていたのには笑ってしまったな。この瞬間「ああ、彼らの中ではコロナは過去のものなんだな」と妙に納得してしまったことは、今でも驚きでした。
アンコールラストは、長尺にエクスパンドされた「Sproston Green」。リズム隊のグルーヴとトニー・ロジャース(Key)のリズミカルな鍵盤、そしてマーク・コリンズ(G)の渋くて味わい深いギタープレイを存分に楽しむことができ、ティムが早めにステージを去ったあともがっつりプレイしまくりで、CDでは味わえない即興感を存分に堪能して約90分におよぶステージは終了しました。
とにかく、どの曲もダンサブルでグルーヴィー。躍らせること/踊ることに徹底的にこだわったセットリストは、まさに30数年のキャリアを総括するに相応しいもので、こういうバンドが今も安定して活動を続けていることに感謝しかありません。単独ではなかなか厳しいところですが、次は野外フェスで比較的大きめなステージでのパフォーマンスを観てみたいな。個人的には5番手、6番手ポジションの彼らですが、来日の機会があったら次も絶対に足を運ぼうと思います。よいリハビリになりました。
【セットリスト】
01. I Don't Want To See The Sights
02. Weirdo
03. Can't Get Out Of Bed
04. Then
05. So Oh
06. You're So Pretty - We're So Pretty
07. Sleepy Little Sunshine Boy
08. Just When You're Thinkin' Things Over
09. One To Another
10. Tremolo Song
11. Plastic Machinery
12. The End Of Everything
13. Come Home Baby
14. Ignition
15. The Only One I Know
16. North Country Boy
17. How High
<アンコール>
18. Blackened Blue Eyes
19. Sproston Green
▼THE CHARLATANS『A HEAD FULL OF IDEAS』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤2CD / 海外盤アナログ)