2017/03/20

RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』(2013)

HAREM SCAREM、オジー・オズボーンと続いたので(『TRIBUTE』は3月19日に紹介しようとは決めていましたが、その前にHAREM SCAREMを取り上げるというこの流れは意図的ではありませんでした)、今回はその2つが絶妙な形で合体したRED DRAGON CARTELを紹介したいと思います。

RED DRAGON CARTELはオジー・バンドの二代目ギタリスト、ジェイク・E・リーがBADLANDSの2ndアルバム『VOODOO HIGHWAY』(1991年)以来22年ぶりに本格始動させたバンドRED DRAGON CARTELの1stアルバム。日本では2013年12月、海外では2014年1月にリリースされています。アルバムではHAREM SCAREMのドラマー、ダレン・スミスが大半の楽曲でボーカルを務めていますが、4曲でゲストボーカルも採用。「Feeder」にはロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、「Wasted」にはポール・ディアーノ(元IRON MAIDEN)、「Big Mouth」にはマリア・ブリンク(IN THIS MOMENT)、「Redeem Me」にはサス・ジョーダンと男女/ジャンル問わずさまざまなシンガーがジェイクの楽曲を歌っています。

1曲目「Deceive」の冒頭、オジーの「Bark At The Moon」を彷彿とさせるカミソリギターリフに歓喜したHR/HMリスナーは非常に多いのではないでしょうか。僕も間違いなくそのひとりで、それにつづくダレンのハスキーなボーカル含め非常にカッコよくて「これは期待できる!」とすぐに確信。もちろんその確信に間違いはなく、曲によってはインダストリアル調のアレンジを含むものもありますが、基本的にはジェイクのキャリアを知っている人なら納得できるものばかりでした。しかもBADLANDSで傾倒したブルースロックではなく、オジー・バンド在籍時を思わせる楽曲やプレイも豊富で、「ようやくこっちの畑に戻ってきてくれた!」とアルバムを聴き進めるうちに頰が緩んでいったものです。

「Wasted」でのモダンなアレンジはどことなく最近のオジーにも通ずるものがあるし、「War Machine」なんて完全にBLACK SABBATHリスペクトなアレンジだし。そりゃそうだ、本作のエグゼクティヴ・プロデューサー&ミキサーはオジーの近作を手がけるケヴィン・チャーコなんだから。それにザックはオジーの代表作『BARK AT THE MOON』(1983年)、『THE ULTIMATE SIN』(1986年)のメインソングライターでもあるわけで、“オジーっぽさ”がゼロなわけない。ダレンがライブでもボーカルを務めていることから、この形態がバンドとしては正しいんだろうけど、アルバム制作時はそこまでパーマネントなものとしては考えてなかったから、こういう作品になったのかもしれないですね(そのダレンも一時、バンドを脱退していますし。ますますバンド感が薄いような)。

オジーやサバスが好き、特にジェイク時代が好きという人なら間違いなく気に入る1枚。オジーっぽい曲を女性ボーカルが歌うと……という興味深い試みも楽しめますし。バンドっぽさは本当に希薄だけど、HR/HMファンならジェイク・E・リーというアーティストの実験の場として素直に受け入れられるはずです。



▼RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』
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投稿: 2017 03 20 12:00 午前 [2013年の作品, Badlands, Cheap Trick, Harem Scarem, Ozzy Osbourne, Red Dragon Cartel] | 固定リンク

2016/12/14

CHEAP TRICK『BANG, ZOOM, CRAZY...HELLO』(2016)

オリジナル作品としては2009年の『THE LATEST』以来、実に7年ぶりのニューアルバム。しかもオリジナルドラマーのバン・E・カルロスがツアーやレコーディングから離れ、リック・ニールセンの息子ダックス・ニールセンが参加した編成による初のアルバムでもあります。さらに言えば、ここ数作(かれこれ10年くらい)ずっと自主レーベルからのリリースだったのが、今作はBig Machine Recordsというユニバーサル傘下のインディペンデントレーベルからのリリース。それもあってか、1988年のヒット作『LAP OF LUXURY』(最高16位)以来28年ぶりのトップ40ヒット(ビルボード最高31位)という成績を残しています。

肝心の内容ですが、王道のCHEAP TRICKサウンド満載といったところでしょうか。オープニングの「Heart On The Line」から勢い良くスタートし、先行で無料配信されたポップなロックナンバー「No Direction Home」、穏やかな印象の「When I Wake Up Tomorrow」、豪快なサウンドが気持ち良い「Do You Believe Me?」「Blood Red Lips」と、冒頭5曲だけでも「ああ、自分は今CHEAP TRICKのアルバムを聴いてるんだ」と強く実感できるはずです。それはもちろんアルバム後半でも引き続き感じられ、終始「安心安全のCHEAP TRICKサウンド」を心置きなく楽しめることでしょう。

こういうバンドの場合、下手に新しいことに挑戦するよりも、いかに従来のスタイルの中で「聴いたことあるようで、でも初めて聴く」新曲を量産していくことに意味があるような気がします。それってどれも一緒なんじゃない?と思われるでしょうが、CHEAP TRICKの場合はその「従来のスタイル」の幅が他のバンドと比べても広いので、毎回聴き手を飽きさせないアルバムを作ることができるわけです。今回のアルバムも前作『THE LATEST』とも、その前の『ROCKFORD』(2006年)とも、さらにその前の『SPECIAL ONE』(2003年)とも、90年代に発表された『WOKE UP WITH A MONSTER』(1994年)とも『CHEAP TRICK』(1997年)とも異なる作風&魅力ですし、間違いなく今後も上記の作品同様、長きにわたり愛聴しつつけることでしょう。

11月に行われた、今作を携えた来日公演も最高に楽しかったです。生で聴く「Long Time No See Ya」や「Blood Red Lips」は想像以上にカッコよかったですよ。



▼CHEAP TRICK『BANG, ZOOM, CRAZY...HELLO』
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【CHEAP TRICK ディスクレビュー一覧】
『SPECIAL ONE』(2003)
『ROCKFORD』(2006)

【CHEAP TRICK ライブレポート一覧】
1999年10月11日@横浜ベイホール


投稿: 2016 12 14 12:00 午前 [2016年の作品, Cheap Trick] | 固定リンク

2015/05/08

Cheap Trickの私的ベスト10

最近思い出したかのようにCheap Trickを聴く日々が続いています(ただしYouTubeにて)。それで考えてみたんですけど、このバンドの場合オールタイムで個人的10曲を選んだらどうなるんだろうと……実際やってみたんですが、やはり10曲に絞ることは難しく、すでに70年代の時点で10曲を軽くオーバーしていました。

ということで、そこからオールタイムで20曲前後にまで厳選し、さらに絞り込まれた10曲をご紹介したいと思います。いやー、本当に難しかった!

1. He's A Whore

2. I Want You to Want Me

3. Surrender

4. Heaven Tonight

5. Dream Police

6. Just Got Back

7. I Can't Take It

8. Woke Up with a Monster

9. Anytime

10. Welcome to the World


以上ですが、結局似通った曲が並んでますね。そうでもないか。メジャーコードのバラードを意識的に外してしまったせいかも(が、「Woke Up with a Monster」「Anytime」に強いこだわりを出してみました。好きなんですよ、この時期のCheap Trick)。

ちなみに選外となったのは「The Ballad of T.V. Violence (I'm Not the Only Boy)」「Downed」「On Top of the World」「Voices」「Stop This Game」「If You Want My Love」「Never Had a Lot to Lose」「Can't Stop Fallin' Into Love」「You're All I Wanna Do」「Wrong All Along」「Perfect Stranger」「Sick Man of Europe」。多い。リアルタイムだと「The Flame」世代ですが、最初に聴いた曲は映画「トップガン」のサントラに収録されていた「Mighty Wings」でした。Cheap Trickっぽくはないけど、この曲も好きだなあ。

オリジナルアルバム1枚選ぶのは本当に難しいので、なんだかんだでよく聴くこのベスト盤を。1990年までのヒットシングルはほぼここで楽しめますので(個人的には「Magical Mystery Tour」のカバーがオススメ)。



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投稿: 2015 05 08 04:35 午前 [Cheap Trick, 「私的ベスト10」] | 固定リンク

2006/06/26

CHEAP TRICK『ROCKFORD』(2006)

 そうそう、こういうチートリを待ってたんだよ!!!!!1

 CHEAP TRICKの約3年ぶりのアルバム「ROCKFORD」は、誰もが納得するようなハードドライビング・パワーポップアルバム。ここ20年近くの不振が嘘みたいな完成度なのね。正直な話、この20年近く(トム・ピーターソン復帰後の完全復活以降)の間にリリースされたアルバムの中で、頭からケツまで通して最高だった!ってアルバムは殆どないわけでして。辛うじて「WOKE UP WITH A MONSTER」や前作「SPECIAL ONE」はいい線いってたけど、やはり全盛期であるところの'70年代末〜'80年代初頭には敵わなかったよな、と。そりゃ、比較するのはよくないことくらいわかってるんですけどね。でも‥‥今の若い子たちに「チートリは過去の遺物じゃねーぞ!」って言い張りたいじゃないですか。

 やっと、20年経ってやっと、そう自慢できるようなアルバムが出来たなぁという気がして、聴き終えた後は嬉しさより先にホッとしたっていうのが本音です。

 何だろうねぇ‥‥正直、基本ラインはここ数作と何ら変わってないと思うんだけど。その音の鳴り方だったり鳴らせ方がより過去の名作での方法に近かっただけというか。ホント、それだけな気もする。でも、なぜかそれが今までは出来ていなかった。それも不思議なんだけど。曲自体は本当にここ数作というか、過去の集大成と言っても過言ではない内容。だけど、頭2曲の直球パワーポップ路線にみんなやられちゃってるんじゃないかな。いや、それ正しい。これまでそういう掴みの曲が少なかったから。リンダ・ペリーやらスティーヴ・アルヴィニやらジャック・ダグラスやらとにかく凄い面々が制作に参加して出来上がったこのアルバム。個人的には今年のトップ5に入れたい。そして‥‥当然ライブでこれらの曲を早く生で聴きたいね。過去の曲はもちろんだけどさ、やっぱり今はこのアルバムの曲をどうやってライブで表現してくれるかが気になる。いやー、夏フェスで来てくれるのが一番嬉しかったんだけどね。

 とにかく大傑作。パワーポップファンもロックファンも、みんな必聴!



▼CHEAP TRICK「ROCKFORD」(amazon:US盤日本盤

投稿: 2006 06 26 01:27 午前 [2006年の作品, Cheap Trick] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/14

とみぃ洋楽100番勝負(56)

●第56回:「DREAM POLICE」 CHEAP TRICK ('79)

 '70年代に大ヒットを飛ばして、その後'80年代突入と共に泣かず飛ばすの状態に陥り、挙げ句の果てにメンバーチェンジ、更に下火に‥‥なんていうケース、結構あるんだよね。エアロがそうだったし、KISSもある意味そうかもしれない。そして‥‥このCHEAP TRICKも。ベーシスト以外のメンバーチェンジはなかったものの、やはり「オリジナルの四人」はBEATLESやKISS同様、キャラがハッキリしてた分、痛かったと思うのね。

 そんな彼等が再びオリジナルの4人で復活し、大ヒットを飛ばした'88年。初めてまともに彼等と接することになって。勿論それまでにもMTVでその時その時にリリースされてきたPVと向き合ってきたし、「トップガン」や「オーバー・ザ・トップ」といった映画のサントラに彼等やソロ等での楽曲が収録されていたので、何となく「チートリ」というものを理解していたはずだけど‥‥

 けど。本質は全然違ったんだよね。

 「ベストヒットUSA」の『Star of the week』っていう、ひとつのアーティストにスポットを当てる特集コーナーに、当時全米ナンバ−1ヒットを飛ばし勢いに乗っていたチートリが取り上げられて。プレスリーのカバーだった新曲 "Don't Be Cruel" の後に、往年の大ヒット曲だという "Dream Police" のPV(というか、当時はまだプロモーション・フィルムだな)が流れて‥‥

 何だこれ、全然違うじゃん。むしろこっちの方が全然カッコいいじゃんか!

 その後、雑誌等で復活作の大半の楽曲が、ヒットを飛ばすために用意された外部ライターによる楽曲であることを知るわけですよ。成る程ね、あれは彼等にとって、いろんな意味での『切り札』だったんだな、と後になって思うわけです。全ては『そこ』に戻るために必要な手段だったんだな、と。エアロと一緒だよ、って。

 チートリはホント奥が深いバンドだよ。KISS同様、BEATLESからの影響が強いバンドであると同時に、ロイ・ウッドやE.L.O.等、ありとあらゆるロック/ポップ・アーティストからの影響が垣間みれて、それを彼等なりにしっかり消化してひとつの「CHEAP TRICK」というブランドを作っているんだから‥‥だから、未だにビリー・コーガン等といった今を代表するアーティスト達から支持されてるんだろうね、KISS同様。キャラだけでなく、芯がしっかりしてるから忘れ去られることがないんだな、と。ホント素晴らしいバンドですよ。



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投稿: 2004 10 14 12:00 午前 [1979年の作品, Cheap Trick, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/08/19

CHEAP TRICK『SPECIAL ONE』(2003)

正直に申します。最初このアルバムを聴いた時「あちゃーっ、6年待たされてこれかよ。俺‥‥ダメだ‥‥緩すぎる‥‥」……期待が大きかっただけに、凄く大きなショックを受けたのね。こんなの俺が思い描いた、俺が望んだCHEAP TRICKの新作じゃない、って。そりゃね、確かに聴けばそれがチートリのものだって判るのよ。けどね、違うのよ。俺が待ってたのは、「6年分の穴を埋め合わせるどころか、そんな穴無視して猪突猛進してくようなサウンド」だったはずなのよ。

俺、誰が何と言おうが、世間的には駄作呼ばわりされてる前作『CHEAP TRICK』(1997年)が、凄く好きなのね。何故なら、守りに入ってなかったから。恐らく多くの人達が待ち望む「70年代全盛期の、古き良き時代のチートリ・サウンド」を再現するでもなく、あくまで「90年代のバンドとしてのCHEAP TRICK」を体現していて、彼等から影響を受けたであろう若手バンドと対峙してこうという意気込みと、20年以上に渡って活動してきたバンドの貫禄が同居する、非常に印象深いアルバムだと思ったのね。確かに懐メロツアーみたいなのもいいよ。けどさ、今の状況でそれやっちゃダメでしょ。VENTURESと変わらなくなっちゃうでしょ? KISSくらい派手に割り切ってやるならまだしも、今のチートリはそういう環境にないわけだし‥‥

だからこそ、この新作『SPECIAL ONE』を聴いた時、あまりに落ち着き過ぎてて、思いっきり拒否反応を示しちゃったのさ。ハッキリ言って、全部聴かないで、全曲の頭出し数十秒聴いて判断してそれっきり。1回も通しで聴かないまま、1ヶ月以上放置していたのでした。

ところがね。時間が経って気持ちも落ち着き、改めて通しで聴く時間が取れたんですよ。で、じっくりと腰を据えて耳を傾けたわけですよ、ネガな感情を抱えつつ。

これがね、悪くないのよ。いや、むしろアルバムの出来としてはこの10数年の中では一番良いんじゃないか?って断言できる程、トータル的に優れてると思ったのね。最初、全てが全てまったりしたバラード調、あるいは肩の力を抜いた埃っぽいアメリカンロックばかりといった印象だった各楽曲も、実はかなり考えられて作り込まれているな、という風に印象が変わったり、確かに落ち着いているんだけど、その中にもちゃんと「チートリらしい奔放さ」は封じ込まれているのね。そりゃさ、確かに10~20年前の作品と比べればその奔放さのレベルも格段と落ちますよ。正直、前作よりも年取った感は拭えないし。でも、いいんだわ。今なら素直に言えるもん。これいいよ!って。

大体さ、ここ数作(といっても彼等、この10年でオリジナル・アルバムってこの『SPECIAL ONE』を含めて3枚しか発表していないわけですが)必ずトップは勢いのいいのか、あるいはヘヴィでガッツのあるナンバーだったんだけど、今回の「Scent Of A Woman」ってちょっとタイプが違うよね。静かに始まって、一瞬「バラード!?」と思わせるものの、曲が進むにつれてテンションが高くなっていって、最終的にはチートリ以外の何者でもない楽曲になってるわけで。おいおい、BON JOVIじゃないんだから‥‥って思ったものの、確かにこれもチートリ。曲が良いんだもん、これ以上悪く言いようがないし。

そこからミディアム~スロウな曲が続くんだけど、確かに1曲1曲のクオリティは過去数作の中でも一番優れてるんだわ。ま、70年代に拘る方々には少々厳しいのかもしれないけど、80年代から入っていった人達(俺を含む)はむしろこういった方向性、有り難いんじゃない? ま、俺はどちらの路線も好きなんだけど、ちょっと頭からこういった曲調が続くと‥‥ねぇ?

ところがね、このアルバム。中盤から後半にかけて、徐々にテンションが高くなってくのよ。決して初期のアッパーな曲みたいなのがあるわけじゃないんだけど、何ていうか、こう‥‥静かに熱が高まってくような、台風がゆっくりと、徐々に、徐々にと近づいてくるような、そんな雰囲気なのね。特に4曲目「Pop Drone」でチートリ流「LED ZEPPELINの "Kashmir"」を体現し、5曲目「My Obsession」でサイケなポップロック、6曲目「Words」で甘くとろけるようなポップソングで小休止し、7曲目「Sorry Boy」と8曲目「Best Friend」で「ヘヴィ&ダークサイド of CHEAP TRICK」の決定版を至極自然体に表現してみせるという。完全にこの辺がアルバムのハイライトといっていいでしょう。更にアルバム本編のラストとなる2曲(「Low Life In High Heels」「Hummer」)は、同じ曲を違うプロデューサーに預け、それぞれの持ち味を活かした形へと成長した2曲を並べることによって組曲のようになっているという、非常に面白い仕組みになってるんですね。前者をかのスティーヴ・アルビニに、そして後者をGORILLAZ等でお馴染みのDan The Automatorに任せることで、シンプルで地味なこの曲もいろんな意味でカラフルになっています。それでいてチートリらしさは損なわれていないんだから、さすがというか(ま、この場合はチートリの個性がそれだけ強いんだ、と解釈しておきましょう)。

あ、日本盤ボーナストラックの「Special One」日本語バージョンはこの際無視。蛇足だと思ってます、個人的には。こんなの入れるくらいだったら、ボーナストラックなんていらなかったのに‥‥。

と、最初はかなり否定的な感情が付きまとったこのアルバム。最終的には「非常に良いアルバム」という結論に落ち着いています。ただ、それでもこれは俺が思い描いたチートリの姿ではないし、残念ながらそういった姿はもう二度と観られないのかもしれませんね‥‥そこは割り切るべきなのか、それとも諦めずに夢を追い求めるべきなのか悩むところですが。まぁこの6年、散々ベスト盤だのライヴ盤だのでそういった溌剌とした面は散々味わってきたので(実際に観たライヴでもそういった面を堪能できたし)、これはこれで楽しむことにしましょう。だってこれ‥‥決して名盤とは言わないけど、忘れた頃に聴きたくなる、恐らく付き合いが長くなりそうな1枚になると思うからさ。



▼CHEAP TRICK『SPECIAL ONE』
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投稿: 2003 08 19 11:37 午前 [2003年の作品, Cheap Trick] | 固定リンク

1999/12/02

CHEAP TRICK JAPAN TOUR 1999@横浜ベイホール(1999年10月11日)

最後に彼等を観たのが3年前の年末で、それだって新譜(「CHEAP TRICK」)発売前で、ボックスセットのプロモーションの為のツアーだった。つまり'94年春から純粋な新作の為のツアーでは来日してない事になる。では今回はどうだったかというと‥‥実はこれも微妙なタイミングだったりする。何せこの春に発売されたのは、オリジナル作品ではなくライヴ盤(「MUSIC FOR HANGOVERS」)、しかも収録曲の殆どが復活前の、いわば全盛期の曲なのである。このアルバムでの来日という事になるのだが、う~ん、どういう内容になるのだろうか?

最近の彼らはツイてない。'97年春に「CHEAP TRICK」アルバムをリリースしたと思えば、海外での配給元が倒産。結局まともにプロモーションされることもなく、ただひたすらツアーするのみの毎日。今日はクラブで、明日はMOTLEY CRUEの前座、次はまたクラブ‥‥演奏される曲は時間が経つにつれて'70年代の曲が増えていき、最後には新譜からの曲は皆無。そこへファースト~サードアルバムがボーナストラック付きでリマスター盤として再リリース。それに伴い3日間の日替わりライヴ。(1日目が1st、2日目が2nd、3日目が3rdといった具合に再現されるライヴ)その模様を収録したのが、先のライヴ盤のようだ。ここ10年の間、彼らは多くの新人アーティスト達からリスペクトを受け続けてきた。NIRVANAだったりSMASHING PUMPKINSだったり‥‥状況は整っていたにも関わらず、セールス的な成功を手にすることが出来ずにいた。AEROSMITHは更に高い頂点へと向かい、KISSは(それが人工的であれ)全盛期の輝きを再び得て、VAN HALENは再びそこへ向かおうとしている。なのに何故、彼らだけこういう苦境を味わい続けるのだろう?

今回のジャパンツアーで一番小さいハコが、今回の横浜ベイホールだ。渋谷のクアトロを一回り小さくした感じで、柱が邪魔なとこまで似てる。(爆)それにしても‥‥不便な所だ!(笑)駅から遠いの何のって! バスに乗らなきゃならないって‥‥東京周辺の会場では、こことNKホールくらいじゃねぇか? 冗談じゃない!(怒)それにしても、(俺や同行したトルーパー佐藤氏にとって)こんな大物が、こんなに小さなハコで演奏してしまっていいのだろうか!?って位にステージから近い。しかもステージの低いのなんのって‥‥アマチュアじゃねぇんだから。(苦笑)

ステージに登場したメンバーは‥‥やはり3年前より確実に老けていた。(苦笑)まぁ仕方ねぇや、それは。ヴォーカルのロビン・ザンダーも一時期の輝きが感じられなかった‥‥歌は相変わらず上手いのだけど。それよりも、ベースのトム・ピーターソンが更にかっこよくなっていたのには驚いた。やっぱりベーシストはかっこよくなければいけない! ベースがかっこよくないバンドはダメである。これは俺の持論だけど。(笑)それにしても、いきなり「甘い罠」からスタートっていうのはどうなの??‥‥反則だよ、反則!!(爆)これでノるな!って言われたら俺、発狂するね? それに続く「カモン、カモン」だ「今夜は帰さない」だの‥‥おいおい、頭からこれかい!?(笑)もうこの時点で、今夜が最高のモノになることは確定だ!

ライヴは終始、ギターのリック・ニールセンとのやり取りで和やかな雰囲気に包まれていた。いつもそうなのだけど、今回は特にバンドと客の間が殆どないからいつも以上だ。なんだか、アメリカの小さいクラブではいつもこんな感じでライヴやってるんだろうな、と思わせるに十分な内容だったと思う。選曲も正にグレイテスト・ヒッツって感じ‥‥勿論、普段やらないような曲も数多く聴けた。最後にセットリストを載せてるけど、今回の驚きはメンバーがあれだけ毛嫌いしていた復帰作「LAPS OF LUXUALY」('88)からの曲が3曲も演奏された事だろう。選曲は毎日変わっていたらしいけど、特にこの日は'90年代の作品は1曲もプレイせずに、'80年代もこの3曲と"I Can't Take It"だけだった。あとはファースト~4作目「DREAM POLICE」までが中心。まぁ多くのファンがそれを望んでいるのだから、いいか? 演奏する方からも「俺達も楽しんでます♪」って空気が伝わってきたし。よくバンドがデカくなると「初期の曲はもうやらない」だの「古い曲ばかり演奏するのは後ろ向き。もっと新曲を聴いて欲しい」って言う奴等が多い中、やっぱり本当の意味での大物は違う。単に「ファンがこれやれば喜ぶの、知ってるし」ってだけかもしれない。「客寄せにはこうするしかない」のかもしれない。でも、それをやってのけてしまう今のCHEAP TRICKやAEROSMITHってのは、やっぱり別格だな。もし‥‥なんて言い方はしたくないけど‥‥QUEENが今もライヴ活動をしていたなら、どういうライヴをやってたのだろう? 「QUEEN II」完全再現とか、そんな凄い事やってたのかなぁ‥‥やめよう、こういう不毛な事考えるのは。

ライヴ自体は90分前後と、最近のライヴにしては短い方だったが、それでも十分にお腹いっぱいになったし、感動の嵐だった。細かいことを言えば「もっと最近の曲も聴きたかったね?」とか「『AT BUDOKAN』完全再現ライヴでもよかったかな?」だのいっぱい出てくるけど、それは贅沢というものか?(笑)前回の来日は東京公演全て網羅したが、今回は1日だけだったこともあって、そういう物足りなさはあったが‥‥内容はもう、文句なし! ギターポップやパワーポップ好きを自称する方で、まだ彼らを体験した事ない人‥‥後悔しなさい!(爆)次はいつになるか判らないよ!? こんなにエンターテイメント性に溢れたクラブでのライヴは久し振りだわ。けど‥‥海外での現状を考えると、ちょっと切なくなってくる。アメリカではこのベイホールと同じクラスの会場で、毎日ドサ回り的興行をやってるとなると‥‥複雑な心境だわ。この日本でだって、10年前は武道館だったんだから。それがある意味伝統となってしまっているため、'94年以降の会場(渋公だのサンプラだのといったホールクラス)を知るたびにブルーになっていた。そして今回はとうとう、ライヴハウスが含まれている‥‥プロモーターの目論見なのだろうけど、やっぱり切ない。最近、ライヴから客足が遠のいているらしい。大物がソールドアウトにならない事が多いのだから、中堅以下なんて、もう‥‥その苦肉の策としてウドーが打ち出したのが、この「横浜ベイホール公演」。最近のハードロック系アーティストがウドーで来日すると、必ずベイホール公演が含まれている。何故にベイホール? リキッドルームやクアトロじゃだめなのか? だって‥‥遠すぎるって!平日だったら絶対に無理だよ、時間までに到着するって。そりゃプロモーターにもいろいろ事情があるだろうけど、やっぱり考えて欲しいね、会場までのアクセスの問題。

最後にはライヴ本編と関係ない話題で熱くなってしまったけど、まぁZEPPやNKホール同様、首都圏の土地事情の負の部分が大きく影響しているわけ。こういうのを、他の地方の方々はどう思うのかな? いや、同じ首都圏に住む人でも、俺みたいな東京から離れた地区に住んでる人間にも問いたいですな、こういう問題は。てなわけで、最後に会場についての問題提議をして、終わります。


CHEAP TRICK @ Yokohama Bay Hall. 10/11/1999
 01. I Want You To Want me
 02. Come On, Come On
 03. I Can't Take It
 04. Clock Strikes Ten
 05. He's A Whore
 06. I Know What I Want
 07. Hot Love
 08. If You Want My Love
 09. Taxman, Mr.Thief
 10. Ghost Town
 11. Oh Caroline
 12. Oh Candy
 13. The Flame
 14. Southern Girls
 15. Surrender
[encore]
 16. Voices
 17. Dream Police
 18. Never Had A Lot To Lose
19. Goodnight Now



▼CHEAP TRICK『MUSIC FOR HANGOVERS』
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投稿: 1999 12 02 03:23 午前 [1999年のライブ, Cheap Trick] | 固定リンク