2017/03/03

CINDERELLA『NIGHT SONGS』(1986)

1986年8月にリリースされた、アメリカの4人組HRバンドCINDERELLAのデビューアルバム『NIGHT SONGS』。彼らはジョン・ボン・ジョヴィ(BON JOVI)の後押しがあってメジャー契約にこぎ着けたという話もあり、同じMercury Recordsからのデビュー、BON JOVIも同タイミングに3rdアルバム『SLIPPERY WHEN WET』をリリースしたことから、のちに彼らのサポートアクトとして全米ツアーに帯同したことで人気を高めていきます。

もちろんCINDERELLAが大成功したのは、BON JOVIの力だけではありません。適度にメタリックだけどメロディは非常にキャッチーという、しっかり作り込まれた楽曲の数々がラジオ受けしたことと、毎回趣向を凝らしたミュージックビデオがMTVでヘヴィローテーションされたことも大きな要因と言えるはずです。

今作で制作されたMVは3本。1作目の「Shake Me」、2作目の「Nobody's Fool」、3作目の「Somebody Save Me」は連作となっており、バンド名にちなんだシンデレラ・ストーリーが展開されていきます。MTV全盛の80年代半ば、HR/HMがMV制作にここまでこだわったという点においては、CINDERELLAの功績は非常に大きなものがあったと言えます(と同時に、BON JOVIも「You Give Love A Bad Name」や「Livin' On A Prayer」でひとつの型を作り上げるわけです)。ちなみに、「Somebody Save Me」のMVラストにはジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラもゲスト出演していますので、こちらにも注目です。

さて、改めて楽曲についても。2ndアルバム『LONG COLD WINTER』(1988年)を機にバンドはブルース志向を強めていきますが、このデビュー作にはまだそのカラーは微量。「Hell On Wheels」にはスライドギターが登場しますが、それも大々的といった印象はなく、全体的には当時活動の拠点だったLAのバンドにも通ずるメタリックなサウンド&アレンジが軸となっています。オープニングの「Night Songs」なんて、まるでAC/DCのアルバム『BACK IN BLACK』における「Hell's Bells」みたいですし。また、シングルヒットを記録した「Nobody's Fool」(全米13位)はその曲調とフロントマンのトム・キーファー(Vo, G)のルックスや歌い方から、AEROSMITH「Dream On」と比較する声もあったほど。

そういえばこの当時、CINDRELLAはPOISONとともに『LIGHTNING STRIKES』(1986年)を全米リリースしたLOUDNESSのUSツアーでオープニングを務めていたとのこと。のちに二井原実さんと山下昌良さんにインタビューした際、「どっちも全米チャートのトップ3に入ってたよね。なのに僕らは100位内から1週間ぐらいで消えてたから」(山下)、「ベスト10に入ってるバンドを従えてツアーを回るんやけど、あれは変な話やったな」(二井原)、「あの頃、CINDERELLAのベース(エリック・ブリッティンガム)はまだ全然お金を持ってなくて、毎晩俺がビールを奢ってたな。で、『お前売れてんねんから、次会ったら奢れよ?』って言ったけど、まだ奢ってもらってないわ(笑)。まあ曲が覚えやすかったもんね、CINDERELLAもPOISONも」(山下)なんて話題が挙がったのをよく覚えています。

山下さんがおっしゃるとおり、『NIGHT SONGS』は全米3位まで上昇。セールスも最終的に300万枚を超える大出世作となりました。「CINDERELLAといえば?」と質問されたときに、いまだに『NIGHT SONGS』派と『LONG COLD WINTER』派に分かれることがありますが、僕はどちらも好き。ぶっちゃけその日の気分で変わるし、なんなら3rアルバム『HEARTBREAK STATION』を選ぶ日すらあるくらい(苦笑)。その程度には大好きです、このバンド。



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投稿: 2017 03 03 12:00 午前 [1986年の作品, Cinderella] | 固定リンク

2015/04/29

Cinderella『Long Cold Winter』(1988)

HALESTORM's LZZY HALE And TOM KEIFER Perform CINDERELLA's 'Nobody's Fool' In Nashville (BLABBERMOUTH)

この記事を読んで、久しぶりにトム・キーファーのソロアルバム「The Way Life Goes」を引っ張り出して聴いていたんですが、もう発売から丸2年経つんですね。で、流れ的には漏れなくCinderellaへと向かうわけですが……iTunesにも、MP3ぶっ込んでるHDにもCindrellaのアルバムが1枚しか入ってなくて。しかも先のニュースでカバーされた「Nobody's Fool」が収められた1stではなく、2nd「Long Cold Winter」という。


個人的にはCindrellaというと、ドラムがかわいそうなバンドという認識が強く。いわゆる全盛期のメンバーとしてはフレッド・コウリーという人がバンドに在籍していたわけですが、この人って1stアルバムや2ndアルバムでは叩いてないんですよね。1stアルバム「Night Songs」では別のドラマーが叩いていて、レコーディング終了後に加入。ビデオクリップではフレッドが叩いているし、その後のツアーでも彼がしっかり見せ場を作ったわけですが、続く本作のレコーディングであまりのテクのなさにプロデューサーやメンバーが呆れ、再びスタジオミュージシャンを招集して制作した……と記憶しています。しかも、そこで呼ばれたドラマーがコージー・パウエルやデニー・カーマシー。そんな高度なスキルが要求されてたなんてフレッドさん、思いもしなかったでしょうね。しかもかわいそうなことに、フレッドさんはその後バンドに復帰して、コージーやデニーが叩いたものをコピーするわけです。しかしフレッドさん、3rdアルバム「Heartbreak Station」ではレコーディングに無事完全参加。セールス的には過去2作に及ばず、湾岸戦争の影響やHR/HMからグランジへの移行などが災いしてCinderellaを正式脱退することに。残念な人だ。

とまあ、そんな印象のあるCinderellaですが、個人的にアルバムを通してよく聴いたのがこの2ndアルバム。正式なクレジットがないので実際どの曲でコージーやデニーが叩いているのか、そしてフレッドのテイクはどの程度残されてるのかは一切不明です。実際本当に残されてるのかも微妙。とまあそんなことは関係なく、ブルースベースの良質ハードロックが楽しめます。

1stアルバムは80年代半ばらしい派手でメタリックなサウンドと、適度にヘヴィな楽曲の数々が印象的で、Bon Joviのバックアップもあって大成功を収めました。同作ではそれほどブルースロックの色合いは感じられませんが、Bon Joviが3枚目の大ヒット後、続く「New Jersey」でブルース色を強めたように、Cinderellaも時流に乗ってか、それとも売れて本来やりたかったことができるようになってか、この「Long Cold Winter」でルーツ色を強めます。

オープニングのドブロギター&ブルースハープに驚かされるものの、曲が進むに連れてあのヒステリックなボーカルも健在だし、前作の延長線上にあるハードロックナンバーもあるしで、前作までのファンを安心させる要素も残されてます。とはいえ、ピアノとストリングスの音色に心洗われるメジャーキーのバラード「Don't Know What You Got (Till It's Gone)」、「Still Got The Blues」以降のゲイリー・ムーアを彷彿とさせるスローブルース「Long Cold Winter」、牧歌的なカントリーロック「Coming Home」といった新境地ナンバーも飛び出し、明らかに前作で掴んだファンをふるいにかけるアルバム構成となっています。

……と、キツい書き方をしましたが、改めてこのアルバムを聴いてたら実際この変化についていけなかった友人が当時いたことを思い出しちゃったもので。まあ仕方ないですよね、いきなりブルース言われても。しかも1988年って猫も杓子もブルースだ、本格派だって鞍替えし始めたタイミングだったので(ヴィジュアル系で言うところの、急に髪を短くしたり化粧を薄くしたりするタイミングみたいなものでしょうか)。MTVロック的なきらびやかな世界観から、Guns N' Rosesの成功によってリアリティのあるものへと移行していき、Led Zeppelinの再評価とともにKingdom Comeみたいなクローンバンドが続出したり……まあ、そういう時期です。

とはいえ、Cinderellaは1stアルバムのツアーをしてる時点で自身のルールを垣間見せるカバーや演奏をしており、この変化 / 進化は必然なわけです。運良く(いや悪く?)たまたまタイミングが合ってしまったくらいな感じと言えばいいのか。

でもね、発売から30年近く経った今聴いてもカッコイイと思えるアルバムであるのは確か。実際、リリース当時も1stアルバム同様2、300万枚ものヒットにつながっているわけですから。歴史に名を刻むような作品ではないかもしれませんが、80年代後半のロックシーンを華麗に彩った重要な作品だと個人的には思います。



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投稿: 2015 04 29 04:12 午前 [1988年の作品, Cinderella] | 固定リンク

2004/12/03

CINDERELLA『ONCE UPON A...』(1997)

というコーナーが「RADIO TMQ」にはあるんですが、これは「洋楽初心者に向けて、初めて聴くアーティストはとりあえずまぁベスト盤から手軽に入門して、活動歴の長いアーティストだとベスト盤が複数出てるので、どれから聴けばいいのかの手解きをしつつ、そこから続いてどのオリジナルアルバムに手を出せばいいか等のアドバイスをする、お節介な」企画でして。最初の頃は月イチ企画でアルファベット順にアーティストを紹介してたんですが(「A」はAEROSMITH、「B」はボブ・マーリー、「C」はCHEAP TRICK、みたいな)、10月からは番組が90分化したことで、毎回やれるようになったんですね。

 そこで、10月からはベスト盤の中から1曲と、続いてそのアーティストのその後(近況や、解散してるバンドの場合は解散後の各メンバーの動向)を紹介しながら最近の楽曲を流す等いろいろ工夫を加えて、どうにか「RADIO TMQ」の目玉コーナーのひとつにならないか?と試行錯誤を繰り返してる最中だったりします。

 でね。折角このブログが始まったことだし、ラジオも明日から再開するってことで、いっそのこと「ラジオで紹介したベスト盤を文字でも紹介したらどうか?」なんて思いつきましてね‥‥ま、まだ紹介してないアーティストでもいいわけですが。要するに、新コーナーですよ、「TMQ-WEB」の。スタートしていきなり完結してる企画(「とみぃ洋楽100番勝負」)とかあるんで、これから始める企画とかあってもいいじゃないか、と。まぁ「10年前」ってカテゴリも厳密には企画モノなんですけどね。

 さて。早速本日から不定期で始めるこのブログ版「ベスト盤イイヨネー!」。最初はいきなりCINDERELLAですよ。けどこれ、明日取り上げるわけじゃないのでご了承を。じゃあ何でいきなりCINDERELLAなのかといいますと、数日前にこのベスト盤「ONCE UPON A...」を購入してしまったからなんですよ。中古で。つい懐かしくなって。



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 俺が買ったのは海外盤よりも2曲(1st「NIGHT SONGS」からの "Night Songs" と "Push, Push")多く収録された日本盤なんですが、残念ながら現在廃盤みたいなので、上で紹介するのはUS盤です。まぁ基本的な代表曲はUS盤でも何ら問題ないので、これから聴こうって人はひとまずこれから手に取ってみてください。

 内容的には1st「NIGHT SONGS」から解散前の4th「STILL CLIBMING」まで、それぞれシングルカットされたりPVになった有名曲ばかりなので、ほぼ代表曲が揃ってるといえるでしょう。その他、映画「ウェインズ・ワールド」のサントラのみに収録された曲や、コンピ盤に収録されたジャニス・ジョプリンのカバー "Move Over" も入ってるし、更にはこのベスト盤前後に再結成したことによって実現した新曲 "War Stories" まで入ってるんだから、ホントこれ1枚聴けば問題ないかと、初心者は。

 けどね‥‥このバンドの本質を掴みたいなら、絶対にこの後に「LONG COLD WINTER」と、そして大ヒットには及ばなかったけど隠れた名盤の3rd「HEARTBREAK STATION」は聴いて欲しいなと。1stは時代の流れに合わせたHM/HR路線がメインになってるけど、やはりその後に「本当にやりたかった」ブルーズロック路線へと移行した2nd、そしてバックトラックだけ聴いたら単なるエアロやROLLING STONESフォロワーじゃねぇの?って程に激渋な3rdこそが、このバンドの本質なんですよね。ここに収録されてない2ndの曲にしろ3rdの曲にしろ、モロなブルーズも入ってたり、カントリーじゃねぇのそれ?みたいな曲まであるから、是非興味を持ったなら聴いて欲しい名盤の数々ですな。

 あ。最後に追記。2ndにはドラマーとしてかのコージー・パウエル先生が数曲参加しています。聴けば何となく判りますから、是非それ込みで聴いてみてくださいまし。



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投稿: 2004 12 03 08:32 午後 [1997年の作品, Cinderella] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック