2018年9月16日 (日)

CLUTCH『BOOK OF BAD DECISIONS』(2018)

アメリカ・メリーランド州出身の4人組バンド、CLUTCHによる通算12枚目のオリジナルアルバム。前作『PSYCHIC WARFARE』(2015年)から3年ぶりの新作となり、プロデューサーを初期作や前2作を手がけたマシーン(LAMB OF GODFALL OUT BOY、SUICIDE SILENCEなど)からヴァンス・パウエル(THE WHITE STRIPES、KINGS OF LEON、ジャック・ホワイトなど)に代えた意欲作となっています。

90年代はワーナー系やソニー系のレーベルに所属していたことから、ここ日本でも国内盤がリリースされていたCLUTCHですが、2000年代半ば以降はインディーズで細々と活動しているようです。が、最近は前々作『EARTH ROCKER』(2013年)が全米15位、前作『PSYCHIC WARFARE』は全米11位と、メジャーで活動していた頃よりも好成績を残しています。本作はまだリリースされたばかりなので、これを書いている時点ではBillboardチャートの成績も発表前ですが、もしかしたら前よりも良い記録を残せるのでは……と思えるくらい、面白い内容に仕上がっているんじゃないでしょうか。

CLUTCHというとサザンロック流れのストーナーロックやブルースロックという印象が強いですが、本作はその集大成的な傾向が強まっている気がします。大半の楽曲が3分台というのは変わらず、楽曲のバリエーションも前作までに近いのですが、なぜかその聴かせ方いつも以上に冴えているといいますか。

ブラスをフィーチャーしたファンキーな「In Walks Barbarella」、軽快なピアノサウンドとの相性も抜群なアップチューン「Vision Quest」あたりは、ヴァンス・パウエルというプロデューサーの手腕発揮と言わんばかりの力作。ギターやベースのファズの効かせっぷりも絶妙で、音の温かみや厚みも“ちょうどよい”。そのまま演奏したら古臭いと片付けられそうな楽曲を、独特のセンスで現代にも通ずるようにうまく昇華させているし、もはやハードロックだとかストーナーロックだとか、そういった枠組みさえも飛び出している気がします。

で、こうやって聴いてみるみると、先に挙げたヴァンス・パウエルがプロデューサーやエンジニアとして携わったアーティスト群……THE WHITE STRIPES、KINGS OF LEON、ジャック・ホワイト、それにジュエルやリアン・ライムス、BIG & RICHといったカントリー系など……の名前を見て、妙に納得するものがあるんですよね。前作までのスタイルとそこまで大きく変化はないはずなのに、ここまで進化したように思えるのは、彼のアイデアも多少は含まれているということなんでしょうか。

こんなアルバムを聴かせられちゃったら、そりゃあ生で観たいと思っちゃうわけですよ。ところが彼ら、もう15年くらい来日していない。しかも、しばらく日本盤も出ていないわけですから……単独では厳しいですね。ぜひ来年あたり、苗場あたりが呼んでくれたらなあ……。



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投稿: 2018 09 16 12:00 午前 [2018年の作品, Clutch] | 固定リンク