カテゴリー「Cocco」の23件の記事

2006年8月11日 (金)

Cocco@日本武道館(2006年8月10日)

アンコールなし、2時間強のものすごいライブでした。

6年前の武道館は、俺にとって生涯ベスト3に入るようなライブでした。そのくらい強烈に印象に残ってます、いまだに。

今日見たCoccoは、終始笑顔が絶えない、そして最後の最後までステージに残る彼女を見るのは本当に新鮮で、そして違った意味で強烈な印象を得ました。だって、必ず最後の曲が終わる前にステージから去っていた彼女が、演奏終わるまでステージに立っていて、「ありがとう」って言って。根岸さんたちと抱擁してるんだよ。考えられん。人間が丸くなったともいえるし、本当にこの6年って月日の流れは大きかったんだなぁって実感させられた。

ホント、いいライブでした。何度でも言うよ。いいライブでした。

そして、さすがに「焼け野が原」では泣いた。

いいライブだったなぁ。

あ、10月?にNHK BS&総合で今日のライブを放送するそうなので、みんな見るといいよ。


[SET LIST]
01. 音速パンチ
02. 首。
03. 眠れる森の王子様~春・夏・秋・冬~
04. Swinging night
05. 夏色
06. blue bird
07. Drive you crazy
08. Cocco弾き語り(新曲)
09. 温泉の歌(新曲)
10. 神戸で作った歌(新曲)
11. 強く儚い者たち
12. 愛うらら
13. 野火
14. カウントダウン
15. インディゴブルー
16. 暗黙情事
17. 陽の照りながら雨の降る
18. 流星群
19. 焼け野が原
20. Happy Ending
21. 新曲

2005年8月13日 (土)

ドキュメント・RIJF05

 さてさて。フェス企画第二弾(「企画」なのか‥‥)は、先週末に行われた、ROCK IN JAPAN FESTIVALです。今回はミスチル目当てで土曜のみの参加でした。ま、RIJFは3日フル参加したことないし、またその必要も(俺的には)全く感じられない「イベント」なので、観たいアーティストが出る日だけ行けばいいや、って考えなんですよね、うん。そう、フェスというよりは、イベントっていう認識の方が強かったんですよ。けど今回、ちょっとだけその認識を改めました。

 RIJFには2001年(土日)、2003年(日のみ)に続く3度目の参加だったんですが、フェスとして過去2回よりもかなり整理/整備されて、過ごしやすくなってる気がしました。ていうか、単に俺がいろんなフェスを見てきて、そして「フェスの過ごし方」を習得した結果、自分らしく過ごすことが出来るようになり、ポジティブに感じられるようになったのかな、と。最初はさすがに暑さと見たいバンドの無さに困り果てましたが、まぁ前者は木陰に入るとかしてフォロー出来るし、後者は単に出演者チェックしてなかった自分の責任だし。でも最終的には観たバンドの殆どに満足できたし、良かったと思いますよ。

 てなわけで、またまたリアルタイム更新時のログ+後から書いたライヴの感想を編集して、お送りしたいと思います‥‥

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2004年1月 1日 (木)

Cocco『Heaven's hell』(2003)

  Coccoが約2年振りに帰ってきた‥‥いや、正確には「帰ってきた」と言い切れないもどかしさを伴う、人前への登場といった方がいいのかな? とにかく、2001年4月に我々の前を去った後、一切の音楽活動を中止していた彼女が、再び自分の音楽を、自分の言葉で表現し始めた。個人的にはそれだけで十分なんだけどね。

  2003年8月15日。正に「日本中でみんなが黙祷する日」に、彼女は我々に対する問題提議を伴い戻ってきた。真新しい楽曲と、百数十人の子供達を引き連れて‥‥それがこのDVDの中で歌われている "Heaven's hell" という楽曲。たった1曲の新曲ではあるけれど、この時の生演奏会では約10分に及ぶ長丁場を、素人同然の子供達と共にやり遂げ、聴き手を十二分に惹き付ける、本当に素晴らしい歌と演奏を我々に見せて/聴かせてくれたのでした。この映像を最初に目にしたのは、同年8月末のTBS系「NEWS23」での特集にて。約30分に及ぶドキュメント(舞台裏やメイキング、そしてCoccoとのインタビュー等)の中で、彼女が何故2年前に音楽活動を中止したのか、そして何故再び人前で歌うことを選んだのか、それらが彼女の言葉で語られています(勿論今回のDVDの中にもその場面は収録されています)。

  このDVDはその番組、そして沖縄のテレビ局で放送された同イベントのドキュメントを合わせ、市場流通用に再編集した、約60分に及ぶドキュメントDVDです。当然イベント当日の歌の模様も完全収録されています。

  しかし、ここで注目すべきなのは‥‥実は彼女の新曲についてではなく(それはまた別の機会にちゃんと語りたいと思います)、何故彼女が「歌」と「ゴミ拾い」を結びつけたか、そしてそこに向かわせたかなんじゃないでしょうか。勿論その答えの全てがこのDVDの中に存在するのですが‥‥ま、俺が改めて書くまでもないので、とにかくあなた自身の目で確認してもらいたいな、と思います。

  自分の住んでいる場所もまた、海に囲まれています。夏になれば海水浴客やリゾート客で栄える、それなりに名の知れた町のようです。が、決して綺麗な海ではありません。昔は綺麗だったんです。けど、段々と汚くなっていった。勿論、そういった観光客が汚した結果がそれ、とは言い切れません。地元に住む人達による汚染だって間違いなくあります。いろんな要因が重なり合った結果が、今の汚い海なんでしょう。

  よく自分が子供の頃‥‥小学生の頃だったかな? 海開きの前になると必ず、土曜の午前中を使って近くの海水浴場へ行って、砂浜のゴミ拾いをするんです。観光客が捨てていった空き缶やビニール、家庭ゴミ等。酷いモノになると使用済みのコンドームとか‥‥勿論、全部が全部観光客が捨てていったものではなく、中には他の海からたどり着いたゴミ‥‥明らかに余所の土地にしか存在しない品物だったり、あるいは海外から漂着したゴミだったり‥‥そういったものを「何で僕達が拾わなくちゃいけないんだろう?」といった疑問を抱きつつ、強制的に拾わされていました。全ては「観光客に気持ちよく海を使ってもらえるように」と‥‥

  このDVDを観たとき、そういった子供の頃に感じた違和感をふと思い出しました。けどもし今、同じようなことを強いられたとしたら‥‥多分あの頃とは違った考えの下、ゴミ拾いをすると思います。そういえば以前、女の子と地元の海に行った時、あまりにゴミが凄かったんで無意識のうちにゴミ拾いしてたんですよ。遊びながらですが。そしたらね、その子は俺に言うわけですよ‥‥「なんでそんなことするの?」って。自分にとっては落ちてるゴミを拾うことは、普通のことなんですよね。フジロックとか行くとそうでしょ? まぁ落ちてるゴミを拾わないまでも、絶対に自分からゴミをゴミ箱以外に捨てようなんて思わない。あんまり酷い散らかりようだったら無意識のうちに拾ってしまう、みたいな。その感覚だったんですよね。けど、そんなこと知らない普通の子達にとっては、むしろゴミを捨てる方が普通の感覚で、拾うなんて恥ずかしい行為、あるいはバカみたいに映るわけですよ、極端な話。それを改めて認識した時、ちょっとショック受けましたね。だってさ、自分らの海じゃないか、って。誰のものでもない、だけど俺らの海なんだよ、って。説明しても無駄だと思ったから、その場はそのままやりすごしたけど。後になって、その時にそれを説明できなかった自分に腹立たしく感じたりなんかしてね‥‥

  DVDの内容から脱線してるように見えるかもしれないけど、つまりはそういうことなんです。このDVDを観るってことは、そういった問題意識と向き合うこと。決してCoccoは「沖縄に来てゴミ拾いをして」と言ってるんじゃないんですよ。それぞれ身の回りで、個人レベルで出来ることをやっていこう。それを考える切っ掛けを我々に与えてくれてるんですよ。そういったことを判りやすく伝えるために、彼女は今回「歌」に託した。イベントのサブタイトルにあるじゃないですか、「もしも歌が届いたら 海のゴミを拾ってね」って。海じゃなくてもいいんですよ、山でも、川でも。もっともっと、身の回りの自然を大切にして欲しい。そうすることが、いろんなことに繋がっていくと、彼女は信じてるんです。それが最終的に世界平和に繋がるんじゃないか、と‥‥

  歌が世界を変えることは不可能でしょう。ジョン・レノンも成し得なかったんだから。けど何度も書くけど、世界は変わらなくても人間の意識を変えることはできる。大きな成果は得られなくても、個人レベルの小さな変化をもたらすことは可能なんです。だって、この "Heaven's hell" という曲を聴いて心動かされた人、沢山いるでしょ? それはあなたの心の中にある「何か」が動かされたからでしょ? それをそこで終わりにして欲しくないんです。考えることをそこで放棄して欲しくないんです‥‥彼女はそう言いたかったんじゃないかな‥‥

  最後に‥‥ちょっと話題から逸れちゃいますが‥‥このDVDを観ていて何度か涙してしまうシーンがあったんですが、個人的に最も涙を堪えきれなかったのは、彼女が子供達の前であの "Raining" を弾き語りするシーン。勿論そこに至るまでの会話込みで、ですが‥‥とにかく全てを観て欲しいです、音楽のみではなくね。



▼Cocco『Heaven's hell』
(amazon:国内盤DVD

2003年9月 1日 (月)

Cocco『ベスト+裏ベスト+未発表曲集』(2001)

  2000年10月6日、日本武道館でのステージを最後に彼女はステージを降り、そして翌2001年4月20日の「ミュージックステーション」出演を最後に彼女は完全に我々の前から姿を消しました。「音楽活動中止」という、ちょっと考えられないようなショッキングな出来事。それが現実に起きてしまったのです。Coccoというアーティストの特異性を考えると、それは至極当たり前のことなのかもしれないな‥‥当時は残念だという思いと同時に、そうも考えてみて自分を納得させてみたものです。

  しかし、あれから2年半近くが経ち、彼女は二度我々の前に姿を現した。一度目は沖縄で、そして二度目は昨日(8/31)神戸(野外イベント「RUSHBALL」)で。彼女は自らギターを弾き、新しい歌を2曲披露した‥‥これがどういった意味を持つのか現時点では判りません。完全復活の序章なのか、それとも単なる気まぐれなのか。そういえば音楽活動中止後すぐに大阪で深夜弾き語りをした、といった話もありましたが‥‥

  J-POPと呼ばれる日本の音楽界の中で今現在、所謂「情念系」(なんて呼び名、ホントにあるのか!?)とカテゴライズされる女性シンガーにとって、そのお手本のひとりとなっているのは間違いなくCoccoでしょう。'90年代末、椎名林檎と双璧を成すかのように語られることの多かったCocco。林檎も長い沈黙の末、ようやく今年完全復活しました。ま、Coccoの場合とは状況が全く違いますからホントは比べるのもアレなんですが。

  このベストアルバムは、彼女が完全に人前から姿をくらました後にリリースされた2枚組。選曲自体は彼女が行っていて、そのタイトル通りシングルコレクション的側面もあり(とりあえず公式リリースされたシングルタイトル曲は全部収録)、そのカップリング曲やアルバム収録曲で彼女が気に入っている曲を「裏ベスト」と呼び、更には完全未発表の新曲を5曲(初回盤には更に2曲入りCDシングルが収録されていたので、未発表曲は都合6曲ということになりますが)収録。全26曲(初回盤は28曲)というボリュームもさることながら、やはり改めて思うのはその楽曲の素晴らしさ、そして時に優しく、時に刺さるような表現(歌詞や歌唱)の素晴らしさ。既発曲については以前自分が書いたレビューを読んでもらえばいいし、未発表曲に関してはこちらで当時の担当ディレクター氏が解説してくれてるので、それを読んでみてください。

  ‥‥ってそれじゃこのレビューも終わっちゃうじゃん。いや、とにかく一度この2枚組をじっくり腰を据えて聴いてもらいたいし、何度か聴き終えた後に俺の書いた全作品レビューと上の寺田氏の解説を読んでくれればいいと思います。特に「まだ一度もCoccoの歌に触れたことのない人」や「シングル曲は何曲か知ってるけどアルバムまでは手を出したことがない人」には、こんな駄文を読む前にまず一度聴いて欲しいな。まぁこれを読んで興味を持って、それから聴いてくれるのもアリだけどさ。

  個人的なこのアルバムのハイライト、それはディスク2ですかね。名曲"焼け野が原"でいきなり目頭が熱くなるし、続けざまに"ポロメリア"、"あなたへの月"、"星に願いを"、"けもの道"って流れ、反則過ぎ。更に後半‥‥超名曲"遠く儚い者たち"、未発表曲にして名曲の仲間入りを果たした"もくまおう"、初期の隠れた名曲である"星の生まれる日。"ときて、最後の最後に‥‥ラストツアーとなった2000年秋のツアー、そして先の武道館公演でも歌われ、その日歌われた未発表強の中では一番印象に残った"荊"で終わる流れ‥‥何故こういう曲順になったのか、それは本人に聞いてみないと判りませんが(上の解説によると、この曲をアルバムラストに選んだのはCocco本人だとのこと)‥‥もの凄くCoccoらしい終わり方だな、と。このベストを聴いて、彼女の音楽活動中止を妙に納得できたんですよね‥‥ああ、ホントに一度完結したんだ、って。

  そして彼女は再び人前に立った。今後のことは判らないけど‥‥期待しちゃってもいいんですよね? まだ「おかえりなさい」は言わないでおくよ。けど、いつ帰ってきてもいいように、みんなもこのベスト盤やオリジナルアルバムを聴いてちゃんと予習・復習しておこうよ。そして本当の復活の日には‥‥みんなで声を大にして言ってあげようよ。「おかえりなさい」って。



▼Cocco『ベスト+裏ベスト+未発表曲集』
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2001年5月13日 (日)

Cocco『焼け野が原』(2001)

  Coccoの、事実上ラストシングルとなってしまったのがこの"焼け野が原"だ。アルバム「サングローズ」と同時発売だったこともあって、リリースされた印象が薄いが、4/20の「ミュージックステーション」を見た方なら、誰もが耳に(そして目に)焼き付いたはずだ。彼女が最後の挨拶に選んだ曲、最後に唄った曲がこれだ。

  収録曲は過去のマキシシングルでの中では最多の曲数で、シークレットトラックを含めて5曲。最後の作業の中でレコーディングされた楽曲は全てアルバムとシングルに詰め込んだのだろう。表題曲の他に"アネモネ"、"バニラ"、最初で最後のカヴァー曲となる"Rainbow"(根岸や長田の在籍するDr.StrangeLoveの曲)、そしてシークレットトラックである"愛の歌"の5曲。

  まずジャケットに目を奪われる。まるで‥‥こんな事を言ってはファンに失礼かもしれないが‥‥まるで自らの葬式をあげているかのような、白い花に包まれたCocco。黒バックに黒いセーターという姿が、更に拍車をかける。彼女自らのコンセプトなのだろうけど‥‥こんなジャケット、初めてだ。

  楽曲の内容について。まずサビの唄い出しからスタートするという試み。これは今までなかったキャッチーなパターンだ。楽曲はここ数年得意としているソフトサイドの集大成的作風で、徐々に盛り上がっていくアレンジ、特に中盤以降の盛り上がりに血液が逆流しそうになる。曲の出来としては、これよりももっといい曲は今までにあっただろう。しかし‥‥どうしてもあの「Mステ」を見てしまった後となっては‥‥特にラストの「もう 歩けないよ。」というフレーズに涙さえ出そうになる。だけど、それ程悲壮感といったものは感じない。どちらかというと‥‥前のアルバムで感じていた前向きさを、ここでも‥‥更に力強く感じ取る事ができる。

  続く"アネモネ"は根岸のギターだけをバックに唄う小楽曲。前曲が盛り上がって終わった後の空気を浄化するような清々しさが漂う。一転して3曲目"バニラ"はヘヴィなリフでスタートするロックチューン。しかし、ここには前作までのような淀んだ空気、混沌としたイメージはない。もっとカラッとしていて、突き抜けているような感じ。「サングローズ」レビューでも書いているが、このヘヴィネスの質をHOLEに例えると‥‥前作までを「LIVE THROUGH THIS」だとすると、「サングローズ」の楽曲は「CELEBRITY SKIN」なのだ。判ってもらえるだろうか?

  そして4曲目。プロデューサーであり、彼女のよき理解者である根岸のバンド、Dr.StrangeLoveのカヴァー"Rainbow"。彼女が他人の歌詞を唄うのはこれが最初で最後か? 一人称が「僕」で唄われるところに違和感というか、新鮮味を感じた。それまで自分の人生を唄うことしかなかった彼女が、初めて他人の人生を、他人の言葉で唄う。もし彼女に5枚目、6枚目のアルバムが存在していたなら、こういう表現の仕方も出来るようになったのかもしれない。

  そして十数秒の空白の後にスタートする5曲目"愛の歌"。当然トラックリストには明記されていない、シークレットトラックだ。レコーディングクレジットには「県人会の集い(全3名本人含)」とだけ明記されている。足踏みと手拍子だけでリズムがとられ、Coccoの他に男性1人、女性1人の声が確認できる。非常にリラックスしたトラックで、途中で彼女の笑みさえこぼれる。そしてCocco笑い声でトラックは終了する。

  もしこの"愛の歌"がなかったら、幾分重い空気で終わっていた。しかし、この曲があるお陰でまた違った‥‥心が温かいままで聴き終えることができる。事実上引退する彼女に対して、今後の彼女の人生を祝福したい気持ちにさえなった。もしあなたが「どうせアルバム買ったし、シングルも入ってたからいいや」と思ってこのシングルを蔑ろにしているなら、それは間違いだ。アルバムとついで語られるべき小作品集なのだ、このマキシシングルは。



▼Cocco『焼け野が原』
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Cocco『星に願いを』(2000)

  そして更に、前シングルから1ヶ月後に完全なる新曲を発表する。矢継ぎ早にリリースされる今回の攻勢に、ファンは正直財布の中身がついていかないのでは‥‥丁度ツアーも発表になっただけに。この曲は前作が「ラプンツェル完結編」と銘打たれていただけあって、早くも次作への布石となるのでは?なんて深読みもされた程だった。ツアーでも終盤のオイシイ位置で披露されていたし、シングルとしてもここ最近でも最もセールス的に成功を収めたようだし。その収録曲だが、表題曲の他に、サード収録の"かがり火"の計2曲。作曲はCoccoではなく、これまでも彼女の作品を幾つも手掛けてきた柴草玲のものである。印象的なメロディーは、Cocco作曲のものとはまた違った旨みがあって、個人的には信頼している作家のひとりだ。最近、柴草は都内でライヴ活動をしているようなので、興味がある人はチェックしてみるといいだろう。

  さて、正直な話、この1曲("星に願いを")のみで次のアルバムを占えるかといえば、正直嘘になるだろう。なぜならこの曲もまた、「ラプンツェル」のセッションの中からのものだし、Cocco作曲の作品ではないからだ。実際にアルバムに収録されていても違和感はないわけだし。だからこそ、この曲が次の「サングローズ」への追加収録が決まったのを聞いた時、違和感を感じてしまった。勿論いい曲なのだが、何が違うのではないだろうか?という疑問は、「サングローズ」が発表された今でも消えないままでいる。



▼Cocco『星に願いを』
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Cocco『けもの道』(2000)

  サードアルバムの発売から2週間後にリカットされたマキシシングル。収録曲は表題曲の他に、完全未発表曲の"真冬の西瓜"と"つめたい手"の合計3曲。デビューマキシ以来の3曲収録だ。この時期のリリース攻勢といい、未発表曲の多さといい、如何にこの1年間のレコーディングが充実したものだったかが伺える。しかもどの曲がアルバムに入っていても違和感がないような、決して捨て曲ではないのが驚きだ。

  表題曲はアルバムのヘヴィサイドを象徴する1曲であり、アルバムのトップに収められている「顔」ともいうべき存在。だが「ラプンツェル」という作品は決してヘヴィなだけではない、緩急の幅がこれまでで一番激しい作品であるという事を思いだして欲しい。特に"雲路の果て"以降のシングルが全て収められている点、更に今後の彼女を占うような楽曲の登場など、いろんな意味で興味深い作品なのだ。そんな勝負作をフォローアップするようにこのシングルが「ラプンツェル完結編」としてリリースされたのには、ちゃんと意味があったのだ。当然アルバムはこれまでで一番のヒットを記録したのだから、このリリース攻勢は大成功だったといえるだろう。

  カップリング2曲は、アカペラ"真冬の西瓜"は1分少々で終わる小楽曲。これまでもセカンドで"小さな雨の日のクワァームイ"という同じタイプの曲があったが、これはまた違った印象を与える。特にヘヴィヘスを追求した1曲目と、冷たい感触を持った3曲目"つめたい手"の間に挟まれているからこそ、その温かさがやけに身にしみる。マキシシングルとしては、非常に流れを大切にした作品ではないだろうか?(シングルに関しても、Cocco自身が選曲や曲順を決めているそうだ)



▼Cocco『けもの道』
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Cocco『水鏡』(2000)

  2000年に突入し、我々は彼女の存在を、少しずつだが忘れかけていた。そんな中発表されたのが、このシングル。来るべきサードアルバムからの先行シングルであり、1年半振りにテレビ出演も果たす。このシングルの収録曲は表題曲の他に、アルバム未収録の"寓話。"。彼女が積極的に動き出したことも影響し、セールスは前作以上を記録した。

  久し振りのロックチューンといった感じだが、曲のタイプとしては"雲路の果て"に非常に近いのではないだろうか? イントロとエンディングでのスキャットに独特な冷たさを感じ、それがまた独特な雰囲気を醸し出している。最初聴いた時、LUNA SEA辺りの楽曲との共通性を感じたものだが、如何だろうか?

  そうえいば、この「水鏡」というタイトルも、あまり耳慣れない言葉だ。こういう表現を使うのもまた彼女らしい。この楽曲にはCocco自身、相当な思い入れがあるらしく、リリース時期についてスタッフと相当揉めたそうだ。「これは売れない曲だ」とは彼女の発言だが、もしかしたら「売れない」曲ではなく「売れてはいけない」曲だったのではないだろうか?

  カップリング曲は一転して、穏やかな空気を持つポップな曲。彼女の唄い方も前曲とは全く違い、声を張り上げるのではなく、最後まで同じトーンで通している。これもある意味新たな実験だろうし、成長だろう。



▼Cocco『水鏡』
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Cocco『ポロメリア』(1999)

  前シングルより丁度半年後に発表された、通算6作目のシングル。収録曲は表題曲の他に、やはり英語詞の未発表曲"Sweet Berry Kiss"。2曲共、昨年のツアーで披露されていたので、覚えている人も多いのではないだろうか?

  この頃から、メディアへの露出が皆無の状態が丁度1年続いた事もあり、その影響が少しずつだがセールスにも影響を与え始める。また楽曲の作風も、初期のハードコアなイメージを覆すような穏やかなタイプが2作続いた事もあって、聴き手の中からも疑問を唱える声が少しずつだが聞こえてきた。

  完全にCoccoの歌中心で作り上げられているが、これが続くサードアルバムへの伏線となることは、誰の目から見ても明らかだった。歌詞に目をやると‥‥唄い出しである「金網の向こう~」という出だしでハッと我に返る。この曲は「沖縄」や「家族」の想い出を唄ったものではないだろうか?と。

  カップリング曲はCocco以外の人間が書いた曲。"強く儚い者たち"のC/W曲と同作曲者だ。英語で唄われているものの、実はこの歌詞も両親について唄ったものだ。詳しい事は知らないのだが、彼女の家族はある時期を境に離散してしまったらしい。そういう事を踏まえてから、改めて歌詞を読んでみると、より深みを増し、感慨深いものとなるだろう。勿論、聴き手はそんな事実まで知る必要はないだろう。しかし、それらの楽曲がどういう意図の元、どういう想いで書かれたかを探るのも(決してワイドショー的観点からではなく)、また音楽の楽しみ方のひとつではないだろうか。



▼Cocco『ポロメリア』
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Cocco『樹海の糸』(1999)

  1999年は結局、アルバムをリリースする事はなかった(その理由はアルバム「ラプンツェル」レビューに書かれているので、それを参照いただきたい)。そんな中、シングルだけは定期的に発表され続けた。このシングルは前作より半年後の'99年4月に発表された、通算5枚目。収録曲は表題曲の他に、英語詞曲となる未発表曲"Again"。メディアへの露出もなく、特に強力なプロモーションをされなかったにも関わらず、この曲はトップ10入りを果たした。既にCoccoの歌が定着した証拠だろう。

  表題曲は、"遺書。"や"強く儚い者たち"の流れを組む、大らかなノリを持ったメロディアスナンバーだが、ここではもっと穏やかな空気を持ち、前出の2曲にあったようなフィードバックノイズ等の「壊し」系ギミックは一切登場しない。あくまで彼女の歌と歌詞をメインに持ってきた曲だ。そういう意味では、これまでのバンドと一丸となって聴き手の心臓を鷲掴みするというスタイルとは、一線を画する。

  それにしても、こういう穏やかな曲の中だからこそ耳に飛び込んでくるのが、歌詞なのだ。「わたしさえ いなければ/その夢を 守れるわ/溢れ出る憎しみを 織りあげ/わたしを奏でればいい」というサビのフレーズや、一番最後に飛び込んでくる「やさしく殺めるように」という一節にドキリとさせられる。

  カップリング曲も同様に穏やかな空気を持っており、こちらはもっとアコースティック色を濃くした、どことなくカントリー的な楽曲。ドラムやベースが入っておらず、マンドリンやラップスティール等の楽器が彼女の英語詞と上手くマッチしている。2曲通して聴くと、非常に肩の力の抜けた、ある意味「癒し系」作品集となっている。



▼Cocco『樹海の糸』
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