CO-FUSION『CO-FU2』(2001)
DJ WADAとHEIGO TANIという2人の日本人から成るエレクトロニック・ビート・ユニット、CO-FUSIONの3年振りとなるセカンドアルバム。実はこのアルバムで初めて彼等に接することになったのだが、意外とニアミスしていたようで‥‥フジロックとかも出てたんですね、改めて調べてみると。いや、確かに名前だけはずっと聞き覚えあるなぁとか思ってたんだけど、どこで最初に目にしたのかなんて覚えてるはずもなく。てっきり雑誌とかクラブ関係のサイトでだと思ってた。
昨年('01年)末にリリースされて以来、ずっと気になってたんだけど、手にしたのは1月程前で。ネット上でもよく名前を見かけていたし、大体どういう「音」を鳴らすユニットなのかも把握してたつもりだったけど‥‥やはり「文字」と実際の「音」、人によって誤差が生じるのは当たり前であって‥‥とにかく1曲目"Material To Digital"を聴いてブッ飛んだ。これ、懐かしの「VIDEO GAME MUSIC」じゃねぇかよ、と。
ご存じの方もいるかもしれないが、「VIDEO GAME MUSIC」とは'84年頃にYMOを活動停止させたばかりの細野晴臣が監修だか編集(だったかな?実家にレコード置きっぱなしなんで記憶がうろ覚えだな)をした作品集で、当時のゲーセンにあったテレビゲーム‥‥「ゼビウス」や「パックマン」、「ギャラガ」等といった『ナムコ』のゲームのBGMをうまくミックスした、無機質なサウンドトラック的内容となっている。考えてみればYMOのファーストでもゲームサウンドを取り入れたりしてたし、元々こういうサウンドに興味を惹かれていたのだろう、細野氏は。当時YMO好きでゲーマーだった俺は、迷わず買って聴き込んだものだ。
話が脱線してしまったが、このCO-FUSIONの1曲目を聴いてその、往年の「VIDEO GAME MUSIC」を思い出してしまったのだ、俺は。かといって、このアルバムはそういったサウンドのみで構成されているわけではなく、アルバムが進むにつれていろんな「音」「ビート」が飛び出す。「テクノ」と一括りには出来ない、いろんな要素を持ったサウンドが1枚のディスクに詰め込まれている。単純に「ビートが力強い」ナンバーから、先の「ゲームのBGMみたいな無機質音」で構築された曲まで。しかし、どの曲にも言えるのは、それぞれの曲が独特なビートと独立した魅力を持っていて、にも関わらず、隙なく立て続けにプレイすると、どこからどこまでが1曲なのか判らなくなることもある。1曲1曲を取り上げればフロアで流れても気持ちよく踊れるナンバーだったりするのに、アルバムを通しで聴くと、まるで'70年代のプログレ作品のような連続性を感じてしまったりもする。かといって、同じエレクトニック・ミュージックの先駆者であるUNDERWORLD程、起承転結があるわけでもない。どちらかといえば、無機質な電子音のみで構築された、感情を排除した「音の塊」。しかし、そこには確実に力強いビートが存在する。単調、単一的なビートではないのに、全12曲約70分間に渡る連続性。そこに気持ちよさを感じられるか、見出せるかで評価は分かれるのかもしれない。とにかく家でヘッドフォンで聴く音楽でないのだけは確かだ。それもいいだろうが、きっと爆音で聴いてると自然と身体が動き出すことだろう。できるだけ大音量、爆音で聴きたい音。電子音だからこその爆音、そしてこの力強いビートを持ったサウンドだからこその爆音。これはそうやって消費されるべきアルバムではないだろうか?
何となく、彼等が海外で人気がある理由が判る気がする。結局、気持ちいいビートって世界共通なのだから。
▼CO-FUSION『CO-FU2』
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