2015/12/04

COLDPLAY『A HEAD FULL OF DREAMS』(2015)

COLDPLAYのようなバンドが前作『GHOST STORIES』から1年半という短期間で新作を発表することも驚愕だが、それ以上に前作と対極に位置する、高揚感や多幸感に満ちた作品を作り上げたことにも驚きだ。

内省的な前作からの反動と言ってしまえばそれまでだが、改めて前作を聴き返すとアヴィーチーが参加した本編最終曲「A Sky Full Of Stars」と今作オープニング「A Head Full Of Dreams」は連作のようなものだと気づかされる。対極なのだが兄弟のような作風。すべては必然だったのだ。

R&Bエレポップなどダンスミュージックの色合いが強まっているものの、クラブサウンド特有のギラギラ感は皆無。全体を通して地味以外の何者でもないが、サウンドや歌声からは不思議と生命の躍動感や未来への希望が強く感じられる。良作だが頻繁に手に取ることが躊躇われた前作も、本作と合わせて聴くことで新たな魅力も発見できそう。単体でも抜群だが、ぜひとも前作と対で楽しみたい傑作。

※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。



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投稿: 2015 12 04 12:00 午前 [2015年の作品, Coldplay] | 固定リンク

2005/07/21

COLDPLAY『X&Y』(2005)

 まず始めに断っておくけど、俺はこれまでCOLDPLAYがそんなに好きではなかった。いやむしろ、無駄にメソメソしやがって的要素‥‥所謂「膝抱えて系UKロック」全般がどうにも許せないタイプなもんで、1stや2ndがね‥‥どうにも苦手だったわけ。両方共アルバムを買って、ちゃんと聴き込んだ結果、自分にはちょっと合わないなーと思ってたのね。だからサマソニ初年度の時も、数年前のフジロックの時も「別に俺が観なくても‥‥」って思ってスルーしてたし。

 何だろ‥‥決してUKロックは好きだし、そういう苦悩系サウンドも大好きなんだけど、上に挙げたような「ただ悩んでるだけ/ただ膝抱えてるだけで前進しようとしない」路線がどうにもね。RADIOHEADの成功以降、ホントに多かったでしょ、そういうバンドが。けど先駆者であるRADIOHEADが他と違ったのは、やっぱり突き抜け方であったり精神性だったり、ただ弱々しいだけではなくてそれをひとつの要素として用いて、実はもの凄くタフだったって点なんだよね。だから彼等はここまで世界的に成功することができたし、そんな中だからこそ未だに "Creep" が効力を保っていられたわけ。リリースから12年以上経った現在においても、その楽曲のパワーには衰えが感じられないでしょ?

 俺はCOLDPLAYもその類‥‥所謂「One of THEM」だと思ってたのね。確かに楽曲は優れてたけど、何だろ、この無駄に感情的な楽曲は!?って、ずっと違和感を感じてて。それはもう、単純に趣味じゃなかったんだろうね。

 グラミー賞も受賞して、今や世界的にRADIOHEADクラスへと押し上げられてしまったCOLDPLAY。待望の3rdアルバムがリリースされ、イギリスのみならずアメリカでも初登場1位を記録、しかも3週連続で1位を維持しちゃったりして。日本でもCCCDながら大健闘したこの作品、US盤(非CCCD)のリリースと共に購入したんだけど‥‥

 何だろう、これ!? 何でいきなりこんなに「タフ」になっちゃったの?ってくらいに自信に満ちあふれたサウンドが詰まった1枚なわけよ。あーバンドが昇り調子の時に、本当にいい状態で制作に臨めたんだろうなぁ、と思わずにはいられない楽曲群、そしてその名曲の数々を見事に盛り上げている演奏と歌。前作までだったら絶対に「やりすぎ!」とか嫌悪感さえ感じてたかもしれないのに、ここでは「これじゃなきゃいけない」という絶対的なものを強く感じさせてる。例えが悪いかもしれないけど‥‥RADIOHEADが「OK COMPUTER」に辿り着いた時、U2が「THE JOSHUA TREE」に辿り着いた時、RED HOT CHILI PEPPERSが「CALIFORNICATION」に、R.E.M.が「OUT OF TIME」にそれぞれ辿り着いた時と同じような「絶頂感のスナップショット」みたいな作品に仕上がってるわけ。これは悪いわけないわ。有無を言わさぬ説得力があるもの。

 どっちかっていうと後半に従来の路線(というか我々が認識している「COLDPLAYらしさ」)が色濃く表れ、前半は‥‥よりエスカレートし、尚かつ歯止めが効かなくなったバンドの特性が良い方向に爆発した、非常に素晴らしい楽曲が集中してる。勿論どっちも素晴らしく、一概には比較できないよ。エモだとかUKロックだとかブリットポップだとか、そんなカテゴライズはどうでもよい、いよいよ「COLDPLAYの音」を完全に掴み取ったような‥‥って言い過ぎか。

 うん、これが売れるのは凄く理解できるよ。前作までが何となく「特定の層/人間に向けて放たれた」楽曲だとすると、今度のアルバムの曲はもっと目線を遠くに向けた、「不特定多数に向けて無闇矢鱈と放たれた、ある意味で持て余し気味のパワー」と呼んだ方がいいかもしれない。そのくらい各曲から伝わるものがある。

 あーこりゃ、もしかしたらライヴ観なきゃいけないかもしれないなぁ‥‥でもTHE POGUES辺りと被ってるんだよな、フジロック。このバンドがTHE MUSICやFOO FIGHTERSに挟まれても全然負け劣りしないのは確かでしょう。このアルバムがあればね‥‥これが苗場の山々に響いちゃうのか‥‥



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投稿: 2005 07 21 01:11 午前 [2005年の作品, Coldplay] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック