カテゴリー「Compilation Album」の13件の記事

2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


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2018年11月25日 (日)

V.A.『MOORE BLUES FOR GARY: A TRIBUTE TO GARY MOORE』(2018)

2018年10月リリースの、ゲイリー・ムーアのトリビュートアルバム。アルバムジャケットにあるように、ゲイリーの諸作品やライブに参加してきたベーシスト、ボブ・デイズリーが中心となって制作された本作には、ニール・カーター(Key)やドン・エイリー(Key/DEEP PURPLE)、エリック・シンガー(Dr/KISS)、グレン・ヒューズ(Vo)に加え、元SKID ROW(「Youth Gone Wild」じゃないほう)のブラッシュ・シールズ(Vo)といったゲイリー・ムーアと馴染み深い面々、ゲイリーの実子であるガス・ムーア(Vo)とジャック・ムーア(G)のほか、豪華ゲストプレイヤーが多数参加しています。

そのメンツもジョン・サイクス(G)やダニー・ボウズ(Vo/THUNDER)、スティーヴ・ルカサー(G/TOTO)、ジョー・リン・ターナー(Vo)、リッキー・ウォリック(Vo/BLACK STAR RIDERS)、スティーヴ・モーズ(G/DEEP PURPLE)、デーモン・ジョンソン(Vo, G/BLACK STAR RIDERS)、ダグ・アルドリッチ(G/THE DEAD DAISIES)などなど。とにかく、無駄に豪華です。

選曲的にはブルースに傾倒した『STILL GOT THE BLUES』(1990年)以降の作品にこだわることなく、初期の『BACK ON THE STREETS』(1978年)から『VICTIMS OF THE FUTURE』(1983年)、『WILD FRONTIER』(1987年)の楽曲も収録。ボブ・デイズリー自身が関わっていることもあってか、『POWER OF THE BLUES』(2004年)という晩年の作品から3曲も選ばれていることがちょっと意外でした。

基本的にはどの曲もゲイリー独特の粘っこいギターフレーズを活かしつつ、オリジナルを尊重しながら随所に自身の個性を取り入れていく手法で、またボブが中心となって制作していることもあって統一感も強く、この手のトリビュートアルバムとしてはかなり水準の高いもののように思います。HR/HM系ギタリストが多く参加しているものの、各自そこまで出しゃばることもないので、本当に気持ちよく楽しめる1枚です。

やはり本作最大の聴きどころは、久しぶりにシーン復帰を果たしたジョン・サイクス参加の「Still Got The Blues (For You)」になるかと。ゲイリーからの影響も大きく、彼と同じTHIN LIZZY(=フィル・ライノット)にもお世話になった関係もあり、そりゃあもうディープなソロを聴かせてくれています。まあこの曲自体、基本的にメインフレーズの繰り返しになるのでそこまでアドリブを効かせることは難しいのですが、特に終盤のソロはサイクスらしいもので、フェイドアウトせずにこのままずっと聴いていたい!と思わせられるはずです。

で、この曲を歌うのがTHUNDERのダニー・ボウズというのが、また最高。思ったよりも感情抑え気味ですが、それがギターのエモーショナルさに拍車をかけているように感じました。うん、これ1曲のために購入してたとしても無駄じゃないと思います。

個人的にはこのほか、リッキー・ウォリックが歌い、スティーヴ・モーズがギターを弾く「Parisienne Walkways」、グレン・ヒューズが最高のボーカルパフォーマンスを聴かせる「Nothing's The Same」、思ったよりもゲイリー・ムーア色の強いダグ・アルドリッチのプレイが印象に残る「The Loner」、デーモン・ジョンソンが歌って弾いてと大活躍の「Don't Believe A Word」あたりがお気に入り。もちろん、そのほかの曲も文句なしに良いです。

来年の2月で、亡くなってから早8年。ゲイリー・ムーアというギタリストがどんな存在だったか、改めてロック/ブルース/HR/HMシーンに与えた影響をこのアルバムから振り返ることができたら、と思います。彼の名前しか知らないという若いリスナーにこそ聴いてほしい1枚です。



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2018年2月 1日 (木)

V.A.『KISS MY ASS: CLASSIC KISS REGROOVED』(1994)

1994年6月にリリースされた、KISSのトリビュートアルバム。ちょうどKISS結成20周年を記念して、当時のメンバーも制作に携わった1枚で、レニー・クラヴィッツガース・ブルックスANTHRAXGIN BLOSSOMSTOAD THE WET SPROCKETDINOSAUR JR.EXTREMETHE LEMONHEADSTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONESといったメタル/オルタナ/カントリーなどKISSに影響を受けた幅広いジャンルのアーティストに加え、ここ日本からもYOSHIKI(X JAPAN)が参加。さらに、メイナード・キーナン(TOOL)、トム・モレロ&ブラッド・ウィルク(RAGE AGAINST THE MACHINE)、ビリー・グールド(FAITH NO MORE)からなるスペシャルユニットSHANDI'S ADDICTION(JANE'S ADDICITONをKISSの楽曲「Shandi」にひっかけてもじったもの)まで参加しております。

まあKISS愛に溢れた……というよりは、各アーティストが平常運転でKISSの楽曲をカバーしたといったほうが正しいのかもしれませんね。だって、1曲目の「Deuce」からレニー・クラヴィッツ、直球勝負でカバーしつつも彼らしく味付けしてますから。ちなみにこの曲、ハーモニカでスティーヴィー・ワンダーもゲスト参加してます。

かと思えば、KISSご本家が演奏で加わったガース・ブルックス「Hard Luck Woman」は、カバーというよりもコピー。本家がいつもどおりに演奏して、ポール・スタンレーがハーモニーで加わっているんだから、そりゃあ“まんま”になっても仕方ないですよね(笑)。ANTHRAXの「She」も平常運転、というか途中まで“まんま”すぎて、後半に彼らならではのこだわりのアレンジが加わるという。この時期の彼らは、ボーカルがジョン・ブッシュ時代なので、こういったジーン・シモンズ色の強い曲はピッタリですね。

そういえば、1994年というとグランジブーム末期というタイミングで、KISSから影響を受けたと公言するグランジバンドも少なくありませんでした。そういうこともあって、GIN BLOSSOMS、TOAD THE WET SPROCKET、DINOSAUR JR.あたりのグランジ/オルタナロックバンドのKISSカバーは良い味を醸し出しています。GIN BLOSSOMS「Christine Sixteen」こそストレートなカバーですが、TOAD THE WET SPROCKET「Rock And Roll All Nite」のアコースティックスローカバー、DINOSAUR JR.「Goin' Blind」のヘヴィで泣きまくり、かつ脱力系なカバーは完璧すぎるほどの素晴らしい仕上がり。1994年という時代感を見事に反映した、本作の中でもベストテイクと言えるでしょう。

そして、本作中もっとも異色のカバーがSHANDI'S ADDICTION「Calling Dr. Love」。トム・モレロの変態ギターを存分に活かしたテイクで、参加メンバーの各バンドの個性が見事に反映されたアレンジは、最高の一言。のちのヘヴィロック/ラウドロック一大革命を先取った1曲と言えるかもしれません。

その他にも、EXTREMEらしくファンクロック的“ハネた”ミディアムナンバーへと昇華させた「Strutter」、あの有名なツインリードギターをブラスで再現した爆笑モノのTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONES「Detroit Rock City」、いかにもYOSHIKI、というかまんまX JAPANな「Black Diamond」のオーケストラバージョン、ボーナストラックとして追加されたドイツのバンドDIE ÄRZTEの「Unholy」ドイツ語カバー(途中でディスコな“あの曲”も飛び出したり)など、聴きどころ満載。トリビュートアルバムとしては、かなり力の入った1枚ではないでしょうか。そりゃまあ、アーティスト本人が尽力してるんだもんね。

ちなみに本作、今のようにKISSがメイク時代に戻る前の作品ながらも、全米19位まで上昇。50万枚を超えるヒット作となりました。今思えば、このへんの成功が数年後のオリメン&メイク復活の布石になったんでしょうね。

なお、本作はストリーミング配信はおろか、デジタル配信自体が行われておりません。勿体ないったらありゃしない。



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2017年12月19日 (火)

V.A.『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』(1993)

1993年公開のアメリカのアクション映画『ジャッジメント・ナイト』のサウンドトラックとして、同年秋にリリースされたのが本作。映画自体は未見ですが(ずいぶん前に地上波で深夜に放送されていたようですが、完全に忘れてました)、ここではその内容はどうでもよく。いや、ぶっちゃけ音楽ファン的には映画以上にサントラのほうが重要視されている作品ではないでしょうか。

本作は、曲ごとにヘヴィ/オルタナティヴロックバンドがヒップホップアーティストとコラボレートするという、およそ映画の内容とは関係のない構成。ロックファン的には参加バンドが気になるところですが、このセレクトがかなり謎でして。

以下にコラボレーションの詳細を記します(前者がロック系、後者がヒップホップ系アーティスト)


HELMET / HOUSE OF PAIN
TEENAGE FANCLUB / DE LA SOUL
LIVING COLOUR / RUN DMC
・BIOHAZARD / ONYX
SLAYER / ICE-T
FAITH NO MORE / BOO-YAA T.R.I.B.E.
・SONIC YOUTH / CYPRESS HILL
MUDHONEY / SIR MIX-A-LOT
DINOSAUR JR. / DEL THE FUNKY HOMOSAPIEN
THERAPY? / FATAL
PEARL JAM / CYPRESS HILL


SLAYERのような大御所メタルバンドやHELMET、FAITH NO MOREといったヘヴィなオルタナティヴバンド、LIVING COLOURみたいな黒人ハードロックバンドもいれば、MUDHONEYやPEARL JAMといったグランジ勢もいる。かと思うと、まだアメリカでは無名に等しいアイルランドのTHERAPY?まで参加しているんだから、本当に謎です。

実際に収録されている楽曲も、それぞれの個性が出た面白いものが多数。1曲目のHELMET / HOUSE OF PAINによる「Just Another Victim」からしてカッコ良いし、続く脱力系なTEENAGE FANCLUB / DE LA SOULの「Fallin'」も意外と悪くない。LIVING COLOUR / RUN DMCの「Me, Myself & My Microphone」なんてそもそも両者黒人なんだから相性が悪いわけがない(しまもRUN DMCはAEROSMITHとの“前科”もあるしね)。

本作の山場となるのが4曲目のBIOHAZARD / ONYX「Judgement Night」と、5曲目 のSLAYER / ICE-T「Disorder」、そして6曲目のFAITH NO MORE / BOO-YAA T.R.I.B.E.「Another Body Murdered」かな。「Judgement Night」は完全にヒップホップに寄せていて、そこにハードなギターが乗るという。こちらの組合せも非常に自然なものですし、そりゃあこうなるわなと。

で、SLAYER / ICE-Tという組み合わせですよ。ICE-T自身もBODY COUNTというハードコアバンドをやってますし、この組み合わせだったらそりゃあロック寄りになるでしょうね……っていうか、完全にSLAYERの土俵にICE-Tが踏み込んでるし。曲自体はEXPLOITEDのカバー(「War」「UK '82」「Disorder」のメドレー)で、このへんの試みがパンク/ハードコアのカバーアルバム『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996年)につながったのかもしれませんね。

FAITH NO MORE / BOO-YAA T.R.I.B.E.という組み合わせも、実際に曲を聴いてしまうと何ら違和感がなく、むしろマイク・パットン先生の土俵ですね、これ。FAITH NO MOREのアルバムにそのまま入っていたとしても、別に不思議じゃない仕上がり。いやあ、面白い。

確かに全部が全部、成功しているとは言い切れないコラボアルバムではありますが、ここでの実験が翌年以降のメタル/ラウドシーンに大きな影響を与えた……というのは言い過ぎでしょうか? でも、それくらい意味のある実験でしたし、重要な作品だと思うんですよね。

ちなみに、数年後に映画『スポーン』のサウンドトラックで、今度はロックバンドとダンス/エレクトロ系アーティストのコラボレーションが実践されましたが、こちらは成功とは言い難い仕上がりでした。柳の下に二匹目のドジョウはいなかったわけですね。わかります。



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2015年1月14日 (水)

V.A.『Guilt By Association Vol. 3』(2011)

昨日のエントリーを書いてから、1994年頃にリリースされた作品を引っ張り出してiTunesにぶっ込んだり、バンドによっては「最近何やってるのかな?」とWikipediaで近況を調べたりといろいろやってたんですが、そんな中で1つ気になるアルバムを見つけまして。

Helmetの近況を調べていく中で見つけた、「Guilt By Association Vol. 3」というカバーアルバム。「そういえば再結成してアルバム3枚くらい出した後どうなったのかしら?」とWikiでディスコグラフィーをチェックしたら、2011年にLoudnessの「Crazy Night」をカバーしてることに気付きまして。「なにそれ?」ということでいろいろ調べてみると、こういうアルバムを見つけたと。で、現在に至るわけです。

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2006年6月 1日 (木)

V.A.『EXIT MUSIC : SONGS WITH RADIO HEADS』(2006)

 昨日はアメリカの'90年代を代表するアーティスト・NIRVANAのトリビュートアルバムを取り上げたけど、今日はイギリスの'90年代を代表するアーティストのトリビュートアルバムを紹介したいと思います。あ、OASISじゃないですよ。RADIOHEADの方をね‥‥ちょうどタイミングよく、海外で4月にこの「EXIT MUSIC : SONGS WITH RADIO HEADS」がリリースされたんだよね。本家レディへもこの春からショートツアーを始めて、海外の夏フェスとかに出るようだし(その合間にレコーディングも進めているとのこと。レーベルはまだ決まってないようだけど)、7月にはトム・ヨークのソロアルバムもリリース決定したしね。絶好のタイミングじゃないですかね。

 んでその内容。昨日のは日本のギターロックバンドが中心だったこともあって、そこまで代わり映えのしないストレートなカバー集だったんだけど、こちらはクラブ系アーティストによるカバー集。そう、原曲を良い意味で「壊し」てるんだよね。選曲も通好みというか‥‥あえて超代表曲 "Creep" を外してたりね。ま、あれだけ浮いちゃうもんな。選曲はほとんど2nd〜4thの曲が中心。参加アーティストの多くは、実はよく知らないアーティストばかりなんだけど、そんな中にも例えばMATTHEW HERBERTやMESHELL NDEGEOCELLO、THE CINEMATIC ORCHESTRA、MARK RONSONといった名前をよく知ってるアーティストも参加してる。しかもアレンジがメチャメチャ良いよね。例えば、完全にソウルと化してしまってる "High & Dry" とか、あのヘヴィなギター・オーケストレーションをすべてブラスで再現してしまった "Just" とか。もうやること成すこと、全部カッコよすぎ。原曲の良さは勿論残しつつ、それぞれの色をしっかり出してる辺りはさすがというか。ま、ギターバンドとクラブ系アーティストという大きな違いもあるし、NIRVANAとRADIOHEADという違いもあるから、一概に比較するのは難しいとは思うんだけど‥‥にしても、やっぱりこれ聴いちゃうとね。トリビュートアルバムとかカバー集っていうのは、こういうもんだよな、って改めて考えちゃう。

 そして‥‥ヘンテコな方向に進んでしまった「KID A」以降の曲も、実はちゃんと「良い曲」なんだってことが、改めて確認できるという。そういう意味でも、二度おいしいアルバムというか。久しぶりにRADIOHEADをちゃんと聴き直してみたいと思わされたね、これ聴いたら。

 ま、このアルバムからRADIOHEADに入る・入門するっていう人はまずいないと思うけど、ひと通り彼らの作品を楽しんだ後にこれ聴くと、新たな発見がたくさんあっていいかもしれないよ。

 やっぱりRADIOHEADって‥‥偉大なんだな‥‥当たり前の話だけどさ。俺、彼らのことが死ぬ程好きだったってこと、すっかり忘れてたよ。それを思い出させてくれたという意味でも、これはありがたいアルバムでしたね。はい。



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2006年5月31日 (水)

V.A.『ALL APOLOGIES』(2006)

 今年はカート・コバーンが亡くなってから12年。日本でいうところの「十三回忌」ってことになるのかな? 偶然のタイミングで映画「ラスト・デイズ」が日本公開になったのもあり、日本でも2枚のトリビュートアルバムがリリースされたわけだけど、これはそのうちの1枚。純粋なトリビュートアルバム、というか、単なるカバー曲集という言い方もできるんだけどね。

 この手のアルバムは、大まかに2タイプあるじゃないですか。ひとつは、原曲に忠実な作品集。そしてもうひとつが、原曲を大きく崩して、各アーティスト流に仕上げてしまった作品集。この「ALL APOLOGIES」というアルバムは、どちらかというと前者に限りなく近い作品。前半を聴いて、やはりカバーアルバムの域を出てないなぁとガッカリしたんだけど‥‥あの名曲 "Smells Like Teen Spirit" をメジャーコードでリアレンジし、印象的なリフすらぶちこわしてしまったB-DASHのカバーに、思わす吹き出しちゃって。このアレンジ、賛否あるかと思うんだけど、俺は逆に「やっちゃった」感が強い彼らを支持したいなぁ。好き嫌いは別にしてね。

 結局、MO'SOME TONEBENDERの百々和宏のコメント、「NIRVANAを演ってみて、これらの曲はカートが歌ってないと意味が無いんだと気付きました。」がすべてを物語ってるように思いませんか? ま、当たり前の話っていえば当たり前なんだけどね。

 その相手がMO'SOMEだろうが、Dr.StrangeLoveだろうが、吉井和哉だろうが、KING BROTHERSだろうが、答えは全部一緒なんだよね。いや、それぞれに愛情が感じられて、俺は好きなんだけどさ。でも、結局トリビュートアルバムって最後はそこに行き着いちゃうんだよね。無い物ねだりっつーかね。

 演奏がシンプルすぎればすぎる程、それを崩したり自分の色を付け加えるのが、実は難しいのかもしれないね。ましてやNIRVANAみたいに情念がこもった音楽なら尚更っつーかさ。あとはもう‥‥NIRVANAをリアルタイムで知らない世代が、ここに参加した若手バンドのカバーを聴いて、原曲に興味を持ってくれるのなら、これほど嬉しいことはないよね。

 改めて、12年ってあっという間なのか、それとも長い時間なのか、考えさせられました。



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2005年10月29日 (土)

V.A.『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』(2005)

さて、目下絶賛来日中のQUEEN + PAUL RODGERS御一行様ですが、やはり来日する前は懐疑的な声があったと思うんですよ、特に古くからのファンから。けど、実際にこの目で見てしまうとやはり……QUEENという偉大さに対してリスペクトをしつつ、ブライアン・メイやロジャー・テイラーがポール・ロジャースという「友人」と思う存分楽しんでQUEENナンバー、さらにはFREEやBAD COMPANYの曲を演奏してる……っていうことを、もの凄い説得力を持って披露してくれるもんだから、観る側としては文句の言いようがないわけですよ。だってねぇ、約2時間半近くに渡って、それこそ30曲近くも演奏してくれるんですからねぇ。僕はあのセットリスト見ただけで涙ぐみましたもの。

今年は『WE WILL ROCK YOU』のミュージカルが来日したり(当然僕も行きました)、先のQUEEN + PAUL RODGERSがあったり、もっといえば去年からの『JEWELS』のヒットなどがあって、かなりQUEENに注目が集まった1年だったじゃないですか。そんな中、リリースされたこのトリビュートアルバム『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』。アメリカでは8月に、ここ日本では来日公演に合わせて10月後半にリリースされたばかりで、リリース元がQUEENのアメリカでの配給元である「Hollywood Records」ということもあり、もっとも公式トリビュート盤に近い存在な1枚ではないかと思うんです。以前にも「EMI」からこの手のトリビュートが出たこともあったけど、あのときはダンス系のみだったし。今回みたいなロック/ポップス/オルタナティヴといったもっともQUEENが影響を与えたシーンからのフィードバックは恐らく初めてのことだと思うので、普段はこの手のトリビュート盤を買わない僕ですら、これは真っ先に買いました。

参加アーティストはそれこそ多岐に渡り、そのへんはAmazonのリンク先を見てもらえば一目瞭然だと思うんですが……みんなそれぞれに原曲に忠実だったり、独自の色にまで昇華させてしまっていたり、その愛情表現の方法はさまざまで、良い意味で聴きやすく、破綻してないなーと。それが嬉しくもあり、また物足りなくもあり。まぁトリビュート盤というのはそういうのが多いですからね、そこまで過剰な期待はしてなかったですけど。

でも聴き応えありますよ、それなりに。完全にゴスペルバラードに昇華してしまったデヴィン・デグロウの「We Are The Champions」もそうだし、ストーナーチックなヘヴィロックへと進化したジョシュ・オム(QUEENS OF THE STONE AGE)が歌いELEVENが演奏する「Stone Cold Crazy"」もそうだし、個性的なアーティストっていうのはやはりカバー曲でも己の色へと昇華してしまうんですね。

かと思えばSUM41による「Killer Queen」やROONEYによる「Death On Two Legs」みたいに、原曲まんまの完全コピーすらある(彼らがここまで素直なカバーをするとはちょっと驚きでした)。あのLOS LOBOSがQUEEN(「Sleeping On The Sidewalk」)をカバーするというのもある意味面白いし、ジョン・オブライオンによる「Play The Game」もらしくて聴き応えあったし。うん、これだけでも平均点以上ですよね。

しかし、このアルバムには本当の意味でのハイライトがふたつ用意されていました。それはふたつの「Bohemian Rhapsody」カバーなんですよ。

前半のハイライトであるコンスタンティン・Mとミュージカル『WE WILL ROCK YOU』ハリウッド版キャストによるカバーは、原曲まんまなんですが、中盤のオペラパートもミュージカル同様すべて完全コピーされてるのがさすがというか。ちょっと鳥肌立ちますね。

そしてもうひとつのカバーは、かのTHE FLAMING LIPSによるサイケデリック・バージョン。こちらも基本的には完全コピーに近いんだけど、そこは彼らのことですから……完全にLIPSバージョンになってしまってる。ていうか、彼らのオリジナル曲ですよこれ! 多重録音ならではの中間パートは正に「涅槃からの誘い」ですし、このドリーミーな感じこそLIPSの極みといったところでしょうか。こちらも違った意味で泣けますね。

ほかにも名カバーは幾つもあるしホントは1曲1曲についてコメントしていきたいんですが、それをやると相当な長さになるんで、今回は割愛。QUEEN好きで昨今のロックシーン(主にアメリカン・オルタナ・シーンね)に興味を持っている人なら間違いなく楽しめる1枚だと思いますよ。これを聴いて改めてQUEENの偉大さにひれ伏すもよし、来日公演前に聴いて気分を高めるもよし。LIPSバージョン「Bohemian Rhapsody」だけでもぜひ聴いてみてくださいよ!



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2004年5月 5日 (水)

V.A.『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』(2004)

  勿論、ここに紹介する26組のバンド全てが必ずしもパンクロックだとは限りません。が、本質的な部分からすれば、俺から見れば全部パンクバンドだと思えるんですよね。

  NOFXのメンバー、ファット・マイクが運営するレーベル、「FAT WRECK RECORDS」が、反ブッシュ政権、というか次期大統領選でブッシュが当選することを危惧して立ち上げたのが「www.punkvoter.com」というサイト。そしてそれが高じて、「ROCK AGAINST BUSH」というプロジェクトまで立ち上げ、それに賛同するミュージシャンを集めてこのアルバムまで完成させてしまいました。

  参加アーティストは26組。有名どころだとOFFSPRING、SUM41、NEW FOUND GLORY、PENNYWISE、LESS THAN JAKEといったパンク勢、そしてTHE GET UP KIDSやMINISTRYといったちょっとパンクからは外れたラインにいるバンドもその趣旨に賛同して参加。中にはジェフ・ビアフラ(元DEAD KENNEDYS)みたいな大御所も参加しています。しかもこの26組中18組が現時点で未発表の新曲を提供しています。太っ腹! OFFSPRINGなんて、オリジナルアルバムでは耳障りのいいポップパンクを聴かせておいて、このアルバムでは "Baghdad" という直球のパンクソングを持って来ているんだから‥‥

  アルバムの内容については、まぁオムニバス特有のバラツキがあるので絶賛こそしませんが、まぁ好きな人なら楽しんで聴ける1枚だと思います。実際、このアルバムがこの内容で、しかもDVDまで付いて1,000円前後で買えるという事実‥‥如何に作り手が儲けを度外視して、如何に多くの人の手元に、耳に届けたいか‥‥その意思が伝わってきますよね。

  パンクって何だろうね‥‥いや、ロックでもいいや。別に必ず政治的なことに関わるべきだとは思わないよ。けどさ、言いたい事さえも言えない今の風潮の中、こうやってリスクを伴う活動を矢面に立って実践している人がいる事実。これを日本の「自称・パンクロックバンド」の皆さんにも見習ってもらいたい。カッコだけのパンクや、「俺等はメジャーとは関わりたくない」とかポーズ決めてるインディーパンクやその周辺、少なからず「パンク」というものに影響を受けているのなら、そして「パンク」と名の付くシーンや音楽に携わっているのなら、(その内容はともかくとして)このやり方だけでも見習って欲しいと切に願うよ。

  別に今一部の音楽ファンの間で問題視されている輸入権の問題だけじゃないよ。日本の政治は本当にどうしようもないところまで来てると思う。それを見て見ぬ振りして「パンク」を名乗るのは、正直カッコ悪いと思う。どうしようもなくね。まだまだ日本には、こんなもんじゃない、本当にカッコいい「真の」パンクロックバンド、沢山いるはずでしょ? ジョー・ストラマーがこの現実を知ったら、向こうで泣いてるよきっと。

  ファット・マイクの主張、全てを受け入れることは出来ないけど、彼が言わんとしてることは理解できる。そしてその手段(=今回のリリース)も非常に判りやすくて好感が持てる。日本でもこういうことが出来ないのかなぁ‥‥インディーズレベルでさ。もっとカッコいいとこ、俺に見せて欲しいよマジで。



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2003年12月 4日 (木)

『a tribute to JAPAN : Life in Tokyo』(1996)

  世代的にいうと、俺の年代って微妙なんですよね、JAPANって。多分末期の頃が小学生高学年~中学入学の頃だったんじゃないかな。辛うじて末期をリアルタイムで通過してる俺ですが、正直あの当時はその良さが全く判りませんでした。むしろ彼等と入れ替わるように登場したDURAN DURANの方が判りやすいし親しみやすかったので、そっちに夢中だったんですけどね。その後、デヴィッド・シルヴィアンが坂本龍一と絡むようになって彼のソロ・キャリアを追うようになって、中学高学年~高校くらいでようやくJAPANの良さが判ってきたという。で、俺の場合は末期から遡って聴いていったので、初期を聴いて更に衝撃を受けるわけですよ。なんだ、こんなにカッコ良かったのかよ!って。

  このJAPANトリビュートに参加してる面々の殆どが、俺よりも4~5歳以上年上の方々ばかり。中にはSUGIZOやRYUICHI(河村隆一。当時は共にLUNA SEA)みたいなほぼ同年代もいるんですが‥‥やっぱり今30代後半~40歳間近な方々がモロに通過してたでしょうから、こういう参加メンツになったんでしょうね。

  アルバムに参加しているアーティストはKyo(当時はDIE IN CRIESを解散させたばかりかな?現在はBugで活躍中)、Scudelia Electro、森岡賢・藤井麻輝(共にSOFT BALLET)、SUGIZO・RYUICHI(共にLUNA SEA)、ISSAY(DER ZIBET)、田村直美、土屋昌巳等‥‥所謂「ヴィジュアル系」と当時括られることの多かったバンドのメンバーが大半を占めるわけだけど、こういったバンドにどの程度JAPANが影響を与えたのか、あるいは「単にお仕事」として参加しただけなのか、人によってその辺の趣旨は異なるでしょうけど‥‥個人的には面白いなぁ、とリリース当時感じてました。

  原曲の良さについては敢えて触れません。だって「当たり前」だもん。勿論ここに選曲されなかった楽曲にも沢山名曲はあるし、微妙かなと思う選曲もあるわけなんだけど‥‥まぁその辺はこの手の企画盤に常に付きまとうものなので、無視します。

  確実にルーツだろうな、と言えるのはSUGIZOやSOFT BALLETの面々でしょう。特にSUGIZOと藤井麻輝は共に2曲も参加曲がある程だし。しかも彼等は単なるコピーに終わらず、完全なるカバー‥‥自分のスタイルにしてしまってますよね。LUNA SEA、SOFT BALLET両バンドのファンが聴いたら、思わずニヤリとするフレーズ連発で、聴いてて唸ってしまうんじゃないですかね?

  逆に全くJAPANを通過してないだろうメンツもいるわけで。RYUICHIや田村直美がその尤もたる例でしょう。RYUICHIなんて歌詞を自分で日本語に書き換えちゃってますしね。これはこれで面白いとは思うんですが‥‥やっぱり「そこまでしなくても‥‥」感は今聴いても付きまといますね。しかもまんま中期LUNA SEAしちゃってるし。決してこれやったから、その後ソロに目覚めた‥‥といえるような代物ではありませんが(逆にSUGIZOの場合は後のソロ活動との共通点も多く見受けられるんですよね)、ま、ファンアイテムとしては面白いんじゃないですかね。

  石田小吉(現在は「石田ショーキチ」でしたっけ?)もJAPANから影響を受けてるなんていう話、聞いたことなかったんでビックリしたんですが‥‥思いっきりT-REX風アレンジなのを聴いて、妙に納得してしまった記憶があります。力業だよな。

  あと、土屋昌巳‥‥末期ツアーに参加してた経緯からこのアルバムにも参加したんでしょうけど‥‥これってある意味セルフカバーですよね? ま、これはこれで面白いんだけど。愛に溢れてるっていうか。

  どの曲にも言えることですが、JAPANの場合、個人的にはどうしてもミック・カーンのベースが肝なわけですよ。しかしこのアルバムで聴けるカバー曲のベース、どれも普通に「ベース」しちゃってるんですよ。そこが面白味に欠けるかな、と。アレンジやその他の演奏自体には非常に熱を感じたり愛を感じたりするんですが‥‥media youthのHIROKIが弾いた "Sons Of Pioneersは頑張ってるかな、って気がしないでもないけど‥‥そこが一番残念(あ、土屋昌巳のトラックは除外。一番判ってるものこの人)。ま、真似すればいいってもんでもないんだけど、やっぱり重要なポイントじゃないの、JAPANを語る上での。

  そういう意味では‥‥リリースから7年以上経ったこのアルバムを久し振りに聴いてみて、ちょっと物足りなさも感じるんですが‥‥ま、これはこれでアリなのかな、と。昨今いろんな洋邦アーティストのトリビュート盤が出てますが、その殆どが「巷で人気の若手バンドが参加」とか「これからブレイクが期待されるインディーズ・バンド参加」みたいなのが売りになっちゃってて、肝心の「カバー」という行為が疎かになってるんだよね。お前らのやってることは「カバー」じゃなくて「コピー」だろ、と。愛情があればノー問題とかそういう次元じゃないから。単なる焼き直しになってる時点で、カバーされたバンドをバカにしてるんだからな、気づけよなっ!

  と、昨今のトリビュート事情について述べたところで‥‥久し振りにLUNA SEAの初期作品でも聴いてみようかなっ?(オイオイ、JAPANじゃねぇのかよ!)



▼『a tribute to JAPAN : Life in Tokyo』
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