2015/01/14

V.A.『Guilt By Association Vol. 3』(2011)

昨日のエントリーを書いてから、1994年頃にリリースされた作品を引っ張り出してiTunesにぶっ込んだり、バンドによっては「最近何やってるのかな?」とWikipediaで近況を調べたりといろいろやってたんですが、そんな中で1つ気になるアルバムを見つけまして。

Helmetの近況を調べていく中で見つけた、「Guilt By Association Vol. 3」というカバーアルバム。「そういえば再結成してアルバム3枚くらい出した後どうなったのかしら?」とWikiでディスコグラフィーをチェックしたら、2011年にLoudnessの「Crazy Night」をカバーしてることに気付きまして。「なにそれ?」ということでいろいろ調べてみると、こういうアルバムを見つけたと。で、現在に至るわけです。

ダウンロードオンリーの作品ということで、早速iTunes Storeでダウンロードして聴いてみたんですが……笑いました。まあ最初にHelmetのカバーを聴くわけですが……どこからどう聴いてもHelmet。原曲のあのギターリフはどこへ?といった具合で、歌メロこそ1オクターブ下で歌っているけど、どう聴いても「Crazy Night」なわけで。サビにいく前に入る「Hey...Hey...」というコーラスにオリジナリティを感じますが、まあ……メタルではないですよね(笑)。

この作品、全体を通して80年代の“ヘア・メタル”のヒット曲を、現代のオルタナギターバンド、フォークバンドがカバーするという試み。タイトルを見てわかるようにシリーズものなんですが、メタルに特化したのは本作のみ。で、参加アーティストですが……日本で知られてるのは先のHelmetと、Europeの名曲中の名曲「The Final Countdown」をカバーしたFarrahぐらいでしょうか。ごめんなさい、それ以外のアーティストに関しては本当にここで初めて知ったものばかりでした。

で、通して聴いてみると……原曲は全部知ってるわけで、そりゃ一緒に口ずさめるものばかりなわけです。中には原曲のメロディを完全に崩した「Seventeen」(Wingerのヒット曲)みたいなものもありますが、基本的には原曲のメロディに忠実です。全体的なトーンとしてはいわゆるオルタナカントリー的な色合いなのですが、そこにHelmetのようなバンドがいたり、Elk CityやMalibu Shark Attack!みたいにレトロな打ち込みあり、Twisted Sisterの代表曲「We're Not Gonna Take It」を牧歌的なカントリーソングにしてしまったり、Cinderellaのブルージーなバラードがモータウン調のアッパーチューンに変化していたりと……カバー曲大好きな人には、DJのネタ作品として打ってつけの1枚かもしれません。

とはいっても、真性メタルファンは「マジふざけんな! メタルに対する冒涜だ!」と真に受けてしまうかもですが……まあシャレはシャレとして受け流せる人向けの作品です。僕はこれ、何も考えずに楽しめる1枚としてしばらく愛聴すると思いますけど。



▼V.A.「Guilt By Association Vol. 3」
(amazon:MP3


あ、せっかくなので……このカバーアルバムから各曲に触れた人に向けて、原曲のMVを貼り付けておきます。その時代背景とあわせてお楽しみください(“ヘア・メタル”の意味も、映像を見ればおわかりになるかと)。


Don't Know What You've Got (Till It's Gone) [Original: Cinderella (1988)] ※全米Top20ヒット

Seventeen [Original: Winger (1988)] ※全米Top30ヒット

Nothin' But A Good Time [Original: Poison (1988)] ※全米Top10ヒット

Kickstart My Heart [Original : Motley Crue (1989)] ※全米Top30ヒット

Crazy Night [Original: Loudness (1984)]

Round And Round [Original: Ratt (1984)] ※全米Top20ヒット

Heavy Metal Love [Original: Helix (1983)]

You Give Love A Bad Name [Original: Bon Jovi (1986)] ※全米No.1ヒット

We're Not Gonna Take It [Original: Twisted Sister (1984)] ※全米Top30ヒット

I Remember You [Original: Skid Row (1989)] ※全米Top10ヒット

Photograph [Original: Def Leppard (1983)] ※全米Top20ヒット

More Than Words [Original: Extreme (1990)] ※全米No.1ヒット

Here I Go Again [Original: Whitesnake (1987)] ※全米No.1ヒット

The Final Countdown [Original: Europe (1986)] ※全米Top10ヒット


こうやって観ると、Helixのみ日本での知名度が低いのかな。海外の80年代メタルコンピでは必ずといっていいほど耳にする機会の多い1曲なので、海外的には“あの時代の、思い出の1曲”なんでしょうね。が、YouTubeではこの曲のみMVが見つからず。最終的にDailymotionで見つけてきました。

投稿: 2015 01 14 12:09 午前 [2011年の作品, Bon Jovi, Compilation Album, Motley Crue] | 固定リンク

2006/06/01

V.A.『EXIT MUSIC : SONGS WITH RADIO HEADS』(2006)

 昨日はアメリカの'90年代を代表するアーティスト・NIRVANAのトリビュートアルバムを取り上げたけど、今日はイギリスの'90年代を代表するアーティストのトリビュートアルバムを紹介したいと思います。あ、OASISじゃないですよ。RADIOHEADの方をね‥‥ちょうどタイミングよく、海外で4月にこの「EXIT MUSIC : SONGS WITH RADIO HEADS」がリリースされたんだよね。本家レディへもこの春からショートツアーを始めて、海外の夏フェスとかに出るようだし(その合間にレコーディングも進めているとのこと。レーベルはまだ決まってないようだけど)、7月にはトム・ヨークのソロアルバムもリリース決定したしね。絶好のタイミングじゃないですかね。

 んでその内容。昨日のは日本のギターロックバンドが中心だったこともあって、そこまで代わり映えのしないストレートなカバー集だったんだけど、こちらはクラブ系アーティストによるカバー集。そう、原曲を良い意味で「壊し」てるんだよね。選曲も通好みというか‥‥あえて超代表曲 "Creep" を外してたりね。ま、あれだけ浮いちゃうもんな。選曲はほとんど2nd〜4thの曲が中心。参加アーティストの多くは、実はよく知らないアーティストばかりなんだけど、そんな中にも例えばMATTHEW HERBERTやMESHELL NDEGEOCELLO、THE CINEMATIC ORCHESTRA、MARK RONSONといった名前をよく知ってるアーティストも参加してる。しかもアレンジがメチャメチャ良いよね。例えば、完全にソウルと化してしまってる "High & Dry" とか、あのヘヴィなギター・オーケストレーションをすべてブラスで再現してしまった "Just" とか。もうやること成すこと、全部カッコよすぎ。原曲の良さは勿論残しつつ、それぞれの色をしっかり出してる辺りはさすがというか。ま、ギターバンドとクラブ系アーティストという大きな違いもあるし、NIRVANAとRADIOHEADという違いもあるから、一概に比較するのは難しいとは思うんだけど‥‥にしても、やっぱりこれ聴いちゃうとね。トリビュートアルバムとかカバー集っていうのは、こういうもんだよな、って改めて考えちゃう。

 そして‥‥ヘンテコな方向に進んでしまった「KID A」以降の曲も、実はちゃんと「良い曲」なんだってことが、改めて確認できるという。そういう意味でも、二度おいしいアルバムというか。久しぶりにRADIOHEADをちゃんと聴き直してみたいと思わされたね、これ聴いたら。

 ま、このアルバムからRADIOHEADに入る・入門するっていう人はまずいないと思うけど、ひと通り彼らの作品を楽しんだ後にこれ聴くと、新たな発見がたくさんあっていいかもしれないよ。

 やっぱりRADIOHEADって‥‥偉大なんだな‥‥当たり前の話だけどさ。俺、彼らのことが死ぬ程好きだったってこと、すっかり忘れてたよ。それを思い出させてくれたという意味でも、これはありがたいアルバムでしたね。はい。



▼V.A.「EXIT MUSIC : SONGS WITH RADIO HEADS」(amazon:US盤日本盤

投稿: 2006 06 01 12:46 午前 [2006年の作品, Compilation Album, Radiohead] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/05/31

V.A.『ALL APOLOGIES』(2006)

 今年はカート・コバーンが亡くなってから12年。日本でいうところの「十三回忌」ってことになるのかな? 偶然のタイミングで映画「ラスト・デイズ」が日本公開になったのもあり、日本でも2枚のトリビュートアルバムがリリースされたわけだけど、これはそのうちの1枚。純粋なトリビュートアルバム、というか、単なるカバー曲集という言い方もできるんだけどね。

 この手のアルバムは、大まかに2タイプあるじゃないですか。ひとつは、原曲に忠実な作品集。そしてもうひとつが、原曲を大きく崩して、各アーティスト流に仕上げてしまった作品集。この「ALL APOLOGIES」というアルバムは、どちらかというと前者に限りなく近い作品。前半を聴いて、やはりカバーアルバムの域を出てないなぁとガッカリしたんだけど‥‥あの名曲 "Smells Like Teen Spirit" をメジャーコードでリアレンジし、印象的なリフすらぶちこわしてしまったB-DASHのカバーに、思わす吹き出しちゃって。このアレンジ、賛否あるかと思うんだけど、俺は逆に「やっちゃった」感が強い彼らを支持したいなぁ。好き嫌いは別にしてね。

 結局、MO'SOME TONEBENDERの百々和宏のコメント、「NIRVANAを演ってみて、これらの曲はカートが歌ってないと意味が無いんだと気付きました。」がすべてを物語ってるように思いませんか? ま、当たり前の話っていえば当たり前なんだけどね。

 その相手がMO'SOMEだろうが、Dr.StrangeLoveだろうが、吉井和哉だろうが、KING BROTHERSだろうが、答えは全部一緒なんだよね。いや、それぞれに愛情が感じられて、俺は好きなんだけどさ。でも、結局トリビュートアルバムって最後はそこに行き着いちゃうんだよね。無い物ねだりっつーかね。

 演奏がシンプルすぎればすぎる程、それを崩したり自分の色を付け加えるのが、実は難しいのかもしれないね。ましてやNIRVANAみたいに情念がこもった音楽なら尚更っつーかさ。あとはもう‥‥NIRVANAをリアルタイムで知らない世代が、ここに参加した若手バンドのカバーを聴いて、原曲に興味を持ってくれるのなら、これほど嬉しいことはないよね。

 改めて、12年ってあっという間なのか、それとも長い時間なのか、考えさせられました。



▼V.A.「ALL APOLOGIES」(amazon:日本盤

投稿: 2006 05 31 01:52 午前 [2006年の作品, Compilation Album, Nirvana] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/10/29

V.A.『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』(2005)

 さて、目下絶賛来日中の『QUEEN + PAUL RODGERS』御一行様ですが、やはり来日する前は懐疑的な声があったと思うんですよ、特に古くからのファンから。けど、実際にこの目で見てしまうとやはり‥‥QUEENという偉大さに対してリスペクトをしつつ、ブライアン・メイやロジャー・テイラーがポール・ロジャースという「友人」と思う存分楽しんでQUEENナンバー、更にはFREEやBAD COMPANYの曲を演奏してる‥‥っていうことを、もの凄い説得力を持って披露してくれるもんだから、観る側としては文句の言いようがないわけですよ。だってねぇ、約2時間半近くに渡って、それこそ30曲近くも演奏してくれるんですからねぇ‥‥俺はあのセットリスト見ただけで涙ぐみましたもの。

 そんなQUEEN、今年は「WE WILL ROCK YOU」のミュージカルが日本に来日したり(当然俺も行きましたが)、先のQUEEN + PAUL RODGERSがあったり、もっといえば去年からの「JEWELS」の日本でのヒット等があって、かなりQUEENに注目が集まった1年だったじゃないですか。そんな中、リリースされたのがこのトリビュートアルバム「KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-」。アメリカでは8月に、ここ日本では来日公演に合わせて10月後半にリリースされたばかり。リリース元がQUEENのアメリカでの配給元である「Hollywood Records」ということもあり、最も公式トリビュート盤に近い存在な1枚ではないかと思うんですが‥‥如何でしょう? 以前にも「EMI」からこの手のトリビュートが出たこともあったけど、あの時はダンス系のみだったし。今回みたいなロック/ポップス/オルタナティヴといった最もQUEENが影響を与えたシーンからのフィードバックは恐らく初めてのことだと思うので、普段はこの手のトリビュート盤を買わない俺ですら、これは真っ先に買いましたからね。

 参加アーティストはそれこそ多岐に渡り、その辺はAmazonのリンク先を見てもらえば一目瞭然だと思うんですが‥‥みんなそれぞれに原曲に忠実だったり、独自の色にまで昇華させてしまっていたり、その愛情表現の方法は様々で、良い意味で聴きやすく、破綻してないなーと。それが嬉しくもあり、また物足りなくもあり。まぁトリビュート盤というのはそういうのが多いですからね、そこまで過剰な期待はしてなかったですけど。でも聴き応えありますよ、それなりに。完全にゴスペルバラードに昇華してしまったデヴィン・デグロウの "We Are The Champions" もそうだし、ストーナーチックなヘヴィロックへと進化したジョシュ・オム(QUEENS OF THE STONE AGE)が歌いELEVENが演奏する "Stone Cold Crazy" もそうだし、個性的なアーティストっていうのはやはりカバー曲でも己の色へと昇華してしまうんですね。かと思えばSUM41による "Killer Queen" やROONEYによる "Death On Two Legs" みたいに原曲まんまの完全コピーすらある(彼等がここまで素直なカバーをするとはちょっと驚きでした)。あのLOS LOBOSがQUEEN("Sleeping On The Sidewalk")をカバーするというのもある意味面白いし、ジョン・オブライオンによる "Play The Game" もらしくて聴き応えあったし。うん、これだけでも平均点以上ですよね。

 しかし、このアルバムには本当の意味でのハイライトがふたつ用意されていました。それは2曲の "Bohemian Rhapsody" カバーなんですよ。前半のハイライトであるコンスタンティン・Mとミュージカル「WE WILL ROCK YOU」のハリウッド版キャストによるカバーは、原曲まんまなんですが、中盤のオペラパートもミュージカル同様全て完全コピーされてるのがさすがというか。ちょっと鳥肌立ちますね。そしてもうひとつのカバーは、かのTHE FLAMING LIPSによるサイケデリック・バージョン。こちらも基本的には完全コピーに近いんだけど、そこは彼等のことですから‥‥完全にLIPSバージョンになってしまってる。ていうか、彼等のオリジナル曲ですよこれ! 多重録音ならではの中間パートは正に「涅槃からの誘い」ですし、このドリーミーな感じこそLIPSの極みといったところでしょうか。こちらも違った意味で泣けますね。

 とまぁ他にも名カバーは幾つもあるしホントは1曲1曲についてコメントしていきたいんですが、それをやると相当な長さになるんで、今回は割愛。QUEEN好きで昨今のロックシーン(主にアメリカン・オルタナ・シーンね)に興味を持っている人なら間違いなく楽しめる1枚だと思いますよ。これを聴いて改めてQUEENの偉大さにひれ伏すもよし、来日公演前に聴いて気分を高めるもよし。LIPSバージョン "Bohemian Rhapsody" だけでも是非聴いてみてくださいよ!



▼「KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2005 10 29 09:18 午後 [2005年の作品, Compilation Album, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/05/05

V.A.『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』(2004)

  勿論、ここに紹介する26組のバンド全てが必ずしもパンクロックだとは限りません。が、本質的な部分からすれば、俺から見れば全部パンクバンドだと思えるんですよね。

  NOFXのメンバー、ファット・マイクが運営するレーベル、「FAT WRECK RECORDS」が、反ブッシュ政権、というか次期大統領選でブッシュが当選することを危惧して立ち上げたのが「www.punkvoter.com」というサイト。そしてそれが高じて、「ROCK AGAINST BUSH」というプロジェクトまで立ち上げ、それに賛同するミュージシャンを集めてこのアルバムまで完成させてしまいました。

  参加アーティストは26組。有名どころだとOFFSPRING、SUM41、NEW FOUND GLORY、PENNYWISE、LESS THAN JAKEといったパンク勢、そしてTHE GET UP KIDSやMINISTRYといったちょっとパンクからは外れたラインにいるバンドもその趣旨に賛同して参加。中にはジェフ・ビアフラ(元DEAD KENNEDYS)みたいな大御所も参加しています。しかもこの26組中18組が現時点で未発表の新曲を提供しています。太っ腹! OFFSPRINGなんて、オリジナルアルバムでは耳障りのいいポップパンクを聴かせておいて、このアルバムでは "Baghdad" という直球のパンクソングを持って来ているんだから‥‥

  アルバムの内容については、まぁオムニバス特有のバラツキがあるので絶賛こそしませんが、まぁ好きな人なら楽しんで聴ける1枚だと思います。実際、このアルバムがこの内容で、しかもDVDまで付いて1,000円前後で買えるという事実‥‥如何に作り手が儲けを度外視して、如何に多くの人の手元に、耳に届けたいか‥‥その意思が伝わってきますよね。

  パンクって何だろうね‥‥いや、ロックでもいいや。別に必ず政治的なことに関わるべきだとは思わないよ。けどさ、言いたい事さえも言えない今の風潮の中、こうやってリスクを伴う活動を矢面に立って実践している人がいる事実。これを日本の「自称・パンクロックバンド」の皆さんにも見習ってもらいたい。カッコだけのパンクや、「俺等はメジャーとは関わりたくない」とかポーズ決めてるインディーパンクやその周辺、少なからず「パンク」というものに影響を受けているのなら、そして「パンク」と名の付くシーンや音楽に携わっているのなら、(その内容はともかくとして)このやり方だけでも見習って欲しいと切に願うよ。

  別に今一部の音楽ファンの間で問題視されている輸入権の問題だけじゃないよ。日本の政治は本当にどうしようもないところまで来てると思う。それを見て見ぬ振りして「パンク」を名乗るのは、正直カッコ悪いと思う。どうしようもなくね。まだまだ日本には、こんなもんじゃない、本当にカッコいい「真の」パンクロックバンド、沢山いるはずでしょ? ジョー・ストラマーがこの現実を知ったら、向こうで泣いてるよきっと。

  ファット・マイクの主張、全てを受け入れることは出来ないけど、彼が言わんとしてることは理解できる。そしてその手段(=今回のリリース)も非常に判りやすくて好感が持てる。日本でもこういうことが出来ないのかなぁ‥‥インディーズレベルでさ。もっとカッコいいとこ、俺に見せて欲しいよマジで。



▼V.A.『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2004 05 05 03:29 午後 [2004年の作品, Compilation Album, Dead Kenedys, Get Up Kids, The, Ministry] | 固定リンク

2003/12/04

『a tribute to JAPAN : Life in Tokyo』(1996)

  世代的にいうと、俺の年代って微妙なんですよね、JAPANって。多分末期の頃が小学生高学年~中学入学の頃だったんじゃないかな。辛うじて末期をリアルタイムで通過してる俺ですが、正直あの当時はその良さが全く判りませんでした。むしろ彼等と入れ替わるように登場したDURAN DURANの方が判りやすいし親しみやすかったので、そっちに夢中だったんですけどね。その後、デヴィッド・シルヴィアンが坂本龍一と絡むようになって彼のソロ・キャリアを追うようになって、中学高学年~高校くらいでようやくJAPANの良さが判ってきたという。で、俺の場合は末期から遡って聴いていったので、初期を聴いて更に衝撃を受けるわけですよ。なんだ、こんなにカッコ良かったのかよ!って。

  このJAPANトリビュートに参加してる面々の殆どが、俺よりも4~5歳以上年上の方々ばかり。中にはSUGIZOやRYUICHI(河村隆一。当時は共にLUNA SEA)みたいなほぼ同年代もいるんですが‥‥やっぱり今30代後半~40歳間近な方々がモロに通過してたでしょうから、こういう参加メンツになったんでしょうね。

  アルバムに参加しているアーティストはKyo(当時はDIE IN CRIESを解散させたばかりかな?現在はBugで活躍中)、Scudelia Electro、森岡賢・藤井麻輝(共にSOFT BALLET)、SUGIZO・RYUICHI(共にLUNA SEA)、ISSAY(DER ZIBET)、田村直美、土屋昌巳等‥‥所謂「ヴィジュアル系」と当時括られることの多かったバンドのメンバーが大半を占めるわけだけど、こういったバンドにどの程度JAPANが影響を与えたのか、あるいは「単にお仕事」として参加しただけなのか、人によってその辺の趣旨は異なるでしょうけど‥‥個人的には面白いなぁ、とリリース当時感じてました。

  原曲の良さについては敢えて触れません。だって「当たり前」だもん。勿論ここに選曲されなかった楽曲にも沢山名曲はあるし、微妙かなと思う選曲もあるわけなんだけど‥‥まぁその辺はこの手の企画盤に常に付きまとうものなので、無視します。

  確実にルーツだろうな、と言えるのはSUGIZOやSOFT BALLETの面々でしょう。特にSUGIZOと藤井麻輝は共に2曲も参加曲がある程だし。しかも彼等は単なるコピーに終わらず、完全なるカバー‥‥自分のスタイルにしてしまってますよね。LUNA SEA、SOFT BALLET両バンドのファンが聴いたら、思わずニヤリとするフレーズ連発で、聴いてて唸ってしまうんじゃないですかね?

  逆に全くJAPANを通過してないだろうメンツもいるわけで。RYUICHIや田村直美がその尤もたる例でしょう。RYUICHIなんて歌詞を自分で日本語に書き換えちゃってますしね。これはこれで面白いとは思うんですが‥‥やっぱり「そこまでしなくても‥‥」感は今聴いても付きまといますね。しかもまんま中期LUNA SEAしちゃってるし。決してこれやったから、その後ソロに目覚めた‥‥といえるような代物ではありませんが(逆にSUGIZOの場合は後のソロ活動との共通点も多く見受けられるんですよね)、ま、ファンアイテムとしては面白いんじゃないですかね。

  石田小吉(現在は「石田ショーキチ」でしたっけ?)もJAPANから影響を受けてるなんていう話、聞いたことなかったんでビックリしたんですが‥‥思いっきりT-REX風アレンジなのを聴いて、妙に納得してしまった記憶があります。力業だよな。

  あと、土屋昌巳‥‥末期ツアーに参加してた経緯からこのアルバムにも参加したんでしょうけど‥‥これってある意味セルフカバーですよね? ま、これはこれで面白いんだけど。愛に溢れてるっていうか。

  どの曲にも言えることですが、JAPANの場合、個人的にはどうしてもミック・カーンのベースが肝なわけですよ。しかしこのアルバムで聴けるカバー曲のベース、どれも普通に「ベース」しちゃってるんですよ。そこが面白味に欠けるかな、と。アレンジやその他の演奏自体には非常に熱を感じたり愛を感じたりするんですが‥‥media youthのHIROKIが弾いた "Sons Of Pioneersは頑張ってるかな、って気がしないでもないけど‥‥そこが一番残念(あ、土屋昌巳のトラックは除外。一番判ってるものこの人)。ま、真似すればいいってもんでもないんだけど、やっぱり重要なポイントじゃないの、JAPANを語る上での。

  そういう意味では‥‥リリースから7年以上経ったこのアルバムを久し振りに聴いてみて、ちょっと物足りなさも感じるんですが‥‥ま、これはこれでアリなのかな、と。昨今いろんな洋邦アーティストのトリビュート盤が出てますが、その殆どが「巷で人気の若手バンドが参加」とか「これからブレイクが期待されるインディーズ・バンド参加」みたいなのが売りになっちゃってて、肝心の「カバー」という行為が疎かになってるんだよね。お前らのやってることは「カバー」じゃなくて「コピー」だろ、と。愛情があればノー問題とかそういう次元じゃないから。単なる焼き直しになってる時点で、カバーされたバンドをバカにしてるんだからな、気づけよなっ!

  と、昨今のトリビュート事情について述べたところで‥‥久し振りにLUNA SEAの初期作品でも聴いてみようかなっ?(オイオイ、JAPANじゃねぇのかよ!)



▼『a tribute to JAPAN : Life in Tokyo』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 12 04 03:40 午後 [1996年の作品, Compilation Album, D'ERLANGER, LUNA SEA, SOFT BALLET] | 固定リンク

2003/09/17

『ロッカーズ』オリジナルサウンドトラック盤(2003)

  陣内孝則初監督作品、「ロッカーズ」の公開が迫ってますが、それに先駆けて映画のサウンドトラック盤が今月発売になりました。先日、本家TH eROCKERSを取り上げたばかりですが、今回はそのサントラ盤を紹介してみたいと思います。これがね、ただのサントラと思って見過ごすとホント勿体ない1枚なんですよ‥‥

  映画の方はご存じの通り、最近人気の若手俳優5人(中村俊介、玉木宏、岡田義徳、佐藤隆太、塚本高史)がバンド「ロッカーズ」役を演じるわけですが、他にも玉山鉄二等が出演してるんですね。はい、ここまで聞いて「おお!」と唸った人、テレビの観過ぎです。過剰に反応し過ぎ。「ウォーターボーイズ」に「木更津キャッツアイ」に「百獣戦隊ガオレンジャー」かぁ‥‥とか言わないそこ。

  で、そういった若手俳優が実際に映画の中では楽器を弾いているわけですが(とりあえず玉木以外はそれぞれの楽器、経験者ですしね)、実際にサントラの方で彼等のパートを演奏しているのは、かのROCK'N'ROLL GYPSIES‥‥つまり、ロッカーズとはライバルといっていいだろうTHE ROOSTERZの面々なわけですよ。ルースターズのメンバーがロッカーズの曲をプレイする、これだけでも一大事なのに、更にサントラ盤の方ではそのロッカーズの代表曲("どうしようもない恋の歌"や"恋をしようよ")まで新録で収録されている、しかもそれを歌うのが花田裕之ではなくて、映画で陣内役を務める中村俊介なんだから‥‥この辺は賛否両論あるだろうけど、個人的には「映画のサントラ」という特殊なシチュエーションなわけだから、全然許せるんだよね。一種お祭りみたいなもんだしね。

  実はこのサントラのプロデュースを手掛けるのが、かのスマイリー原島。フジロックに行ったことがある人ならご存じかもしれませんね、あのグリーンステージで司会をやってる人です。この人、'80年代の「めんたいロック」シーンでも切っても切り離せない存在なんですね。そんな彼にプロデュースを託した陣内‥‥やるな、と。もうこれだけで個人的には安心なんですけどね。

  勿論ロッカーズの曲も多数収録されてますよ。ROCK'N'ROLL GYPSIESをバックにPOTSHOTのRYOJIが歌う"ロックンロールレコード"(コーラスにはそのスマイリー原島や、元SOUL FLOWER UNIONのうつみようこ等が参加)や、中村が歌う"キスユー"~"ジャッキー"のメドレー、テレビでも披露済み"可愛いアノ娘"、"ショック・ゲーム"といった代表曲の数々。演奏は文句なしにカッコイイ。歌は‥‥この程度なら別に気にする程でもないかな、と。そりゃもっとカッコ良くて上手いシンガーはいるけど、意外と陣内の歌い方や癖を真似してるんだよね、中村の歌。曲名を叫ぶところとかカウントする声とか、ちょっとした節回しとか特に。その辺は非常に好感持てるかな、と。やっぱり役者だね。

  それ意外には最近知名度を上げつつあるバンド‥‥勝手にしやがれやゴーグルエースといった若手、POTSHOTやザ・スリルといったベテラン勢も参加して華を添えてます。そのザ・スリルが玉山をシンガーに迎えてカバーする"ソーダポップ"。これ、「めんたいロック」の裏番長的存在として君臨する、知る人ぞ知るといった存在、モダンドールズのカバー。このバンドについては後日レビューで取り上げますので、知らない人はその時までお待ち下さい。とにかく、このバンドの曲を入れるということに個人的には感慨深いものを感じますね(とかいって、俺もにわかファンなんですが)。あと、GYPSIESバックに中村が歌う"メリージェーン"のカバー。これも笑った。ワンコーラス目は普通にバラード調なんだけど、途中から‥‥まぁ後は聴いてのお楽しみってことで。パンクにありがちな、あの展開ですよ、ええ。それをGYPSIESがやるんだから、もうね。

  そういえばここに参加してるThe TRAVELLERSってバンド。メンバーに武田真治の名前があるんだけど、ギター&ボーカルの人の名前も武田圭治っていうんだわ‥‥兄弟? って兄弟なのは間違いないみたいだけど、あの武田くんとは同姓同名の別人でした(→オフィシャルサイト)。ああ、このバンドも福岡のバンドなのか。成る程ね。そういう「新しい繋がり」も取り入れつつ(恐らくスマイリー原島のアイデアだろうね)、過去と未来を繋ぐサントラ盤‥‥ただの「過去の振り返り」系とか同窓会で終わってないところがさすが。

  サントラにありがちなインストナンバーも数曲入ってるんですが、それを担当するのが朝本浩文であったりキハラ龍太郎(元オリジナル・ラヴのキーボードの人ですよね?)や鈴木俊介(ハロプロ界ではお馴染み)等といった、その筋では有名な方々ばかり。特にキハラと鈴木による"アメイジング・グレイス"はなかなかの出来かと。鈴木のギターがかなりいい感じですね。

  最後に総括。企画モノとしては非常によく出来たアルバムだと思います。勿論リアルタイム通過組は「こんなので満足してるなんて、ありえねー!」とか怒ってるかもしれませんが、これって結局「今の若い子達」に向けて発してるんじゃないの? 映画にしてもさ、だからああいった若手人気俳優陣を起用したんだと思うし。そういう意味では俺、この企画は大成功だと思いますよ。勿論、映画の方はまだ観てないんでオールOKとは言い難いですが‥‥

  けどね‥‥やっぱり一番最後に入ってる本家ロッカーズの"涙のモーターウェイ"(多分「LIP SERVICE」バージョン)になると、急に胸がキューンとなっちゃうんだよね‥‥これって結局、俺が年寄りだってこと?



▼『ロッカーズ』オリジナルサウンドトラック盤
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 09 17 12:00 午前 [2003年の作品, Compilation Album, ロッカーズ] | 固定リンク

2003/07/20

O.S.T.『爆裂都市 (BURST CITY)』(1982)

  今から20年以上も前に公開された映画「爆裂都市 (BURST CITY)」のサウンドトラック盤としてリリースされたこのアルバム。表題の通り、ただのサントラと侮ると痛い目を見ますぜ。

  まず参加メンバー。映画の中にも登場する架空のバンド、バトルロッカーズのメンバーには陣内孝則(THE ROCKERS)や大江慎也&池畑潤二(THE ROOSTERS)といった、所謂「めんたいロック」シーンの中から登場した当時注目株だったメンツが。当然このバンドの為のオリジナル楽曲もサントラ盤には収められているんですが、これが凄まじいの何のって。バトルロッカーズ名義では7曲(内1曲はバージョン違いなので、実質6曲)のオリジナルソングが収録されていて、それらの楽曲が大江やロッカーズの谷信雄によって書かれているという点もポイントのひとつでしょう。まんまルースターズな曲もあれば、ルースターズとロッカーズが見事に融合したかのような凄まじいロックンロールもある。陣内が歌っているものの、時々陣内の音量よりもコーラス取ってる大江の音量の方が上回ってる時があって、一瞬ドキリとさせられたり。

  とにかく曲のテンションが高いの何のって。当時のルースターズやロッカーズのテンションもハンパじゃなかったけど、それを遙かに上回ってるように感じるのは俺だけじゃないはず。このアルバムにはロッカーズの曲も数曲入ってるんですが、正直それと比べてしまうと‥‥他にも陣内の実質上ソロといえる曲"視界ゼロの女"も入ってたりして、いろいろ興味深いポイントが多いんですよね(ちなみにこの曲、映画にも企画から参加している泉谷しげるが作詞してます)。

  それともうひとつ、大きなポイントといえば、1984というユニットの存在でしょう。花田裕之、井上富雄、池畑潤二の3人からなるユニット‥‥早い話が、大江抜きのルースターズ。完全なるインストバンドなんですが、ここに収録された3曲(池畑作曲の"ソルジャー"、井上作曲の"ソロー"、花田作曲の"キックス")を聴くと、何となくその後‥‥大江が「壊れて」しまった後のルースターズを少しだけ垣間見れるような気がしないでもないかな‥‥と。初期衝動的なロックを表現していた初期ルースターズ、大江の精神世界をそのまま音にしてしまったかのようなセカンド~サード・アルバム以降のルースターズ、そして大江がいなくなった後のルースターズ‥‥どれに一番近いかは、聴いた人が判断すればいいことなんですが、これも「記録」としては非常に興味深い楽曲だと思います。ま、どれも短いインストなんで、あれといえばあれなんですが。

  やはりこのアルバムの格好良さは、何度も書くけどバトルロッカーズに限ると思います。映画の企画とはいえ、こういった「奇跡的な組み合わせ」が一時でも実現したんだから。興味がある人は、この映画のビデオを観ることもオススメします。安く市販されているし、レンタル店にも大手ならあるでしょうし。

  唯一残念なポイントを書くとするならば‥‥映画にもマッド・スターリンとして出演していたTHE STALINの楽曲が収録されていないことでしょうか。権利の関係とかいろいろあったんでしょうけど(もしかしたら、それ以前に歌詞の検閲云々でカットされたのかも)、1曲でいいから‥‥まぁトータルバランスを考えれば、陣内色が強い現行の形がいいのかもしれませんが。



▼O.S.T.『爆裂都市 (BURST CITY)』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 07 20 12:00 午前 [1982年の作品, Compilation Album, ロッカーズ] | 固定リンク

1999/05/02

『hide TRIBUTE : SPIRITS』(1999)

  1998年5月2日。まだ1年しか経っていないのか‥‥hideがこの世を去ってから。たった1年。もう1年。人によっていろいろ違うのだろう。hideの不在がもたらしたものって一体なんだったのだろう、とこのトリビュート・アルバムを聴きながら考えてみた。答えはまだ見つからない。みんなはもう見つかったかい?
  このトリビュート・アルバムには、hideの身近にいた人間、hideに影響を受けた人間、hideとは接点がなかった人間と、いろいろ参加している。それぞれがそれぞれの解釈でhideの楽曲をカヴァーしている。今回は久し振りの「全曲解説」を通して、それぞれのアーティストの解釈についていろいろ感想を述べてみたいと思う。最後までお付き合い願いたい。

M-1. 布袋寅泰「ROCKET DIVE」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  「HOTEI」ではなく、「布袋寅泰」として発表したこの曲。ハマリ過ぎ。(爆)布袋の為に作られたような名曲だな、これ。最初に布袋がこの「ROCKET DIVE」を選んだことを知った時、爆笑した。「自分の事がよく判ってるじゃん♪」って。ただ、実際に出来上がったアレンジは、ちょっと考え過ぎの部分もあるかな?と思ったのも事実。が、あえて打ち込み中心の「布袋流テクノ・ロック」に仕上げたのには‥‥やっぱり(笑)
  布袋自身はhideとは交流がなかったようだが、自分とhideとの共通項をうまいこと見つけたな、というのが正直な感想。バンド出身、解散後ソロアーティスト、ギタリスト兼ボーカリスト、時代に敏感、よき兄貴分‥‥等々共通点はいくらでもある。だけど布袋は布袋、hideはhide。全く違うアーティストだ。なのに‥‥不思議だ。これこそ「名カヴァー」と言えるのではないだろうか?

M-2. 清春・SHOJI「Beauty & Stupid」(from ALBUM「PSYENCE」)
  元「黒夢」のボーカル、清春の解散後初の仕事がこれ。清春自身もhideとは交流はなかったそうだ。聴く限りでは原曲に忠実な出来。リズムは打ち込みなんだね? あくまで「ロックンロール」にこだわる(?)清春らしからぬアレンジかな?と最初は思ったのだけど‥‥まぁアリ、かな? でも、「カヴァー」というよりは「コピー」に近いような‥‥原曲ではhideの癖の強い唄い方が特徴だったこの曲も清春が唄う事によって、幾分「黒夢」っぽいイメージを与えてくれる。何故彼がこの曲を選んだのか(あるいは与えられたのかもしれない)、彼がこの曲を通して何を伝えたいか?が全く伝わってこない。トリビュートは故人のよいところを新たな解釈で伝えるのがひとつの目的なわけで、これではただ「僕、ソロになったんで、手始めに他人の曲から始めてみました」と取られる可能性もあるわけだ。実際はどうだか知らないが‥‥

M-3. kyo & TETSU「TELL ME」(from ALBUM 「HIDE YOUR FACE」)
  hideとはSABER TIGER時代一緒だったkyoがボーカルを取るこの曲、イントロの走りぎみなTETSUのドラムが印象的。これも基本的には「コピー」だが、kyoが一音一句をとても丁寧に、心を込めて唄っているのが伝わってくる好演だと思う。こういう「元メンバー」といった身内の人間がカヴァーする場合、感傷的になってポシャって終わる事も考えられるのだけど、やはり昨年末のSpread Beaverとの共演が先にあったからよかったのかもしれない。(ちなみにその時、kyoは「Beauty & Stupid」を唄っている)

M-4. SIAM SHADE「ピンクスパイダー」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  彼等はhideというより、LUNA SEA側の人間なわけで、やはりhideとの直接交流はなかったようだ。それにしても‥‥ファンには悪いが、このアルバム中最悪のケースだと思う。最も悪い「カヴァー/トリビュート参加」のケース。まず、この録音の悪さはどうにかならなかったのだろうか? スタジオ・デモ並である。この程度の録音、現在ならアマチュアでも可能だ。それからロックらしからぬミックス。ボーカルが前に出てリズムが引っ込んでるパターン。歌謡曲じゃないんだから。
  録音技術の事ばかりではない。完全に「コピー」だ、これでは。唯一、ギターが好き放題暴れているといった程度。今回の各曲のクレジットを見て思った事は、今までプロデューサーを立てて作品を作ってきたバンド(GLAY, SIAM SHADEなど)がセルフ・プロデュースを行っている事‥‥つまり、「たった1曲に金かけて(プロデューサーに払う金)らんないでしょ?君らでどうにかしなさい♪」とでもレコード会社から言われたのか? にしても‥‥これは最悪。自分らの曲より酷いよ。ボーカルも自身の曲だと生き生きしてるのに、ここじゃ‥‥と俺は感じたのです。

M-5. shame「LEMONed I Scream」(from ALBUM「PSYENCE」)
  このバンドに関して僕はそれ程知識がないが、hideが主催するレーベル「LEMONed」のバンドだそうだ。ということは、hideが見つけてきたって事? アルバム内のアーティストのコメントを見る限りでは、そう取れるのだけど‥‥いいんじゃない? このアルバムからは唯一の英語曲だけど、気負ってなくていい仕上がりだと思おう。原曲にあった浮遊感・アップテンポ感を、ネオアコっぽい始まり~徐々に盛り上がる持ってき方へとアレンジしたのは正解かも。おそらくこれがこのバンドの色なのだろう。ちょっとオリジナルアルバムの方も聴いてみたくなった。本来カヴァーソングってそういう効力を持ったものなのでは?

M-6. CORNELIUS「ピンクスパイダー」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  この組み合わせが一番難解かつ厄介だった。(爆)hideと小山田くんとの接点が‥‥まぁ面白い仕事するとは思ってたけど、ここまでやってしまうとは‥‥小山田が参加すると知った時点で、俺は2通りのパターンを考えた。ひとつは「バンドで演奏して、滅茶苦茶に解体するカヴァー」、もうひとつが最近依頼の多い「解体かつリミックス」作業‥‥前者なら、「69/96」アルバムで見せたハードロックへのアプローチが再び見れたのかもしれない。でも、そこは小山田。結局は後者を取ったわけだ。(笑)彼らしい手段だと思う。
  で、これがまた傑作。このアルバム中、確かに異色の出来だが、本来ここまでやらなくてはならないのでは? hideに対する敬意を込めつつ、自分の色を出す‥‥hideの癖の強い楽曲を前にこれすら忘れてしまうアーティストも多いのでは? しかし布袋といい小山田といい‥‥ソロアーティストの方が動きやすいのかもしれない。自身のイメージもひとつというわけではないしね。(バンドだとそうもいかない場合もあるしね)敢えて唄わなかったのも正解かも。しかし‥‥小山田に「ピンクスパイダー」って言葉、合ってない?(笑)

M-7. ZEPPET STORE「FLAME」(from ALBUM「PSYENCE」)
  hide自身が生前「この曲はZEPPET STOREに影響されて書いた曲だ」と言っていたのが印象的なナンバーを、当の御本家ZEPPET STOREがカヴァーすることになるとは。しかもこういう形で‥‥原曲はZEPPET STOREっぽいリズミカルでヘヴィーで繊細な曲を、彼等は違った解釈でカヴァーした。原曲のまま再現してもZEPPET STOREらしい曲には仕上がっただろうが、「それじゃhideが許してくれないだろう」と感じたのか、今現在のZEPPET STOREらしいアレンジで挑んできた。アコースティックギターを軸にして、大陸的な大きなノリ‥‥このまま彼等のオリジナルアルバムに入っていても何ら違和感がない出来だ。原曲に助けられてる部分も多少あるが、それでもここまで説得力があるのは、やはり彼等ZEPPET STOREの底力ではないだろうか? 個人的には、昨年末のSpread Beaverで聴かせてくれたあのピアノアレンジをもう一度聴きたいなぁ‥‥

M-8. LUNA SEA「SCANNER」(from ALBUM 「HIDE YOUR FACE」)
  hideとLUNA SEA(いや、JとSUGIZOと言った方がいいか?)との関係は今さらここで語ることもないだろう。よき兄貴分、よきライバルとして彼等をお互いを意識していたようだ。そして彼等は「無言で」このアルバムに挑んだ(彼等のみ、ライナーノーツにはコメントを載せていない)‥‥「Let the music do the talking」って事だろうか‥‥
  やはりLUNA SEAのカヴァーを聴いても感じる事だが、実力・オリジナリティーを既に持ち合わせたアーティストというのは、誰の曲をカヴァーしても「自分達の曲」にねじ曲げてしまう力量を持っているな、という事。長く活動してればいい、って訳じゃない。結局はいかに「myself」でいられるか‥‥このアレンジなんて、LUNA SEAのオリジナルと言われても信じてしまうんじゃないだろうか? 近年の彼等らしい曲調だし(歌詞はともかく;笑)‥‥が、後半のアップテンポになる展開‥‥久し振りにこんなに激しいLUNA SEAを聴いた気がする。改めてLUNA SEAに惚れ直した。(笑)

M-9. BUCK-TICK「DOUBT '99」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  hideとBUCK-TICK‥‥繋がりそうで繋がらない。まぁXとBUCK-TICK、と考えればなんとなく繋がるが。布袋同様、まさにハマりまくった選曲・名カヴァーではないか? BUCK-TICKは最近の所謂「ヴィジュアル系」ファンにはそれ程好かれてはいないようだが、LUNA SEA同様ゴス(ゴシック系バンド。BAUHAUSや初期のTHE CURE, JAPANなどがこう呼ばれた。最近ではMARILYN MANSONなども再びこう呼ばれているようだが)に影響を受けたバンドとして、彼等こそが真の意味での「ヴィジュアル系」であり「オルタナ」ではないだろうか? しかしなぁ‥‥「人間ドラムンベース」(笑)‥‥どこまでこの路線を続けるのかが興味深い。

M-10. TRANSTIC NERVE「ever free」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  確かhideが生前、最後に関わったのがこのバンドだと聞いている。hideとは会った事がなかったようだが‥‥新手のヴィジュアル系、というわけでもなさそうだ。オリジナル作ではラルクを手掛ける岡野ハジメ氏をプロデューサーに迎えているようだが、このカヴァーは自分達で手掛けている。このアルバムに参加してるアーティストの中では最もキャリアが短いだけに、一体どういう解釈で挑んでくるのかが気になったが‥‥これから、といったとこだろうか? 原曲のストレートさをそのままに、音数を多くし、一部16ビートを持ち込んでいる、という至極そつないアレンジだ。新人という事を差し引いて‥‥今後に期待、というところだろうか? だが、改めて「影響を受けたフォロワー」としてのカヴァーが聴きたかった。(本人達はそのつもりかもしれないが、俺にはそれは伝わらなかった。ハードルが高すぎたのか?)

M-11. OBLIVION DUST「限界破裂」(from ALBUM「PSYENCE」)
  Spread Beaverにも参加したギタリストKAZが所属するバンド。元がかなりオルタナ色の強いバンドなだけに、どういう選曲でどういうアレンジになるのかが気になるところだった。選んだのは「限界破裂」。原曲はアップテンポのhideらしい曲だが、オブリのアレンジが‥‥これ、傑作だ! このアルバムの中でも1、2を争う出色の解体振りだと思う。ゴシック調に始まり、サビにくるとドカーンと爆発するグランジ調アレンジ。自分自身を常に持っているバンドのアレンジはこうも違うのだろうか? 原曲にあった「切なさ」が、このアレンジで聴くと「ストーカー的圧迫感」(笑)を感じる。この力技、半端じゃないと思う。OBLIVION DUST、やはり侮れないバンドだ。

M-12. GLAY「MISERY」(from ALBUM「PSYENCE」)
  GLAY、レコード会社移籍第1弾の仕事がこれ。彼等もこの曲には自らがプロデュースに当っている。それにしても‥‥好き放題やってるなぁ、というのが第1印象。こんなにテンポアップにして、原曲のメロディアスさを殺してないか?と思ったのだが‥‥スタッフは誰も何も言わなかったのだろうか?(笑)GLAYにとってもhideという存在は特別だったようだ。それにしても‥‥このパンキッシュなアレンジに、ファン以外の人間はGLAYらしさを感じる事が出来るのだろうか? かなり疑問が残るアレンジだ。中盤のアコースティックによる「和み」の部分に「GLAYらしさ」を垣間見る事は出来るのだけど‥‥

M-13. I.N.A.・Pata・heath「CELEBRATION featuring hide」(from ALBUM「BLUE BLOOD」)
  最後の2曲は完全な「身内」の参加作品。hideがソロ活動の際には常に活動を共にしてきたI.N.A.、X JAPANのメンバーPataとheathが参加したこの曲は‥‥なんとX時代の名曲のリアレンジ曲。しかもボーカルトラックにhideの未発表音源を使用している。ということは‥‥いずれこの曲をX時代とは別のアレンジで発表する計画があったという事か? となると「JOKER」や「SCARS」なんかのデモ音源も残っているのでは?‥‥なんて考えてしまった。それにしてもこれは‥‥もう反則です!(笑)冷静に判断を下せ、という方が難しい。hideが参加してるんだぜ!? これ以上何を言えばいいっていうんだ? 「Ja,Zoo」に入っていてもおかしくないアレンジだし、やはりこれは「hide以上」でも「hide以下」でもない、正真正銘のhideの作品だ、と言いたい。彼がアレンジに関わっていなくても、これはhide以外の何ものでもない。これは嬉しいボーナスだった。

M-14. YOSHIKI「GOOD-BYE」(from ALBUM「PSYENCE」)
  最後まで参加があやふやだったYOSHIKIが選んだのが、この曲‥‥何も言う事はないと思う。僕自身の感情とは別に‥‥あのイントロダクションのピアノソロも彼によるものだろう。あのイントロに、このアウトロ‥‥感傷的になってしまうが、ひとつの作品という意味ではこれで正解かも。


  こうやって通して聴いてみて改めて思った事‥‥hideという「ソングライター/表現者」の非凡さ。こんなにポップで判りやすく、それでいてロック然としている。いろいろなジャンル/新しい表現に常に興味を持ち、それを自己流の消化をしてみんなの前に提示する。何度も言うが、日本のヒットチャートに「ピンクスパイダー」のような楽曲を送り続けた彼は、やはり偉大すぎる。
  hideの不在‥‥それは、こういうイノベィティングなソングライター/表現者を失ったという事。こういうジャンルでこういう事をやるアーティスト。しかもヒットチャートの上位に君臨する「ポップスター」としても機能する存在‥‥確かにLUNA SEAやラルクといった後輩達がそれに追いつけ追いこせと頑張っているが‥‥今世紀、という意味では彼が最後なのかもしれない。今後、「最も影響を受けたアーティストはhideです」という若手が多く出現するだろう。そして、その度に思い出して欲しい。hideが如何に素晴らしいアーティストだったかという事を。忘れないで欲しい。本来、「アーティスト」とはこういう人の事を言うのだという事を‥‥ありきたりの言葉しか言えないが、1年前に言えなかった事を今、言いたい。

‥‥‥‥‥Thank you, and.....I love you.



▼『hide TRIBUTE : SPIRITS』
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投稿: 1999 05 02 12:00 午前 [1999年の作品, BUCK-TICK, Compilation Album, D'ERLANGER, GLAY, hide, LUNA SEA, Oblivion Dust, X JAPAN, Zeppet Store] | 固定リンク