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カテゴリー「Converge」の14件の記事

2021年4月24日 (土)

THE ARMED『ULTRAPOP』(2021)

2021年4月16日にリリースされたTHE ARMEDの4thアルバム。日本盤は同年4月21日発売。

THE ARMEDは2009年から活動をスタートさせた、デトロイト出身の実験的ハードコア/メタルコア/マスコア・プロジェクト。メンバーの名前など一切明かされておらず、構成員も流動的とのことで、デビュー作からCONVERGEのカート・バルー(G)がエンジニアとして全面的に携わっていたり、また過去の作品では同じくCONVERGEのベン・コラー(Dr)やSUMACのニック・ヤキシン(Dr)、元THE DILLINGER ESCAPE PLANのクリス・ペニー(Dr)といったエクストリーム・シーンで名の知れたドラマーたちが参加するなど、その界隈では注目の存在でした。

とはいっても、僕自身このアルバムで初めて彼らに触れたわけでして。そもそもTHE ARMEDというバンドの存在を知らないわけですから、このアートワークにアルバムタイトルで、最初は「イマドキのEDM寄りのR&B」アルバムかと思い込んでいたわけです(笑)。ところが、このアートワークを目にする場所が『Kerrang!』をはじめとする、海外のメタル/エクストリーム・ミュージック専門サイトばかり。そりゃ気になりますよね。

これまでデジタルリリース中心だったとのことで、CDでのフィジカルリリースは本作が初めて(アナログ盤の発売は過去もあり)。日本リリースも本作が初めてとのことで、改めて日本盤にて購入したわけですが……ある意味『ULTRAPOP』というタイトルに相応しい内容だな、こりゃ最高だ……と思ったわけです。そうそう、自分は今、こういう音を求めていたんだよ、待っていたんだよ……と。

アルバム内のクレジットを目にする限りでは、カート・バルーがエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされており、レコーディングにはカートやベンのCONVERGE組のほか、マーク・ラネガン、トロイ・ヴァン・リーウウェン(QUEENS OF THE STONE AGE)、ユライアン・ハックニー(ROUGH FRANCIS)、エヴァ・スペンス(ROLO TOMASSI)などが連ねておりますが、この際そういった事実は置いておいて。いやはや、とにかく楽曲やサウンド、アレンジなどすべてがカッコいいんです。

感覚的には、昨年のCODE ORANGEの新作『UNDERNEATH』(2020年)に触れたときと似たものがあるんですが、こちらはメタリックさが若干薄く、よりハードコア色が強い印象を受けました。そこに現代的なエレクトロニックな味付けが施されることで、耳や脳に刺激的なサウンドへと昇華。こう書くと、アバンギャルドな作品なのかなと思いきや、随所にキャッチーなメロディやポップな要素も見え隠れし、それが非常に気持ちよく響く。突き刺すような攻撃性と、聴き手を優しく包み込むポップさが融合することで、文字通り『ULTRAPOP』な作品が完成するわけです。このとぼけたアートワークからは想像できないような、ビビッドな内容はまさに2021年という時代を象徴する1枚と言えるでしょう。

「All Futures」のMVではメンバーが姿を現しライブパフォーマンスを披露していますが、それすらも本当に彼らなのかわかりません。アートワークやタイトルと内容との乖離/対比含め、どこまでが狙いでどこまでが素なのか。そういう匿名性も、2010年代以降ならではだなと思います。純粋なHR/HMとは異なりますが、エクストリーム・ミュージックという大きな枠で括れば間違いなく今年のベストアルバム候補だと、断言させてください。

 


▼THE ARMED『ULTRAPOP』
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2020年12月14日 (月)

GREG PUCIATO『CHILD SOLDIER: CREATOR OF GOD』(2020)

2020年10月1日にリリースされたグレッグ・プチアートの1stソロアルバム。日本盤未発売。

THE DILLINGER ESCAPE PLANのフロントマンで、現在はTHE BLACK QUEENやKILLER BE KILLEDの一員としても活動するグレッグが、ドラム以外の楽器をすべて自身で演奏した、文字通りの“ソロ”アルバム。当初はTHE BLACK QUEENの3rdアルバム用に新曲を作り始めたところ、バンドのカラーに合わないと判断。さらにはKILLER BE KILLEDのテイストとも異なることから、ソロEPとして発表しようと計画。ところが、これを機に創作意欲がさらに増していき、過去THE DILLINGER ESCAPE PLANで制作した断片まで引っ張り出して、1枚のアルバムとしてまとめてしまったのです。

ドラマーにはPOISON THE WELLのメンバーで初期のTHE BLACK QUEENに携わった経験を持つクリス・ホーンブルック、過去THE DILLINGER ESCAPE PLANのメンバーでもあったクリス・ペニー、そしてCONVERGEの一員でKILLER BE KILLEDでの盟友ベン・コラーという馴染みの3人が参加。プロデューサーにはLAMB OF GODからVAMPIRE WEEKEND、マドンナまで幅広く手がけるニック・ロウが携わり、グレッグの多彩さに満ちた音楽性を見事にひとつの作品として表現しております。

オープニングトラック「Heaven Of Stone」の内省的なフォーキーさに、いきなり度肝を抜かれる本作。そうか、ソロではそういう方向性なのか……と思いきや、続く本作のタイトルトラック「Creator Of God」ではエレクトロ/インダストリアルサウンドとタイトなリズムが重なる唯一無二の世界観が飛び込んできて、さらに3曲目「Fire For Water」ではTHE DILLINGER ESCAPE PLAN時代を思わせるエクストリームメタルが展開される。ああ、そうか。ソロアルバムなんだもん、ひとつのジャンルに固執しなくてもいいんだよな。これが本作の楽曲をTHE BLACK QUEENやKILLER BE KILLEDで使用しなかった理由なわけですもんね。

とにかく、グレッグというアーティストのいろいろな才能が凝縮された1枚で、統一感はそこまで強いものではないのですが、不思議と破綻はしていない。全体的にエクスペリメンタルメタルの色は強いものの、中には「Down When I'm Not」のようなニューウェイヴチックなオルタナティヴロックがあったり、「Throught The Walls」にはR&Bの香りも感じられるし、「A Pair Of Questions」からは80年代エレポップからの影響も伝わってくる。さらに「Evacuation」なんてNINE INCH NAILS以降のインダストリアルメタルそのものですし、最初から最後までまったく楽しめるんですよ、これが。

当初は別名義でのプロジェクトとして発表しようとした本作ですが、友人であるALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(Vo, G)の助言によりソロアルバムとして発表されたとのこと。アルバム収録曲のリークにより発売日が3週間前倒しになるなど災難もありましたが、思ったより話題になっていないのがちょっと寂しいなど。聴き手を選ぶ内容かもしれませんが、ひとつでも引っかかるポイントがあれば生涯楽しめる1枚ではないでしょうか。

 


▼GREG PUCIATO『CHILD SOLDIER: CREATOR OF GOD』
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2020年11月28日 (土)

KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』(2020)

2020年11月20日にリリースされたKILLER BE KILLEDの2ndアルバム。日本盤未発売(あれ、予定なかったでしたっけ?)。

マックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYCAVALERA CONSPIRACYNAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE BLACK QUEEN、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLAN)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人で結成され、2014年5月に1stアルバム『KILLER BE KILLED』を発表した彼ら。当初はアルバム1枚のみのスーパープロジェクトかと思いきや、翌2015年にドラマーがベン・コラー(CONVERGE、MUTOID MAN)に交代し、不定期ながらも活動を続けていくことを宣言。前作から6年半を経てついに2作目が届けられました。

ベンを含む編成では初のアルバムとなりますが、基本的な路線は前作を継承したもの。エクストリームメタル/ハードコア界の重鎮たちが一堂に会したバンドながらも、それぞれのエゴをむき出しにすることなく、ヘヴィながらもエモーショナルなメロディを前面に押し出した聴き応えのある良作に仕上げられています。

とにかく4人(というかフロントの3人)のカラーの配分が前作以上に明確になっており、役割分担もはっきりしてきた印象。1曲の中で複数のボーカリストが交わる曲構成は前作よりも増えているし、それが間違いなくこのバンドの個性につながっている。グレッグとトロイの個性の違いを存分に味わいつつ、要所要所で飛び込んでくるマックスのグロウルが大きな武器(フック)として効果を発揮しており、ようやくプロジェクトからバンドにまで進化したんだなと実感させられます。

どの曲も聴き応えのある良作ばかりなのですが、個人的に印象に残ったのが「Filthy Vagabond」かな。楽曲の作りといい、各シンガーの色分けといい、見事なまでに作り込まれている印象を受けました。この曲が本作を代表する1曲とまでは言わないものの、間違いなく彼らが目指したもの、やりたいことがここに凝縮されていると感じます。

かと思えば、続く「From A Crowded Wound」ではベンが加わったことによってなのか、どこかCONVERGEを彷彿とさせる色合いが増している。それをTHE DILLINGER ESCAPEのグレッグが歌うというところにも、個人的にはグッとくるものがあります。いやあ、すげえバンドです。

前作から引き続きプロデュースを担当したジョシュ・ウィルバーによるサウンドプロダクションも文句なし。HR/HMやラウド系リスナーのみならず幅広い層に受け取ってもらいたい、“エクストリームシーンの今”が凝縮されたKILLER BE KILLEDという“バンド”の本格的なスタート作だと断言させてください。

年末にこんな良作が飛び込んでくると、本当に年間ベスト作選びに苦労しそうです……(苦笑)。

 


▼KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』
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2020年10月22日 (木)

UMBRA VITAE『SHADOW OF LIFE』(2020)

2020年10月23日リリースの、UMBRA VITAEの1stアルバム。日本盤は海外に先駆け、10月21日に発売されました。

本作はすでに今年5月初旬にデジタルリリース/ストリーミング配信がスタートしていましたが、約半年という期間を経てついにフィジカルリリース。当初は6月頃にフィジカル/デジタルでのリリースが予定されていましたが、コロナ禍の影響でプレス工場が閉鎖され、先にデジタル配信、追ってフィジカルリリースという形が取られました。

UMBRA VITAEはCONVERGEWEAR YOUR WOUNDS(以下、WYW)のフロントマンであるジェイコブ・バノン(Vo)が新たに立ち上げた新バンド。メンバーはジェコブのほか、マイク・マッケンジー(G/THE RED CHORD、STOMACH EARTH)、ショーン・マーティン(G/TWITCHING TONGUE、ex. HATEBREED)、グレッグ・ウィークス(B/THE RED CHORD、LABOR HEXなど)、ジョン・ライス(Dr/UNCLE ACID & THE DEADBEATS、ex. JOB FOR A COWBOY)というUSハードコア/エクストリームミュージック界のスーパースターばかり。

このうち、ジェイコブとマイク、ショーンはWYWのメンバー。実はWEAR YOUR WOUNDSの2ndアルバム『RUST ON THE GATES OF HEAVEN』(2019年)の制作中に、アグレッシヴではない音楽への反動としてジェイコブのルーツであるデスメタルにスポットを当てたプロジェクト案が浮上。WYWのツアー終了後に、マイク経由でグレッグ、ジョンというリズム隊を招聘し、CONVERGEのカート・バルー(G)をレコーディングエンジニアに迎えてレコーディングに突入するわけです。

ジェイコブがここまでメタル色の強い楽曲で、アグレッシヴにグロウルしたりホイッスルボイスを響かせたりするのも随分と久しぶりのこと。CONVERGEの近作もヘヴィではあるものの、こういった直接的なアグレッシヴさはどんどん薄れているので、非常に懐かしい気持ちと新鮮さを当時に味わうことができるはずです。

大半が2〜3分台の楽曲群は、伝統的なデスメタルをベースにシリアスで叙情的な歌詞を乗せた形に仕上げられており、グラインドコアからデスメタルへとスタイルチェンジした90年代初頭のNAPALM DEATHを髣髴とさせるものがあります。つまり、そここそがジェイコブのルーツであり、今回目指した場所だったのでしょう。全10曲(ボーナストラック除く)で26分というトータルランニング含め、古き良き時代のデスメタル(あるいはハードコア/グラインドコア)を2020年によみがえらせた良質な1枚と断言できます。

なお、日本盤にはボーナストラックとしてホラー映画のエンドロールに流れていそうなインストナンバー「Decadence Descends」を追加収録。この曲が加わることで、アルバムのエンディングにより深遠さが増すことになります。ここはぜひ、日本盤CDを購入してみてはどうでしょう?

あと、これは完全なる宣伝ですが、アルバムのライナーを筆者が執筆しております。バンドの成り立ちやより詳細な解説はそちらにすべて載っているので、ここではこの程度に収めておきますね(笑)。

 


▼UMBRA VITAE『SHADOW OF LIFE』
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2020年9月24日 (木)

WEAR YOUR WOUNDS『RUST ON THE GATES OF HEAVEN』(2019)

CONVERGEのフロントマン、ジェイコブ・バノン(Vo)による別バンドWEAR YOUR WOUNDSが2019年7月12日にリリースした2ndアルバム。日本盤は2日先行の同年7月10日に発売されています。

アートブックなどミックスメディア・プロジェクトの一環として発表された『DUNEDEVIL』(2017年)を含めれば3作目のアルバムとなる今作(アルバム『DUNEDEVIL』は1stアルバム『WYW』日本盤にボーナスディスクとして付属。サブスクなどでも手軽に聴くことができます)。過去2作はあくまでジェイコブのソロ/サイドプロジェクトとして制作されたものでしたが、『WYW』制作に参加したメンバーを軸にバンド形態として始動。ジェイコブがベースやピアノなどを兼任しつつ、マイク・マッケンジー(G/THE RED CHORD、STOMACH EARTH)、ショーン・マーティン(G/TWITCHING TONGUES、ex. HATEBREED)、アダム・マッグラス(G/CAVE IN、NOMAD STONES)、クリス・マッジオ(Dr/ex. TRAP THEM、ex. SLEIGH BELLS)というUSハードコア界の重鎮たちが一堂に会するスーパーバンドへと進化したわけです。

ですが、ここで展開されているのは現代的なハードコアとは一線を画する、シューゲイザーやスラッジの影響下にあるアートロックのようなサウンド。アッパーなサウンドで攻めたり叫んだりすることはなく、ダウナーなボーカル&サウンドで悲しみや絶望など負の感情が時にメランコリックに、時にエモーショナルに表現されていく……そういった意味では、CONVERGEの最新作『THE DUSK IN US』(2017年)の中で芽生え始めた方向性を一歩推し進めたものと言えるかもしれません。

トリプルギターを用いた音の厚み、ピアノやエレクトロニクスを効果的に用いた叙情性、ボーカルラインやギターが奏でるメロディの多彩さはCONVERGEでは表現できなかった世界観でしょうか。そのサウンドをエンジニアリング&プロデュースするのが当のCONVERGEの一員であるカート・バルーというのも、また興味深いところです。

『WYW』が良くも悪くも実験性の強い1枚であったことを考えると、本作で展開されているのは紛れもなく“バンドのアルバム”だということ。この違いは非常に大きく、特にCONVERGEからの流れでジェイコブのソロに触れるというリスナーには今作のほうがとっつきやすいと言えるでしょう。もちろん、CONVERGEそのものを求めると痛い目を見ることになりますが……。ただ、『THE DUSK IN US』という作品を好意的に受け入れることができたファンには間違いなく響く良作であり、ある意味では『THE DUSK IN US』と表裏一体の1枚と断言できます。

楽曲の良さや世界観、演奏面など、どれを取っても高品質な1枚。今みたいな季節に、深夜に適度な音量で楽しみたいアルバムです。

 


▼WEAR YOUR WOUNDS『RUST ON THE GATES OF HEAVEN』
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2020年8月12日 (水)

YEAR OF THE KNIFE『INTERNAL INCARCERATION』(2020)

2020年8月7日にリリースされたYEAR OF THE KNIFEの1stフルアルバム。日本盤未発売。

YEAR OF THE KNIFEはアメリカ・デラウェア州出身の5人組ハードコアバンド。2015年結成とまだ活動歴は浅いほうですが、2019年にPure Noise Recordsと契約すると、それまでに発表した2枚のEPに新曲を加えたコンピレーション・アルバム『ULTIMATE AGGRESSION』(2019年)をリリース。KNOCKED LOOSEやJESUS PIECE、BOSTON MANORなどを擁するレーベルからの注目新人ということで、大きな注目を集めることになります。

そのコンピから1年半という短いスパンで届けられたこのフルアルバムは、全13曲で32分という非常にコンパクトなのに強烈なインパクトが凝縮された1枚。プロデュースを手がけたのがCONVERGEのカート・バルー(CODE ORANGEKVELERTAKRUSSIAN CIRCLESなど)というのもあってか、非常に密度の高い超重量級ハードコアサウンドを楽しめる良作に仕上がっています。

大半の楽曲が1〜2分台で、最長でも「Eviction」の3分10秒。アルバム自体の曲間もかなり詰められているので、まるで組曲のように聴こえたり、複雑な変化(アレンジ)を持つ楽曲だなと思っていたら数曲過ぎていたとか、そんな錯覚も与えてくれます。もっと言えば、(この手のバンドにしては)超高音質のライブを30数分にわたり目の前で繰り広げているような、そんな生々しさを楽しむことができるのです。

この手のバンドではデスメタル以降のヘヴィメタルや、デスコア以降のヘヴィサウンドに影響を受けた者も少なくありませんが、本作を聴いて感じたのはこのYEAR OF THE KNIFEはメタリックな質感ではあるものの、モダンなヘヴィメタルのそれとは異なるカラーだなということ。カート・バルーが手がけていることもあってか、CONVERGE以降のハードコアといった印象も強く、中でもCODE ORANGEのような変態性が強くない、非常にストレートな音を鳴らすバンドなんだなと気づかされます。

この瞬発力と攻撃性、言葉を失うほどの衝動性……これがまだ1枚目のアルバムだという事実に気づくと、改めて圧倒させられるのではないでしょうか。各メンバーはそれぞれキャリアのある面々のようですが、これはとんでもない注目株が現れたなと。この手のサウンド/バンドが好きな人にはたまらないのではないでしょうか。特にCODE ORANGEが新作『UNDERNEATH』(2020年)で遂げた変貌についていけなくなった人たちが、このYEAR OF THE KNIFEに流れるなんてことになっても不思議じゃないくらい、有無を言わせぬカッコよさがある。2020年下半期最大の注目作です。

 


▼YEAR OF THE KNIFE『INTERNAL INCARCERATION』
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2020年7月 6日 (月)

CODE ORANGE『I AM KING』(2014)

2014年9月にリリースされたCODE ORANGEの2ndアルバム。同タイミングにDaymare Recordingsから発売された本作にて、彼らは日本デビューを飾っています。

1stアルバム『LOVE IS LOVE // RETURN TO DUST』(2012年)はCODE ORANGE KIDS名義でのリリースだったので、CODE ORANGE名義では本作がデビューアルバム。とはいえ、参加メンバーは前作と同一なので、ここは素直に2作目とカウントしていいと思います。

前作から引き続きDeathwish Inc.からのリリース、プロデュースをカート・バルーが担当するという、デビュー時からのCONVERGEとのつながりもそのまま。すでに次作『FOREVER』(2017年)への布石が多数表出しており、メロディアスな要素皆無、一筋縄ではいかないメタリックなハードコア・サウンドで聴き手を翻弄してくれます。

スピードよりも重さや淀みを前面に打ち出したドゥーミーな作風は、先輩格のCONVERGEとは似て非なるもので、CODE ORANGEのほうがスラッジ・メタルあたりに近しい印象を受けます。また、電子的なエフェクト(カットイン/アウトなど)もすでに武器として随所に用いられており、ところどころでハッとさせられる。このインパクトの付け方がCODE ORANGEならではの魅力で、改めてこのタイミングから別格だったんだなと気づかされます。

オープニングの「I Am King」からラスト「Mercy」までの全11曲/32分半、正直息をするのを忘れてしまうほどの挟撃を受けるはず。それくらいの強烈さが伝わるこの力作を、できることならリアルタイムで体験したかった……。

というのも、僕はこのアルバムに関しては完全に後追いなんです。『FOREVER』から入ったリスナーなので、そのあとにこの『I AM KING』を聴くと(若干の違いはあるものの)そのつながりやバンドの成長ぶりには驚かされるばかり。内容的にも甲乙付け難い魅力が感じられます。

本作制作時点でメンバーが20歳前後〜20代前半という事実にも驚かされますが、このダークでカオティックな世界観こそが「2014年のリアルなアメリカ」だったのかな。そういう意味でも、このバンドは2010年代〜2020年代のUSモダンメタル/ハードコア・シーンを語る上で欠かせない存在なんでしょうね。

なお、本作はBillboard 200(アルバムチャート)で最高96位を記録。最新作『UNDERNEATH』(2020年)からこのバンドを知ったリスナーは、絶対に本作と次作『FOREVER』はあわせて聴いていただきたいなと。どれもハズレなしですから。

 


▼CODE ORANGE『I AM KING』
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2020年3月29日 (日)

KVELERTAK『SPLID』(2020)

KVELERTAKが2020年2月中旬に発表した4thアルバム。日本盤未発売。

Roadrunner Records経由で2ndアルバム『MEIR』(2013年)、3rdアルバム『NATTESFERD』(2016年)と2作品を発表し、世界的知名度を上げることに成功した彼ら。2018年夏に前任シンガーErlend Hjelvikが、2019年にはドラマーのKjetil Gjermundrødが相次いで脱退するという大きな転換期を迎えましたが、新たにIvar Nikolaisen(Vo)、Håvard Takle Ohr(Dr)という新メンバーを迎え、Rise Records移籍第1弾となる3年9ヶ月ぶりの新作を完成させます。

キャッチーさを強めつつ、初期2作の混沌さから若干の落ち着きを見せた前作『NATTESFERD』は賛否分かれる作風でしたが、今作ではプロデューサーをニック・テリーから初期2作を手がけたカート・バルー(CONVERGE)へと戻して制作。それもあってか、初期の爆発感や破天荒さが若干戻ってきており、前作に苦手意識を持ってしまっていたリスナーを引き戻す効果もあるのではと思っています。

最初こそ新ボーカリストの歌声に若干の違和感を覚えますが、楽曲の熱量が上がるに連れてあまり気にならなくなるはずです。事実、僕自身2曲目「Crack Of Doom」で早くも気にならなくなっていましたから(笑)。

ちなみに、その「Crack Of Doom」ではMASTODONのトロイ・サンダース(Vo, B)をゲストボーカルに迎え、初の英語詞ナンバーに挑戦。もともとデス声やスクリームを多用することで言語的にはあまり気になっていなかったKVELERTAKですが(笑)、この哀愁味を強めた爆走ロックンロールナンバーでは良い意味での“聴きやすさ”が強まっており、それは耳馴染みの良い英語詞の響きと相まって、前作とはまた異なるキャッチーさを強めることに成功しています。

また、「Discord」ではCONVERGEやCAVALERA CONSPIRACY、CAVE INなどで活躍するネイト・ニュートン(B)もゲストボーカルで参加。タイトルからおわかりのとおり、こちらも英語詞ナンバーですが終始スクリームの嵐なので、「Crack Of Doom」ほど英語詞である強みは表れてないかな(苦笑)。曲中やエンディングにフィーチャーされたギターのハーモニーは相変わらず気持ち良いですけどね。

前作から長尺の楽曲が増え始め、曲数のわりにトータルランニングが長くなりだしましたが、本作もその傾向は続いており、全11曲で約58分と過去最長の仕上がりに。とはいえただ長いだけではなく、爆走ロックと70年代のクラシックロックが融合したような「Bråtebrann」や、80年代のスラッシュメタル的側面を強めた「Fanden ta Dette Hull!」、悲哀さに満ちたギターフレーズ&メロディとクリーントーンでのボーカルが不思議な世界へと誘う8分超えのプリグレッシヴな大作「Delirium Tremens」など新境地を見せる楽曲も含まれており、単に初期2作へ回帰するのではなく、過去を抱えつつも前進することを選んだバンドの強い意思が感じられる力作と言えるのではないでしょうか。

本作を聴いたあとに『NATTESFERD』へと戻っていくと、実は意外と無理なく楽しめることにも気づくはず。そういった意味では、前作での実験も見事に回収した、「第2期KVELERTAKの始まり(第1期KVELERTAKの総集編も含む)」を示す1枚と言えるでしょう。僕は大好きですよ、これ。

 


▼KVELERTAK『SPLID』
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2020年1月 8日 (水)

KVELERTAK『KVELERTAK』(2010)

ノルウェー出身の6人組HR/HMバンド、KVELERTAKが2010年6月に本国でリリースした1stアルバム。北米では6曲のボーナストラックを追加した形で、翌2011年3月に発売されています。日本盤未発売。

僕が彼らのことを知ったのは、続く2ndアルバム『MEIR』(2013年)からで(同作で日本デビュー)、後追いでこの1stアルバムまでたどり着きました。で、「うわーっ、もっと早くに出会っていたかった!」と実感させられることになるわけです。

トリプリギター編成でサウンドはストレートなロックンロール/爆走ハードロックと聞くと「それ、3人も必要?」と思ってしまうわけですが……この分厚さを出すには3人必要! 絶対3人じゃなきゃダメなわけですよ。

彼らが体現しているのは“Black 'N' Roll”と呼ばれる“ブラックメタル+ロックンロール”というエクストリーム・メタルの一種で、MOTÖRHEAD直系のハードドライヴィングなロックンロールに、ブラックメタル調のスクリームを乗せたスタイルは決して馴染みやすいとは言い切れないもの。しかし、アルバムを聴き進めていくと不思議とクセになってくるのです。

ギタリスト3人は無駄じゃないか?と先に書きましたが、このうち1人はピアニストも兼任。曲によってはTHE HELLACOPTERSにも通ずるピアノプレイも聴かせてくれます。これがね、いいんですよ。例えば「Blodtørst」のサビで聴けるアンサンブル……ひとりがリフを刻み、もうひとりが泣きまくりのギターソロを乗せる。そして3人目はギターを弾かずにシンプルなピアノリフを刻み続ける……そうそう、俺たちが好きな北欧ロケンローバンドってみんなこうだったじゃん!っていう事実を思い出させてくれるのです。

にしても、メロディの役割を流麗なギターソロ/フレーズで代用してくれるところは、メロデスにも通ずるものがあるのかな。言語は非英語(1曲だけ英語詞)ですが、スクリームでほぼ何を歌っているか判別できないので、特に問題ないかなと(笑)。そのへんのブラックメタルやデスメタルが好きで、かつ北欧の爆走ロケンローバンドが好きというリスナーなら間違いなく受け入れられるはずです。

あと、リミッターを外したかのような生々しい録音状態も最高の一言。実は本作(と続く『MEIR』)ではプロデュース&ミックスをCONVERGEのカート・バルーが担当しているんです。ね、納得でしょ?

現在流通しているCDおよびストリーミング版は、USリリース同様6曲追加された全17曲バージョン。こちらでは2010〜2011年のBBCセッションズ4曲と2009年のデモ音源2曲を楽しむことができます。

 


▼KVELERTAK『KVELERTAK』
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2018年8月 2日 (木)

CONVERGE『BEAUTIFUL RUIN』(2018)

今年6月末に突如デジタルリリース&ストリーミング配信開始となった、CONVERGEの最新EP。トータルで7分に満たない、ショートチューン4曲で構成された勢い重視の1枚です。

ジャケットのテイストなどからもなんとなく想像できるように、本作は昨年11月にリリースされた5年ぶりのアルバム『THE DUSK IN US』と同時期にレコーディングされた、いわばアウトテイク集のようなもの、と言えるかもしれません。

アルバムでは長尺のミディアムヘヴィナンバーや叙情性の強いメロウナンバーなどを用意することで、これまでのCONVERGEの作品から頭ひとつ抜き出た異色作といったイメージを与えてくれましたが、このEPにはそういった要素は皆無。頭を空っぽにして、この激情まみれの爆音に浸ることができるはずです。

もうね、このEPに関してはこれ以上説明はいらないかなと。言葉よりもまず音。何か語っているうちに4曲あっという間に終わってしまうので。気を抜かずに接してほしいです。

『THE DUSK IN US』のレコーディングに際し、アルバム未収録曲が5曲残っているようなことを、リリース当時のインタビューでメンバーが語っており、そのうちの1曲「Eve」はアルバムからのリードシングル「I Can Tell You About Pain」にカップリングとして収録済み(この7分強もあるダークでカオティックな大作は、Spotifyなどストリーミングサービスでも聴くことができます)。

残る4曲がどういった形でリリースされるのか、はたまたこのまま発表されずじまいなのか、それは神のみぞ知るといったところでしたが、まさかこういう形でサプライズリリースされるとは思ってもみませんでした。

これで『THE DUSK IN US』関連の音源はすべて世に出たことになります。いまだ実現しない同作の日本盤発売、そして来日公演。ぜひ今後日本盤を発表することが実現した際には、ぜひEPなどの5曲を別添えにした“コンプリートエディション”にしてもらいたいところです。『THE DUSK IN US』に関してはすでに輸入盤CD、アナログ盤を購入済みですが、ちゃんと国内盤も購入しますので。よろしくお願いします。

にしても、改めて。『THE DUSK IN US』発売から9ヶ月近く経ちましたが、まだまだ色褪せない傑作だなと。そして、5曲のアウトテイクを通して再び『THE DUSK IN US』に戻ると、またこの作品の個性が際立つのではないかと思うのです。まだ聴いていないというリスナーがいましたら、悪いことは言いません。今すぐ聴きなさいって。もちろん、できるだけ大音量でね。

 


▼CONVERGE『BEAUTIFUL RUIN』
(amazon:MP3

 

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Williams AA= AAAMYYY Abbath AC/DC Acacia Strain, the Accept Ace Frehley Adam Lambert Adrian Younge Aerosmith AFI After the Burial Afterglow aiko Air (France) AIR (Japan) AKB48 ALAZEA Alcatrazz Alcest Aldious Alice Cooper Alice in Chains Almighty, the Alter Bridge Altitudes & Attitude Amaranthe American Head Charge American Hi-Fi Anaal Nathrakh Anaïs Anchoress, the Anderson .Paak Andrew W.K. 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