CORROSION OF CONFORMITY『BLIND』(1991)
1991年11月5日にリリースされたCORROSION OF CONFORMITYの3rdアルバム。日本盤は翌1992年2月21日発売。
フルアルバムとしてはMetal Blade Recordsから発表された前作『ANIOSITY』(1985年)から実に6年ぶりの、Relativity Records移籍第1弾作品。RelativityはインディーズながらもSony流通だったこともあり、日本でも無事日本盤が発表されています(なお、正式なメジャーデビューは続く『DELIVERANCE』(1994年)より)。
このアルバムはカール・エイゲル(Vo)、ペッパー・キーナン(Vo, G)、ウッディ・ウェザーマン(G)、ピル・スウィッシャー(B)、リード・ミューリン(Dr)という、マイク・ディーン(Vo, B)不在の異色な布陣で制作。基本は専任ボーカルのカールが歌っていますが、「Vote With A Bullet」のみペッパーも歌っており、続く『DELIVERANCE』以降の布石を残しています(1995年にメジャーのColumbiaから再発された際には、ペッパーVo曲はもうひとつ「Jim Beam And The Coon Ass」が追加されています)。
サウンド的にはハードコアパンクからの影響が強く表れた前作やその後のEP『TECHNOCRACY』(1987年)から脱却し、スラッシュメタルやハードロック/ヘヴィメタルの側面が強まったイメージが強い。ザクザク切り刻むようなギターリフと、グルーヴィーなリズムセクション、ハードコア以降のボーカルスタイルという要素の融合は、当時“クロスオーヴァー”なんて呼ばれていましたが、一方では次作で本格的に開花するレイドバックしたスラッジメタルスタイルの片鱗も随所から感じ取ることもできる。ある意味過渡期と言えなくもないですし、バンドが首謀者(マイク)を欠いたことで新たなステップに進もうともがいていると見ることもできます。
しかし、それを抜きにしても、ミクスチャーやクロスオーヴァーなどのカテゴライズで括るには勿体ないくらいにクールなサウンドは、2021年の耳で聴いても非常にカッコよく聞こえます。カールのボーカルはペッパーほどガッツがあるというわけではなく、時々ヘロヘロな様子も伺わせますが、逆にこのタッチがミクスチャー/クロスオーヴァーっぽいと言えなくもない(偏見かな?)。これをガッツリ歌い上げちゃうと、普通のスラッシュメタルになっちゃいますものね。
とはいえ、オープニングの「These Shrouded Temples...」や中盤の「Shallow Ground」、本編ラストの「...Remain」といった短尺のインストナンバーから次曲に流れるドラマチックな構成は、なんとなく旧来のスラッシュメタル的でもあり、音的には従来のメタルやスラッシュとは質感が多少異なるものの、そういった点に親しみを覚えてしまう。特に「Shallow Ground」から「Vote With A Bullet」へと続く構成はゾクっとするものがあり、カールのヘロヘロ声との違いもあって気が引き締まります。
スラッジを軸にした路線は、その後の『DELIVERANCE』へと引き継がれ、次々作『WISEBLOOD』(1996年)で完全に開花。特に後者は日本でも好セールスを記録し、1997年に初来日も実現したほどの結果を残しており、80年代のハードコアスタイルからの脱却という意味でもこの『BLIND』は数年後のブレイクへ向けた助走がスタートした、重要なターニングポイントだったと言えます。これも、1991年らしい空気を漂わせる、“らしい”1枚ですね。
なお、本作リリースから30年後の2021年11月5日には、1988年および1991年のデモ音源6曲を追加したエクスパンデッド・エディションもデジタルリリース。1988年のデモはマイク脱退後/カール加入前という貴重な時期によるものです。
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