2017/05/23

COVERDALE・PAGE『COVERDALE・PAGE』(1993)

1993年初春にリリースされた、元LED ZEPPELINのジミー・ペイジ、そして当時WHITESNAKEの活動を停止させていたデヴィッド・カヴァデールが結成したスーパーグループCOVERDALE・PAGEの、最初で最後のアルバム。大概のスーパーグループは大した成功を収めることもなく、短命で終わるわけですが、このバンドの場合もアルバム作ったはいいけどワールドツアーが行われることもなく、同年12月に日本でツアーが行われたのみというありさま。まぁそんなもんですよね。

大ヒット作『WHITESNAKE』(1987年)とそれをフォローアップする『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)で、それまでの中音域を軸とした歌い方からハイトーンでガナる歌唱法に変わり、喉を酷使しまくったカヴァデール。バンドメンバーともなんだかんだあり、結局1990年夏のツアー終了をもってWHITESNAKEの活動を一旦休止させます。

同じ頃、1988年に初の本格的ソロアルバム『OUTRIDER』のリリース、同年春に実施されたAtlantic Records 40周年コンサートでのジェイソン・ボーナム(ジョン・ボーナムの息子)を交えた編成でのLED ZEPPELIN復活な、そして1990年にZEPPELINのスタジオアルバムリマスタリング&ボックスセットのリリースなど、解散以降ようやくZEPPELINと本気で向き合い始めたペイジ。当初はロバート・プラントに再結成を持ちかけたようですが、過去を振り返るのが嫌いなプラントから拒否られ、「だったら、他に歌える奴と組むか」……と思ったかどうかは知りませんが、80年代後半に「ZEPクローン」のきっかけを作ったカヴァデールと組むことになるわけです。

「LED ZEPPELINとWHITESNAKEの邂逅」とも「LED ZEPPELINとDEEP PURPLE(だが3、4期)の邂逅」とも受け取れるこのCOVERDALE・PAGE。カヴァデールとペイジ、そして当時AEROSMITHなどで名を上げていたエンジニアのマイク・フレイザーが共同プロデュースを務め、レコーディングにはドラムにデニー・カーマッシ(元MONTROSE、HEART。この後、WHITESNAKEに加入)、ベースにヨルグ・カサス(80年代にグロリア・エステファンのMIAMI SOUND MACHINEにいた人みたいです)、キーボードにレスター・メンデス(サンタナはじめラテン系アーティストと関わりが深い、ソングライター兼キーボーディスト)が軸となって参加しています(一部楽曲で元THE BABYS、BAD ENGLISHのリッキー・フィリップスがベースを弾いていたり、MVで当時THUNDERに在籍していたマーク・スネイク・ラックハーストがベースを弾いていて、これを理由にバンドをクビになったなんて話もあります)。

さて、前置きが長くなりましたが……アルバム、長くないですか?(苦笑) 11曲で60分超え。当時はCD大全盛期突入期で、多くのロックバンドが60分超えの作品を続発していましたが(AEROSMITH『GET A GRIP』、BON JOVI『KEEP THE FAITH』など)、COVERDALE・PAGEの場合は1曲あたりのカロリーが高い! 3分台〜4分台前半の楽曲は2曲のみ、6分超えは4曲(ほぼ6分を含めて5曲)ですからね。これ、単にペイジの趣味なのか、カヴァデールがペイジと組めるからと頑張っちゃったのか。

ただ、それぞれの楽曲は「当時における現代的なハードロック」として考えればよくできていると思います。なにせペイジが本腰を入れてZEPPLEINの封印を解いて作った楽曲に、そこに当時バリバリハイトーン+加齢による枯れも加わり始めたカヴァデールの歌が乗るわけですから、悪いわけがない。

もちろん、それはフラットに見ればの話。これがLED ZEPPELIN、WHITESNAKEどちらか一方にでも偏ってしまったら、一気に駄作の烙印が押されてしまいそうな気がしますが。

基本的にはWHITESNAKEが『SLIDE IT IN』(1984年)や『WHITESNAKE』、『SLIP OF THE TONGUE』で試みた“ブルージーで仰々しいバンドサウンドにハイトーンボーカルが乗る”スタイルがベースにあり、そこにペイジならではのアイデアが加えられていくといった印象。だからZEPPELINファンからすれば不満が多そうですし、WHITESNAKEファンからすれば「直近2作と比べたらギターが……」と思うかもしれない。そう、だからどちらか一方に偏っちゃダメなんです。気を確かに。

サウンドやバンドアレンジ自体はペイジらしさも確かにあるし(特にアコースティックギターを多用したプレイやハーモニカを導入するところ)、ソロ作『OUTRIDER』がレイドバックしたブルースロックだったから正直ここまでモダンなことやるか!という驚きも多かった。けど、ペイジ自身はこれに近いことをプラントとやりたかったんだよね。中音域がセクシーなカヴァデールがさんざん「もうおなかいっぱい」と言ってたハイトーンを連発するのは、そのへんも大きく関係しているんじゃないかと思われます。

とはいえ、ちゃんと中音域を多用した楽曲も収められていて。バラードタイプの「Take Me For A Little While」や「Take A Look At Yourself」がまさにそれで、前者はZEPPELINタイプ、後者はWHITESNAKEタイプと受け取ることもできるかと(また比較しちゃった)。ペイジが得意とする中近東テキスト+フォーキーさが色濃く表れた(主に前半)「Easy Does It」もそっち寄りかと。もっと言えば「Shake My Tree」や「Pride And Joy」にもそういう要素がちゃんと含まれているよね。さすがに枯れすぎで最初聴いたときは度肝を抜かれたけど。

前半の「LEDクローン」的楽曲も決して悪くないんだけど、個人的には終盤の3曲……当時のカヴァデールがいかにもやりそうなヘヴィブルース(しかも本作最長の約8分)「Don't Leave Me This Way」、ライブのオープニングにふさわしくてひたすらカッコいい「Absolution Blues」、ZEPPELINやWHITESNAKEというよりCOVERDALE・PAGEとしての可能性を感じさせたラストトラック「Whisper A Prayer For The Dying」が良いんですよね。派手さ的には前半4曲(「Shake My Tree」「Waiting On You」「Take Me For A Little While」「Pride And Joy」)なんだろうけどね。

時代的にはグランジ全盛期、HR/HMはすでにオールドウェイブ的存在に追いやられていた中発表された本作は、全米5位、全英4位を記録。セールス的には全米50万枚止まりだったようです。WHITESNAKEの新作と考えればまずまずの成功と言えるし、LED ZEPPELIN関連作と捉えれば低調と言わざるをえない。この微妙な結果がプロジェクトの寿命をより縮めた、とも言えますが……ただ、この“実験”があったからこそ、ペイジは翌年以降にプラントと組んでアルバム作ったりライブをしたりできたわけで、カヴァデールもWHITESNAKE再編へと動きだすことができたわけです。そういう意味においては、スーパーグループではあったけどそれぞれにとって過渡期だった……と言ったら失礼でしょうか。



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投稿: 2017 05 23 12:00 午前 [1993年の作品, Coverdale・Page, Jimmy Page, Led Zeppelin, Whitesnake] | 固定リンク