✝✝✝ (CROSSES)『INITIATION / PROTECTION』(2022)
2022年3月18日にリリースされた✝✝✝のデジタルシングル。
✝✝✝(“Crosses”と読む)はDEFTONESのチノ・モレノ(Vo)と、彼の幼少期からの友人である元FARのショーン・ロペス(G)、そしてチャック・ドゥーム(B)の3人で2011年からスタートさせたサイドプロジェクト。2枚のEPを経て、2014年2月にフルアルバム『✝✝✝』をSumerian Recordsから発表し、全米26位という高記録を樹立しました。同作を携えたツアー以降はプロジェクトとして表立った稼働は見られませんでしたが、2020年末にCAUSE AND EFFECTのカバー「The Beginning Of The End」を突如発表。さらに、1年後の2021年12月にはク・ラザローのカバー「Goodbye Horses」を発表し、この際には新たにWarner Bros. Recordsと契約し、2022年春に新曲をリリースすることもアナウンスしていました。
この発表から約3ヶ月後に届けられたのが、この2曲のオリジナル曲。どちらの曲もチノがDEFTONESで表現してきたダーク&ゴシックなテイストをエレポップ/ダークポップサウンドに置き換えた作風で、アルバム『✝✝✝』で作り上げた楽曲/サウンドをさらに一段高いステージへと到達させることに成功しています。
その質感は、直近ということもあり「The Beginning Of The End」や「Goodbye Horses」で試みたアレンジの延長線上にあるものと言えるでしょう。「Initiation」はスローテンポなダークナンバーで、80年代のニューロマンティック、特に往年のDURAN DURANを彷彿とさせるものがあります。チノ、バンドでカバーするくらい好きですものね(笑)。また、起伏あるドラマチックなメロディラインはDEFTONESでもそのまま活かせそうな良質なもので、この1曲だけでも来たる2ndアルバムへの期待が大きく高まるはずです。
続く「Protection」も「Initiation」と同系統の作風で、DEPECHE MODEにも通ずる耽美さは「Initiation」よりも数歩上といったところでしょうか。特にこちらはリズムよりもベースラインを強調させたアレンジで、一時期のTHE SMASHING PUMPKINSとイメージが重なる面も見つけられるのでは。DEFTONESではいかつさも自然とにじみ出てしまうチノのボーカルは、ここでは肩の力を抜きまくったナチュラルなものを味わうことができます。
エレポップやニューロマ、ゴスなどの80's文化からの影響を反映させたプロジェクトながらも、結成から10数年の歳月を経たことで意外にも現代のシーンとリンクしていることにも気づかされる今回の2曲。まもなく届けられるであろう2ndアルバムの前作超えも、想像に難しくなさそうです。
▼✝✝✝ (CROSSES)『INITIATION / PROTECTION』
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