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カテゴリー「Cult, the」の7件の記事

2021年10月 2日 (土)

MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)

2021年10月1日にリリースされたMINISTRYの15thアルバム。

前作『AMERIKKKANT』(2018年)から約3年半ぶりの新作。前作は当時のドナルド・トランプ政権に対するアメリカへの怒りがそのまま作品として昇華されていました。では、当時と状況が大きく変化した現在、アル・ジュールゲンセン(Vo, G)はどんな思いを抱え、表現の源泉としているのでしょう。

プレスリリースには、本作に対して「トランプも退陣し、民主党政権となった現在のアメリカで、アルは何を思うのか。彼によれば、『道徳的衛生』と題された本作は、『怒りよりも教訓的な内容』になっているとのこと。レーガンが新自由主義を掲げると、強欲が美徳となった。人々は他人を顧みず、自分のことだけを考えるようになってしまった。今こそ、そんな世の中を変える時だ。我々が必要としているのは『道徳的衛生』なのだ。そんなメッセージが、おなじみのミニストリーのヘヴィなビート乗って、紡ぎ出されていく」との説明があります。作品のテーマは前作での怒りとは異なるものですが、世界を変えようとする彼の意思はまったくブレておらず、そのへんが過去作の延長線上にある作風にて表現されているように感じます。

確かに前作ほどストレートなアングリー感はありませんが、それでもMINISTRYらしいご機嫌のヘヴィなインダストリアルサウンドは健在。従来の作品を楽しんできたファンなら問答無用で楽しめる内容と言えるでしょう。ここ数作で再び復活した「TV」シリーズの新曲「TV Song #6 (Right Arount The Corner Mix)」も収録されていますしね。

ゲストミュージシャンも相変わらず豪華の一言。「Sabotage Is Sex」では元DEAD KENNEDYSのジェフ・ビアフラ(Vo)が、いかにも彼らしいボーカルを披露しており、イギー・ポップ率いるTHE STOOGESの名曲「Search And Destroy」のインダストリアル風カバーではビリー・モリソン(G/ビリー・アイドル、ex. THE CULTなど)が豪快なギタープレイを聴かせてくれます。このほか、プロフェッサーXことアラビアン・プリンス(DJ)がオープニングトラック「Alert Level」が参加しているほか、ロイ・マイヨルガ(Dr/STONE SOUR)、デイヴィッド・エレフソン(B/ex. MEGADETH)などの名前を見つけることもできます。

個人的には「ちょっとユルいかな……」と感じる場面もある1枚で、正直言え均的、いかにも普通な仕上がりなんですよ。全体的に楽曲1つひとつがコンパクトなのもそうですし、ちょっと薄味かな、と。それはこのバンド/ユニットに対する期待値が、常に一定水準以上のものを求めてしまっているからなのかもしれません。特に、サウンドに関してはもはや新しいテイストを求めていないような気もしますし(もちろん、MINISTRYという存在にとってはそれが正解かもしれませんが)。

となると、このバンドにとっての正解は、やはり歌詞やメッセージ、姿勢、体制で作品の真価を問うことなのかな。こと日本人にとっては、そのへんを深く理解するにはちょっと難しいのかもしれませんが(対訳だけでは伝わらない、英詞から垣間見えるものもありますし)、そのへんも含めしっかり評価できるようになりたいなと、個人的には考えています。

なので、音的には70点、メッセージ性を含めてプラス15点くらいの内容かな、と。あくまで個人的観点ですが。

 


▼MINISTRY『MORAL HYGIENE』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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2020年3月27日 (金)

THE CULT『CEREMONY』(1991)

THE CULTが1991年9月下旬に発表した、通算5作目のスタジオアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの、同年10月末にリリースされています。

3rdアルバム『ELECTRIC』(1987年)で時代の寵児、リック・ルービンをプロデューサーに迎えハードロック・バンドへの転化を成功させたTHE CULT。続く4作目『SONIC TEMPLE』(1989年)では、これまた当時の人気プロデューサーであるボブ・ロックを迎え、よりタフでファット&ヘヴィに進化したサウンド、楽曲でリスナーを惹きつけ、全英3位/全米10位という大成功を収めました。

大ヒット作『SONIC TEMPLE』から2年半を経て発表された今作は、プロデューサーを新たにリッチー・ズィトー(CHEAP TRICKHEARTBAD ENGLISHなど)へと変更。いわゆる産業ロック的サウンドを得意とする人選ですが、展開されているサウンドそのものは『SONIC TEMPLE』の延長線上にある、より“深化”させたハードロックを楽しむことができます。

長年在籍したベーシスト、ジェイミー・スチュアートの脱退を経て、イアン・アストベリー(Vo)&ビリー・ダフィー(G)の2人体制で制作に臨み、リズム隊には前作にも参加のミッキー・カリー(Dr/ブライアン・アダムスなどでおなじみ)、キース・リチャーズのソロ作で知られるチャーリー・ドレイトン(B)を迎えてレコーディング。それもあってか、硬質なハードロックサウンドにも関わらず“ノリ”にしなやかさが加わっている印象を受け、聴きやすさという点においては前作以上のものがあります。

また、本作は全11曲で63分という長尺な作品で、5〜6分台の楽曲が中心。中には「White」のようにほぼ8分もある大作も含まれています。ミディアム〜スローな楽曲が大半ということもあり、これだけの長さになったのかな。オープニングの「Ceremony」からして6分半もあるのですが、このLED ZEPPELIN的な空気感/リズム感を持つヘヴィチューンで大体の雰囲気は掴めるはずです(前作の延長線上にあるという点において)。続く「Wild Hearted Son」も前作における「Fire Woman」的な作風ですし、「Earth Mofo」みたいなアップチューンも「If」のようにエモーショナルな泣メロナンバーも「Heart Of Soul」のように壮大さを持つ歌モノ・ミドルナンバーも含まれている。ただ、これらがすべて良い意味でカッチリ作り込まれすぎていないナチュラルさを放っているおかげで、前作の二番煎じでは終わらない新鮮味を感じながら楽しむことができるのです。

チャート的には全英9位/全米25位と前作から数字を落としていますが、アメリカでは100万枚超えと前作並みのセールスを残しています。音楽的な充実度という点においては、実は本作こそが“ハードロックバンド”THE CULTのピークだったのかな、と。HR/HMからグランジへとシフトしていく時代の間に産み落とされた、今こそじっくり聴くべき1枚です。

 


▼THE CULT『CEREMONY』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2017年9月22日 (金)

THE CULT『ELECTRIC』(1987)

ゴシックロックやポストパンクの流れにあった前作『LOVE』(1985年)が本国イギリスで最高4位まで上昇。アメリカでもTOP100内(87位)に入るヒット作となり、続く3rdアルバムで世界的な大ブレイクが期待されるわけです。ここでTHE CULTは前作同様にスティーヴ・ブラウンをプロデューサーに迎え次作『PEACE』の制作に突入するのですが、出来上がった作品はバンド側が満足するような内容ではありませんでした。

そしてバンドは新たにリック・ルービンをプロデューサーに迎え、アルバムを作り直します。そんな紆余曲折を経て完成したのが、1987年春に発表された『ELECTRIC』です。

SLAYERBEASTIE BOYSなどのプロデューサーとして知られていたリックですが、本作ではオールドスクールなハードロックサウンドを展開。どこかAC/DCみたいで、無駄をそぎ落とした隙間だらけのサウンドは、ビッグプロダクションが当たり前だった当時のHR/HMと比較するとチープに聞こえたかもしれません。しかし、本作発売から数ヶ月後にGUNS N' ROSESがデビューすることで、その印象は一変するわけです。時代がTHE CULTに追いつくわけですね。

ポストパンクとかニューウェイブ、ゴシックロックとは一体何だったのか?と、前作までのTHE CULTを好んでいたファンからすれば、ここで完全に別モノになってしまったわけですから、そりゃあショックですよね。だってオープニングの「Wild Flower」からして、ギターリフ一発ですべてが決まるような、シンプルなR&Rなわけですから。しかもLED ZEPPELIN的な展開を含む「Love Removal Machine」があったり、ツーバス全開のファストチューン「Bad Fun」があったり、挙げ句の果てにSTEPPENWOLFの名曲カバー「Born To Be Wild」まであるんだから。それ以前のファンからしたら「誰だよお前ら!」ってツッコミたくなりますわな。

とはいえ、当時高校生だった自分は『LOVE』以前の彼らを知らず、本作からTHE CULTに入っていったので、当然彼らは普通にハードロックをやってきたバンドだと思っていたし、そこから『LOVE』にさかのぼって唖然とするわけですが。今となってはそれもいい思い出ですけどね。

そんな一大革命を起こした本作、イギリスでは前作と同じく4位まで上昇し、アメリカでも最高38位にランクイン。100万枚を超えるヒット作となり、続く4thアルバム『SONIC TEMPLE』(1989年)と並ぶ代表作として現在まで多くのリスナーに愛され続けています。



▼THE CULT『ELECTRIC』
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2017年7月10日 (月)

THE CULT『SONIC TEMPLE』(1989)

リック・ルービンをプロデューサーに迎えた1987年の3rdアルバム『ELECTRIC』で、ゴシックテイストのニューウェイブサウンドからハードロック路線へとシフトチェンジし、それなりに成功を収めたTHE CULT。続く1989年の4thアルバム『SONIC TEMPLE』では時代の寵児ボブ・ロックをプロデューサーに迎え、より硬質なサウンドへとビルドアップさせます。

初期の『DREAMTIME』(1984年)や『LOVE』(1985年)のイメージは完全に払拭され、音だけ聴けば同時期に制作されたBLUE MURDERの1枚目MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD』、あるいはBON JOVI『NEW JERSEY』AEROSMITH『PERMANENT VACATION』にも通ずるものがあります。もちろんそこを狙っての起用なんでしょうけど、リック・ルービンらしさ満載のスカスカなハードロック(『ELECTRIC』)とはある種対局の作品を完成させたなという印象があります。

それは楽曲の構成にも端的に表れており、3分前後の楽曲が中心だった前作から一変、今作では4〜5分台の楽曲が中心で、オープニングの「Sun King」は仰々しいオープニングを含む6分超え、「Soul Asylum」に至っては7分半もあるのですから驚きです。

もちろん、ただ長くすればいいってわけじゃないい。そこはボブ・ロックが絡んでいるので問題なし。過剰なまでにドラマチックなアレンジが施されたことによって、THE CULTというバンドが本来持ち合わせていた“湿り気”が強調される結果となりました。むしろ前作のカラッとしたサウンドが異質なわけで、本作で聴ける音/アレンジのほうが実は本来の彼らに近いのでは……という錯覚に陥ってしまうのですから(笑)、さすがとしか言いようがない。

イアン・アストベリー(Vo)のボーカルも絶好調だし、なによりもビリー・ダフィー(G)のギターの暴れっぷりといったら。その後も印象的なギタープレイが聴ける作品はいくつかありますが、「American Horse」みたいにハードな曲ではグイグイ攻め、「Edie (Ciao Baby)」のような聴かせる曲では引きのプレイで印象づける、バランスの良いギタープレイを楽しむという点においては本作が随一ではないかと思います。

当時MTVや『PURE ROCK』(TBSで日曜深夜に放送されていた、HR/HM専門プログラム)で「Fire Woman」のMVが頻繁に流れていた印象があり、「ああ、THE CULT売れてるなぁ」なんて思ってましたが、実際に本作は全米10位という最大のヒット作になったんですよね。「Fire Woman」自体も全米46位とバンド史上最大のヒット曲になったし、他にも「Edie (Ciao Baby)」が全米93位まで上昇。後にも先にも、Billboard TOP100にランクインしたのはこの2曲のみ。

あ、本作のレコーディングではブライアン・アダムスのバンドでおなじみのミッキー・カリー(Dr)がドラムを叩いてますが、ツアーではのちにGUNS N' ROSESに加わるマット・ソーラムが参加していたのも、この時期の特筆すべきポイントです。



▼THE CULT『SONIC TEMPLE』
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2004年3月18日 (木)

THE CULT『BEYOND GOOD AND EVIL』(2001)

'80年代初頭にSOUTHERN DEATH CULTという名前でデビューし、何度か名前変更の後にTHE CULTとシンプルになり、'80年代中盤以降には「LOVE」、「ELECTRIC」、そして「SONIC TEMPLE」といった作品を連発、当初のゴス/ポジパン色が強いスタイルから徐々にタフでハードな路線へと移行していったこのバンド。'90年代に入ってからも「CEREMONY」、「THE CULT」と作品をリリースし続けたものの'80年代程の成功を得ることができず、残念ながら'90年代半ばに解散。各メンバーはその後それぞれソロ活動や新しいバンド/プロジェクトに専念するのでした。

しかし2000年。状況は一転します。いきなり再結成してしまうのです。ボーカルのイアン・アストベリーとギターのビリー・ダフィといったオリジナルメンバーの他に、レコーディングには参加したことがなかったものの、「SONIC TEMPLE」ツアーに参加した縁から声をかけられたドラムのマット・ソーラム(この時のツアーにGUNS N'ROSESが参加したことから、後にマットがGN'Rに加入することになるのです)という3人で(ベースは流動的だったようです)。まず彼らは同年夏に映画「60セカンズ」のサントラに "Painted On My Heart" という曲で参加します。これは彼らのオリジナルではなく、本来はAEROSMITHが歌う予定だった楽曲。オリジナルではないのですが、ちょっとノスタルジックなイメージが強い曲調が'80年代中盤以降の彼らを彷彿させ、まぁ復活の狼煙が上がるとまではいかなかったものの、ちょっとは話題になったように記憶してます。

そして翌'01年6月、解散前のラスト作となった'94年の「THE CULT」以来約7年振りの新作となる「BEYOND GOOD AND EVIL」を発表するのでした。同年8月には本当に久し振り、それこそ10数年振りとなる来日が「SUMMERSONIC」で実現、オールドファンを喜ばせ、新たなファンも(多少は?)開拓することになったのでした。

が、その後が続かなかった。アルバムはアメリカでもそこそこのヒットを記録、ビルボードのアルバムチャートでトップ40位入りする程で、ツアーも盛況だったようなのですが‥‥結局、再びバンドは分裂。現在イアンは元THE DOORSのメンバーらと共にTHE DOORS 21ST CENTURYというようなTHE DOORSのコピーバンド(だよな、これは)をやっていて、日本にも'03年夏の「SUMMERSONIC」で来日しています。ビリーは何やってるのかな‥‥ちょっと判りません。マットはご存じの通り(?)、古巣であるGN'Rの元メンバーらと元STONE TEMPLE PILOTSのシンガー、スコット・ウェイランドと共にVELVET REVOLVERというバンドを結成、昨年夏に映画サントラに "Set Me Free" という曲を提供、いよいよ'04年5月には待望のファーストアルバムをリリースするようです。各メンバーの活動が活発なのを知るに連れ、THE CULTはまた本当に終わっちゃったんだなぁ‥‥と寂しい気持ちになるのですが‥‥

さて、この「BEYOND GOOD AND EVIL」というアルバム。プロデュースを手掛けたのがかのボブ・ロックということもあり、大ヒット作「SONIC TEMPLE」以降の流れにある作品と呼ぶことができるでしょう。このアルバム以前/以降でバンドのスタイルもポジションも、かなり変わってしまいましたからねぇ。要するに『ビッグサウンドを伴うアメリカン・ハードロック』を基調とし、そこに本来の持ち味であるゴシックテイストを散りばめた、ある意味「やっと時代がTHE CULTに追いついた」かのようなアルバムに仕上がっています。と同時に、リリース当時は失敗作と呼ばれたラスト作「THE CULT」で実践した試みも登場し、そういう意味では『'80年代中盤‥‥「THE CULT」と改名して以降の集大成』と呼ぶこともできるでしょう。ビッグなドラムサウンドはバブリーな'80年代末~グランジ勃発前のHM/HR全盛期を彷彿させ、ザクザクしててダークな曲の上をのたうち回るギターは聴いてて気持ちいいし、そしてイアンのボーカルはこれまで以上に深みを増し、当時はまだ参加していなかったTHE DOORS‥‥そう、ジム・モリスンを彷彿させる歌唱で聴き手を驚かせます。時にVELVET UNDERGROUND、時にTHE DOORS、そして時に'80年代初頭のニューウェーブ/ゴスの流れを彷彿させながらも、基本にあるのはストレートなハードロック。ダークだけど昨今の流れとは一線を画するのは彼ら特有の個性であり、結局これを誰も真似できてないという事実。「THE CULTみたいな」バンドは沢山いるものの、「THE CULTの後継者」「ポストTHE CULT」は結局存在しない。やはりここがこのバンドの凄さといいましょうか。だからこそ再結成してこのアルバムで底力を見せつけられた時には、思わず唸ってしまったんじゃないでしょうか、世に腐るほどいる「なんちゃってTHE CULT」達は。

そう、だからこそさ‥‥この「続き」が観たかったし、聴きたかったんだよね‥‥世の中の流れが再びTHE CULTのようなバンドに対して好意的になってきてる気がするだけにさ。リリース当時は過小評価されていた'90年代の「CEREMONY」や「THE CULT」だって、2004年の今リリースしたら‥‥いや、「もし~なら」話はやめよう。とにかく。何時だって俺はウェルカムなので。何の将来性もないコピーバンドに早いところ見切りをつけて、またビリーと手を組んでくださいよ、イアンさんとかよぉ(マットはこの際いいや。GN'R組と仲良くやってください!)。



▼THE CULT『BEYOND GOOD AND EVIL』
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