THE DAMNED『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979)
1979年11月に発売されたTHE DAMNEDの3rdアルバム。
前作『MUSIC FOR PLEASURE』(1977年)はチャートインすることなく、ラット・スキャビーズ(Dr)の脱退を経てTHE DAMNEDは1978年春に一度解散。しかし、同年夏にはキャプテン・センシブル(B)とラット、デイヴ・ヴァニアン(Vo)が再集結し、ブライアン・ジェイムス(G)に代わりキャプテンがギターへとスイッチし、新たにアルジー・ワード(B)を迎えた新体制で再結成することになります。
その再結成第1弾アルバムが本作。それまでのメインソングライターだったブライアンが抜けたことで、楽曲の方向性も少し変化。アルバム冒頭を飾る「Love Song」「Machine Gun Etiquette」やシングルカットもされた「Smash It Up」、MC5のカバー「Looking At You」のような疾走パンクチューンも存在するものの、全体的にはそれまで以上にキャッチーさ、ポップさが強まっています。そういった意味では、すでにデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977年)のTHE DAMNEDとは別モノなのかもしれませんね。
その象徴的な楽曲が、「I Just Can't Be Happy Today」や「Anti-Pope」などといったところでしょうか。さらに「These Hands」あたりでは60年代のガレージ・サイケのようなテイストも見受けられ、のちのゴシックロック路線へと通ずるヒントがこの時点で見つけることができます。特に「Plan 9 Channel 7」あたりは、そのプロトタイプと言えなくもないのかなと。オルガンを随所にフィーチャーすることで、不思議とサイケデリック感が強まっているような印象も受けますが、実はこの音色こそ本作のポップ度を高める隠し味になっているのではないでしょうか。
前のめりなパンクチューン「Noise, Noise, Noise」にはTHE CLASHからジョー・ストラマー&トッパー・ヒードンがコーラスで参加。さらに「Machine Gun Etiquette」ではジョー&ポール・シムノンがハンドクラップで華を添えています。思えばTHE CLASHもこの頃は『LONDON CALLING』(1979年)にて、純粋なパンクロックから脱却し始めた時期。SEX PISTOLSを除くオリジナルパンク勢がブームの鎮火を経て、新たなステージへと進む過程がそれぞれ感じられる作品をそれぞれ発表していたことを考えると、非常に興味深いものがあります。こと、イギリスに関してはパンクロックに取って代わるように、アンダーグラウンドからは新たなメタルの波が押し寄せようとしていたタイミングですしね。
今聴いても冒頭2曲のメドレー風つなぎはカッコいい。話題は逸れますが、かのマイケル・モンローがライブでこの2曲を間髪入れずに続けて演奏していましたが、あのメドレー風構成こそが本作の掴みにおける醍醐味。気になる方はぜひマイケル・モンローのライブアルバム『ANOTHER NIGHT IN THE SUN: LIVE IN HELSINKI』(2010年)にて確認してみてください。
▼THE DAMNED『MACHINE GUN ETIQUETTE』
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