2018年4月22日 (日)

THE DAMNED『EVIL SPIRITS』(2018)

結成から40年を超えたTHE DAMNEDの、前作『SO, WHO'S PARANOID?』(2008年)以来10年ぶりの新作(通算11枚目)。前作も7年ぶりでしたし、そもそもライブで求められるのは初期の楽曲中心でしょうから、新作が求められているのかどうか微妙ですが……ここは素直に音を評価してみたいと思います。

現在のメンバーはデイヴ・ヴァニアン(Vo)、キャプテン・センシブル(G, Vo)のオリジナルメンバーのほか、モンティ・オキシモロン(Key)、ポール・グレイ(B)、ピンチ(Dr)。ベースのポールは80年代初頭に在籍したことがあり、昨年前任のスチュ・ウェストと入れ替わりで再加入したばかり。

プロデューサーはデヴィッド・ボウイなどでおなじみのトニー・ヴィスコンティ。サウンド的には80年代以降のサイケデリックロックやゴシックロックの延長線上にある、およそパンクロックとは呼びがたいもの。1stアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977年)や3rdアルバム『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979年)の路線を期待して臨むと痛い目を見ることでしょう。

とはいえ、彼らが今やパンクロック主体で活動していないことは、その動向を追っていればなんとなくわかっているはず。なので、そういう広い心でアルバムに臨むと……あれ、意外と良いんじゃない? と思えてくるから不思議です。

THE DOORSあたりを彷彿とさせるサイケガレージロック「Standing On The Edge Of Tomorrow」を筆頭に、序盤はスルスル聴き進められるはず。かと思うと、どこか土臭い壮大さのある“聴かせる”ミディアムナンバー「Look Left」、小気味良いシャッフルビートの「Sonar Deceit」「Daily Liar」、ジャジーなピアノバラードからドラマチックな展開を見せる映画のサントラみたいな「I Don't Care」と、意外とバラエティに富んだ楽曲群がずらりと並びます。

正直、僕は90年代以降のTHE DAMNEDをちゃんと聴いてきたわけではありませんが、これは80年代諸作品に非常に近い作風で、僕個人としてはなかなか聴き応えのある1枚だと思いました。デイヴ・ヴァニアンの落ち着いたトーンの歌声も気持ち良いですし、なによりも全体を覆うオルガンサウンドの気持ち良さといったら。初期パンクの固定観念さえ切り離せれば、普通に気持ちよく楽しめる1枚だと思いました。

なぜかホラー映画のサウンドトラックを聴いてるような、不思議な感覚に陥る作風・構成。アルバムジャケットもそれっぽいですもんね。単純に自分がホラーマニアだからか、この“架空のサウンドトラック”は新しさ皆無ながらも自分のツボにハマる、なかなかの好盤でした。



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投稿: 2018 04 22 12:00 午前 [2018年の作品, Damned, The] | 固定リンク

2017年5月16日 (火)

THE DAMNED『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977)

昨年結成40周年を迎えたイギリス・オリジナルパンクバンドのひとつ、THE DAMNED。2015年に制作されたドキュメンタリー映画『地獄に墜ちた野郎ども』も国内公開され、年明けには映像作品化。今年3月には待望の来日公演も行われる、特にこの半年くらいは久しぶりに彼らの話題を耳にする機会が多かったと思います。

彼らのデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(邦題:地獄に墜ちた野郎ども)が本国でリリースされたのは、1977年2月のこと。前年10月に発売されたデビューシングル「New Rose」はイギリスのパンクシーンにおいて最初にリリースされたシングルと言われており、本作もアルバムにおいては英パンクシーン初のアルバムとのこと。SEX PISTOLSTHE CLASHももうちょっと後なんですね。

実は僕がこの『DAMNED DAMNED DAMNED』を最初に聴いたのは、1990年代に入ってからのこと。確か1992年だったかな、「ロンドンパンク アルバム発売15周年記念」と銘打ってこのアルバムが国内初CD化されたのを受けて、手を出したと記憶しています。それ以前は地元の貸レコード店にもなかったかし(別のアルバムはあった記憶が)、それよりも当時はSEX PISTOLSに夢中だったから。

トータル12曲で30分をちょっと超える程度の収録時間。1曲目「Neat Neat Neat」イントロのベースラインと、それに続くシャウトで完全にノックアウトされ、現在に至るわけです。今でもよく聴くTHE DAMNEDのアルバムって、この1枚目と3枚目『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979年)ぐらいだもんなぁ。

本作は全曲疾走感の強いパンクチューンというわけではなく、2曲目に若干ダウナーなミドルテンポの「Fan Club」がすぐ来るし、どちらかというと速い曲とミドルテンポの曲が交互に並ぶといった印象。けど、そのテンポ感が意外と悪くなく、するすると聴けてしまう。アナログ各面のトップにシングル曲にして代表曲(A面が「Neat Neat Neat」、B面が「New Rose」)が並ぶのも良いし、特にB面(7曲目以降)はA面以上にテンポよく進行するし。どちらかというと、A面のほうがソングライターのブライアン・ジェイムズ(G)のこだわりが強いような気がします(でも5曲目「Stab Yor Back」はラット・スキャビーズ(Dr)の曲だけど)。で、ラストをTHE STOOGES「I Feel Alright」(原題は「1970」)のカバーで締めくくる。このバージョンはHANOI ROCKSのライブアルバムで先に知ったので、妙に安心感があるんですよね。

リリースから40年。始めて聴いてから25年も経つけど、常にどんなときでも気持ちよく聴けて、毎回爽快感を得られる。そんな究極の1枚がこの『DAMNED DAMNED DAMNED』なんじゃないかと思います。そういう意味ではピストルズもTHE CLASHも1枚目は同い立ち位置なんだけどね。



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投稿: 2017 05 16 12:00 午前 [1977年の作品, Damned, The] | 固定リンク