DANZIG『DANZIG』(1988)
グレン・ダンジグ(元MISFITS、元SAMHAIN)が1987年に決ししたバンド、DANZIGが1988年夏に発表したデビューアルバム。当時リック・ルービンが新たに設立した「Def American」(のちの「American Recordings」)第1弾作品としてリリースされました。
MISFITSというアクの強いパンクバンドを経てSAMHAINを結成するも、短命で終わってしまう。そんな中、新たに結成されたDANZIGはその名からも“あのグレン・ダンジグのリーダーバンド”であることが一目瞭然。きっと当時のロックファンはMISFITSの幻影を彼に求め、そしてそんな音を期待してDANZIGに臨んだのではないでしょうか。
当時高校生だった僕はMISFITSの音はまだ聴いたことがなく、あのルックスやアートワークしか知らない程度。そんな状態でまず、本作のリードトラック「Mother」と接するわけですが……あれ、カッコいいじゃんか!と普通に感じてしまったのです。
リック・ルービンがプロデュースしたこともあってか、どこかTHE CULT『ELECTRIC』(1987年)に通ずる世界観と質感があの曲の中にはあった。で、実際アルバムを通して聴いてみても、その直感は間違っていなかった。ブルースをベースにした、オールドスクールなハードロックが全体を通して貫かれている。そりゃあ問答無用で食いつきますよね。
ただ、今なら当時MISFITSの幻影を求めていたファンの気持ち、理解できますよ。そりゃあこれ聴いたら卒倒しますよね。
どこかジム・モリソン(THE DOORS)を彷彿とさせるボーカルスタイルは、ただただカッコいいの一言(そのへんもTHE CULTとの共通点だったりもするのですが)。そこに音数の少ない、隙間作りまくりのサウンドプロダクションと、非常にシンプルなブルースベースのハードロックが加わることで、より男臭さが増す。例えばそれは初期BLACK SABBATHに通ずるものがあったり、まだハードロックと呼ばれていた頃のJUDAS PRIESTっぽかったりもする。男らしいグレンのボーカルのせいで、そう感じないかもしれませんが、やってること自体はそのへんと共通するものがあるんじゃないでしょうか。
あるいは、アルバート・キングでおなじみのブルースの古典「The Hunter」のカバーをやっていることから、GREAT WHITEとの共通点もあったりする。ボーカルスタイルがまったく異なるので「いやいや、違うでしょ!」と思うかもしれませんが、僕はそのラインと同じ感覚で本作に接しています。
それにしても、「Mother」は今聴いても色褪せない名曲ですね。誰かカバーしてほしいなぁ。