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カテゴリー「Darkness, the」の7件の記事

2022年6月29日 (水)

CLASSLESS ACT『WELCOME TO THE SHOW』(2022)

2022年6月24日にリリースされたCLASSLESS ACTの1stアルバム。日本盤未発売。

CLASSLESS ACTは2018年に結成された、ロサンゼルス出身の5人組ハードロックバンド。80年代を彷彿とさせる時代錯誤なヘアメタル/グラムメタルサウンドが魅力で、2021年にASKING ALEXANDRIAFIVE FINGER DEATH PUNCHSIXX:A.M.などが所属するBetter Noise Musicと契約。今年6月からスタートしたMOTLEY CRUEDEF LEPPARDPOISONジョーン・ジェットの全米スタジアムツアーのオープニングアクトに抜擢されるなど、現在大プッシュを受けている存在です。

先にも書いたような往年のスリージーなハードロックサウンドは、かつてのものをそのままリバイバルさせただけではなく、THE DARKNESSBUCKCHERRY以降の現代的な質感も備わっており、懐かしさと同時に若干の新鮮さも伝わる仕上がり。メタルというよりはロックンロール寄りの質感で、ブルースロックをベースにしたまとまりの良いアレンジと、一緒にシンガロングしたくなるようなキャッチーなフレーズを要するスタジアムロック的側面を併せ持つ、ある意味では新人離れした完成度と言えなくもありません。

また、デビュー作ながらもバンドのテーマソングともいえるオープニング曲「Classless Act」にはMOTLEY CRUEのヴィンス・ニール(Vo)がゲスト参加し、冒頭から華を添えています。さらに、続く「This Is For You」にはイギリスのTHE DARKNESSからジャスティン・ホーキンス(Vo)をフィーチャー。80〜90年代から2000年代を見事につなぐこの人選は、さすがの一言。世が世なら、これだけで白米5杯くらいいけそうです(笑)。

派手で豪快なアップチューンに加え、ヘヴィ&ダークな「On My Phone」やグルーヴィー&サイケポップな「All That We Are」、グラムポップ調の「Made In Hell」、シャッフルビートを活用したリズミカルな「Walking Contradiction」、豪快でアーシーなギターリフが80年代のHR/HM黄金期を思い出させる「Give It To Me」、渋みもはらんだパワーバラード「Circles」、アルバムラストにふさわしいパワーバラード調のミドルナンバー「Thoughts From A Dying Man」など、どの曲も非常に練り込まれている。単に80年代回帰で終わらず、90年代や2000年代以降のヘアメタル/グラムメタルもしっかり研究しており、その成果がどの曲にもしっかり反映されているから、とにかく聴き応えがあって最後まで飽きさせない。この手の新人ハードロックバンドのデビューアルバムとしては、上出来な1枚ではないでしょうか。

ある意味ではイギリスのTHE STRUTS、イタリアのMÅNESKINに対するLAからの解答と言えなくもない彼ら。だからこそ、日本含めもっといろんな形で注目されてほしいなと思わずにいられません。もしモトリーとLEPPSのスタジアムツアーが日本にも上陸するチャンスがあったら、その際にはぜひ帯同してもらいたいところです。

 


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2021年12月 8日 (水)

THE DARKNESS『MOTORHEART』(2021)

2021年11月19日にリリースされたTHE DARKNESSの7thアルバム。

前作『EASTER IS CANCELLED』(2019年)から約2年ぶりの新作。ロック低迷と言われる海外ですが、本国イギリスでのチャートは最高16位と過去最低の順位となっています。もっとも、全英1位を記録したデビュー作『PERMISSION TO LAND』(2003年)以外はどれも10位前後を行ったり来たりなので、結果そんな大きな変化ではないのかな。むしろ、こういう世の中で彼らのようなバンドがTOP20入りするというのは大健闘でしょう。

本作は全9曲/36分程度の通常盤に加え、ボーナストラック3曲を追加した全12曲/45分のデラックス盤の2形態を用意(日本盤はさらに1曲追加の全13曲入り)。世の中の流れ的に比較的コンパクトな方向に移行しつつあるのは、サブスクの影響でしょうか。まあもっとも、80年代以前のロックの多くが10曲前後で40分前後という尺の作品ばかりだったので、原点に戻っただけとも言えますが。

コロナ禍を経て届けられた今作、冒頭を飾る「Welcome Tea Glasage」を筆頭にリードトラック「Motorheart」までの3曲がいつになく荒々しく走りまくっています。おやおや。かと思えば、M-4「The Power And The Glory Of Love」で従来の“らしさ”が強く表出し始め、続く「Jussy's Girl」ではDEF LEPPARDあたりとの共通点も見つけられる王道ブリティッシュロックを展開。M-6「Sticky Situations」ではQUEENからの影響を伝わる、非常にこのバンドらしいミディアムバラードで耳を幸せにしてくれます。

後半に入ると、「Nobody Can See Me Cry」で再び勢い付き、LED ZEPPELINMOTÖRHEADが合体したような豪快さを見せつける。また、「Eastbound」では軽快なロックンロールを展開し、「Speed Of The Nite Time」では彼ららしいオペラパートを中間に用意したダークなロックンロールを高らかに響かせる。その後、デラックス盤ボーナストラックとなる3曲……「You Don't Have To Be Crazy About Me... But It Helps」では本編になかったミドルテンポのパワフルなハードロックを提示し、「It's A Love Thang (You Wouldn't Understand)」ではアコギをフィーチャーした軽やかなポップロックを聴かせ、最後はピースフルなアコースティックバラード「So Long」で締め括る。

ひと通り聴いてみて思ったのは、非常に計算されたロックアルバムだなということ。とにかく聴きやすくて、スルスル聴き進められ、楽しい気持ちが持続していたかと思えば、気づくとエンディングを迎えている。本編9曲だけだと秒に感じられるほどのスピード感を味わえるのですが、やっぱりボートラ3曲を追加したデラックス盤の構成のほうがロックアルバムとしては完成度が高い気がします。

尺の短い通常盤がサブスク仕様なのかと思いきや、サブスクで配信されているのは12曲入りのデラックス盤のほう。通常盤はCDとアナログでしか手に入らないみたい(ということは、むしろバンドの意図は僕の想像とは逆だったのね。なんだかすみません)。

コンセプトアルバムとして制作された前作『EASTER IS CANCELLED』も全10曲/40分弱とコンパクト(デラックス盤は5曲追加で計15曲とボリューミー)でしたが、それに輪をかけてコンパクトで手軽に楽しめる今作は、間違いなくTHE DARKNESSというバンドにとってひとつの到達点ではないでしょうか。ここにきてようやく大ヒットを記録したデビューアルバムを超える傑作を生み出すことができたTHE DARKNESS、今がもっとも旬かもしれませんよ。

 


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2019年10月12日 (土)

THE DARKNESS『EASTER IS CANCELLED』(2019)

2019年10月初頭にリリースされた、THE DARKNESS通算6作目のスタジオアルバム。再結成して早くも4作目のスタジオ盤となります。

4thアルバム『LAST OF OUR KIND』(2015年)以降の彼らは非常に精力的にリリースを続けています。5thアルバム『PINEWOOD SMILE』(2017年)までの間隔は2年4ヶ月、前作から今作の間隔はまる2年ですが、その間には初のライブアルバム『LIVE AT HAMMERSMITH』(2018年)も発表されていますし。思えば『LAST OF OUR KIND』の制作中に現メンバーのルーファス・テイラー(Dr/QUEENのロジャー・テイラーの実子)が正式加入してからなんですよね、このペースって。それだけ現編成での活動が充実しているってことなんでしょうか。

さて、早くも届けられた今作は、バンド史上初となるコンセプトアルバム。オープニングを飾るリードシングル「Rock And Roll Deserves To Die」からして仰々しさ満載で、いかにも彼ららしい“QUEEN風コーラス”も健在。1曲の中に数曲分のアイデアが含まれているあたりもQUEEN的ですが、その後に続く数々の楽曲群がとにかくてんでバラバラなタイプばかり。悪く言えば散漫な内容かもしれませんが、いえいえ、意外とスルスル聴き進められてしまうんですよ、これが。

スケール感の大きなリズムによる「Heart Explodes」やムーディーなスローナンバー「Deck Chair」、アルバムを象徴する豪快なロックンロール「Easter Is Cancelled」、そのタイトルからは想像できないオープニングにギョッとする(笑)「Heavy Metal Lover」(中盤からのアレンジ、最高すぎ!)、枯れ具合が心地よいミディアムバラード「In Another Life」など、とにかく1曲1曲のクセが強いったらありゃしない。これだけバラエティに飛んだ楽曲が並んでいるのに、実は統一感が強い。それってつまり、THE DARKNESSというバンドの個性の強さやジャスティン・ホーキンス(Vo, G)が歌えばすべてTHE DARKNESSの楽曲になってしまうという強みの表れなんじゃないでしょうか。

オープニングこそ5分半と長尺気味ですが、以降は3〜4分台とコンパクトな楽曲が並ぶあたりも聴きやすさにつながっているのかな。全10曲で40分欠けるトータルランニングも程よいしね。

ただ、本作は海外デラックス盤と日本盤のみ5曲のボーナストラックが追加されたバージョンで流通。デジタル版もこちらの長尺版なので、通常の10曲と15曲バージョンとでは印象がガラッと変わるはず。正直、僕はM-10「We Are The Guitar Men」で潔く終わる構成がお気に入りです。曲が増えると、そのぶんアルバムの印象がボヤけてきますし。

かといって、ボートラ5曲の出来も決して悪いものではないので、まあこっちは余裕があるときにあわせて聴くといいよ、くらいの感覚で。もし点数をつけるとしたら、ボートラなしバージョンが90点、ボートラ追加バージョンで80点かな。この10点の差、大きいと思います。

 


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2019年8月19日 (月)

THE DARKNESS『HOT CAKES』(2012)

2012年8月にリリースされたTHE DARKNESSの3rdアルバム。

前作『ONE WAY TICKET TO HELL... AND BACK』(2005年)発表後、2006年にジャスティン・ホーキンス(Vo, G)の脱退によりバンドは解散。それぞれ別々に音楽活動を続けてきましたが、2011年春にジャスティン、ダン・ホーキンス(G)、フランキー・ポーレイン(B)、エド・グラハム(Dr)というオリジナルメンバーでの再結成を発表。同年秋には『LOUD PARK 11』での来日も実現しました。

こうしたライブ活動を経て完成した3rdアルバムは、全英4位/全米43位というデビュー作『PERMISSION TO LAND』(2003年)にも匹敵する数字を残しています。

ミックスにボブ・エズリン(KISSPINK FLOYDアリス・クーパーなど)を迎え、ほぼセルフプロデュースで制作された本作は、どこからどう切り取っても「これぞTHE DARKNESS」と呼べる内容。オープニングの「Every Inch Of You」こそシンプルで拍子抜けしそうになりますが、続く先行シングル「Nothin's Gonna Stop Us」はQUEEN風多重コーラスを含む“いかにも”な1曲。そこから「With A Woman」「Keep Me Hangin' On」と“ポップでいかがわしい”ロックンロールが続きます。

そうそう、これこれ!と言いたくなるぐらいに当時のままで、だけど前作からの時間の経過もちゃんと伝わるアップデート感も至るところに散りばめられており、全11曲(デラックス盤ボーナストラックを除く)を聴き終えたときの満足感・充足感は相当なものがあるはずです。

もし7年のブランクがなかったら、5枚目か6枚目あたりで醸し出しそうな空気感なのかな、これ。確かに『PERMISSION TO LAND』にあった衝動は弱まって、大人になった落ち着きが全体を覆っているかもしれないし、『ONE WAY TICKET TO HELL... AND BACK』でのバキバキに固められた無敵感もここにはないかもしれない。でも、負けを認めた大人たちが「それでも前に進もう」という気概だけは失わず、ルーツを忘れることなく今のやり方で“俺たちらしさ”を表現した。それが、この復活作なんじゃないでしょうか。

そういう意味では、終盤に含まれたRADIOHEAD「Street Spirit (Fade Out)」のカバーは「若い奴に取り入ろう」という意図とは異なる、「何をしたってTHE DARKNESSはTHE DARKNESSのまま」という証明をしようとしたのではないか。そう思わずにはいられません。じゃないと、こんなバカバカしいほどの名カバー(いや、迷カバー?笑)、アルバム本編に入れようと思いませんよ。

ちなみに本作、日本ではSpotifyで聴くことができません。Apple Musicでは配信されているので、気になる人はそちらでチェックしてみてください。

 


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2018年3月26日 (月)

THE DARKNESS『PINEWOOD SMILE』(2017)

イギリス出身の4人組バンド、THE DARKNESSが2017年10月に発表した通算5枚目のスタジオアルバム。2011年の再結成以降、『HOT CAKES』(2012年)、『LAST OF OUR KIND』(2015年)と個性的で良質なロックアルバムを定期的に発表し続けている彼らですが、本作では前作『LAST OF OUR KIND』の制作終盤に加入したルーファル・タイガー・テイラー(Dr)が全面参加(前作は1曲のみ参加)。このルーファル、QUEENのドラマーであるロジャー・テイラーの実子とあって、いろんな意味で注目が集まりました(ルックスもそっくりですしね)。

さて、気になる新作ですが、本国イギリスでは『HOT CAKES』以来のトップ10入り(8位)を記録し、まずまずの結果は残せているのかなと。個人的にも前作より気に入っている1枚です。

ノリのよいオープニングナンバー「All The Pretty Girls」から、ジャスティン・ホーキンス(Vo, G)のファルセットボイス炸裂。AC/DCを思わせるガッズのあるハードロック「Solid Gold」や、前のめりで突っ走る「Southern Trains」など個性的な楽曲がずらりと並び、序盤の掴みは完璧だと思います。

かと思えば、5曲目にソウルフルで軽やかなバラード「Why Don't The Beautiful Cry?」でリラックスしたり、メタリックなリフとQUEEN的ポップさを兼ね備えた(タイトルにニヤリとしてしまう)「Japanese Prisoner Of Love」、AOR的な香りさえ感じる「Lay Down With Me, Barbara」と続く中盤のバラエティ豊かさも素晴らしいの一言。

ここまで書くと「あれ、中身ってかなりバラバラなんじゃ?」と思うかもしれませんが、まったくそんなことはなく。多彩さはもちろんあるのですが、それを的確な演奏とジャスティンの芯が通った歌で表現することで、しっかり同じバンドが演奏している、同じバンドの作品と体感することができる。つまり、初期のQUEENにも通ずる個性があるんじゃないかと思うわけです。そういった点は、デビューアルバム『PERMISSION TO LAND』(2003年)の頃から一切ブレてないんじゃないかと思います。ただ、表現したいこと、挑戦したいことの幅は当時と比べてだいぶ拡散方向にありますけどね。

現代的ブリティッシュハードロックというよりも、もっと大きく、ブリティッシュロックの現代版という括りが似合うTHE DARKNESSの最新形。実はHR/HMファンよりも、古き良きブリティッシュロックを愛聴してきた層にこそ届いてほしい1枚かもしれません(ジャケのセンスの悪さも、意外と響くものがあるんじゃないかと)。あるいは、最近のTHE STRUTSあたりのバンドに興味を持った若いリスナーにも、ひっかかるものがあるのではと。

単なる焼き直しではなく、伝統を継承しつつも今を生きるバンドとして新しいものを生み出そうとする姿勢は、素直に尊敬に値します。こういうバンドがもっと報われるロックシーンになってほしい。そう願わずにはいられません。個人的にも『PERMISSION TO LAND』の次に好きな作品です。



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2005年12月16日 (金)

THE DARKNESS『ONE WAY TICKET TO HELL...AND BACK』(2005)

今年2005年初頭、「MOK Radio」にちょいゲスト出演した際や年頭の「RADIO TMQ」で『2005年、期待するアーティストは?』との問いに、俺は真っ先にBON JOVIと答えたわけですが‥‥それじゃこのエントリーはここで終ってしまうので‥‥続いて名前を挙げたのが、今や英国を(いろんな意味で)代表するふたつのバンド、OASISTHE DARKNESSの名前を挙げました。共に本国のみならずアメリカで成功を収めた、ここ数年間では数少ないイギリスの『ロックバンド』ですし、そりゃ期待しますよね‥‥時期的に2005年には新作がリリースされることは判ってたし。

OASISについてはこの際無視して(笑。彼等については12/23放送の「RADIO TMQ」にて改めて語りますのでお楽しみに!)、今回はTHE DARKNESSについて。

彼等が最初登場した時、本国の人達でさえ「21世紀にこれかよ……悪いジョークだな」って思ったであろうTHE DARKNESS。2003年当時に'70年代〜'80年代前半に流行ったハードロックを焼き直し、しかもボーカルはフレディ・マーキュリーばりの全身タイツ(キャットスーツ)をまとい、ファルセットを多用する。決してグッドルッキンなバンドじゃない、でも曲だけは最高にイカしててカッコ良かった。DEF LEPPARDTHE WiLDHEARTSといったバンドが彼等を後押しし、気づいたらアルバムは本国で爆発的に売れまくり、それはすぐにアメリカにも飛び火し、余所者には厳しいあのアメリカで50万枚近いヒットを記録したのでした。勿論ここ日本でも初来日公演は即日完売し、2004年夏の「SUMMER SONIC」で再来日を果たすはずでしたが、直前にボーカルのジャスティン・ホーキンスの急病で来日中止。現在に至るまで再来日は果たされておりません。

結局ニューアルバム制作に費やされたこの1年。ベーシストのメンバーチェンジがあったり、ジャスティンのソロ活動があったりしたものの、予定よりかなり遅れて何とか2005年中にリリースされた彼等の2ndアルバム『ONE WAY TICKET TO HELL...AND BACK』。予想してた以上の出来て、さすが待った甲斐があったなぁという作品に仕上がってます。

 基本的には1stアルバム『PERMISSION TO LAND』の延長線上にある作風であり、アルバムからの1stシングルである「One Way Ticket」を聴いても判る通り、前作を更に煮詰めたような濃い内容になってます。ただ、さすがに曲作りやレコーディング(更にはプロデューサー選び)に長い時間をかけたせいか、非常に考えて作られてるなぁといった印象がありますね。1stみたいな勢いで押す部分が幾分後退し、聴き手を引き込むようなメロディやアレンジを持った曲が増えてるように思います。ま、どのバンドにとってもヒットしたデビュー作の後の2ndアルバムというのはひとつの鬼門、慎重になる気持ちも判ります。実際、彼等もかなり苦悩したようですしね。

でも、これはそんな生易しいアルバムではないですよ。特に後半に進むにつれて……どんどんと濃くてドロドロした方向へと傾いていきます。勿論ポップでキャッチーなロックナンバー、メロウなバラードも用意されていますが、中盤「Hazel Eyes」以降からの流れは緊張感すら伴っています。決してコンセプトアルバムでもなければ組曲でもない。でも1曲1曲に関連性があるように聞こえてくるし、そう配置されてるように聞こえる。曲と曲との隙間が殆どない構成も功を奏してか、全てが繋がってひとつの方向へと突き進んでるように思える。2ndアルバムだからってわけじゃないですが‥‥最初アルバムを通して聴いた時、印象や作風は全く違うんだけどQUEENの2ndアルバム『QUEEN II』をふと思い浮かべました。QUEENにとってもあのアルバムはひとつの鬼門だったわけで、更に彼等のその後の個性を確立するために必要だった1枚なわけで。そういう意味では、この流れって非常に似てるよな、と。そう思ったわけです。

このアルバムは前作以上に万人に受け入れられるべき作品集だと思います。とにかく、中途半端なヒットはしないでしょうね。思いっきりウケるか、全然ヒットしないか。そういう極端な印象を聴き手に与える、非常に優れた1枚だと思います。ホントいいアルバムであり、ホントいいバンドに成長したなぁ‥‥こういう音を待ってたんだよ、こういう“ブリティッシュロック”をね!



▼THE DARKNESS『ONE WAY TICKET TO HELL...AND BACK』
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2003年10月 5日 (日)

THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』(2003)

久々にこういう濃くてバカバカしいバンドがイギリスから登場してくれて、とても嬉しく思ってます。そもそもイギリスは「センス・オブ・ユーモア」の国。時々そのセンスが度を超すこともありますが、個人的にはそういうところも含めてそういったものを気に入っています。

それは例えば「モンティ・パイソン」といったものだけでなく、音楽(ロック)の世界からも存分に感じられるものでした。そう、ビートルズの時代から。しかしここ最近、そういったコテコテなものを見せ聴かせてくれるアーティストが少ないこと少ないこと……特にロックの世界ね。みんなクール過ぎるんだよ。そりゃカッコイイにこしたことはないけどさ、やっぱり「ブリティッシュ・ロック」ならではの、そういった世界観に十分浸りたいじゃない?

そんな中登場したのが、このTHE DARKNESSという4人組。もうね、ルックスからしてバカっぽい。いやいや、これって最高の褒め言葉ですよ? ボーカルのジャスティン・ホーキンスなんてフレディ・マーキュリーも真っ青な全身タイツ着てるし。しかも虎縞だし。胸からへそ下までしっかり開いてるし。他のメンバーに関してもとても2003年のファッション/ルックスじゃないし。明らかにパンク勃発前の、古き良き時代のブリティッシュ・ロックバンドを彷彿させるものだし。普通だったら時代錯誤だ、ハイプだといって切り捨てられてるんだろうね。実際、彼らが登場した頃はそういった声も少なからず聞こえてきたし。

しかし、この春頃からでしょうか、彼らに対する評価がどんどん高まっていったのは。イギリス国内ではIRON MAIDENからロビー・ウィリアムズまで、とにかく幅広いアーティスト達とツアーを重ね、この7月に本国でリリースされたこのアルバム『PERMISSION TO LAND』はチャートで初登場2位を記録、その後も夏フェス出演等の効果もありトップ10圏外に落ちることもなく、リリースから2ヶ月経った9月にはとうとうチャート1位を獲得、しかも4週連続で。再リリースされたシングル「I Believe In A Thing Called Love」もチャート初登場2位。本国での音楽賞でも最優秀新人賞は勿論、最優秀ライヴバンドみたいな賞まで獲得、彼らがその奇抜なルックスではなく「実力(=ライヴ)」で人気を獲得したことを証明することになるのです。

そして本国でのリリースから2ヶ月遅れでこのアルバムはアメリカで、更に1ヶ月遅れてここ日本でも発表されることになったのでした。遅い、遅過ぎだよ! アメリカを見習いなさいよ!(アメリカでは当初、来年初頭にリリース予定だったものの、イギリスでの大ブレイクに煽られ急遽リリースを大幅に繰り上げることになったのです)

もう何も言うことはないでしょう。QUEENでありAC/DCでありTHIN LIZZYであり、SLADEでありSWEETでありゲイリー・グリッターであり……そういった古き良き時代のブリティッシュロック(まぁ厳密にはAC/DCはオージーですが)からの影響バリバリ受けまくりなサウンドで、一歩間違えば本当に時代錯誤で切り捨てられていたはずなのに、上手い具合に最近の「ロックンロール・リバイバル」や「リフ主体の、オールドスタイルなロック」といった流れに便乗できた。これは偶然なんだろうけど、本当にラッキーだったと思います。もう2~3年登場が早かったら、間違いなくハイプとして切り捨てられてたでしょうから。だってさ、歌だけ聴いたらホントにね……ハイトーンボイスとファルセットを織り交ぜた歌唱法なんて、一歩間違えばギャグ以外の何ものでもないしね。若い子達からするとこういうのって笑いのネタなのかな、それとも新鮮に映るのかな?

ギターにしても(ボーカルのジャスティンの実弟、ダン・ホーキンスが担当。ジャスティンも曲によってギター弾いてます。ツインリードとかあるしね)ジミー・ペイジや上記のブリティッシュ・バンド、特にTHIN LIZZYを彷彿させるプレイが所々に見つけられるんですよね。事実、ダンはTHIN LIZZYのスコット・ゴーハムの大ファンらしく、実際ライヴでもTHIN LIZZYのロゴTシャツとか着てますしね(THIN LIZZYのロゴTシャツ着てライヴやる人なんて、'88年頃のW・アクセル・ローズ以来じゃないの?)。

確かに万人に受け入れられるタイプのサウンドではないかもしれません。が、俺は10代の頃からこういうのを聴いて育ったんだよな。そして今でもそういうサウンドに飢えている。それが判っただけでも大収穫。勿論、このバンドと出逢えたこともね。

既に11月の初来日公演はソールドアウトと聞いています。日程が日程だったので(全部平日、しかも東京はZepp Tokyo)俺は断念したんですが……やっぱり観たいですよね! 来年のフェスでの再来日に期待しますか。とにかく観れる環境にある人は絶対に観ておいた方がいいって!



▼THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』
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