2018年3月26日 (月)

THE DARKNESS『PINEWOOD SMILE』(2017)

イギリス出身の4人組バンド、THE DARKNESSが2017年10月に発表した通算5枚目のスタジオアルバム。2011年の再結成以降、『HOT CAKES』(2012年)、『LAST OF OUR KIND』(2015年)と個性的で良質なロックアルバムを定期的に発表し続けている彼らですが、本作では前作『LAST OF OUR KIND』の制作終盤に加入したルーファル・タイガー・テイラー(Dr)が全面参加(前作は1曲のみ参加)。このルーファル、QUEENのドラマーであるロジャー・テイラーの実子とあって、いろんな意味で注目が集まりました(ルックスもそっくりですしね)。

さて、気になる新作ですが、本国イギリスでは『HOT CAKES』以来のトップ10入り(8位)を記録し、まずまずの結果は残せているのかなと。個人的にも前作より気に入っている1枚です。

ノリのよいオープニングナンバー「All The Pretty Girls」から、ジャスティン・ホーキンス(Vo, G)のファルセットボイス炸裂。AC/DCを思わせるガッズのあるハードロック「Solid Gold」や、前のめりで突っ走る「Southern Trains」など個性的な楽曲がずらりと並び、序盤の掴みは完璧だと思います。

かと思えば、5曲目にソウルフルで軽やかなバラード「Why Don't The Beautiful Cry?」でリラックスしたり、メタリックなリフとQUEEN的ポップさを兼ね備えた(タイトルにニヤリとしてしまう)「Japanese Prisoner Of Love」、AOR的な香りさえ感じる「Lay Down With Me, Barbara」と続く中盤のバラエティ豊かさも素晴らしいの一言。

ここまで書くと「あれ、中身ってかなりバラバラなんじゃ?」と思うかもしれませんが、まったくそんなことはなく。多彩さはもちろんあるのですが、それを的確な演奏とジャスティンの芯が通った歌で表現することで、しっかり同じバンドが演奏している、同じバンドの作品と体感することができる。つまり、初期のQUEENにも通ずる個性があるんじゃないかと思うわけです。そういった点は、デビューアルバム『PERMISSION TO LAND』(2003年)の頃から一切ブレてないんじゃないかと思います。ただ、表現したいこと、挑戦したいことの幅は当時と比べてだいぶ拡散方向にありますけどね。

現代的ブリティッシュハードロックというよりも、もっと大きく、ブリティッシュロックの現代版という括りが似合うTHE DARKNESSの最新形。実はHR/HMファンよりも、古き良きブリティッシュロックを愛聴してきた層にこそ届いてほしい1枚かもしれません(ジャケのセンスの悪さも、意外と響くものがあるんじゃないかと)。あるいは、最近のTHE STRUTSあたりのバンドに興味を持った若いリスナーにも、ひっかかるものがあるのではと。

単なる焼き直しではなく、伝統を継承しつつも今を生きるバンドとして新しいものを生み出そうとする姿勢は、素直に尊敬に値します。こういうバンドがもっと報われるロックシーンになってほしい。そう願わずにはいられません。個人的にも『PERMISSION TO LAND』の次に好きな作品です。



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投稿: 2018 03 26 12:00 午前 [2017年の作品, Darkness, The] | 固定リンク

2005年12月16日 (金)

THE DARKNESS『ONE WAY TICKET TO HELL...AND BACK』(2005)

今年2005年初頭、「MOK Radio」にちょいゲスト出演した際や年頭の「RADIO TMQ」で『2005年、期待するアーティストは?』との問いに、俺は真っ先にBON JOVIと答えたわけですが‥‥それじゃこのエントリーはここで終ってしまうので‥‥続いて名前を挙げたのが、今や英国を(いろんな意味で)代表するふたつのバンド、OASISTHE DARKNESSの名前を挙げました。共に本国のみならずアメリカで成功を収めた、ここ数年間では数少ないイギリスの『ロックバンド』ですし、そりゃ期待しますよね‥‥時期的に2005年には新作がリリースされることは判ってたし。

OASISについてはこの際無視して(笑。彼等については12/23放送の「RADIO TMQ」にて改めて語りますのでお楽しみに!)、今回はTHE DARKNESSについて。

彼等が最初登場した時、本国の人達でさえ「21世紀にこれかよ……悪いジョークだな」って思ったであろうTHE DARKNESS。2003年当時に'70年代〜'80年代前半に流行ったハードロックを焼き直し、しかもボーカルはフレディ・マーキュリーばりの全身タイツ(キャットスーツ)をまとい、ファルセットを多用する。決してグッドルッキンなバンドじゃない、でも曲だけは最高にイカしててカッコ良かった。DEF LEPPARDTHE WiLDHEARTSといったバンドが彼等を後押しし、気づいたらアルバムは本国で爆発的に売れまくり、それはすぐにアメリカにも飛び火し、余所者には厳しいあのアメリカで50万枚近いヒットを記録したのでした。勿論ここ日本でも初来日公演は即日完売し、2004年夏の「SUMMER SONIC」で再来日を果たすはずでしたが、直前にボーカルのジャスティン・ホーキンスの急病で来日中止。現在に至るまで再来日は果たされておりません。

結局ニューアルバム制作に費やされたこの1年。ベーシストのメンバーチェンジがあったり、ジャスティンのソロ活動があったりしたものの、予定よりかなり遅れて何とか2005年中にリリースされた彼等の2ndアルバム『ONE WAY TICKET TO HELL...AND BACK』。予想してた以上の出来て、さすが待った甲斐があったなぁという作品に仕上がってます。

 基本的には1stアルバム『PERMISSION TO LAND』の延長線上にある作風であり、アルバムからの1stシングルである「One Way Ticket」を聴いても判る通り、前作を更に煮詰めたような濃い内容になってます。ただ、さすがに曲作りやレコーディング(更にはプロデューサー選び)に長い時間をかけたせいか、非常に考えて作られてるなぁといった印象がありますね。1stみたいな勢いで押す部分が幾分後退し、聴き手を引き込むようなメロディやアレンジを持った曲が増えてるように思います。ま、どのバンドにとってもヒットしたデビュー作の後の2ndアルバムというのはひとつの鬼門、慎重になる気持ちも判ります。実際、彼等もかなり苦悩したようですしね。

でも、これはそんな生易しいアルバムではないですよ。特に後半に進むにつれて……どんどんと濃くてドロドロした方向へと傾いていきます。勿論ポップでキャッチーなロックナンバー、メロウなバラードも用意されていますが、中盤「Hazel Eyes」以降からの流れは緊張感すら伴っています。決してコンセプトアルバムでもなければ組曲でもない。でも1曲1曲に関連性があるように聞こえてくるし、そう配置されてるように聞こえる。曲と曲との隙間が殆どない構成も功を奏してか、全てが繋がってひとつの方向へと突き進んでるように思える。2ndアルバムだからってわけじゃないですが‥‥最初アルバムを通して聴いた時、印象や作風は全く違うんだけどQUEENの2ndアルバム『QUEEN II』をふと思い浮かべました。QUEENにとってもあのアルバムはひとつの鬼門だったわけで、更に彼等のその後の個性を確立するために必要だった1枚なわけで。そういう意味では、この流れって非常に似てるよな、と。そう思ったわけです。

このアルバムは前作以上に万人に受け入れられるべき作品集だと思います。とにかく、中途半端なヒットはしないでしょうね。思いっきりウケるか、全然ヒットしないか。そういう極端な印象を聴き手に与える、非常に優れた1枚だと思います。ホントいいアルバムであり、ホントいいバンドに成長したなぁ‥‥こういう音を待ってたんだよ、こういう“ブリティッシュロック”をね!



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投稿: 2005 12 16 10:33 午後 [2005年の作品, Darkness, The] | 固定リンク

2003年10月 5日 (日)

THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』(2003)

久々にこういう濃くてバカバカしいバンドがイギリスから登場してくれて、とても嬉しく思ってます。そもそもイギリスは「センス・オブ・ユーモア」の国。時々そのセンスが度を超すこともありますが、個人的にはそういうところも含めてそういったものを気に入っています。

それは例えば「モンティ・パイソン」といったものだけでなく、音楽(ロック)の世界からも存分に感じられるものでした。そう、ビートルズの時代から。しかしここ最近、そういったコテコテなものを見せ聴かせてくれるアーティストが少ないこと少ないこと……特にロックの世界ね。みんなクール過ぎるんだよ。そりゃカッコイイにこしたことはないけどさ、やっぱり「ブリティッシュ・ロック」ならではの、そういった世界観に十分浸りたいじゃない?

そんな中登場したのが、このTHE DARKNESSという4人組。もうね、ルックスからしてバカっぽい。いやいや、これって最高の褒め言葉ですよ? ボーカルのジャスティン・ホーキンスなんてフレディ・マーキュリーも真っ青な全身タイツ着てるし。しかも虎縞だし。胸からへそ下までしっかり開いてるし。他のメンバーに関してもとても2003年のファッション/ルックスじゃないし。明らかにパンク勃発前の、古き良き時代のブリティッシュ・ロックバンドを彷彿させるものだし。普通だったら時代錯誤だ、ハイプだといって切り捨てられてるんだろうね。実際、彼らが登場した頃はそういった声も少なからず聞こえてきたし。

しかし、この春頃からでしょうか、彼らに対する評価がどんどん高まっていったのは。イギリス国内ではIRON MAIDENからロビー・ウィリアムズまで、とにかく幅広いアーティスト達とツアーを重ね、この7月に本国でリリースされたこのアルバム『PERMISSION TO LAND』はチャートで初登場2位を記録、その後も夏フェス出演等の効果もありトップ10圏外に落ちることもなく、リリースから2ヶ月経った9月にはとうとうチャート1位を獲得、しかも4週連続で。再リリースされたシングル「I Believe In A Thing Called Love」もチャート初登場2位。本国での音楽賞でも最優秀新人賞は勿論、最優秀ライヴバンドみたいな賞まで獲得、彼らがその奇抜なルックスではなく「実力(=ライヴ)」で人気を獲得したことを証明することになるのです。

そして本国でのリリースから2ヶ月遅れでこのアルバムはアメリカで、更に1ヶ月遅れてここ日本でも発表されることになったのでした。遅い、遅過ぎだよ! アメリカを見習いなさいよ!(アメリカでは当初、来年初頭にリリース予定だったものの、イギリスでの大ブレイクに煽られ急遽リリースを大幅に繰り上げることになったのです)

もう何も言うことはないでしょう。QUEENでありAC/DCでありTHIN LIZZYであり、SLADEでありSWEETでありゲイリー・グリッターであり……そういった古き良き時代のブリティッシュロック(まぁ厳密にはAC/DCはオージーですが)からの影響バリバリ受けまくりなサウンドで、一歩間違えば本当に時代錯誤で切り捨てられていたはずなのに、上手い具合に最近の「ロックンロール・リバイバル」や「リフ主体の、オールドスタイルなロック」といった流れに便乗できた。これは偶然なんだろうけど、本当にラッキーだったと思います。もう2~3年登場が早かったら、間違いなくハイプとして切り捨てられてたでしょうから。だってさ、歌だけ聴いたらホントにね……ハイトーンボイスとファルセットを織り交ぜた歌唱法なんて、一歩間違えばギャグ以外の何ものでもないしね。若い子達からするとこういうのって笑いのネタなのかな、それとも新鮮に映るのかな?

ギターにしても(ボーカルのジャスティンの実弟、ダン・ホーキンスが担当。ジャスティンも曲によってギター弾いてます。ツインリードとかあるしね)ジミー・ペイジや上記のブリティッシュ・バンド、特にTHIN LIZZYを彷彿させるプレイが所々に見つけられるんですよね。事実、ダンはTHIN LIZZYのスコット・ゴーハムの大ファンらしく、実際ライヴでもTHIN LIZZYのロゴTシャツとか着てますしね(THIN LIZZYのロゴTシャツ着てライヴやる人なんて、'88年頃のW・アクセル・ローズ以来じゃないの?)。

確かに万人に受け入れられるタイプのサウンドではないかもしれません。が、俺は10代の頃からこういうのを聴いて育ったんだよな。そして今でもそういうサウンドに飢えている。それが判っただけでも大収穫。勿論、このバンドと出逢えたこともね。

既に11月の初来日公演はソールドアウトと聞いています。日程が日程だったので(全部平日、しかも東京はZepp Tokyo)俺は断念したんですが……やっぱり観たいですよね! 来年のフェスでの再来日に期待しますか。とにかく観れる環境にある人は絶対に観ておいた方がいいって!



▼THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』
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投稿: 2003 10 05 12:00 午前 [2003年の作品, Darkness, The] | 固定リンク