CLASSLESS ACT『WELCOME TO THE SHOW』(2022)
2022年6月24日にリリースされたCLASSLESS ACTの1stアルバム。日本盤未発売。
CLASSLESS ACTは2018年に結成された、ロサンゼルス出身の5人組ハードロックバンド。80年代を彷彿とさせる時代錯誤なヘアメタル/グラムメタルサウンドが魅力で、2021年にASKING ALEXANDRIAやFIVE FINGER DEATH PUNCH、SIXX:A.M.などが所属するBetter Noise Musicと契約。今年6月からスタートしたMOTLEY CRUE、DEF LEPPARD、POISON、ジョーン・ジェットの全米スタジアムツアーのオープニングアクトに抜擢されるなど、現在大プッシュを受けている存在です。
先にも書いたような往年のスリージーなハードロックサウンドは、かつてのものをそのままリバイバルさせただけではなく、THE DARKNESSやBUCKCHERRY以降の現代的な質感も備わっており、懐かしさと同時に若干の新鮮さも伝わる仕上がり。メタルというよりはロックンロール寄りの質感で、ブルースロックをベースにしたまとまりの良いアレンジと、一緒にシンガロングしたくなるようなキャッチーなフレーズを要するスタジアムロック的側面を併せ持つ、ある意味では新人離れした完成度と言えなくもありません。
また、デビュー作ながらもバンドのテーマソングともいえるオープニング曲「Classless Act」にはMOTLEY CRUEのヴィンス・ニール(Vo)がゲスト参加し、冒頭から華を添えています。さらに、続く「This Is For You」にはイギリスのTHE DARKNESSからジャスティン・ホーキンス(Vo)をフィーチャー。80〜90年代から2000年代を見事につなぐこの人選は、さすがの一言。世が世なら、これだけで白米5杯くらいいけそうです(笑)。
派手で豪快なアップチューンに加え、ヘヴィ&ダークな「On My Phone」やグルーヴィー&サイケポップな「All That We Are」、グラムポップ調の「Made In Hell」、シャッフルビートを活用したリズミカルな「Walking Contradiction」、豪快でアーシーなギターリフが80年代のHR/HM黄金期を思い出させる「Give It To Me」、渋みもはらんだパワーバラード「Circles」、アルバムラストにふさわしいパワーバラード調のミドルナンバー「Thoughts From A Dying Man」など、どの曲も非常に練り込まれている。単に80年代回帰で終わらず、90年代や2000年代以降のヘアメタル/グラムメタルもしっかり研究しており、その成果がどの曲にもしっかり反映されているから、とにかく聴き応えがあって最後まで飽きさせない。この手の新人ハードロックバンドのデビューアルバムとしては、上出来な1枚ではないでしょうか。
ある意味ではイギリスのTHE STRUTS、イタリアのMÅNESKINに対するLAからの解答と言えなくもない彼ら。だからこそ、日本含めもっといろんな形で注目されてほしいなと思わずにいられません。もしモトリーとLEPPSのスタジアムツアーが日本にも上陸するチャンスがあったら、その際にはぜひ帯同してもらいたいところです。
▼CLASSLESS ACT『WELCOME TO THE SHOW』
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