2018年6月12日 (火)

IMPERIAL STATE ELECTRIC『IMPERIAL STATE ELECTRIC』(2010)

2008年にTHE HELLACOTERSを解散させたニッケ・アンダーソン(Vo, G)が新たに結成したバンド、IMPERIAL STATE ELECTRICの2010年発表の1stアルバム。当初はバンド解散後にたくさん曲を書き溜めたニッケがスタジオに入り、自身がほとんどの楽器を演奏しつつアルバムを制作していたのですが、そこにいろんな仲間が加わり、気づけばバンドスタイルになっていた……ということで、本作では1曲(「Together In The Darkness」)だけニッケのほかにトビアス・エッジ(G, Vo)、ドルフ・デ・ボースト(B, Vo / THE DATSUNS)、トーマス・エリクソン(Dr)という現在まで続く布陣でレコーディングされています。

THE HELLACOTERSという究極のロックンロールバンドを終了させたニッケが、次にどんなアクションを起こすのか。ロックファンならきっと誰もが注目したはずです。多くのリスナーは“第二のTHE HELLACOTERS”の登場を望んだことでしょう。

しかし、ニッケはTHE HELLACOTERS的でありながらも、さらに自身のルーツのひとつ……KISSRAMONESなどといったポップサイドの色合いが強い作風に取り組みます。そもそもバンド形態やのちのライブ演奏を想定せずに、好き勝手に作り込んだのが本作であって、そりゃあTHE HELLACOTERSみたいになるわけがない。バンドマジックだとかそういったことよりも、ソングライターとして高みを目指した……そんな心算で制作していたのに、気づけば「やっぱりバンド、楽しーっ!」っていう事実に気づかされる。そういった意味では、本作はIMPERIAL STATE ELECTRICというバンドのプレデビュー作、あるいはプロトタイプ的作品かもしれません。

冒頭の「A Holiday From My Vacation」や「Lord Knows I Know That It Ain't Right」「Resign」で聴けるポップネスに、きっと誰もが驚くことでしょう。しかし、このカラーもニッケがTHE HELLACOTERSで表出させていたものであり、ここではその一面を特化させただけ。「Throwing Stones」のような疾走感の強いロックチューンも存在するものの、全体的にはテンポを抑えめにして、良質のメロディとアレンジの妙で聴かせる技術に磨きをかけている。そんな印象を受けます。

前のバンドのイメージが強いからこそ、新たな挑戦に対して最初は拒否反応が生じてしまうのは仕方ないことかもしれません。しかし、これが出来の悪いアルバムかと問われると、まったくそんなことはなく。むしろ聴きやすくて、あっという間に最後まで聴けてしまう、そんな1枚ではないでしょうか。

なお、日本盤のみボーナストラックとしKISS「All American Man」のカバーを追加。この曲をセレクトするあたりからも、ニッケがここで何をやりたかったのかが伺えるはずです。アーシーなアレンジを施したこのカバーバージョンも、なかなか素敵です。


※1stアルバムは未配信のため、アルバムからのシングル「Resign」を貼っておきます。



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投稿: 2018 06 12 12:00 午前 [2010年の作品, Datsuns, The, Hellacopters, The, Imperial State Electric] | 固定リンク

2003年4月14日 (月)

THE DATSUNS『THE DATSUNS』(2002)

まぁ俺が今更取り上げるまでもなく、既に巷では大いに盛り上がっているTHE DATSUNS。このレビューを書いてる今も、ここ日本に滞在してライヴをやってる最中なんですよ。しかも今年2度目の来日(1月だか2月だかにショーケース来日後、今回が本ツアー)、更に8月にはSUMMER SONIC出演の為に3度目の来日。正直、アルバム1枚しか出してない新人がここまで年に何度もライヴで来日するのは、例えば昨年でいうところのANDREW W.K.みたいな感じで、正直集客面とか大丈夫か!?と心配までしてしまうんですが、まぁ今の彼等の勢いなら問題ないでしょう。小さいハコでも体感したいし、野外のスタジアムクラスでも体験したいし。で、その両方がちゃんと似合う音を出すバンドなだけに、両方のシチュエーションに惹かれて観に行っちゃいそうなんですよね。へっ、俺!? 多分サマソニは行くだろうね。日程次第だけど。

というわけで、THE STROKES以降イギリスで盛り上がっているリフ主体のロックンロール、とみ宮風に言えば「リフ・ロック」‥‥ってまんまなんですが、とにかくイギリスで他国のリフ・ロックバンドがチャート上で大成功を収めているんですよね。STROKESを始めTHE HIVESとか、THE WHITE STRIPESとか、このDATSUNSとか。STROKESやWHITE STRIPESはアメリカのバンドだけど、他は結構北欧出身が多かったりする中、このDATSUNSなんてニュージーランドですからね。穴場中の穴場ですよ。つうかニュージーランドのロックバンドって‥‥他にメジャーな存在、いないよね? もしかして初? 凄いねマジで。

とにかく、リフ・ロック。そういうふうに呼んでみるものの、その音楽性はまちまちで、単純に「カッコいいリフを持つ、ストレートなガレージロック/爆走ロック」という共通項のみでそう呼んでるだけなんだよね。だって、どう考えたってSTROKESとTHE HELLACOPTERSの音楽性が一緒だとは思えないし(ルーツ的には被ってるところがあるだろうけど)、WHITE STRIPESとANDREW W.K.を同じと捉える人はまず少ないでしょう。単純にリフ主体のロックってだけ。それこそAC/DCだってMOTORHEADだってSTOOGESだって、みんなリフ・ロックなわけだし。ああ、そういう古いバンドを持ち出すから収拾付かなくなっちゃったよ。

このDATSUNSを語る時、必ずといっていい程上記のようなバンド‥‥AC/DCやMOTORHEAD、そしてDEEP PURPLEやLED ZEPPELIN、あるいはKISSのようなバンドが引き合いに出されるわけですが、ホントそういう音なんですよね。よく「これはハードロックか、ガレージロックか?」なんていう声を目にするんですが、正直どっちでもいいと思うんだけど‥‥個人的にはこれが売れてなかったらガレージバンドって呼ばれてただろうと思うけど、やっぱりハードロックだよね。しかも、自分が中学~高校生の頃に慣れ親しんだ王道ハードロック。今は亡き「FM STATION」とか「ミュージックライフ」なんかで必ず年に一回はやる「ロックの名盤100選」みたいな特集記事に、必ず取り上げられるようなハードロックバンドの名盤を聴いてるような錯覚に陥る程、懐かしい感触。何も知らない人に「'70年代に活躍した幻のハードロックバンド、奇跡のリマスター再発!」とか言って聴かせても信じちゃうような音。それがこのアルバム。じゃあそんなに古臭くて使い古されたような楽曲なのか?というと、実は全然そんなことはなく、時代がひと回りもふた回りもして、逆に新鮮なんだよな。例えばこれが「BURRN!」で最初に取り上げられたなら、きっと「rockin'on」では『時代錯誤も甚だしい』と切り捨てたんだろうけど、逆だったからなぁ‥‥イギリス先行ってのも大きかったし。その辺はちと微妙っていやぁ微妙なのかも。ま、要するに切っ掛け次第ってことですよね。

つうかさ‥‥やっぱりハードロックよ。特にハモンドが入っちゃうと、完全に「MACHINE HEAD」とか「IN ROCK」の頃のDEEP PURPLEだし、ボーカルの歌い方は完全にボン・スコット(AC/DCの初代ボーカル)だし、ギターソロのメロウで計算され尽くしたかのようなプレイは'70年代のKISSみたいで、そういった点ではHELLACOPTERSにも通ずる要素を感じるし。で、そのHELLACOPTERSと仲が良くて、一緒にツアーをやってたんだよね(夏場もまた一緒にやるんだっけ)。つうかDATSUNSのメンバーがHELLACOPTERS大好きなんだっけか。かと思えば、MC5みたいなのもあるし、初期MOTORHEAD的なブルーズロックもあるし。そしてメンバーのラスト・ネームが皆「DATSUN」という点はかのRAMONESからだろうし。ホント、時代錯誤も甚だしいんだけど、音聴いちゃうと有無を言わせぬ迫力と説得力でこっちが圧されちゃうんだよね。つうかさ、これ聴いてると冷静に物事を判断出来なくなるんだよね‥‥「カッケー!」とか「スゲー!」とか、そんな擬音ばかりよ、口から飛び出すのは。

きっと新しモノ好きのロキノン読者は「これこそ『NEW WAVE OF GARAGE ROCK』だ!」とか声高に叫ぶのかもしれないし、STROKES等の流れで聴き始めた若いロックファンは「新しいロックヒーローの誕生」なんて思ってるのかもしれないね。けどね、もうこれは30代以上の、昔ハードロックを貪るように聴いてたオヤジ達に聴いて欲しいな。もしこれを読んでるあなたが俺と同年代で、しかも最近はこういったハードロック的なバンドを聴いてないのなら、絶対に聴くべきアルバムですよこれは。悶々とした童貞時代が蘇ること間違いなし!(笑)



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投稿: 2003 04 14 12:00 午前 [2002年の作品, Datsuns, The] | 固定リンク