2017/04/03

DAVID LEE ROTH『EAT 'EM AND SMILE』(1986)

VAN HALENを脱退したデヴィッド・リー・ロスが1986年に発表した、ソロとして初のフルアルバム。バンド在籍中に発表された『CRAZY FROM THE HEAT』(1985年)は4曲入りのEPだったこと、そのすべてがカバー曲だったことから当時は“遊び”と解釈することができましたが、バンドを脱退した後の『EAT 'EM AND SMILE』ではいよいよ本領発揮……といわんばかりのフルスロットルぶりが楽しめます。

アルバムおよび当時のツアーに参加したメンツはスティーヴ・ヴァイ(G)、ビリー・シーン(B)、グレッグ・ビソネット(Dr)という錚々たる面々……というのは、当時は一部のメタルファンの間でのみ。今でこそヴァイもビリーもロックファンなら誰もが知っている名プレイヤーですが、実は2人ともデイヴとの共演により知名度をグンと上げたというのが事実なのです。

アルバムはエイドリアン・ブリュー並みに“しゃべる”ギタープレイを披露する「Yankee Rose」からスタート。ヴァイの縦横無尽に暴れまくるギタープレイと、そのギターをボトムで支えているようで実はフレーズが暴れまくっているベース、その上でひたすら“ダイヤモンド・デイヴ”を演じまくるデイヴ。もちろん的確なビートで土台を支えるグレッグのプレイも欠かせません。同曲は全米16位まで上昇するヒットシングルとなっています。

そして2曲目はビリーが過去に在籍したバンド、TALASの楽曲「Shyboy」のカバー(というかリメイク)。高速ビートの上で披露される、ギターとベースによる超絶ユニゾンプレイに誰もが感嘆のため息をついたはずです。このユニゾンプレイが、のちにビリーが結成するMR.BIGにつながっていくわけですから(しかもMR.BIGでも再びカバーされてるし)、その後のHR/HMシーンにとって非常な重要な1曲と言えるかもしれません。

そして、本作には先のソロEP同様に数々のオールディーズカバーが収録されています。「I'm Easy」「That's Life」といったラウンジミュージックの名曲、60年代のガレージロックナンバー「Tabacco Road」の3曲がそれで、「Shyboy」を含めたら計4曲がカバーというわけです。そこを物足りないと感じるか、原曲を知らないしオリジナルとして聴いてもなんら違和感ないしと感じるかは聴き手次第かなと。ちなみにリリース時中学生だった僕は当然カバーの原曲を知らなかったので、完全に後者でした。

テクニカルで派手なプレイを含みつつも、楽曲時代はポップでブルージーでソウルフル。これって結局、デイヴがVAN HALEN時代にやっていたことと一緒なんですよね。全10曲で30分強というランニングタイムも、初期VAN HALENと一緒。ただ、このバンドにはエディ・ヴァン・ヘイレンが2人いる(ヴァイとビリー)のが大きな違いだったと。この編成が復活することは今や不可能に近いけど(一度だけデイヴ抜きでライブをやったこと、ありましたっけ)、一度は生で観たかったなぁ。この編成での来日は結局実現しなかったしね。

策士デイヴはこのアルバムでVAN HALENというバンドのスタイルをソロでも再現させ、続く2ndアルバム『SKYSCRAPER』(1988年)では「俺にだって『Jump』は作れる」と言わんばかりにポップな「Just Like Paradise」を大ヒットさせる。この2作で彼のVAN HALENに対する復讐は(形としては)完結するわけです。

そういえば、上に貼り付けた「Yankee Rose」含め、当時のデイヴはMVも凝った作品が多かったなぁ。どれもコミカルで、人を食ったかのような内容ばかり。あ……それで『EAT 'EM AND SMILE』なのか!(違います)



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投稿: 2017 04 03 12:00 午前 [1986年の作品, David Lee Roth] | 固定リンク

2004/09/17

とみぃ洋楽100番勝負(29)

●第29回:「Yankee Rose」 DAVID LEE ROTH ('86)

サミー・ヘイガーを迎えた新生VAN HALENに感激&感動した俺は、正直「デイヴ・リー・ロスはもう(ハードロックの世界では)ダメだろうなぁ‥‥」とずっと思ってたんですね。だってVAN HALEN辞める前に彼がやったソロ活動がBEACH BOYSやスタンダードナンバーのカバーですからね。で、それが大ヒットしちゃったもんだから‥‥どう考えても "Jump" や "Panama" みたいな曲は彼に求めるのも酷だろうな‥‥と。きっと俺以外の多くの人達がそう思ってたでしょうね。

 けど、実際には違った。彼はスティーヴ・ヴァイ(Gt)、ビリー・シーン(Ba)、グレッグ・ビソネット(Dr)という「その筋」では知らない者はいないという名手を揃えて、まるでVAN HALENの1stを'86年に蘇らせたかのような名盤「EAT'EM AND SMILE」を引っ提げてシーンに戻ってくるわけですよ。

 アルバム1曲目の "Yankee Rose" のイントロでやられちゃうわけですよ。だって、ギターが喋るんですよ! ボーカルとギターで掛け合いしちゃうんですよ、喋りで! もうね、笑うのを通り越して感動したもの、中3の俺は!

 ブリブリして暴れまくり、ギターとの高速ユニゾンをいとも簡単にひけらかすビリー・シーンのベースにも失禁寸前だったし、手堅いながらも聴いてて気持ちいいグレッグのドラムも文句無し。VAN HALENにあった「軽さ」が一切ないんですよね。

 アルバムだと続く "Shyboy" が最も好きなんですが、これ、正確にはデイヴのオリジナルじゃなくてビリーが以前やってたバンド、TALASの曲なんで、やっぱり一番最初に聴いて衝撃を受けた "Yankee Rose" かなぁ。

 その後のデイヴの落ちぶれっぷりには目を覆いたくなりますが‥‥やはりこの時の勢いはね。是非この目で実際に目撃したかったですね。残念ながらこの時のメンツ、このアルバムでのツアーでは来日してないんですね‥‥ここで完全にVAN HALENと差がついちゃったな、と‥‥



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投稿: 2004 09 17 12:00 午前 [1986年の作品, David Lee Roth, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック