DEAD BY APRIL『DEAD BY APRIL』(2009)
海外では2009年5月、日本では同年10月にリリースされた、スウェーデンのメタルコアバンドDEAD BY APRILのデビューアルバム。このちょっとあとには同じスウェーデンからAMARANTHEがデビューしたりと、2010年代初頭の同国からの新たな波が感じさせられたのも、今となっては懐かしいですね。
ツインギター編成、そしてフロントマンのJimmie Strimmelがひとりでスクリーム&クリーンボーカルを担当するという5人編成で制作されたのはこのデビュー作のみで、その後はギター1本の4人組体制だったり、新たにクリーンボーカル専任メンバーが加わったフロント2名体制だったりと、メンバーチェンジが慌ただしいのがこのバンドの特徴かもしれません(そんな特徴はいらないですが。苦笑)。このデビュー作、リリース直後に輸入盤を購入し、適度にヘヴィ、かつ非常にメロディアスで聴きやすいこともあって、当時よく愛聴した記憶があります。また、のちに国内盤がリリースされ、ボーナストラックが追加されジャケットが差し替えられたこちらのエディションもレーベルからサンプルをいただいたことを覚えています。
なぜ、このタイミングにこのアルバムを引っ張り出したか?と言いますと……はい、4月なので(笑)。こういうタイミングでもないと、きっと触れることもなかったでしょうから。たまにはこういうのもいいですよね。
久しぶりに聴いてみましたが、やっぱりメロディが親しみやすいのが良いですね。適度にシンセをフィーチャーしたりデジタル加工したりしつつも、基本的にはギターとドラムが織り成すザクザク感の心地よさと、スクリームとクリーントーンを巧みに使い分けるボーカル、そして日本人の琴線に触れる切ないメロディライン。ヘヴィメタルと言ってしまえば確かにヘヴィメタルだけど、ギターリフでグイグイ引っ張るよりもギターとドラムが一丸となって生み出すグルーヴ感はメタルコアそのもの。そこにLINKIN PARKやEVANESCENCE以降のバンドらしいメロディの強さを加えることによって、あの時代ならではの空気感を作り上げていた。そういうバンドだったんだなと、改めて実感しています。
もちろん、DEAD BY APRIL以前も以降も、この手のバンドはたくさん存在します。そんな中でも、メロディセンスが優れていたという点において、このDEAD BY APRILはほかの同系統バンドよりも頭ひとつ抜き出ていたのではないでしょうか。ぶっちゃけ、スクリームパートを排除してもう少し穏やかなサウンドにしたら、ヒットチャートを賑わすようなポップスとしても通用するような高品質の楽曲ばかりですし。
実は2ndアルバム『INCOMPARABLE』(2011年)まではしっかり聴いていたものの、以降の2作品(2014年の『LET THE WORLD KNOW』、2017年の『WORLDS COLLIDE』)は聴いていなかったので、これを機にほかの作品にもしっかり触れてみようと思います。
なお、2013年に脱退し『LET THE WORLD KNOW』『WORLDS COLLIDE』に不参加だったJimmie Strimmelは、『WORLDS COLLIDE』リリース後にはバンドに復帰。昨年秋には『WORLDS COLLIDE』収録曲数曲をJimmieがスクリームパートのみ歌い直した4曲入りEPやアコースティックEPもリリースされているようです。