2018年11月25日 (日)

V.A.『MOORE BLUES FOR GARY: A TRIBUTE TO GARY MOORE』(2018)

2018年10月リリースの、ゲイリー・ムーアのトリビュートアルバム。アルバムジャケットにあるように、ゲイリーの諸作品やライブに参加してきたベーシスト、ボブ・デイズリーが中心となって制作された本作には、ニール・カーター(Key)やドン・エイリー(Key/DEEP PURPLE)、エリック・シンガー(Dr/KISS)、グレン・ヒューズ(Vo)に加え、元SKID ROW(「Youth Gone Wild」じゃないほう)のブラッシュ・シールズ(Vo)といったゲイリー・ムーアと馴染み深い面々、ゲイリーの実子であるガス・ムーア(Vo)とジャック・ムーア(G)のほか、豪華ゲストプレイヤーが多数参加しています。

そのメンツもジョン・サイクス(G)やダニー・ボウズ(Vo/THUNDER)、スティーヴ・ルカサー(G/TOTO)、ジョー・リン・ターナー(Vo)、リッキー・ウォリック(Vo/BLACK STAR RIDERS)、スティーヴ・モーズ(G/DEEP PURPLE)、デーモン・ジョンソン(Vo, G/BLACK STAR RIDERS)、ダグ・アルドリッチ(G/THE DEAD DAISIES)などなど。とにかく、無駄に豪華です。

選曲的にはブルースに傾倒した『STILL GOT THE BLUES』(1990年)以降の作品にこだわることなく、初期の『BACK ON THE STREETS』(1978年)から『VICTIMS OF THE FUTURE』(1983年)、『WILD FRONTIER』(1987年)の楽曲も収録。ボブ・デイズリー自身が関わっていることもあってか、『POWER OF THE BLUES』(2004年)という晩年の作品から3曲も選ばれていることがちょっと意外でした。

基本的にはどの曲もゲイリー独特の粘っこいギターフレーズを活かしつつ、オリジナルを尊重しながら随所に自身の個性を取り入れていく手法で、またボブが中心となって制作していることもあって統一感も強く、この手のトリビュートアルバムとしてはかなり水準の高いもののように思います。HR/HM系ギタリストが多く参加しているものの、各自そこまで出しゃばることもないので、本当に気持ちよく楽しめる1枚です。

やはり本作最大の聴きどころは、久しぶりにシーン復帰を果たしたジョン・サイクス参加の「Still Got The Blues (For You)」になるかと。ゲイリーからの影響も大きく、彼と同じTHIN LIZZY(=フィル・ライノット)にもお世話になった関係もあり、そりゃあもうディープなソロを聴かせてくれています。まあこの曲自体、基本的にメインフレーズの繰り返しになるのでそこまでアドリブを効かせることは難しいのですが、特に終盤のソロはサイクスらしいもので、フェイドアウトせずにこのままずっと聴いていたい!と思わせられるはずです。

で、この曲を歌うのがTHUNDERのダニー・ボウズというのが、また最高。思ったよりも感情抑え気味ですが、それがギターのエモーショナルさに拍車をかけているように感じました。うん、これ1曲のために購入してたとしても無駄じゃないと思います。

個人的にはこのほか、リッキー・ウォリックが歌い、スティーヴ・モーズがギターを弾く「Parisienne Walkways」、グレン・ヒューズが最高のボーカルパフォーマンスを聴かせる「Nothing's The Same」、思ったよりもゲイリー・ムーア色の強いダグ・アルドリッチのプレイが印象に残る「The Loner」、デーモン・ジョンソンが歌って弾いてと大活躍の「Don't Believe A Word」あたりがお気に入り。もちろん、そのほかの曲も文句なしに良いです。

来年の2月で、亡くなってから早8年。ゲイリー・ムーアというギタリストがどんな存在だったか、改めてロック/ブルース/HR/HMシーンに与えた影響をこのアルバムから振り返ることができたら、と思います。彼の名前しか知らないという若いリスナーにこそ聴いてほしい1枚です。



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投稿: 2018 11 25 12:00 午前 [2018年の作品, Black Star Riders, Compilation Album, Dead Daisies, The, Deep Purple, Gary Moore, Glenn Hughes, Joe Lynn Turner, John Sykes, KISS, Thunder, Toto] | 固定リンク

2018年3月29日 (木)

THE DEAD DAISIES『BURN IT DOWN』(2018)

前作『MAKE SOME NOISE』(2016年)で日本デビューを果たし、2度の来日公演で人気を確かなものにしつつあるTHE DEAD DAISIES。そんな彼らが、早くも4thアルバム『BURN IT DOWN』を日本先行でリリースしました。

前作発表後ブライアン・ティッシー(Dr)が脱退し、ディーン・カストロノヴォ(元JOURNEY、現REVOLUTION SAINTS)が加わった編成でレコーディングされた本作は、前作にあった軽やかさが減退し、全体的にヘヴィなビート&音像の“圧が強い”1枚に仕上がっています。

やっぱりドラマーが変わると雰囲気が変わるんだな、ってことをまざまざと見せつけられる本作は、冒頭の「Resurrected」から重いビートとヘヴィなギターサウンド、ジョン・コラビ(Vo)のよるスモーキーな歌声でダークな空気感を作り上げていきます。続く「Rise Up」もその延長線上にある1曲で、オープニングのギターこそブルージーながら本編に入るとやはりヘヴィになる「Burn It Down」や「Judgement Day」など、基本的にトーンが近い曲が並んでおります。これを良しとするか否かで、本作に対する評価は大きく分かれそうな気がします。

また、本作には日本盤ボーナストラック含め、カバー曲が2曲収められています。アルバム本編に登場する「Bitch」はかのTHE ROLLING STONESの定番曲。ソウルフルなロックンロールといった印象の原曲がヘヴィにアップデートされており、原曲に対する思い入れによって評価が割れそうな予感。個人的には「悪くないけど、絶賛するほどでもない」という仕上がりかな。もうひとつは、日本盤ボーナストラックの「Revolution」。THE BEATLESの名曲カバーですが、こちらはもともとヘヴィにアレンジしてもなんら違和感のないナンバーなので自然な仕上がりです。なんでこっちをアルバム本編に入れなかったんだろう?という疑問も残りますが、まあわかります。若干ポップになっちゃいますものね。にしても、ストーンズにビートルズっていうセレクトが、なんていうか……(まあ前作もTHE WHOとCCRだったしね)。

アルバム本編の話題に戻ります。後半には「Set Me Free」というソウルフルなロッカバラードがあるものの、続く「Dead And Gone」でヘヴィ路線へ逆戻り。ラストにアップテンポのロックンロール「Leave Me Alone」があってホッとしますが、個人的にはちょっと期待はずれな1枚だったかな。

適度なヘヴィさはもちろん必要だと思います。けど、このバンドの魅力って(特にジョン・コラビが加入してからは)コラビのハスキーかつソウルフルな歌声を活かしたAEROSMITH譲りのハードロックンロールだと思うんです。そこにダグ・アルドリッジ(G)が加わった前作で、そのハードさがよりモダンなものへと昇華されつつあった。バランスとしては最高だったんですよ。だからこそ、この行きすぎた感がちょっと残念でなりません。

これまでの作品にもヘヴィな楽曲は存在したけど、ちゃんとヘヴィな中にもR&Rらしいスウィング感が存在したんだけど……難しいですね、バンドって。



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投稿: 2018 03 29 12:00 午前 [2018年の作品, Dead Daisies, The] | 固定リンク

2016年12月28日 (水)

THE DEAD DAISIES『MAKE SOME NOISE』(2016)

このバンドを知ったのは、確かtvkでやってる伊藤政則さんの番組『ROCK CITY』で観たMVだったのかな。元THE SCREAM〜MOTLEY CRUEのフロントマンだったジョン・コラビ、そして今やどのバンドにいるのかすら記憶が定かではないダグ・アルドリッチ(G)らが参加するバンドということで、どんな音なのかと思っていたら……聴いた曲がアルバム1曲目の「Long Way To Go」だったからなのか、「このメンツのわりに、随分とストレートなロックかますな。なんかクセのないAEROSMITHみたい」というの第一印象。しかもジョン・コラビのルックスも“リトル”スティーヴン・タイラーみたいになってるし。

で、いろいろ調べてみるとこのバンド、今回のアルバム『MAKE SOME NOISE』が通算3枚目とのこと。しかも、アルバムごとにメンバーがちょくちょく変わっていて、結成時から残っているメンバーはリズムギターのデヴィッド・ローウィーのみ。当初は元INXSのジョン・スティーヴンス(Vo)がフロントマンで、現在もバンドに在籍するマルコ・メンドーサ(B)のほか、ツアーメンバーとしてGUNS N' ROSESのメンバーであるディジー・リード(Key)やフランク・フェラー(Dr)、当時ガンズに在籍していたリチャード・フォータス(G)が参加していたそうで。その後、2013年に1stアルバム『THE DEAD DAISIES』をリリース。2015年にはジョン・コラビ、ブライアン・ティッシー(Dr)が正式加入して、2ndアルバム『REVOLUCION』を発表するも、翌2016年にリチャードとディジーが脱退して、ダグが加わって現在の布陣になったようです。

……説明長すぎですね(笑)。いい加減アルバムの中身に触れましょう。

中身は、先に書いた「Long Way To Go」から想像できる、ど直球のアメリカンハードロック。全12曲(日本盤ボーナストラック除く)中、2曲がカバーで、CCR「Fortunate Son」とTHE WHO「Join Together」というわかりやすい選曲。これだけでも音楽性が想像できるかと思います。

ジョンはその風貌同様、歌声もMOTLEY CRUE時代よりレイドバックしており(老いた?)、80年代のAEROSMITHが鳴らしそうな骨太で豪快なサウンドに意外と合っております。ダグのギターは時に渋く、時に激しくと、WHITESNAKE時代を彷彿とさせるプレイで、ジョンの歌声との相性もバッチリ。楽曲も70〜80年代の、ブルースやカントリーをベースにしたアメリカンハードロックそのもので、かつ1曲1曲の仕上がりは非常に品質の高いもの。このへんはプロデューサーおよびソングライターとして、AEROSMITHやBUCKCHERRY、オジー・オズボーンとの共作で知られるマーティ・フレデリクセンが参加していることも大きく影響していると思われます。

ただ、唯一難点をつけるとしたら、決定打となるような1曲が足りないこと。どの曲も良質で、70〜80点をつけられるけど、ここに1曲だけでも100点ないし90点クラスのキメ曲が入ったら、アルバムとしても、そしてバンドとしても頭ひとつ抜き出るのかなと思います。



▼THE DEAD DAISIES『MAKE SOME NOISE』
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投稿: 2016 12 28 12:00 午前 [2016年の作品, Dead Daisies, The] | 固定リンク