カテゴリー「Dead Daisies, the」の8件の記事

2022年11月 1日 (火)

V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015)

2015年3月3日にリリースされた、ランディ・ローズ(G/ex. OZZY OSBOURNE、ex. QUIET RIOT)のトリビュートアルバム。日本盤は同年3月25日発売。

ランディのトリビュートアルバムは、過去にオジーの楽曲のみを集めた『RANDY RHOADS TRIBUTE』(2000年)が発表されていますが、今作は1970年代のQUIET RIOT時代の楽曲も含む選曲。また、前作がピュアなHR/HM系アーティストによるものなら、今作はランディと同時代に登場したミュージシャンや活動を共にしたアーティスト、90年代以降のモダンなメタルを奏でるミュージシャンなど、より幅広さを感じさせる人選となっています。

まあとにかく、オープニングの「Crazy Train」を聴いて多くのリスナーがひっくり返るのではないでしょうか。だって、ボーカルがサージ・タンキアンSYSTEM OF A DOWN)、ギターがトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)ですからね。正統派メタルリスナーやランディを妄信的に愛する方からは非難の嵐じゃないかな(苦笑)。ただ、個人的にはサージのボーカルにはオジー愛を感じたし、トムのギターもただコピーするんじゃなくて自分らしさを貫きながらランディのスタイルを表現しようとする強い意志も伝わりましたが、いかがでしょうか。

その後も、シンガーはオジーやケヴィン・ダブロウをコピーしつつ(ほとんどティム・リッパー・オーウェンズですが。笑)、ギタリストたちはランディの印象的なフレーズを随所に残しつつ、各々の個性を発揮させる。原曲レイプだ、けしからん!と怒る気持ちもわかりますが、だったらそもそもトリビュートアルバムだのカバーアルバムだの聴かないほうがいいし、これくらい遊んでくれるから聴きがいもあるわけで。個人的にはどれくらい原曲を“壊す”かが楽しみなわけで、そういう意味では本作は……ギターに関しては及第点だけど、それ以外のパートや楽曲アレンジに関しては普通すぎるかな。

そんな中、己を突き通しまくるチャック・ビリー(TESTAMENT)による「Mr. Crowley」が、サージ歌唱の「Crazy Train」並みによかったな。この曲では、今は亡きアレクシ・ライホ(G/BODOM AFTER MIDNIGHT、ex. CHILDREN OF BODOM)の泣きまくりギターも楽しめるので、なお良し。あと、ジョエル・ホーケストラ(G/WHITESNAKE)が頑張りまくりの「Killer Girls」も悪くなかったな。

逆に、実際にオジーバンドに在籍した経験を持つガス・G.(FIREWIND)による「Goodbye To Romance」や、ブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)による「Suicide Solution」が、ランディ云々よりも自分らしさ全開なのが笑えます。特にガス・G.、君はやりすぎだ(笑)。

まあ、あれです。こういったカバーアルバムやトリビュートアルバムはマジになりすぎないのが一番。笑いながら「お、意外と良いじゃん」「いやいや、それはないでしょ」とかツッコミ入れつつ楽しむのが、精神衛生上もっとも好ましいと思います。

なお、本作はサブスクでも配信されていますが、2015年のCD/アナログ盤と曲順が若干異なっているのでご注意を(オリジナルの曲順はこのあたりでご確認いただけます)。

 


▼V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』
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2022年7月26日 (火)

MICHAEL SCHENKER GROUP『UNIVERSAL』(2022)

2022年5月27日にリリースされた、MICHAEL SCHENKER GROUP名義での12thアルバム。

MSG名義では約13年ぶりだった前作『IMMORTAL』(2021年)から1年4ヶ月という、とても2020年代とは思えないほど短いスパンで届けられた新作は、MICHAEL SCHENKER FESTからの流れを考えると「おいおいレコード会社さんよ、老体に鞭打ちすぎじゃねえか?」とマイケル・シェンカーが再び心を壊さないかと心配になるほど。だって、MICHAEL SCHENKER FESTの1stアルバム『RESURRECTION』(2018年)から4作連続で1年半に満たないスパンで新作出し続けてますからね。

さて。MSG名義に戻ったからといって、やっていること自体はMICHAEL SCHENKER FESTと一緒。曲ごとにボーカルやリズム隊を変えながら、オムニバス感の強いテイストでアルバムは進行します。前作から引き続き、ロニー・ロメロ(Vo)が大半の曲で歌唱しているものの、例えばM-4「A King Has Gone」ではマイケル・キスク(HELLOWEEN)、M-5「The Universe」ではロニー&初代シンガーのゲイリー・バーデンのデュエット、M-7「Wrecking Ball」には前作にもゲスト参加したラルフ・シーパース(PRIMAL FEAR、ex. GAMMA RAY)、日本盤ボーナストラックのM-15「London Calling (Alternative Vocal Mix)」にはオリジナルバージョンのロニーに代わりマイケル・フォス(マイケル・シェンカーの別バンド・TEMPLE OF ROCKのシンガー)も名を連ねるなど、相変わらず節操なし(マイケル本人なのかレーベル側なのか)。

バリー・スパークス(B, Key)、ボブ・デイズリー(B/ex. RAINBOW、ex. GARY MOORE、ex. OZZY OSBOURNEなど)、バレンド・クルボワ(B/BLIND GUARDIAN)、サイモン・フィリップス(Dr)、ボド・ショプフ(Dr)、ボビー・ロンディネリ(Dr/ex. RAINBOW、ex. BLACK SABBATHなど)、ブライアン・ティッシー(Dr/THE DEAD DAISIES、ex. WHITESNAKE、ex. FOREIGNERなど)、スティーヴ・マン(Key)、トニー・カーレイ(Key/ex. RAINBOWなど)と、演奏陣もクラシックロックファンには豪華な布陣。特に今回は元RAINBOW組が多い印象を受けますが、実際曲/音を聴くとそれも納得といいますか。マイケル・シェンカーらしさが薄まっており、逆にRAINBOW的なカラーが強まっているんですよね。

思えば、ロニー・ロメロも現在RAINBOWのフロントマンですし……かつ、キスクやラルフが歌う曲までもがRAINBOWっぽいという。え、それでいいの? しかも2022年にこれやるの?っていうさ。

いやね、シェンカー自身がリッチー・ブラックモアへ敬意を表してこのアルバムを作ったというのならわかるよ。だとしても、タイミング的になぜ今?というのがまず引っかかるし。もはや、レコード会社の思惑が否が応でも見え隠れするわけです。

まあ、だとしてもこれが世界的に売れるのか?という話ですけどね(日本という特殊なマーケットのみをターゲットにしているのなら、なおさらバカにするな!と思いますが)。

楽曲に関しては、数回聴いて「もういいかな」と思えるものばかり。可もなく不可もなくという仕上がりで、突出した名曲は皆無。すべてが70点台の「よくあるRAINBOWフォロワー」的楽曲ばかりで、そこに申し訳程度にシェンカー節のギターソロが乗る。けど、そのソロ(やリフ)も近作の中ではもっとも精彩さを欠き、まじで印象に残らないものばかり。これだったらMcAULEY SCHENKER GROUPの諸作品を聴いているほうがマシだと思えるほどです。

本サイトでは、基本的に気に入ったものだけを紹介する方針なんですが、好きなアーティストがあまりにもな作品を作ったとあっては、やはり声として記録を残しておかなければと思い執筆しました。これで満足する一定層がここ日本に存在していることは重々承知していますが、今やサブスクで簡単にフル試聴できてしまう時代。昔みたいなハッタリはかませません。

こんな時代だからこそ「短いスパンで新作を」と思いがちですが、本来は逆では? こんな時代だからこそ、時間を気にせずに良作作りに励んでもらいたいところです。シェンカーよ、まだ行けるでしょ?

 


▼MICHAEL SCHENKER GROUP『UNIVERSAL』
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2021年2月 5日 (金)

THE DEAD DAISIES『HOLY GROUND』(2021)

2021年1月22日にリリースされたTHE DEAD DAISIESの5thアルバム。

前作『BURN IT DOWN』(2018年)から約3年ぶり、それまでに発表したカバー曲を集めたコンピレーションアルバム『LOCKED AND LOADED: THE COVERS ALBUM』(2019年)から数えても1年半ぶりということになりますが、特にこの1〜2年はバンドにとって大きな転換期となりました。まず、ボーカリストがジョン・コラビからグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLEなど)に交代。グレンはベースも兼任するため、同時にマルコ・メンドーザも脱退せざるを得ませんでした。

このアルバムのレコーディングメンバーはグレン(Vo, B)、ダグ・アルドリッチ(G)、デヴィッド・ローウィー(G)、ディーン・カストロノヴォ(Dr)という布陣。オリジナルメンバーはすでにデヴィッドのみというのは置いておいて、日本で彼らが知られるようになってから現在までバンドに残るのはダグのみというのも……まあいいでしょう。

『BURN IT DOWN』はディーンの特徴を活かしてか、それ以前のルーズなロックンロール/ハードロック路線からヘヴィなリズムを強調した硬質なサウンドへと変化を遂げましたが、この新作も基本路線は『BURN IT DOWN』に近いのかな。ただ、グレンが加わったことでメロディラインや歌、節回しにソウルフルさが加わり、若干アンバランスさが気になった前作よりもまとまりが良くなった印象を受けます。

ぶっちゃけ、カッコいいです。しっかり歌えるシンガーによるクールなHR/HM。「My Fate」のようなヘヴィなノリでもソウル&ブルースフィーリングを感じさせるグレンの歌があれば、非常に聴きやすいものに昇華されている。また、そんなグレンに引っ張られるように、ダグもブルージーさの強いソロプレイを乗せてくる。いい相乗効果じゃないですか。個人的にはこういった曲や、「Far Away」みたいにソウルフルさを打ち出したスローナンバーに惹かれてしまいます。この曲もグレンの特性を活かしており、良い出来です。

お約束となったカバー曲は今回も用意されており、MR. BIGなどでおなじみの「30 Days In The Hole」(原曲はHUMBLE PIE)を“らしく”味付けしております。こういった楽曲を歌うグレンは最高以外の何ものでもなく、全体的にタイトな印象を受ける本作の中でちょうど良い息抜きポイントとなっています(もちろん良い意味ですよ、この息抜きは)。

アルバム1枚通して非常によく作り込まれたハードロックアルバムですが、正直これをTHE DEAD DAISIESという名前で制作する必要があったのかな……という疑問もゼロではありません。グレンの前にジョン・スティーヴンス(ex. INXS)、ジョン・コラビという2人のシンガーが存在しているわけで、それぞれが在籍した時代の音/曲というのもあるわけで、特にこのバンドの場合はその前任2名が在籍した時代こそバンドのアイデンティティを確立させる上で重要だったと認識しているだけに、前作から今作へのシフトは素直に受け入れられないものもあります。もっと言えば、「これ、グレンのソロアルバム(もしくはグレン&ダグのプロジェクト)として出せば、もっと正統な評価を受けたんじゃないかな?」とも。もちろん、内容の良さがすべてだとは思うんですが、どうにもこうにも……難しいなあ。

なお、本作リリースと同タイミングにディーンの脱退も発表に。新たに末期BLACK SABBATHのツアーなどに参加したトミー・クルフェストがツアーでプレイするとのことです。相変わらず人の出入りの激しいバンドだなあ……。

 


▼THE DEAD DAISIES『HOLY GROUND』
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2020年2月 9日 (日)

REVOLUTION SAINTS『RISE』(2020)

2020年1月下旬にリリースされたREVOLUTION SAINTSの3rdアルバム。日本盤は当初の予定より約1ヶ月遅れ、同年2月後半に発売予定です。

REVOLUTION SAINTSは再結成後のJOURNEYにスティーヴ・スミス(Dr)の後任として加入し5枚のオリジナル作品に参加したディーン・カストロノヴォ(そのほかBAD ENGLISHHARDLINEなどでも活躍)がボーカルを務め、NIGHT RANGERのジャック・ブレイズ(B, Vo)、THE DEAD DAISIESやBURNING RAINに在籍し、過去にはLIONBAD MOON RISINGWHITESNAKEDIOなどでも活躍したダグ・アルドリッチ(G)の3人で2014年に結成したスーパーグループ。これまでに『REVOLUTION SAINTS』(2015年)、『LIGHT IN THE DARK』(2017年)と2枚のアルバムを発表しています。

JOURNEY時代にもアルバムやライブでボーカルを披露し、その“らしさ”と歌唱力の高さでファンを驚かせたディーン。このバンドでは、その素晴らしい魅力が余すところなくフィーチャーされています。

以前もいろんなところで書いてきましたが、80年代から90年代前半にかけて登場したこの手のスーパーバンドって意外と長続きしないんですよね。理由のひとつとして挙げられるのは、過去のバンドで成功したメンバーたちによるエゴのぶつかり合い。あとはお金(笑)。ところが、ここ最近は2枚目、3枚目と長続きするスーパーバンドも増えている。それは、以前のように「1人1バンド」みたいな過去の常識が通用しなくなり、別に複数のバンドに籍を置いてもいいんだという風潮が当たり前になったことも大きいのでしょう。上に書いたように、ジャックは現在もNIGHT RANGERのメンバーですし、ダグに至ってはディーンとTHE DEAD DAISIESとしても活動しているわけですから。

そんなこのバンド。実は影の功労者が存在します。正式メンバーではないものの、レコーディングやツアーには必ず参加し、アルバムのプロデュースまで手掛けるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオという人物。実はこれまでのアルバム収録曲すべてのソングライティング・クレジットに彼の名前が記されている(カバー曲を除く)ことから、REVOLUTION SAINTSはむしろ「アレッサンドロが書いたJOURNEYっぽい曲をディーンがスティーヴ・ペリーっぽく歌う」プロジェクトと呼ぶほうが正しいのかもしれません。

そんな本作ですが、オープニングの「When The Heartache Has Gone」から突っ走りまくってます。曲調といいシンセの音色といい、“あの頃のJOURNEY”。ぶっちゃけ、曲の完成度は過去2作より高まっているように感じます。しかも、バラードも含まれているけど基本的にはロックしまくりのスタイル。悪いわけがない。

適度なポップさが伴ったミドルナンバーとアップチューンが交互に飛び出す前半と、らしいピアノバラード「Closer」以降の緩急に富んだ構成。非常に聴きやすいです。しかも、曲によってはディーンとジャックのツインボーカルになっているし(ジャックがNIGHT RANGERのときほど声を張り上げていないのも好印象)、特に今回は曲によってはNIGHT RANGER色が強まっているのも興味深い。先の「Closer」なんて完全にそれですよね。かつ、アルバムラスト(ボートラ除く)のピアノバラード「Eyes Of A Child」がジャック&トミー・ショウの元DAMN YANKEES組による書き下ろし。そのほかにも、それっぽさが至るところに散りばめられているので、聴き込んでみると面白いかもしれません。

それにしても、本作でのダグのギタープレイ、素敵ですよね? THE DEAD DAISIESでもなかなか良いなと思っていたけど、本作におけるプレイはその比じゃないくらいに素晴らしい。実はダグってブルースベースのハードロックよりもこういったタイプのほうが合っているのかしら。

ということで、個人的にも非常のポイントの高い1枚。一回生で観てみたいです。

 


▼REVOLUTION SAINTS『RISE』
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2019年8月27日 (火)

THE DEAD DAISIES『LOCKED AND LOADED: THE COVERS ALBUM』(2019)

2019年8月下旬リリースの、THE DEAD DAISIES初のカバーアルバム。日本では2週間遅れて、同年9月上旬にリリースされます。

彼らはこれまで4枚のスタジオアルバム、1枚のライブアルバムを発表していますが、その中には自身のルーツを表明するようなカバー曲を収録しています。また、ライブでもそういった楽曲は積極的に披露されており、いかにクラシックロックの存在がTHE DEAD DAISIESにとって切っても切り離せないものであるかが理解できるかと思います。

本作にはそういった各作品に収録されてきたカバー曲をひとまとめにすることで、そのルーツをより明確にする役割が課せられているわけです。と同時に、本作で初公開となるライブ音源も2曲(日本盤は3曲)も含まれており、すでに各音源を所有しているリスナーにとっても持っていて損はない1枚と言えるのではないでしょうか。

ピックアップされているカバーアーティストはSENSATIONAL ALEX HARVEY BAND、ハウリン・ウルフ、CCR(CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL)、THE WHOTHE BEATLESTHE ROLLING STONES、GRAND FUNK RAILROAD、ニール・ヤング、DEEP PURPLEといった、メジャー感の強いものからコアなロックファンが喜びそうなマニアックなものまで。特に、日本ではそこまで一般的知名度の高くないSENSATIONAL ALEX HARVEY BANDが取り上げられているのは、海外ならではといったところでしょうか。

また、日本盤ボーナストラックの「Let It Be (Live)」含めビートルズが3曲も取り上げられているのは微笑ましいといいますか。やりすぎだろ!ってツッコミたくもなりますよね、そりゃ。

それぞれ録音時期が異なるため、曲によってバンドメンバーが異なるのはご愛嬌。1曲のみ(「Helter Skelter」)ジョン・コラビ(Vo)の前任であるジョン・スティーヴンス(Vo, G)が歌っているスタジオテイクが用いられています。この曲、ライブアルバム『LIVE & LOUDER』(2017年)でジョン・コラビが歌っているテイクもあるのに、スタジオテイクをそこまでして使いたかったんですかね。それとも満遍なく過去の在籍メンバーが参加した楽曲を使いたかったんでしょうか。

本作のみで聴くことができるのが「Rockin' In The Free World」と「Highway Star」の各ライブテイク(と、先の「Let It Be」)。前者は特筆すべき点はありませんが、後者は……あれ、意外とカッコいいじゃない(笑)。特に、オリジナルではジョン・ロード(Key)が弾いていたオルガンソロを完全にギターで再現している点が興味深く、聴いているだけでニヤニヤしてしまいます。

いわゆる“ファンアルバム”なので、これで今後の方向性がどうこう言いたくもないし、点数を付けたりもしなくないので。聴いた人が楽しめるかどうか、それで十分な1枚だと思います。

 


▼THE DEAD DAISIES『LOCKED AND LOADED: THE COVERS ALBUM』
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2018年11月25日 (日)

V.A.『MOORE BLUES FOR GARY: A TRIBUTE TO GARY MOORE』(2018)

2018年10月リリースの、ゲイリー・ムーアのトリビュートアルバム。アルバムジャケットにあるように、ゲイリーの諸作品やライブに参加してきたベーシスト、ボブ・デイズリーが中心となって制作された本作には、ニール・カーター(Key)やドン・エイリー(Key/DEEP PURPLE)、エリック・シンガー(Dr/KISS)、グレン・ヒューズ(Vo)に加え、元SKID ROW(「Youth Gone Wild」じゃないほう)のブラッシュ・シールズ(Vo)といったゲイリー・ムーアと馴染み深い面々、ゲイリーの実子であるガス・ムーア(Vo)とジャック・ムーア(G)のほか、豪華ゲストプレイヤーが多数参加しています。

そのメンツもジョン・サイクス(G)やダニー・ボウズ(Vo/THUNDER)、スティーヴ・ルカサー(G/TOTO)、ジョー・リン・ターナー(Vo)、リッキー・ウォリック(Vo/BLACK STAR RIDERS)、スティーヴ・モーズ(G/DEEP PURPLE)、デーモン・ジョンソン(Vo, G/BLACK STAR RIDERS)、ダグ・アルドリッチ(G/THE DEAD DAISIES)などなど。とにかく、無駄に豪華です。

選曲的にはブルースに傾倒した『STILL GOT THE BLUES』(1990年)以降の作品にこだわることなく、初期の『BACK ON THE STREETS』(1978年)から『VICTIMS OF THE FUTURE』(1983年)、『WILD FRONTIER』(1987年)の楽曲も収録。ボブ・デイズリー自身が関わっていることもあってか、『POWER OF THE BLUES』(2004年)という晩年の作品から3曲も選ばれていることがちょっと意外でした。

基本的にはどの曲もゲイリー独特の粘っこいギターフレーズを活かしつつ、オリジナルを尊重しながら随所に自身の個性を取り入れていく手法で、またボブが中心となって制作していることもあって統一感も強く、この手のトリビュートアルバムとしてはかなり水準の高いもののように思います。HR/HM系ギタリストが多く参加しているものの、各自そこまで出しゃばることもないので、本当に気持ちよく楽しめる1枚です。

やはり本作最大の聴きどころは、久しぶりにシーン復帰を果たしたジョン・サイクス参加の「Still Got The Blues (For You)」になるかと。ゲイリーからの影響も大きく、彼と同じTHIN LIZZY(=フィル・ライノット)にもお世話になった関係もあり、そりゃあもうディープなソロを聴かせてくれています。まあこの曲自体、基本的にメインフレーズの繰り返しになるのでそこまでアドリブを効かせることは難しいのですが、特に終盤のソロはサイクスらしいもので、フェイドアウトせずにこのままずっと聴いていたい!と思わせられるはずです。

で、この曲を歌うのがTHUNDERのダニー・ボウズというのが、また最高。思ったよりも感情抑え気味ですが、それがギターのエモーショナルさに拍車をかけているように感じました。うん、これ1曲のために購入してたとしても無駄じゃないと思います。

個人的にはこのほか、リッキー・ウォリックが歌い、スティーヴ・モーズがギターを弾く「Parisienne Walkways」、グレン・ヒューズが最高のボーカルパフォーマンスを聴かせる「Nothing's The Same」、思ったよりもゲイリー・ムーア色の強いダグ・アルドリッチのプレイが印象に残る「The Loner」、デーモン・ジョンソンが歌って弾いてと大活躍の「Don't Believe A Word」あたりがお気に入り。もちろん、そのほかの曲も文句なしに良いです。

来年の2月で、亡くなってから早8年。ゲイリー・ムーアというギタリストがどんな存在だったか、改めてロック/ブルース/HR/HMシーンに与えた影響をこのアルバムから振り返ることができたら、と思います。彼の名前しか知らないという若いリスナーにこそ聴いてほしい1枚です。



▼V.A.『MOORE BLUES FOR GARY: A TRIBUTE TO GARY MOORE』
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2018年3月29日 (木)

THE DEAD DAISIES『BURN IT DOWN』(2018)

前作『MAKE SOME NOISE』(2016年)で日本デビューを果たし、2度の来日公演で人気を確かなものにしつつあるTHE DEAD DAISIES。そんな彼らが、早くも4thアルバム『BURN IT DOWN』を日本先行でリリースしました。

前作発表後ブライアン・ティッシー(Dr)が脱退し、ディーン・カストロノヴォ(元JOURNEY、現REVOLUTION SAINTS)が加わった編成でレコーディングされた本作は、前作にあった軽やかさが減退し、全体的にヘヴィなビート&音像の“圧が強い”1枚に仕上がっています。

やっぱりドラマーが変わると雰囲気が変わるんだな、ってことをまざまざと見せつけられる本作は、冒頭の「Resurrected」から重いビートとヘヴィなギターサウンド、ジョン・コラビ(Vo)のよるスモーキーな歌声でダークな空気感を作り上げていきます。続く「Rise Up」もその延長線上にある1曲で、オープニングのギターこそブルージーながら本編に入るとやはりヘヴィになる「Burn It Down」や「Judgement Day」など、基本的にトーンが近い曲が並んでおります。これを良しとするか否かで、本作に対する評価は大きく分かれそうな気がします。

また、本作には日本盤ボーナストラック含め、カバー曲が2曲収められています。アルバム本編に登場する「Bitch」はかのTHE ROLLING STONESの定番曲。ソウルフルなロックンロールといった印象の原曲がヘヴィにアップデートされており、原曲に対する思い入れによって評価が割れそうな予感。個人的には「悪くないけど、絶賛するほどでもない」という仕上がりかな。もうひとつは、日本盤ボーナストラックの「Revolution」。THE BEATLESの名曲カバーですが、こちらはもともとヘヴィにアレンジしてもなんら違和感のないナンバーなので自然な仕上がりです。なんでこっちをアルバム本編に入れなかったんだろう?という疑問も残りますが、まあわかります。若干ポップになっちゃいますものね。にしても、ストーンズにビートルズっていうセレクトが、なんていうか……(まあ前作もTHE WHOとCCRだったしね)。

アルバム本編の話題に戻ります。後半には「Set Me Free」というソウルフルなロッカバラードがあるものの、続く「Dead And Gone」でヘヴィ路線へ逆戻り。ラストにアップテンポのロックンロール「Leave Me Alone」があってホッとしますが、個人的にはちょっと期待はずれな1枚だったかな。

適度なヘヴィさはもちろん必要だと思います。けど、このバンドの魅力って(特にジョン・コラビが加入してからは)コラビのハスキーかつソウルフルな歌声を活かしたAEROSMITH譲りのハードロックンロールだと思うんです。そこにダグ・アルドリッジ(G)が加わった前作で、そのハードさがよりモダンなものへと昇華されつつあった。バランスとしては最高だったんですよ。だからこそ、この行きすぎた感がちょっと残念でなりません。

これまでの作品にもヘヴィな楽曲は存在したけど、ちゃんとヘヴィな中にもR&Rらしいスウィング感が存在したんだけど……難しいですね、バンドって。



▼THE DEAD DAISIES『BURN IT DOWN』
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2016年12月28日 (水)

THE DEAD DAISIES『MAKE SOME NOISE』(2016)

このバンドを知ったのは、確かtvkでやってる伊藤政則さんの番組『ROCK CITY』で観たMVだったのかな。元THE SCREAM〜MOTLEY CRUEのフロントマンだったジョン・コラビ、そして今やどのバンドにいるのかすら記憶が定かではないダグ・アルドリッチ(G)らが参加するバンドということで、どんな音なのかと思っていたら……聴いた曲がアルバム1曲目の「Long Way To Go」だったからなのか、「このメンツのわりに、随分とストレートなロックかますな。なんかクセのないAEROSMITHみたい」というの第一印象。しかもジョン・コラビのルックスも“リトル”スティーヴン・タイラーみたいになってるし。

で、いろいろ調べてみるとこのバンド、今回のアルバム『MAKE SOME NOISE』が通算3枚目とのこと。しかも、アルバムごとにメンバーがちょくちょく変わっていて、結成時から残っているメンバーはリズムギターのデヴィッド・ローウィーのみ。当初は元INXSのジョン・スティーヴンス(Vo)がフロントマンで、現在もバンドに在籍するマルコ・メンドーサ(B)のほか、ツアーメンバーとしてGUNS N' ROSESのメンバーであるディジー・リード(Key)やフランク・フェラー(Dr)、当時ガンズに在籍していたリチャード・フォータス(G)が参加していたそうで。その後、2013年に1stアルバム『THE DEAD DAISIES』をリリース。2015年にはジョン・コラビ、ブライアン・ティッシー(Dr)が正式加入して、2ndアルバム『REVOLUCION』を発表するも、翌2016年にリチャードとディジーが脱退して、ダグが加わって現在の布陣になったようです。

……説明長すぎですね(笑)。いい加減アルバムの中身に触れましょう。

中身は、先に書いた「Long Way To Go」から想像できる、ど直球のアメリカンハードロック。全12曲(日本盤ボーナストラック除く)中、2曲がカバーで、CCR「Fortunate Son」とTHE WHO「Join Together」というわかりやすい選曲。これだけでも音楽性が想像できるかと思います。

ジョンはその風貌同様、歌声もMOTLEY CRUE時代よりレイドバックしており(老いた?)、80年代のAEROSMITHが鳴らしそうな骨太で豪快なサウンドに意外と合っております。ダグのギターは時に渋く、時に激しくと、WHITESNAKE時代を彷彿とさせるプレイで、ジョンの歌声との相性もバッチリ。楽曲も70〜80年代の、ブルースやカントリーをベースにしたアメリカンハードロックそのもので、かつ1曲1曲の仕上がりは非常に品質の高いもの。このへんはプロデューサーおよびソングライターとして、AEROSMITHやBUCKCHERRY、オジー・オズボーンとの共作で知られるマーティ・フレデリクセンが参加していることも大きく影響していると思われます。

ただ、唯一難点をつけるとしたら、決定打となるような1曲が足りないこと。どの曲も良質で、70〜80点をつけられるけど、ここに1曲だけでも100点ないし90点クラスのキメ曲が入ったら、アルバムとしても、そしてバンドとしても頭ひとつ抜き出るのかなと思います。



▼THE DEAD DAISIES『MAKE SOME NOISE』
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