2017/02/26

WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』(2015)

2008年に『GOOD TO BE BAD』、2011年に『FOREVERMORE』というオリジナルアルバムを発表し、それぞれ英米で(80年代には及ばないものの)まずまずの成績を残してきたWHITESNAKE。4年ぶりの新作として発表されたのが、デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)がDEEP PURPLE在籍時に制作した3枚のアルバム、『BURN』(1974年)、『STORMBRINGER』(1974年)、『COME TASTE THE BAND』(1975年)からセレクトされた楽曲をセルフカバーした通算12枚目のスタジオアルバム『THE PURPLE ALBUM』です。

思えばWHITESNAKEは90年代にも「Soldier Of Fortune」(『STORMBRINGER』収録)をカバーしていましたし、もっとさかのぼれば70年代に「Mistreated」(『BURN』収録)もピックアップしていましたしね。ただ、前者に関しては非常にレアな機会に歌われていただけだし、後者は持ち曲が少ない時期にライブで披露していたという理由があったわけで、そこに変な意味合いはなかったはず。ところが、2000年代に入ってからの再結成では「Burn」からライブを始めたり、その「Burn」と「Stormbringer」をメドレー形式で演奏したりと急にパープル曲が増え始めた。当時はラッキーと思いつつ、「なぜ今パープルよ?」という複雑な心境になったものでした。

そんなですから、このアルバムを制作すると決まったときは、やはりモヤモヤした気持ちに。最近ライブでカヴァーデイルが声出なくなってきてるからチューニング下げまくりなところに、一番若々しかった時代の曲をセルフカバーって……はい、不安しかありませんでした。しかも、本作制作前には2000年代のWHITESNAKEにとって重要な存在だったダグ・アルドリッジ(G)が脱退。替わりに加入したのがNIGHT RANGERのジョエル・ホークストラだっていうんだから……ジョエルにブルースのブの字も感じたいことないし、どちらかというともう1人のギタリスト、レブ・ビーチと同系統だと思っていたので、不安以外のなにものでもありませんでしたよ。

いざ完成した『THE PURPLE ALBUM』は、予想通りチューニング下げまくり。ただ、「Stormbringer」や「Love Child」「The Gypsy」みたいなヘヴィで引きずるようなミドルチューンにはローチューニングは合ってるかな。とはいえ、「Burn」はやっぱり原曲のキーあってこそだという思いが強いし、「Sail Away」のアレンジも凡庸。名曲中の名曲「Soldier Of Fortune」もわざわざチューニング下げなくても歌えたんじゃないかと思うんですが……原曲への思いが強いだけに、ちょっと残念でなりません。

曲によっては新たな解釈が加えられており、“あくまでWHITESNAKEのアルバムですよ”との主張が感じられる。もちろんそれは正しいんだけど、だったらそのテイストの新曲を作れなかったのかなと。オリジナル曲半分、お遊びで新解釈のカバー半分みたいな作品作りもできたはずなのに、ただ曲数が多くて長いアルバムで終わっちゃってる気がします。そして、やっぱりデヴィッドの衰えだけが目立ってしまうという……だからこそ新曲で勝負してほしかったな。

かなりネガティブなことばかり書いてしまいましたが、すべてがすべて悪いというわけではないですよ。上に挙げたようなミドルヘヴィナンバーは原曲に匹敵するカッコよさが感じられたし、なにより個人的には久しぶりに聴いた『COME TASTE THE BAND』からの楽曲がこんなに良かったっけ?という新たな発見もありましたし。このアルバム、20代前半に聴いたっきりだったので、これを機に改めて聴き直そうと思ったくらいですから。そこに気づかせてくれたという点においては、僕にとっても意味のあるアルバムだったのかもしれません。聴く頻度は非常に低いですけどね(苦笑)。

最後に。本作は2012年に亡くなったDEEP PURPLE、WHITESNAKEのキーボーディスト、ジョン・ロードに捧げられた作品とのこと。本当にそうだとしたら、なおさらオリジナル曲を届けてほしかったな……シンガーとしての寿命も(普通に考えたら)この先決して長くはないだけに……という、好きすぎるからこその苦言でした。



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投稿: 2017 02 26 12:00 午前 [2015年の作品, Deep Purple, Whitesnake] | 固定リンク

2016/12/19

DEEP PURPLE『SLAVES AND MASTERS』(1990)

旧サイト時代から数えて18年、ふと気づいたらDEEP PURPLEのアルバムを1枚も取り上げていないことが発覚。だったらこの勢いで書いてみようと、まず最初にオススメするならと選んだのがこれ。いろいろ間違っているような気がしないでもないけど、余計なことは考えない。

リッチー・ブラックモアがRAINBOWを解散させて、黄金期と呼ばれる第2期(リッチー、イアン・ギラン、ジョン・ロード、イアン・ペイス、ロジャー・グローバー)の布陣でDEEP PURPLEを再結成させたのが1984年。以後、この布陣で2枚のスタジオアルバム(『PERFECT STRANGERS』『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』)とライブアルバム『NOBODY'S PERFECT』を発表するのですが、『IN ROCK』や『MACHINE HEAD』を再び求めたリスナーの希望を打ち砕くかのように、後期RAINBOW路線の楽曲を軸にした(それでいてパープルらしいスリリングさもある)作品が提示され、一部ファンを落胆させたのでした。

そして1989年にイアン・ギラン脱退。新たにボーカリストに迎えられたのが、後期RAINBOWのフロントマンであるジョー・リン・ターナーだったという。なんじゃそりゃ。リッチー、ジョー、ロジャーってすでにバンドの3/5がRAINBOWじゃん。そりゃパープルファンは怒りますよね。

そうして1990年にリリースされたのが、この『SLAVES AND MASTERS』というアルバム。楽曲自体は『PERFECT STRANGERS』や『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』の流れにある作風なのですが、そこにジョーのボーカル&彼が作るメロディが乗ると……あら不思議。よりRAINBOWなわけです。「80年代のパープルっぽい」ととるか、「RAINBOWのラストアルバム『BENT OUT OF SHAPE』の続き」ととるかで、このアルバムの評価は変わってくるんじゃないでしょうか。

パープルは好きだけど『BURN』を制作した第3期編成が一番好み、かつパープルよりRAINBOWが好きという僕からしたら、歌メロがしっくりこなかった『PERFECT STRANGERS』や『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』よりもこの『SLAVES AND MASTERS』のほうが好み。「The Cut Runs Deep」も「Fire In The Basement」も「Wicked Ways」も最高の楽曲なわけです。リッチーのギターも自分が目立つことよりも楽曲に合わせたプレイをしているし、続くギラン復帰作『THE BATTLE RAGES ON…』での演奏を思えば、彼が最後に“ロック”した最後のパープル作品ということになるのかな。それも結果論でしかないんだけどね。

ちなみに、僕が初めて観たパープルの来日公演は、このアルバムを提げて行われた1991年の武道館公演でした。『SLAVES AND MASTERS』の楽曲はもちろん、1曲目がいきなり「Burn」から始まるというギラン時代だったら絶対にありえない選曲に驚き、さらに「Black Night」にRAINBOW「Long Live Rock'n'Roll」をくっつけたり、やりたい放題。第2期至上主義者はこのライブを観てどう思ったんだろう……。

おまけに。『THE BATTLE RAGES ON…』ツアーでの来日目前にリッチーが脱退し、急遽ジョー・サトリアーニがサポートで入ると知って慌ててチケット取って行ったのが、最後に観たパープル単独公演です。その後、サマソニで来日した際にもちらっと観てますけど、そろそろ今の編成も観てみたいな、観ておかなきゃなと思っているところです。



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投稿: 2016 12 19 12:00 午後 [1990年の作品, Deep Purple] | 固定リンク