2017/10/04

ALICE COOPER『PARANORMAL』(2017)

アリス・クーパー通算27作目のスタジオアルバム。全米22位と大健闘した前作『WELCOME 2 MY NIGHTMARE』(2011年)から6年ぶりのオリジナルアルバムとなりますが、その間にジョニー・デップやジョー・ペリー(AEROSMITH)と組んだHOLLYWOOD VAMPIRESのアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』が2015年に発表されているので、新作としてはそこまで久しぶりという印象もなかったりするのですが、そこは御大が本気で臨んだオリジナルアルバム。当然、心して向き合うわけです。

全10曲で34分というトータルランニングにまず驚かされるのですが、1曲目「Paranormal」を聴いて、その不穏な空気感とメリーゴーランドのように展開していくアレンジに「これぞ!」と膝を叩きたくなるくらいワクワクするわけです。確かに『WELCOME 2 MY NIGHTMARE』も良い作品だと思いましたが、個人的にはちょっと長すぎかな、というのと曲調の幅が広すぎて散漫に感じてしまったので、もうそりゃあここで大きな期待を重ねるわけです。

で、2曲目「Dead Flies」以降は1曲目とは若干異なるテイスト……70年代初頭、ALICE COOPERというバンド名義だった時代のガレージロックサウンドが展開されていきます。正直1曲目を聴いた時点で求めていた路線ではなかったものの、これはこれで……僕、1989年に『TRASH』で復活して以降の作品で、それほど高く評価されていない『THE LAST TEMPTATION』(1994年)が一番好きだったりするので、本作の路線は個人的に大々的に支持したいくらいなので、本作の路線はアリだと思っています。

この路線に着地したのって、例えばHOLLYWOOD VAMPIRESからの流れだったり、本作のドラムをU2のラリーが担当していたり、オリジナルメンバーのデニス・ダナウェイ(B)、ニール・スミス(Dr)、マイケル・ブルース(G)で録音するなどのアイデアが生まれたからなんでしょうかね。ゲストプレイヤーとしてZZ TOPのビリー・ギボンズ(G)や DEEP PURPLEのロジャー・グローヴァー(B)、そしてスティーヴ・ハンター(G)といった豪華なのか地味なのか微妙な布陣が参加していますが、それによって特に派手に仕上がることもなく。それでいいんでしょうけどね、本作の場合は。

また本作は永久仕様としてボーナスディスクが付いており、そちらにデニス、ニール、マイケルのオリメンが参加した新曲2曲と、「No More Mr.Nice Guy」「Under My Wheels」「Billion Dollar Babies」「Feed My Frankenstein」「Only Women Bleed」「School's Out」と往年(+90年代前半)の代表曲のライブテイクを聴くことができます。新曲2曲はちょっとユルユルかな……というシンプルなロックンロール。本編に入れるには軽すぎるし、ちょっとしたお遊びとして楽しむには十分かな。このボーナスディスクの内容を足しても70分には満たないし、全部1枚にまとめられるじゃんと思う人も多いみたいだけど、やっぱりアリス自身はディスク1の10曲で完結させたいという思いがつy買ったんじゃないかな。オリメンとの2曲はEPみたいな扱いで、アルバム本編とは別という。アルバム本編でも9曲目「Rats」がオリメンで演奏された楽曲だけど、こっちはもっとソリッドな仕上がりで、本編の流れに沿っているので収録を決めたと。そういうことなんでしょう。

とうわけで、本気で支持したいこのアルバム。全米32位と前作には及びませんでしたが、僕は大好きですよ。非常にライブ向きですし。

そういえば、まもなく『LOUD PARK 2017』で久しぶりに来日しますね。前回の来日は2008年3月。単独公演とは違ってフルセットを楽しめるわけではありませんし、そうなると新曲もどれだけ削られるのかわかりませんが、今は素直に久しぶりの新作と久しぶりの来日に対して、素直に酔いしれたいと思います。



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投稿: 2017 10 04 12:00 午前 [2017年の作品, Alice Cooper, Deep Purple, U2, ZZ Top] | 固定リンク

2017/09/02

DEEP PURPLE『DEEP PURPLE IN ROCK』(1970)

DEEP PURPLEが1970年に発表した4枚目のスタジオアルバム。当時の編成はイアン・ギラン(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ジョン・ロード(Key)、ロジャー・グローヴァー(B)、イアン・ペイス(Dr)の第2期と呼ばれる5人で、ギラン&グローヴァー加入後初のスタジオアルバムとなります。

それ以前のパープルは「Hush」のシングルヒット(アメリカのみ)があったものの、アルバムはからっきし売れず(特にイギリスではチャートインせず)という状態。そんな中、LED ZEPPELINが独自のハードロックサウンドで世界的に大ヒット。ここからヒントを得たリッチーが「これだ!」と言わんばかりに、それまでのオルガン中心の音作りからギターを軸にした豪快なハードロックへと移行した……という話です。

実際、オープニングの「Speed King」からギターが爆発せんばかりのワイルドぶりを見せています。ジミー・ペイジというよりもジミヘンからの影響が強いんでしょうかね。特にソロパートではギターとオルガンが即興バトルを繰り広げる感じは、確かにツェッペリン以上かもしれません。

さらに、新加入のギランのボーカルもこのバンドのハードロック化に一役買っています。ロバート・プラントのようなハイトーンとは異なるタイプではあるものの、ヒステリックなシャウトなどは後続たちに大きな影響を与えたことは間違いなし。特に「Child In Time」での強弱の付け方は、ツェッペリンの長尺曲のそれとは違った魅力が感じられる、本作におけるハイライトと言えるでしょう。

パープルというと「Highway Star」や「Smoke On The Water」が収められた『MACHINE HEAD』(1972年)のほうが名盤に選ばれがちですし、実際「パープルで最初に聴いたアルバムは『MACHINE HEAD』」という人も多いでしょう。事実、筆者もそうでしたし(当時『PERFECT STRANGERS』で再結成した頃でしたが、新作よりも先に『MACHINE HEAD』を聴きました)。しかし、『MACHINE HEAD』は“パープルHR化”から3作目にしてたどり着いたひとつの終着点。あわせてこの『IN ROCK』も楽しむと、より第2期パープルのことを深く知れると思いますよ。



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投稿: 2017 09 02 12:00 午前 [1970年の作品, Deep Purple] | 固定リンク

2017/04/13

DEEP PURPLE『INFINITE』(2017)

これがラストアルバム?と噂される、DEEP PURPLE通算20枚目のスタジオアルバム。前作『NOW WHAT?!』(2013年)から4年ぶりと、思っていた以上に間が空いてないんですね(その前の『RAPTURE OF THE DEEP』(2005年)から『NOW WHAT?!』の間隔8年も空いてたので)。

正直言えば、2000年代のパープルをそこまで真面目に聴いてきたわけではありません。リアルタイムでしっかり聴き込んでいたのは、リッチー・ブラックモア最終作『THE BATTLE RAGES ON…』(1993年)までで、スティーヴ・モーズ初参加作『PURPENDICULAR』(1996年)はぶっちゃけ熱心に聴いたほうではなく、その後も新作が出るたびに聴いたり聴かなかったり……という付き合い方でした。

今作に関しては、昨年末に先行公開されたアルバムのオープニングトラック「Time For Bedlam」の仰々しいイントロ&アウトロと、そこに挟まる“80年代以降のパープル”というアンバランスさが妙に引っかかり、ずっと気になっていたんです。「リリースされたら、ちゃんと聴こう」って。

で、発売された本作。どの楽曲も聴けば「あ、パープルだ」という要素が散りばめられたものばかり。それこそ70年代、80年代の彼らが好きな人、その頃の諸作品に触れた人なら必ず引っかかりのある1枚だと思います。オールドスタイルのロックンロールやブギーを軸にしつつも、重みのあるビート、プログレッシヴハードロック的アレンジなど、このバンドの歴史を総括するような楽曲がずらりと並び、そこにスティーヴ・モーズ(G)のツボを押さえたギタープレイと、ハードロックというよりはプログレチックなドン・エイリー(Key)のオルガン/シンセ/ピアノが加わることで、“古臭いのにどこか新鮮”という最初に「Time For Bedlam」を聴いて感じた“引っかかり”を楽しめるはずです。

ただ、イアン・ギランのボーカルに関しては……71歳という高齢のわりに健闘していると思いますが、やはり往年のシャウトは期待できないわけで。一定のトーンで歌われるボーカルのせいで、タイトな演奏とは相反する緩さが生じてしまっています。が、そこを差し引いて考えればなかなか良くできたハードロックアルバムとして楽しむことができるんじゃないでしょうか。いや、冗談抜きで、とてもリラックスして楽しめる1枚です。まさかパープルの作品とこういう向き合い方をする日が来るなんて、思ってもみなかったけど。

長年活動が続くロックバンドの加齢問題は、このDEEP PURPLEに限らずたくさんあります。JUDAS PRIESTやSCORPIONSも一時期引退を示唆していましたし。パープルが本当にこのアルバムとそれに伴うワールドツアーで活動を終了させるのかは現時点では不明ですが、仮にもしこのアルバムで最後だとしても誰も文句は言わないはずです。それに見合った優れた作品を作り上げたわけですから。



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投稿: 2017 04 13 12:00 午前 [2017年の作品, Deep Purple] | 固定リンク

2017/02/26

WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』(2015)

2008年に『GOOD TO BE BAD』、2011年に『FOREVERMORE』というオリジナルアルバムを発表し、それぞれ英米で(80年代には及ばないものの)まずまずの成績を残してきたWHITESNAKE。4年ぶりの新作として発表されたのが、デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)がDEEP PURPLE在籍時に制作した3枚のアルバム、『BURN』(1974年)、『STORMBRINGER』(1974年)、『COME TASTE THE BAND』(1975年)からセレクトされた楽曲をセルフカバーした通算12枚目のスタジオアルバム『THE PURPLE ALBUM』です。

思えばWHITESNAKEは90年代にも「Soldier Of Fortune」(『STORMBRINGER』収録)をカバーしていましたし、もっとさかのぼれば70年代に「Mistreated」(『BURN』収録)もピックアップしていましたしね。ただ、前者に関しては非常にレアな機会に歌われていただけだし、後者は持ち曲が少ない時期にライブで披露していたという理由があったわけで、そこに変な意味合いはなかったはず。ところが、2000年代に入ってからの再結成では「Burn」からライブを始めたり、その「Burn」と「Stormbringer」をメドレー形式で演奏したりと急にパープル曲が増え始めた。当時はラッキーと思いつつ、「なぜ今パープルよ?」という複雑な心境になったものでした。

そんなですから、このアルバムを制作すると決まったときは、やはりモヤモヤした気持ちに。最近ライブでカヴァーデイルが声出なくなってきてるからチューニング下げまくりなところに、一番若々しかった時代の曲をセルフカバーって……はい、不安しかありませんでした。しかも、本作制作前には2000年代のWHITESNAKEにとって重要な存在だったダグ・アルドリッジ(G)が脱退。替わりに加入したのがNIGHT RANGERのジョエル・ホークストラだっていうんだから……ジョエルにブルースのブの字も感じたいことないし、どちらかというともう1人のギタリスト、レブ・ビーチと同系統だと思っていたので、不安以外のなにものでもありませんでしたよ。

いざ完成した『THE PURPLE ALBUM』は、予想通りチューニング下げまくり。ただ、「Stormbringer」や「Love Child」「The Gypsy」みたいなヘヴィで引きずるようなミドルチューンにはローチューニングは合ってるかな。とはいえ、「Burn」はやっぱり原曲のキーあってこそだという思いが強いし、「Sail Away」のアレンジも凡庸。名曲中の名曲「Soldier Of Fortune」もわざわざチューニング下げなくても歌えたんじゃないかと思うんですが……原曲への思いが強いだけに、ちょっと残念でなりません。

曲によっては新たな解釈が加えられており、“あくまでWHITESNAKEのアルバムですよ”との主張が感じられる。もちろんそれは正しいんだけど、だったらそのテイストの新曲を作れなかったのかなと。オリジナル曲半分、お遊びで新解釈のカバー半分みたいな作品作りもできたはずなのに、ただ曲数が多くて長いアルバムで終わっちゃってる気がします。そして、やっぱりデヴィッドの衰えだけが目立ってしまうという……だからこそ新曲で勝負してほしかったな。

かなりネガティブなことばかり書いてしまいましたが、すべてがすべて悪いというわけではないですよ。上に挙げたようなミドルヘヴィナンバーは原曲に匹敵するカッコよさが感じられたし、なにより個人的には久しぶりに聴いた『COME TASTE THE BAND』からの楽曲がこんなに良かったっけ?という新たな発見もありましたし。このアルバム、20代前半に聴いたっきりだったので、これを機に改めて聴き直そうと思ったくらいですから。そこに気づかせてくれたという点においては、僕にとっても意味のあるアルバムだったのかもしれません。聴く頻度は非常に低いですけどね(苦笑)。

最後に。本作は2012年に亡くなったDEEP PURPLE、WHITESNAKEのキーボーディスト、ジョン・ロードに捧げられた作品とのこと。本当にそうだとしたら、なおさらオリジナル曲を届けてほしかったな……シンガーとしての寿命も(普通に考えたら)この先決して長くはないだけに……という、好きすぎるからこその苦言でした。



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投稿: 2017 02 26 12:00 午前 [2015年の作品, Deep Purple, Whitesnake] | 固定リンク

2016/12/19

DEEP PURPLE『SLAVES AND MASTERS』(1990)

旧サイト時代から数えて18年、ふと気づいたらDEEP PURPLEのアルバムを1枚も取り上げていないことが発覚。だったらこの勢いで書いてみようと、まず最初にオススメするならと選んだのがこれ。いろいろ間違っているような気がしないでもないけど、余計なことは考えない。

リッチー・ブラックモアがRAINBOWを解散させて、黄金期と呼ばれる第2期(リッチー、イアン・ギラン、ジョン・ロード、イアン・ペイス、ロジャー・グローバー)の布陣でDEEP PURPLEを再結成させたのが1984年。以後、この布陣で2枚のスタジオアルバム(『PERFECT STRANGERS』『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』)とライブアルバム『NOBODY'S PERFECT』を発表するのですが、『IN ROCK』や『MACHINE HEAD』を再び求めたリスナーの希望を打ち砕くかのように、後期RAINBOW路線の楽曲を軸にした(それでいてパープルらしいスリリングさもある)作品が提示され、一部ファンを落胆させたのでした。

そして1989年にイアン・ギラン脱退。新たにボーカリストに迎えられたのが、後期RAINBOWのフロントマンであるジョー・リン・ターナーだったという。なんじゃそりゃ。リッチー、ジョー、ロジャーってすでにバンドの3/5がRAINBOWじゃん。そりゃパープルファンは怒りますよね。

そうして1990年にリリースされたのが、この『SLAVES AND MASTERS』というアルバム。楽曲自体は『PERFECT STRANGERS』や『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』の流れにある作風なのですが、そこにジョーのボーカル&彼が作るメロディが乗ると……あら不思議。よりRAINBOWなわけです。「80年代のパープルっぽい」ととるか、「RAINBOWのラストアルバム『BENT OUT OF SHAPE』の続き」ととるかで、このアルバムの評価は変わってくるんじゃないでしょうか。

パープルは好きだけど『BURN』を制作した第3期編成が一番好み、かつパープルよりRAINBOWが好きという僕からしたら、歌メロがしっくりこなかった『PERFECT STRANGERS』や『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』よりもこの『SLAVES AND MASTERS』のほうが好み。「The Cut Runs Deep」も「Fire In The Basement」も「Wicked Ways」も最高の楽曲なわけです。リッチーのギターも自分が目立つことよりも楽曲に合わせたプレイをしているし、続くギラン復帰作『THE BATTLE RAGES ON…』での演奏を思えば、彼が最後に“ロック”した最後のパープル作品ということになるのかな。それも結果論でしかないんだけどね。

ちなみに、僕が初めて観たパープルの来日公演は、このアルバムを提げて行われた1991年の武道館公演でした。『SLAVES AND MASTERS』の楽曲はもちろん、1曲目がいきなり「Burn」から始まるというギラン時代だったら絶対にありえない選曲に驚き、さらに「Black Night」にRAINBOW「Long Live Rock'n'Roll」をくっつけたり、やりたい放題。第2期至上主義者はこのライブを観てどう思ったんだろう……。

おまけに。『THE BATTLE RAGES ON…』ツアーでの来日目前にリッチーが脱退し、急遽ジョー・サトリアーニがサポートで入ると知って慌ててチケット取って行ったのが、最後に観たパープル単独公演です。その後、サマソニで来日した際にもちらっと観てますけど、そろそろ今の編成も観てみたいな、観ておかなきゃなと思っているところです。



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投稿: 2016 12 19 12:00 午後 [1990年の作品, Deep Purple] | 固定リンク