カテゴリー「Depeche Mode」の8件の記事

2018年7月26日 (木)

DEPECHE MODE『VIOLATOR』(1990)

1990年3月にリリースされたDEPECHE MODE通算7枚目のスタジオアルバム。前作『MUSIC FOR THE MASSES』(1987年)がアメリカでウケたこともあり、同作のワールドツアーは大成功のうちに幕を下ろし、そのライブの音源を収めた2枚組ライブアルバム『101』(1989年)もスマッシュヒットに。

続く新作に先駆けて、バンドは1989年夏に新作シングル「Personal Jesus」を発表。この曲が全英13位、全米28位という好成績の残し、翌年春発売のアルバム『VIOLATOR』は全英2位、全米7位という大ヒットを記録しました。また、同作からは「Enjoy The Silence」(全英6位、全米8位)、「Policy Of Truth」(全英16位、全米15位)、「World In My Eyes」(全英17位、全米52位)といったヒットシングルも次々に生まれ、アルバム自体もアメリカで300万枚以上を売り上げる最大のヒット作となりました。

全体的に激しさや感情の揺さぶりが少ない作風で、終始ダークで穏やかな雰囲気の中進行していくものの、メロディ自体は非常にポップ。何度か聴いているうちに口ずさめてしまう楽曲ばかりで、それが上記のシングルヒットに結びついたことは想像に難しくありません。

また、楽曲自体はダークでもサウンドはどこか温かみのあるもので、完全なるデジタルというよりはアナログシンセなどのふくよかさが好影響を及ぼしているようです。「Personal Jesus」などで用いたギターサウンドも、その一因と言えるでしょう。

こういった要素は、のちに始まるオルタナロック/グランジの最盛期にもつながっていき、バンドはより大きな人気を獲得することになります。

そして、デイヴ・ガーン(Vo)の歌声もより艶を増し、いよいよ本格的なカリスマ化が進みます。これも彼らに人気に拍車をかけることになり、単なる“イギリスのエレポッップバンド”から“世界を代表するアリーナバンド”へと成長していくわけです。前作で提示した“大衆のための音楽”(=『MUSIC FOR THE MASSES』)が、ここでついに現実のものとなったのです。

リリースから30年近く経った今聴き返しても、サウンドに古臭さを感じることもなく、楽曲自体がどれも優れている。この手の音楽ってテクノロジーの進化とともに時代的劣化が否めないところもあるのですが、このアルバムと続く『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』(1993年)にそれを感じないのは“ロック的”だからなのかもしれません。



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2018年2月25日 (日)

DEPECHE MODE『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』(1993)

1993年春にリリースされた、DEPECHE MODE通算8枚目のスタジオアルバム。前作『VIOLATOR』(1990年)が全英2位、全米7位を記録し、特にアメリカでは「Enjoy The Silence」(全米8位)や「Policy Of Truth」(全米15位)などのシングルヒットも手伝って、アルバムは300万枚を超える最大のヒット作となりました。

“大衆のための音楽”と題しながら非常にマニアックな世界観を提示した『MUSIC FOR THE MASSES』(1987年)から『VIOLATOR』への流れは非常に完璧なものだったと思いますし、そこからDEPECHE MODEがどこへ進んでいくのか、誰もが気にしていたと思います。そんな期待を背に、3年ぶりに完成させたアルバムはどこか宗教じみた世界観を持つ、非常にダークな作風でした。

オープニングを飾る「I Feel You」はタイミング的にも、オルタナティヴロックやグランジを彷彿とさせるダークなロックをエレクトロスタイルで表現したもので、リリース当時は「ここまでやるか!」と正直驚いたものです。特に、デイヴ・ガーン(Vo)が同曲のMVで見せたそのヴィジュアルの変化(ロングヘアーに無精髭)と合間って、よりそういった印象が強まったんじゃないでしょうか。

ところが、そういった印象の楽曲はこれ1曲のみ。以降はエレクトロサウンドと生音を適度にミックスした、彼ららしいサウンドが……いや、らしくない部分もあるけど……展開されています。が、先に触れたように本作は全体的にどこか宗教じみた空気が感じられる。それはゴスペルテイストの「Condemnation」、タイトルもまんまな「Judas」における『THE JOSHUA TREE』期のU2みたいな世界観、ストリングスを大々的にフィーチャーした「One Caress」などによる影響が大きいのかもしれません。

実際、歌詞にもそういった宗教観などが反映されており、そのへんも本作の重々しさを作り出す要因につながっているのでしょう。ただ、宗教的な雰囲気とはいうものの、それは敬虔さとは異なり、どちらかというと禁忌を侵すほうが近いのかなと。デイヴのロックスター然とした退廃的なヴィジュアルも、宗教的な意味で“禁忌を侵す”のと同時に、従来のDEPECHE MODEのイメージを壊すという意味で“禁忌を侵す”のかもしれない。そういう危うさをはらんだ、あのタイミングにしか生み出せなかった奇跡の1枚だと思います。従来のファンからは賛否両論あるようですが、個人的には大好きな作品のひとつです。

とはいえ、本作は初めて全英&全米1位を獲得。セールス的には前作には及ばなかったものの、それでもアメリカでは100万枚を超えるセールスを記録し、「I Feel You」(全英8位、全米37位)、「Walking In My Shoes」(全英14位、全米69位)、「Condemnation」(全英9位)、「In Your Room」(全英8位)とシングルヒットも多数生まれました。

本作で禁忌を侵したことがきっかけなのかはわかりませんが、バンドはアラン・ワイルダー(Key, Dr)の脱退、そしてデイヴの二度にわたる自殺未遂と存続の危機を迎えることになります。



▼DEPECHE MODE『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』
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2017年12月31日 (日)

2017年総括(1):洋楽アルバム編

2017年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2017年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ5本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

・Björk『UTOPIA』(amazon)(レビューはこちら

・CIGARETTES AFTER SEX『CIGARETTES AFTER SEX』(amazon

・CONVERGE『THE DUSK IN US』(amazon)(レビューはこちら

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2017年7月 2日 (日)

DEPECHE MODE『SPIRIT』(2017)

前作『DELTA MACHNE』(2013年)からちょうど4年ぶりとなる、通算14枚目のスタジオアルバム。90年代以降、この4年というサイクルは正確に保たれているようで、その合間にはライブ作品の発表だったり再発だったりと、何かしらアイテムが発売されているので、実は思っている以上に4年を長く感じないという。これでリリースのたびに来日公演があったら、もっと短く感じるんでしょうけどね……。

さて、今回のアルバムでは近作とは異なるテイストが感じられます。非常にダークで重々しいく、どこか宗教じみた匂いが感じられる。おそらく多くのファンが、1993年の大ヒット作『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』を思い浮かべるかもしれません。確かに僕も最初に聴いたとき、最初にイメージしたのは同作でした。ただ、どこか救いのない空気の漂う『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』と大きく異なるのは、本作には“望み”や“希望”のような一筋の光が感じられる点。確かに20数年前のあの時期と比べたら、今のDEPECHE MODEは非常に落ち着いていますし、人としても達観した部分も多いですし。

『PLAYING THE ANGEL』(2005年)から3作連続でプロデュースを手がけたベン・ヒリアーのもとを離れ、今作では新たにSIMIAN MOBILE DISCOのジェイムズ・フォードがプロデュース。ひんやりとしたロックテイストの冒頭2曲「Going Backwards」「Where's The Revolution」のインパクトは絶大で、そのあとにブルージーな「The Worst Crime」、エレクトロ+インダストリアル調な「Scum」と、とにかくダークでヘヴィでクールな楽曲が続きます。ただ、先にも書いたように『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』ほどの“重苦しさ”はなく、そこが繰り返し楽しめる要因になっているのかなと。

にしても今回のアルバム、非常に挑発的な内容ですよね。「Revolution」「Crime」「Scum」「Poison」「Poorman」など曲名に使われているワードしかり、現在のアメリカ政権を揶揄したかのような歌詞しかり。そういえば「Where's The Revolution」のMVも政治的ですし。かと思えば、終盤にはデヴィッド・ボウイに捧げた「No More (This Is The Last Time)」があったり、ラストナンバーがマーティン・ゴアのボーカル曲「Fail」だったり(マーティンのボーカルナンバーはもう1曲「Eternal」も)。アルバムのトーンは終始救いようがないくらいに暗いのですが、でも聴き終えたときに絶望感は一切感じない。それが全体を覆う“攻め”の姿勢によるものなのか、あるいはある種の“悟り”なのか。そのへんが、近作とはちょっと違うなと感じたのでした。

エレクトロでインダストリアルな作風なのに、しっかりロックしている。いや、ロックというよりもブルースに近いかも。もともと好きなアーティストの新作ということで好意的ではありますが、このブルース感が強まったことでより好きになれた1枚です。



▼DEPECHE MODE『SPIRIT』
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2017年7月 1日 (土)

2017年上半期総括

恒例となった上半期ベスト。ひとまず7月1日現在の10枚を紹介したいと思います。バランスとしては洋楽5枚、邦楽5枚というセレクトになります。


DEPECHE MODE『SPIRIT』(amazon)(レビューはこちら

THE JESUS & MARY CHAIN『DAMAGE AND JOY』(amazon)(レビューはこちら

KREATOR『GODS OF VIOLENCE』(amazon)(レビューはこちら

MASTODON『EMPEROR OF SAND』(amazon)(レビューはこちら

RIDE『WEATHER DIARIES』(amazon)(レビューはこちら

Cornelius『Mellow Waves』(amazon)(レビューはこちら

Maison book girl『image』(amazon

Mondo Grosso『何度でも新しく生まれる』(amazon

ONE OK ROCK『Ambitions』(amazon)(レビューはこちら

ドレスコーズ『平凡』(amazon)(レビューはこちら

2017年5月17日 (水)

DEPECHE MODE『MUSIC FOR THE MASSES』(1987)

1987年秋にリリースされた、DEPECHE MODE通算6枚目のスタジオアルバム。本作に先駆け、同年春に「Strangelove」(全米76位、全英16位)がシングルリリースされ、続いて夏にオープニングトラック「Never Let Me Down Again」(全米63位、全英22位)をシングル発売。そしてリリースされたアルバムは全米35位、全英10位というアメリカでは過去最高の成績を残し、売上も全米では100万枚を突破しております。本作での成功が、続く7thアルバム『VIOLATOR』(1990年)の大ヒットにつながるわけです。

DEPECHE MODE自体は前作『BLACK CELEBRATION』(1986年)で初めて触れて、その明るくなりきれないエレポップサウンドに惹きつけられたわけですが、初めて自腹で買ったアルバム(CD)がこの『MUSIC FOR THE MASSES』だったのです。それは先に挙げた2枚のシングル「Strangelove」「Never Let Me Down Again」がお気に入りだったこともあったのと、なんとなくアートワークに惹きつけられてというのが大きくて。一見シンプルなんだけど、実はめちゃくちゃ深い意味が込められているんじゃないかって。

あと、初盤のCDにはボーナストラックとしてリミックスが何曲か追加収録されていたんですよ。今思えば、別にDJをやるわけでもないし、絶対に1、2回聴いたら飽きるはずなのに、曲数が少しでも多いってことでアナログよりCDのほうが絶対にお得だ!と子供ながらに思ってしまったんでしょうね。

ちなみに「Never Let Me Down Again」はオリジナルバージョンよりも、イントロに大げさなオーケストレーションが追加&エクスパンドされたリミックスバージョンのほうが気に入っています。のちにリマスタリング再発されたバージョン(CD1枚もの)はこれらのボーナストラックが省かれていたので、あとあとiTunesで探した記憶があります。

さて、本編について。オープニングの「Never Let Me Down Again」から仰々しく、かつ淡々として冷たさのあるデイヴ・ガーン(Vo)のボーカルに惹きつけられます。この派手はリズムも当時の流行りだったような。もちろん全編こういうリズムではなく、賛美歌のようなイントロから軽快な曲調へと変化する「Sacred」や、ダンサブルなエキゾチックポップチューン(と呼びたい)「Behind The Wheel」、吐息をサンプリングしてリズムを組み立てていく「I Want You Now」みたいな曲も含まれているんだけど、オープニングの雰囲気とエンディング「Pimpf」のダークさが相まって、結局全体的に非常に“冷たい”印象の残るアルバムと呼ぶことができます。

そんなアルバムに対して『MUSIC FOR THE MASSES』(「大衆音楽」の意)というタイトルを付けてしまうバンドの遊び心には、思わずニヤッとしてしまいます。とはいえ、メロディラインは非常に優れた楽曲ばかりなので、あながち間違ってはいないわけですけどね。

個人的にはここから続く3作品(『MUSIC FOR THE MASSES』、『VIOLATOR』、そして1993年の『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』)は今でも聴き返すことの多い名盤だと思っています。



▼DEPECHE MODE『MUSIC FOR THE MASSES』
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2015年1月17日 (土)

Depeche Modeのメタル / ラウド系カバーの私的ベスト10

昨年末からよく聴いているのが、Depeche Modeの最新ライブアルバム「Live in Berlin Soundtrack」。一昨年春にリリースされたオリジナルアルバム「Delte Machine」を引っさげて行われたワールドツアーの音源ですね。残念ながらDepeche Modeの来日公演は1990年くらいに「Violator」を携えてのツアー(武道館公演に行きました)以来実現しておらず、最近でこそ新作リリース後は毎回ツアーDVDやライブCDが発売されるものの、90年代は完全に“死”でしたよね(といっても、90年代半ばはバンド自体が本当の意味で“死”の状態だったのでアレですが)。それこそ「Songs of Faith And Devotion」のツアーが観られなかったのは痛かったなあと。

結局今回の「Delte Machine」ツアーでも、現時点で来日公演は実現していないわけでして。すでにライブ作品が発売されてるってことは……わかります。はい。残念でなりませんが。

さて、話題は変わり。Depeche Modeが好きなメタル / ラウド系バンドって多いですよね。特にデスメタル / ゴシックメタル以降のバンドに多いのかしら。というわけで、今回は「Depeche Modeのメタル / ラウド系カバーの私的ベスト10」という、かなりこじつけ色の強いセレクト。自分が知ってるもの、検索して引っかかって聴いたら気に入ったものを、無理矢理10曲にまとめました。順番は原曲のリリース順……のはずです。まずは、In Flamesを気に入るきっかけになったこのカバーから……。

1. In Flames / Everything Counts

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2004年8月29日 (日)

とみぃ洋楽100番勝負(10)

 やっと十分の一。毎日更新したとして、あと3ヶ月近くかぁ‥‥ ま、ユルく進めていくんで、ひとつヨロシク。

●第10回「A Question Of Lust」 DEPECHE MODE('86)

 ヨーロッパ特有の暗さ+インダストリアルやエレポップといった要素を取り入れた中での成功例。こいつらがいなけりゃソフトバレエもNINE INCH NAILSも生まれなかったんじゃないか、ってくらいにね。

 多分一番最初に聴いたのは、この曲より前のアルバムに入ってる "People Are People" だったと思うけど、個人的にグサリときたのが表題曲を含む5枚目のアルバム「BLACK CELEBRATION」だった、と。どれも好きな曲ばかりで、ホントは "Black Celebration" か "A Question Of Time" か "Stripped" かこれかで悩んだんだけど、結局好きになる切っ掛けだった "A Question Of Lust" に。

 暗さだけでいったら他の曲やその後のアルバムの方がもっと暗くて重い曲が多いんだけど、何か知らないけどつい口ずさんじゃうんだよね、この曲は。テンポ的にもスローだし、曲調自体はメジャーキーだし、決して暗いとは言い難いんだけど、やっぱり独特な空気感があってね。それだけで合格!みたいな。ホント、有無を言わさぬ説得力を持ってる曲なのね。

 正直、DEPECHE MODEは「BLACK CELEBRATION」以降のアルバム‥‥「MUSIC FOR THE MASSES」も「VIOLATOR」も「SONGS OF FAITH AND DEVOTION」も、どれも捨て難いのね。全部好き。その後の「ULTRA」はイマイチだったし、「EXITER」はあと一歩だったけど、ホント初期も含めて大好きなバンドのひとつ。「VIOLATOR」リリース後の来日公演('91年だっけ?)も行ったなぁ‥‥思えばあれが最後の来日だったよなぁ‥‥海外ではU2並みにスタジアムを沸かせた時期('90年代)に来日しなかったから、海外と日本での評価がここまで違ってしまったんだよね‥‥ホント勿体ない存在。



▼DEPECHE MODE「BLACK CELEBRATION」(amazon

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