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カテゴリー「Dillinger Escape Plan, the」の8件の記事

2021年11月 2日 (火)

JERRY CANTRELL『BRIGHTEN』(2021)

2021年10月29日にリリースされたジェリー・カントレルの3rdアルバム。日本盤未発売。

ALICE IN CHAINSのギタリスト兼ボーカリストのジェリーですが、バンド活動が休止していた1998年に初のソロアルバム『BOGGY DEPOT』、2002年に『DEGRADATION TRIP』(同作発売から半年後に未発表のディスク2をつけた『DEGRADATION TRIP VOLUME 1&2』も発表)の2作品を発表。その後は新編成でのALICE IN CHAINSが始動したこともあり、ソロとは無縁でした。

このたび19年ぶりに制作されたソロ3作目は、バンドの状態が良好なこともあり、気心知れた仲間と息抜きのつもりで作った1枚といったところでしょうか。共同プロデューサーにホラー映画のサウンドトラック制作やMARILYN MANSONとの共作でも知られるタイラー・ベイツを迎え、レコーディングはダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)、ギル・シャロン(Dr/STOLEN BABIES、TEAM SLEEP、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLANなど)、エイブ・ラボリエルJR.(Dr/ポール・マッカートニーエリック・クラプトンなど)、グレッグ・プチアート(Cho/KILLER BE KILLED、THE BLACK QUEEN、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLANなど)といったメンツで実施されました。

ALICE IN CHAINSが現存していることから、本作ではそちら側のダークなサウンドや不協和音ハーモニーを無理に全面に押し出すこともなく、もっと肩の力の抜けたアーシーなロックが中心。といっても、そこはグランジ畑出身のジェリーらしく、随所にオルタナティヴなテイストが散りばめられており、それによってごく一般的なアメリカンロックに収まることのない、独自性の強い“グランジ以降のUSロック”が展開されています。

例えば、ALICE IN CHAINSでいうところの『SAP』(1992年)『JAR OF FLIES』(1994年)で試みた、アコースティック色の強い楽曲群。それらをもとにした、3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)の一部側面。そして、『MTV UNPLUGGED』(1996年)……振り返れば本作への布石は、活動初期から用意されていました。そして、こういったテイストはソロ活動にも引き継がれ、過去2作でもその一部で取り入れられていました。だから、こういったライトな作風になったからといって彼が日和ったわけではないのです。

もちろん、「Siren Song」「Had To Know」のようなALICE IN CHAINSのダークサイドの流れにある楽曲も、あるにはあります。が、バンドではこのテイストがメインなところを、ソロ3作目ではアクセントとして使用している。しかもそこまで重苦しくないから、このアルバムの流れで聴いても違和感なく楽しめる。

アルバムのラストには、2分にも満たないエルトン・ジョンのカバー「Goodbye」を用意。この穏やかさこそ、彼がソロで表現したかったことそのものではないでしょうか。バンドでの先鋭的な刺激や緊張感の強いプレイこそないものの、再結成以降のALICE IN CHAINSを好意的に捉えているリスナーなら問題なく楽しめるはずだし、グランジが本格的に勃発した1991年から30年を経て表現される、“大人になったグランジ”と言えなくもない。そういった意味では、実に2021年らしい1枚かもしれませんね。

 


▼JERRY CANTRELL『BRIGHTEN』
(amazon:MP3

 

2020年12月14日 (月)

GREG PUCIATO『CHILD SOLDIER: CREATOR OF GOD』(2020)

2020年10月1日にリリースされたグレッグ・プチアートの1stソロアルバム。日本盤未発売。

THE DILLINGER ESCAPE PLANのフロントマンで、現在はTHE BLACK QUEENやKILLER BE KILLEDの一員としても活動するグレッグが、ドラム以外の楽器をすべて自身で演奏した、文字通りの“ソロ”アルバム。当初はTHE BLACK QUEENの3rdアルバム用に新曲を作り始めたところ、バンドのカラーに合わないと判断。さらにはKILLER BE KILLEDのテイストとも異なることから、ソロEPとして発表しようと計画。ところが、これを機に創作意欲がさらに増していき、過去THE DILLINGER ESCAPE PLANで制作した断片まで引っ張り出して、1枚のアルバムとしてまとめてしまったのです。

ドラマーにはPOISON THE WELLのメンバーで初期のTHE BLACK QUEENに携わった経験を持つクリス・ホーンブルック、過去THE DILLINGER ESCAPE PLANのメンバーでもあったクリス・ペニー、そしてCONVERGEの一員でKILLER BE KILLEDでの盟友ベン・コラーという馴染みの3人が参加。プロデューサーにはLAMB OF GODからVAMPIRE WEEKEND、マドンナまで幅広く手がけるニック・ロウが携わり、グレッグの多彩さに満ちた音楽性を見事にひとつの作品として表現しております。

オープニングトラック「Heaven Of Stone」の内省的なフォーキーさに、いきなり度肝を抜かれる本作。そうか、ソロではそういう方向性なのか……と思いきや、続く本作のタイトルトラック「Creator Of God」ではエレクトロ/インダストリアルサウンドとタイトなリズムが重なる唯一無二の世界観が飛び込んできて、さらに3曲目「Fire For Water」ではTHE DILLINGER ESCAPE PLAN時代を思わせるエクストリームメタルが展開される。ああ、そうか。ソロアルバムなんだもん、ひとつのジャンルに固執しなくてもいいんだよな。これが本作の楽曲をTHE BLACK QUEENやKILLER BE KILLEDで使用しなかった理由なわけですもんね。

とにかく、グレッグというアーティストのいろいろな才能が凝縮された1枚で、統一感はそこまで強いものではないのですが、不思議と破綻はしていない。全体的にエクスペリメンタルメタルの色は強いものの、中には「Down When I'm Not」のようなニューウェイヴチックなオルタナティヴロックがあったり、「Throught The Walls」にはR&Bの香りも感じられるし、「A Pair Of Questions」からは80年代エレポップからの影響も伝わってくる。さらに「Evacuation」なんてNINE INCH NAILS以降のインダストリアルメタルそのものですし、最初から最後までまったく楽しめるんですよ、これが。

当初は別名義でのプロジェクトとして発表しようとした本作ですが、友人であるALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(Vo, G)の助言によりソロアルバムとして発表されたとのこと。アルバム収録曲のリークにより発売日が3週間前倒しになるなど災難もありましたが、思ったより話題になっていないのがちょっと寂しいなど。聴き手を選ぶ内容かもしれませんが、ひとつでも引っかかるポイントがあれば生涯楽しめる1枚ではないでしょうか。

 


▼GREG PUCIATO『CHILD SOLDIER: CREATOR OF GOD』
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2020年11月28日 (土)

KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』(2020)

2020年11月20日にリリースされたKILLER BE KILLEDの2ndアルバム。日本盤未発売(あれ、予定なかったでしたっけ?)。

マックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYCAVALERA CONSPIRACYNAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE BLACK QUEEN、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLAN)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人で結成され、2014年5月に1stアルバム『KILLER BE KILLED』を発表した彼ら。当初はアルバム1枚のみのスーパープロジェクトかと思いきや、翌2015年にドラマーがベン・コラー(CONVERGE、MUTOID MAN)に交代し、不定期ながらも活動を続けていくことを宣言。前作から6年半を経てついに2作目が届けられました。

ベンを含む編成では初のアルバムとなりますが、基本的な路線は前作を継承したもの。エクストリームメタル/ハードコア界の重鎮たちが一堂に会したバンドながらも、それぞれのエゴをむき出しにすることなく、ヘヴィながらもエモーショナルなメロディを前面に押し出した聴き応えのある良作に仕上げられています。

とにかく4人(というかフロントの3人)のカラーの配分が前作以上に明確になっており、役割分担もはっきりしてきた印象。1曲の中で複数のボーカリストが交わる曲構成は前作よりも増えているし、それが間違いなくこのバンドの個性につながっている。グレッグとトロイの個性の違いを存分に味わいつつ、要所要所で飛び込んでくるマックスのグロウルが大きな武器(フック)として効果を発揮しており、ようやくプロジェクトからバンドにまで進化したんだなと実感させられます。

どの曲も聴き応えのある良作ばかりなのですが、個人的に印象に残ったのが「Filthy Vagabond」かな。楽曲の作りといい、各シンガーの色分けといい、見事なまでに作り込まれている印象を受けました。この曲が本作を代表する1曲とまでは言わないものの、間違いなく彼らが目指したもの、やりたいことがここに凝縮されていると感じます。

かと思えば、続く「From A Crowded Wound」ではベンが加わったことによってなのか、どこかCONVERGEを彷彿とさせる色合いが増している。それをTHE DILLINGER ESCAPEのグレッグが歌うというところにも、個人的にはグッとくるものがあります。いやあ、すげえバンドです。

前作から引き続きプロデュースを担当したジョシュ・ウィルバーによるサウンドプロダクションも文句なし。HR/HMやラウド系リスナーのみならず幅広い層に受け取ってもらいたい、“エクストリームシーンの今”が凝縮されたKILLER BE KILLEDという“バンド”の本格的なスタート作だと断言させてください。

年末にこんな良作が飛び込んでくると、本当に年間ベスト作選びに苦労しそうです……(苦笑)。

 


▼KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』
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2020年10月14日 (水)

KILLER BE KILLED『KILLER BE KILLED』(2014)

2014年5月9日にリリースされたKILLER BE KILLEDの1stアルバム。日本盤は同年5月14日に発売されています。

本作制作時のメンバーはマックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYCAVALERA CONSPIRACYNAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE DILLINGER ESCAPE PLANE)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人。もともとは2011年にマックスとグレッグが行なったスタジオセッションが軸になっており、ここで制作されたアルバム1枚分の楽曲をトロイ、デイヴを招いてレコーディングすることになるわけです。

いわゆるエクストリームメタル界のスーパースターが勢揃いした“スーパーバンド”なわけですが、その楽曲/サウンドも良い意味で各メンバーが在籍するバンドの持ち味が散りばめられており、かつそれらが乖離することなくバランスよく融合している。しかも、その音を絶妙なさじ加減でまとめ上げているのが、LAMB OF GODGOJIRAHATEBREEDなどでおなじみのジョシュ・ウィルバーというのも、なるほどと頷けるものがあります。

基本的にメインで歌っているのがグレッグのようで、そこにドスの効いたマックスのデス声が織り交ぜられ、さらにトロイも“らしい”歌声を聴かせてくれる。各シンガーが歌い出すと途端にそれぞれが所属するバンドの顔が浮かびますが、それも特に嫌味になっていないし、オリジナリティが欠けているとも思わない。だって、オリジネーター自身がやっているわけだから。とにかく、これだけクセも強く個性も異なるフロントが3人もいて、それらがぶつかり合わないのは奇跡に近いんじゃないかな。個々が自分の武器と見せ方を知っているからこそ、そこで衝突することなく隙間隙間を狙って色を出してくる。ボーカルパートだけ抜き出しても、いろいろと聴きどころの多い1枚だと思います。

また、サウンド/楽曲自体もスラッシュメタルからハードコア、90年代半ば以降のグルーヴメタル/オルタナメタルまで、90年代前半〜2000年代後半のエクストリームメタルの歴史が凝縮された代物で、中でもメロディにもちゃんとしたこだわりが伝わるのが好印象。どうしてもマックスだけだとデス声で突き通しそうですが、ちゃんと歌えるグレッグやトロイのおかげで独特な個性を作り上げられている。で、このメロディが本当にクセになるものばかりで、個人的には「Snakes Of Jehovah」や「Curb Crusher」あたりが本当にお気に入り。懐かしさと新しさがブレンドされたこのスタイルこそ、2010年代前半を象徴するものだと思います。

オープニングを飾る「Wings Of Feather And Wax」の殺傷力や「Save The Robots」の壮大さ、「Fire To Your Flag」での狂気、「Forbidden Fire」での浮遊感とヘヴィさの融合など、最初から最後まですべてがピークでクライマックスで聴きどころという奇跡の1枚。ヘヴィな音楽が好きなら、絶対に聴いておくべき傑作です。

これだけのメンツだし、この1枚で終わるんだろうな……と思っていたら、ドラマーをCONVERGEのベン・コラーに交代し、2020年11月20日に2ndアルバム『RELUCTANT HERO』をリリース! すでに公開中の新曲も良い感じですし、今から発売が楽しみでなりません。

 


▼KILLER BE KILLED『KILLER BE KILLED』
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2020年1月12日 (日)

祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で6回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、前回(1998年4月〜1999年3月)から当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)と被っていることもあり、選出時いろいろ感慨深いものがあったりするのですから、長く続けてみるものですね。

さて、企画説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1999年4月〜2000年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちらです)

 

AC/DC『STIFF UPPER LIP』(2000年2月発売)(Spotify)(レビュー

ATARI TEENAGE RIOT『60 SECOND WIPE OUT』(1999年5月発売)(Spotify)(レビュー

BUCKCHERRY『BUCKCHERRY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』(1999年6月発売)(Spotify)(レビュー

CIBO MATTO『STEREO☆TYPE A』(1999年6月発売)(Spotify

D'ANGELO『VOODOO』(2000年1月発売)(Spotify

THE DILLINGER ESCAPE PLAN『CALCULATING INFINITY』(1999年9月発売)(Spotify

DISTURBED『THE SICKNESS』(2000年3月発売/US)(Spotify)(レビュー

THE FLAMING LIPS『THE SOFT BULLETIN』(1999年5月発売)(Spotify

FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

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2018年11月18日 (日)

AZUSA『HEAVY YOKE』(2018)

THE DILLINGER ESCAPE PLANのリアム・ウィルソン(B)と、ノルウェーのテクニカルデスメタルバンドEXTOLのクリスター・エスペヴォル(G)&デイヴィッド・フスヴィック(Dr)というカオティックなエクストリームミュージックファン生唾モノのメンツが揃ったバンドAZUSA。彼らが2018年11月にリリースしたのが、このデビューアルバム『HEAVY YOKE』です。

AZUSAはこの3人に紅一点のエレーニ・ザフィリアドウ(Vo, Piano)を加えた4人編成。バンド名の“アズサ”から日本人女性が関係あるのかと思いきや、「18世紀当時、南カリフォルニアにいたコマ・リーというネイティヴ・アメリカンの少女は断食と祈りで、人々の病を治すことができた。“アズサ”という名は彼女の神秘的な力で病が治ったという部族の長老が与えたもの。彼らトングヴァ族の言葉で“祝福された奇跡”を意味する」そうです。

そんな神秘的なバンド名を持つ彼ら。このメンツから想像できるサウンドが終始展開されているのですが、特筆すべきはエレーニのボーカルでしょう。

時には男性真っ青なスクリームを轟かせ、時には癒しのような繊細な歌声で囁く。プレス資料にある「ケイト・ブッシュがボーカルのSLAYER、もしくはアネット・ピーコックとDEATHのコラボレーションをあなたは想像できるだろうか?」という説明も納得のボーカルパフォーマンスを、存分に楽しめます。

もちろん、これはボーカルだけが素晴らしいからというわけではなく、そのバックでうねるように変幻自在な演奏を繰り広げる楽器隊の手腕によるものも大きいわけですが。つまり、どっちもクセが強いのに相手を負かしてないし、自分も相手に負けていない。力と力のぶつかり合いをしつつも、共倒れすることなく、むしろするりとかわしたりしながら両者の魅力を引き出している。これって簡単なようですごく難しいことだと思うのですが、それをいとも簡単にやり遂げている。いやいや、ものすごいアルバムですよ、これ。

全11曲(日本盤はボーナストラック1曲追加)で34分(日本盤は38分)というトータルランニングもちょうどよい。狂気じみた作品だけど、これくらいのボリュームだと何度も繰り返し聴きたくなるし、聴き返すにはちょうど良い長さなんですよね。

変拍子があったり不協和音が飛び出したりと、ヘヴィロック/ラウドロックファンはもちろんのこと、ハードコアやアヴァンギャルドな音楽が好きな人にもアピールするものが少なからず含まれている本作。エクストリームミュージックにおける最新形……と言ってしまうのは大げさかもしれませんが、2018年に彼らのようなバンドが登場し、このアルバムでその存在感を時代に刻み込んだことは間違いない事実。これ、ライブで観たらどうなるんだろう……ただただ、それだけが楽しみでならない、今一番“生で観たい”バンドのひとつです。



▼AZUSA『HEAVY YOKE』
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2007年12月31日 (月)

MY BEST OF 2007

古いMac bookに10数年ぶりに電源を入れて、中に残っていたファイルをサルベージしていたのですが、2006〜2009年の年間ベストアルバムのデータを見つけることができました。たぶん、このへんは当時mixiか何かで公開していたのかもしれませんが(mixi自体ずいぶん前に解約しちゃったしね)、ここで改めてその10枚を公開してみたいと思います。

こちらでは2007年の年間ベストを紹介。アルバム10枚中、洋楽5枚/邦楽5枚のセレクトとなります。(執筆:2020年5月21日)

 

・THE DILLINGER ESCAPE PLAN『IRE WORKS』

・HANOI ROCKS『STREET POETRY』

・JUSTICE『† (Cross)』

・SPOON『GA GA GA GA GA』

・!!!『MYTH TAKES』

・HEAD PHONES PRESIDENT『Folie a deux』

・MO'SOME TONEBENDER『C.O.W. (CHECK OUT WORLD)』

・Mr.Children『HOME』

・ゆらゆら帝国『空洞です』

・吉井和哉『Hummingbird In Forest Of Space』

 

この年は特にコメントは残していなかったのですが、ベスト10枚から漏れた候補作がたくさん羅列されていたので、参考までにこちらも併せて掲載しておきます。

・ART OF FIGHTING『RUNAWAYS』
・BURIAL『UNTRUE』
・SUPER FURRY ANIMALS『HEY VENUS!』
・GOODINGS RINA『大都市を電車はゆく』
・THE HELLO WORKS『PAYDAY』
・Kiiiiiii『AL & BUM』
・安室奈美恵『PLAY』
・鈴木亜美『CONNETTA』

2003年6月26日 (木)

THE DILLINGER ESCAPE PLAN with MIKE PATTON『IRONY IS A DEAD SCENE』(2002)

アメリカが誇る変態テクニカル・ラウド集団、THE DILLINGER ESCAPE PLANが奇才マイク・パットン(元FAITH NO MORE、現FANTOMAS等)を迎えて制作したEP。昨年夏、フジロックに出演した際には新ボーカリストを含んだ編成になっていたものの、このEPはそれ以前に録音されたもの。何故新編成になってから(リリースは昨年秋)リリースすることにしたのかは判らないけど、これは世に出すべき音源ですよ。つうかこれ読む前に、まず先に音を聴いて欲しいよ。絶対に言葉が出なくなるから。

マイク・パットンが過去、どういう音楽をやってきたか、そして彼のパーソナリティが如何に複雑かを知ってる人なら、このEPでやってることも何となく想像が付くと思いますが、更にその上を行ってますよ実際。俺、DILLINGER ESCAPE PLANというバンド自体、昨年のフジロックで初めて知ったのですが(結局観れなかったんだけど)、「EPITAPH」所属なのね。「EPITAPH」っていうと、BAD RELIGIONとかRANCID、OFFSPRINGといった'90年代前半のアメリカンパンク・ムーブメントを支えたバンドが所属するレーベルっていうイメージが強いんだけど、こういうバンドもやってるのね。

とにかくこのバンド、凶暴なんだけど知性を感じさせるのね。度を超す程凶暴で狂ってるんだけど、そんな中に一瞬だけインテリジェンス‥‥知的さからくる冷たさを感じさせるのね。そういうキチガイ・サウンドに、あのマイク・パットンのボーカルが乗るんだから‥‥ねぇ。特定のバンド名は敢えて出さないけど‥‥これ聴いちゃったら、やれ○○だの何だのって言ってられないんじゃないの? 結局はみんなニューメタルだよな、と。

勿論ね、このバンド自体もメタルの影響が強いんですよ。マイク・パットンだってそうだと思うんだけど(‥‥違ったかな??)、そういうのを上手く消化しつつ、更に違った地平というか、更に高い地点に到達しようとしてるんだよね。それも無意識に。いや、無意識さを装って実は計算しまくりか。そんなイメージもあるな、この組み合わせ。

1曲目"Hollywood Squares"が始まった途端に異空間。いきなりキチガイ100人が詰まった満員電車の中に放り込まれたような状態に陥るわけですよ。次に何が起きるか全く想像がつかない、かなり怖い、けどちょっとドキドキ、みたいな?(いやドキドキはしないか)演奏テクや展開もハンパじゃないし、何よりもマイクの歌いっぷり、これがもうね‥‥ホントにひとりで歌ってるの!?って疑いたくなる程多彩。勿論FAITH NO MORE時代からのことなんですが、ここでのマイク、正しく「水を得た魚」状態だよね。ヘヴィメタルやハードコアからの影響を感じさせつつ、ところどころにプログレやジャズ、映画のサントラ的な要素も見受けられる。何て言うか‥‥いろんな色を感じさせるんだけど、そのどれもが自分自身を強く主張しすぎて他者を潰し合って結局何色なのか判らないような状態になっちゃう‥‥そんな感じ(どんな感じだよ)。とにかく凄すぎ。それ以上語れないよ(いや語ってるし)。

そういえば、このアルバムにはダンス系好きにはたまらない山場があるんだった。そう、APHEX TWINの名曲"Come To Daddy"のカバーをやってるんですよ! しかもバンド演奏で! マイク・パットンの歌入りで!! これがねぇ、原曲の雰囲気を見事に残しつつ、完全な変態ハードコアソングへと生まれ変わってるのね。きっとリチャードも涅槃で喜んでるはず(いや死んでないし)。そういうひねくれた喜び方しそうだもんな、あの人‥‥このユニットにこのカバー、ここまで合致した組み合わせもそうはないでしょう。'80年代ヒット曲で一山当てるような安パイでお茶を濁すようなことせずに、こういう冒険して欲しいよね、もっと。

本当ならこの編成でのライヴってのも観てみたかったんだけど、後任ボーカルグレッグもかなりのキチガイらしいので(人伝で聞いただけですが)、そろそろリリースされるであろうフルアルバムに期待大ですね。



▼THE DILLINGER ESCAPE PLAN with MIKE PATTON『IRONY IS A DEAD SCENE』
(amazon:海外盤CD

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