2018年11月 6日 (火)

DISTURBED『EVOLUTION』(2018)

再始動後もやっぱり働き者なDISTURBED、早くもニューアルバム発売です。

2015年8月発売の6thアルバム『IMMORTALIZE』では“これぞDISTURBED!”というヘヴィかつキャッチーなモダンメタルを展開し、5作連続全米No.1を獲得。翌2016年11月にはライブアルバム『LIVE AT RED ROCKS』もリリースされ、その前後には「The Sound Of Silence」(ご存知、SIMON & GARFUNKELのカバー)がシングルヒット(全米42位)。このバンドにしては異色のカバーでしたが、ひとまず再始動後の活動はメタルファンから大いに受け入れられたのでした。

で、オリジナルアルバムとしては3年ぶりの7thアルバム『EVOLUTION』が、2018年10月中旬にリリース。ケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーンロブ・ゾンビFIVE FINGER DEATH PUNCHなど)を再びプロデューサーに迎えて制作された本作は、前作以上にキャッチーな“異色作”に仕上げられています。

スケジュールの都合で前作のレコーディングには参加できなかったジョン・モイヤー(B)でしたが、今回は無事制作に参加。アルバム本編に収められた10曲の新曲はバンドとケヴィン・チャーコの曲作なのですが、その収録内容の幅広さに驚かされます。だって、オープニングの「Are You Ready」こそ従来のDISTURBEDらしいヘヴィロックですが、3曲目「A Reason To Fight」や6曲目「Hold On To Memories」、8曲目「Watch You Burn」、10曲目「Already Gone」と約半数近くの楽曲がアコースティックギター主体のバラードナンバーなのですから。

間違いなく前作での「The Sound Of Silence」カバーの成功がもたらした“変化”であり“進化”である、と。これを良しとするかなしとするかで、本作に対する評価は大きく異なるのではないでしょうか。ぶっちゃけ、僕は本作を最初に聴いたとき、3曲目に早くも「A Reason To Fight」みたいなバラードが登場してひっくり返りましたから。さらに数曲おきに訪れるバラードタイム……「いやいや、聴きたいのはそれじゃないから!」とツッコミを入れながら再生1周目は幕を下ろすわけですが。

確かに、慣れたらそこまで気にならない……とまでは言わないけど、意外と馴染むんですよ。アルバムタイトルで『EVOLUTION』と歌っている以上、新しく変わるならここまでやらないと、という気概も大いに感じられるし。ジャケットのテイストが変わったのもその表れでしょうしね。

ちなみに本作、デラックス盤にはボーナストラック4曲を追加しているので、どうせならそっちにバラードを少し分けてあげたら……と思ったら、ボートラ4曲中2曲がバラードだった!(笑) うち1曲は「The Sound Of Silence」のライブバージョン(ALTER BRIDGEマイルズ・ケネディがゲスト参加)だし。残りの2曲も1曲が「Are You Ready」のリミックスなので、正味水増し感がハンパない……。数百円高くても曲を多く聴きたい人はデラックス盤を購入したらいいでしょう。けど、アルバムのトータリティにこだわりたい人は10曲おみの通常盤でいいと思います。

にしても、悪くないんだけど……う〜ん。なんとも評価が難しい1枚です。きっと数年後に新しいアルバムが出たときに、本作に対する本当の評価が下されることになると思うのですが、現時点では難しい。現時点では日本盤もリリースされていないし、5作連続だった全米1位記録も本作で途絶えてしまったし(初登場4位)。数字がすべてではないですが、う〜ん。



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投稿: 2018 11 06 12:00 午前 [2018年の作品, Alter Bridge, Disturbed, Myles Kennedy] | 固定リンク

2018年8月 7日 (火)

DISTURBED『THE SICKNESS』(2000)

海外で2000年3月、日本では同年6月に発売されたDISTURBEDのデビューアルバム。同年10月にリリースされたLINKIN PARKのデビュー作『HYBRID THEORY』とともに、当時“ニューメタル”と呼ばれたシーンを飛躍させた立役者的作品で、全米29位まで上昇、現在までにアメリカだけで500万枚を超える売り上げに達しています。

プロデュースを手がけたのは、ENUFF Z' NUFFMACHINE HEAD、DROWNING POOLなどに携わってきてジョニー・K。今でこそヘヴィ系ではおなじみの名前ですが、意外にもこの手のバンドのプロデュースを担当したのは本作が初めてだったようです(それまではエンジニアとして関わるのみ)。本作が出世作となり、その後引き手数多な存在になったのでしょうね。

LINKIN PARKや、それ以前にヒットを飛ばしていたLIMP BIZKITのようにDJ(ターンテーブル)を含む編成ではない、正統的な4ピースバンドなのですが、それでも彼らが時代にフィットしたのはデヴィッド・ドレイマン(Vo)による“パーカッシヴな発声スタイル”と“しっかり歌えるフロントマン然とした佇まい”、そして旧来のHR/HMと90年代以降のグランジ、そしてヘヴィロックを通過した、個性的ながらも安定感の強い楽曲によるものが大きかったと思います。

直線的/タテ揺れの音楽性ではなく、あくまでヨコ揺れ。そこがアメリカ的だけど、オーソドックスなHR/HMとはどこか違う。だけど、聴けばそのヘヴィなサウンドはHR/HMと呼んでも問題ない。SYSTEM OF A DOWN、あるいはそれ以前のKORNにも通ずる個性的な歌唱スタイルは、そういったヨコ揺れな楽曲にとって良いアクセントとなる。そりゃあアメリカでウケるわけだ。しかも、ライブを観ればスタジアム映えするし。2002年だったか、彼らがサマソニで来日した際、そのパフォーマンスに圧倒された記憶が今でも鮮明に残っています(観客のウケは正直そこまで大きなものではなかったけど)。

とにかく冒頭4曲の流れが完璧。これだけでも聴いてもらいたいし、80年代のMTV世代にはTEARS FOR FEARSの名曲カバー「Shout」にもぜひ触れてほしい。彼らはその後も往年のヒットソングをカバーしているけど、その原点がこれなんですよね。

ニューメタルという単語に嫌悪感を示すHR/HMファンがいまだに残っているのかわかりませんが、あれから20年近く経った今だからこそ改めて触れてみてもいいんじゃないでしょうか。問答無用でカッコいいので、ぜひ大音量で、体を揺すりながら聴いてもらいたいです。



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投稿: 2018 08 07 12:00 午前 [2000年の作品, Disturbed] | 固定リンク

2017年1月25日 (水)

DISTURBED『IMMORTALIZED』(2015)

2000年代に登場したバンドの中でも、DISTURBEDが“HR/HM界最後の砦”的存在としてリスペクトされていることを知る人は多いかもしれません。そんな彼らが4年近くにおよぶ活動休止期間を経て、2015年8月に発表したのが本作『IMMORTALIZED』。通算6枚目のオリジナルアルバムであり、2002年の2ndアルバム『BELIEVE』から5作連続で全米1位を獲得する快挙を成し遂げた記念碑的作品でもあります。

デビューした頃こそ“ニューメタル”と揶揄された彼らですが、彼らのような比較的正統派HR/HMに近いテイストを持つバンドがヒットチャート上でも成功を収めるケースは、ここ10年ほどでかなり少なくなりました。だからこそ彼らの5作連続1位はかなりインパクトがあり、若手(といってもすでにデビューから15年以上経ったベテラン組ですが)のトップランナーと捉えられているのも仕方ないのかもしれません。

ですが、2008年の4th『INDESTRUCTIBLE』、2010年の5th『ASYLUM』は僕個人的に厳しい内容でした。最初の3作の延長線上にある作風なのは仕方ないにしても、同じようなタイプの楽曲が続くことで若干の退屈さを感じてしまっていたのです。ミドルテンポの楽曲が中心となる彼らの場合、いかにしてアレンジやメロディにフックを仕込むかが重要になるだけに、少なからずマンネリ感が漂っていた4thと5thにはそこが足りなかったのではないかと今でも思っています。

ところが、『ASYLUM』から5年ぶりに発表された『IMMORTALIZED』は、アルバムを通して聴いても不思議と飽きがこない。ボーナストラック含め全16曲で66分と非常に長尺な作品集なのですが、意外と最後までスルスル聴けてしまったのです。もちろん久しぶりのアルバムということもあってメンバーの気合いも過去数作以上だったでしょうけど、それにしてもこの充実ぶりはなんなんだろう?と不思議に思ってしまうほど。曲順の妙技も大きいと思いますが、1曲1曲をピックアップすると、やはりかなり練り込まれていることが伺えます。タイトルトラック「Immortalized」しかり、テンポ感で緩急をつける「What Are You Waiting For」しかり、昨今のエモでの流行を取り入れたかのようなアレンジの「You're Mine」しかり。後半に同じテンポ感の楽曲がいくつか続きますが、今回はダレることなく楽しめました。

そして、“DISTURBEDといえばカバー”という人の声に応えるかのように、今作ではサイモン&ガーファンクルの超有名曲「The Sound Of Silence」をピックアップ。メタルバンドのカバーというよりも、壮大なアクション映画のエンディングに流れそうなボーカル曲に仕上がっているのには苦笑いですけどね。でもバラードらしいバラードが皆無な中、唯一のスローナンバーなので逆に新鮮味が残ります。

このアルバム、2015年8月発売にも関わらず、パッケージ(CD)としては2016年にMETALLICAの新作(51.6万枚)の次に(29.8万枚)売れたメタルアルバムだそうです(ソース)。これにより同作はトータルセールス50万枚を突破。パッケージが売れなくなった時代に、しっかり数字で結果を残したのですから、さすがとしか言いようがありません。



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投稿: 2017 01 25 12:00 午前 [2015年の作品, Disturbed] | 固定リンク