2018年8月 7日 (火)

DISTURBED『THE SICKNESS』(2000)

海外で2000年3月、日本では同年6月に発売されたDISTURBEDのデビューアルバム。同年10月にリリースされたLINKIN PARKのデビュー作『HYBRID THEORY』とともに、当時“ニューメタル”と呼ばれたシーンを飛躍させた立役者的作品で、全米29位まで上昇、現在までにアメリカだけで500万枚を超える売り上げに達しています。

プロデュースを手がけたのは、ENUFF Z' NUFFMACHINE HEAD、DROWNING POOLなどに携わってきてジョニー・K。今でこそヘヴィ系ではおなじみの名前ですが、意外にもこの手のバンドのプロデュースを担当したのは本作が初めてだったようです(それまではエンジニアとして関わるのみ)。本作が出世作となり、その後引き手数多な存在になったのでしょうね。

LINKIN PARKや、それ以前にヒットを飛ばしていたLIMP BIZKITのようにDJ(ターンテーブル)を含む編成ではない、正統的な4ピースバンドなのですが、それでも彼らが時代にフィットしたのはデヴィッド・ドレイマン(Vo)による“パーカッシヴな発声スタイル”と“しっかり歌えるフロントマン然とした佇まい”、そして旧来のHR/HMと90年代以降のグランジ、そしてヘヴィロックを通過した、個性的ながらも安定感の強い楽曲によるものが大きかったと思います。

直線的/タテ揺れの音楽性ではなく、あくまでヨコ揺れ。そこがアメリカ的だけど、オーソドックスなHR/HMとはどこか違う。だけど、聴けばそのヘヴィなサウンドはHR/HMと呼んでも問題ない。SYSTEM OF A DOWN、あるいはそれ以前のKORNにも通ずる個性的な歌唱スタイルは、そういったヨコ揺れな楽曲にとって良いアクセントとなる。そりゃあアメリカでウケるわけだ。しかも、ライブを観ればスタジアム映えするし。2002年だったか、彼らがサマソニで来日した際、そのパフォーマンスに圧倒された記憶が今でも鮮明に残っています(観客のウケは正直そこまで大きなものではなかったけど)。

とにかく冒頭4曲の流れが完璧。これだけでも聴いてもらいたいし、80年代のMTV世代にはTEARS FOR FEARSの名曲カバー「Shout」にもぜひ触れてほしい。彼らはその後も往年のヒットソングをカバーしているけど、その原点がこれなんですよね。

ニューメタルという単語に嫌悪感を示すHR/HMファンがいまだに残っているのかわかりませんが、あれから20年近く経った今だからこそ改めて触れてみてもいいんじゃないでしょうか。問答無用でカッコいいので、ぜひ大音量で、体を揺すりながら聴いてもらいたいです。



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投稿: 2018 08 07 12:00 午前 [2000年の作品, Disturbed] | 固定リンク

2017年1月25日 (水)

DISTURBED『IMMORTALIZED』(2015)

2000年代に登場したバンドの中でも、DISTURBEDが“HR/HM界最後の砦”的存在としてリスペクトされていることを知る人は多いかもしれません。そんな彼らが4年近くにおよぶ活動休止期間を経て、2015年8月に発表したのが本作『IMMORTALIZED』。通算6枚目のオリジナルアルバムであり、2002年の2ndアルバム『BELIEVE』から5作連続で全米1位を獲得する快挙を成し遂げた記念碑的作品でもあります。

デビューした頃こそ“ニューメタル”と揶揄された彼らですが、彼らのような比較的正統派HR/HMに近いテイストを持つバンドがヒットチャート上でも成功を収めるケースは、ここ10年ほどでかなり少なくなりました。だからこそ彼らの5作連続1位はかなりインパクトがあり、若手(といってもすでにデビューから15年以上経ったベテラン組ですが)のトップランナーと捉えられているのも仕方ないのかもしれません。

ですが、2008年の4th『INDESTRUCTIBLE』、2010年の5th『ASYLUM』は僕個人的に厳しい内容でした。最初の3作の延長線上にある作風なのは仕方ないにしても、同じようなタイプの楽曲が続くことで若干の退屈さを感じてしまっていたのです。ミドルテンポの楽曲が中心となる彼らの場合、いかにしてアレンジやメロディにフックを仕込むかが重要になるだけに、少なからずマンネリ感が漂っていた4thと5thにはそこが足りなかったのではないかと今でも思っています。

ところが、『ASYLUM』から5年ぶりに発表された『IMMORTALIZED』は、アルバムを通して聴いても不思議と飽きがこない。ボーナストラック含め全16曲で66分と非常に長尺な作品集なのですが、意外と最後までスルスル聴けてしまったのです。もちろん久しぶりのアルバムということもあってメンバーの気合いも過去数作以上だったでしょうけど、それにしてもこの充実ぶりはなんなんだろう?と不思議に思ってしまうほど。曲順の妙技も大きいと思いますが、1曲1曲をピックアップすると、やはりかなり練り込まれていることが伺えます。タイトルトラック「Immortalized」しかり、テンポ感で緩急をつける「What Are You Waiting For」しかり、昨今のエモでの流行を取り入れたかのようなアレンジの「You're Mine」しかり。後半に同じテンポ感の楽曲がいくつか続きますが、今回はダレることなく楽しめました。

そして、“DISTURBEDといえばカバー”という人の声に応えるかのように、今作ではサイモン&ガーファンクルの超有名曲「The Sound Of Silence」をピックアップ。メタルバンドのカバーというよりも、壮大なアクション映画のエンディングに流れそうなボーカル曲に仕上がっているのには苦笑いですけどね。でもバラードらしいバラードが皆無な中、唯一のスローナンバーなので逆に新鮮味が残ります。

このアルバム、2015年8月発売にも関わらず、パッケージ(CD)としては2016年にMETALLICAの新作(51.6万枚)の次に(29.8万枚)売れたメタルアルバムだそうです(ソース)。これにより同作はトータルセールス50万枚を突破。パッケージが売れなくなった時代に、しっかり数字で結果を残したのですから、さすがとしか言いようがありません。



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投稿: 2017 01 25 12:00 午前 [2015年の作品, Disturbed] | 固定リンク