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カテゴリー「Dokken」の15件の記事

2022年11月 2日 (水)

DOKKEN『BREAKING THE CHAINS』(1981 / 1983)

DOKKENのデビューアルバム。もともとは1981年、フランスのレーベル・Carrere Recordsから『BREAKIN' THE CHAINS』のタイトルで発表されたものでしたが、Elektra Recordsからのワールドワイドデビューに際してリミックス&曲順変更、そしてタイトルを現在の『BREAKING THE CHAINS』に変更し、1983年9月18日にアメリカにて発売されています。なお、本稿では原稿のElektra版について触れていきます。

ドイツでレコーディングされた本作の制作メンバーは、ドン・ドッケン(Vo, G)、ジョージ・リンチ(G)、ミック・ブラウン(Dr)、ホアン・クルーシェ(B)という布陣。1983年のメジャーデビュー時点にはホアンはRATT加入のため脱退しており、アートワークやMVにはのちの黄金期メンバーのひとりであるジェフ・ピルソンが参加しています。

タイトルトラック「Breaking The Chains」やコンピ盤などにもたびたび収録されるファストナンバー「Paris Is Burning」など、その後のDOKKENにも通ずる原石のような楽曲も多数存在するものの、全体を通して聴くと若干のB級感は否めません。いわゆる“LAメタル/ヘアメタル”の範疇で語られることの多い彼らですが、ドイツレコーディングや当時ACCEPTなどで名を上げていたマイケル・ワグナーのプロデュースなども影響を、アメリカンな音よりも欧州メタルに接近した湿り気のあるメロディ/サウンドが特徴的で、同時期に台頭したMOTLEY CRUEやRATTとは一線を画する特殊な存在であったことは本作からもおわかりいただけることでしょう。

「I Can't See You」や「Seven Thunders」を今聴くと恥ずかしくなるようなポップさが含まれていますが、その一方で「Live To Rock (Rock To Live)」や「Nightrider」での前のめりな攻めの姿勢は次作『TOOTH AND NAIL』(1984年)への習作と受け取ることもできる。かと思えば、「Young Girls」が若干RATTっぽいリフワークなのも興味深い。ジョージ・リンチのギタープレイは派手さはあるものの、以降と比べるとこの時点ではまだ開花前といった印象も。

ところが、Elektra版に収録された「Paris Is Burning」は1983年12月のベルリン公演をベースにしていることから、1981年に録音した『BREAKIN' THE CHAINS』以降の音源/プレイ。フランス版のアルバムをレコーディングしたあとにライブを重ねることで、ジョージ自身の個性もさらに固まっていき、このElektra版「Paris Is Burning」では『TOOTH AND NAIL』でのプレイスタイルが早くも垣間見える結果となったわけですね。次作における「Tooth And Nail」でのフラッシーさにもつながる冒頭のソロプレイは、本作における最大のハイライトではないでしょうか。

なお、本作収録の「Felony」は初期のデモ音源をまとめたアルバム『THE LOST SONGS: 1978-1981』(2020年)にも収録されているので、完成版と聴き比べてみるのもいいかもしれません。

 


▼DOKKEN『BREAKING THE CHAINS』
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2022年7月28日 (木)

BLACK SWAN『GENERATION MIND』(2022)

2022年4月8日にリリースされたBLACK SWANの2ndアルバム。

ロビン・マッコーリー(Vo/MICHAEL SCHENKER FEST、ex. McAULEY SCHENKER GROUP、ex. GRAND PRIXなど)、レブ・ビーチ(G/WINGERWHITESNAKEなど)、ジェフ・ピルソン(B/FOREIGNER、ex. DOKKENなど)、マット・スター(Dr/MR. BIGエース・フレーリーなど)というクラシックメタル界のスーパープレイヤーたちが一堂に会し、2020年に1stアルバム『SHAKE THE WORLD』を発表したBLACK SWAN。デビュー作はロビン、レブ、ジェフの3人を軸にしたもので、レコーディング直前にマットが参加するという形でしたが、今作は初めて4人が膝を突き合わせて制作したものになります。

前作リリース後の早い段階から続く2ndアルバムの制作準備に取り掛かっていたそうで、今作も再びジェフ・ピルソンのプロデュースのもと彼のプライベートスタジオでじっくりレコーディングに取り掛かったそうです。

楽曲やサウンド自体は前作の延長線上にあるもので、その完成度はより高いものへと昇華。この4人が過去に参加したバンドのサウンド……80年代のスタジアムロック/ハードロックを、2020年代のクオリティでまとめ上げたのがこのアルバムではないでしょうか。

ロビンもまもなく70歳とは思えないほどのパワフルさを見せており、「これぞハードロックシンガー!」という代表例のような歌唱を楽しむことができます。マット&ジェフのリズム隊もヘヴィ&タイトで、非常に躍動感の強いものとなっており、その上で縦横無尽に弾き倒すレブのギタープレイも圧巻の一言。4人に求める要素がバランス良く、ひとつの漏れなく凝縮された奇跡の1枚だと思います。

豪快なアメリカンハードロックを軸に、要所要所で適度な湿り気を感じさせる楽曲群も2作目とあってか、より焦点が絞れたような印象も。個人的には「Eagles Fly」みたいなシャッフルビートの楽曲、WINGERを彷彿とさせるイントロのギタープレイとカラッとしていながらも色彩豊かなリフワークが耳に残る「See You Cry」あたりは、次作への可能性を感じさせる良曲ではと思っています。

とにかくこのバンド、レブのギターリフが素晴らしい。もちろん、よくありがちなフレーズの組み合わせではあるんだけど、それでも耳に残るってことはセンスが抜群なんじゃないかな。ちょっとした工夫でここまでのものが作れるのは、これぞ職人技といったところでしょうか。さらに、メロディラインもなかなかのもので、このへんはロビン、あるいはジェフの手腕によるものが大きいのかな。

すべて80点台の高クオリティなので、あとは90点超えのキラーチューンの誕生を待つだけ。これが意外と大変なんですよね……でも、このバンドなら次のアルバムあたりで「BLACK SWANの代表曲」と誰もが納得する1曲を作ってくれるはず。その期待も込めて、(もし点数を付けるとしたら)本作には総合で90点を与えたいな。

 


▼BLACK SWAN『GENERATION MIND』
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2021年7月 2日 (金)

DOKKEN『SHADOWLIFE』(1997)

1997年4月15日にリリースされたDOKKENの6thアルバム。日本盤は同年4月9日に先行発売。

当初はドン・ドッケン(Vo)が元メンバーのジェフ・ピルソン(B)&ミック・ブラウン(Dr)を迎えて制作したソロアルバムが元となり、最終的にジョージ・リンチ(G)が加わる形で完成した再結成DOKKEN第1弾アルバム『DYSFUNCTIONAL』(1995年)。ソングライティング面でジョージがあまり関わっていないこともあって、非常にイビツな形でしたが、続く今作ではドン/ジョージ/ジェフ/ミックの黄金期体制が完全復活。のちにQUEENSRYCHEに加入するケリー・グレイ(CANDLEBOX、BROTEHR CAIN、NEVERMOREなど)をプロデューサーに迎え……結果として前作以上にイビツな内容の迷作を完成させることになります。

前作はグランジ影響下というよりも、そのルーツにあるロッククラシックからの影響をモダンに昇華させた作風でしたが、今作は真逆の方向性……つまり、グランジやモダンヘヴィネスをDOKKEN流に消化したゴリゴリの1枚なのです。ソングライティングのクレジットはすべて4人連名となっていますが、明らかにジョージの色が強まっていることはその曲調やプレイスタイルからも窺えるはずです。

『DYSFUNCTIONAL』での作風を気に入っている人なら、この新たなスタイルも違和感なく受け入れられるのではないでしょうか。ただ、これをDOKKENの名でプレイするにはちょっと時期早々だったかな。だって、解散から6、7年しか経っていないわけで、まだ「In My Dreams」「Into The Fire」のイメージが完全に払拭できていませんからね。あの時代をリアルタイムで通過してしまったリスナー、DOKKENの功績を後追いしたビギナーにとって本作の内容は衝撃以外の何ものでもなく、そりゃ酷評されても仕方ないですよね。

でも、リリースから25年近く経った今、特にその後のジョージが関わった作品を考えると、ここでの変化は非常に筋が通っているというか、今さら驚くものではないんですよね(笑)。まあすべて後付けの意見でしかないですけど、これはこれで全然悪くない。ドン・ドッケンの念仏ボーカルもこういったモノトーンの楽曲にピッタリですし(苦笑)。ALICE IN CHAINSSTONE TEMPLE PILOTSと同時代に活躍した旧世代バンドとしては、なかなかの検討ぶりじゃないでしょうか(良くも悪くも)。前作にあった不協和音寄りのハーモニーに頼らなかったことだけは、褒めてあげるべきではないでしょうか。

ちなみに、M-8「Here I Stand」でボーカルを担当するのはジェフ・ピルソン。無理矢理ドンの歌唱に寄せている気がしないでもないですが、これはこれで味わい深い。「Hello」や「I Don't Mind」のグルーヴ感なんてこの楽器隊ならではの最高のものですし、ちゃんと聴き込めば発見の多い1枚じゃないかな。残念ながら、本作はすでに廃盤状態。日本ではデジタル配信もストリーミング配信もなしなので、中古ショップで安価で入手することをオススメします。

少なくとも、僕は本作以降の回帰路線よりも気に入っています(なんだかんだジョージ・リンチ派ですしね)。

 


▼DOKKEN『SHADOWLIFE』
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2021年4月17日 (土)

DOKKEN『TOOTH AND NAIL』(1984)

1984年9月13日にリリースされたDOKKENの2ndアルバム。日本盤は同年11月28日発売(当初はアナログのみ。CDは1985年初出)。

言わずと知れたDOKKENの代表作。1983年前後から勃発したUSメタルの波に乗って、RATTMOTLEY CRUEらとともに“ヘアメタル/グラムメタル”(日本では各バンドの活動拠点を差してL.A.メタルとも)シーンの立役者として人気を獲得し、アルバムは全米49位のスマッシュヒットに(100万枚を超えるセールス)。「Into The Fire」「Just Got Lucky」のラジオヒットに加え、パワーバラード「Alone Again」はBillboardチャート最高64位まで上昇しました。

前作『BREAKING THE CHAINS』(1981年/1983年)ではベースを、のちにRATTに加入するフアン・クルーシエがプレイしていましたが、本作のレコーディングから正式にジェフ・ピルソンが加わり、バンドの黄金期がここから始まることになります。ジェフはソングライティング面でもすべての楽曲に携わっており、B級臭濃厚だった前作からメジャー感が少し強まった作風へとスケールアップさせることに成功。また、演奏面ではジョージ・リンチ(G)のプレイヤーとしての個性が一気に開花し、「Tooth And Nail」のように1分以上におよぶギターソロをフィーチャーするなど、ギターバンドとしての独自性もここで印象付けることに成功しました。

そういったプレイヤー陣の強い個性に負けじと、線の細い歌声のドン・ドッケン(Vo)も哀愁味強めのメロディを絶妙な形で表現。この楽器隊とのアンバランスさこそ、実はDOKKENの魅力なんですよね。「Tooth And Nail」や「Don’t Close Your Eyes」「Turn On The Action」などのファストチューンでは頑張ってハイトーンを響かせたりするものの、ポップな「Just Got Luck」やメロウな「Into The Fire」、泣きのバラード「Alone Again」でこそ活きるドンの個性。それが、シングルヒットへとつながっていったのでしょう(次作『UNDER LOCK AND KEY』(1985年)での「In My Dreams」はそのもっともたる例では)。

楽曲、アレンジ、メロディアスさとハードさのすべてがバランスよく突出した『UNDER LOCK AND KEY』、完全なるギター・オリエンテッド・アルバムの『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)と、その後洗練されていくDOKKENですが、本作は最初の“攻め”が具体化された、いわゆるヘヴィメタルのステレオタイプ的側面がもっとも強く表現された1枚。日本でいうところの“L.A.メタル”がもっとも具体的な形で示されており、RATTの『OUT OF THE CELLAR』(1984年)、MOTLEY CRUE『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)QUIET RIOT 『METAL HEALTH』(1983年)などとあわせて聴くべき歴史的名盤です。

 


▼DOKKEN『TOOTH AND NAIL』
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2021年4月16日 (金)

THE END MACHINE『PHASE 2』(2021)

2021年4月9日にリリースされたTHE END MACHINEの2ndアルバム。

DOKKENジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)に現WARRANT、元LYNCH MOBのロバート・メイソン(Vo)と結成したTHE END MACHINEは、2019年3月にデビューアルバム『THE END MACHINE』を発表。しかし、アルバム発表後にミックがミュージシャンを引退したことから、新たにミックの実弟スティーヴ・ブラウンが加入(兄弟だけあって、見た目がそっくり!)。本作は新体制での第1弾アルバムとなります。

とはいえ、前作でもソングライティングに携わっていたのはジョージ/ジェフ/ロバートの3人。この軸が変わらなければ、そのスタイルに大きな変化は生じないはず。そういう思いで接した本作、間違いなく前作の延長線上にある“80年代のDOKKENの後継的存在である正統派ハードロックアルバム”でした。

全12曲(うち1曲がオープニングSE)で55分前後という尺は前作とほぼ一緒で、1曲あたり5分前後で構築されたメロディアスなハードロックがずらりと並ぶ。メロディラインもDOKKEN時代にあった(良い意味での)煮え切らなさを若干含むもので、そういった要素が哀愁味にもつながっているように感じられる。コーラスワークもどことなくDOKKEN的で、このへんのセンスはジェフによるものが大きいのでしょうか。速い曲もミディアムテンポもパワーバラードも、すべて平均点以上の仕上がりで安心して楽しめる。

演奏に関しても、すべてにおいてそつなくこなされている感が強い。ジョージのリフやソロワークに関してですが、若干「手癖で収めてないか?」と思えるフレーズも少なくないものの、トーンなどはここ数年のジョージ関連の作風との統一感も感じられる。あえてDOKKEN的なものに寄せるのではなく、あくまで今の彼ならではのスタイルでこの80年代的王道ハードロックを奏でる。THE END MACHINEにはそういった面白味もあるのかな?と、今回改めて感じました。

ロバートが歌っていることで、LYNCH MOBとDOKKENの中間という印象も否めませんが(どっちもジョージが参加しているので間違いではないけど)、LYNCH MOBよりは全体的に“曇った”感が強いので、そういう点ではDOKKENの後継的存在というのが正解なのかも。ただ、初期DOKKENのような尖ったプレイやストロングスタイルの突出した楽曲が見当たらないのが、本作のマイナスポイント。「Blood And Money」や「Dark Divide」「Prison Or Paradise」「Shine Your Light」といった軽く平均点超えの楽曲も豊富な、高品質な1枚だけど、1曲だけでもそういう“尖り”が感じられたら、さらに印象が違ったんだろうなあ……まあ、今のジョージ・リンチにそこを求めるのは酷かもしれませんが。

……なんてことを言っているとドン・ドッケンが歌うよりはマシ」という声が脳内のどこかから聞こえてきそうですが(苦笑)、まだジョージがこういったサウンド/バンドにチャレンジしてくれる事実を、今は素直に楽しみたいと思います(そして、ありがとうジェフ・ピルソン)。

 


▼THE END MACHINE『PHASE 2』
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2021年2月13日 (土)

GEORGE LYNCH & JEFF PILSON『HEAVY HITTER』(2020)

2020年12月18日にリリースされたジョージ・リンチ&ジェフ・ピルソンのカバーアルバム。日本盤(輸入盤に帯を付けた仕様)は同年12月23日に発売されています。

DOKKEN時代の盟友であり、最近はT&NやTHE END MACHNEで活動をともにするジョージとジェフ。本作ではジェフのプロデュースのもと1950〜2000年代の非HR/HM曲を中心にセレクトされています。カバーの内訳は以下のとおり(カッコ内の年数は原曲リリース年)。

01. One Of Us [ジョン・オズボーン/1995年]
02. You Got The Love [RUFUS & CHAKA KHAN/1974年]
03. I Feel The Earth Move [キャロル・キング/1971年]
04. Ordinary World [DURAN DURAN/1993年]
05. Music [マドンナ/2000年]
06. Apologize [ONEREPUBLIC/2007年]
07. Nowhere To Run [MARTHA & THE VANDELLAS/1965年]
08. Kiss [プリンス/1986年]
09. It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine) [R.E.M./1987年]
10. Champagne Supernova [OASIS/1995年]
11. Lucille [リトル・リチャード/1957年]

これらの楽曲をジョージ(G)、ジェフ(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)というT&Nまんまのメンツで演奏し、その大半をウィル・マーティンというニュージーランド出身のシンガーが歌唱。「You Got The Love」でマーク・トリエン(BULLETBOYS)、「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」にてジェフがそれぞれボーカルを担当しています。また、「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」ではFISHBONEのアンジェロ・ムーアもオルガンでゲスト参加しております。なかなかとっ散らかったメンツですね(笑)。

選曲はまあ置いておいて、アレンジや演奏ですが……某氏は本作を酷評しておりましたが、そこまで言うほどか?と。原曲の良さはそのままに、しっかりジョージらしくハードロックしていて聴きやすく、個人的にはかなり好印象な1枚なのですが。ウィル・マーティンのクセのない歌唱が「I Feel The Earth Move」「Nowhere To Run」といったソウルフルな楽曲でまったく活きていないという難点はあるものの(「Kiss」はこれで正解だけど)、逆に「Ordinary World」や「Music」のような現代的なポップソングにはぴったり合っているのでプラマイゼロといったところでしょうか。そんな中で、マーク・トリエンがいい味出してます。全部マークが歌ったら……とも考えたけど、マークが歌う「Champagne Supernova」とかまったく想像できないので、これで正解だったのでしょうね。

とにかくアレンジと演奏がかなり高得点です。最近のジョージ関連の作品は比較的ハズレが少ないですが、そこにジェフという気心知れた仲間かつプロデューサーとしてもそれなりの実力を発揮する方が携わったことで、平均点以上の仕上がりになった。もうこれ、今後は全部ジェフにプロデュースしてもらえよと思ってしまうのは間違っているのでしょうか(笑)。

某氏は自分が以前のように歌えないやっかみですよね。早くお経ボーカルから脱してほしい……と脱線してしまいましたが、本作は原曲を知るリスナーはもちろん、知らないHR/HMリスナーでもジョージ・リンチの新作として存分に楽しめるはずです。

 


▼GEORGE LYNCH & JEFF PILSON『HEAVY HITTER』
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2020年9月 1日 (火)

DOKKEN『THE LOST SONGS: 1978-1981』(2020)

2020年8月28日リリースの、DOKKEN通算12作目のスタジオアルバム(ということでいいのかな?)。日本盤は海外に2日先行で発売されました。

本作はオリジナルアルバムというよりも、初期のデモテープや未発表音源、アナログのみでリリースされた初期音源、さらには当時の未発表曲を現メンバーでレコーディングした新録音源を含む、コンピレーションアルバム的な内容となっています。なので、録音時期もまちまちで、アルバムタイトルにある「1978-1981」の4年間に録音されたものが中心ということになるのでしょうか。また、レコーディング参加メンバーも非常に多くのメンツが参加したことになり、皆さんご存知のクラシック・ラインナップ……ドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)による音源も少なからず含まれています。

全11曲(日本盤はボーナストラック含む全12曲)中、5曲(「We're Going Wrong」「Felony」「Back In The Streets」「Liar」「Prisoner」)は過去にバンド非公式でリリースされたEP『BACK IN THE STREETS』(1989年)に収録されていたものと同一で、本作収録に際して音圧が若干増したかなという印象。どれも荒削りで、その後の1stアルバム『BREAKING THE CHAINS』(1981/1983年)への布石は……若干感じるかな、といった程度です。ちなみにこちら、当時のソングライティング・クレジットにはジョージ・リンチの名前が入っていますが、実際にはジョージ加入前に録音されたもの。ギタープレイもジョージっぽくはないかな。

ほかの曲もデモの延長という完成度/音質で、青臭さといなたさが強くにじみ出たB級感満載のものばかり。そんな中、「Rainbow」のようにジョージの“らしい”ギターソロが楽しめる曲があったり、メジャーデビュー以降のDOKKENを彷彿とさせる「Hit And Run」のような“みっけもの”も含まれている。全てに対してOKを出せるような代物ではありませんが、DOKKENをひととおり通過しているリスナーなら楽しみ方を見いだせる1枚かもしれません。

で、本作からのリードトラックとして先行公開された「Step Into The Light」と「No Answer」。この2曲だけ音質も録音もしっかりしているんですよね。かつ、ドンのボーカルがほかの楽曲と“違う”(笑)。要は高音がまったく出ていない、低〜中音域メインの節回しなわけです。この2曲のみ、新たにレコーディングしたか、ここ数年の間にレコーディングしておいたものなのでしょう。「No Answer」はちょっとダークさの目立つ作風で、90年代半ばのDOKKENぽくもあるかな。一方で「Step Into The Light」は爽やかでストレート、あまりひっかかりのない1曲……もうちょっとほかに選べなかったんでしょうか。正直、これだったら日本盤ボーナストラックの「Going Under」のほうが楽曲としての出来が良いんじゃないかしら。

かなり厳しめの感想を書きましたが、今このタイミングに本作をリリースする意味がわからないんです。すっげえ悪い見方をすると、単純にお金目当てだったとか……考えたくないですけどね、そんなこと。

同じタイミングに、ジョージもLYNCH MOBのデビュー作『WICKED SENSATION』(1990年)のリメイクアルバムを制作・発表しているけど、そっちのほうがまだ現在進行形のバンドの形が感じられて、好意的に受け取れたんだけどなあ。まあ、一時代本気で愛したバンドなだけに、なんとも寂しい限りです。

 


▼DOKKEN『THE LOST SONGS: 1978-1981』
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2020年2月20日 (木)

BLACK SWAN『SHAKE THE WORLD』(2020)

BLACK SWANが2020年2月中旬に発表したデビューアルバム。日本盤は海外に数日遅れでリリースされています。

BLACK SWANはロビン・マッコーリー(Vo/MICHAEL SCHENKER FEST、ex. MCAULEY SCHENKER GROUPなど)、レブ・ビーチ(G/WINGERWHITESNAKEなど)、ジェフ・ピルソン(B/FOREIGNER、ex. DOKKENなど)、マット・スター(Dr/MR. BIGエース・フレーリーなど)という80年代以降のHR/HMシーンにてたびたび名前を目にする名手たちが一堂に会した“スーパーバンド”のひとつ。昨年の今頃、ジェフがこのバンドについて言及する場面があったそうで、もともとはロビン、レブ、ジェフの3人で進めていたプロジェクトからマットに声がかかり、その数日後にはレコーディングに参加したとのこと(すでにドラム以外のパートはレコーディング済みだったそう)。

ソングライティングは上記のようにマット以外の3人で進めたのでしょう。一体この3人でどんな曲/音が作れるのか……要はMSGとWINGERとDOKKENですからね。80年代的なスタジアム・ハードロックを想像した人、ある意味正解です。けど、思ったよりも湿り気の強いメロディの正統派HR/HMだったのは、良い意味で予想を裏切ってくれてうれしかったな。

ロビンの哀愁味が強い歌声を前面に打ち出しつつ、メジャー感の強いHR/HMを表現する。もちろん、親しみやすい歌メロを備えつつ、楽器隊(主にギター)の派手さを見せることも忘れない。BON JOVIやWHITESNAKE、DEF LEPPARDなどがヒットチャートを席巻した80年代後半のUSメタルシーンを彷彿とさせる楽曲群はどれもクオリティが高いもので、ぶっちゃけ2020年の今これをやる必要があるのか?と疑問を感じることもゼロではありませんが、“やれる”人たちが“やるべきこと”をやっただけのこと。逆に、“やれる”人たち今これをやっていないから、彼らがやったと考えればいいわけで、こういったバンドが今誕生してこういうアルバムを世に放ったことは必然だったのです。

マイナーキーのミドルナンバー中心ながらも、シャッフルビートが心地よい「Big Disaster」、疾走感の強い「Shake The World」や「Unless We Change」、HEARTにも通ずるポップバラード「Make It There」、じっくり聴かせるスローナンバー「Divided/United」など楽曲も緩急に富んでいる。全11曲(日本盤ボーナストラック除く)で約57分と決して短くなないトータルランニングながらも、最後まで飽きずに楽しめるのは1曲1曲の完成度の高さや個性が際立っているからこそ。さすが職人!と納得してしまう高品質の1枚です。

ロビンはMSFではゲイリー・バーデンやグラハム・ボネットに次ぐ3番手だし、レブはWHITESNAKEでは常に2番手的扱いで、ジェフは現在のFOREIGNERでも裏方的印象が強い。マットもMR. BIGではパット・トーピーのサポートという意味合い濃厚だったので、全員が現在のシーンの中で“日陰”的存在なわけです。そういった人たちがBLACK SWAN(=黒い白鳥、コクチョウ。「予測できないことが出来事が起こる」の意)という名前で再び日陽に飛び出していく。そりゃ応援したくなりますよね。各メンバーとも自身のメインバンドでの活動が忙しいので、ツアーや来日公演などは今のところ望めそうもありませんが、ぜひ機会があったら一度ライブを観てみたいものです。きっとそのときは、各バンドのカバーもあるでしょうしね(笑)。

 


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2019年4月10日 (水)

THE END MACHINE『THE END MACHINE』(2019)

DOKKEN〜現LYNCH MOBジョージ・リンチ(G)が、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)という元DOKKEN組と、元LYNCHE MOB〜現WARRANTのロバート・メイソン(Vo)と新たに結成したバンドTHE END MACHINE。彼らのデビューアルバムが2019年3月に発表されました。

ジョージ、ジェフ、ミックの3人は80年代末にDOKKEN離脱後にも一緒にバンドを組むなんて話があったし、それ以降も何度かそういった噂が上がったり実際に動いたこともありました。事実、T & Nは当初この3人で進めていたプロジェクトでしたしね(2012年のアルバム『SLAVE TO THE EMPIRE』ではブライアン・ティッシーが半分くらい叩く結果に)。

そんな3人が2016年のDOKKENオリメン期間限定復活を経て、改めて結成したのがこのバンド。シンガーには先のT & Nのアルバムにも1曲のみ参加していたロバートを迎えたことで、“ちゃんと歌えるシンガーの入ったDOKKEN”を期待したファンも少なくなかったはずです(“ちゃんと歌える”云々は、今のドン・ドッケンに対する嫌味ですが。笑)。

だけど、不安要素もありました。それは、最近のジョージが完全にレイドバックしたスタイルであること。それはギタープレイ然り、作る楽曲然り。マイケル・スウィートSTRYPER)とのSWEET & LYNCHは別として、KXMULTRAPHONIXなんて完全に趣味の域ですからね。もちろんそれらの作品も決して悪くはないのですが、80年代のフラッシーなプレイときらびやかなメロディを持つ楽曲をどうしても期待してしまうオールドファンも少なからずいるわけでして。自分も毎回、上記のような作品に対して「うん、今回も良いんじゃないかな。だけど……」と複雑な気持ちで接してきただけに、今回のTHE END MACHINEにも過剰な期待はせずに接することにしました。

で、いざ触れたこのアルバム。思った以上にDOKKEN路線に近いものの、ロバートが参加したLYNCH MOBの2作目『LYNCH MOB』(1992年)をより大人にした雰囲気……つまり、今のジョージそのもの(笑)な音でした。期待しすぎていなかったぶん、スッと入っていけたし、思っていた以上に楽しめた自分がいました。オープニング「Leap Of Faith」こそミディアムヘヴィの“いつもどおり”な作風でしたが、2曲目「Hold Me Down」や5曲目「Ride It」で若干BPMを上げてくれたのはよかったかなと。それ以外はほぼブルージーなミディアムヘヴィやスローナンバーばかり。全11曲で56分とかなり長尺なのも最近のジョージの作品と同傾向で、すべてを楽しむにはちょっとした覚悟が必要かもしれません(苦笑)。

好きな人はとことん楽しめる、けど80年代の幻影を追い続ける人にはキツい。聴き手のスタンスによって評価が二分する作品かもしれません。実際、80年代というよりは90年代的ですしね。あ、そうか。90年代の再結成DOKKENが好きならちょっとは……楽しめる……かも?

僕は思っていた以上にリピートしているので、意外と気に入っているのかもしれません。若いリスナーにこれがどう響くのかは正直疑問ですし、頭の固いオッサンたちからは駄作扱いされるでしょうけど、それでも自分はこれはこれとして支持したいなと。だって、そこまで悪いアルバムじゃないですしね。

 


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2018年12月 2日 (日)

DOKKEN『BEAST FROM THE EAST』(1988)

DOKKENが1988年11月(日本では翌12月)にリリースした、初のライブアルバム。前年秋に発表した4thアルバム『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)を携え、1988年春に実施したジャパンツアーから厳選されたライブ音源16曲と、本作のみに収録の新曲「Walk Away」から構成された2枚組作品(アナログ盤とカセットのみ)。CDは当時、収録時間の関係で3曲(「Standing In The Shadows」「Sleepless Night」「Turn On The Action」)削った全14曲の1枚もので発売され、のちに2枚組完全版が日本のみで限定発売されました。

曲数的に日本公演の模様を完全収録したものと思われがちですが、実はそんなことはなく、当時のセットリストを振り返ると実際には連日18〜20曲程度が演奏されており、アルバムには「Heartless Heart」や「Burning Like A Flame」、当時未発表だった「Cry Again」(結局、今日まで正式リリースなし)あたりがカットされています。

また、曲順も実際のライブとかかけ離れたもので、本来は「Kiss Of Death」から始まるものの、アルバムでは「Unchain The Night」(実際は3曲目)に置き換えられています。

さらに、ギターやボーカルの差し替えもかなり行われているようです(まあこれは、この手の作品なら当たり前のようになっていますが)。ライブではヘロヘロでちゃんと歌えないドン・ドッケン(Vo)も、このアルバムだと荒々しいもののちゃんと高音が出て歌えているし、逆にライブならではの荒さが気に入らないジョージ・リンチ(G)はソロを弾き直している、と。

このように、本作はライブの実況盤というよりは、ライブ音源を使った新しい形のオリジナルアルバム、もしくはベストアルバムと呼んだほうが正しいのかもしれません。じゃなかったら、ラストに唯一のスタジオ音源「Walk Away」を入れたりしないよな。

ただ、とはいえ実際のライブの雰囲気が台無しになってしまっているかというと、いやいや。ちゃんとあの当時の、脂の乗ったバンドの様子は感じ取ることはできます。この頃になるとドンとジョージの確執もかなり強まっていましたが、日本公演の時点ではそういったバンド内の緊張感がまだ良い方向に作用していたはずなんです。事実、このあとに行われたUSツアー(METALLICAとかVAN HALENとかと回っていたはず)くらいになると関係性がさらに悪化し、結局このライブアルバムを最後にバンドは解散するわけですから。

最後に、唯一の新曲「Walk Away」についても。これ、『BACK FOR THE ATTACK』からのおこぼれだと思うんですが(あのアルバム、バラードらしいバラードは皆無だったしね)、MVでラストにドンがひとり去っていく演出といい、確実に“別れ”や“決別”を意識して収録してますよね。ドン自身、もはや自分だけではコントロールが効かなくなったバンドに対する意思表示だったのかなと。そんな深読みも、当時はよくしたものでした。

DOKKENはつい最近も、オリジナルメンバー復活時の日本公演を収めたライブ作品『RETURN TO THE EAST LIVE 2016』(2018年)を発表していますが、バンドの演奏はすごく良いものの歌がアレなので(苦笑)、オリジナルDOKKENの凄みを味わいたい方はぜひこの『BEAST FROM THE EAST』を聴いてみてください。

残念ながらデジタル版やストリーミングではCD1枚ものの短縮版しか聴けませんが、昨年海外の再発レーベルRock Candyから2枚組完全盤がリリースされ、廃盤状態だった2枚組国内盤もタワーレコード限定で再プレスされたようですので、機会があったらCDで購入することをオススメします。



▼DOKKEN『BEAST FROM THE EAST』
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