2017/09/29

NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』(1996)

SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ、DURAN DURANのジョン・テイラー、GUNS N' ROSESのダフ・マッケイガン&マット・ソーラム(当時)が90年代半ばに結成したスーパーグループ、NEUROTIC OUTSIDERSが1996年に発表した唯一のアルバム。もともとはチャリティイベントのために結成したお遊びバンドで、気づけばアルバムを作ってツアーをするまでになっていたという。

このバンドではスティーヴとジョン、ダフの3人がボーカルを担当。ジョンとダフはもともとベーシストですが、ジョンはギターにスイッチしています。アルバムのプロデューサーは元TALKING HEADSのジェリー・ハリスン。大半の楽曲をスティーヴが担当し、ジョンのソロ名義が2曲、スティーヴとジョンの共作が1曲、ダフとスティーヴの共作が1曲、そしてTHE CLASH「Janie Jones」のカバーという全12曲が収められています。

DURAN DURANの中でもアンディ・テイラーに次いでロック/パンクのイメージが強いジョン、そのアンディと1987年に『THUNDER』というアルバムで共演したスティーヴ、1993年にガンズで『THE SPAGHETTI INCIDENT?』というパンクカバーアルバムを発表した直後のダフ&マット。音楽的につながってないようで、実はいろいろつながっている4人なんですよね。

アルバム自体は、この4人から想像できる、適度にハードでパンキッシュ、それでいて歌メロはしっかりポップなロックが展開されています。ピストルズでのスティーヴ、そしてパンクカバーを通過したガンズが好きって人は否応無しに楽しめる1枚だと思います。ただ、パンクやハードロックを通過してないDURAN DURANのファンには多少キツいかな? THE POWER STATIONでの彼とも全然違いますしね。

思えばDURAN DURANって「SEX PISTOLSとCHICのミックス」をイメージして結成されたバンドなわけで、後者はDURAN DURAN本家やTHE POWER STATIONで強めに表現していたので、前者をこちらのバンドで表現した……ってことなんでしょうね。にしては、それぞれのオリジネイターと共演することでそれを具現化するっていう、安直さはアレなんですが。

ガンズもDURAN DURANも大好きだった自分からしたら、確かに夢の組み合わせなんですよね。なのに、リリース当時はまったく惹かれなくて……ぶっちゃけ、このレビュー書くために10数年ぶりにこのアルバム、引っ張り出したくらいですから。

時代的に、この頃はGREEN DAYあたりがブレイクしたタイミングだったと思いますが、そういったポップパンク勢よりもハードロック色が強いのは、間違いなくスティーヴのカラーとマットのドラムによるものが大きいわけで。そこでの差別化はしっかりできていますが、だからなのかチャート的にもセールス的にもそこまで成功を収めることはありませんでした。まあもともと遊びで始まったバンドなので、それでいいのかもしれないけど。じゃなきゃ、このメンツで「Janie Jones」なんてやりませんて(これがなかなか良いんです)。

“これ!”といった突出した1曲はないものの、アルバム通して気楽に聴ける1枚。傑作ではないけど、忘れた頃に再生してみると「あ、意外と良いじゃん」と素直に思える作品集なんじゃないでしょうか。事実、久しぶりに聴いてみたらリリース当時よりも楽しめたので。



▼NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』
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投稿: 2017 09 29 12:00 午前 [1996年の作品, Duran Duran, Guns N' Roses, Neurotic Outsiders, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/28

ANDY TAYLOR『THUNDER』(1987)

DURAN DURANのギタリスト、アンディ・テイラーがバンド脱退後の1987年春に発表した初のソロアルバム。アンディは本作の前に2枚のソロシングル(「Take It Easy」「When The Rain Comes Down」。ともに1986年リリース)を、映画やテレビドラマのサウンドトラック絡みで発表していますが、アルバムには未収録。時期的にバンドを脱退後の発表だったのかな。ちょっと記憶が曖昧ですが。

アルバムはSEX PISTOLSのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズをプロデューサー&ギタリストに迎えて制作。と聞くとパンキッシュな作風になるのかなと勝手に想像してしまいますが、THE POWER STATIONでのアンディのプレイから想像できるような、非常にハードロック寄りのアルバムに仕上げられています。

先の2枚のソロシングルが、どちらかというと陽気なアメリカンロックというイメージだったし、THE POWER STATIONもブラックミュージックの影響下にあるアメリカンロックという印象だったから、絶対にその路線だと思いますよね? でもアルバムのオープニング曲「I Might Lie」は、マイナーコードの疾走ハードロック。泣きメロといいギタープレイといい、ちょっと成長したアンディのボーカルといい、すべてが気持ち良く響く1曲です。そこから過去シングルの路線をよりワイルドにした「Don't Let Me Die Young」へと流れていく構成も、さすがの一言。さらにミディアムバラード「Life Goes On」へと続くのですから、この頭3曲で完全に心をわし摑みにされてしまうわけです。

全9曲中8曲がアンディ&スティーヴの共作。思えばスティーヴも“こっち”寄りの人だったよな、ってことはピストルズの1stアルバムやのちの復活ライブで十分納得できるのですが、本作リリース当時高校生だった自分はそんなこともわからぬまま、「これはこれでカッコいいよ!」とアホみたいにリピートしていたのでした。

で、あれから30年経った今聴いてもカッコいいんですよね。サウンドプロダクション的に時代を感じる部分は多々あるものの、楽曲的にはどれも悪くない。アンディやスティーヴのギタープレイ、その2人を支えるミッキー・カーリー(Dr)&パトリック・オハーン(B)という、わかる人にはわかるリズム隊の仕事ぶりもさすがの一言だし。のちにデヴィッド・リー・ロスのバンドに加わるブレット・タグル(Key)も参加してるしね。

どれか1曲選べといわれたら、やっぱり冒頭の「I Might Lie」なんだけど、イントロのギターリフにピストルズを重ねてしまう豪快なアメリカンロック「Thunder」も悪くない。あと「Life Goes On」「Bringin' Me Down」といった泣バラードや「Night Trai」みたいなきメロナンバーも良いんですよね。全体的に(なんとなくですけど)マイケル・モンロー『NOT FAKIN' IT』(1989年)と重なる部分も多いので、あのへんの作風が好きな人にはオススメです。

P.S.
アナログやCDで当時発表されたオリジナル版と、現在iTunesやSpotifyで配信されているバージョンは、収録曲は一緒ですが曲順が異なるのでご注意を。現行の配信版の曲順もこれはこれで好きですが。



▼ANDY TAYLOR『THUNDER』
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投稿: 2017 09 28 12:00 午前 [1987年の作品, Andy Taylor, Duran Duran, Power Station, The, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/27

DURAN DURAN『ARENA』(1984)

1984年末にリリースされた、DURAN DURAN初のライブアルバム。『DURAN DURAN』(1981年)、『RIO』(1982年)、『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)という初期3作(どれも英米で大ヒット)を総括するような、当時のベスト選曲的な内容になっており、初心者が取っ付きやすい1枚といえます。

MTVからブレイク、ルックスと曲の良さで人気みたいなところがあった彼ら。実際の演奏はどうなの?という声が当時多かったように記憶していますが、ここで聴ける彼らの演奏およびライブスタイルは完全にロックバンドそのもの。原曲をよりワイルドかつダイナミックにしたアレンジ、演奏は正直スタジオアルバムよりもカッコ良いんじゃないかと思うほどで、リリース時中学生だった自分はしばらくこのアルバムばかり聴いていた記憶があります。

あ……で、「あ、バンドやりたい。DURAN DURANのコピーバンドやりたい」って思ったんだった。そんなこと、すっかり忘れてたわ(苦笑)。

スタジオ作品での作り込まれたイメージが強い彼らかもしれませんが、ライブでバンドを引っ張っているのは、当然ながらニック・ローズのシンセであり、忘れてはならないアンディ・テイラーのギター。もちろんサイモン・ル・ボンの、ライブならではの荒々しい歌声も悪くないし、意外としっかり弾いてる(弾けてる)ジョン・テイラーのベース、地味だけど安定したプレイでバンドを支えるロジャー・テイラーのドラミング、そのすべてが必要不可欠ですが、“ライブバンド・DURAN DURAN”に関して言えばニックとアンディなのかなと。

ぶっちゃけ、「Hungry Like The Wolf」や「New Religion」「Careless Memories」あたりのロックナンバーはライブテイクのほうが抜群にカッコ良いし、「Save A Prayer」「The Seventh Stranger」「The Chauffeur」みたいなスローナンバーも生々しさが加わることでより輝きを増している。ぶっちゃけ、ハズレなしです。確かに「Rio」や「Girls On Film」「The Reflex」みたいな代表曲が未収録なのは惜しいところですが(リマスター再発版には前者2曲を追加収録)。いつかこの“一番脂が乗った”時期のフルライブ映像&音源も(もちろん画質&音質が最良な状態で)がっつり楽しみたいところです。

そうだ。忘れてはならないのが「The Wild Boys」の存在。本作には全10曲(再発後のボートラ除く)中1曲だけ、スタジオ音源が含まれています。それが、当時の最新シングル「The Wild Boys」。「The Reflex」のリミックスシングルが大ヒット(初の全米No.1)したことを受け、この「The Wild Boys」もCHICのナイル・ロジャースがプロデュースしているのですが、こちらはダンストラックというよりはハードロックテイストに仕上げられています。ロック色の強いライブアルバムの中にこの曲が入っても違和感がないのは、そういうわけですね。MVに時代を感じてしまいますが(笑)、うん、嫌いじゃない。

本作リリース後、DURAN DURANはバンドとしての活動を一時中断し、ジョン&アンディはTHE POWER STATIONを、サイモン、ニック、ロジャーはARCADIAをそれぞれ結成。合間(1985年)には『LIVE AID』出演や映画『007 美しき獲物たち』の主題歌「A View To A Kill」(全米1位、全英2位)リリースなどもありましたが、アンディがソロシングル発表などを経てバンドを脱退。続いてロジャーも抜けて、サイモン、ジョン、ニックの3人体制で1986年末にアルバム『NOTORIOUS』で本格再始動するのでした。そういう意味では、5人体制での最後の本格的なアルバムはしばらくこれが最後となるのでした(まさか2000年代に再集結するなんて、当時は思ってもみなかったけど)。



▼DURAN DURAN『ARENA』
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投稿: 2017 09 27 12:00 午前 [1984年の作品, Duran Duran] | 固定リンク

2017/05/18

DURAN DURAN『NOTORIOUS』(1986)

1986年末にリリースされた、DURAN DURANにとって通算4枚目のスタジオアルバム。前々作『RIO』(1982年)、前作『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)が本国イギリスでそれぞれ2位、1位に輝き、アメリカでもともに200万枚を超えるヒット作に。特に『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』からはCHICのナイル・ロジャースがリミックスを手がけた「The Reflex」が英米で1位に輝き、DURAN DURANは一躍トップバンドの仲間入りを果たします。

1984年には新曲「The Wild Boys」(全米&全英2位)を含むライブアルバム『ARENA』も発売。こちらも全米で200万枚以上の売り上げを記録するのですが、この頃からバンドは2組に分かれて新バンドプロジェクトを始動。それがジョン・テイラー(B)&アンディ・テイラー(G)組によるTHE POWER STATIONと、サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ロジャー・テイラー(Dr)からなるARCADIAでした。2組はともに1985年にアルバムを発表し、それぞれ大成功を収めます。

1986年に入ると再び5人で集い、ニューアルバムの準備に入るのですが、この制作途中でアンディが脱退を表明。当時進行させていたハードロック色の強いソロプロジェクトに移行してしまいます。さらに、ロジャーもバンドを脱退。DURAN DURANはサイモン、ジョン、ニックの3人となってしまいます。

そんな変則的な編成で制作されたのが、この『NOTORIOUS』というアルバム。プロデューサーには先の「The Reflex」や「The Wild Boys」を手がけたナイル・ロジャースを、ドラマーにAVERAGE WHITE BANDのスティーヴ・フェローン、ギターにMISSING PERSONSのウォーレン・ククロロをサポートで迎えて、文字どおり“シック”で“大人”、“黒っぽい”アルバムを完成させるのです。

初期3作では“黒人音楽に憧れる白人”よろしく、ファンクミュージックとパンク、ニューウェーブをミックスした独自のポップサウンドを確立させたDURAN DURANが“ホンモノ”たちと交わりあうことで、より“ホンモノ”に近づこうとした。それが、この『NOTORIOUS』という地味な作品集なのです。言ってみれば、アーティストの自己満足で作り上げてしまったエゴの塊みたいなもので、初期のファンからすれば「……これじゃない」と落胆する姿が目に浮かぶわけです。が、地味ながらも先行シングル「Notorious」がカッコよかったもんだから、同曲は全米2位まで上昇。アルバムも全米12位、全英16位と前作ほどのヒットにはならなかったものの、そこそこの成功を収めるわけです。

本当に派手な曲が皆無な作品ですが、ファルセットで歌うあたりにプリンスを意識したことが伺える「Skin Trade」、アメリカとヨーロッパの融合的イビツさが逆にカッコいい「American Science」、本作中でもっともロック寄りな「Hold Me」やシングルカットされた際のダンスリミックスも嫌いじゃない「Meet El Presidente」など良曲多し。別プロジェクトでの成果もちゃんと反映されており、THE POWER STATIONのファンキーさとARCADIAの冷たさはしっかり感じ取ることができます。まぁ編成的にARCADIAの色合いがどうしても強くなってしまうわけで、「A Matter Of Feeling」や「Winter Marches On」みたいな“それ、ARCADIAでやれや”的楽曲も含まれており、そのへんにどうしても“ホンモノ”になりきれないDURAN DURANの性(さが)が感じられホッとしてしまったりもします。

結局、このアルバム以降徐々にセールスを落としていったDURAN DURANは、90年代前半に「Ordinary World」で再ブレイク、2000年代にはオリジナルメンバー5人で再集結したりと紆余曲折を経て、現在もサイモン、ニック、ジョン、ロジャーの4人で活動を継続中。2015年の最新作『PAPER GODS』ではこの『NOTORIOUS』で試したことの発展型が展開されているので、やっぱり“ホンモノ”に近づきたかったのね、と妙に納得してしまいました。そういう意味でも、現在の彼らを語る上でこの『NOTORIOUS』は『RIO』などの初期作品同様に重要な1枚なのかもしれませんね。



▼DURAN DURAN『NOTORIOUS』
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投稿: 2017 05 18 12:00 午前 [1986年の作品, Duran Duran] | 固定リンク

2007/12/14

DURAN DURAN『RED CARPET MASSACRE』(2007)

サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョン・テイラー(B)、アンディ・テイラー(G)、ロジャー・テイラー(Dr)という全盛期のメンバーが再び揃ってリリースされた2004年のアルバム「ASTRONAUT」は、話題性のわりにはそんなにヒットしなかったDURAN DURAN。ナイル・ロジャースやダラス・オースティン、ドン・ギルモアといった大御所プロデューサーを迎えたものの、個人的にそのサウンドからは何となく最初期の楽曲に近い印象を受けました。

サマソニでの来日とかあったりしたものの、案の定というかアンディ・テイラーが脱退。残された4人で制作された3年ぶりのアルバムは、ティンバランドやジャスティン・ティンバーレイクなどといった旬の人たちをプロデューサーに迎えた意欲作に仕上がっています。前作はまだ「ロックバンド・DURAN DURAN」の色合いが濃かった気がしますが、本作ではもっと開き直り、ポップミュージックを追求した80年代の彼ら、その勢いを取り戻そうとした90年代初頭の彼らと同じ空気が感じられます。

彼らが本来持っていたヨーロピアンな香り、そして憧れたファンクやソウルなどブラックミュージックの要素、そして近代クラブミュージックのテイストがバランスよく取り込まれた、聴きごたえタップリの1枚。決して派手でもないし、新しくもない。だけど、何となく僕らは今のDURAN DURANにこういうものを求めてたんじゃないかな……というサウンドを、しっかりと提示してくれているのが嬉しいかぎりです。

どの曲もライブ向きではないし、クラブで派手に踊るタイプのサウンドではないんだけど、終始安心して聴いていられる。内向的なアルバムかもしれないけど、かなり水準高い1枚だと思います。前作よりもヒットしてほしいし、それ以上に高く評価されてほしい、そう素直に願ってしまうアルバムです。



▼DURAN DURAN「RED CARPET MASSACRE」(amazon:日本盤w/DVD日本盤US盤

投稿: 2007 12 14 11:13 午後 [2007年の作品, Duran Duran] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/10

DURAN DURANの新曲を聴く

 "(Reach For The ) Sunrise"、オフィシャルサイトにてPVがフル視聴できます(→こちら)。

 ルックスはまぁ時の流れを感じさせてアレだけど(特にサイモン・ル・ボンな)、音は純粋にカッコいい。「RIO」前後といった印象かな。ドラムのメロタムとか聴くと、何か懐かしくて涙が出てきそうになるわ。うん、間違いなくDURAN×2の新曲だわこれ。

 つうかニック・ローズのシステムの縮小化に時の流れを一番感じたんですけど‥‥いい時代になったもんだ。



▼DURAN DURAN「ASTRONAUT」(amazon:初回盤通常盤

投稿: 2004 09 10 09:58 午後 [Duran Duran] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/08/27

とみぃ洋楽100番勝負(8)

●第8回「Save A Prayer」 DURAN DURAN('82)

 DURAN DURANは最初に聴いたのが "Is There Something I Should Know?"(邦題:プリーズ・テル・ミー・ナウ)かな。サントリーだか何かのテレビCMに使われてたよね、この曲。それがDURAN DURANの曲だと当時の「ROCK SHOW」って音楽雑誌で知って。写真メインの雑誌で、如何に当時のロック/ポップシーンがビジュアル重視だったかってのが伺える1冊で、ホント当時の俺はこの雑誌のお世話になりっぱなしでね。ニューロマンティックもハードロックもグラムも、とにかく「美しい」「カッコいい」アーティストは全てここから学んだのよ。

 DURAN DURANも最初はビジュアルから入って、音は完全に後追い。それこそ先のCMで初めてビジュアルと音が一致した程。

 一番最初に手を出したアルバムは、何故かセカンド「RIO」から。"Is There Something〜" 入ってないのにね(ファーストの再発盤に追加収録されたんだけど、当時のレンタル店に旧盤しかなかったのね)。当時出たばかりのサードでもなく、ジャケットの絵に惹かれてこのセカンドにしたという。

 俺のルーツのひとつだよね、間違いなく。適度にダンサブルで、曲によってはロック比重も高い。当初のコンセプトが「Funk meets Punk」だったこともあって、そういう曲調がメインなんだけど、俺が彼等のことを心底気に入ったのはそういった曲ではなくて、もっと耽美性の強い、如何にもヨーロッパのバンド的なスローナンバーだったのね。

 そこで、表題曲。シングルにもなったけど、とにかくDURAN DURANにしか出せない「色」がバンバン表出した名曲。アルバムテイクのまったり感も良いんだけど、もっと力強いライヴテイク('84年リリースのライヴ盤「ARENA」収録)の方も捨てがたい。要するに名曲ってことですよ。この曲のイントロ、俺内では「'80年代を代表する名シンセ・リフ」のひとつですね。VAN HALEN "Jump" やJOURNEY "Separate Ways"、EUROPE "The Final Countdown" に匹敵する程のね。



▼DURAN DURAN「RIO」(amazon

投稿: 2004 08 27 12:00 午前 [1982年の作品, Duran Duran, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/11/16

THE POWER STATION『THE POWER STATION』(1985)

よくロックにありがちな「あのバンドの○×と、このバンドの△※が一緒に組んだ、スーパーバンド!」っていう表現。最近だと元GUNS N'ROSES組のスラッシュ、ダフ・マッケイガン、マット・ソーラムがSTONE TEMPLE PILOTSのシンガー、スコット・ウェイランドと共に新バンド・VELVET REVOLVERを結成‥‥とか、そういった類のもの。あるジャンルにおいて一時代を築いたアーティストが下火になり、再び新しいピークを求めて他の「一時代を築いたアーティスト」と手を組むなんてことは今や日常茶飯事。しかしこれらの殆どが「同時代に活躍したバンドの人間」だったり「同じようなジャンルの人間が、同じようなジャンルで新しい音を出す」といった類のもの。探求心とか冒険心というよりは、先のように「栄光よ、再び‥‥」的目的が先に来るのが見え見えなんですね。いや、それはそれで否定しようとは思いませんよ。個人的には面白い作品を発表してくれるんであれば、どんな組み合わせでもいいと思ってるし。

しかし今回紹介するバンド‥‥THE POWER STATIONは上記の理由に当てはまらない、いろんな意味で「スーパーバンド」だったんじゃないでしょうか? ソロとしてそれなりに成功を収めてきたアダルトなシンガー、ロバート・パーマー。当時('80年代前半)飛ぶ鳥も落とす勢いだったヴィジュアル系アイドルバンド・DURAN DURANのメンバーだったアンディ・テイラーとジョン・テイラー、そしてファンク/ソウル・シーンで成功してきたCHICのメンバー、トニー・トンプソンとバーナード・エドワーズ。明らかに他ジャンル/年代もまちまち/接点が殆ど見られない組み合わせ。そんな彼等がひとつのユニットとしてアルバムを制作してしまう。しかもそこで生み出されたサウンドが、それぞれのメンバーがこれまでやってきたサウンドのどれにも当てはまらない、いや、それぞれの得意とするものを持ち寄った結果、異物を生みだしてしまったと言った方がいいでしょうか。それが1985年に発表されたこのアルバム、「THE POWER STATION」でした。

元々DURAN DURANのコンセプトに「SEX PISTOLSのようなパンク・アティチュードにCHICのようなファンク・サウンド」というのがあったと思います。実際、彼等は同じCHICのメンバーであるナイル・ロジャースをプロデュースに迎えて作品制作していましたし。またロバートとDURAN DURANのメンバーはある程度の面識があった。つまり、このプロジェクトはアンディとジョンが中心となってCHIC側、ロバート側双方に声をかけて実現したもののようです(確かロバートとCHIC側はこの時点まで互いに面識がなかったはず)。

このアルバムで聴けるサウンド、それはヘヴィでファンキーなリズムセクションの上でギターが暴れまくり、そこにロバートのアダルトでダンディな歌声が乗る‥‥という「ファンキーなハードロック」というような、それこそDURAN DURANともCHICともロバート・パーマーのソロとも違うもの。DURAN DURANでは線が細いイメージがあったアンディのギターもここでは歪みまくり、ソロになると弾きまくりといった「へっ、アンディってこんなに弾けたの!?」と驚きと、CHICとは一線を画するトニーのドラムプレイに唸ったり、ロバートの大人ならではの味わい深さに浸ってしまったり‥‥これがリリースされた当時まだ中学生だった自分は「なんじゃこりゃ!?」と驚き、そして気づくと夢中になっていたのでした。アンディのギターが実は派手だということは、このアルバムよりも前にリリースされたDURAN DURAN初のライヴアルバム「ARENA」での彼のプレイを聴けばお判りいただけると思うんですが、あれ以上でしたね正直。で、このTHE POWER STATIONではただウルサイだけではなく、ちゃんとバランス良く弾けてるんですね。バッキングではDURAN DURANでも聴けるファンキーなコードストロークが更に味わえるし、ソロもアドリブ的というよりはちゃんと計算して弾いてる印象が強いし。何故彼がこのアルバムを通過し、そして後にDURAN DURANを脱退したかが何となく見えてくる1枚ですよね。

そしてジョン・テイラー‥‥彼もベーシストとしては過小評価されることの多い人ですが、ここでのツボを押さえたプレイは派手というよりは地味な部類に入るものなんですが、よく聴いてみると非常に印象深いフレーズが多く、ドラムとギターが隙間を埋めるようなプレイなのに反し、ベースはわざと隙間を作るようなフレーズばかりなんですね。それが彼の個性であり、またこのバンドの土台をしっかり固めている‥‥このアルバムで俺はジョンのことを見直した程ですから。

トニー・トンプソンの独特なドラム・サウンドですが‥‥これがこのアルバム一番の魅力だと言い切ってもいいでしょう。バンド名と同じ「パワー・ステーション」という名のニューヨークにあるレコーディングスタジオで録音されたことから、当時はこのアルバムでのサウンドを「パワー・ステーション・サウンド」なんて呼んでいた人もいたとか。大きな特徴として所謂「ゲートリバーブ」を多用しまくったそのサウンド。ライヴでの再現が不可能に近いんじゃないか!?と思える辺りに、当時はこのバンドが「アルバム・オンリーのプロジェクト」だったことが伺えます。

しかし実際はツアーをすることになってしまい、それに異を唱えたロバートは脱退、代わりに元SILVER HEADのシンガー、マイケル・デ・ヴァレスが参加。このメンバーではツアーのみならず映画「コマンドー」(アーノルド・シュワルツェネガー主演)の為にオリジナル新曲を録音しましたが、映画ではエンドロール時に流れるものの、結局その後リリースされることはありませんでした。当然その後、当然ながらアンディとジョンはDURAN DURANに戻っていき、「NOTORIOUS」のレコーディングに取りかかるのですが‥‥アンディはソロの道を選び脱退。それから10年以上経ってから復活したTHE POWER STATIONのセカンドアルバム制作時には、今度はジョンがPOWER STATIONとDURAN DURANを脱退。現在ではそのジョンとアンディもDURAN DURANに復帰し、今年の夏にオリジナルメンバーで来日したことは記憶に新しいでしょう。

そんなPOWER STATIONですが、今後二度と復活することはないでしょう。プロデューサーであるバーナード・エドワーズが'96年4月にここ日本で他界、ロバート・パーマーが今年の9月に、そしてトニーまでもが11月にこの世を去ってしまったのですから‥‥残ったのはDURAN DURAN組の2人のみ。淋しい限りです。

しかし、このアルバムを聴くとそんな寂しさもブッ飛んでしまいます。1曲目 "Some Like It Hot" のイントロで聴けるトニーのドラム、アルバム全体を多くロバートの男臭いセクシーな歌声、そして「実はジョンではなく、バーナードが弾いてるのでは‥‥??」と当時疑惑のかかった "Get It On (Bang A Gong)"(ご存じT-REXの名カバー)でのベースソロ、THE ISLEY BROTHERSの名曲 "Harvest For The World" で聴けるアンディの歌声とDURAN DURANでは味わえなかった彼のギタリストとしての本質‥‥これらは残されたこのアルバムを聴けば、いつでも味わえるわけですから。どの曲も基本的にポップで、そしてヘヴィでファンキー。上記に登場したアーティスト達に興味がある人も、ファンキーで黒っぽいロックが好きという人も、そしてモーニング娘。の"そうだ!We're ALIVE" という楽曲やそのサウンドが気に入っている人も、必聴盤ですよ。



▼THE POWER STATION『THE POWER STATION』
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投稿: 2003 11 16 03:32 午後 [1985年の作品, Duran Duran, Power Station, The] | 固定リンク

2001/05/13

DURAN DURAN『GREATEST』(1998)

過去に一時代を築いたバンドの再結成というのは、今に始まったことでもないし、最近では別段驚くような再結成も多くない。最近の活動が停滞していた為にオリジナルで復活‥‥となると、やはり「要は金でしょ?」と穿った見方をしてしまう。ここ数年ではやはりKISSのオリジナルメイク時代の復活が一番の衝撃だったが、あれだってそれ以前から伏線がいろいろあった訳だから、誰でも予測出来ただろう。しかし、時々思いもしないような再結成もあり、本当に驚かされる時がある。最近では、例の頭脳警察の3ヶ月期間限定再結成が記憶に新しい。この俺もさすがに唸ったし。

しかし、本当の意味で、絶対にないだろうと思っていた再結成がここに実現してしまった。それが今回取り上げるDURAN DURANだ。何を今更!?って言われるのは承知の上で言う。

やっぱりさぁ、好きなもんは好きだしさ!

俺の小学校高学年~中学時代は、正にニューロマンティック‥‥今でいうところのヴィジュアル系のはしりか?‥‥全盛の時期だった。そのちょっと前にかのJAPANがブレイクし、その土壌は完全に出来ていた。そこへMTVの登場。これらふたつを手玉に取って大成功を収めたのがこのデュランなのだ。

初期はメンバー全員バリバリにメイクし(とはいっても初期のデヴィシルには負けるが‥‥)、ファンクとパンクを融合させたような中途半端なポップロックを繰り広げてきた彼らが、本格的に「黒く」なったのは、かのナイル・ロジャース(CHICのギタリスト)をプロデュースに迎えてからだろう。その第1歩となったのが、俺と同じ世代なら覚えているだろう大ヒット曲、"The Reflex"である。アルバムでは当時のUKポップ/ニューロマンティックを支えた名プロデューサー、アレックス・サドキンが制作に携わったものの、シングルカットに際しナイルがリミックスした結果、初の全米ナンバー1を記録する事となる。その後もナイルはシングル"Wild Boys"やアルバム「NOTORIOUS」を手掛けている。また、そのナイルのバンドメイトであるバーナード・エドワーズをプロデュースに迎えての映画007主題歌"A View To A Kill"(2曲目の全米ナンバー1に。現在までにこの2曲のみ)や、ジョン・テイラー(Ba)とアンディ・テイラー(Gt)の別プロジェクト、THE POWER STATIONのプロデュースに迎えたり等して、ますます「黒さ」を追求していった。そんな中でドラマーのロジャー・テイラーのリタイヤ、そして「よりロックを追求する」という音楽性の相違によってアンディーが脱退する。

'86年のアルバム「NOTORIOUS」からサイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョンの3人にサポートを加えた形で活動を続けていくデュラン。続くアルバム「BIG THING」('88年)では初期のエレクトロポップ路線が復活。ここでは「黒さ」は影を潜め、初期3枚に漂っていたヨーロピアン・エレクトロポップ風味を再び全面に打ち出した。当時日本で幅を利かせていたTM NETWORK(当時の小室哲哉は間違いなく彼らのフォロワーだった)に共通する音楽性で、東京ドーム公演まで果たした。当時からサポートとしてウォーレン・ククロロ(Gt)やスターリング・キャンベル(Dr)といった超一流どころのミュージシャンがライヴやアルバムに参加していたが、'90年のアルバム「LIBERTY」を機にウォーレンとスターリングが正式メンバーとして迎えられ、再び5人編成となるものの、すぐにスターリングは脱退(その後、SOUL ASYLUMやエリック・クラプトンのレコーディング等に参加)、4人のままで'93年に「THE WEDDING ALBUM」、'95年にはカヴァー集「THANK YOU」を発表。それなりに成功を収めていた。

しかし、その頃からジョンのソロ活動が目立つようになる。元SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ、当時GUNS N'ROSESのメンバーだったダフ・マッケイガンとマット・ソーラムと共にNEUROTIC OUTSIDERSを結成、アルバムを発表しライヴも行う。その頃、時同じくしてTHE POWER STATIONの再結成も企てられていたが、結局ジョンは初期の曲作りに参加したのみで、「もっとロック(パンク)をっ!」という理由で離脱。結果、デュランをも脱退することとなる。

その後のデュランはサイモン、ニック、ウォーレンの3人で2枚のオリジナルアルバムを発表するものの、以前程の結果を上げられずにいる。そこへこの6月に久し振りの来日決定。更にこの日本公演はウォーレン在籍最後のライヴとなるという‥‥

果たしてサイモン、ニック、ジョン、アンディ、ロジャーのオリジナル5人での再結成が上手くいく保証はどこにもない。逆に遅すぎたくらいだ。もう5年早かったら、もしかしたら成功していた可能性もある。今回の場合、再結成とはいってもバンド自体は常に存続していたわけで、ケースとしてはKISSのそれに非常に近い。アルバムは2002年中に発表されるというが、果たして‥‥

バンドの歴史や再結成に至る流れは、ざっとこんな感じで。さて、肝心のアルバム。このアルバムは1998年秋という非常に曖昧な時期に発表された、バンドの歴史上2枚目のベスト盤だ(前は1990年始めに発表された「DECADE」)。確かに'90年代初頭に第二のピークを迎えたバンドだが、この時期は非常に微妙だ。考えられるとしたら、契約消化だろう。バンドは「THANK YOU」を最後にキャピトル・レコードを離れている。その後、ヴァージンと契約するものの、たった1枚で契約終了となっている。このベストは丁度その時期にリリースされたものなのだ。

バンドは最終的にハリウッド・レコード(米でのQUEENのレーベル)と契約するのだが、約20年近く在籍したEMI系列を離れるに際しての置き土産といったところだろう。ここには'80年代のヒット曲は勿論、'90年代初頭のヒット曲や、ヴァージン時代の曲も収められている。19曲で79分というボリュームのため、何曲かはシングル用にエディットしたバージョンが収められているが、個人的にはアルバムバージョンの方に思い入れがある曲が殆どなので(特に"Save A Prayer"はライヴアルバム「ARENA」のライヴテイクを入れて欲しかった。実際、アメリカでヒットを飛ばしたのはこのライヴヴァージョンの方だし)多少違和感はあるものの、バンドの歴史を総括する意味では手っ取り早い1枚だろう。

実はこのCD、この「とみぃの宮殿」をスタートする直前に買った1枚で、デュランというバンドは間違いなくこの俺のルーツのひとつなので、必ず取り上げようと思っていたら‥‥気づけばもう2年半。時の流れは早いものだ。何故かここ1~2ヶ月、このベストを取り出す機会が多く、先の来日公演にも行こうかどうか悩んでいた矢先に飛び込んできたニュースだった。まぁ6月のライヴにはジョンもアンディも参加しないので、個人的にはあまり興味を惹かれるメンバーではないが‥‥

昨今のヴィジュアル系バンドに直接/間接的に、間違いなく影響を与えているのがこのDURAN DURAN。かのラルクもニューロマンティック時代の彼らからの影響を認めているだけに、全盛期のデュランを知らない10代の音楽ファンにこそ聴いてもらいたい。ゴスだけがヴィジュアル系のルーツではない。お水っぽいイメージもあるが(笑)、曲は滅茶苦茶ポップで聴きやすいので、是非一家に1枚。「けっ、こいつらアイドルバンドだろ!?」と敬遠するあなたには、'84年のライヴあるアルバム「ARENA」をオススメする。彼らの初期のコンセプト、「CHIC(ファンク)とSEX PISTOLS(パンク)の融合」を思う存分味わう事が出来る名ライヴアルバムだ。

あ‥‥ファンクとパンクとファンを掛け合わせて「ファンクス」なんて謳っていたユニットが、ここ日本にもいたっけ‥‥パクリはこの頃から始まっていたわけですね?(笑/さて、誰のことでしょう?)



▼DURAN DURAN『GREATEST』
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投稿: 2001 05 13 12:00 午前 [1998年の作品, Duran Duran] | 固定リンク