カテゴリー「Duran Duran」の14件の記事

2019年7月20日 (土)

DURAN DURAN『RIO』(1982)

実はこのエントリーがTMQ-WEBにとって3000件目になります。前身の「とみぃの宮殿」時代に公開したエントリーでこちらで補完していないものも含めれば、とうに3000件は突破しているんでしょうけど、まあ目に見えてわかったということで、今回は自分の音楽人生におけるルーツ的1枚を紹介したいと思います。

本作はDURAN DURANが1982年5月に発表した2ndアルバム。すでにデビュー作『DUNRAN DURAN』(1981年)が全英3位のヒットを記録しており、「Girls On Film」がMTVの恩恵を受け全英5位というヒットを飛ばしたあとの1枚とあって、この2作目のアルバムは全英2位まで上昇。また、イギリスでの勢いをそのままに、このアルバムで本格的なアメリカ進出を図り、「Hungry Like The Wolf」(全英5位/全米3位)、「Save A Prayer」(全英2位/1985年の再発時に全米16位)、「Rio」(全英9位/14位)といったヒットシングルを多数生み出したほか、アルバム自体も全米6位、ダブルプラチナムを獲得しています。まさに、彼らやCULTURE CLUBなどの活躍が第2次ブリティッシュ・インベイジョンへとつながっていくわけです。

本作では1stアルバムで見受けられた線の細さが払拭され、よりロックバンド然としたスタイルが確立されています。そのへんはヒットシングル「Hungry Like The Wolf」や「Hold Back The Rain」「New Religion」あたりに強く表れていると思います。また、アルバムより先にシングルリリースされていた「My Own Way」も、アルバムバージョンとしてリテイク。シングル版は軽快さが際立つ仕上がりでしたが、アルバム版はテンポをグッと落としたヘヴィファンクチューンへと変貌を遂げています。

もちろん、従来の彼ららしいニューウェイヴ的なカラーも残されています。ブラックミュージックからの影響を感じさせながらも、どこかいびつで白人らしいアレンジが印象的な「Rio」や「Last Chance On The Stairway」あたりはそういった楽曲と言えるのではないでしょうか。このへんも前作と比べたら、芯の太さが全然違いますよね。たった1年で何があったんだ?と思えるほどの成長ぶりです。

で、本作のハイライトとなるのがラスト2曲……「Save A Prayer」と「The Chauffeur」です。どことなくオリエンタルな雰囲気が漂うシンセのリフが印象的な「Save A Prayer」ですが、実はジョン・テイラー(B)のベースラインの非凡さや、アンディ・テイラー(G)のなんてことはないのに耳に残るギタープレイの妙技など、実にアレンジが凝った1曲なのです。もっとも、本作を初めて聴いた中学生の頃はそんなことに気づきもせず、もっと大人になって楽器を触るようになって理解したことですけどね。

そして、ラストを飾る「The Chauffeur」の耽美さ……このへんを聴くと、初期ヴィジュアル系バンドがこの時代のバンドからいかに大きな影響を受けていたかが伺えるのではないでしょうか。

静と動を巧みに使い分け、しかもそれらを卓越したアレンジ力で聴かせる。この当時、バンドとしてのライブでの演奏力はまだまだだったという話もありますが、こういったスタジオワークでの経験がどんどんライブにも反映されていき、また幾多のワールドツアーを経て彼らは真の意味でのライブバンドへと成長していった。そういった意味では、本作はDURAN DURANというバンドにとって本当の意味でのスタート地点だったのかもしれません。

 


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2019年4月26日 (金)

DURAN DURAN『DURAN DURAN (THE WEDDING ALBUM)』(1993)

1993年2月にリリースされた、DURAN DURAN通算7作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはサイモン・ル・ボン(Vo)、ジョン・テイラー(B)、ニック・ローズ(Key)、ウォーレン・ククロロ(G)の4人。80年代後半にオリジナルメンバーのアンディ・テイラー(G)、ロジャー・テイラー(Dr)が相次いで脱退して以降、セールスをどんどん下げていった彼らでしたが、このアルバムからは「Ordinary World」(全米3位/全英6位)、「Come Undone」(全米7位/全英13位)、「Too Much Information」(全米45位/全英35位)というヒットシングルが次々誕生し、アルバム自体も全米7位、全英4位と久しぶりのTOP10入りを記録しました。

前作『LIBERTY』(1990年)で能動的なロックバンド感を強調した彼らでしたが、デジタル感を含む全盛期のそれとは異なるものであったことからバンドとファンとの間に大きな溝が生まれました。まあ、新たにドラマーとギタリストを加えて5人組で再出発!と意気込み過ぎたのも、今となってはよくなかったのかもしれません。

のちにドラマーが脱退し、4人編成になったことでサウンド/アンサンブル的にはバンド色を残しつつも当時のダンスミュージックのカラーを採用。この両刀使いっぷりが功を奏し、ダークな楽曲がシーンを席巻するグランジムーブメントの中でも純粋に楽曲が評価されたわけです。

確かに「Ordinary World」は80年代のDURAN DURANと比べればアクが弱いといいますか、ハードロック以降の“普通に良い曲、良いバラード”でしかありません。が、その普通こそが実は大事だと気づかせてくれたのもこの曲。良い曲を感動的なアレンジで壮大に仕上げることで、当時はまだ主流だったラジオなどで好意的に受け入れられた、と。

また、前作からのロック的側面を残しつつも時代性を反映させた「Too Much Information」、その時代性をハウスなどのダンスミュージック側に寄せた「Drowning Man」や「Come Undone」、“普通に良い曲”を素直に表現した「Breath After Breath」といった曲からは、バンドがこの作品に賭ける強い意気込みが感じられます。

かと思うと「None Of The Above」や「Shelter」のように、サウンドメイキングこそ当時の時代性が反映されているものの軸の部分は80年代のままな楽曲もあるし、バンドのルーツを表現したTHE VELVET UNDERGROUNDのカバー「Femme Fatale」もある。雑食性が以前にも増していますが、こういったジュークボックス的な方向性ってMTVの時代をサバイブした彼ららしいとも言えるのかな。

80年代の彼らの作品と同じような気持ちで接することはないですが、これはこれで“よく出来た”1枚。NIRVANAPEARL JAMらがシーンのトップに君臨していた時代にこんなアルバムがヒットしたという事実を踏まえつつ触れてほしい、あの時代の空気が伝わってくる良作です。

 


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2019年1月 2日 (水)

ARCADIA『SO RED THE ROSE』(1985)

1985年秋にリリースされたARCADIA唯一のオリジナルアルバム。「Election Day」(全米6位/全英7位)、「Goodbye Is Forever」(全米33位)、「The Promise」(全英37位)、「The Flame」(全英58位)というシングルヒットも手伝って、アルバム自体も全米23位(ミリオン突破)、全英30位という好成績を残しています。

ARCADIAとは、当時活動休止中だったDURAN DURANのサイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ロジャー・テイラー(Dr)が結成したサイドプロジェクト。先にアンディ・テイラー(G)、ジョン・テイラー(B)がTHE POWER STATIONを結成したことを受け、1年遅れでこちらを始動させたわけです。

この面子に加え、アルバムのプロデューサーがDURAN DURANの『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)などを手がけたアレックス・サドキンという布陣。さらに、アルバムにはゲストプレイヤーとして土屋昌巳(G/ex. 一風堂。後期JAPANのツアーにも参加していましたしね、この流れは理解できます)、カルロス・アロマー(G/デヴィッド・ボウイなど)、デヴィッド・ギルモア(G/PINK FLOYD)、ハービー・ハンコック(Key)、アンディー・マッケイ(Sax/ROXY MUSIC)、スティーヴ・ジョーダン(Dr)、スティング(Cho)、グレイス・ジョーンズ(Cho)などが参加。もうこれだけで、アルバムのテイストがイメージできるかと思います。

で、その中身はDURAN DURANからブラックミュージック寄りのニューウェイブテイストは残しつつパンクロックの要素を排除し、シンセポップ色を強めたもの。DURAN DURANの耽美な世界観を強調させたそのサウンドは、『RIO』(1982年)や『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』の延長線上にもあり、その後DURAN DURANが進むかもしれなかった“もうひとつの可能性”と捉えることができます。

というわけで、当然のように「Hungry Like The Wolf」や「The Reflex」といったテキストの楽曲は皆無。ミドルテンポ中心の作風なので、終始安心して聴いていられるかと思います。それもあって、THE POWER STATIONにあった刺激的な要素はゼロで、そこに不満をこぼす人も少なくないのでは。しかし、当時中学生だった自分は不思議とこの「どことなくエロを感じさせる、大人の雰囲気」に惹かれたんですよね。

サイモンの歌とニックのソングライティング&シンセが強く、ロジャーのカラーはほとんど感じらないかもしれません(苦笑)。また、曲によってはグレイス・ジョーンズ(「Election Day」)やスティング(「The Promise」)のコーラスが際立っており、刺激とまでは言わないけど良いフックにはなっているのではないでしょうか。

このアルバムでの世界観にジョン・テイラーが持ち帰ったファンクロックのテイストが加わったことで、DURAN DURANの『NOTORIOUS』(1986年)に続く……と考えると、DURAN DURANというバンドの史実上絶対に欠かせない1枚だと断言できるはずです。



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2018年8月29日 (水)

DEFTONES『COVERS』(2011)

DEFTONESが2011年4月に“レコード・ストア・デイ”の限定アイテムとしてリリースした、カバーコンピレーションアルバム。当初はアナログ5000枚限定でリリースされましたが、数年後にデジタルリリース&ストリーミング配信開始。現在ではこうやって手軽に聴くことができるようになりました。

DETFONESは2005年にも『B-SIDES & RARITIES』と題した、シングルのカップリング曲や未発表音源からなるCDとMVなどを収めたDVDの2枚組作品を発表していますが、本作『COVERS』には先の『B-SIDES & RARITIES』にも収録されていたカバー曲が複数含まれています。

本作の内訳は以下のとおり。原曲者カッコ後ろに「*」が付いている楽曲は、『B-SIDES & RARITIES』にも収録されていたものです。


01. Drive [原曲:THE CARS]
02. Caress [原曲:DRIVE LIKE JEHU]
03. Please, Please, Please, Let Me Get What I Want [原曲:THE SMITHS] *
04. No Ordinary Love [原曲:シャーデー] *
05. Savory [原曲:JAWBOX] *
06. Do You Believe [原曲:THE CARDIGANS]
07. Simple Man [原曲:LYNYRD SKYNYRD] *
08. Ghosts [原曲:JAPAN]
09. The Chauffeur [原曲:DURAN DURAN] *
10. If Only Tonight We Could Sleep (Live) [原曲:THE CURE] *
11. Sleep Walk [原曲:SANTO & JOHNNY]


11曲中5曲がアルバム初収録。つまり、『B-SIDES & RARITIES』以降に録音されたカバーということになります。

どの曲も原曲のイメージを損なうことなく、しっかりDEFTONESとしてのカラーも主張した良カバーではないでしょうか。THE CARSの「Drive」の気怠さなんて最高だし、DURAN DURANやJAPANはこれ以上崩しようがなかったのか比較的原曲に近い状態。そういったところに、このバンドの原曲者への愛情が感じられます。

ちなみに、『B-SIDES & RARITIES』のみで聴けるカバー曲は以下のとおり。


Wax And Wane [原曲:COCTEAU TWINS]
Sinatra [原曲:HELMET]
Night Boat [原曲:DURAN DURAN](iTunes版のみ収録)


どんだけDURAN DURANが好きなんだ!って話ですが、このへんが個人的にDEFTONESを信用できるところでもあるんですけどね。彼らはこのほかにも、コンピレーションアルバムに「To Have and to Hold」(原曲:DEPECHE MODE)、「Jealous Guy」(原曲:ジョン・レノン)を提供しています。

さて、昨日のDEATH OF LOVERSからの続き。同じようなUKニューウェイブからの影響下にあるDEFTONESとNOTHING / DEATH OF LOVERSですが、いくつか被る要素はありつつも軸になっているものが異なることに気づかされます。THE SMITHSやTHE CURE、COCTEAU TWINS、DEPECHE MODEのようなバンドこそ両者ともルーツとして重なるものの、NOTHING / DEATH OF LOVERSはニューウェイブでもポストパンク寄りで、DEFTONESはニューロマンティック寄り。大雑把に括ればこうなるのではないでしょうか。あと、DETONESはMTV世代という言い方もできるかもしれない。THE CARSやシャーデーが入っているあたりに、その匂いが感じられます。まあ、これは両バンドの年齢の違いとも受け取れますが。

もしNOTHINGやDEATH OF LOVERSが純粋なカバーアルバムを作るとしたら、一体どんな選曲になるのか。あそこまでど直球でルーツへの愛情を形にするバンドなんだもん、そりゃあカバーにも捻りなんて求めませんよこちらも。ホント、一度聴いてみたいものです。



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2018年4月30日 (月)

DURAN DURAN『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983)

昨日紹介したビリー・アイドルの『REBEL YELL』(1983年)と同時期にリリースされたのが、DURAN DURAN通算3枚目のスタジオアルバム。前作『RIO』(1982年)でついに全米での人気(最高6位)も確かなものとした彼らは、この3rdアルバムでその地位をより強固なものとしました。初の全英1位獲得に続き、アメリカでも最高8位を記録。「Union Of The Snake」(全米・全英ともに3位)、「New Moon On Monday」(全米10位、全英9位)、「The Reflex」(全米・全英ともに1位)というヒットシングルも人気の後押しに一役買ったことは確かで、今振り返ると1982〜1985年あたりがDURAN DURAN人気のピークだったことは間違いありません。

グレイス・ジョーンズやTHOMPSON TWINS、TALKING HEAD、FOREIGHERなどのプロデュース/エンジニアで知られるアレックス・サドキンをプロデューサーに迎えた唯一のアルバム(シングル「Is There Something I Should Know?」はミックスのみ。のちに別プロジェクトARCADIAで再びプロデュース担当)。前作『RIO』で聴けた“シンセをフィーチャーしたロックバンド”的サウンドをさらに進化させ、ここでは完全にシンセをメインに、ギターは前に出るよりもセンスの良いフレーズを随所に取り入れるという程度の活躍に収まっています。

が、この手法が1983年という時代に見事にフィットしたんでしょうね。「New Moon On Monday」や「Union Of The Snake」といったヒット曲はシンセの印象が強いですし、「(I’m Looking For) Cracks In The Pavement」「I Take The Dice」あたりもシンセポップ的な色合いが強い。じゃあギターは全然ダメかというとそんなことはなく、「The Reflex」しかり「Union Of The Snake」しかり、アンディ・テイラー(G)が軽快なカッティングストロークを聴かせてくれます(ここで鬱積したものが、のちのTHE POWER STATIONで爆発→脱退につながるんでしょうかね)。

サイモン・ル・ボン(Vo)ののっぺりしたボーカルも、このサウンドで聴くと不思議と欠点が目立たない。むしろ、セクシーにすら思えてくるんだから驚きです。シンガーとしては間違いなくこのアルバムとARCADIAでの活動時期が最高潮だったのではないでしょうか。事実、本作を携えたツアーの模様を収めたライブアルバム『ARENA』(1984年)でボーカルパフォーマンスも(スタジオで追加録音しているとはいえ)なかなかのものがありますし。

DURAN DURANの代表作は?と尋ねられたら、間違いなく『RIO』を挙げますが、もっとも完成度の高いアルバムは?と聞かれたら僕はこの『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』を選びます。それくらい、バンドの熱量と時代が求めるものとがぴったり一致した1枚だと思うのです。



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2017年9月29日 (金)

NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』(1996)

SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ、DURAN DURANのジョン・テイラー、GUNS N' ROSESダフ・マッケイガン&マット・ソーラム(当時)が90年代半ばに結成したスーパーグループ、NEUROTIC OUTSIDERSが1996年に発表した唯一のアルバム。もともとはチャリティイベントのために結成したお遊びバンドで、気づけばアルバムを作ってツアーをするまでになっていたという。

このバンドではスティーヴとジョン、ダフの3人がボーカルを担当。ジョンとダフはもともとベーシストですが、ジョンはギターにスイッチしています。アルバムのプロデューサーは元TALKING HEADSのジェリー・ハリスン。大半の楽曲をスティーヴが担当し、ジョンのソロ名義が2曲、スティーヴとジョンの共作が1曲、ダフとスティーヴの共作が1曲、そしてTHE CLASH「Janie Jones」のカバーという全12曲が収められています。

DURAN DURANの中でもアンディ・テイラーに次いでロック/パンクのイメージが強いジョン、そのアンディと1987年に『THUNDER』というアルバムで共演したスティーヴ、1993年にガンズで『THE SPAGHETTI INCIDENT?』というパンクカバーアルバムを発表した直後のダフ&マット。音楽的につながってないようで、実はいろいろつながっている4人なんですよね。

アルバム自体は、この4人から想像できる、適度にハードでパンキッシュ、それでいて歌メロはしっかりポップなロックが展開されています。ピストルズでのスティーヴ、そしてパンクカバーを通過したガンズが好きって人は否応無しに楽しめる1枚だと思います。ただ、パンクやハードロックを通過してないDURAN DURANのファンには多少キツいかな? THE POWER STATIONでの彼とも全然違いますしね。

思えばDURAN DURANって「SEX PISTOLSとCHICのミックス」をイメージして結成されたバンドなわけで、後者はDURAN DURAN本家やTHE POWER STATIONで強めに表現していたので、前者をこちらのバンドで表現した……ってことなんでしょうね。にしては、それぞれのオリジネイターと共演することでそれを具現化するっていう、安直さはアレなんですが。

ガンズもDURAN DURANも大好きだった自分からしたら、確かに夢の組み合わせなんですよね。なのに、リリース当時はまったく惹かれなくて……ぶっちゃけ、このレビュー書くために10数年ぶりにこのアルバム、引っ張り出したくらいですから。

時代的に、この頃はGREEN DAYあたりがブレイクしたタイミングだったと思いますが、そういったポップパンク勢よりもハードロック色が強いのは、間違いなくスティーヴのカラーとマットのドラムによるものが大きいわけで。そこでの差別化はしっかりできていますが、だからなのかチャート的にもセールス的にもそこまで成功を収めることはありませんでした。まあもともと遊びで始まったバンドなので、それでいいのかもしれないけど。じゃなきゃ、このメンツで「Janie Jones」なんてやりませんて(これがなかなか良いんです)。

“これ!”といった突出した1曲はないものの、アルバム通して気楽に聴ける1枚。傑作ではないけど、忘れた頃に再生してみると「あ、意外と良いじゃん」と素直に思える作品集なんじゃないでしょうか。事実、久しぶりに聴いてみたらリリース当時よりも楽しめたので。



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2017年9月28日 (木)

ANDY TAYLOR『THUNDER』(1987)

DURAN DURANのギタリスト、アンディ・テイラーがバンド脱退後の1987年春に発表した初のソロアルバム。アンディは本作の前に2枚のソロシングル(「Take It Easy」「When The Rain Comes Down」。ともに1986年リリース)を、映画やテレビドラマのサウンドトラック絡みで発表していますが、アルバムには未収録。時期的にバンドを脱退後の発表だったのかな。ちょっと記憶が曖昧ですが。

アルバムはSEX PISTOLSのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズをプロデューサー&ギタリストに迎えて制作。と聞くとパンキッシュな作風になるのかなと勝手に想像してしまいますが、THE POWER STATIONでのアンディのプレイから想像できるような、非常にハードロック寄りのアルバムに仕上げられています。

先の2枚のソロシングルが、どちらかというと陽気なアメリカンロックというイメージだったし、THE POWER STATIONもブラックミュージックの影響下にあるアメリカンロックという印象だったから、絶対にその路線だと思いますよね? でもアルバムのオープニング曲「I Might Lie」は、マイナーコードの疾走ハードロック。泣きメロといいギタープレイといい、ちょっと成長したアンディのボーカルといい、すべてが気持ち良く響く1曲です。そこから過去シングルの路線をよりワイルドにした「Don't Let Me Die Young」へと流れていく構成も、さすがの一言。さらにミディアムバラード「Life Goes On」へと続くのですから、この頭3曲で完全に心をわし摑みにされてしまうわけです。

全9曲中8曲がアンディ&スティーヴの共作。思えばスティーヴも“こっち”寄りの人だったよな、ってことはピストルズの1stアルバムやのちの復活ライブで十分納得できるのですが、本作リリース当時高校生だった自分はそんなこともわからぬまま、「これはこれでカッコいいよ!」とアホみたいにリピートしていたのでした。

で、あれから30年経った今聴いてもカッコいいんですよね。サウンドプロダクション的に時代を感じる部分は多々あるものの、楽曲的にはどれも悪くない。アンディやスティーヴのギタープレイ、その2人を支えるミッキー・カーリー(Dr)&パトリック・オハーン(B)という、わかる人にはわかるリズム隊の仕事ぶりもさすがの一言だし。のちにデヴィッド・リー・ロスのバンドに加わるブレット・タグル(Key)も参加してるしね。

どれか1曲選べといわれたら、やっぱり冒頭の「I Might Lie」なんだけど、イントロのギターリフにピストルズを重ねてしまう豪快なアメリカンロック「Thunder」も悪くない。あと「Life Goes On」「Bringin' Me Down」といった泣バラードや「Night Trai」みたいなきメロナンバーも良いんですよね。全体的に(なんとなくですけど)マイケル・モンロー『NOT FAKIN' IT』(1989年)と重なる部分も多いので、あのへんの作風が好きな人にはオススメです。

P.S.
アナログやCDで当時発表されたオリジナル版と、現在iTunesやSpotifyで配信されているバージョンは、収録曲は一緒ですが曲順が異なるのでご注意を。現行の配信版の曲順もこれはこれで好きですが。



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2017年9月27日 (水)

DURAN DURAN『ARENA』(1984)

1984年末にリリースされた、DURAN DURAN初のライブアルバム。『DURAN DURAN』(1981年)、『RIO』(1982年)、『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)という初期3作(どれも英米で大ヒット)を総括するような、当時のベスト選曲的な内容になっており、初心者が取っ付きやすい1枚といえます。

MTVからブレイク、ルックスと曲の良さで人気みたいなところがあった彼ら。実際の演奏はどうなの?という声が当時多かったように記憶していますが、ここで聴ける彼らの演奏およびライブスタイルは完全にロックバンドそのもの。原曲をよりワイルドかつダイナミックにしたアレンジ、演奏は正直スタジオアルバムよりもカッコ良いんじゃないかと思うほどで、リリース時中学生だった自分はしばらくこのアルバムばかり聴いていた記憶があります。

あ……で、「あ、バンドやりたい。DURAN DURANのコピーバンドやりたい」って思ったんだった。そんなこと、すっかり忘れてたわ(苦笑)。

スタジオ作品での作り込まれたイメージが強い彼らかもしれませんが、ライブでバンドを引っ張っているのは、当然ながらニック・ローズのシンセであり、忘れてはならないアンディ・テイラーのギター。もちろんサイモン・ル・ボンの、ライブならではの荒々しい歌声も悪くないし、意外としっかり弾いてる(弾けてる)ジョン・テイラーのベース、地味だけど安定したプレイでバンドを支えるロジャー・テイラーのドラミング、そのすべてが必要不可欠ですが、“ライブバンド・DURAN DURAN”に関して言えばニックとアンディなのかなと。

ぶっちゃけ、「Hungry Like The Wolf」や「New Religion」「Careless Memories」あたりのロックナンバーはライブテイクのほうが抜群にカッコ良いし、「Save A Prayer」「The Seventh Stranger」「The Chauffeur」みたいなスローナンバーも生々しさが加わることでより輝きを増している。ぶっちゃけ、ハズレなしです。確かに「Rio」や「Girls On Film」「The Reflex」みたいな代表曲が未収録なのは惜しいところですが(リマスター再発版には前者2曲を追加収録)。いつかこの“一番脂が乗った”時期のフルライブ映像&音源も(もちろん画質&音質が最良な状態で)がっつり楽しみたいところです。

そうだ。忘れてはならないのが「The Wild Boys」の存在。本作には全10曲(再発後のボートラ除く)中1曲だけ、スタジオ音源が含まれています。それが、当時の最新シングル「The Wild Boys」。「The Reflex」のリミックスシングルが大ヒット(初の全米No.1)したことを受け、この「The Wild Boys」もCHICのナイル・ロジャースがプロデュースしているのですが、こちらはダンストラックというよりはハードロックテイストに仕上げられています。ロック色の強いライブアルバムの中にこの曲が入っても違和感がないのは、そういうわけですね。MVに時代を感じてしまいますが(笑)、うん、嫌いじゃない。

本作リリース後、DURAN DURANはバンドとしての活動を一時中断し、ジョン&アンディはTHE POWER STATIONを、サイモン、ニック、ロジャーはARCADIAをそれぞれ結成。合間(1985年)には『LIVE AID』出演や映画『007 美しき獲物たち』の主題歌「A View To A Kill」(全米1位、全英2位)リリースなどもありましたが、アンディがソロシングル発表などを経てバンドを脱退。続いてロジャーも抜けて、サイモン、ジョン、ニックの3人体制で1986年末にアルバム『NOTORIOUS』で本格再始動するのでした。そういう意味では、5人体制での最後の本格的なアルバムはしばらくこれが最後となるのでした(まさか2000年代に再集結するなんて、当時は思ってもみなかったけど)。



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2017年5月18日 (木)

DURAN DURAN『NOTORIOUS』(1986)

1986年末にリリースされた、DURAN DURANにとって通算4枚目のスタジオアルバム。前々作『RIO』(1982年)、前作『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)が本国イギリスでそれぞれ2位、1位に輝き、アメリカでもともに200万枚を超えるヒット作に。特に『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』からはCHICのナイル・ロジャースがリミックスを手がけた「The Reflex」が英米で1位に輝き、DURAN DURANは一躍トップバンドの仲間入りを果たします。

1984年には新曲「The Wild Boys」(全米&全英2位)を含むライブアルバム『ARENA』も発売。こちらも全米で200万枚以上の売り上げを記録するのですが、この頃からバンドは2組に分かれて新バンドプロジェクトを始動。それがジョン・テイラー(B)&アンディ・テイラー(G)組によるTHE POWER STATIONと、サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ロジャー・テイラー(Dr)からなるARCADIAでした。2組はともに1985年にアルバムを発表し、それぞれ大成功を収めます。

1986年に入ると再び5人で集い、ニューアルバムの準備に入るのですが、この制作途中でアンディが脱退を表明。当時進行させていたハードロック色の強いソロプロジェクトに移行してしまいます。さらに、ロジャーもバンドを脱退。DURAN DURANはサイモン、ジョン、ニックの3人となってしまいます。

そんな変則的な編成で制作されたのが、この『NOTORIOUS』というアルバム。プロデューサーには先の「The Reflex」や「The Wild Boys」を手がけたナイル・ロジャースを、ドラマーにAVERAGE WHITE BANDのスティーヴ・フェローン、ギターにMISSING PERSONSのウォーレン・ククロロをサポートで迎えて、文字どおり“シック”で“大人”、“黒っぽい”アルバムを完成させるのです。

初期3作では“黒人音楽に憧れる白人”よろしく、ファンクミュージックとパンク、ニューウェーブをミックスした独自のポップサウンドを確立させたDURAN DURANが“ホンモノ”たちと交わりあうことで、より“ホンモノ”に近づこうとした。それが、この『NOTORIOUS』という地味な作品集なのです。言ってみれば、アーティストの自己満足で作り上げてしまったエゴの塊みたいなもので、初期のファンからすれば「……これじゃない」と落胆する姿が目に浮かぶわけです。が、地味ながらも先行シングル「Notorious」がカッコよかったもんだから、同曲は全米2位まで上昇。アルバムも全米12位、全英16位と前作ほどのヒットにはならなかったものの、そこそこの成功を収めるわけです。

本当に派手な曲が皆無な作品ですが、ファルセットで歌うあたりにプリンスを意識したことが伺える「Skin Trade」、アメリカとヨーロッパの融合的イビツさが逆にカッコいい「American Science」、本作中でもっともロック寄りな「Hold Me」やシングルカットされた際のダンスリミックスも嫌いじゃない「Meet El Presidente」など良曲多し。別プロジェクトでの成果もちゃんと反映されており、THE POWER STATIONのファンキーさとARCADIAの冷たさはしっかり感じ取ることができます。まぁ編成的にARCADIAの色合いがどうしても強くなってしまうわけで、「A Matter Of Feeling」や「Winter Marches On」みたいな“それ、ARCADIAでやれや”的楽曲も含まれており、そのへんにどうしても“ホンモノ”になりきれないDURAN DURANの性(さが)が感じられホッとしてしまったりもします。

結局、このアルバム以降徐々にセールスを落としていったDURAN DURANは、90年代前半に「Ordinary World」で再ブレイク、2000年代にはオリジナルメンバー5人で再集結したりと紆余曲折を経て、現在もサイモン、ニック、ジョン、ロジャーの4人で活動を継続中。2015年の最新作『PAPER GODS』ではこの『NOTORIOUS』で試したことの発展型が展開されているので、やっぱり“ホンモノ”に近づきたかったのね、と妙に納得してしまいました。そういう意味でも、現在の彼らを語る上でこの『NOTORIOUS』は『RIO』などの初期作品同様に重要な1枚なのかもしれませんね。



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2007年12月14日 (金)

DURAN DURAN『RED CARPET MASSACRE』(2007)

サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョン・テイラー(B)、アンディ・テイラー(G)、ロジャー・テイラー(Dr)という全盛期のメンバーが再び揃ってリリースされた2004年のアルバム「ASTRONAUT」は、話題性のわりにはそんなにヒットしなかったDURAN DURAN。ナイル・ロジャースやダラス・オースティン、ドン・ギルモアといった大御所プロデューサーを迎えたものの、個人的にそのサウンドからは何となく最初期の楽曲に近い印象を受けました。

サマソニでの来日とかあったりしたものの、案の定というかアンディ・テイラーが脱退。残された4人で制作された3年ぶりのアルバムは、ティンバランドやジャスティン・ティンバーレイクなどといった旬の人たちをプロデューサーに迎えた意欲作に仕上がっています。前作はまだ「ロックバンド・DURAN DURAN」の色合いが濃かった気がしますが、本作ではもっと開き直り、ポップミュージックを追求した80年代の彼ら、その勢いを取り戻そうとした90年代初頭の彼らと同じ空気が感じられます。

彼らが本来持っていたヨーロピアンな香り、そして憧れたファンクやソウルなどブラックミュージックの要素、そして近代クラブミュージックのテイストがバランスよく取り込まれた、聴きごたえタップリの1枚。決して派手でもないし、新しくもない。だけど、何となく僕らは今のDURAN DURANにこういうものを求めてたんじゃないかな……というサウンドを、しっかりと提示してくれているのが嬉しいかぎりです。

どの曲もライブ向きではないし、クラブで派手に踊るタイプのサウンドではないんだけど、終始安心して聴いていられる。内向的なアルバムかもしれないけど、かなり水準高い1枚だと思います。前作よりもヒットしてほしいし、それ以上に高く評価されてほしい、そう素直に願ってしまうアルバムです。



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