2003/07/19

EGO-WRAPPIN'『NIGHT FOOD』(2002)

  EGO-WRAPPIN'が2002年6月にリリースしたメジャー移籍後2枚目、通算3枚目のオリジナル・フルアルバム「NIGHT FOOD」。丁度リリース後にスタートしたテレビドラマに収録曲"くちばしにチェリー"が起用されたこともあり、またシングルとしてリカットされてチャートのトップ10入りしたこともあって、アルバムの方もロングランヒットを記録、それ以前の「ちょっとした音楽通なら誰でも知ってる存在」から「普通の人でも流行モノとして聴かれるようになった存在」にまで一気に知名度が上がってしまったわけです。勿論それ以前から、特に前年末にリリースされたマキシシングル「色彩のブルース」がジワジワとチャートを上がり続け、結構長きに渡ってチャート30位前後に居座っていたこともあって、ブレイクの機会を待ってるような状態ではあったんですが。とにかく、このアルバムで彼等の人気に一気に拍車が掛かったといっていいでしょう。

  基本的にはそれまでやってきたことから劇的な変化を遂げてるような内容ではなく、ジャズやブルーズを基調とした、生音主体のクラブサウンド。時にギター一本をバックに歌われるミニマムなものから、ブラス隊をも含むビッグバンド的なサウンドまで、更にはリズムボックス&オルガンをバックに歌うといったものまで、意外とサウンド的には色彩豊かなんですよね。彼等との出会いはライヴの方が先だったので、どうしてもそっちの印象が強かったんですが‥‥こうやって音源として改めて聴いてみると、スタジオならではの良さや魅力が新たに発見できて、純粋に面白いアルバムだと思いますね。

  「ジャズの要素を取り入れたロック/ポップス」というのは、それこそ'80年代のある時期に一度ブレイクを果たし、'90年代に入ってからも度々こういったサウンドを耳にするようになってはいたんですが、ことEGO-WRAPPIN'の場合は逆の、「ロック/ポップスの要素を取り入れたジャズ」というイメージが強いんですよね。それは恐らく表現方法にもよるんだと思いますが、特にアルバムを重ねていく毎にそのイメージは強くなっていきますね。ライヴを体験したことがある人なら判ると思いますが、あの歌い上げはロックのそれと同等ですし、テンション的にも下手なB級パンクよりも全然ロックだし。精神的にはロックなんでしょうけど、表現方法が独自のものだという、そういう意味ではパンク精神を持ったレゲエ・アーティストなんかと同じようなものを感じるんですよね。ま、偏見を持って「サウンドがロックじゃないから自分には関係ない」って切り捨てちゃう人の気持ちも判らないでもないですが、そういう人はこのサイトを続けて読んでないと思うんで、この際無視して先へ進みます。

  このアルバムにはいろんなゲストが参加して、それぞれの楽曲を盛り上げています。オオサカモノレールの面々だったり、MAMA! MILKのメンバーだったり、LITTLE CREATURESやACOUSTIC DUB MESSENGERSのメンバーだったり‥‥何となく、このアーティスト間の繋がりだけ見ても、EGO-WRAPPIN'の音楽性が単にジャズというものをなぞってるだけじゃないことがご理解いただけると思います。実際、ライヴやイベント等でもこういったバンド達と共演したりしてますし、バンド外でもいろいろ余所のバンドに飛び入りしたりユニット作ったりしてますし。で、そういった活動がちゃんとこのアルバムに反映されてると思うんですよね。

  懐古的なイメージが強いかもしれませんが、個人的には「クラブサウンド」として受け取ってます。勿論、テクノ等のクラブサウンドと同列に並べる気は毛頭ありませんが、これもひとつの「クラブサウンド」の形ですよね? 昭和の香りがする‥‥なんて一時期騒がれたりもしましたが、確実に「今」の音だと思います。それが自分が実際にクラブで彼等の曲を他のロックバンドの曲と共にかけても何ら違和感がないから。デカい音で鳴らしても十分にカッコイイから。それで十分じゃない?



▼EGO-WRAPPIN'『NIGHT FOOD』
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投稿: 2003 07 19 12:00 午前 [2002年の作品, EGO-WRAPPIN'] | 固定リンク