2019年1月13日 (日)

祝ご成人(1998年4月〜1999年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で5回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、今回は当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)が被っていることから、選出時もいろいろ感慨深いものがあります。いやあ、長く続けるもんだ。

さて、この企画の説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1998年4月〜1999年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。今年度は残念ながら、選出した20枚すべてがSpotifyおよびApple Musicに揃っているものではありませんでした(各サービスともに1枚足りないという)。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちらです)


ASIAN DUB FOUNDATION『RAFI'S REVENGE』(1998年11月発売)(Spotify

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

BEASTIE BOYS『HELLO NASTY』(1998年7月発売)(Spotify

BLUR『13』(1999年3月発売)(Spotify)(レビュー

BOARDS OF CANADA『MUSIC HAS THE RIGHT TO CHILDREN』(1998年4月発売)(Spotify

ELLIOTT SMITH『XO』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

EMINEM『THE SLIM SHADY LP』(1999年2月発売)(Spotify

FATBOY SLIM『YOU'VE COME A LONG WAY, BABY』(1998年10月発売)(Spotify

KORN『FOLLOW THE LEADER』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

KULA SHAKER『PEASANTS, PIGS & ASTRONAUTS』(1999年3月発売)(Spotify)(レビュー

MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

MARILYN MANSON『MECHANICAL ANIMALS』(1998年9月発売)(Spotify)(レビュー

MASSIVE ATTACK『MEZZANINE』(1998年4月発売)(Spotify

MERCURY REV『DESERTER'S SONGS』(1998年9月発売)

MOGWAI『COME ON DIE YOUNG』(1999年3月発売)

REFUSED『THE SHAPE OF PUNK TO COME: A CHIMERICAL BOMBINATION IN 12 BURSTS』(1998年10月発売)(Spotify)(レビュー

SEAN LENNON『INTO THE SUN』(1998年5月発売)

THE SMASHING PUMPKINS『ADORE』(1998年6月発売)(レビュー

SYSTEM OF A DOWN『SYSTEM OF A DOWN』(1998年6月発売)(Spotify)(レビュー

UNKLE『PSYENCE FICTION』(1998年8月発売)(Spotify


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。


ALANIS MORISSETTE『SUPPOSED FORMER INFATUATION JUNKIE』
ARCH ENEMY『STIGMATA』
ASH『NU-CLEAR SOUNDS』
BECK『MUTATIONS』
THE BLACK CROWES『BY YOUR SIDE』
THE CARDIGANS『GRAN TURISMO』
EMBRACE『THE GOOD WILL OUT』
FUN LOVIN' CRIMINALS『100% COLOMBIAN』
GARBAGE『VERSION 2.0』
GRAHAM COXON『THE SKY IS TOO HIGH』
THE HAUNTED『THE HAUNTED』(レビュー
HELLOWEEN『BETTER THAN RAW』
HOLE『CELEBRITY SKIN』(レビュー
JEFF BECK『WHO ELSE!』(レビュー
JFFF BUCKLEY『SKETCHES FOR MY SWEETHEART THE DRUNK』
JERRY CANTRELL『BOGGY DEPOT』
THE JESUS AND MARY CHAIN『MUNKI』
JIMMY EAT WORLD『CLARITY』
KISS『PSYCHO CIRCUS』(レビュー
LAURYN HILL『THE MISEDUCATION OF LAURYN HILL』
LENNY KRAVITZ『5』
MANSUN『SIX』(レビュー
METALLICA『GARAGE INC.』(レビュー
MONSTER MAGNET『POWERTRIP』
THE OFFSPRING『AMERICANA』(レビュー
PLACEBO『WITHOUT YOU I'M NOTHING』(レビュー
PORTISHEAD『ROSELAND NYC LIVE』
R.E.M.『UP』
RANCID『LIFE WON'T WAIT』
ROB ZOMBIE『HELLBILLY DELUXE』(レビュー
RUFUS WAINWRIGHT『RUFUS WAINWRIGHT』
SLAYER『DIABOLUS IN MUSICA』(レビュー
SLOAN『NAVY BLUES』
SOULFLY『SOULFLY』(レビュー
STEREOPHONICS『PERFORMANCE AND COCKTAILS』
SUGAR RAY『14:59』


こうやって振り返ってみると、いわゆるど直球のHR/HMから自分が遠ざかっていた時期でもあるのかなと。ブリットポップが終わって数年経ち、生き残った者だけが独自の道を進み始めたイギリスと、ヘヴィ系とラップメタルの間で新たな潮流が生まれたアメリカ。かつ、90年代半ば以降のダンスミュージックの流れから新たな波がうねりを上げ始めたヨーロッパと、ラップミュージックが本格的にシーンを支配し始めた北米。そういった文化の変化が、世紀末に向けてより拍車がかかった節目のタイミングでもあったのかなと感じます。

個人的にも、1998年という1年は大きな転機でした。その年の頭に、それまで10年近く生活した東京から一旦離れ、生まれ育った故郷に戻った。それにより、それまで身の回りに当たり前のようにあった“音楽”になかなか触れられなくなったのです。ライブにも気軽に行けなくなったし、欲しいCDも地元では売っていない。そんな悶々とした日々を過ごす中、たまたま始めたインターネットライフと、そこで出会った人たち。こうしたつながりから得られた情報は、その後の自身の音楽生活に大きな影響を及ぼすことになります。

同じ頃、ロック系クラブイベントに足繁く通うようになり、そこでの人々との出会いと得られる情報も大きな糧となっていった。そりゃあ、聴く音楽の趣味も少しずつ変化していきますよね。そういった影響が、その年の10枚(こちら)や今回選んだ20枚にも表れているような気がします。20代後半の自分の生活を彩り、確実に価値観を変えてくれた作品たち。今聴くといろんな思い出が洪水のように押し寄せてきて、ちょっと尋常じゃいられなくなりますが、それはそれとして。このへんから1999年くらいは、自分にとって最後の“山場”だったのかな、と今振り返ってみて感じます。

なお、これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。



ちなみに1998年の日本の音楽シーンはというと、国内CD売り上げがピークに達した時期。B'zの金銀ベストアルバムがバカ売れし、GLAYやラルクもバカ売れ。LUNA SEAが活動再開し、THE YELLOW MONKEYは100数十本におよぶ全国ツアーを敢行。そして、モーニング娘。や浜崎あゆみ、aiko、椎名林檎、宇多田ヒカル、MISIAらがデビューを果たした記憶に残る1年でもありました。

個人的には、この人のことで忘れられない年にもなりましたが……。もう20年以上経つのですね、早いなぁ……。



▼hide with Spread Beaver『ピンクスパイダー』
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投稿: 2019 01 13 10:00 午前 [1998年の作品, 1999年の作品, Asian Dub Foundation, At The Drive-In, Beastie Boys, Blur, Boards of Canada, Elliott Smith, Eminem, Fatboy Slim, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Marilyn Manson, Massive Attack, Mercury Rev, Mogwai, Refused, Sean Lennon, Smashing Pumpkins, System of a Down, Unkle, 「20年前」] | 固定リンク

2018年9月 9日 (日)

ELLIOTT SMITH『XO』(1998)

自分と誕生日が同じ(8月6日)こともあり、昔から親近感を持っていたエリオット・スミス。残念ながら2003年に自ら命を絶ってしまいましたが、彼が残した作品の数々は今も“後追いリスナー”含め多くのファンに愛され続けています。

本作は1998年8月にリリースされた、通算4作目のオリジナルアルバムにしてメジャー1作目のアルバム。前年に公開された映画『グッド・ウィル・ハンティング』に「Miss Misery」を提供し、この曲がアカデミー賞にノミネートされるなど、同年2月に発表された『EITHER/OR』(1997年)含め、エリオットはメジャー移籍前から高く評価されてきました。

そんな中発表された本作『XO』。バンドサウンドを取り入れたポップな楽曲も含まれているものの、ベースになるのはアコースティックギターで表現される内省的な世界観。美しいメロディラインや随所に登場するハーモニーは、確かにビートルズを彷彿とさせるものがあります。シングルカットされた「Baby Britain」なんてまさに中期ビートルズのそれでしょうし、多重録音を多用したスタイルはある種60年代後期のTHE BEACH BOYSにも通ずるものがあります。

かと思えば、アメリカの古き良き時代のカントリーやフォークもしっかり引き継いでおり、それを90年代的感覚でオルタナティヴロック風に昇華させている。ベックのようなエンタメ色を兼ね備えたシンガーソングライターとはまた異なる、この人にしか作り得ないサウンドスケープが終始展開されています。

「Independence Day」のようなモダンさもあれば、「Bled White」みたいにサイケデリック感を併せ持つロックナンバーもある。「Amity」なんてジョン・レノンだし、「A Question Mark」は中期ビートルズとグランジの融合だもん。悪いわけがない。自分は最初に聴いたのが本作だったので、エリオット・スミスといえばここで聴ける楽曲こそがすべてなんです。

リスナーによっては『EITHER/OR』のほうが優れていると断言するでしょうし、実際素晴らしいアルバムだと思います。が、思い入れでは本作なんですよね。このアルバムを制作した頃にはすでにうつ病だったエリオットですが、少なからずそういった病状もこの質感に影響を与えているのかもしれません。そこも含めて、彼を語る上ではやはり重要な1枚と言わざるを得ません。

なお、日本盤には先の「Miss Misery」がボーナストラックとして追加収録されているので、ぜひこちらを購入してみてはいかがでしょう。



▼ELLIOTT SMITH『XO』
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投稿: 2018 09 09 12:00 午前 [1998年の作品, Elliott Smith] | 固定リンク