カテゴリー「Emperor」の7件の記事

2023年12月31日 (日)

2023年総括

大晦日ということで、2023年のまとめ記事をアップしておきます。

2022年同様、「ジャンル/アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、30作品に縛る」という形にさせていただきました。特に順位付けをせずアルファベット→50音順で30作品、掲載していきます。

 

BARONESS『STONE』(アルバム)

 

BLUR『THE BALLAD OF DARREN』(アルバム)

 

BRING ME THE HORIZON「LosT」(楽曲)

 

BUCK-TICK『異空 -IZORA-』(アルバム)

 

CAROLINE POLACHEK『DESIRE, I WANT TO TURN INTO YOU』(アルバム)

 

CODE ORANGE『THE ABOVE』(アルバム)

 

††† (CROSSES)『GOODNIGHT, GOD BLESS, I LOVE U, DELETE.』(アルバム)

 

DEPECHE MODE『MEMENTO MORI』(アルバム)

 

DURAN DURAN『DANSE MACABRE』(アルバム)

 

HEY-SMITH『Rest In Punk』(アルバム)

 

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2023年3月 4日 (土)

EMPEROR『EMPERIAL DARKNESS JAPAN TOUR 2023』@EX THEATER ROPPONGI(2023年3月2日)

Img_6700 今週はMEGADETH武道館公演でいい気分を味わいながらスタートしましたが、実はもうひとつ楽しみにしていたライブがありました。それがEMPERORの単独公演。前回観たのが2017年で『LOUD PARK 17』で、あのときは名作2ndアルバム『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(1997年)リリース20周年を記念して、同作完全再現ライブが展開されましたが、今回はキャリアを総括するようなベスト選曲とのこと。そんなの行かないわけにいかないじゃないですか。

会場のEX THEATER ROPPONGIはスタンド席の観やすさはもちろん、音もそれなりに良いのでお気に入りのハコ。チケット予約の際には情勢がどうなっているか不安もあったので、今回はスタンディングではなくスタンド席に。個人的にはこれが正解だったと思っています。

開演30分前に会場入り。客入りもまずまず、というかほぼ埋まっていたんじゃないかな。ビールを1杯ひっかけていたら、そろそろ開演時間……と思っていた18:58、開演2分前に会場が暗転。「早っ!」と思っていたら、外国人スタッフがステージに登場して、ライブの幕開けを告げるアナウンス。開演時間から何十分も遅れる外タレは星の数ほど観てきたけど、開演時間前にライブをスタートさせるバンドは初めて観たかもしれない。なんとなく、この勤勉さがイーサーン(Vo, G)のイメージとなんとなくリンクしていて、思わずニヤリとしてしまいました。

ライブは最終作『PROMETHEUS: THE DISCIPLINE OF FIRE & DEMISE』(2001年)からの「In The Wordless Chamber」からスタート。意外な1曲でかなり新鮮。タリム(Dr)が繰り出す狂気的なビート、派手な動きもせず黙々とトレモロリフを弾き倒すサモス(G)、長らくバンドをサポートし続けるセクトデーモン(B)とエイナル・ソルベルグ(Key)、そしてボーカルパートがないときは唯一ステージ上を動き続けるイーサーン。しかも、その風貌のジェントルマンぶりと歌唱時のスクリームとの落差にドキッとさせられたり、思わずニヤリとさせられたり。そのビジュアル含めてカッコいいったらありゃしない。

カッコいいといえば、彼らはそのシルエットだけで絵になるのも特徴的な点かな。暗めの照明や激しい点灯で顔がはっきり見えず、どちらかというとその佇まいが強く印象に残る彼らのステージですが、そういった神秘性も込みで惹きつけられるし、むしろビジュアルが音を邪魔しないからこそ、その音に没入できる。そこも含めて、改めて最高だなと思いました。


Img_6706 冒頭こそ4thアルバムの楽曲でしたが、以降は1stアルバム『IN THE NIGHTSIDE ECLIPS』(1994年)と2ndアルバム『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』の楽曲中心。結局3rdアルバム『IX EQUILIBRIUM』(1999年)からは「Curse You All Men!」のみ、4thからも先の「In The Wordless Chamber」のみとかなり偏った“ベスト選曲”でしたが、リスナーが観たい/聴きたいEMPERORはまさにこれなので問題なし。

にしても、彼らのライブ。とにかく美しい。激しく暴力的な側面はもちろん備えつつも、全体を覆うシンフォニックな要素と、スクリームの合間に飛び込んでくるイーサーンのクリーンボイスによるメロウなパートに、心をわし摑みにされる瞬間が多々あり、気づいたら涙腺が緩んでいたほど。体は激しいサウンドに合わせて痙攣気味にヘドバンするものの、心で泣く。こんなメタルライブ、そうそうないですよ。さらに、MCではイーサーンの紳士的な挨拶(日本語の発音、完璧)に対し、オーディエンスはことあるごとに“EMPERORコール”を繰り返す。この関係性も観ていて素敵すぎて、胸が熱くなる。あれ、思っていたのと違うぞ?(笑)

ライブは終始気持ちよかった。序盤、音量が若干抑えめかな?と思ったものの、気づいたらかなりの音圧で、MEGADETHのとき以上に耳に圧迫感を感じたし、サモスのギター音量が若干小さめだったものの、それ以外のバランスは良好。キーボードのエイナルが自分のパートがないとき、持ち場を離れてエアドラムをしまくっているのも可愛らしくて良し。あ、「I Am The Black Wizards」のときにイーサーンのギターから音が出なくなるトラブルがありましたが(続く「Inno A Satana」まで若干引っ張った)、それ以外は文句なしの90分でした。

改めて実感したのは、「Curse You All Men!」が個人的には一番好きな曲だということと、「Inno A Satana」と「Ye Entrancemperium」はいつ聴いても問答無用でアガるという事実。イーサーンは「また会おう!」と約束してくれたので、次の来日も楽しみに待ちたいと思います。

セットリスト
Intro
01. In The Wordless Chamber
02. Thus Spake The Nightspirit
03. The Loss & Curse Of Reverence
04. The Acclamation Of Bonds
05. With Strength I Burn
06. Curse You All Men!
07. Cosmic Keys To My Creation And Times
08. Towards The Pantheon
09. The Majesty Of The Night Sky
10. I Am The Black Wizards
11. Inno A Satana
Outro: Opus A Satana
<アンコール>
12. Into The Infinity Of Thoughts
13. Ye Entrancemperium
Outro: The Wanderer

 

2022年5月11日 (水)

IBARAKI『RASHOMON』(2022)

2022年5月6日にリリースされたIBARAKIの1stアルバム。

IBARAKIはTRIVIUMのフロントマン、マシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo, G)によるブラックメタル主体のソロプロジェクト。このブラックメタルプロジェクト自体は10年ほど前から構想があったそうで、当時はMRITYUというプロジェクト名でノルウェースタイルのブラックメタルを表現しようとしていたんだとか。ところが、ノルウェーブラックメタルの当事者であったイーサーンEMPEROR)に助言を求めたところ、「ノルウェー人でない君が、ノルウェーのスタイルをやる必要はない」というアドバイスを受けたことで、マシュー自身のルーツでもある日本にスポットを当てた形での創作活動に着手することを決意したんだそうです。

プロジェクト名のIBARAKIは「茨城」や「茨木」ではなく、「茨鬼」を表します。これは平安時代に京都を荒らし回ったとされる鬼の中にいた茨木童子(いばらきどうじ)を指し示し、アルバムタイトルの『RASHOMON』はそのものズバリ「羅生門」を意味するワード。全10曲におよぶ収録曲は、インストの1曲目を除くすべてが英詞で歌われていますが、タイトル自体は「儚き必然」「迦具土」「茨木童子」「地獄太夫」「魂の崩壊」「悪夢」「木漏れ日」「浪人」「須佐之男命」「海賊」とすべて日本語。かつてTRIVIUMとして『SHOGUN(将軍)』(2008年)というアルバムを発表し、その中に「Kirisute Gomen(斬り捨て御免)」という楽曲も含まれていましたが、今回は奇を衒った日本語詞も含まれていないようです。

プロデュースを手がけたのは、先に登場したイーサーン。彼は「Tamashii No Houkai」「Akumu」でコライトを務めたほか、「Tamashii No Houkai」「Rōnin」でリードギター、「Susanoo No Mikoto」ではボーカルも披露しています。また、レコーディングにはコリィ・ビューリュー(G)、パオロ・グレゴリート(B)、アレックス・ベント(Dr)といったTRIVIUMの面々のほか、「Akumu」にはネルガル(Vo/BEHEMOTH)、「Rōnin」にはジェラルド・ウェイ(Vo/MY CHEMICHAL ROMANCE)といった豪華ゲストも参加しています。

アルバム自体は完全なるブラックメタルというよりは、マシューなりにブラックメタルを解釈したダークサイド強調のヘヴィメタルといった印象。随所にブラックメタル的アプローチやブルータルなテイストを楽しむことができますが、それと同じくらいメランコリックなクリーンパートも用意されており、そのバランス感含めさすがTRIVIUMのフロントマンといったところでしょうか。ぶっちゃけ、ブラックメタル度の高さを求めて触れると面食らうかもしれませんが、TRIVIUMのリスナーや幅広くヘヴィメタルを愛聴する方なら安心して楽しめる1枚だと思います。

壮大かつドラマチックなオーケストレーションやプログロック的な曲構成は間違いなくイーサーンによる功績が大きいでしょうし、そこにスリリングな王道メタルの要素と日本的情緒に満ちたメロディが備わっているのは確実にマシューならでは。つまり、どちらか一方だけではダメな、奇跡的なバランスのもとに生まれた1枚と言えるでしょう。そこにネルガルやジェラルド・ウェイといったバラエティ豊かなフィーチャリングゲストが加わることで、ブラックメタル中心に活動しているアーティストには真似できないカラーが生まれている。まさにオリジナティに満ちた傑作メタルアルバムではないでしょうか。

個人的にはこれをブラックメタルと呼ぶのはちょっと違う気もしますし、むしろブラックメタルを下地に新たなエクストリームメタルを完成させたと言ったほうが正しいと思うのですが、いかがでしょう。まあ最終的には、聴いた人が判断すればいいだけの話ですよね。内容自体は完璧すぎるくらいによく出来た1枚なので、メタルやラウドな音楽を愛聴する方々には真っ先に触れていただきたいです。

 


▼IBARAKI『RASHOMON』
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2018年6月27日 (水)

IHSAHN『ÁMR』(2018)

ノルウェーが誇る伝説のブラックメタルバンドEMPEROR。そのフロントマンであるイーサーン(Vo, G)による通算7作目のソロアルバム。前作『ARKTIS.』(2016年)からちょうど2年ぶりの新作となります。

4作目の『EREMITA』(2012年)以降の作品同様、本作もドラム以外のパートをほぼイーサーンひとりで担当し、そのドラムのみトビアス・アンダーソンが叩いております。また、本作では2曲目「Arcana Imperii」のみギターソロでフレドリック・オーケソン(OPETH)、「Where You Are Lost And I Belong」のドラム打ち込みをAngell Solberg Tveitanなる人物が担当しています。

これまでの作品同様、ブラックメタル的スタイルを残しつつも、シンフォニックメタルやプログレッシヴロック的手法も大々的に取り入れられており、EMPEROR後期の延長線上にありながらも、その作風をさらにモダンにしたスタイルが展開されている、と言ったほうが正しいのでしょうか。イーサーンのボーカルこそデスボイスとクリーンボイスが混在する手法で、そこにEMPERORの名残が感じられるかもしれませんが、例えば2000年代半ば以降のOPETHあたりが好きな人になら間違いなくアピールする1枚だと思います。

冒頭の2曲「Lend Me The Eyes Of Millennia」「Arcana Imperii」やラストの「Wake」は“EMPERORのイーサーン”をイメージさせる作風ですが、「Sárm」や「Twin Black Angels」のエモーショナルさ/穏やかさはどこか往年のプログレを彷彿とさせ、本作の中でも程よいフックになっています。こういう楽曲で全体に起伏をつけているからこそから、ダークでアグレッシヴな「Wake」が最後に来ることでドラマチックさが強調される。そんな印象を受けました。

ギターの歪み方もブラックメタルのそれとは一線を画するし、ドラムのチューニングもふくよかさを感じさせ、とてもメタルのそれとは思えない。また、要所要所にフィーチャーされるストリングスサウンドも非常に効果的で、イーサーンのクリーンボイスによるハーモニーとの相性も抜群です。そういった健やかな要素が、暗雲立ち込めるブラックメタル・マナーの合間に飛び出すことで、ハッと現実に引き戻される感覚。そこが気持ち良いんですよね。

11曲で60分近くあった前作『ARKTIS.』と比べて、本作は全9曲で約43分(デラックス盤ボーナストラック「Alone」を除く)というトータルランニングも聴きやすさ、聴いたときの心地よさに拍車をかけている気がします。彼のソロ作はどれも好きですが、今の自分に一番フィットするという点においては、今作は過去のアルバムの中で一番好きな作品。個人的な年間ベストに入れておきたい、2018年における重要な1枚です。



▼IHSAHN『ÁMR』
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2018年1月 8日 (月)

祝ご成人(1997年4月〜1998年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で4回目を迎えます。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1997年4月〜1998年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやAppleMusicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちらです)


Björk『HOMOGENIC』(Amazon

THE CHEMICAL BROTHERS『DIG YOUR OWN HOLE』(Amazon

CORNERSHOP『WHEN I WAS BORN FOR THE 7TH TIME』(Amazon

DEFTONES『AROUND THE FUR』(Amazon

EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(Amazon)(レビュー

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2017年10月20日 (金)

EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(1997)

先ごろ『LOUD PARK 17』で二度目の来日が実現したEMPERORが、1997年に発表した2ndアルバム。『LOUD PARK 17』では本作発売20周年を祝して、本作『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』完全再現ライブが披露され、好評を博しました。

僕自身、EMPERORのアルバムに触れたのは彼らが解散してかなり時間が経ってから。いわゆるメロディックデスメタルには興味を持っていたものの、ブラックメタルまで行ってしまうとエクストリームすぎ、一部の“飛び道具”的存在以外には触れてきませんでした。そんな自分が本格的に彼らに興味を持ったのは3年前、EMPERORの1stアルバム『IN THE NIGHTSIDE ECLIPSE』(1994年)がリリース20周年を記念してスペシャルエディションで再発されたとき。ちょうどこの年には彼らの初来日も実現したタイミングでした。ここで過去作をすべて聴きあさり、特に2nd〜4th(ラスト)アルバム『PROMETHEUS: THE DISCIPLINE OF FIRE AND DEMISE』(2001年)をよく聴きました。

ホント、その程度のライトリスナーであることを先に告白してから、先に進みたいと思います。

今回の再来日に際して、久しぶりにこの『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』を何度も聴き返したのですが、自分的にこんなにも“どんずば”だったんだということを再確認できました。ブラックメタルならではのブラストビートやトレモロリフ、個性的なダミ声ボーカルが登場するものの、本作はそれだけでは終わらない、もっとプログレッシヴな作風です。

またクラシックの要素がかなり強調されており、ボーカルも強弱を表現するかのように時にデスボイス、時にクリーントーンと巧みに使い分けられている。シンセも効果的に用いられ、パートによってはヘヴィメタルならではのドラマチックな展開や、王道中の王道ヘヴィリフ、またそれらを見事に組み合わせた聴きごたえのあるアレンジで、聴き手を飽きさせません。この手のバンドの楽曲は意外と単調になりがちで、そういった楽曲が連なることでアルバムをまるまる1枚聴くのは厳しかったりもするのですが、本作に関しては(いや、特にEMPERORに関しては)そんなことはまったくなく、この緩急に富んだ作品をじっくりと楽しむことができるはずです。

また、ブラックメタルというと“あえて”酷い録音状態で作品を残す傾向がありますが、このアルバムに関しては「できることなら、もっとクリアな音でも聴いてみたい!」と思ったのも本音。現状リマスター盤が流通していますが、もっとクリアにできたんじゃないの……と思ってしまいます。が、それだともはやブラックメタルではなくなってしまうんじゃないか、とも思うわけで、実はこれくらいのバランスが正解なのかなという気も。難しいところですね。

アルバム本編は全8曲で44分程度、現在はボーナストラック3曲が追加されていますが、まずはボートラなしで8曲を一気に聴いてみることをオススメします。メロデスに耐性があって、クラシカルでドラマチックなエクストリームメタルもイケるという人にはうってつけの1枚だと思います。



▼EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』
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2017年10月18日 (水)

『LOUD PARK 17』DAY 1@さいたまスーパーアリーナ(2017年10月14日)

Loudpark172年ぶりに『LOUD PARK』に行ってきました。2015年は2日目のみの参加でしたが、今回は本当に久しぶりの2日通しでの参加。いつ以来だろうと振り返ってみたら、なんと2009年(JUDAS PRIESTSLAYERがヘッドライナー)以来だったみたいです(笑)。2011年から1日のみ開催が2年続きましたが、それもあってか1日のみ参加というのも結構あったんですよね。

というわけで、せっかくなので久しぶりにメモ程度のレポを残しておこうかと思います。基本はSNS等でつぶやいたコメントが基になっていますので、がっつりしたレポートは各メディアでの本格的なレポートにてご確認ください(笑)。

では、このエントリーでは初日について書いていきたいと思います。

 

<DAY 1:10月14日(土)>
当日朝6時まで原稿を書いていたため、オープニングアクトAldiousからの参加は断念。せめてL.A.GUNSは観たい……ということで、頑張って9時台に起床。ギリギリ12時開始のL.A.GUNSには間に合いました。

 

L.A.GUNS
1曲目が3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』のオープニングトラック「Over The Edge」で面喰らう。勢いよく始めるかと思ったら、このエモいヘヴィロックからかよ、と。ステージをよく見ると、左に昔のトレイシー・ガンズっぽいコスプレしたギタリスト、右に……アメリカ南部のモダンヘヴィネス系バンドにいそうなむさ苦しいギタリスト。あれ、どっちがトレイシーだ?……残念ながら右側でした(笑)。以降は新作『THE MISSING PEACE』から「Speed」やったり1stアルバムから「No Mercy」やったりしましたが、「Killing Machine」みたいな曲もあったりで、特に初期にこだわった感じではなし。あ、2nd『COCKED & LOADED』の曲が多かったです。ラストは「Rip And Tear」。あれ、「Sex Action」は? ということで、個人的には物足りないセトリでした(もともとのセトリには中盤に「Sex Action」、入ってたんですけどね)。

ANTHEM
いきなり「Bound To Break」始まりはズルい! そりゃあ盛り上がりますよ。以降は新し目の曲が続き、中盤「Hunting Time」から怒涛の流れ。ラストは“ANTHEM版「Painkiller」”こと「Onslaught」で締めくくり。短かったけど、久しぶりに堪能できました。

BRUJERIA
あのBRUJERIAが来日!ってだけでも大興奮。そりゃあ開始前から、観客の熱も上がりますよね。メンバーは当然覆面なんですが、ベースの方がどう見てもNAPALM DEATHの……いやなんでもないです(笑)。ゴリゴリ&大音量のグラインドコアと、サークルモッシュで暴れる血気盛んなオーディエンス、それを遠目で眺める自分。ああ、ラウパーに帰ってきたんだなと改めて実感しました。MCは基本スペイン語(という設定)ですが、ところどころに英語が混じっているのに苦笑。“Fuck ドナルド・トランプ”コールで会場の気持ちがひとつになったり、このバンドらしいマリファナコールにニヤニヤしたりと、改めて面白いバンドだなと思いました。

WINGER
たぶん生で観るのは『IN THE HEART OF THE YOUNG』(1990年)のツアー以来だから……いやいや、深く考えるのはやめましょう。メンバーは3枚目『PULL』(1993年)からの編成なので、キーボードは抑えめでギター中心のサウンドメイキング。キップ・ウィンガー(Vo, B)に白髪が混じっていて時の流れを感じさせますが、演奏や歌自体はそこまで衰えを感じさせず。序盤は最近の楽曲〜代表曲〜新曲〜代表曲みたいな流れで、セットリストのバランスはまずまず。中盤、結成30周年に触れてからはデビューアルバム『WINGER』からの楽曲が連発されるのですが、「Heading For A Heartbreak」みたいなシンセ曲ではキップがシンセを弾きながら歌い、ギターのジョン・ロスがベースにシフトするんですね。なるほど納得です。あ、このジョンのギタープレイがレブ・ビーチとはまた違ったタイプのバカテクで好印象。本当に演奏がうまいバンドですね。ただ、BRUJERIAの後という出番はいただけません。最初、音が小さくでビックリしたし(実際BRUJERIAがデカすぎて、WINGERは序盤から音を作っていった感じ。終盤にはその音のバランスの良さに驚きました)。後半の「Heading For A Heartbreak」「Can't Get Enuff」「Madalaine」「Seventeen」の流れ、最高でした。が、スピーカーの音が途中で飛んだり、レブのギターソロでアンプが飛んだりとハプニングも連発。そこだけが勿体なかったです。

OPETH
グラインドコア(BRUJERIA)、AOR的ハードロック(WINGER)からの流れだと、プログレッシヴロック的志向のOPETHはよりソフトに感じられました。長尺の楽曲を演奏で起伏をつけていくのはWINGERにも通ずるものがあるのですが、いかんせんタイプが違う。最近の楽曲は特にソフト志向なので、途中で眠気も……が、ラストの13分超におよぶ「Deliverance」でデス声登場。大好きなアルバムのタイトルトラックに大興奮ですよ。ここで一気に気持ちが持ち返しました。なんにせよ、長丁場のフェスに寝不足で挑むのはよくないですね(苦笑)。

OVERKILL
ここ10年くらい、出すアルバムがことごとく力作でキラーチューンも多い彼ら。実際のライブも往年の代表曲以上に新曲で盛り上がっていたのが印象的でした。にしても、このバンドも35年近いキャリアの持ち主(しかも一度も解散、活動休止なし)なのに、このテンションの高さには驚かされます。初めてライブを観たのはもう30年近く前ですが、基本的に印象はまったく変わらず。逆に観客の彼らに対する盛り上がりは、年々高くなってるように感じました。ラストの「Fuck You」含め、「ああ、そうそうこれ。スラッシュメタルだね!」っていう最高のステージでした。

ALICE COOPER
アリスも2008年以来の来日以来9年ぶり。1990年の初来日以降、毎回観てますが、一番時間が短かったにも関わらず正直今回が一番良かったと思いました。1曲目の「Brutal Planet」には驚いたものの、以降はいつもどおりヒット曲連発。まさか序盤に「Poison」を持ってくるとは思ってもみませんでしたし、「Feed My Frankenstein」ではジャンボマックス(死語)ばりの巨大アリスが登場して爆笑(しかも歌声も身長に合わせてか低くなってる!)。おなじみのギロチンショーもあり、ラストは「I'm Eighteen」「School's Out」で大団円。オールドスクールなロックンロールや60分に凝縮されたショーはラウパーっぽくないのかもしれませんが、それでも最高と言わざるをえない究極のエンタテインメントショーでした。

EMPEROR
二度目の来日となる今回は、2ndアルバム『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』発売20周年を記念した完全再現ライブを披露。緑を基調とした照明はジャケットの世界観そのもので、この日出演したバンドの中でもサウンド的にはかなりオールドスクールなブラックメタルに括られるものの、存在感や説得力はほかにはない特別なものが感じられました。最初こそ「うおー!」と盛り上がっていたものの、気づいたら無言になっており、その世界観にじっくりと浸る自分がいるという。イーサーン(Vo, G)の知的な感じも素敵でしたし、あの佇まいがそのまま音になったかのような、プログレッシヴなブラックメタルサウンドは20年経った今も有効であることも強く実感させられました。アルバムを曲順どおりに再現し終えると、そこからは「Curse You All Men!」「I Am The Black Wizards」「Inno A Satana」と代表曲を連発。「I Am The Black Wizards」まではスタンド席でじっくり観ていたのですが、「Inno A Satana」が始まった瞬間我慢できずにアリーナまで走ったのはここだけの話です(笑)。

SLAYER
2年ぶりのSLAYERですが、前回はラウパーのほうが日程的に観られなかったため、STUDIO COASTでの単独公演を観たのでした。最新作『REPENTLESS』を軸にしたセットリストは前回に似た感じですが、なぜでしょう、今回のほうが良かった気がします。いや、もっと言うと……ここ10数年観た中で一番良かったんじゃないでしょうか。ゲイリー・ホルト(G)が加わって時間が経ち、編成としてもかなり安定したのもありますし、『REPENTLESS』の楽曲が今のバンドに馴染んだというのもあるんでしょうけど、なんていうか……僕らがよく知ってる“あの”SLAYERが戻ってきたといいましょうか……非常に抽象的な表現で申し訳ないですが、そうなんですよ。完全に戻ってるんですよ、今のSLAYER。帝王って言葉がぴったりな、あのSLAYERに。セットリストもよかったなぁ。90分のセットで20曲くらい詰め込まれていて、特に終盤、「Seasons In The Abyss」から「Hell Awaits」「South Of Heaven」「Raining Blood」「Chemical Warfare」「Angel Of Death」という怒涛の流れは文句なしでした。ぶっちゃけ、首がもげましたもん(笑)。

 


▼SLAYER『REPENTLESS』
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