2018年6月27日 (水)

IHSAHN『ÁMR』(2018)

ノルウェーが誇る伝説のブラックメタルバンドEMPEROR。そのフロントマンであるイーサーン(Vo, G)による通算7作目のソロアルバム。前作『ARKTIS.』(2016年)からちょうど2年ぶりの新作となります。

4作目の『EREMITA』(2012年)以降の作品同様、本作もドラム以外のパートをほぼイーサーンひとりで担当し、そのドラムのみトビアス・アンダーソンが叩いております。また、本作では2曲目「Arcana Imperii」のみギターソロでフレドリック・オーケソン(OPETH)、「Where You Are Lost And I Belong」のドラム打ち込みをAngell Solberg Tveitanなる人物が担当しています。

これまでの作品同様、ブラックメタル的スタイルを残しつつも、シンフォニックメタルやプログレッシヴロック的手法も大々的に取り入れられており、EMPEROR後期の延長線上にありながらも、その作風をさらにモダンにしたスタイルが展開されている、と言ったほうが正しいのでしょうか。イーサーンのボーカルこそデスボイスとクリーンボイスが混在する手法で、そこにEMPERORの名残が感じられるかもしれませんが、例えば2000年代半ば以降のOPETHあたりが好きな人になら間違いなくアピールする1枚だと思います。

冒頭の2曲「Lend Me The Eyes Of Millennia」「Arcana Imperii」やラストの「Wake」は“EMPERORのイーサーン”をイメージさせる作風ですが、「Sárm」や「Twin Black Angels」のエモーショナルさ/穏やかさはどこか往年のプログレを彷彿とさせ、本作の中でも程よいフックになっています。こういう楽曲で全体に起伏をつけているからこそから、ダークでアグレッシヴな「Wake」が最後に来ることでドラマチックさが強調される。そんな印象を受けました。

ギターの歪み方もブラックメタルのそれとは一線を画するし、ドラムのチューニングもふくよかさを感じさせ、とてもメタルのそれとは思えない。また、要所要所にフィーチャーされるストリングスサウンドも非常に効果的で、イーサーンのクリーンボイスによるハーモニーとの相性も抜群です。そういった健やかな要素が、暗雲立ち込めるブラックメタル・マナーの合間に飛び出すことで、ハッと現実に引き戻される感覚。そこが気持ち良いんですよね。

11曲で60分近くあった前作『ARKTIS.』と比べて、本作は全9曲で約43分(デラックス盤ボーナストラック「Alone」を除く)というトータルランニングも聴きやすさ、聴いたときの心地よさに拍車をかけている気がします。彼のソロ作はどれも好きですが、今の自分に一番フィットするという点においては、今作は過去のアルバムの中で一番好きな作品。個人的な年間ベストに入れておきたい、2018年における重要な1枚です。



▼IHSAHN『ÁMR』
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投稿: 2018 06 27 12:00 午前 [2018年の作品, Emperor, Ihsahn, Opeth] | 固定リンク

2018年1月 8日 (月)

祝ご成人(1997年4月〜1998年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で4回目を迎えます。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1997年4月〜1998年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやAppleMusicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちらです)


Björk『HOMOGENIC』(Amazon

THE CHEMICAL BROTHERS『DIG YOUR OWN HOLE』(Amazon

CORNERSHOP『WHEN I WAS BORN FOR THE 7TH TIME』(Amazon

DEFTONES『AROUND THE FUR』(Amazon

EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(Amazon)(レビュー

FAITH NO MORE『ALBUM OF THE YEAR』(Amazon

FOO FIGHTERS『THE COLOUR AND THE SHAPE』(Amazon)(レビュー

LIMP BIZKIT『THREE DOLLAR BILL, Y'ALL$』(Amazon)(レビュー

MADONNA『RAY OF LIGHT』(Amazon

METALLICA『RELOAD』(Amazon)(レビュー

MOGWAI『YOUNG TEAM』(Amazon

OASIS『BE HERE NOW』(Amazon)(レビュー

PORTISHEAD『PORTISHEAD』(Amazon

PRIMAL SCREAM『VANISHING POINT』(Amazon

THE PRODIGY『THE FAT OF THE LAND』(Amazon

RADIOHEAD『OK COMPUTER』(Amazon)(レビュー

RAMMSTEIN『SEHNSUCHT』(Amazon

SPIRITUALIZED『LADIES AND GENTLEMEN WE ARE FLOATING IN SPACE』(Amazon

THE VERVE『URBAN HYMNS』(Amazon)(レビュー

THE WiLDHEARTS『ENDLESS, NAMELESS』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

ARTENSION『PHOENIX RISING』
BLACK GRAPE『STUPID STUPID STUPID』
THE BRIAN JONESTOWN MASSACRE『GIVE IT BACK!』
BRUCE DICKINSON『ACCIDENT OF BIRTH』
THE CHARLATANS『TELLIN' STORIES』
CHEAP TRICK『CHEAT TRICK』
CHUMBAWAMBA『TUBTHUMBER』
COAL CHAMBER『COAL CHAMBER』
CURSIVE『SUCH BLINDING STARS FOR STARVING EYES』
DEPECHE MODE『ULTRA』
DEVIN TOWNSEND『OCEAN MACHINE: BIOMECH』
DREAM THEATER『FALLING INTO INFINITY』
DURAN DURAN『MEDAZZALAND』
ERIC CLAPTON『PILGRIM』
FEEDER『POLYTHENE』
GAMMA RAY『SOMEWHERE OUT IN SPACE』
THE GET UP KIDS『FOUR MINUTE MILE』
GREEN DAY『NIMROD』
THE HELLACOPTERS『PAYIN' THE DUES』(レビュー
THE HIVES『BARELY LEGAL』
IN FLAMES『WHORACLE』
INCUBUS『S.C.I.E.N.C.E.』
INXS『ELEGANTLY WASTED』
JANET JACKSON『THE VELVET ROPE』
JESUS JONES『ALREADY』
JON BON JOVI『DESTINATION ANYWHERE』
JUDAS PRIEST『JUGULATOR』
KISS『CARNIVAL OF SOULS』(レビュー
KMFDM『SYMBOLS』
LED ZEPPELIN 『BBC SESSIONS』
MEGADETH『CRYPTIC WRITINGS』(レビュー
MORRISSEY『MALADUSTED』
MOTLEY CRUE『GENERATION SWINE』(レビュー
NAPALM DEATH『INSIDE THE TORN APART』
NASHVILLE PUSSY『LET THEM EAT PUSSY』(レビュー
OCEAN COLOUR SCENE『MARCHIN' ALREADY』
PARADISE LOST『ONE SECOND』
PAUL McCARTNEY『FLAMING PIE』
PRIMUS『BROWN ALBUM』
PULP『THIS IS HARDCORE』
THE ROLLING STONES『BRIDGES TO BABYLON』
THE SEAHORSES『DO IT YOURSELF』
STEREOPHONICS『WORD GETS AROUND』
SUPER FURRY ANIMALS『RADIATOR』
SUPERGRASS『IN IT FOR THE MONEY』
THE TEA PARTY『TRANSMISSION』
TEENAGE FANCLUB『SONGS FROM NORTHERN BRITAIN』
TESTAMENT『DEMONIC』
THIRD EYE BLIND『THIRD EYE BLIND』
TRAVIS『GOOD FEELING』
VAN HALEN『VAN HALEN III』
VOIVOD『PHOBOS』
W.A.S.P.『KILL.FUCK.DIE』
WHITESNAKE『RESTLESS HEART』
YNGWIE MALMSTEEN『FACING THE ANIMAL』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と一昨年のブログに書き、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程と昨年のブログに書きました。では1997年から1998年にかけてはどういう年だったかといいますと、イギリスに関してはその末期の中からいくつもの名盤が誕生した“ギリギリ”のタイミングだったのかなと。OASISが『BE HERE NOW』で最大瞬間風速を見せたり、THE VERVEが国民的メガヒット作『URBAN HYMNS』を、THE CHARLATANSが起死回生の1枚『TELLIN' STORIES』をそれぞれドロップしたのが1997年でした。

そうそう、忘れてはいけないのがRADIOHEAD『OK COMPUTER』の存在ですね。この1枚の誕生が、それ以降のロックシーンを大きく変えたのは間違いない事実です。同じように、アルバムごとに変化を繰り返すPRIMAL SCREAMも『VANISHING POINT』でダブに接近したのは、非常に興味深い事象でした。そんなタイミングにSPIRITUALIZEDが『LADIES AND GENTLEMEN WE ARE FLOATING IN SPACE』で大注目を集めたり……なんだかんだけ、豊作の1年なんですよね。

さらにTHE CHEMICAL BROTHERSやTHE PRODIGYといったデジタル系アーティストが頭角を現し、特に後者は全米1位を獲得するという最大のハプニングまで引き起こすわけですから。そのTHE PRODIGY『THE FAT OF THE LAND』、アメリカではマドンナのレーベルからのリリースでしたね。さらにマドンナは『RAY OF LIGHT』という名盤を発表して、何度目かの黄金期を迎えたり……このへんも改めて振り返ると、いろいろ面白かったりします。

アメリカではLIMP BIZKITやINCUBUS、DEFTONESによってラウドロック/ヘヴィロックに新たな潮流が見え始めたタイミング。ドイツからはRAMMSTEINが全米進出を果たすなど、2000年代に向けてヘヴィ系が再編されていくきっかけの1年だったように思います。

方やHR/HMシーンに目を移すと、JUDAS PRIESTやVAN HALENといった大御所バンドが新たなフロントマンを迎えた新作を発表。選外でしたが、IRON MAIDENも新ボーカリストを含む編成で2作目を発表した時期でもありました。かと思えば、MOTLEY CRUEはヴィンス・ニールが復帰してオリジナル編成で8年ぶりのアルバム『GENERATION SWINE』をリリースしたり、W.A.S.P.もクリス・ホルムズが復帰して『KILL.FUCK.DIE』を発表したり、WHITESNAKEも8年ぶりの新作『RESTLESS HEART』を発表するも解散を宣言したり……あ、そうそう。KISSがオリジナル編成で復活したのもこの頃でしたね。こちらもこちらで、次のフェーズに突入するための過渡期だったと言えます。

そういえば、ミュージシャンの訃報が続いたのもこの時期でしたね。1997年は3月にノトーリアス・B.I.G.が射殺されたのを筆頭に、5月にジェフ・バックリー、6月にロニー・レーン、8月にフェラ・クティ、11月にINXSのマイケル・ハッチェンス、年明け1998年2月にはTHE BEACH BOYSのカール・ウィルソン、同じく2月にファルコが亡くなっております。個人的にはノトーリアス・B.I.G.とジェフ・バックリー、マイケル・ハッチェンス、ファルコの死が特に印象に残っています。

ちなみに日本の音楽シーンにおける1997年4月〜1998年3月といいますと、ちょうどCDの売り上げがピークに達したタイミング。引き続きTK(小室哲哉)プロデュース作品のヒット連発に加え、SPEEDやGLAYがメガヒットを飛ばし、KinKi KidsがCDデビュー。LUNA SEAの1年間活動休止に伴い、RYUICHIが河村隆一名義でソロヒットを連発させ、T.M.Revolutionが「HIGH PRESSURE」で本格的ブレイク。1997年末にはX JAPANの解散もありましたが、年明け1998年1月にはモーニング娘。、2月にはMISIAがメジャーデビューを果たしました。さらに、1997年7月には日本で最初の本格的ロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL』がスタートしています。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1997年で特に印象に残っている1曲を紹介して、この記事を締めくくりたいと思います。



▼HANSON『MIDDLE OF NOWHERE』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2018 01 08 12:00 午後 [1997年の作品, 1998年の作品, Björk, Chemical Brothers, The, Cornershop, Deftones, Emperor, Faith No More, Foo Fighters, Hanson, Limp Bizkit, Madonna, Metallica, Mogwai, Oasis, Portishead, Prodigy, The, Radiohead, Rammstein, Spiritualized, Verve, The, Wildhearts, The, 「20年前」] | 固定リンク

2017年10月20日 (金)

EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(1997)

先ごろ『LOUD PARK 17』で二度目の来日が実現したEMPERORが、1997年に発表した2ndアルバム。『LOUD PARK 17』では本作発売20周年を祝して、本作『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』完全再現ライブが披露され、好評を博しました。

僕自身、EMPERORのアルバムに触れたのは彼らが解散してかなり時間が経ってから。いわゆるメロディックデスメタルには興味を持っていたものの、ブラックメタルまで行ってしまうとエクストリームすぎ、一部の“飛び道具”的存在以外には触れてきませんでした。そんな自分が本格的に彼らに興味を持ったのは3年前、EMPERORの1stアルバム『IN THE NIGHTSIDE ECLIPSE』(1994年)がリリース20周年を記念してスペシャルエディションで再発されたとき。ちょうどこの年には彼らの初来日も実現したタイミングでした。ここで過去作をすべて聴きあさり、特に2nd〜4th(ラスト)アルバム『PROMETHEUS: THE DISCIPLINE OF FIRE AND DEMISE』(2001年)をよく聴きました。

ホント、その程度のライトリスナーであることを先に告白してから、先に進みたいと思います。

今回の再来日に際して、久しぶりにこの『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』を何度も聴き返したのですが、自分的にこんなにも“どんずば”だったんだということを再確認できました。ブラックメタルならではのブラストビートやトレモロリフ、個性的なダミ声ボーカルが登場するものの、本作はそれだけでは終わらない、もっとプログレッシヴな作風です。

またクラシックの要素がかなり強調されており、ボーカルも強弱を表現するかのように時にデスボイス、時にクリーントーンと巧みに使い分けられている。シンセも効果的に用いられ、パートによってはヘヴィメタルならではのドラマチックな展開や、王道中の王道ヘヴィリフ、またそれらを見事に組み合わせた聴きごたえのあるアレンジで、聴き手を飽きさせません。この手のバンドの楽曲は意外と単調になりがちで、そういった楽曲が連なることでアルバムをまるまる1枚聴くのは厳しかったりもするのですが、本作に関しては(いや、特にEMPERORに関しては)そんなことはまったくなく、この緩急に富んだ作品をじっくりと楽しむことができるはずです。

また、ブラックメタルというと“あえて”酷い録音状態で作品を残す傾向がありますが、このアルバムに関しては「できることなら、もっとクリアな音でも聴いてみたい!」と思ったのも本音。現状リマスター盤が流通していますが、もっとクリアにできたんじゃないの……と思ってしまいます。が、それだともはやブラックメタルではなくなってしまうんじゃないか、とも思うわけで、実はこれくらいのバランスが正解なのかなという気も。難しいところですね。

アルバム本編は全8曲で44分程度、現在はボーナストラック3曲が追加されていますが、まずはボートラなしで8曲を一気に聴いてみることをオススメします。メロデスに耐性があって、クラシカルでドラマチックなエクストリームメタルもイケるという人にはうってつけの1枚だと思います。



▼EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2017 10 20 12:00 午前 [1997年の作品, Emperor] | 固定リンク

2017年10月18日 (水)

『LOUD PARK 17』DAY 1@さいたまスーパーアリーナ(2017年10月14日)

Loudpark172年ぶりに『LOUD PARK』に行ってきました。2015年は2日目のみの参加でしたが、今回は本当に久しぶりの2日通しでの参加。いつ以来だろうと振り返ってみたら、なんと2009年(JUDAS PRIESTSLAYERがヘッドライナー)以来だったみたいです(笑)。2011年から1日のみ開催が2年続きましたが、それもあってか1日のみ参加というのも結構あったんですよね。

というわけで、せっかくなので久しぶりにメモ程度のレポを残しておこうかと思います。基本はSNS等でつぶやいたコメントが基になっていますので、がっつりしたレポートは各メディアでの本格的なレポートにてご確認ください(笑)。

では、このエントリーでは初日について書いていきたいと思います。


<DAY 1:10月14日(土)>

当日朝6時まで原稿を書いていたため、オープニングアクトAldiousからの参加は断念。せめてL.A.GUNSは観たい……ということで、頑張って9時台に起床。ギリギリ12時開始のL.A.GUNSには間に合いました。


L.A.GUNS
1曲目が3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』のオープニングトラック「Over The Edge」で面喰らう。勢いよく始めるかと思ったら、このエモいヘヴィロックからかよ、と。ステージをよく見ると、左に昔のトレイシー・ガンズっぽいコスプレしたギタリスト、右に……アメリカ南部のモダンヘヴィネス系バンドにいそうなむさ苦しいギタリスト。あれ、どっちがトレイシーだ?……残念ながら右側でした(笑)。以降は新作『THE MISSING PEACE』から「Speed」やったり1stアルバムから「No Mercy」やったりしましたが、「Killing Machine」みたいな曲もあったりで、特に初期にこだわった感じではなし。あ、2nd『COCKED & LOADED』の曲が多かったです。ラストは「Rip And Tear」。あれ、「Sex Action」は? ということで、個人的には物足りないセトリでした(もともとのセトリには中盤に「Sex Action」、入ってたんですけどね)。

ANTHEM
いきなり「Bound To Break」始まりはズルい! そりゃあ盛り上がりますよ。以降は新し目の曲が続き、中盤「Hunting Time」から怒涛の流れ。ラストは“ANTHEM版「Painkiller」”こと「Onslaught」で締めくくり。短かったけど、久しぶりに堪能できました。

BRUJERIA
あのBRUJERIAが来日!ってだけでも大興奮。そりゃあ開始前から、観客の熱も上がりますよね。メンバーは当然覆面なんですが、ベースの方がどう見てもNAPALM DEATHの……いやなんでもないです(笑)。ゴリゴリ&大音量のグラインドコアと、サークルモッシュで暴れる血気盛んなオーディエンス、それを遠目で眺める自分。ああ、ラウパーに帰ってきたんだなと改めて実感しました。MCは基本スペイン語(という設定)ですが、ところどころに英語が混じっているのに苦笑。“Fuck ドナルド・トランプ”コールで会場の気持ちがひとつになったり、このバンドらしいマリファナコールにニヤニヤしたりと、改めて面白いバンドだなと思いました。

WINGER
たぶん生で観るのは『IN THE HEART OF THE YOUNG』(1990年)のツアー以来だから……いやいや、深く考えるのはやめましょう。メンバーは3枚目『PULL』(1993年)からの編成なので、キーボードは抑えめでギター中心のサウンドメイキング。キップ・ウィンガー(Vo, B)に白髪が混じっていて時の流れを感じさせますが、演奏や歌自体はそこまで衰えを感じさせず。序盤は最近の楽曲〜代表曲〜新曲〜代表曲みたいな流れで、セットリストのバランスはまずまず。中盤に結成30周年に触れてからはデビューアルバム『WINGER』からの楽曲が連発されるのですが、「Heading For A Heartbreak」みたいなシンセ曲ではキップがシンセを弾きながら歌い、ギターのジョン・ロスがベースにシフトするんですね。なるほど納得です。あ、このジョンのギタープレイがレブ・ビーチとはまた違ったタイプのバカテクで好印象。本当に演奏がうまいバンドですね。ただ、BRUJERIAの後という出番はいただけません。最初、音が小さくでビックリしたし(実際BRUJERIAがデカすぎて、WINGERは序盤から音を作っていった感じ。終盤にはその音のバランスの良さに驚きました)。後半の「Heading For A Heartbreak」「Can't Get Enuff」「Madalaine」「Seventeen」の流れ、最高でした。が、スピーカーので音が途中で飛んだり、レブのギターソロでアンプが飛んだりとハプニングも連発。そこだけが勿体なかったです。

OPETH
グラインドコア(BRUJERIA)、AOR的ハードロック(WINGER)からの流れだと、プログレッシヴロック的志向のOPETHはよりソフトに感じられました。長尺の楽曲を演奏で起伏をつけていくのはWINGERにも通ずるものがあるのですが、いかんせんタイプが違う。最近の楽曲は特にソフト志向なので、途中で眠気も……が、ラストの13分超におよぶ「Deliverance」でデス声登場。大好きなアルバムのタイトルトラックに大興奮ですよ。ここで一気に気持ちが持ち返しました。なんにせよ、長丁場のフェスに寝不足で挑むのはよくないですね(苦笑)。

OVERKILL
ここ10年くらい、出すアルバムがことごとく力作でキラーチューンも多い彼ら。実際のライブも往年の代表曲以上に新曲で盛り上がっていたのが印象的でした。にしても、このバンドも35年近いキャリアの持ち主(しかも一度も解散、活動休止なし)なのに、このテンションの高さには驚かされます。初めてライブを観たのはもう30年近く前ですが、基本的に印象はまったく変わらず。逆に観客の彼らに対する盛り上がりは、年々高くなってるように感じました。ラストの「Fuck You」含め、「ああ、そうそうこれ。スラッシュメタルだね!」っていう最高のステージでした。

ALICE COOPER
アリスも2008年以来の来日以来9年ぶり。1990年の初来日以降、毎回観てますが、一番時間が短かったにも関わらず正直今回が一番良かったと思いました。1曲目の「Brutal Planet」には驚いたものの、以降はいつもどおりヒット曲連発。まさか序盤に「Poison」を持ってくるとは思ってもみませんでしたし、「Feed My Frankenstein」ではジャンボマックス(死語)ばりの巨大アリスが登場して爆笑(しかも歌声も身長に合わせてか低くなってる!)。おなじみのギロチンショーもあり、ラストは「I'm Eighteen」「School's Out」で大団円。オールドスクールなロックンロールや60分に凝縮されたショーはラウパーっぽくないのかもしれませんが、それでも最高と言わざるをえない究極のエンタテインメントショーでした。

EMPEROR
二度目の来日となる今回は、2ndアルバム『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』発売20周年を記念した完全再現ライブを披露。緑を基調とした照明はジャケットの世界観そのもので、この日出演したバンドの中でもサウンド的にはかなりオールドスクールなブラックメタルに括られるものの、存在感や説得力はほかにはない特別なものが感じられました。最初こそ「うおー!」と盛り上がっていたものの、気づいたら無言になっており、その世界観にじっくりと浸る自分がいるという。イーサーン(Vo, G)の知的な感じも素敵でしたし、あの佇まいがそのまま音になったかのような、プログレッシヴなブラックメタルサウンドは20年経った今も有効であることも強く実感させられました。アルバムを曲順どおりに再現し終えると、そこからは「Curse You All Men!」「I Am The Black Wizards」「Inno A Satana」と代表曲を連発。「I Am The Black Wizards」まではスタンド席でじっくり観ていたのですが、「Inno A Satana」が始まった瞬間我慢できずにアリーナまで走ったのはここだけの話です(笑)。

SLAYER
2年ぶりのSLAYERですが、前回はラウパーのほうが日程的に観られなかったため、STUDIO COASTでの単独公演を観たのでした。最新作『REPENTLESS』を軸にしたセットリストは前回に似た感じですが、なぜでしょう、今回のほうが良かった気がします。いや、もっと言うと……ここ10数年観た中で一番良かったんじゃないでしょうか。ゲイリー・ホルト(G)が加わって時間が経ち、編成としてもかなり安定したのもありますし、『REPENTLESS』の楽曲が今のバンドに馴染んだというのもあるんでしょうけど、なんていうか……僕らがよく知ってる“あの”SLAYERが戻ってきたといいましょうか……非常に抽象的な表現で申し訳ないですが、そうなんですよ。完全に戻ってるんですよ、今のSLAYER。帝王って言葉がぴったりな、あのSLAYERに。セットリストもよかったなぁ。90分のセットで20曲くらい詰め込まれていて、特に終盤、「Seasons In The Abyss」から「Hell Awaits」「South Of Heaven」「Raining Blood」「Chemical Warfare」「Angel Of Death」という怒涛の流れは文句なしでした。ぶっちゃけ、首がもげましたもん(笑)。



▼SLAYER『REPENTLESS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 国内盤CD+Blu-ray / 海外盤CD / 海外盤CD+DVD / MP3

投稿: 2017 10 18 12:00 午前 [2017年のライブ, Alice Cooper, ANTHEM, Brujeria, Emperor, L.A.Guns, LOUD PARK, Opeth, Overkill, Slayer, Winger] | 固定リンク