2017年12月29日 (金)

ENTOMBED『WOLVERINE BLUES』(1993)

1993年秋にリリースされた、スウェーデンのデスメタルバンドENTOMBEDによる3rdアルバム。日本やヨーロッパはEarache Recordsから(日本盤は当時TOY'S FACTORY流通)発表された本作ですが、アメリカではCARCASS 『HEARTWORK』SEPULTURA 『CHAOS A.D.』CATHEDRAL 『THE ETHEREAL MIRROR』同様にSony / Columbia Recordsからメジャー流通された奇跡の1枚です。つうか、ENTOMBEDの中でもこのアルバムがメジャーから発表されたというのが、非常に興味深い事実なんじゃないでしょうか。

もともとデスメタルバンドとしてスタートした彼らですが、この3作目『WOLVERINE BLUES』の頃から自身のスタイルを「Death 'N' Roll」と呼び始め、スピードよりグルーヴ感を重視したサウンドへと移行し始めたタイミング。実際、PANTERA以降のグルーヴメタル/ヘヴィサウンドに通ずる方向性や、MOTORHEADあたりに通ずるヘヴィさ/ガレージロック感は確かにほかのデスメタルバンドと比較しても新しいものがあったと、当時は感じたものです。

今でこそデスメタルってボーカルのデスボイスがより過激になり、正直何歌ってるかわからなかったりすることも多いのですが、この頃ってまだ平和だったというか、普通に“ハードコア発、スラッシュメタル経由”だから何を歌っているか聞き取りやすいんですよね。特に本作でのL-G・ペトロフのボーカルはメロディアスとすら思えるくらい、この手のバンドにしてはキャッチーですから。

グルーヴィーなロックンロール「Hollowman」やダイナミックなドラミングが印象的な「Eyemaster」、2分少々のミディアムショートチューン「Wolverine Blues」、疾走感を伴った「Out Of Hand」など、聴き応えのある楽曲が目白押しで、全10曲でトータル35分程度という長さも手伝って非常に聴き易い、親しみ易い1枚ではないかと思います。

初期のスタイルが好きな人はここまでがギリギリという声もあるみたいですし、逆に以降の「Death 'N' Roll」スタイルが好みという人は過去作はここがギリギリ許せるという意見も耳にします。バンド的には転換期であり過渡期にある1枚かもしれませんが、歴史的観点からいうと非常に重要な作品だと言えるのではないでしょうか。個人的には今でもよく聴く1枚です。



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投稿: 2017 12 29 12:00 午前 [1993年の作品, Entombed] | 固定リンク