カテゴリー「Eric Clapton」の9件の記事

2019年1月 5日 (土)

ERIC CLAPTON『UNPLUGGED』(1992)

1992年8月にリリースされた、エリック・クラプトンのアコースティック・ライブアルバム。同年1月に行われた『MTV UNPLUGGED』の収録ライブから、のちにアルバム『PILGRIM』(1998年)でレコーディングされる「My Father's Eyes」や「Circus」などを除く全14曲が収められています。また、本作は全米1位、全英2位という大成功を記録し、特にアメリカでは1000万枚以上を売り上げるなど、その後のアンプラグド・ブームの火付け役となりました。

ちょうど本作の収録と前後して、クラプトンが映画『ラッシュ』のサウンドトラックを制作し、そこに収録したアコースティックナンバー「Tears In Heaven」が全米2位、全英5位と、彼のキャリア中もっとも成功した1曲となったこともこのアンプラグド・アルバムの成功に拍車をかけたことは間違いありません。

収録曲ですが、「Tears In Heaven」をはじめ「Old Love」や「Running On Faith」など過去のアルバムに収録されたオリジナル曲、DEREK AND THE DOMINOS時代の名曲「Layla」以外は、クラプトンの趣味趣向が反映されたブルースのカバー中心。もちろん、その中には「Before You Accuse Me」や「Rollin' And Tumblin'」といったCREAM時代からソロ時代までに取り上げてきたおなじみの曲も含まれています。

その中には、クラプトンが敬愛するロバート・ジョンソンのカバーも多く含まれており、ここでの経験がのちのブルース・カバーアルバム『FROM THE CRADLE』(1994年)やロバート・ジョンソンのみをカバーしたスタジオアルバム『ME AND MR. JOHNSON』(2004年)につながっていくわけです。

全編でクラプトンのアコースティックプレイと、リラックスした歌声を担当できる本作は、エレキスタイルで表現される緊張感の強い演奏とは異なる側面が反映されています。例えば「Layla」でのキーを下げ節回しを変えた歌唱スタイルなんて、まさにその色がもっとも強く表れているので、これがダメって人には無理強いできないかな。そんな人いるかどうかわかりませんが。

まあ本作は、ここ日本でもバカ売れしましたし、アメリカでも第35回グラミー賞(1993年)で6部門にノミネートされたうち3部門受賞(最優秀男性ロックボーカル、最優秀年間アルバム、最優秀ロックソング)を獲得。ギター弾いてた奴は急にアコギ(しかも、クラプトンと同じマーチンの000-42)を購入したり、来日した際にはそれまでロックのロの字もなかった女性から「行きたい!」と急に連絡が来たり……良くも悪くも“ブーム”を作ってしまった、罪深き1枚なんですわ。まあ、内容の良さとはまったく別の話題ですが。

なお、本作は2013年にカットされた「My Father's Eyes」や「Circus」、放送のために2回演奏された楽曲なども含むボーナスディスクや別売りされていたDVD同梱のデラックス・エディションも発売。90年代前半、早くも名曲と噂されていた「Circus」(当時のタイトルは「Circus Left Town」)聴きたさに西新宿界隈をさまよった身としては、クリアな音質で当時の音源を楽しめるこのバージョン発売には歓喜したものです(ぶっちゃけ、『PILGRIM』のスタジオバージョンよりこっちのほうが好きなので)。



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2019年1月 3日 (木)

STING『...NOTHING LIKE THE SUN』(1987)

スティングが1987年秋に発表した、通算2作目のスタジオソロアルバム。本作からは「We'll Be Together」(全米7位/全英41位)、「Be Still My Beating Heart」(全米15位)、「Englishman In New York」(全米84位/全英51位)、「Fragile」(全英70位)、「They Dance Alone」(全英94位)などのシングルヒットが生まれ、アルバム自体も全米9位、全英1位という好成績に恵まれました。特に「We'll Be Together」「Englishman In New York」が当時ビールやビデオテープのCMソングに使用されたこともあり、日本のファンの間でも馴染み深いアルバムの1枚と言えるでしょう。

前作『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985年)THE POLICE時代の恩恵もあり大ヒットを記録。そういう意味では続く今作でソロアーティストとしてのスティングの真価が問われるわけですが、そういった外野からの声を完全に無視するかのように、このアルバムではジャズを軸にした独自の世界観が展開されています。

アルバムのオープニングを飾る「The Lazarus Heart」のジャズやフュージョンを彷彿とさせるノリ、「Englishman In New York」でのレゲエとジャズをミックスしたテイストは、まさにスティングならではと言えるでしょう。また、「They Dance Alone」後半の展開や、ジミ・ヘンドリクスのカバー「Little Wing」に感じられるインプロ的緊張感は、本作に到るまでに彼が経験したソロツアーが大きく反映されているのではないでしょうか。

そういえば、本作は参加メンバーもそうそうたるもので、ルーベン・ブラデス(Vo, G)、ハイラム・ブロック(G)、エリック・クラプトン(G)、マーク・ノップラー(G)、アンディ・サマーズ(G)、マーク・イーガン(B)、ケンウッド・デナード(Dr)、マヌ・カチェ(Dr)、アンディ・ニューマーク(Dr)、ケニー・カークランド(Key)、ブランフォード・マルサリス(Sax)、ギル・エヴァンス(オーケストラ指揮)、GIL EVANS ORCHESTRAなど、ジャズやフュージョン、ブラックミュージック、ロックなどさまざまなジャンルからトップアーティストが勢揃い。ギル・エヴァンスが参加してるというのが、そもそもポップス/ロック界的には当時、相当衝撃的だったような記憶があります。

『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』と比較すると全体的に穏やかで、ロックやポップスのジャンルにおいてはかなり地味な部類に入る作品だと思います。事実、当時高校生だった自分にはかなり大人な内容で、正直すぐに気に入ったかと言われると微妙でしたし。が、中にはグッとくる楽曲も多かったですし、スティングが活動を重ねアルバムを重ねていくごとに、振り返ってこの作品を聴くと「これ、ものすごいアルバムなんじゃないか……」と少しずつ気づくという。そんな濃さと奥深さを持つ傑作のひとつだと思います。

ですが本作、実はかなり闇の深い1枚でもあります。本作の制作に向かう過程で、スティングは最愛の母親を亡くしています。また、ツアーで訪れた南米で触れた、現地の内戦などでの犠牲者たち……こういった出来事から受けた死生観が、歌詞に落とし込まれている。それがアルバム全体を多く「明るくなりきれない」空気につながっているのではないでしょうか。

また、本作は当時としては破格のフル・デジタル・レコーディング作品。そんな触れ込みもあって、当時のCDとしてはかなり音が良かった記憶が。もちろん、現在はもっと音の良い作品は山ほどあるので、今となってはどうってことのないトピックですが。



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2018年8月22日 (水)

CHUCK BERRY『HAIL! HAIL! ROCK'N'ROLL』(1987)

1987年に制作・公開されたライブ/ドキュメンタリー映画『ヘイル!ヘイル!ロックンロール』のサウンドトラック的ポジションにあたる、チャック・ベリーのライブアルバム。ちゃんと音源を聴いたことがない人でも、チャック・ベリー=「Johnny B. Goode」の人、という構図は自然と浮かんでくるはず。僕もそのひとりで、さらに「ビートルズストーンズが初期にカバーした人」といった程度の知識で、実はこのアルバムを通して初めてチャック・ベリーという人にちゃんと触れ、映画(というかビデオ)で初めて動く姿を目にしたのでした。

この映画は、チャック60歳の誕生日をお祝いするライブイベントを、彼を敬愛するキース・リチャーズがプロデュースしていく流れが収められたもので、さてどんなレジェンドの一挙手一投足が見られるのか、と楽しみにしていると……その期待が木っ端微塵に打ち砕かれます。

なんだよ、ただの偏屈ジジイじゃねえか、と(笑)。

リハーサルにもちゃんと参加しない、キースがうまく進めようとするといちゃもんをつけるチャックの姿は、ダックウォークでギターをプレイする伝説的な姿とは真逆にあるもので、チャックの前ではあのキースも子供に見えてしまうのですから、本当に面白いものです。ぜひアルバムと同時に、この映画のほうもチェックしていただきたいです。良くも悪くも、ロック史に残る名ドキュメント作品ですので。

ですが、そんなチャックもライブ本番はきっちりこなすわけです。この、良い意味でのテキトーさが、長きにわたり愛され続けた所以……とは思いたくないですが、アルバムで聴けるロッククラシックの数々と、そのチャックを支えるキースを中心としたバンドたち(ドラムにスティーヴ・ジョーダン、キーボードにチャック・リーヴェルという布陣はアレサ・フランクリンのときと同じ)に加え、ゲストプレイヤーとしてエリック・クラプトン、ロバート・クレイ、ゲストボーカルでエタ・ジェイムズ、ジュリアン・レノン、リンダ・ロンシュタットが参加。リンダ・ロンシュタットの力強い歌声や、クラプトンらしいブルージーなギタープレイ、さらには父親ジョン・レノンそっくりな歌声で「Johnny B. Goode」を歌うジュリアンなど、聴きどころ満載です。

チャック・ベリーってどれから聴けばいいの?とお悩みのあなた。遺作となった『CHUCK』(2017年)でもベストアルバムでもいいですが、僕は単なる映画のサントラでは終わらない、ここでしか聴けない豪華なコラボ&名演が詰まった本作をオススメしたいと思います。後半の名リフ連発っぷりは、ただただアガりっぱなしですから。



▼CHUCK BERRY『HAIL! HAIL! ROCK'N'ROLL』
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2018年2月21日 (水)

BUDDY GUY『DAMN RIGHT, I'VE GOT THE BLUES』(1991)

昨日のジョニー・ウィンターと同時期によく聴いた1枚。そうですね、たぶんこの頃の僕は確実にブルースにかぶれていたんだと思います。そりゃそうか、1990年2月にROLLING STONES初来日公演に立会い、同年末にはエリック・クラプトンの武道館公演、翌1991年12月にはジョージ・ハリスン&クラプトンの東京ドーム公演に足を運んでいたのですから。あと、1990年にスティーヴィー・レイ・ヴォーンが亡くなったのを機に彼の音にも触れ始めたり、ロバート・ジョンソンの音源が初CD化されたからと手を伸ばしてみたり……若気の至りですね(苦笑)。

そんな中、1991年に発表されたバディ・ガイ通算7枚目のスタジオアルバム『DAMN RIGHT, I'VE GOT THE BLUES』にも手を出したわけですね、当時。THE STONE ROSESで知られるSilvertone Records移籍第1弾アルバムとなった本作は、初の全米トップ200入り(最高136位)を記録。翌年の第34回グラミー賞では最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞を受賞し、自身初のグラミー受賞を果たしたそうです(Wiki情報によると)。

さて、このアルバムですが、とにかくゲストが豪華なのですよ。前作から9年も間隔が空いたこともあり(その間、レーベル契約はなかったとのこと)、久しぶりの新作を祝すようにマーク・ノップラー(DIRE STRAITS)、ジェフ・ベック、エリック・クラプトンがゲストギタリストとして参加。ドラマーにはリッチー・ヘイワード(LITTLE FEAT)を起用するなど、全体的にロック色の強い骨太なブルースアルバムに仕上がっています。

自身の楽曲はもちろんのこと、ブルース/ソウルアーティストのスタンダートナンバー(「Five Long Years」や「Mustang Sally」「Early In The Morning」など)も積極的に取り上げられており、そういった点では親しみやすい内容かもしれません。僕もジェフ・ベックが参加した「Mustang Sally」を耳にしたのをきっかけに、本作を手にしたのですから。

クラプトンとベックがそれぞれ良い味を出しているし、個々のプレイの違いを聴き比べられるという点でも非常に興味深い1枚だと思います。そして、リッチー・ヘイワードのずっしりとしたドラミングも聴き応えがあり、そのへんもロックリスナーにはとっつきやすさにつながっているのではないでしょうか。

……なんて、本作の“おまけ”についてばかり書いてきましたが、本作のキモはもちろんバディ・ガイの歌とギタープレイ。特にボーカルワークに関しては特筆に値するものがあり、ヘタな若手ソウルシンガーを聴くよりも意味があるんじゃないかと思わせられるほど。ギタープレイにしても「There's Something On Your Mind」で聴けるあの絶妙なトーンは、とてもじゃないけど真似できないなと思ってしまいます。

そういえば、当時よくバンドで「Mustang Sally」を本作のアレンジでカバーしたっけ。そうですね、完全にかぶれまくってましたね……良い思い出です。

最近のバディ・ガイは、数年前にリリースした2枚組アルバム『RHYTHM & BLUES』(2013年)が全米27位にランクインし話題になったばかり。同作にはキッド・ロックやキース・アーバン、スティーヴン・タイラージョー・ペリー&ブラッド・ウィットフォード(AEROSMITH)、ゲイリー・クラーク・Jr.あたりもゲスト参加しているので、こちらもロックリスナーには親しみやすい作品集かもしれませんね。まあ、まずはこの『DAMN RIGHT, I'VE GOT THE BLUES』から入っていくことをオススメしますが。



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2018年2月19日 (月)

ERIC CLAPTON『JOURNEYMAN』(1989)

エリック・クラプトンが1989年11月に発表した、ソロ名義で通算11枚目のオリジナルアルバム。前2作を手がけたフィル・コリンズから、大御所ラス・タイトルマンにプロデューサーを変更して制作された最初のアルバムで、重厚なハードロックから彼のルーツであるブルース、さらにはAORにも通ずる大人の色香漂うモダンなポップロックまで、まるでそれまでのキャリアを総括するかのようにバラエティに富んだ、非常に聴き応えのある1枚に仕上がっています。

とはいえ本作はクラプトン単独書き下ろし曲が皆無で、大半が職業作家による楽曲やジョージ・ハリスン書き下ろし曲「Run So Far」(ジョージは同曲のレコーディングにも参加)、さらにはエルヴィス・プレスリー「Hound Dog」やレイ・チャールズ「Hard Times」といったスタンダード曲のカバー、ボ・ディドリー「Before You Accuse Me」のブルースカバーなどで締められています。そんな中でクラプトンはソングライティングにおいて、シングルカットもされたミック・ジョーンズ(FOREIGNER)との共作「Bad Love」、当時は若手ブルースギタリストとして頭角を現し始めていたロバート・クレイとの共作「Old Love」の2曲に携わったのみ。

じゃあクラプトン色が薄いのかといわれると、実はそんなこともなく。ギタープレイはもちろんのこと、ボーカルワークでも存在感の強さを証明しています。実際、本作はセールス的にも成功を収めており、「Bad Love」はここ日本でもCMソングに起用されて馴染み深い1曲となっています。

また、本作に収録された楽曲が過去のソロ曲やCREAM〜DEREK AND THE DOMINOS時代の名曲たちと混ざり合ったときの自然さときたら……本作に続いて発表されたライブアルバム『24 NIGHTS』(1991年)でもこの『JOURNEYMAN』からの楽曲が軸になっていることからも、本作はクラプトンの80年代後半以降における代表作のひとつになったことが伺えるのではないでしょうか。

他人が書いた曲とはいえ、重厚なハードロック「Pretending」やソウルフルなバラード「Running On Faith」、産業ロックテイストのミドルナンバー「No Alibis」は良曲と呼べるし、特に前2曲は当時のライブにおいても重要な役割を果たすキラーチューンだったと思います。また、フィル・コリンズがドラムで参加した疾走感の強い「Bad Love」、ライブでは終盤にエモーショナルなギターソロが長尺で展開される「Old Love」、のちの“アンプラグド”でおなじみとなる「Before You Accuse Me」と、印象深い楽曲が満載。「Hard Times」での“枯れ”感や「Lead Me On」で聴かせるアダルト感も、のちの「Tears In Heaven」や「Change The World」に通ずるものがあるのではないでしょうか。

クラプトンのソロ作というとどうしても70年代の諸作品をまず最初に挙げる傾向が強いですが、80年代育ちの自分としてはそこに本作も付け加えたいと思うくらい、大好きな1枚です。この当時のクラプトンを深く知りたければ、本作と先のライブ盤『24 NIGHTS』、そしてメガヒット作『UNPLUGGED』(1992年)の3作品を聴けば間違いないはずです。



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2018年2月18日 (日)

GEORGE HARRISON『CLOUD NINE』(1987)

ジョージ・ハリスンが1987年11月に発表した、通算11枚目のソロアルバム。本作からは「All Those Years Ago」(1981年/全米2位、全英13位)以来となるヒットシングル「Got My Mind Set On You」(全米1位、全英2位)、「When We Was Fab」(全米23位、全英25位)が生まれ、アルバム自体も全米8位、全英10位のヒット作となりました。特にアメリカではセールス100万枚を突破し、これは1970年の大作『ALL THINGS MUST PASS』に次ぐ記録となります。

アルバムとしては前作『GONE TROPPO』(1982年)から5年もの間隔が空いていますが、実際その当時のジョージは音楽業界からなかば引退状態にあったとのこと。ですが80年代後半からマドンナ主演映画『上海サプライズ』への楽曲提供をはじめ、1988年にジェフ・リン、ボブ・ディラン、トム・ペティ、ロイ・オービソンと覆面バンドTRAVELING WILBURYSを始動させたあたりから音楽活動が本格化。TRAVELING WILBURYSで活動をともにしたジェフ・リンをプロデューサーに迎え、新たなソロアルバムを制作することになるのでした。

本作は僕が積極的に洋楽を聴き初めてから初めてのジョージのソロアルバム。リアルタイムで亡くなった報道と立ち会ったジョン・レノンや、大きなヒットこそなかったものの常に新作を提供し続けたポール・マッカートニーと比べ、どうしても影の薄い“FAB 4”のひとりがジョージでした(あれ、もうひとりは……)。

そんなですから、初めて「Got My Mind Set On You」を聴いたときは、正直グッときたことを覚えています。いや、別にビートルズをリアルタイムで聴いてきた世代でもないですし、70年代のジョージの活躍も知らない世代でもない、完全な後追いの小僧ですよ。だけど、そんな僕でも「ああ、ジョージが帰ってきた!」なんて思ってしまうほど、この極上のポップチューンは当時16歳だった自分の胸に響きまくったわけです。

アルバム自体もブルージーな「Cloud 9」やビートルズ時代を彷彿とさせるアレンジの「This Is Love」「When We Was Fab」「Someplace Else」があったり、ゲストプレイヤーとしてエリック・クラプトンやエルトン・ジョン、リンゴ・スターなどが参加していたりと、とにかく豪華。いわゆる“パブリックイメージとしてのジョージ・ハリスン”と“にわかファンがなんとなく思い浮かべる「ビートルズのジョージ」”を見事に具現化したサウンド&アレンジには、さすがジェフ・リン!と思わずにはいられません。ホント、この人が舵取りをしなかったらこんなアルバムにはならなかったんでしょうね。

まあ、そのへんもあって本作が旧来のファンからは叩かれる対象になっているのも理解できます。が、本作がジョージ生前最後のオリジナルアルバムとなってしまった今となっては、そんな物言いはどうでもよく。やっぱり誰がなんと言おうと、よくできたポップ/ロックアルバムだと思うのです。

それ以前の作品と比較すれば、確かにジョージのカラーは若干薄めです。が、本作がなかったらのちの「Free As A Bird」も「Real Love」もなかったんだろうなと考えると、やはり彼のキャリア上重要な1枚であることには間違いありません。

まあとにかく、一度はそういった雑音をシャットアウトして、本作と向き合ってみることをオススメします。高1の秋、自分が初めてこのアルバムと向き合ったときみたいに。



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2017年11月17日 (金)

RICHIE SAMBORA『STRANGER IN THIS TOWN』(1991)

『NEW JERSEY』(1988年)リリース後の2年近くにわたるワールドツアーを終えたBON JOVIは、そのまま長いオフ期間に突入。1990年8月にはジョン・ボン・ジョヴィが初のソロアルバム『BLAZE OF GROLY』を発表したことで、ファンは「ああ、しばらく活動再開はないかな?」と残念に感じたのではないでしょうか。それと前後して、相方のリッチー・サンボラ(G)は映画『フォード・フェアレーンの冒険』サウンドトラックに、初のソロトラック「The Wind Cries Mary」(ジミ・ヘンドリクス「風の中のマリー」のカバー)を提供。さらにそのまま本格的なソロ活動へと移行していき、1991年9月に1stソロアルバム『STRANGER IN THIS TOWN』を発表します。

同作は、アーシーでカントリー寄りの方向性だったジョンのソロとは異なり、『NEW JERSEY』でのブルージーなハードロックをよりモダンに、かつダークに仕上げた内容。リッチーはソングライティングやギターのみならず、ボーカリストとしても大活躍しています。もともとBON JOVIのライブでシンガーとしての力量を遺憾なく発揮してきた彼だけに、いわゆる“ギタリストのソロアルバム”ではなく“シンガーソングライターのソロアルバム”になったのは頷ける話です。

レコーディングにはBON JOVIのメンバーであるデヴィッド・ブライアン(Key)とティコ・トーレス(Dr)に加え、KING CRIMSONなどで知られるジョン・レヴィンやランディ・ジャクソンなどのベーシスト、さらに1曲のみエリック・クラプトンがギターで参加。楽曲は先にも書いたようにリッチーがメインで書き、曲によってデズモンド・チャイルドなどの職業ライターが加わっており、そのへんもパーソナルな仕上がりだったジョンのソロと比較してよりBON JOVI寄りと言えるでしょう。

なので、『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)から『KEEP THE FAITH』(1992年)あたりまでのBON JOVIが好きなリスナーなら間違いなく気に入る内容だと思います。だって、中には『NEW JERSEY』のアウトテイク「Rosie」まで含まれているんですから。

もともと、リッチーはそこまで癖や個性が強いギタリストというイメージがあまりなく、曲に合った印象的なソロプレイ(というかフレーズ)を残してきた人。あくまで“曲ありき”のプレイヤーだと思うので、こういった楽曲がしっかり作り込まれたアルバムでこそ彼の魅力が光るんじゃないかと思うのです。そういう意味では、ソロデビュー作がこういう内容になったのは正解だったのかなと。ただし、シンガーとしては……ここまでめいっぱい歌っているのを聴いて思ったのは、うまいけどジョンのように強烈な個性はないかなと。やっぱりこの人は、強いフロントマンの隣に立ってこそ自らの魅力を発揮させるギタリストなんだと思いました。だからこそ、今の状況は残念でならないのですが……。

のちにBON JOVIのライブでも披露されてきた「Stranger In This Town」やシングルカットもされた「Ballad Of Youth」、クラプトンが参加した「Mr. Bluesman」、アコースティックバラードの名曲「The Answer」など、とにかく楽曲の出来は文句なし。ジョンの『BLAZE OF GLORY』との比較含め、ぜひあわせて聴いてもらいたい1枚です。



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2017年9月 1日 (金)

CREAM『FRESH CREAM』(1966)

ジャック・ブルース(Vo, B)、エリック・クラプトン(G, Vo)、ジンジャー・ベイカー(Dr, Vo)による伝説的スーパートリオCREAMが1966年に発表した記念すべきデビューアルバム。気づけばもう51年も前の作品なんですね……古典も古典だろ。そりゃ自分も年取るわけだ。

自分が洋楽ロックを聴き始めた頃はすでにクラプトンがソロキャリアを謳歌している時期で、CREAMをちゃんと聴くようになったのは20歳を過ぎてからしばらく経って。それ以前はクラプトンのライブアルバム『24 NIGHTS』(1991年)で「Sunshine Of Your Love」「White Room」を聴いていたので、あとからCREAMを聴いたときはそれらの代表曲をジャック・ブルースが歌っていた事実に驚かされ、しばらく違和感が残ったものです。

もっと言えば、80年代育ちの自分にはやはり60年代録音のハードなロックというのはどうにも馴染めず、CREAMや THE WHOの初期音源になれるまでにはちょっと時間がかかったものです。

そんな余談はさておき。本作はオリジナル曲とブルースのカバー曲が半々といった内容。すでに「Spoonful」「Rollin' And Tumblin'」などといった代表的カバーがここで登場しており、この2曲だけ聴いても彼らが何をやろうとしているのかが理解できるはずです。

逆に、現行の仕様だと1曲目にシングル曲「I Feel Free」が追加されたことで、なんとなくバンドがやりたいことがぼやけてしまうような。この曲はこの曲で嫌いではないので、ちょっと勿体ないと思うのです。

あと、このバンドはやっぱりライブでこそ力量を発揮するバンドであって、1曲2〜3分という当時の7インチアナログやラジオを意識した長さでは良さをすべて表現しきれないのではないかとも思いました。だって、自分がCREAMを聴くときってスタジオアルバムよりもライブ作品を聴く頻度が高いですし。まぁそういった先人たちの苦労があったからこそ、70年前後に誕生したLED ZEPPELINやハードロック化したDEEP PURPLEはそこを乗り越えたスタジオ作品にたどり着けたわけですものね。

オリジナル曲も悪くないんだけど、個人的にはカバー曲でのアレンジの仕方や演奏に耳が行ってしまうアルバム。もしくはアルバムラストのインスト「Toad」とかね。飛び抜けた曲という意味では、次作で誕生する「Sunshine Of Your Love」まで待たなくちゃいけないのかな。そういうところもツェッペリンに似ているような(いや逆。ツェッペリンががCREAMに似てるのか)。



▼CREAM『FRESH CREAM』
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2003年12月 8日 (月)

THE PLASTIC ONO BAND『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』(1969)

ジョン・レノンが当時まだTHE BEATLESに在籍中にも関わらず、妻であるオノ・ヨーコと結成したバンド、THE PLASTIC ONO BANDが初めてライヴらしいライヴを行った1969年9月13日、トロントでのイベント出演時のライヴを収録したのが、このアルバム『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』。この日のライヴ、出演自体が前日決定で、リハーサルもトロントへ向かう飛行機の中で行ったのみという、正にぶっつけ本番・即興的なもの。この日の参加メンバーも即的的なもので、ジョンとヨーコ以外はエリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、アラン・ホワイトといった気心知れた面々。まぁクラプトンは前年、一緒にセッションしたことがあったし、BEATLESの『THE BEATLES (WHITE ALBUM)』でのジョージ・ハリスンの曲に参加してたので、全然面識がなかったわけじゃないんですが、それでもたった一度、しかも飛行機の中でチェックしたのみですよ‥‥

聴き方によっては常に緊張感が漲ってるようにも聞こえるし、またユルユルでダラダラしすぎとも聞こえるんですよね。とてもダルでルーズなロックンロール中心のセットリストなのも関係あるんでしょうけど。選曲に関してはロックンロールのスタンダードナンバーとジョンの曲が半々で、プレスリーのカバーで有名な「Blue Suede Shoes」、BEATLESでもカバーしてた「Money」と「Dizzy Miss Lizzy」といった有名曲に並んで、後期BEATLESの名ブルーズ「Yer Blues」、当時の最新シングル「Give Peace A Chance」、出来たてホヤホヤの「Cold Turkey」という如何にもジョンといった選曲が成されています。

個人的にはこのアルバム、BEATLESのライヴ活動停止後、ジョンが初めて公の場でライヴらしいライヴを行ったという歴史的価値よりも、そしてジョンとクラプトンのコラボレートよりも、ジョン・レノンというギタリスト、彼のカッティングの味わい深さを存分に堪能できる1枚だと認識しています。BEATLES時代、特に初期から彼のコードストロークやカッティングには定評があった(と思う)し、いざ真似しようと思っても簡単そうでいて実は難しいということを、ギターでコピーしようとした時に初めて気づかされたんですね。で、特にこのライヴ盤ではそれが顕著に表れていて、俺的にはクラプトンよりも全然目立ってると思うし、改めて彼のリズム感だとかカッティングのタイミングみたいなものの絶妙さに驚かされます。

勿論、それ以外にも久し振りにロックンローラー然としたジョンを存分に堪能できるし(その後リリースされたライヴ盤は、ちょっと大人になってしまったジョンというイメージが強いんで)、あのヨーコの微妙な歌声も味わうことができます。

そうそう。アナログ盤でいうところのB面‥‥ラスト2曲がヨーコ作のソロナンバーなんですが‥‥まぁ一応THE PLASTIC ONO BANDですから、ジョンだけがメインというわけではなくてヨーコもメインを担っているわけですよ。その曲「Don't Worry Kyoko (Mummy's Only Looking For Her Hand In The Snow)」と「John, John (Let's Hope For Peace)」は、ヨーコによる絶叫にも近いうめき声?のバックでバンドがセッションするといった、正に前衛音楽の世界。実際、この頃のヨーコの音楽って殆どそんな感じだったし、更にそれにジョンが影響を受けてしまってたんですから、余計にたちが悪い。けど……実はこれが初めてCD化された1995年頃に聴いた時は「正直、厳しいなぁ」と思ってたんですが、あれから8年以上経った今聴いてみると……別にどうってことないんですよね。どういうわけか。単純に自分がこの手の音楽に慣れてしまっていることもあると思うんですが(これ聴いた後にBOREDOMSなんて聴いたら完全にノイズだしね!)、バックのサウンドが普通に「ロックンロールしてる」ことが大きく影響してるんじゃないですかね。それに改めて気づいただけでも大きな収穫だったと思います。

俺は物心ついてからジョンの新曲やライヴを体験することに間に合わなかったけど、それでもこうやって何度も同じアルバムを聴く度に新しい発見が出来るというのは、ある意味幸せだと思うし、そしてそういう面からもジョンってやっぱり凄かったんだなぁと再認識するわけですよ。もっとロックンロールする彼が観たかった/聴きたかったなぁ……彼が生きた年月を追い越すまでにあと7年ちょっと。もう少しマトモな人間になりたいと思います。



▼THE PLASTIC ONO BAND『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』
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