2017/11/17

RICHIE SAMBORA『STRANGER IN THIS TOWN』(1991)

『NEW JERSEY』(1988年)リリース後の2年近くにわたるワールドツアーを終えたBON JOVIは、そのまま長いオフ期間に突入。1990年8月にはジョン・ボン・ジョヴィが初のソロアルバム『BLAZE OF GROLY』を発表したことで、ファンは「ああ、しばらく活動再開はないかな?」と残念に感じたのではないでしょうか。それと前後して、相方のリッチー・サンボラ(G)は映画『フォード・フェアレーンの冒険』サウンドトラックに、初のソロトラック「The Wind Cries Mary」(ジミ・ヘンドリクス「風の中のマリー」のカバー)を提供。さらにそのまま本格的なソロ活動へと移行していき、1991年9月に1stソロアルバム『STRANGER IN THIS TOWN』を発表します。

同作は、アーシーでカントリー寄りの方向性だったジョンのソロとは異なり、『NEW JERSEY』でのブルージーなハードロックをよりモダンに、かつダークに仕上げた内容。リッチーはソングライティングやギターのみならず、ボーカリストとしても大活躍しています。もともとBON JOVIのライブでシンガーとしての力量を遺憾なく発揮してきた彼だけに、いわゆる“ギタリストのソロアルバム”ではなく“シンガーソングライターのソロアルバム”になったのは頷ける話です。

レコーディングにはBON JOVIのメンバーであるデヴィッド・ブライアン(Key)とティコ・トーレス(Dr)に加え、KING CRIMSONなどで知られるジョン・レヴィンやランディ・ジャクソンなどのベーシスト、さらに1曲のみエリック・クラプトンがギターで参加。楽曲は先にも書いたようにリッチーがメインで書き、曲によってデズモンド・チャイルドなどの職業ライターが加わっており、そのへんもパーソナルな仕上がりだったジョンのソロと比較してよりBON JOVI寄りと言えるでしょう。

なので、『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)から『KEEP THE FAITH』(1992年)あたりまでのBON JOVIが好きなリスナーなら間違いなく気に入る内容だと思います。だって、中には『NEW JERSEY』のアウトテイク「Rosie」まで含まれているんですから。

もともと、リッチーはそこまで癖や個性が強いギタリストというイメージがあまりなく、曲に合った印象的なソロプレイ(というかフレーズ)を残してきた人。あくまで“曲ありき”のプレイヤーだと思うので、こういった楽曲がしっかり作り込まれたアルバムでこそ彼の魅力が光るんじゃないかと思うのです。そういう意味では、ソロデビュー作がこういう内容になったのは正解だったのかなと。ただし、シンガーとしては……ここまでめいっぱい歌っているのを聴いて思ったのは、うまいけどジョンのように強烈な個性はないかなと。やっぱりこの人は、強いフロントマンの隣に立ってこそ自らの魅力を発揮させるギタリストなんだと思いました。だからこそ、今の状況は残念でならないのですが……。

のちにBON JOVIのライブでも披露されてきた「Stranger In This Town」やシングルカットもされた「Ballad Of Youth」、クラプトンが参加した「Mr. Bluesman」、アコースティックバラードの名曲「The Answer」など、とにかく楽曲の出来は文句なし。ジョンの『BLAZE OF GLORY』との比較含め、ぜひあわせて聴いてもらいたい1枚です。



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投稿: 2017 11 17 12:00 午前 [1991年の作品, Bon Jovi, Eric Clapton, Richie Sambora] | 固定リンク

2017/09/01

CREAM『FRESH CREAM』(1966)

ジャック・ブルース(Vo, B)、エリック・クラプトン(G, Vo)、ジンジャー・ベイカー(Dr, Vo)による伝説的スーパートリオCREAMが1966年に発表した記念すべきデビューアルバム。気づけばもう51年も前の作品なんですね……古典も古典だろ。そりゃ自分も年取るわけだ。

自分が洋楽ロックを聴き始めた頃はすでにクラプトンがソロキャリアを謳歌している時期で、CREAMをちゃんと聴くようになったのは20歳を過ぎてからしばらく経って。それ以前はクラプトンのライブアルバム『24 NIGHTS』(1991年)で「Sunshine Of Your Love」「White Room」を聴いていたので、あとからCREAMを聴いたときはそれらの代表曲をジャック・ブルースが歌っていた事実に驚かされ、しばらく違和感が残ったものです。

もっと言えば、80年代育ちの自分にはやはり60年代録音のハードなロックというのはどうにも馴染めず、CREAMや THE WHOの初期音源になれるまでにはちょっと時間がかかったものです。

そんな余談はさておき。本作はオリジナル曲とブルースのカバー曲が半々といった内容。すでに「Spoonful」「Rollin' And Tumblin'」などといった代表的カバーがここで登場しており、この2曲だけ聴いても彼らが何をやろうとしているのかが理解できるはずです。

逆に、現行の仕様だと1曲目にシングル曲「I Feel Free」が追加されたことで、なんとなくバンドがやりたいことがぼやけてしまうような。この曲はこの曲で嫌いではないので、ちょっと勿体ないと思うのです。

あと、このバンドはやっぱりライブでこそ力量を発揮するバンドであって、1曲2〜3分という当時の7インチアナログやラジオを意識した長さでは良さをすべて表現しきれないのではないかとも思いました。だって、自分がCREAMを聴くときってスタジオアルバムよりもライブ作品を聴く頻度が高いですし。まぁそういった先人たちの苦労があったからこそ、70年前後に誕生したLED ZEPPELINやハードロック化したDEEP PURPLEはそこを乗り越えたスタジオ作品にたどり着けたわけですものね。

オリジナル曲も悪くないんだけど、個人的にはカバー曲でのアレンジの仕方や演奏に耳が行ってしまうアルバム。もしくはアルバムラストのインスト「Toad」とかね。飛び抜けた曲という意味では、次作で誕生する「Sunshine Of Your Love」まで待たなくちゃいけないのかな。そういうところもツェッペリンに似ているような(いや逆。ツェッペリンががCREAMに似てるのか)。



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投稿: 2017 09 01 12:00 午前 [1966年の作品, Cream, Eric Clapton] | 固定リンク

2003/12/08

THE PLASTIC ONO BAND『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』(1969)

ジョン・レノンが当時まだTHE BEATLESに在籍中にも関わらず、妻であるオノ・ヨーコと結成したバンド、THE PLASTIC ONO BANDが初めてライヴらしいライヴを行った1969年9月13日、トロントでのイベント出演時のライヴを収録したのが、このアルバム『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』。この日のライヴ、出演自体が前日決定で、リハーサルもトロントへ向かう飛行機の中で行ったのみという、正にぶっつけ本番・即興的なもの。この日の参加メンバーも即的的なもので、ジョンとヨーコ以外はエリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、アラン・ホワイトといった気心知れた面々。まぁクラプトンは前年、一緒にセッションしたことがあったし、BEATLESの『THE BEATLES (WHITE ALBUM)』でのジョージ・ハリスンの曲に参加してたので、全然面識がなかったわけじゃないんですが、それでもたった一度、しかも飛行機の中でチェックしたのみですよ‥‥

聴き方によっては常に緊張感が漲ってるようにも聞こえるし、またユルユルでダラダラしすぎとも聞こえるんですよね。とてもダルでルーズなロックンロール中心のセットリストなのも関係あるんでしょうけど。選曲に関してはロックンロールのスタンダードナンバーとジョンの曲が半々で、プレスリーのカバーで有名な「Blue Suede Shoes」、BEATLESでもカバーしてた「Money」と「Dizzy Miss Lizzy」といった有名曲に並んで、後期BEATLESの名ブルーズ「Yer Blues」、当時の最新シングル「Give Peace A Chance」、出来たてホヤホヤの「Cold Turkey」という如何にもジョンといった選曲が成されています。

個人的にはこのアルバム、BEATLESのライヴ活動停止後、ジョンが初めて公の場でライヴらしいライヴを行ったという歴史的価値よりも、そしてジョンとクラプトンのコラボレートよりも、ジョン・レノンというギタリスト、彼のカッティングの味わい深さを存分に堪能できる1枚だと認識しています。BEATLES時代、特に初期から彼のコードストロークやカッティングには定評があった(と思う)し、いざ真似しようと思っても簡単そうでいて実は難しいということを、ギターでコピーしようとした時に初めて気づかされたんですね。で、特にこのライヴ盤ではそれが顕著に表れていて、俺的にはクラプトンよりも全然目立ってると思うし、改めて彼のリズム感だとかカッティングのタイミングみたいなものの絶妙さに驚かされます。

勿論、それ以外にも久し振りにロックンローラー然としたジョンを存分に堪能できるし(その後リリースされたライヴ盤は、ちょっと大人になってしまったジョンというイメージが強いんで)、あのヨーコの微妙な歌声も味わうことができます。

そうそう。アナログ盤でいうところのB面‥‥ラスト2曲がヨーコ作のソロナンバーなんですが‥‥まぁ一応THE PLASTIC ONO BANDですから、ジョンだけがメインというわけではなくてヨーコもメインを担っているわけですよ。その曲「Don't Worry Kyoko (Mummy's Only Looking For Her Hand In The Snow)」と「John, John (Let's Hope For Peace)」は、ヨーコによる絶叫にも近いうめき声?のバックでバンドがセッションするといった、正に前衛音楽の世界。実際、この頃のヨーコの音楽って殆どそんな感じだったし、更にそれにジョンが影響を受けてしまってたんですから、余計にたちが悪い。けど……実はこれが初めてCD化された1995年頃に聴いた時は「正直、厳しいなぁ」と思ってたんですが、あれから8年以上経った今聴いてみると……別にどうってことないんですよね。どういうわけか。単純に自分がこの手の音楽に慣れてしまっていることもあると思うんですが(これ聴いた後にBOREDOMSなんて聴いたら完全にノイズだしね!)、バックのサウンドが普通に「ロックンロールしてる」ことが大きく影響してるんじゃないですかね。それに改めて気づいただけでも大きな収穫だったと思います。

俺は物心ついてからジョンの新曲やライヴを体験することに間に合わなかったけど、それでもこうやって何度も同じアルバムを聴く度に新しい発見が出来るというのは、ある意味幸せだと思うし、そしてそういう面からもジョンってやっぱり凄かったんだなぁと再認識するわけですよ。もっとロックンロールする彼が観たかった/聴きたかったなぁ……彼が生きた年月を追い越すまでにあと7年ちょっと。もう少しマトモな人間になりたいと思います。



▼THE PLASTIC ONO BAND『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』
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投稿: 2003 12 08 03:20 午前 [1969年の作品, Eric Clapton, John Lennon] | 固定リンク