GHØSTKID『GHØSTKID』(2020)
2020年11月13日にリリースされたGHØSTKIDの1stアルバム。日本盤未発売。
GHØSTKIDはESKIMO CALLBOYのメンバーだったセバスチャン“Sushi”ビースラー(Vo)が最新作『REHAB』(2019年)を最後に脱退(2020年2月)したのをきっかけに結成された4人組メタルコアバンド。メンバーには同郷ドイツのメタルバンドTO THE RATS AND WOLVESのメンバーやスウェーデン人ドラマーなどを含み、ESKIMO CALLBOY時代の延長線上にあるエレクトロニコアをベースに、いわゆるオチャラケたイメージを排除したインダストリアルメタル調のストロングスタイルを楽しむことができる、まさに“今”の音に仕上げられています。
パーティロック路線皆無のシリアルな路線は、ダークでゴシック調の作風はBRING ME THE HORIZONの『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)以降の流れを組むものとあって、個人的には大歓迎。Sushiのボーカルはスクリームを多用しつつもしっかり歌メロを聴かせるスタンスで、そこも含めてとっつきやすさが強いのではないでしょうか。
また、ドイツ人ラッパーのティミ・ヘンドリクスをフィーチャーした「This is Nøt Høllywøød」、メタルコアバンドHEAVEN SHALL BURNからマルクス・ビスコフ(Vo)をゲストに迎えた「Supernøva」、大御所メタルバンドKREATORからミレ・ペトロッツァがボーカルで参加した「Crøwn」など同郷からの豪華ゲストも多数参加しており、Sushiの新たな門出を祝福しています。特に「This is Nøt Høllywøød」に関してはHOLLYWOOD UNDEADのジョニー3ティアーズ(MC)をフィーチャーした別バージョンも用意。こちらは“Hollywoodつながり”で選ばれたのでしょうか。意外なようだけど共通項も少なくない2組だけに、このバージョンもなかなかだと思います。
1曲1曲の完成度やアルバムとしてのまとまりも非常に高く、デビュー作にしては上出来すぎだと思います。ただ、その出来過ぎ感が鼻につく部分もあり、伸び代という部分があまり見つけられない気がします。言い方を変えれば、全体の雰囲気が「○○っぽい」とか「○○の流れを汲む」と表現できるものの、GHØSTKIDらしい絶対的な個性が見つけられない。半年後、1年後に強く記憶に残るアルバムかと言われると、ちょっと反応に困ってしまう1枚でもあるのかな。その点を次のアルバムで打破して初めて、GHØSTKIDが真の意味でのデビューを飾ることになるんじゃないか。そんな気がしています。
厳しいことを書きましたが、それもこれも非常に高クオリティなアルバムだからこそ。ひとまずしばらく聴き倒してみますが、本作の真の評価は2ndアルバムが出てからなんじゃないでしょうか。なんにせよ、今後の動向に注目しつつ、気が早すぎますが次作を期待して待ちたいと思います。
▼GHØSTKID『GHØSTKID』
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