2017/01/27

EUROPE『OUT OF THIS WORLD』(1988)

1986年に発表した3rdアルバム『THE FINAL COUNTDOWN』が本国スウェーデンや日本のみならず全米8位、全英9位というワールドワイドなヒット作となったEUROPE。同作リリース後にはオリジナルギタリストのジョン・ノーラム脱退という波乱もありましたが、後任キー・マルセロの活躍によりワールドツアーを完遂します。

そういう流れを経て、キー・マルセロを迎えて制作された初のアルバム『OUT OF THIS WORLD』が1988年8月にリリース。チャート的には全米19位、全英12位と前作には及びませんでしたが、アメリカではミリオンを突破するヒット作になっております。またシングルカットされた「Superstitious」も全米31位のヒット曲に。辛うじて次作へ望みをつなぐことに成功した、と言えるでしょう。

数字的には代表作『THE FINAL COUNTDOWN』を下回る『OUT OF THIS WORLD』ですが、そんなに出来の悪いアルバムなのでしょうか? 確かにリリース当時の評価はあまりよろしくありませんでしたが、今聴き返してみると……そんなに悪い作品だとは思えないんですよね。

EUROPEというバンドの歴史を考えれば、1stアルバムからここにたどり着いたことはファン的に望まない結果だったのかもしれません。しかし『THE FINAL COUNTDOWN』を起点に考えると、『OUT OF THIS WORLD』という作品は“全体的により洗練され、1曲1曲の作り込み度が増した、美メロ満載のアルバム”と呼ぶことができるはずです。

シンセとギターが軸足になっているように見えますが、実はこのアルバムの芯の部分はジョーイ・テンペストによる歌。だからキー・マルセロもギターを弾きすぎていないし、ソロも必要最低限の長さといった印象です。リズム隊も曲の地盤をしっかり固め、シンセは曲の彩りをより鮮やかにしている。バラードにしても、前作での「Carrie」と比較すると本作の「Coast To Coast」は劇的なアレンジが付けられています。「Ready Or Not」なんて、ギターのバッキングがクリーントーンのアルペジオと歪み系パワーコードが交互に登場する。もっともわかりやすいのは、2ndアルバム『WINGS OF TOMORROW』収録の「Open Your Heart」をリアレンジして再収録したバージョンでしょう。2ndアルバムにあったシンプルさ、いなたさは消え、当時主流だったパワーバラードに生まれ変わっているのですから(だからこそ、若干のシンプルさが残っているラストナンバー「Tomorrow」を聴くとホッとするのですが)。バンドがあの頃、どこを目指していたかがこの1曲から存分に感じられるはずです。

バンドの試みは世の中的には受け入れられなかったかもしれませんが、あれから30年近く経った現在は時代が何周もして、我々も素直に受け入れられる態勢になってのではないでしょうか。シンセの音色にこそ時代感が表れていますが、今こそ余計な情報や偏見を捨てて楽しんでほしい1枚です。



▼EUROPE『OUT OF THIS WORLD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 27 12:00 午前 [1988年の作品, Europe] | 固定リンク

2017/01/08

個人的に気になるメタル系職業作家15選

先日KIX『BLOW MY FUSE』を紹介した際、知人が文中に登場したテイラー・ローズやボブ・ハリガンJr.といった職業作家に興味を持ったらしく、「デズモンド・チャイルドやホリー・ナイトあたりは調べたことあるんですが、メタル職業作家の存在すごく気になります」というコメントをいただきました。

実際、80年代後半以降、特にBON JOVIやAEROSMITHの大ヒット以降こういった職業作家の存在はメタル系アーティストにとっても欠かせない存在になっています。90年代に入ると、SCORPIONSやオジー・オズボーンといった大御所ですら採用し始めるわけですからね。それまでバンドの力だけですべてをまかなおうとしていたところ、「もっといい曲を!」というバンド自身の姿勢から積極的に、もしくはレコード会社からの圧力からイヤイヤこういったアクションに行動を移すようになったのかもしれません。

また、職業作家の楽曲をアーティストが取り上げるケースには幾つかのパターンがあり、


①作家が以前発表した楽曲をカバー。
②作家とアーティストが共作(アーティストが書いた楽曲をテコ入れする、あるいは逆のケース)。
③プロデューサーとして制作に加わり、楽曲制作にも携わる。
④作家が書いた新曲をそのまま取り上げる。


の4つが考えられるかと。現在のメタルシーンでは多くの場合②が主流だと思いますが、まれに③で大ヒットを飛ばすケースも見受けられます(AEROSMITHの「I Don't Want To Miss A Thing」など)。

そこで今回は、CDのブックレットでよく目にする作家さんをピックアップしつつ、その中から個人的にピンとくる方々をここで紹介。作家の特性を上記の①〜④で分類し、代表曲な楽曲を紹介していきたいと思います。


<70年代〜>

●ラス・バラード(特性:①②)
この人の場合は楽曲提供というよりも、彼が自身のバンドや他のアーティストに提供した曲をメタル系アーティストがカバーしたことにより、その名が知られるようになったと言ったほうがいいかもしれません。きっかけはグラハム・ボネット期のRAINBOWがカバーした「Since You Been Gone」ですよね。RAINBOWは続くジョー・リン・ターナー期にも「I Surrender」をカバーしてますし。そのRAINBOWの数年前に、当時KISSのエース・フレーリーもラス・バラッド作「New York Groove」をカバーして全米トップ20入りのヒットを記録。KISS自身も90年代に「God Gave Rock And Roll To You」を「God Gave Rock And Roll To You II」と改題してカバーしてますしね。それと今回いろいろ調べて初めて気づいたのですが、NIGHT RANGERが最初の解散前に発表したアルバム『MAN IN MOTION』からのリード曲「I Did It For Love」もラス・バラッド作。加えて、これも全然気にしてなかったんですが、BAD ENGLISHのラストアルバム『BACKLASH』収録曲「So This Is Eden」はジョン・ウェイト(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)との共作曲。時代的に90年代に入ってからの作品なので、世の中的に職業作家との共作が当たり前になった時期にそれまでのカバーとは違った形でのコラボレーションが実現したわけです。

代表作品:ACE FREHLEY「New York Groove」「Into the Night」、BAD ENGLISH「So This Is Eden」、GRAHAM BONNET「Liar」「S.O.S.」、KING KOBRA「Dream On」、KISS「God Gave Rock And Roll To You」、NIGHT RANGER「I Did It For Love」、PETER CRISS「Let Me Rock You」「Some Kinda Hurricane」、RAINBOW「Since You Been Gone」「I Surrender」


●リチャード(リッチー)・スパ(特性:①②④)
AEROSMITH「Chip Away The Stone」の作者として知られる彼は、もともとソングライター兼ギタリストとして活動していたアーティスト。ソロアーティストとして70年代にアルバムも発表しており、この中からジョニー・ウィンターが「Stone County Wanted Man」をカバーしています。また、エアロにはその後も楽曲提供を幾つかしているだけでなく、ジョー・ペリーが脱退した際にはレコーディングにも参加(1979年のアルバム『NIGHT IN THE RUTS』収録の「No Surprize」「Mia」)。それ以外に目立った共演は、元BON JOVIのリッチー・サンボラの2ndソロアルバム『UNDISCOVERD SOUL』での共作ぐらい。メタル系以外では、P!NKやMIKAといったアーティストにも楽曲提供しています。

代表作品:AEROSMITH「Chip Away The Stone」「Lightning Strikes」「Amazing」「Pink」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、RICHIE SAMBRA「Hard Times Come Easy」


<80年代〜>

●ジム・ヴァランス(特性:②)
この人はブライアン・アダムスとの共作者としての印象が強いですが、そのブライアンと一緒に書いた2曲がKISS『CREATURES OF THE NIGHT』に収録されたのが、メタル系との最初の接触でしょうか。その後、80年代半ばにはHEART「What About Love」の全米ヒットを皮切りに、AEROSMITH「Rag Doll」を機にエアロとの仕事が増えていきます。ちょうど80年代後半になると、ブライアンとジムの関係も一時的に疎遠になり、メタルのみならず幅広いジャンルのアーティストと共作を重ねていきます。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」「Eat The Rich」、ALICE COOPER「Die For You」「Lullaby」、HEART「What About Love」、KISS「War Machine」、OZZY OSBOURNE「I Just Want You」、SCORPIONS「Tease Me Please Me」


●デズモンド・チャイルド(特性:②③④)
BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」でのイメージが強い彼ですが、実は70年代末にKISS「I Was Made For Lovin' You」をポール・スタンレー、ヴィニ・ポンシア(KISS作品でのコラボレーションが有名なソングライター)と共作しています。なので、上の世代の方々はBON JOVIがヒットした際に「KISSのラヴィン・ユー・ベイビーの人」と思ったかもしれません。BON JOVIでの大成功後、AEROSMITH、アリス・クーパーから引っ張りだこ。そのすべての楽曲がヒットにつながっています。興味深いところではRATTの5thアルバム『DETONATOR』のプロデュースおよび楽曲制作、DREAM THEATERへの楽曲提供といったものもあります。また、HR/HM以外にもジョーン・ジェット「I Hate Myself for Loving You」、リッキー・マーティン「Livin' la Vida Loca」、ZEDD「Beautiful Now」、WEEZER「Trainwrecks」といったところでも名前をみかけます。

代表作品:AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」「Crazy」、ALICE COOPER「Poison」、BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」「Bad Medecine」、DREAM THEATER「You Not Me」、KISS「I Was Made For Lovin' You」「Heaven's On Fire」、MEAT LOAF「The Monster Is Loose」、RATT「Shame Shame Shame」「Lovin' You's A Dirty Job」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ダイアン・ウォーレン(特性:②④)
カナダ出身の女性ソングライターで、80年代前半から作家としての活動を開始。最初にヒット曲はローラ・ブラニガン「Solitaire」でした。メタル系では80年代後半、HEART「Who Will You Run To」、BON JOVI「Wild Is The Wind」あたりで最初に名前を目にするようになったと記憶しています。が、メタルシーン彼女の名が本当の意味で知られるようになるのは、その10数年後に発表された映画『アルマゲドン』のテーマソングであるAEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」でのこと。このインパクトは強かったと思います。しかし、非メタルシーンではホイットニー・ヒューストン、ビヨンセ、マライア・キャリーといったアーティストへの楽曲提供ですでにキャリアを積んでおり、中でも「Because You Loved Me」をはじめとするセリーヌ・ディオンとのヒットは「I Don't Want To Miss A Thing」と同じくらい大きなものでした。

代表作品:AEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」「We All Fall Down」、ALICE COOPER「Bed Of Nails」、BON JOVI「Wild Is The Wind」「Thank You For Loving Me」、CHEAP TRICK「Ghost Town」「Wherever Would I Be」、HEART「Who Will You Run To」「I Didn't Want To Need You」、KISS「Turn On The Night」、MEAT LOAF「I'd Lie For You (And That's The Truth)」「Not A Dry Eye In The House」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ホーリー・ナイト(特性:②④)
ダイアン・ウォーレンと同時期に名前を目にする機会が増えた、同じく女性ソングライター。そして、自身もシンガーとしての活動をしています。ティナ・ターナーやパット・ベネターといったポップ/ロック系を経て、HR/HM系ではHEART「Never」が最初だったのかな。そこからAEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」でメンバーや他の職業作家と共作を繰り広げます。CHEAP TRICKやKISS、オジー、MEAT LOAFといった面々から想像される、ポップで親しみやすい楽曲作りがメイン。とはいえ、OTEPといったモダンラウド系へも楽曲提供しているから、なかなかあなどれません。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」、CHEAP TRICK「Space」、HEART「Never」「There's The Girl」、KISS「Hide Your Heart」「I Pledge Allegiance To The State Of Rock & Roll」「Raise Your Glasses」、LITA FORD「Stiletto」、LOU GRAMM「Just Between You and Me」、MEAT LOAF「Monstro」「Alive」、OTEP「Perfectly Flawed」「UR A WMN NOW」、OZZY OSBOURNE「Slow Burn」、PAUL STANLEY「It's Not Me」


●ロバート・ジョン・マット・ラング(特性:②③④)
ソングライターというよりもプロデューサーのイメージが強い存在ですよね。古くはAC/DCやFOREIGNER、そしてDEF LEPPARD、90年代にはブライアン・アダムス、2000年代はNICKELBACKやMUSE、さらにはLADY GAGAあたりも手掛けております。主にDEF LEPPARDのメガヒット作『HYSTERIA』において、全曲にクレジットされているところから、曲作りの面においてもある程度コントロールしながらプロデュースしていくタイプなんでしょうね。他にはHEART、LOVERBOYの楽曲制作にも携わっているようです。

代表作品:DEF LEPPARD『HYSTERIA』全曲、「Promises」「It's Only Love」、HEART「All I Wanna Do Is Make Love To You」「Will You Be There (In The Morning)」、LOVERBOY「Lovin' Every Minute Of It」


●ジャック・ポンティ(特性:②③④)
BON JOVIのデビュー作に収録された「Shot Through The Heart」でその名を目にして以降は、BONFIRE、DORO、KEELとB級バンドとの仕事が多いイメージ。90年代に入るとNELSON、アリス・クーパーへの楽曲提供で再びその名を目にするようになります。彼自身はプロデューサー業も行っており、BATON ROUGEやDOROといった正統派からKITTIE、OTEPなどのモダン系まで幅広く手掛けています。

代表作品:ALICE COOPER「Hey Stoopid」「Love's A Loaded Gun」、BABYLON A.D.「The Kid Goes Wild」、BATON ROUGE「The Price Of Love」、BONFIRE「Sweet Obsession」「Hard On Me」、BON JOVI「Shot Through The Heart」、DORO「Eye On You」「Ceremony」、KEEL「Somebody's Waiting」、NELSON「We Always Want What We Can't Get」


●ボブ・ハリガン・Jr.(特性:②④)
自身もシンガーとして活動するソングライター。メタル系アーティストへの楽曲提供がメインで、JUDAS PRIESTのアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』に収録された「(Take These) Chains」で始めてその名を目にした人がほとんどでは? プリーストには次作でも「Some Heads Are Gonna Roll」を提供したほか、ロブ・ハルフォードのHALFORDにも「Twist」を提供しています。また、80年代末にKIX「Don't Close Your Eyes」のヒットによって、さらに知名度を高めることに成功。90年代には自身のソロアルバムも2枚制作しているようです。

代表作品:BLUE OYSTER CULT「Beat 'Em Up」「Make Rock Not War」、BONFIRE「Bang Down The Door」、HALFORD「Twist」、HELIX「Rock You」、ICON「Danger Calling」、「Raise The Hammer」、JUDAS PRIEST「(Take These) Chains」「Some Heads Are Gonna Roll」、KISS「Rise to It」「Read My Body」、KIX「Midnite Dynamite」「Don't Close Your Eyes」


<90年代〜>

●テイラー・ローズ(特性:②④)
88年発売のKIX「Cold Blood」でその名を目にしたのが最初で、本格的に活躍し始めたのは90年代に入ってから、AEROSMITHとのコラボレーションが活発化して以降のこと。「Cryin’」というヒットシングルがひとつのきかっけになったことは間違いありません。

代表作品:AEROSMITH「Cryin'」「Blind Man」「Full Circle」、CHEAP TRICK「Back 'n Blue」、JOURNEY「All The Way」、KIX「Cold Blood」「Hot Wire」、LOVERBOY「Love Will Rise Again」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、TORA TORA「Amnesia」「Faith Healer」、Y&T「Contagious」


●マーク・ハドソン(特性:②③)
シンガーソングライター、TVパーソナリティなどを経て、プロデューサーや職業作家としての道を進み始めます。AEROSMITH「Livin' On The Edge」でその名を広く知らしめ、グラミー賞も受賞しました。エアロとの仕事はアルバム『JUST PUSH PLAY』でスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、次に触れるマーティ・フレデリクセンとのチームで「Boneyard Boys」と名乗り、プロデュースやソングライティングを行いました。他にはアリス・クーパー、オジー・オズボーン、BON JOVI、SCORPIONSと大御所ばかりと共作。他にはリンゴ・スターとのコラボレーションも有名どころです。

代表作品:AEROSMITH「Livin' On The Edge」「Gotta Love It」「The Farm」、ALICE COOPER「Cleansed by Fire」、BON JOVI「Two Story Town」、OZZY OSBOURNE「Ghost Behind My Eyes」「Denial」、SCORPIONS「No Pain No Gain」


●マーティ・フレデリクセン(特性:②③)
AEROSMITHのアルバム『NINE LIVES』で頭角を表して以降、同バンドとのコラボレーションを重ねていきます。上のマーク・ハドソンでも触れたように、スティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、マーク・ハドソンとの4人で「Boneyard Boys」というチームで、続くアルバム『JUST PUSH PLAY』のプロデュースやソングライティングも手掛けました。以降はBUCKCHERRY、MOTLEY CRUE、DAUGHTRYなどへの楽曲提供、DEF LEPPARD『X』のミキシングといったHR/HM系仕事のほか、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルとの共作でも知られています。

代表作品:AEROSMITH「Nine Lives」「Jaded」「Fly Away from Here」「Sunshine」、BUCKCHERRY「Next 2 You」「Sorry」、THE CULT「Breathe」、DAUGHTRY「Crawling Back To You」「Outta My Head」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」「Love Me Bad」、MOTLEY CRUE「Saints of Los Angeles」「Mutherfucker Of The Year」、OZZY OSBOURNE「Dreamer」「That I Never Had」、RICHIE SAMBRA「Who I Am」、SCORPIONS「10 Light Years Away」「We Were Born To Fly」、STEVEN TYLER「(It) Feels So Good」


●グレン・バラッド(特性:②③)
この人は90年代中盤、アラニス・モリセット『JAGGED LITTLE PILL』のプロデュース&楽曲制作で一気に名を馳せることになりますが、それ以前にもソングライターやミュージシャン、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソン、ポーラ・アブドゥル、WILSON PHILLIPSなどの代表作に参加して経験を積んできました。アラニスの成功により、AEROSMITHが1997年のアルバム『NINE LIVES』のプロデューサー兼コラボレーターとして白羽の矢を立てるのですが、その内容に納得できずに制作途中でコラボを解消。結果的には一部の楽曲をケヴィン・シャーリーのプロデュースで再録音したり新たに楽曲を書き足したりして、現在の形にまとまるという、エアロファンには忘れられない事件を引き起こします。以降、HR/HM系アーティストとの共作はほとんどなく、エアロ以前にVAN HALENにデイヴ・リー・ロスが一時復帰した際の新曲に携わった程度でしょうか。本来ならここで取り上げるまでもない存在なのですが、トピック的に面白かったので残してみました。

代表作品:AEROSMITH「Falling in Love (Is Hard on the Knees)」「Taste of India」「Pink」、VAN HALEN「Me Wise Magic」「Can't Get This Stuff No More」


<2000年代〜>

●アンドレアス・カールソン(特性:②)
スウェーデン出身のプロデューサー、ソングライター。現在40代前半と、上記の作家陣と比べると若手の部類に入ります。ということで、彼が活躍し始めたのも2000年前後から。一番の出世作はBACKSTREET BOYS「I Want It That Way」でしょうか。彼はブリトニー・スピアーズやWESTLIFE、NSYNCと当時のアイドルを手がけることが多かったのも特徴です。そういったポップフィールドでの活躍が評価されて、2002年にBON JOVIがアルバム『BOUNCE』で「Everyday」「Misunderstood」など、DEF LEPPARDがアルバム『X』で「Unbelievable」を共作します。同じタイミングにこの2バンドが彼を採用したことで、僕も印象に残っていました。HR/HM系では他にもポール・スタンレーのソロアルバム『LIVE TO WIN』、EUROPEの異色作『LAST LOOK AT EDEN』にも参加しています。

代表作品:BON JOVI「Everyday」「Misunderstood」「All About Lovin' You」、DEF LEPPARD「Unbelievable」、EUROPE「Last Look At Eden」「New Love in Town」、PAUL STANLEY「Live To Win」「Wake Up Screaming」「Bulletproof」


●ジェイムズ・マイケル(特性:②③)
プロデューサーやソングライターとしてより、現在はニッキー・シックス(元MOTLEY CRUE)とのバンド、SIXX: A.M.のフロントマンとして有名かな。さまざまなバンドを経て、2000年にソロデビュー。ちょうどこのころにニッキー・シックスと出会い、MOTLEY CRUEのトミー・リー不在アルバム『NEW TATTOO』にソングライターとして参加します。以降は同じくニッキーが参加したBRIDES OF DESTRUCTION、そしてSIXX: A.M.へと続いていくわけです。他にはPAPA ROACH、HALESTORM、ジェイムズ・ダービンといったモダンなアーティストのほか、SCORPIONS、MEAT LOAFなどの大御所との共演も実現しています。またプロデューサー/エンジニアとしてはHAMMERFALLのアルバムも手掛けています。

代表作品:BRIDES OF DESTRUCTION「Brace Yourself」「Natural Born Killers」、HALESTORM「Private Parts」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」、MEAT LOAF「Couldn't Have Said It Better」「Did I Say That?」、MOTLEY CRUE「New Tattoo」「Sick Love Song」「Saints of Los Angeles」、PAPA ROACH「I Almost Told You That I Loved You」、SCORPIONS「Hour I」、SIXX: A.M.「Life Is Beautiful」「Lies of the Beautiful People」「Gotta Get It Right」


以上、15名を独断と偏見で挙げてみました。やはり80年代中盤、アメリカでHR/HMが大ヒットしたことがメタル系職業作家の繁栄につながったと言って間違いなさそうですね。正直2000年代以降はどういった人たちが主流なのかいまいち調べきれず、こういう形になってしまいました。

改めて思ったのは、BON JOVIやAEROSMITHといった先駆者たち、そしてオジーやSCORPIONSなどの大御所アーティストが新作を出すたびにクレジットに注目しておくのが、一番手っ取り早いなと思いました。

そういう意味でも、この(↓)アルバムは歴史を変えた重要な1枚かもしれませんね。



▼BON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 08 12:00 午後 [Aerosmith, Alice Cooper, Bon Jovi, Buckcherry, Def Leppard, Europe, Heart, Kix, Night Ranger, Ozzy Osbourne, Richie Sambora, Scorpions, Sixx:A.M., Van Halen, 「分析ネタ」] | 固定リンク

2016/08/26

「一番好きなHR/HMギターソロ」について考える(80年代〜90年代前半編)

仕事の合間だけど、現実逃避ついでに「一番好きなギターソロ」について考えてみた。あくまで主観だが、HR/HMにおけるギターソロはライブで一緒に「口ギターソロ」ができる、つまり口ずさめるものがベストだと思ってる。

最初に思いつくのはやっぱりオジー・オズボーン「Mr.Crowley」だろうか。適度に速弾きしていて、かつ口ずさめるメロディ。これ以上速くても、音数が多くてもダメ。だって弾けないもん。俺が。

そういう意味じゃEUROPE「The Final Countdown」もベスト候補。いや、こっちはシンセのメインリフのほうが印象的か。シンセのフレーズは口ずさんでも、ギターソロを口ずさむことは少な……いや、そんなことはなかった。口ずさむ。好き。

主メロ自体がリフ?なゲイリー・ムーア「Wild Frontier」も、個人的には「Mr.Crowley」と同じくらい好きな楽曲&ソロ。結局、こういうマイナーコードで泣きのメロを持つ楽曲が好きんなんだろうな。ザ・日本人。

泣きメロかつ「誰もが知ってるフレーズの引用」というドーピング感満載のACCEPT「Metal Heart」は反則。これこそ全力で日本人泣かしにかかってるだろと。

「Mr.Crowley」と同じくらい重要かつベストだと思ってるのが、KISS「Detroit Rock City」。あのクソシンプルなのに最強なツインリードは、この先何百年も語り継がれるべきだと思う。結局「コピーできそうだけどちょっと難しい」くらいの、あの絶妙なレベル感が自分の求めるギターソロなのかもしれない。あと、長すぎてもダメ。2分とか続いちゃうようなのはね、覚えられない。

……ってよくよく考えたら70年代じゃん、「Detroit Rock City」。却下却下。代わりにKISSのコピーバンド始めた頃にやってた「Crazy Crazy Nights」を挙げとく。このコンパクトだけど印象に残り、口ずさめて適度なテクニックが凝縮されてるというのは非常に重要。そういう意味じゃBON JOVIのこの時代の楽曲はほとんどこれに当てはまる。選ばないけど。

もうちょっとヘヴィな方面についても。

METALLICA「One」は随所にソロが登場するけど、後半の畳み掛けるようなソロパートは難しいながらも覚えやすいメロディがちゃんと備わっているし、この手のバンドのものとしてはベストクラスなんじゃないかなと。

逆にMEGADETH「Tornado Of Souls」までいくと、ちょっとやりすぎ感が。もちろんこれは個人的なさじ加減の問題だけど。リスニング的にはMEGADETHのほうだけど、「コピーしたくなる」という点においてはMETALLICAかなと。なかなか共感しづらいだろうけど。

PANTERAのギターソロも実はすごくメロウなものが多くて、個人的にはリフ以上に推していきたいと思ってる要素。スローな曲はもちろんなんだけど、「Mouth For War」はあのリフとグルーヴにこのソロが乗るから最強なんだと。

最後に国内のバンドからも。

80年代半ばに青春時代を過ごした人なら、きっと誰もがコピーをしたんじゃないだろうかっていうLOUDNESSから選ぶならば、やっぱり「Crazy Doctor」だろうか。「In The Mirror」も捨て難いけど。って、どっちも弾けないんだけど。

で、結局最後はEARTHSHAKER「More」に行き着くと。この呪縛から逃れられないんだな、あの時代に10代を過ごしてしまった者は。でもイントロのアルペジオのほうが印象深い? かもしれない。

以上10曲。KISS以外は結局泣きメロなんだな。わかりやすいぞ自分。

……でもさ、ああだこうだ考えたけど、結局この曲のこのソロがいろんな意味で最強かもしれないと思うんだよ。

グランジ以降、ギターソロの重要度が低くなったと言われたけど、ここまでシンプルで印象的なソロは逆にメタル脳では作れなかっただろうな。だって歌メロをそのまま弾いてるだけだし。その後の歴史を変えてしまったという意味ではとても皮肉な1曲。

90年代後半以降についても、いつか考えてみたい。10曲も挙げられるかどうか微妙だけど。

投稿: 2016 08 26 11:56 午前 [Accept, Earthshaker, Europe, Gary Moore, KISS, Loudness, Megadeth, Metallica, Nirvana, Ozzy Osbourne, Pantera] | 固定リンク

2005/01/10

EUROPE@東京国際フォーラム(1/7)

 ここ数年、思い返せばその年一番最初に行ったライヴ‥‥所謂『ライヴ始め』は、正月好例のハロプロ・ライヴだったんだよね。我ながらキモイことこの上ないな(いや、そんな自分が大好きなんだけどさっ!)。今年は今のところ、そっち方面には縁がないので行く予定はないんですが‥‥

 この連休は暦通りに休め、しかも1日余計に休みを貰えたので、折角なので何かライヴに行こう、面白そうなのないかな‥‥と思って「ぴあ」で検索したら‥‥あった。行きたかったんだけど、日程的に微妙だな、と思って断念してたライヴが。自分の原点を思い返す意味でも、絶好なライヴがあったんですよ。


 というわけで1月7日、再結成EUROPEの来日公演初日@東京国際フォーラムに行って来ました!(なんじゃそりゃ)

 以下、セットリスト等ありますので、ネタバレしたくない人はこの先は読まないようにね。

 正直なところ、そんなに期待せずに行ったんですよ。いや、全く期待してなかったわけじゃないのよ。新作「START FROM THE DARK」は個人的に昨年よく聴いた1枚に入るし、実際今でも良い作品だと思ってるし。けど‥‥再結成後のライヴ音源とか聴く限りでは、古い曲までチューニング下げて(半音下げ、あるいはDまで下げてるし)、しかもボーカルのジョーイ・テンペストは昔程高音が出ないから歌い回しを変えてたりするので‥‥ガッカリしないかな、と。新曲はもともとそういう曲だから全然気にならないけどね。その1点だけがさ、観る前から気になってて。

 実際、全ての曲がダウンチューニングでしたよ。あの "The Final Countdown" までね。けど、そこまで気にならなかったかな。ま、ハイトーンで歌うべきパートを低いキーで歌われたりすると、ちょっとズッコケそうになったけど、全部が全部そうじゃなくてちゃんと計算して‥‥例えば1〜2コーラス目では低い歌い回しで回避し、最後の大サビで原曲通りのハイトーンで歌ったりとか。ま、"Ready Or Not" での話なんですが。

 ライヴはいきなり新作のオープニング "Got To Have Faith" で始まるという唐突さ。情緒もへったくれもない。けど、これが『21世紀のEUROPE』なんだろうな、と。'80年代よ再び、で復活したわけじゃねぇぞ、と。その心意気はかいますよ。実際、再結成後の、「PERFECT STRANGERS」辺りのDEEP PURPLEを彷彿させるイメージが強い新作からの楽曲、ライヴでは光ってましたよ。6曲も披露されてたしね。まぁおよそライヴ向きの楽曲は全部披露されてたかな。個人的に大好きな "Flames" と "Hero" もやってくれたしね。

 それ以外の曲は当然活動休止前の曲なんだけど‥‥バランス的にどうだったんだろう? 勿論、これは単なる懐メロツアーじゃないし、そんなことをするために再結成したわけじゃないから、これはこれでいいんだろうけど。でも‥‥非常に過小評価されている5th「PRISONERS IN PARADISE」からの曲が少なかったかな、と。隠れた名曲と一部で囁かれるタイトルトラックとか、もっと演奏すべき楽曲は沢山あったのにね。いや、他の選曲が悪いって言ってるんじゃないのよ。確かに2ndや3rdに比重を置くのは仕方ないとしてもね‥‥あ、評判悪い4th「OUT OF THIS WORLD」から結構多めにやってくれたのは、個人的には評価したいかも。俺、世間程初期のEUROPEに思い入れってあんまりないし(いや、初期の2枚、大好きですけどね)、大ヒットした「THE FINAL COUNTDOWN」もそこまで大好きってわけでもないからな。むしろ4thと5thの楽曲の方が好みなんだよね。だからその延長線上にある「START FROM THE DARK」は、かなり好意的に捉えてるわけ。決して駄作なんかじゃないでしょ。いや、そんな安っぽい言葉で済ませちゃマズいでしょう。

 まぁ選曲面での愚痴はこの辺にして‥‥他にも愚痴はあるのよ。あのね、スポットライト‥‥所謂ピンスポがジョーイにしか当たらないのよ。特に新曲だと比較的暗めの照明の中、ピンスポが動き回るジョーイを追っかけ、ギターソロになってもジョン・ノーラムに一切当たらない。気を利かせたジョーイがジョンの元に駆け寄り、一緒にライトを浴びる‥‥みたいな。なんだこれ? どうやら今回のツアーのコンセプトみたいだけど、それにしても‥‥『ジョーイ・テンペスト with ヒズ・バンド』みたいな形で、ちょっと嫌な気分になったなぁ。しかもこの日、ジョンが自分の定位置から微動だにせず、黙々とギターを弾いてるだけで‥‥そういうことに対して機嫌を損ねてるかと疑っちゃったもん(実際は違ったようだけど)。俺は2階席だったからその表情までは伺い知ることは出来なかったんだけど‥‥やっぱり気になるよね、ここまであからさまだと。何だろあれ‥‥何か、演劇的な要素でも導入しようとしてるとか? 違うか。んでさ、中途半端に昔の曲の時だけソロパートでジョンやキーボードのミックにピンスポが当たるもんだからさ‥‥

 そういう点が気になったんだけど、じゃあお前はライヴが全く楽しめなかったのか?と問われると、これがね‥‥また違ってさ。1曲目から終始歌いっぱなし。客層があからさまに30代以上ばかりという空気の中、新曲中心のセットリストなもんで‥‥反応薄い、全然歌えてない、盛り上がらないの三重苦。いや、いいんです‥‥それでも俺、楽しかったから。なんだろ‥‥終盤特にこう感じたんだけど‥‥上に書いたような事実(ピンスポの件な)をバックの4人が割り切ってるのかな‥‥なんか、ジョージが非常にエンターテイナー過ぎるせいで、他の4人、特にリズム隊とキーボードは完全に裏方的な役割に徹してたな、と。そう割り切っちゃってるのかな、と。ジョンはほら、まだ1曲毎にギターソロがあってそこでフラストレーションを解消できるからさ、違うんだろうけど。それでも、ジョーイ・テンペストというフロントマンをちゃんと立ててるよな、と。あー、いろいろあったけどこの人達、やっぱり大人になったんだな、と。そう感じたわけですよ。エンターテイメントとして割り切って、再びこの5人でステージに立ってるのかな、と。じゃなきゃ、自分が脱退した後の曲を、ここまで原曲に近いプレイで再現したりしないだろ、と。そう考えたら、なんか余計に凄いバンドに思えてきてさ。もう本編ラストの "Rock The Night" では大合唱ですよ。

 そういえば、アンコール3曲の並びも良かったなぁ。本編ではキーボードが目立つ曲があまりなかっただけに、ミックにとってもよかったんじゃないかな、と。いや、自分が好きな曲が3曲並んだもんだからさ、余計にね。けどジョーイ‥‥ "Carrie" の頃から既にヤバかったけど、さすがに終盤は声が出てなかったね。いや、最後まで頑張ったけどさ。その辺は‥‥ずっとライヴらしいライヴとかやってなかったし、年齢的なのもあるし、仕方ないかな、と。

 とまぁ、苦言もポロポロと出てしまいましたが‥‥それだけ良いバンドの、良いステージだと思えたから、言いたくなっちゃうんだよね。ほら、一番いい時代を知ってるしさ。実際13年前の、奇跡的なライヴ('91年大晦日の、METALLICAメインによる東京ドームでのカウントダウンライヴ。この日の出演者の中で最も軟弱呼ばわりされた彼等が、初期のメタリックな曲をもの凄く良い演奏で聴かせたもんだから、眼中になかったであろう客まで巻き込んだという、俺的には奇跡のライヴなわけ。これが活動休止前最後の来日公演だったんだけど)を観てるしさ。ジョン・ノーラムも'90年にDON DOKKENとして来日した際に、いいプレイしてるところ観てるからさ。もっと出来るだろ!?って思っちゃうんだよね。でも‥‥俺は大満足でしたよ。また観たいと思ったもん。もう1公演観てもいいと思ったし、次来たらまた行くと思うし。久し振りに「あー、HR/HMっていいなぁ‥‥」って思ったもの。

 さぁ‥‥どうせならこのメンバーでもう1枚くらい、純粋なオリジナルアルバムを作って、しっかりと『21世紀のEUROPE』をファンに提示してやってくださいよ。期待してますよ。


--SET LIST---
01. Got To Have Faith
02. Ready Or Not
03. Superstitious
04. America
05. Wings Of Tomorrow
06. The King Will Return
07. Ninja
08. Hero
09. Wake Up Call
10. Keyboard Solo 〜 Sign Of The Times
11. Guitar Solo(オリジナル・インスト曲)
12. Girl From Lebanon
13. Start From The Dark
14. Carrie(Joeyアコギ弾き語り)
15. Flames
16. Yesterday's News
17. Rock The Night
--Encore--
18. Seven Doors Hotel
19. Cherokee
20. The Final Countdown



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投稿: 2005 01 10 12:30 午前 [2005年のライブ, Europe] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/22

EUROPE『START FROM THE DARK』(2004)

 今の若い子達はよく判らないけど‥‥少なくとも俺等くらいの年代にとって、EUROPEってバンドといえば、間違いなく "The Final Countdown" なわけ。あの安っぽいブラス系シンセによる覚えやすいリフ。メロウで親しみやすい歌メロ。BON JOVI程暑苦しくないボーカル。そして泣きまくるギターソロ。ポップソングとしても通用するあの完成度の高い楽曲こそが、今30前後の人達にとってのEUROPEなわけ。

 「おいおい、待てよ。俺にとってのEUROPEは "Seven Doors Hotel" だぜ!?」と反論する人もいるでしょうけど、そういう人はほんのひと握りだと思う‥‥つまり、メタルファンってことよ。その筋に精通してるから、他にももっと良い曲があることを知ってる。あるいはバンドの本質みたいなものを(それが正しかろうが、あるいはそいつの思い込みだろうが)必要以上に知っていたりする。けど、大半の人達にとってはそんなこと、どうでもいい事実なんだよね。多くの人にとっては、'86〜7年にMTVからバンバン流れたあの曲のPVこそが全てなんだから。

 このバンドも面白いというか、非常に可愛そうな存在なんだよね。多くの人が認識してる3rd「THE FINAL COUNTDOWN」はバンドにとって(世界中で1,000万枚以上も売った最大の大ヒット作であるという事実に反して)『本質ではない』忌むべき存在であり、彼等にとって新しい音楽を模索し続けた4th「OUT OF THIS WORLD」や5th「PRISONERS IN PARADISE」はコアなファンにとっては駄作以外の何ものでもなく、そんな彼等にとっての究極の名盤は1st「EUROPE」や2nd「WINGS OF TOMORROW」だというのだから‥‥こんなにもバンド/一般層/コアなファンの意見が食い違うのも珍しいんじゃないでしょうか。

 そんなEUROPEが約12年振りに復活、13年振りの新作となる6th「START FROM THE DARK」をリリースしました。が、これまた多くのファンにとってはガッカリな対象になってしまうんでしょうね‥‥

 「OUT OF THIS WORLD」というアルバムを個人的には気に入っていたり、また解散前ラスト作となった「PRISONERS IN PARADISE」もタイトルトラックを含む幾つかのトラックは特筆に値する程素晴らしかった、と今でも思ってる俺からすると、今度の新作は間違いなくその延長線上にある作品であり、13年というブランクはあるものの、ソングライティングやメンバー個々のミュージシャンとしての成熟度は、過去の作品とは比べ物にならないと思います。確かに多くの人が思い浮かべる『EUROPE像』からかけ離れた色を放つ楽曲が大半を占めていますが‥‥ジョーイ・テンペストが歌えばどれもEUROPEの曲に聞こえるんですよね。ギターがDやBまでダウンチューニングを施していることから、確かに違和感はあるものの、それは何度か聴いてるうちに気にならなくなりましたね、俺は。つうかむしろ‥‥3曲目辺りで、今このバンドがどういう位置に立って、どういうバンドを相手に戦っていかなきゃならないのか‥‥そしてそれをバンドが必要以上に自覚しているってことに気づきました。そうですね、スウェーデンのバンドですし‥‥そういった若手と同じ土俵で戦わなくちゃならないんですよね、今後は。いつまでも昔のヒット曲で食い繋ぐわけにはいかないんですよ。

 そして‥‥改めてこのバンドって、DEEP PURPLEからの影響が強いバンドなんだな、と再認識。3rdや4th辺りからもその要素は十分に感じられましたが、ここでは更に‥‥THIN LIZZYであったり、UFOであったり‥‥といった'70年代ブリティッシュ・ハードロックが見え隠れするんですよね。勿論、モダンなアレンジを施しているからそう感じない人も多いでしょうけど‥‥やっぱり本質は変わってないんだや、と。

 多分このアルバムは大したヒットを記録することもなく、ツアーのみが大盛況のうちに終わるんでしょうね(だってツアーでは古い曲が沢山聴けるわけですから)。けど‥‥このまま続けて欲しいですね、過去に捕らわれずに、むしろ頭の固いファンを置いてけぼりにするくらいの前進を‥‥



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投稿: 2004 09 22 01:00 午前 [2004年の作品, Europe] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/08/09

そういやぁ

 オリジナルメンバー(じゃないか、キーボード入りのメンツだから。まぁ全盛期のメンツではあるけど)で復活したEUROPEが来年1月に来日決定したそうですが、ハコはどこなんでしょうね。呼び屋がクリマンってのは知ってるんですが。まさか15年前じゃないんだから武道館ってのは絶対にないわけで。国際フォーラムでも厳しいよね。

 やっぱりクラブクラスですか。ZEPP×2くらい? 妥当といえば妥当だけど。つうか今月末にまずシングルが出て、9月にアルバムでしょ? 今の若い子にどの程度アピールするのかしら? 未だに「THE FINAL COUNTDOWN」の人達なわけでしょ、彼等って。

 個人的には伊藤政則のラジオで1stや2ndの頃から知ってたわけですが(一番好きなアルバムは2nd「WINGS OF TOMORROW」だしな)、ライヴを観たのは1回だけ。しかも最後の来日となった東京ドームでのカウントダウンイベント(METALLICAが大トリで、他の出演者がTHUNDER、TESLAというアレな企画。'91年大晦日だったかな)という。要するに今回のメンツであるジョン・ノーラムを含む5人でのライヴはビデオの中でしか知らないわけですよ。ファン歴長いくせに。

 メタルは好きだけど(特に'90年代前半までに登場したバンドまでな)メタルファンは大嫌いな俺。久し振りにこの手のライヴに行ってみようかしらと思ってます。



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投稿: 2004 08 09 12:22 午前 [Europe] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック