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カテゴリー「Europe」の17件の記事

2021年4月 8日 (木)

OUT OF THIS WORLD『OUT OF THIS WORLD』(2021)

2021年4月2日にリリースされたOUT OF THIS WORLDの1stアルバム。今のところ、フィジカルでは日本限定リリースのようです(デジタル/ストリーミングでは海外でも聴くことができるみたい)。

KEE OF HEARTSでも活動を共にしたFAIR WARNINGのトミー・ハート(Vo)と元EUROPEのキー・マルセロ(G)を中心に結成されたメロディアス・ハードロックバンド。レコーディングにはケン・サンディン(B/ALIEN、KEE OF HEARTS)、ダービー・トッド(Dr/THE DARKNESSゲイリー・ムーアなど)が全面参加し、DEEP PURPLEのドン・エイリー(Key)も4曲でプレイしています。

このバンド名に加え、アルバムのミックスをロン・ネヴィソン(HEARTKISSオジー・オズボーンなど)が手がけていることから、間違いなく多くのリスナーはEUROPEの4thアルバム『OUT OF THIS WORLD』(1988年)を思い浮かべることでしょう。もちろん、このバンド名はキーが初参加したEUROPEの同作から拝借したもの。本作で耳にすることができるサウンドも、あの頃の(いわゆる)“産業ハードロック”と揶揄されそうなほどにキャッチーなメロディアス・ハードロックが展開されています。

トミーのボーカルは中音域中心で落ち着いた雰囲気で、7分半にもおよぶオープニングトラック「Twilight」を最初に聴いたときは「あれっ?」と思いつつも、続く「Hanging On」では従来のハイトーンを多用したスタイルで、聴き手をホッとさせてくれます。キーのリフワーク、ソロワークも安定感の強いプレイで、最初こそ「若干時代錯誤かな?」と不安になるものの、聴き進めていくうちに「やっぱりこれだよね!」と納得させられる。

と同時に、楽曲も時代を超越した王道のハードロックばかりで、そこに適度にテクニカルな演奏が加わることで終始飽きさせない。キーボードの音色で一気に“あの頃”に引き戻されるものの、それに対して嫌な感覚はまったくなく、むしろ気持ちよく楽しめるのではないでしょうか。1曲目こそ7分半近くありますが、それ以外の楽曲は4分前後のコンパクトなものなので、全10曲(ボーナストラックを含めると11曲)をさらりと聴き進められるはずです。

うん、これは安心して楽しめる1枚だ。突出した何かはないかもしれませんし、とても2021年とは思えない内容ですが、だからこそ飽きずにずっと聴いていられる極上のハードロックアルバムだと思います。

本作の初回限定盤には2018年にドイツで開催された『Heat Festival』に出演した際、前身バンドKEE OF HEARTS名義で出演した際のライブ音源を収めたCD『LIVE FROM THE HEAT』を同梱。こちらではEUROPE「Let The Good Times Rock」「Open Your Heart」「Superstitious」「Ready Or Not」といった『OUT OF THIS WORLD』からの楽曲をトミーのボーカルで楽しめるほか、FAIR WARNING「Burning Heart」「Save Me」という名曲をキーのギタープレイで堪能することができる。今のところ日本独自リリースのようなので(デジタルリリース/ストリーミングサービスでの配信なし)、できることなら日本盤で購入していただきたい貴重な1枚です。

 


▼OUT OF THIS WORLD『OUT OF THIS WORLD』
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2021年3月18日 (木)

RONNIE ATKINS『ONE SHOT』(2021)

2021年3月12日にリリースされたPRETTY MAIDSのフロントマン、ロニー・アトキンスの1stソロアルバム。

昨年10月、以前から闘病を続けてきた癌が再発し、ステージ4と宣告されたことを公式発表したロニー。ちょうど前年秋にバンドとして3年半ぶりの新作『UNDERESS YOUR MADNESS』(2019年)を発表し、コロナ明けには2018年秋以来となる待望の来日公演も……なんて思った矢先に飛び込んできたニュースだけに、驚きを隠せませんでした。

しかし、ロニーはそこで「残りの余生を静かに過ごす」ことを選ばず、最後まで表現者として最高の1枚を残し続けることを選択。気づけば、バンド名とのクリス・レイニー(G, Key)とともに人生初のソロアルバム制作へと向かっていったわけです。

現メンバーのクリスとの共同プロデュース作となる本作には、アラン・ソーレンセン(Dr)やモルテン・サンダゲル(Key)といったかつてのバンドメイトに加え、ポンタス・ノルグレン(G/KING DIAMOND)、キー・マルセロ(G/ex. EUROPE、OUT OF THIS WORLD)、オリヴァー・ハートマン(G/ex. AT VANCE)、ビョーン・ストリッド(Back Vo/SOILWORK)など名だたる面々が多数参加。ミックスにはPRETTY MAIDSの近作を手掛けてきたヤコブ・ハンセン(DIZZY MIZZ LIZZYVOLBEATAMARANTHEなど)が携わった、北欧メロディックハードロック極みの1枚と呼ぶにふさわしい内容に仕上げられています。

アルバム冒頭を飾る「Real」を筆頭に、かつての「Please Don't Leave Me」などPRETTY MAIDSのポップ/ソフトサイドをさらに純度を高めて昇華させたような作風は、その爽やかなテイスト相まって全体的に生命力に満ち溢れた仕上がりと言えるでしょう。「Scorpio」などではメタリックでパワフルなボーカルも相変わらず健在で、そのスケール感の大きなハードロックサウンドとの相性は抜群。これが嫌いな人なんているわけがない!(言い過ぎかと思われるでしょうが、それくらい素晴らしいんです)。

もちろん、「One Shot」のような美しいバラード(ボーナストラックとして追加収録された同曲のオーケストラバージョンも、違った味わい深さがありまた良し)も、「Before The Rise Of An Empire」みたいな豪快メタルチューンもしっかり用意されており、全体を通して緩急に富んだ構成は完璧の一言。確かにPRETTY MAIDSのパブリックイメージと比較したらソフトすぎるかもしれませんが、この美メロ三昧の1枚を前にしたらそんな贅沢な不満などそのうち吹き飛ぶはず。それくらい、良曲/良パフォーマンスが詰め込まれた極上のメロディックハードロックアルバムだと断言できます。

一度でもPRETTY MAIDSというバンドに触れたことがあるリスナーならば、間違いなく引っかかるものがあるでしょうし、良質なハードロックを愛聴するファンならばマストで聴くべき傑作。と同時に、この先も延々リピートし続けるであろう至高の1枚。これが最後とならずに、この先もソロやPRETTY MAIDSの新作に出会えることを願いつつ、ひたすらリピートしたいと思います。

 


▼RONNIE ATKINS『ONE SHOT』
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2020年10月21日 (水)

EUROPE『WINGS OF TOMORROW』(1984)

1984年2月にリリースされたEUROPEの2ndアルバム。日本盤は同年4月に発売されたようです。

デビューアルバム『EUROPE』(1983年/邦題『幻想交響詩』)が本国スウェーデンで最高8位まで上昇し、ここ日本でも局地的にヒットを記録。これを受けて11ヶ月という短いスパンで届けられた今作は、前作で見せたドラマチックなHR/HMスタイルを極限にまで純化させた良質な北欧メタル作品に仕上がっています。

前作で個人的に気になったのが、ピッチの甘さでした。楽器隊とジョン・テンペストのボーカルとの間に若干のズレが感じられて、曲によってはそれが気持ち悪く聴こえてしまったんですよね。言ってしまえばインディーズレベル、もっと言えばアマチュアレベルだったのかなと。極端な話、音楽コンテストの優勝商品としてデビューアルバムが制作されたようなものでしたし。さらに、楽曲も一部を除きB級感満載だった。まあこれに関しては仕方ないところがありますが。

ところが、そこから短期間で完成したこの2ndアルバムはその難点が克服され、さらに楽曲のクオリティまで一気に上げてきた。この成長、進化の速度はなかなかのものがあり、もしリアルタイムでこの流れを体験していたら相当驚いたことでしょう。

「Stormwind」や「Scream Of Anger」「Open Your Heart」「Wings Of Tomorrow」「Dreamer」と、とにかくメジャー感の強い名曲揃い。「Scream Of Anger」のアグレッシヴさと「Wings Of Tomorrow」や「Stormwind」で魅せるドラマチックな展開と美メロ、さらに「Open Your Heart」や「Dreamer」といったスローバラードの完成度。どれを取っても素晴らしく、録音の質さえ上げれば2020年という現代においても通用するものばかりだと思います。「Open Your Heart」はワールドワイドデビュー後に4thアルバム『OUT OF THIS WORLD』(1988年)でリメイクされていますが、今となってはこのシンプルなアレンジのオリジナルバージョンのほうがお気に入りです。

そのほかにもヘヴィな「Treated Bad Again」やノリの良さ抜群の「Wasted Time」、疾走感がたまらない「Lyin' Eyes」や「Dance The Night Away」、そしてジョン・ノーラム(G)の魅力全開のインストナンバー「Aphasia」と、本当に捨て曲なし。A級バンドの仲間入りを果たす次作『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)ほど完璧すぎず、適度な“ユルさ”やB級感を残すこのバランスが絶妙なんですよね。

本作リリース後、テンポキープができないという致命的な理由でトニー・レノが脱退。代わりにイアン・ホーグランド(Dr)が加入し、さらにミック・ミカエリ(Key)も加わり黄金期メンバーが完成し、『THE FINAL COUNTDOWN』へと到達するわけですが、それはまた別のお話。EUROPEというと「The Final Countdown」というパブリックイメージが捨てきれない人にこそ、真っ先に聴いていただきたい初期の名盤です。

 


▼EUROPE『WINGS OF TOMORROW』
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2019年9月 7日 (土)

EUROPE『WAR OF KINGS』(2015)

2015年3月にリリースされた、EUROPE通算10作目のスタジオアルバム。

前作『BAG OF BONES』(2012年)ではプロデューサーにケヴィン・シャーリー(IRON MAIDENAEROSMITHTHE BLACK CROWESDREAM THEATERなど)を迎え、再結成後としては初めてイギリスでトップ50入りを果たすなど好成績を残しました。

続く今作では、プロデューサーをデイヴ・コッブ(RIVAL SONSなど)に交代。再始動後は基本的に毎作プロデューサーを変えているEUROPEですが、このデイヴ・コッブとの出会いは相当手応えがあったらしく、続く最新作『WALK THE EARTH』(2017年)でもデイヴを再起用さいています。

基本的には『BAG OF BONES』で試みた……いや、再結成第1弾アルバム『START FROM THE DARK』(2004年)で実践した、DEEP PURPLEUFOTHIN LIZZYなどを彷彿とさせるルーツロック/クラシックロック路線を推し進めたものなのですが、正直楽曲面では単調でイマイチという感想しか残らなかった『BAG OF BONES』から脱却し、バンドアンサンブル含めかなり高品質な楽曲がずらりと並ぶ1枚に仕上げられています。

ヘヴィさは前作譲りですが、そのヘヴィさが妙に浮くことなく楽曲とマッチしている。また、楽曲自体もバラエティに富み、しっかり練り込まれたアレンジとプレイ/フレーズと相まって「これはこれ」として楽しめるものに昇華されている。もはや「80年代のEUROPE」がどうのこうのとかどうでもよくなるくらい、気合いの入りまくったハードロック/ブルースロックを堪能できる1枚なのです。

しかし、メロディに関しては相変わらずと言いますか、抑揚が足りないジョーイ・テンペスト(Vo)には少々落胆させられます。惜しい、本当に惜しい。

このアルバムまでの時点で、再結成以降5枚のアルバムが制作されているわけですが、メロディアスさや楽曲の強度でいいますと7thアルバム『SECRET SOCIETY』(2006年)がベストで、次点が8thアルバム『LAST LOOK AT EDEN』(2009年)かな?と今でも思っています(ただ、アルバムトータルの完成度で考えると『LAST LOOK AT EDEN』がベストなんですけどね)。

しかし、楽曲の練られ方や演奏力、表現力に関して言えば、実は本作がトップクラスではないか……そう思う自分がいます。だって「Praise You」あたりを聴いてしまったら……ねえ?(ちなみに、この曲のボーカルは悪くないと思います)

ジョーイの声に関しては無いものねだりをしてしまいがちですが、音楽性については(個人的には)この路線は気に入っているので、ここを経て続く『WALK THE EARTH』までよくたどり着けたな、と今さらながらに関心しています。そういった意味では、本作とその前作『BAG OF BONES』は過渡期的作品かもしれませんね。

 


▼EUROPE『WAR OF KINGS』
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2019年5月 2日 (木)

EUROPE『SECRET SOCIETY』(2006)

2006年10月(日本では11月)にリリースされた、EUROPE通算7作目のオリジナルアルバム。前作『START FROM THE DARK』(2004年)で本格的再始動を果たした彼らの、再結成後2作目のスタジオ作品となります。

前作では大ヒット作『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)を手がけたケヴィン・エルソンをプロデューサーに迎えたものの、そのサウンドは『THE FINAL COUNTDOWN』とはまったく異なる、80年代中期のDEEP PURPLEを彷彿とさせるミドルテンポ中心のヘヴィな作風でした。ジョン・ノーラム(G)のやりたいようにやらせすぎ!などいろんな声がありましたが、ソングライティングでジョンが絡んでいるのって半分くらいで、むしろ彼ひとりがどうこうじゃなくて、「ジョーイ・テンペスト(Vo)の今の声域に合わせた曲作り」「もはや大ヒットを狙うのではなく5人の趣味、やりたいことに素直になる」などの結果だったのだと思うのです。

そんな賛否両論あった復帰作から2年。正真正銘の勝負作となるこのアルバムではバンドがセルフプロデュースを担当。作風的には前作の延長線上にあるものの、アップテンポの楽曲が一気に増えたことでアルバムとしてもスムーズでまとまりがあるように感じられます。

また、メロディセンスも前作より際立つものが多く、オープニングを飾る新機軸ナンバー「Secret Society」やシングルカットもされた「Always The Pretenders」、ミドルテンポの「Wish I Could Believe」、ピアノやストリングスをフィーチャーした泣きメロパワーバラード「A Mother's Son」、往年のポップさにも通ずる「Forever Traveling」など聴きどころも多く、前作の汚名返上は果たせたのではないかと思います。

個人的にも、どこかRUSHを思わせる「Secret Society」を初めて聴いた時点で「お、ついに次のフェーズに入ったか!」と前向きに捉えられたし、むしろこのバンドに「The Final Countdown」(楽曲のほう)や2ndアルバム『WINGS OF TOMORROW』(1984年)の幻影を追うのは酷なのではと思ったのでした。つまり、「彼らが再結成してまでやりたいことって何なのだろう?」って素直に知りたくなったのです。

だから、続く8thアルバム『LAST LOOK AT EDEN』(2009年)に初めて触れたときは「新しい全盛期がくる!」と確信したのですが……。

新作が出るたび、いまだにそういった80年代の幻影と追い求め、比較して貶すこと、そろそろやめません? 過去との比較と決別し、作品単位で向き合ってみてはどうでしょうか。そこで初めて見えてくるもの、このバンドにはたくさんあるはずなので。これはその取っ掛かりに最適な1枚だと思います。

 


▼EUROPE『SECRET SOCIETY』
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2019年3月28日 (木)

EUROPE『THE FINAL COUNTDOWN』(1986)

言わずと知れたEUROPEの大出世作にして最大のヒット作。1986年5月にリリースされた通算3作目のアルバムで、海外では本作からEpic Recodsでのメジャー流通となりました(日本では当時はビクター、現在はソニーから発売)。誰もが一度は耳にしたことのあるタイトルトラックの大ヒット(全米8位/全英1位)に続き、「Rock The Night」(全米30位/全英12位)、「Carrie」(全米3位/全英22位)、「Cherokee」(全米72位)とヒットシングルを連発し、アルバム自体も全米8位、全英9位を記録。アメリカだけでも300万枚以上、全世界で700万枚近いセールスを誇る最大のヒット作となりました。

スウェーデンのローカルバンドだった彼らですが、ここ日本では1stアルバム『EUROPE』(1983年)の時点で一部HR/HMファンの間で高い人気を誇り、北欧のバンドらしい哀愁味のあるハードロックサウンドで好評を博しました。しかし、新たに世界的な大手レーベルやマネジメントと契約したことにより「売れるものを」と入れ知恵されたのでしょうか、より洗練されたサウンドへとシフトチェンジします。

プロデューサーにもケヴィン・エルソン(JOURNEYMR. BIGなど)を迎え世界進出を本気で狙った今作は、お聴きのとおり新加入のミック・ミカエリ(Key)のシンセを前面に打ち出した産業ハードロック的なスタイルを確立。ジョン・ノーラム(G)のギタープレイは主張の強すぎず、ソロのときだけ前に出てくるという程度の存在感。楽曲的にもミドルテンポのハードロック「Rock The Night」や「Danger On The Track」「Cherokee」や、王道のパワーバラード「Carrie」「Time Has Come」など確実にアメリカ進出を意識したものばかりで、そんな中に前作までのカラーを残す「Ninja」や「On The Loose」が程よいフックとなり、以降の作品と比べると“北欧らしさ”がまだ垣間見れるバランス感となっています。

個人的には日本のみでシングルカットされたラストナンバー「Love Chaser」(確か日本映画のテーマソングだったんですよね)がお気に入り。「The Final Countdown」ほどダサすぎず、それでいて以降のEUROPEらしさと従来のらしさがバランスよく混在している。ジョン・ノーラムのギタープレイも印象的だしね。ライブではもはや披露される機会は皆無ですが、このへんや「Ninja」「On The Loose」があるからギリギリ初期ファンをつなぎとめられた1枚なのかなと……といいながらも、僕自身リアルタイムではこのアルバムから入ったリスナーなので、それ以前のことはわからないのですが。

とか言いながらも、やっぱりシングルカットされた楽曲もマイナーな曲も含め、どれも思い出深く馴染み深いナンバーばかりなので、やっぱりアルバム全体通して楽しみたい1枚。シンセの音色に多少の古臭さを感じてしまうのは否めませんが、それも歴史の記録ということで。うん、やっぱり傑作です。

 


▼EUROPE『THE FINAL COUNTDOWN』
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2019年3月 3日 (日)

ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』(2019)

2019年1月に発表された、ARCH ENEMYのカバーアルバム。バンド初期からシングルのカップリングやアルバムのボーナストラックとして収録されてきた歴代のカバー曲を1枚にパッケージした作品で、その内訳も初期3作のヨハン・リーヴァ時代、ブレイクのきかっけを作ったアンジェラ・ゴソウ時代、現在のアリッサ・ホワイト=グラズ時代と3世代にわたる、ある種のオールタイム“裏”ベストアルバムとなっています。

取り上げられているカバーはIRON MAIDENJUDAS PRIESTEUROPEMEGADETH、MANOWAR、QUEENSRYCHEPRETTY MAIDSSCORPIONSKISSなど彼らのルーツにあるHR/HMバンドからG.B.H.、DISCHARGEといったハードコアバンド、SKITSLICKERS、ANTI-CIMEX、MODERAT LIKVIDATIONという地元スウェーデンのハードコア/クラストコアバンド、マイケル・アモット(G)がかつて在籍したCARCASS、そしてTEARS FOR FEARSやマイク・オールドフィールドといったポップ寄りまで、バラエティに富んだもの。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、EUROPE、SKITSLICKERSはボーカリスト違いで複数選ばれているものもあります。

全24曲中、M-1「Shout」からM-11「City Baby Attacked By Rats」までがアリッサ時代、M-12「Warning」からM-20「Symphony Of Destruction」までがアンジェラ時代、ラスト4曲がヨハン時代としっかりブロック分けされているので、そこまで違和感を感じることはないかと。特にアリッサ時代はM-5「Nitrad」から「City Baby Attacked By Rats」までのパンク/ハードコアのカバーが続く流れで統一感を作るなど、構成も考えられていますしね。

ARCH ENEMYの活動を追っているリスナーには、すべて既出で所持している音源ばかりでしょう。しかし、こういった“ファン”アルバムは出すことに意味があるので、そこに文句をつけるのは野暮というもの。そんな中、M-1「Shout」は昨年発売されたアナログボックスセット『1996-2017』やアナログ7インチ盤「Reason To Believe」に収録されていたものですが、CD化はこれが初めて。原曲をよりヘヴィにしたアレンジはどことなくツェッペリン「Immigrant Song」に似ていて、DISTURBEDのカバーバージョンとは違った味わい深さがあります。

そのほかのカバーに関しては原曲まんまのものから凝ったアレンジのものまでさまざまですが、基本的には原曲に対する愛情が強いものが多い印象です。個人的にはPRETTY MAIDS「Back To Back」、EUROPE「Wings Of Tomorrow」、CARCASS「Incarnated Solvent Abuse」、IRON MAIDEN「Aces High」がお気に入りです。

ちなみに、CDブックレットにはマイケル・アモットによる各曲の解説入り。残念ながら日本盤はおろか、配信&ストリーミングもなしの本作ですが、特にストリーミングに関しては過去作もゼロなので、これを機に動いてほしいものです。



▼ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』
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2018年7月12日 (木)

EUROPE『PRISONERS IN PARADISE』(1991)

1991年9月にリリースされた、EUROPE通算5作目のスタジオアルバム。3作目『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)が世界中で記録的な大ヒット作となり、続く4thアルバム『OUT OF THIS WORLD』(1988年)も前作には及ばないものの、それなりのヒットを記録しましたが、その2作をフォローするアルバム作りは非常に難航したようです。

当初このアルバムはBON JOVIAEROSMITHMOTLEY CRUEなどで知られるボブ・ロックをプロデューサーに迎えて制作する予定でしたが、METALLICAブラックアルバム制作に時間がかかりすぎたため白紙に。と同時に、アメリカのレコード会社から「『THE FINAL COUNTDOWN』に続くヒット作を!」というプレッシャーをかけられ続けたバンドは、ひたすら曲作りに没頭します。その中には、メンバーの望まない外部ライターとの共作も含まれていました。

この時期のデモ音源の数はかなりのものがあり、それは日本盤を含めのちにシングルやベスト盤などのボーナストラックとして登場する未発表曲群で一目瞭然です(このとき制作された楽曲の一部は、再結成後にも流用されているとのこと)。

最終的にRATTWINGERなどで知られるボー・ヒルをプロデューサーに迎えて完成させた本作は、“アメリカナイズされた”と揶揄された『OUT OF THIS WORLD』以上にアメリカナイズされた内容に仕上がりました。初期2作のヨーロッパのHR/HMバンド然とした佇まいはもはやそこには存在せず、それどころか『THE FINAL COUNTDOWN』の頃ともまた違うバンドに進化していました。

ですが、1曲1曲の完成度は異常に高く、良質な美メロハードロックアルバムとして捉えるとかなり充実した内容なのです。これ、EUROPEというバンドに対して偏見や固定概念を持っていない人なら思う存分楽しめる1枚ではないでしょうか。

ソングライター人に目を向けると、エリック・マーティン(MR. BIG)やジム・ヴァランス(ブライアン・アダムスなどでおなじみ)、ニック・グラハム(CHEAP TRICK「The Flame」共作者)、フィオナ(女性ロックシンガーで当時ボー・ヒルの奥さん)など、かなり気合いを入れて曲作りに臨んだことが伺えます(メンバーではなく、レコード会社が)。しかも、その大半は作詞に携わっていることからも、彼らをいかにアメリカで再成功させたかったかが理解できるのではないでしょうか。

とにかく本作は、アンセミックなタイトルトラック「Prisoners In Paradise」に尽きるでしょう。再結成以降もこの曲だけは本作からはちょくちょく演奏されていますし、ジョーイ・テンペスト(Vo)自身にとっても思い入れが強い1曲なんだと思います。

もちろん、それ以外にもシングルカットされたポップな「I'll Cry For You」、爽快感の強い「Halfway To Heaven」、ダイナミックなハードロック「Seventh Sign」「Girl From Lebanon」、本作唯一のバラード(のわりに地味な印象の)「Homeland」など聴きどころは多いのですが、1991年という時代を考えるとちょっと不幸な1枚かもしれませんね。

あ、本作は国内盤だと2曲のボーナストラックが追加されており、その中でも「Yesterday's News」が本当に素晴らしいので、ぜひCDで購入する際には中古でもいいので日本盤をオススメしておきます。この曲がなるとないとでは大違いなので。

最後に。このアルバムはアメリカではチャートインすらせず黙殺され、バンドは1992年に事実上の解散と言える無期限活動休止に突入。再びメンバーがステージ上に揃うまで、そこから7年もの歳月を要することになります。



▼EUROPE『PRISONERS IN PARADISE』
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2018年4月 3日 (火)

EUROPE『LAST LOOK AT EDEN』(2009)

2009年9月にリリースされた、EUROPE通算8作目のオリジナルアルバム。『START FROM THE DARK』(2004年)から数えると、再結成後3枚目のスタジオ作品になります。『START FROM THE DARK』でEUROPEの新しい形を提示しつつ、続く『SECRET SOCIETY』(2006年)ではより進化したモダンなスタイルを確立しようとしましたが、この『LAST LOOK AT EDEN』では『START FROM THE DARK』で試したスタイルをよりクラシカルなサウンド(70年代ハードロック的アプローチ)で表現。以降、最新作『WALK THE EARTH』(2017年)まで続くスタイルの礎となった、起死回生の1枚と言えるのではないでしょうか。

『START FROM THE DARK』で旧知のプロデューサー、ケヴィン・エルソンを迎え、続く『SECRET SOCIETY』ではセルフプロデュースに挑戦したEUROPEは、続く今作でH.E.A.TやAVATARなどを手がけるトビアス・リンデルを迎えて制作。リリース当時、最初にリードトラック「Last Look At Eden」を耳にしたときは、「ようやく吹っ切れたな」と思ったことを今でも覚えています。

確かに、多くのリスナーが彼らに求めるスタイルとは真逆かもしれません。そりゃあみんな『WINGS OF TOMORROW』(1984年)や『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)の頃のスタイルに戻ってほしいと思っていることでしょう。けど、それがやりたかったら、この再結成はなかったんでしょうね。5人がEUROPEという冠の下で今やりたいこと、やれることが「自分たちのルーツに正直になること」だったんだと考えると、この『LAST LOOK AT EDEN』に到達することは非常に納得のいく話だと思います。

特に本作ではストリングスによるオーケストレーションを大々的にフィーチャーした楽曲が多く、その味付けが70年代的仰々しいハードロックサウンドに見事フィットしている。ミドルテンポのヘヴィチューン「Last Look At Eden」や「No Stone Unturned」や「Only Young Twice」、そしてバラードの「New Love In Town」はその最良の結果ではないかと思います。

もちろんそれだけではなく、「The Beast」みたいなアップチューンもあるし、80年代後半の彼らをどこか感じさせる「Gonna Get Ready」もある。「Run With The Angels」みたいにダークな異色作も含まれていますが、このへんは評価がわかれる1曲かもしれませんね。そして、ラストはジョン・ノーラム(G)のメロウでエモーショナルなギタープレイが存分に活かされたバラード「In My Time」で締めくくり。個人的には全体を通して非常に満足の1枚で、再結成後でも1、2を争う良盤だと思っています。

なお、本作は再結成後唯一、本国スウェーデンでチャート1位を獲得。『THE FINAL COUNTDOWN』、『OUT OF THIS WORLD』(1988年)に続く通算3枚目のNo.1アルバムという意味でも、彼らのキャリアにおける重要作品と言えるのではないでしょうか。

もちろん、本作以降すべての作品が良い作品だとは言いません。しかし、再結成から3作目でここにたどり着けたからこそ、EUROPEは80年代に活動していた頃よりも長くバンドを続けられている。それは間違いない事実であり、僕はこの現実を素直に受け入れたいと思います。



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2017年10月28日 (土)

EUROPE『WALK THE EARTH』(2017)

2017年10月に発表された、EUROPE通算11作目のスタジオアルバム。前作『WAR OF KINGS』(2015年)から2年7ヶ月ぶりの新作であり、再結成後6枚目のスタジオアルバムってことで、ついに80〜90年代の全盛期よりも活動歴が長くなってしまいました(解散前をアルバムデビューから数えると活動は10年に満たない計算ですが、再結成後は2004年の復帰1作目『START FROM THE DARK』から数えても13年)。

プロデューサーは前作から引き続き、デイブ・コッブ(RIVAL SONS、ZAC BROWN BANDなど)が担当。サウンド的にも前作の延長線上にあるもので、前作はメロディやバンドサウンドがイマイチ噛み合わないという若干とっ散らかった印象があったところを、今作ではそこをよりブラッシュアップすることで完成度の高い作品に仕上げることに成功しています。

前も書きましたが、そもそも再結成後のEUROPEは自分たちの“売れた”サウンド……いわゆる80年代後半の『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)や『OUT OF THIS WORLD』(1988年)みたいにキラキラしたハードロックから一歩引き、自分たちが本当に好きだった70〜80年代のDEEP PURPLEUFOTHIN LIZZYLED ZEPPELINRAINBOWからの影響がダイレクトに表れた、シンプルでわかりやすいハードロックを目指していました。復帰1作目『START FROM THE DARK』の時点で、すでに80年代のDEEP PURPLE的なサウンドを模倣していましたし、作品ごとに少しずつカラーを変えつつも、芯にある部分だけはブレずにここまで続いています。

特にここ3作……2012年の9th『BAG OF BONES』からはその傾向がより強くなり、ひたすら地味な方向へと続き進み続け、結果前作『WAR OF KINGS』とあわせて否定的に捉えるファンが多かったようです。いや、再結成以降の楽曲を全否定する往年のファンも少なくないようですね。

だけど、今回の『WALK THE EARTH』は本当にそこまでひどいアルバムだと思えないんですよね。自分が再結成後の作品に対して好意的というのもあるけど、それを抜きにしても本作はアルバムとして非常に優れている。メロもキャッチーだし、楽曲としてもフックのあるものが多い。以前はテンポ的に大半がミディアムテンポで似たようなものが多かったんだけど、今作はそこが非常に考えられており、そのせいもあって飽きがこない。新たなアンセムとなりうる表題曲「Walk The Earth」、比較的攻めのアップチューン「Kingdom United」や「Election Day」「GTO」「Whenever You're Ready」、サイケデリックなスローナンバー「Pictures」、ひたすら重いけどギターが泣きまくる「Wolves」、バラード寄りのミディアムナンバー「Turn To Dust」などなど、印象的な楽曲が多いんですよ。

ジョーイも歌でかなり頑張ってるし、ジョン・ノーラム(G)もソツないながらも耳に残るフレーズを増産してる。けど、何よりメロディが良いものが多い。結局そこなんですよね、このバンドは。今までは音にこだわるあまり、そこのバランスがうまく調整できていなかった。それを見事に乗り越えた今、EUROPEは再結成後で最強のポジションにいるんじゃないでしょうか。特に最近は2nd『WINGS OF TOMORROW』(1984年)や3rd『THE FINAL COUNTDOWN』完全再現ライブで古き良き時代の楽曲と真正面から向き合う時間が多かったのも、大きく影響したんじゃないかな。だとしたら、本当にやって正解だったと思います。

全10曲で40分弱というトータルランニングも、古き良き時代のロック的で素晴らしいし、エンディングもオールドスタイルで嫌いじゃない(そのあとに続くオマケ含め)。本当に第2の全盛期がそこまで迫ってきてるんじゃないでしょうか。そう信じています。

なお、日本盤は初回限定盤のみに『LOUD PARK 13』でのパフォーマンスの模様を完全収録。こちらもあわせてチェックしておきたいアイテムです(輸入盤付属のDVDは内容が異なり、『EUROPE AT ABBEY ROAD』と題した今作のレコーディングドキュメントらしきものが収められているようです)。



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