EUROPE『EUROPE』(1983)
1983年3月14日にリリースされたEUROPEの1stアルバム。日本盤タイトルは『幻想交響詩』。
EUROPEは1979年にジョーイ・テンペスト(Vo)、ジョン・ノーラム(G)、ジョン・レヴィン(B)、トニー・レノ(Dr)によって結成された、スウェーデン・ストックホルム出身の4人組(当時)ハードロックバンド。当初はFORCEと名乗っており、1982年にスウェーデンで開催されたコンテストで優勝したことでデビュー権を獲得。このタイミングに現在のEUROPEに改名し、本作で華々しく(かな?)デビューします。
全9曲中、インストの「Boyazont」以外はすべてジョーイが作詞作曲を担当。70年代のブリティッシュハードロックなどからの影響が強く感じられる王道ナンバーが中心で、アルバム冒頭を飾る疾走チューン「In The Future To Come」やドラマチックな名曲「Seven Doors Hotel」など、すでに次作へとつながる様式美ナンバーが用意されており、無名の新人らしからぬ高クオリティぶりを見せています。
それ以外にも叙情的な「The King Will Return」「Words Of Wisdom」、NWOBHMからの影響も感じられる「Farewell」や「Paradize Bay」「Memories」、ジョン・ノーラムの(ギタリストとしての)メロディメイカーぶりが遺憾無く発揮された「Boyazont」など聴きどころ満載。録音状態など含めると、すべてにおいてA級とは言い難いものの、B級+くらいの完成度は保っており、ここ日本でも「Seven Doors Hotel」を中心に高く評価されました(現在のアートワークは、日本盤用に制作されたものが世界デビューの際に採用)。また、本作が評判となり、続く『WINGS OF TOMORROW』(1984年)ではEpic Recordsとのワールドワイド契約も実現しています。
ギターやベースのチューニング、ボーカルのピッチの甘さが若干気になるものの、今聴いてもこの若さと勢いに満ち溢れた内容は『WINGS OF TOMORROW』とは異なるものがあり、あのタイミングだからこその真似できない魅力と言えるかもしれません。もしその後もキーボード主体のアレンジを採用することなく、本作で試みた方向性で進んでいたとしたら、その後どうなっていたんでしょうね。間違いなく「The Final Countdown」は生まれていなかった(世に出ていなかった)とは思いますが……。
本作発売から今年で40周年。このアニバーサリータイミングに『WALK THE EARTH』(2017年)以来となる新作にも期待したいですし、何より節目らしい活動があるのかも楽しみです。
▼EUROPE『EUROPE』
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