2006/09/30

EVANESCENCE『THE OPEN DOOR』(2006)

 1stアルバム「FALLEN」から3年半という時間が経ってしまったことにも驚きだけど、前作で大半の楽曲を手がけたベン・ムーディが脱退したにもかかわらずここまで前作からステップアップした作品を生み出せたのは、さすがだなぁと思います。そんなEVANESCENCE、現在はバンドという形を取っているようですが(いや、少なくともデビュー作の時点でもそういう触れ込みだったけど、現実的にはエイミーとベンの2人がメインだったよね)、今回も表ジャケットにはエイミーの姿のみ。これがバンドのコンセプトだと言ってしまえばそれまでですが、やはりエイミーさえいれば成り立つのが今のEVANESCENCEかな、という気が。

 ま、そんなことはどうでもいいんですよ……曲が良ければ。正直に書くと、最初先行シングルの "Call Me When You're Sober" を聴いたときは「あぁ、やっぱり前作は超えられないか。そりゃ曲書いた人間がいないし、前の焼き直し&水増しバージョンになってもしゃーないわな」と落胆したんです。悪くない、悪くないけど取り立てて素晴らしいとも言えない。そんな微妙な曲だなぁと。だけどアルバムを通して聴くまではその気持ちを押し殺して、とにかく全部聴いてみようと思ったわけ。

 で、ガーッと通して聴きました、アルバム。すでに何度となく聴き返してますが……いいんだよね、これ。個人的には前作よりも好き。前作はいわゆる「ゴシックなラウドロック」という枠に当てはめたかのような……まぁ産業ロック臭がプンプンしてて、人によってはまったく受け入れられなかったんじゃないかな。ところが今回はライブで聴くことができるようなヘヴィさが前面に押し出されて、それでいて全体としてのバランス感が優れている。いわゆる「トータルコンセプトのしっかりした」アルバムとして仕上がってるわけ。流れも良いし、とにかく聴き入ってしまうアルバムなんだよね。ただ、その分「これ!」という決めの1曲がないのも確か。"Bring Me To Life" や "Going Under"、"My Immortal" のような突出した出来の楽曲がね……"Call Me When You're Sober" は正直そこまでのナンバーだとは思わないし。だけどアルバムとしての出来は、前作以上の内容だと思うんだよね、不思議だね。

 彼ら(というか彼女)がこの2ndアルバムを「アルバム・オリエンテッド」に仕上げようとしたのかどうかはわからない。もしかしたらこれでも「全曲シングルとして切れる傑作」のつもりなのかもしれない。でも、残念ながら俺にとってはそういう作品ではなくて、アルバムでがっつり楽しむ作品集だなぁと。受け取り方は聴き手それぞれだから別にいいんだろうけどさ。俺は好きよ、想像してた以上の出来だったし。

 昨今、この手の「ゴスの要素が強いラウドロック」は腐るほどあるし、決してEVANESCENCEがその元祖ではないけど、やはりブレイクのきっかけをつくった先駆者としての意地を見せつけられた気がします。これはまたバカ売れするのかもね、アメリカで。だって前作以上に「アメリカの音」だもんね?



▼EVANESCENCE「THE OPEN DOOR」(amazon:US盤日本盤DVD付日本盤

投稿: 2006 09 30 12:10 午前 [2006年の作品, Evanescence] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/12/04

まだまだあるよ、ボックスセット

 昨日のエントリで、年末商戦に合わせてボックスセットをリリースするアーティストが多いというお話をしましたが、前回挙げた他にもまぁボックスとまではいかないまでも、CD複数枚+DVD、あるいはCD+DVDというセット販売をする企画盤、結構あるんですよね。

 んで、最近話題になってるものをまた幾つか紹介してみようかと。大半が輸入盤ですが、モノによってはDVDがリージョンコード1で普通の家庭用プレイヤーで観れない代物もあるかと思いますので(PCでは観れるってのが多いのかな?)、それ目当てで購入を考えてる人はご注意を。


▼AEROSMITH「YOU GOTTA MOVE」[DVD+CD](amazon

 今年のツアーの模様を収めた、'80年代以降初の本格的ライヴDVD。実は復活後初?という貴重な代物。しかも今春MTVで放送されたドキュメント番組(90分)まで収録され、おまけにライヴテイク6曲+ "You Gotta Move" のリミックスによるCDまで付いてくる。未だに日本版リリース決まらないだけに‥‥けどリージョン1。くそー。



▼LINKIN PARK & JAY-Z「COLLISION COURSE」[CD+DVD](amazon

 MTVの企画でこの夏実現した奇跡のコラボレートのライヴDVD(MTVでのドキュメント映像付き)と、新たにスタジオセッションで録音したCDによる2枚組。最近ライヴ盤とかリミックスとか、この手の企画盤が多いLINKIN PARK、そろそろ純粋な新作が聴きたいところですな。



▼EVANESCENCE「ANYWHERE BUT HOME」[CD+DVD](amazon

 こちらも新作が待ち遠しいニューメタルバンドの、ライヴアルバム+ライヴDVD。KORNのカバー "Thoughtless" がちょっと楽しみ。ライヴでよくやってたスマパン "Zero" も入れて欲しかったなぁ。CDには未発表のスタジオ録音新曲 "Missing" も収録。これ聴いて来年の新作まで待てってことか。



▼A PERFECT CIRCLE「aMOTION」[DVD+CD](amazon

 先日リリースされたカバー+新曲によるアルバム「eMOTIVe」と対となる映像集に、リミックス音源を集めたCDが付いた作品集。全PVが収録されてるし、未公開映像もあるようなんですが‥‥これ、リージョン1なんですよね。購入にはくれぐれもご注意を。



▼「AXIS OF JUSTICE : CONCERT SERIES VOL.1」[CD+DVD](amazon

 SYSTEM OF A DOWNのサージやAUDIOSLAVEのトム・モレロが中心となって開催されたイベントの模様を収めたCD&DVD。クリス・コーネルやブラッドといった他のAUDIOSLAVEメンバーやレッチリのフリー、TOOL/A PERFECT CIRCLEのメイナード、MC5のウェイン・クレイマーがU2やエルヴィス・コステロ、ボブ・マーリーの曲をカバーしてるだけでなく、トム・モレロのアコースティックユニットの曲も収録されてるんですね。



▼ERIC CLAPTON「SESSIONS FOR ROBERT J.」[CD+DVD](amazon

 この春に出た「ME AND Mr.JOHNSON」CDに、そのリハーサル風景&セッションを撮影したDVDがセットになったもの。だったら最初に出せって話ですよね。これだけのために買っちゃいそうな内容ならいんですが。ま、クラプトンのファンは金持ってるオッサン多そうだし、問題ないか‥‥



▼SIMON & GARFUNKEL「OLD FRIENDS : LIVE ON STAGE」[2CD+DVD](amazon

 先にリリースされた2枚組CDに、同内容の映像版DVDを付けたデラックス・エディション。アート・ガーファンクルの麻薬所持逮捕でミソが付いてしまった感もあり、結局来日も実現せず幻となった再結成ツアー。これ観て(聴いて)泣いてください‥‥


投稿: 2004 12 04 12:05 午前 [2004年の作品, A Perfect Circle, Aerosmith, Evanescence, Linkin Park] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/06/15

EVANESCENCE『FALLEN』(2003)

売れてますねぇ、EVANESCENCE。3~4月頃から輸入盤店でよく見かけるようになったこのジャケット。丁度同じ頃に映画「デア・デビル」が公開され、その主題歌となった"Bring Me To Life"が大ヒットしたこともあり、アルバムはいきなり全米チャートのトップ5入り、今現在もトップ3前後を維持してる大ヒット振り。"Bring Me To Life"もシングルチャートの10位前後を維持し、イギリスにおいてもこの曲が初登場1位を記録。ここ日本ではまだアルバムがリリースになっていないものの(6月末リリース予定)、既にラジオでは"Bring Me To Life"がバンバンかかってる中、7月末には「FUJI ROCK FESTIVAL」出演の為、初来日決定。非常にいい時期にこのバンドの全貌を見ることが出来るわけですね。非常に楽しみであります。

さて、そんなEVANESCENCEですが、最初この"Bring Me To Life"を聴いた時(PVで観たんですよね)、既に下火となっているラウド・ロックやラップメタル一連の流れから登場したバンドだと思ったんですよ。実際この曲では女性シンガーの歌に絡むように男性ラップボーカルが登場しますし。やはり女性シンガー(しかもまだ10代という話ですが‥‥)がこの手のバンドで歌っているというのが物珍しくてヒットしてるのかな、なんて思ってて。けど、耳にしたこの曲は確かにいい曲なんですよね。1回しか耳にしなかったにも関わらず、それから数日間脳内でこの曲が延々リピートされていて、結局数日後にはこのデビューアルバム「FALLEN」を買ってしまったのですから。

アルバムを聴くまで、全体的にそういった感じ‥‥女性が歌い、男性がラップするラウドロック‥‥だと思ってたんですよ。LINKIN PARK以降の流れ、みたいな。俺、LINKIN PARKって出てきた時から苦手だったんですよね(以前どこかにも書きましたが)。このバンドの登場によって俺自身、この手のラウドロックに対する興味が薄らいでいった程。先日出たセカンドアルバムはちょっといいかな!?程度に感じられるまで嫌悪感は薄れましたが‥‥それでも「もうラウドロックとかニューメタルとか、そういう遠回しな言い方、やめれば? 普通にハードロック/ヘヴィメタルでいいじゃん??」っていう気持ちは消えないわけで。

んで、このアルバム。聴いてまずビックリしたのは、あの手のラップが絡む曲は"Bring Me To Life"1曲のみだということ。そしてPV等のビジュアルイメージからも何となく伝わってきてましたが、ゴスの影響を色濃く感じるということ。ラウドなナンバーに匹敵するだけのピアノバラードが数曲収録されていること、等々。とにかく新鮮だったのね。全体的にミドルテンポのマイナーチューンが殆どなんだけど、これもギターやベースがローキー(ダウンチューニングか7弦ギター/5弦ベースを使用してる?)為、昨今のラウド系の流れを組んでるように感じるけど、根本にあるのは'80年代的なメロディアス・ハードロック。そこに加えて'80年代後半にイギリスから登場したゴスやニューウェーブの影響を受けたハードロック調のバンドの色合い、その他にもビョークやトリ・エイモスといったオルタナ世代の女性ソロ・シンガーからの影響‥‥そういったものが融合した結果がEVANESCENCEかな、という気がします。

個人的には、アメリカっぽくないメロディの湿り気がモロ好みで、尚かつそこに乗るシンガー、エイミー・リーの声質が非常に心地よいんですよ。この声、絶対に日本人好みのはず‥‥だってさ、ちょっとした節回しやブレスが、どことなく宇多田ヒカルに似てるんだから‥‥って感じたのは俺だけ? ヒッキーがこの手のハードロックを歌ったら、きっとこうなるのかな‥‥なんて考えながら聴いてると、ちょっと面白いかも。

1曲1曲はやはりよく出来てますよね。ギターも出しゃばりすぎず、どっちかっていうとピアノの方が耳に残るという、ねっ? 要所要所に登場するストリングスも心地よいし、オペラチックな分厚いコーラスもいい感じ。これが'80年代だったら「産業メタル」に括られたんだろうけど、正直そんなのどうでもいいです。独特な世界観を持ち、曲が素晴らしく、演奏もしっかりしてる。個人的にはそれで十分。「話題の新人」的な大きなエピソードとかその手のやつは、流行のリフロック勢に任せればいいし。暴れる為のニューメタルではなくて、リスニング‥‥あくまで曲の良さで勝負する、そして歌をしっかり聴かせるニューメタル、それでいいんじゃない?

そういえば、ドラムにジョシュ・フリースの名前があったからってわけじゃないけど‥‥ある種、A PERFECT CIRCLEにも通ずる要素を感じるよね。最初に聴いた時、ドラムがジョシュだって知らなかったんだけど、やっぱりこのバンド名を思い浮かべたもんなぁ。その手の流れを組むサウンドが好きで、女性ボーカルものが好きって人なら絶対に気に入る1枚ですよね。話題の云々ってのは気にしないでさ。いいものはいい、それでいいじゃない?



▼EVANESCENCE『FALLEN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 06 15 07:12 午後 [2003年の作品, Evanescence] | 固定リンク