EXTREME: THICKER THAN BLOOD JAPAN TOUR 2023@昭和女子大学人見記念講堂(2023年9月21日)
EXTREME、最後に観たのは『III SIDES TO EVERY STORY』(1992年)を携えた武道館公演(1993年3月)なので、実に30年ぶりらしいです(笑)。今年6月に発売された新作『SIX』の出来も素晴らしかったし、かつ今回の会場に人見記念講堂がセレクトされていたこともあり、迷わず行くことに。ここで観るロック/メタル系ライブにこれまでハズレがなかったので、安心して脚を運んだのですが……。
オープニング「It ('s A Monster)」での、特にギターで顕著だった薄皮1枚挟んだような音の鳴り。ベースはHR/HM系というよりもファンク系寄り(ピック弾きなのにスラップ前提)の音作り、ドラムに至っては時代錯誤な“アリーナロック的エフェクト”がかかった音作り(おそらくトリガーかましてるのかな)……トータル、80年代後半の国内ホールで観たHR/HM系ライブみたいな音で、なんとも気持ち悪い。
そういったカセット録音時代のブート音源を大音量で鳴らされてる感覚に加え、ハコならではの反響が悪影響を及ぼし、そこにいるだけで船酔いしたような気持ち悪さが続くんです。この日は2階席だったこともよくなかったのかな、大好きな「Decadence Dance」でも、「Rest In Peace」や「Hip Today」でもまったく楽しむことができませんでした。耳の持病があるだけに、疲れが溜まっているときにこういう音を聴くと本当に体調に悪影響を与えるので、正直頭5、6曲の時点では「今日は帰ろうかな?」と思ってしまうほどでした。
しかし、中盤に「Hole Hearted」を挟んだあたりから状況に変化が。スタンドドラム&アコギというそれまでと異なるセッティングで鳴らされた音は、先ほどの合成着色料まみれのそれとは異なり、この会場にフィットしたものだったんです。その後、彼らのライブにおけるハイライトともいえる「Cupid's Dead」に移るのですが、序盤とは雲泥の差のミキシングで徐々に楽しめるように。さらに「More Than Words」を挟んだことで状況がさらに好転し、なんとかラストまでとどまることができました。
とはいえ、船酔い状態は最後まで残り、ライブ終了と同時に即退出。結果としては後味の悪いものとなってしまいました。彼らのような(ある意味)オールドスクールなヘアメタル/アリーナメタルと人見記念講堂って、こんなにも相性が悪かったんだと確認できたという点では収穫だったのかな。あとで聞いた話ですが、この日が彼らにとって今ツアーでの同会場初ライブだったこともあり、ライブエンジニアさんは音作りに相当苦労したそう。翌日も同会場で公演があったそうですが、初日よりは幾分よかったと聞いています。
昨今の自分の趣味からかけ離れた音作りだったためか、今回は珍しくネガティブなことを書き連ねてしまいましたが、セトリやバンドのパフォーマンス自体はかなり満足度の高いものだったと思うので、そこはしっかり伝えておきます。
セットリスト
01. It ('s A Monster)
02. Decadence Dance
03. #Rebel
04. Rest In Peace
05. Hip Today
06. Medley: Teacher's Pet / Flesh 'n' Blood / Wind Me Up / Kid Ego
07. Play With Me
08. Other Side Of The Rainbow
09. Hole Hearted
10. Cupid's Dead
11. Am I Ever Gonna Change
12. Midnight Express
13. More Than Words
14. Banshee
15. Take Us Alive
16. Flight Of The Wounded Bumblebee
17. Get The Funk Out
Encore
18. Small Town Beautiful / Song For Love
19. Rise