2017/11/22

EXTREME『III SIDES TO EVERY STORY』(1992)

1992年秋に発表された、EXTREME通算3作目のオリジナルアルバム。1990年夏にリリースした前作『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』からのシングル「More Than Words」が全米1位、続く「Hole Hearted」も全米4位とヒット曲を連発し、アルバム自体も全米10位まで上昇し、200万枚以上も売り上げる結果に。続く本作はその成功を踏まえた、前作の延長線上にある内容になるかと思われました。

しかし、いざ届けられたアルバムはアナログ盤で2枚組に相当するコンセプチュアルな内容。確かに「More Than Words」的アコースティック/バラード路線も「Get The Funk Out」の流れを組むファンクメタル路線も引き継いでいるものの、よりやりたい放題でとっ散らかった作風と言えるような代物でした。

「Yours」「Mine」「The Truth」という3つの側面=III SIDESから構成された本作は、大雑把に言うと「Yours」がハードロック/ファンクロックサイド、「Mine」がメロウ/バラードサイド、「The Truth」はプログレッシヴロックサイド……といったところでしょうか。

「Yours」はヌーノ・ベッテンコート(G)のギタープレイが前面に打ち出されたファストナンバー「Warheads」からスタート。続く先行シングル「Rest In Peace」はファンキーでサイケデリックながらも歌メロがキャッチーな、いかにもシングル向きの1曲。ギターソロ終盤に登場するジミヘンの名フレーズ含め、彼らの遊び心が感じられる仕上がりです。「Politicalamity」「Cupid's Dead」は彼らのファンクロックサイドを強調させた楽曲で、それぞれ前作の延長線上にありながらもより深みを増した印象があります。そんな中で「Color Me Blind」はちょっと異色の1曲かな。ストレートなメロディアスハードロックなのですが、すごく引っかかりのある楽曲なんです。そういう意味では、彼らの新境地と言えるかもしれません。

続く「Mine」は、ギターレスのポップバラード「Seven Sundays」からスタート。これなんて、もろにQUEENですよね。そこから「Hole Hearted」の流れをくむ「Tragic Comic」続き、次の「Our Father」からの構成はまさに初期のQUEENのアルバム。大げさでドラマチックで、ロックの域を逸脱したポップさは、確かにハードロックを彼らに求める層にはちょっと疑問が残る楽曲群かもしれません。

で、そこをさらに激化させたのが「The Truth」サイド。全3曲から構成された「Everything Under The Sun」という組曲は、トータル22分におよぶ大作で、ストリングスや管楽器まで登場する……もはやハードロックの枠で語りたくなくなる壮大な交響曲です。「ああ、ヌーノはこれがやりたかったんだな」と、ここにたどり着いて納得させられました。つまり、メタルサイドもファンクサイドもポップサイドもちゃんと残して、それを序盤に詰め込んで、最後の最後に「ここからは好きにやらせてもらいます」と20分以上の組曲を投入する。見方次第では作り手のオナニーと受け取られてしまう可能性も高いですが、でもリスナーが求めるものもしっかり提供しているわけで、そこはちゃんとバランスが取れてると思うんですよね。

そういうオナニー的な部分が災いして、というわけではないでしょうが、本作は全米10位と前作同様の記録を残すものの、セールス的には50万枚止まり。というのも、世の中的にはNIRVANAをはじめとするグランジ勢がロックシーンを席巻し、ハードロック勢は“時代遅れ”として後ろに追いやられてしまったわけです。そんな状況下でもこれだけの数字を残せたのは、ある意味ラッキーだったのかもしれませんね。

ちなみに本作、収録時間の関係でCDバージョンだと「Mine」サイドラストナンバーの「Don't Leave Me Alone」がカット。アナログやカセット版には問題なく収録されているのですが……ということもあって、国内盤初版発売時は同曲のみが収められたオマケの8cmCDが付いていたりもしました。配信が主流になった今こそ、完全版で再発してほしいんですけどね。



▼EXTREME『III SIDES TO EVERY STORY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 11 22 12:00 午前 [1992年の作品, Extreme] | 固定リンク

2015/02/05

EXTREME『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』Deluxe Edition(1990 / 2015)

言わずと知れたEXTREMEの出世作である2ndアルバム『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』(1990年発売)が、リリースから25年を経てデラックスエディション化……と書けばカッコがつくかもしれませんが、要はユニバーサル系にありがちな「シングルのB面や別バージョン、未発表テイクなどを加えて水増しした2枚組」です。昨年はBON JOVIの4thアルバム『NEW JERSEY』(1988年)がこのスタイルで再発(かつ、DVDも付いたスーパーデラックスエデョンも用意)されましたが、まさかExtremeまでこの企画で再発されるとは思ってもみませんでした。

先日、たまたまCDショップのHR/HMコーナーをうろうろしてたら偶然こいつを見つけて、そのまま手にして即レジ行き。このアルバム自体はリリース当時に輸入盤で買って持っているのにも関わらず……完全にDISC 2目当てですけどね。

今回のデラックスエディション化で気になっていたのは、下記の2点。

1. オリジナルアルバム(DISC 1)はリマスタリングされているか。
2. 「More Than Words」のMV音源は収録されているか。
3. シングルのカップリング曲は網羅されているか。レアトラックは収録されているか。

「1」に関しては、まあせっかく2枚目を買うんだから、ちょっとでも音がよくなっていてほしいなと。「2」については……過去に8cmシングル(短冊形のシングル)として国内盤がリリースされた際にはこの音源が収録されておらず、別のショートバージョンだった記憶があるんです。当時このシングルを購入したんですが、確か違ってたと思うんですよね。輸入盤のシングルも購入したけど、そこにも収録されてなかったし。

こちらの音源ですね。1コーラスから2コーラスに入る直前の「Fu〜」というハーモニー、エンディングのハーモニーがオリジナルバージョンにないものなんですよね。これが個人的に気に入ってまして。ま、原曲が一番という大前提があって、この風変わりなショートバージョンが気に入ってるだけなんですが。

というわけで、実際に購入して聴いてみました。

1. オリジナルアルバム(DISC 1)はリマスタリングされているか。

実は25年前に買ったCDを探しているのですが、部屋の隅に積み重ねられた段ボールのどこかに入っているらしく、見つけられませんでした。なので、スピーカーを通して聴いてみた印象で書きます(大丈夫か、それ?)。

DISC 1、DISC 2を通して聴くと、明らかにDISC 2の方が音圧があり、全体的な音量もDISC 1より大きいです。かといって、DISC 1の音圧も1990年という時代性を考慮して考えてみても、若干高めのような気が。しかしパッケージやブックレットにはリマスタリングの文字は見つけられず。ところがオフィシャルサイトのテキストを読む限りでは、DISC 1もリミックスされていると受け取ったほうがいいようです。

2. 「More Than Words」のMV音源は収録されているか。

結論から言うと、入ってました。MVのバージョンはDISC 2のM6「More Than Words (Accapella)」ということになります。聴く前はサブタイトルにある「アカペラ」にダマされて、「ああ、やっぱり入ってないか……」と凹んだものの、いざ聴いてみたら「……これこれ!」と。やっとめぐり会えました。

で、このCD。ちょっとした「More Than Words地獄」仕様なんですよ(笑)。「More Than Words」だけで4バージョン、DISC 1のオリジナルバージョンを含めれば計5バージョンの「More Than Words」を聴けるわけですから。詳しく解説していくと、

(1)「More Than Words」(DISC 1 M5):5分半あるオリジナル版。パーカッションなし。
(2)「More Than Words (Edit)」(DISC 2 M3):2コーラス後のエンディングを2分近く短縮&パーカッション追加。
(3)「More Than Words (Remix)」(DISC 2 M1):(2)のリミックスバージョン。ボーカルがリバーブ深めな印象。
(4)「More Than Words (Accapella)」(DISC 2 M6):先のMVバージョン。一部ハーモニーを追加。パーカッションなし。
(5)「More Than Words (Accapella with Congas)」(DISC 2 M6):(4)からギターを取り除き、パーカッションを追加したもの。サビでのハモリの声数が(4)よりも多い。

正直(2)と(3)の違いがあまりわかりませんでしたが、(5)までくるとなかなか笑えるものがあります。「ギターなしかよ!」と。

にしても、(1)とそれ以外のバージョンを続けて聴くと、やっぱりDISC 1はリマスタリングされてないんじゃないか……という気がしてくるんですが……もうこの際、どうでもいいか。

3. シングルのカップリング曲は網羅されているか。レアトラックは収録されているか。

『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』収録楽曲に関しては網羅されています。というのも、同作からのシングルには1stアルバム『EXTREME』(1989年)収録曲のリミックスバージョンが収められておりまして(「Get The Funk Out」輸入盤シングル収録の「Mutha (Don't Wanna Go To School Today)」リミックス)、こちらは今回のデラックスエディションでは対象外となったようです。

さらに、これは公式シングルではないのかもしれませんが、名バラード「Song For Love」がイギリス限定でシングル化されており、こちらにはブライアン・メイをフィーチャーしたQUEEN「Love of My Life」のカバーが収められていますが、こちらも対象外。なんだか中途半端なデラックスエディションになってしまた気がします。

また、DISC 2の収録曲10曲すべてがすでに世に出ている音源であり、残念ながら初出しのレアトラックは含まれておりません。そうは言いましても『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』というアルバム自体は名盤中の名盤。シングルのカップリング曲が網羅されてないからといって、アルバムの価値が下がるとは思えません。実際、このアルバムをまだ聴いたことがないという人は、おまけが付いた今回のデラックスエディションを手にするのもいいかもしれませんね。「More Than Words地獄」でぜひ笑ってください。



うん、やっぱり今聴いてカッコいい。「Decadence Dance」のリフ、ちゃんと弾けるようになりたかったなあ。

EXTREMEが最後にオリジナルアルバムを出したのは2008年の『SAUDADES DE ROCK』が最後。2010年には初のライブアルバム『TAKE U ALIVE』もリリースしているものの、しばらく新曲はご無沙汰です。再結成後は頻繁に来日してくれる印象がありますが(ゲイリー・シェローンはHURTSMILEでも来日してるから余計にそう感じるのかも)、そろそろニューアルバムにも期待したいものですね。



▼Extreme「Extreme II : Pornograffitti」(Deluxe Edition)
(amazon:輸入盤 / MP3

投稿: 2015 02 05 04:14 午前 [1990年の作品, 2015年の作品, Extreme] | 固定リンク

2004/11/11

再結成EXTREME、来年1月に来日

 今年だったか昨年末だったか、MTVの企画によって再結成「させられた」EXTREME。その彼等が来日してライヴを行うそうですよ(→UDO音楽事務所)。

 今回のメンバーがこれまた変則的で、ギターはヌーノ・ベッテンコート(ソロ〜MORNING WIDOWSとして活動中)、ボーカルがゲイリー・シェロン(EXTREME解散後、VAN HALENに加入→アルバム1枚でクビ)、ドラムがポール・ギアリー(3rdアルバムリリース後、ミュージシャン生活から引退。マネージメント業を営み、現在ではGODSMACK辺りを手掛けてます)、ベースがカール・レスティヴォ。











‥‥カール・レスティヴォって誰?(汗

 つーかドラム、マイク・マンジーニじゃねぇのか。ちっ。

 確かEXTREMEのベーシストの名前はパット・パジャーという名前だったと記憶してるんですが‥‥違いましたっけ? (どうやらパットは今もゲイリーやマイク・マンジーニと共にバンドをやってるようですが、諸事情で今回来日できないようですね)。

 んで、そのカール・レスティヴォなる男について調べていたら、彼のオフィシャルサイトを発見しまして。どうやら「KLICK」というバンドのボーカル&ギターのようで。サイトで2曲程MP3音源を聴けるんですが、成る程、EXTREMEにハマる人かもしれませんね。ファンキーさでは共通するものがあるし(しかも今度ヌーノが彼等と3曲共作したようで。それも近々アップされるみたいですね)。

 そんなEXTREMEのヌーノさん。現在はスティーヴ・ルカサー(TOTO)と共にブルーノート公演のために来日中とのこと(→オフィシャルサイト)。

 で、何が言いたいのかといいますと‥‥

 今回は行かないよ、と。これで新曲やってくれるならまだしも、単なる懐メロツアーじゃねぇ。本人達が遊びのつもりでも、こっちは7,500円も払うわけですから。今後も続くのなら、是非次回観てみようかと思いますが‥‥

 とかいって俺、初来日のクラブチッタから最後の武道館公演まで、毎回行ってたんですけどね。



▼EXTREME「THE BEST OF EXTREME」(amazon:限定盤通常盤

投稿: 2004 11 11 11:55 午後 [Extreme] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック