カテゴリー「Extreme」の6件の記事

2019年1月18日 (金)

VAN HALEN『VAN HALEN III』(1998)

1998年3月にリリースされた、VAN HALEN通算11枚目のオリジナルアルバム。新曲を含む作品としてはデヴィッド・リー・ロスが復帰して制作した新曲2曲を含むベストアルバム『BEST OF VOLUME I』(1996年)以来1年半ぶりとなりますが、フルアルバムとしてはサミー・ヘイガー参加ラスト作となった『BALANCE』(1995年)以来まる3年ぶりのこと。「Without You」や「Fire In The Hole」のラジオヒット(後者は映画『リーサル・ウェポン4』にて使用)こそあったものの、アルバム自体はサミー加入後の『5150』(1986年)から4作続いた全米1位記録は途絶えてしまい、最高4位止まり。セールスもマルチプラチナムには程遠い50万枚程度で幕を下ろしています。

ちょうど1996〜7年頃はサミーの脱退やデイヴの復帰などで、フロントマンが落ち着かなかった不安定な時期。そんな中、バンドがシンガーとして選んだのはデイヴでもサミーでもない、“第3の男”ゲイリー・シェローンでした。ちょうどEXTREMEからヌーノ・ベッテンコート(G)が脱退し、こちらもバンドが傾いていたタイミング。そこでゲイリーがVAN HALENに移籍したことで、EXTREMEは一度自然消滅するのでした。

さて、タイプ的にはサミーよりもデイヴ寄りの、決して多彩さを持つ表現者ではないゲイリーですので、VAN HALENのサウンド的にも初期や『BEST OF VOLUME I』での新曲に近い方向性になるのかと思いきや、半分正解といったところでしょうか。初期っぽくはならず、『BEST OF VOLUME I』での新曲の延長線上。つまり、サミー時代の方向性の延長線上にある、従来の流れにある1枚なのです。また、サミーよりも陰なイメージの強いゲイリーの声/声質に合わせた曲作りがなされており、それもあってか若干ダークな印象も受けるアルバムでもあります。

ピアノとアコギからなるインスト「Neworld」を経てスタートするオープニングナンバー「Without You」こそ、前作『BALANCE』までの流れを汲むダイナミックなハードロックですが、続く「One I Want」には若干初期VAN HALENの香りも。かと思えば、非常にダークな「From Afar」や「Dirty Water Dog」があったり、新境地的なミディアムバラード「Once」もあり、バンドとして守りに入らず前進していることもアピールする。このへんは個人的にも好意的に受け入れています。

が、どの曲もコンパクトさに欠けるのもまた事実。インストの短尺曲以外は5分を下回る楽曲が皆無で、「Without You」は6分半、「Once」は7分半ですし、泣きのバラード「Year To The Day」は8分半もある。これは曲によってイントロが長かったり、曲中にギターソロや楽器隊のインタープレイが含まれていたりといろんな理由があるのですが、おそらくそれ以前との曲作りのスタンスの違いが大きいのかなと。明らかにジャムセッションの延長線上ですものね、このアルバム。シングルヒット量産型だった80年代後半から90年代前半の楽曲はもっとブラッシュアップされていたような気もするのですが、そこはボーカリストが変わったことによる意識の変化の表れなのかもしれません。

じゃあ、これだけソロのために時間が割かれているんだから、エディ・ヴァン・ヘイレン(G)の華麗なプレイが楽しめるのか?と言われると、答えはイエスでもありノーでもあると。正直、そこまで印象に残るプレイは多くなく、70〜80年代の彼と比較したら衝撃度も低い。手癖っぽいフレーズも多いですし……そういう点においても、彼らのキャリアにおいて評価は低い部類に入る1枚と言えるでしょう。

実は本作、リリース当時に購入したあと、数回聴いたのみで放置。これを書くにあたって20年ぶりに引っ張り出したのですが、思っていたよりも良いと思えたことだけは書き残しておきます。それでも、12曲で65分は長すぎですけどね。



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2018年4月20日 (金)

EXTREME『WAITING FOR THE PUNCHLINE』(1995)

1995年1月にリリースされた、EXTREME通算4作目のスタジオアルバム。大ブレイクのきっかけとなった2ndアルバム『PORNOGRAFFITTI』(1990年)が全米10位(200万枚超)、続く3rdアルバム『III SIDES TO EVERY STORY』(1992年)も全米10位(50万枚超)とそれなりの成功を収めますが、時代の潮流がHR/HMからグランジ的なものへと移行したことから人気も下降気味に。そういった中で、この4thアルバムの制作途中でポール・ギアリー(Dr)が脱退するというハプニングもあり、バンドとして苦境に立たされる中なんとか完成まで漕ぎ着けた1枚といえるでしょう。

とはいえ、アルバム自体はそういったネガティブな要素を吹き飛ばすような内容……でもないか(苦笑)。ええ、過去3作にあった“陽”の要素は完全に影を潜め、ひたすらダークな空気で覆われたヘヴィでザラついた作風なのです。それこそ、彼らの代名詞的な要素であった、ファンクメタルの要素も皆無。ダンサブルなカラーは若干あるものの、ファンクのそれとは一線を画するものですし。なので、このバンドに何を求めるかによっては、本作の評価は大きく異なるかもしれません。

もちろん、1枚のロックアルバムとしては非常に聴き応えのある強力なもので、例えば過去2作がAEROSMITHQUEEN的な溌剌とした“パッション命!”なアルバムだとしたら、本作はLED ZEPPELINあたりが持ち合わせた、音楽的実験と向き合いながら己の内面をサウンドで構築していく作法が用いられているような気がします。

それもあってか、サウンドプロダクションも80年代的なふくよかなものとは異なり、90年代前半らしいドライ&デッドな質感。ヌーノ・ベッテンコート(G)のギターサウンドのざらつき加減は好き嫌いが分かれそうですが、このアルバムに関して言えば非常にマッチしたものだと思うんです。プレイ自体も彼らしいテクニカルさを随所に織り交ぜているものの、派手になりすぎない“加減のわかった”奏法ですし。

ポールの後任として加入したのは、のちにDREAM THEATERに加入することになるマイク・マンジーニ。本作ではシングルカットされた「Hip Today」や「Leave Me Alone」「No Respect」の3曲のみに参加していますが、「Hip Today」でのシンプルながらも随所に派手なフィルをフィーチャーしたドラミングはキラリと光るものがあるし、なによりも「No Respect」の派手さは圧巻。特にヌーノの流麗なアコースティックギタープレイを味わえるから「Leave Me Alone」へ、そのまま「No Respect」へと続く構成は本作のハイライトと言えるでしょう。

ゲイリー・シェローン(Vo)のボーカルもこういったダークめのサウンドに合っていると思うし、何気にEXTREMEにおける裏名盤なんじゃないでしょうか。『PORNOGRAFFITTI』と双璧をなす、陽と陰を表す2作品だと思います。



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2018年2月 1日 (木)

V.A.『KISS MY ASS: CLASSIC KISS REGROOVED』(1994)

1994年6月にリリースされた、KISSのトリビュートアルバム。ちょうどKISS結成20周年を記念して、当時のメンバーも制作に携わった1枚で、レニー・クラヴィッツガース・ブルックスANTHRAXGIN BLOSSOMSTOAD THE WET SPROCKETDINOSAUR JR.EXTREMETHE LEMONHEADSTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONESといったメタル/オルタナ/カントリーなどKISSに影響を受けた幅広いジャンルのアーティストに加え、ここ日本からもYOSHIKI(X JAPAN)が参加。さらに、メイナード・キーナン(TOOL)、トム・モレロ&ブラッド・ウィルク(RAGE AGAINST THE MACHINE)、ビリー・グールド(FAITH NO MORE)からなるスペシャルユニットSHANDI'S ADDICTION(JANE'S ADDICITONをKISSの楽曲「Shandi」にひっかけてもじったもの)まで参加しております。

まあKISS愛に溢れた……というよりは、各アーティストが平常運転でKISSの楽曲をカバーしたといったほうが正しいのかもしれませんね。だって、1曲目の「Deuce」からレニー・クラヴィッツ、直球勝負でカバーしつつも彼らしく味付けしてますから。ちなみにこの曲、ハーモニカでスティーヴィー・ワンダーもゲスト参加してます。

かと思えば、KISSご本家が演奏で加わったガース・ブルックス「Hard Luck Woman」は、カバーというよりもコピー。本家がいつもどおりに演奏して、ポール・スタンレーがハーモニーで加わっているんだから、そりゃあ“まんま”になっても仕方ないですよね(笑)。ANTHRAXの「She」も平常運転、というか途中まで“まんま”すぎて、後半に彼らならではのこだわりのアレンジが加わるという。この時期の彼らは、ボーカルがジョン・ブッシュ時代なので、こういったジーン・シモンズ色の強い曲はピッタリですね。

そういえば、1994年というとグランジブーム末期というタイミングで、KISSから影響を受けたと公言するグランジバンドも少なくありませんでした。そういうこともあって、GIN BLOSSOMS、TOAD THE WET SPROCKET、DINOSAUR JR.あたりのグランジ/オルタナロックバンドのKISSカバーは良い味を醸し出しています。GIN BLOSSOMS「Christine Sixteen」こそストレートなカバーですが、TOAD THE WET SPROCKET「Rock And Roll All Nite」のアコースティックスローカバー、DINOSAUR JR.「Goin' Blind」のヘヴィで泣きまくり、かつ脱力系なカバーは完璧すぎるほどの素晴らしい仕上がり。1994年という時代感を見事に反映した、本作の中でもベストテイクと言えるでしょう。

そして、本作中もっとも異色のカバーがSHANDI'S ADDICTION「Calling Dr. Love」。トム・モレロの変態ギターを存分に活かしたテイクで、参加メンバーの各バンドの個性が見事に反映されたアレンジは、最高の一言。のちのヘヴィロック/ラウドロック一大革命を先取った1曲と言えるかもしれません。

その他にも、EXTREMEらしくファンクロック的“ハネた”ミディアムナンバーへと昇華させた「Strutter」、あの有名なツインリードギターをブラスで再現した爆笑モノのTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONES「Detroit Rock City」、いかにもYOSHIKI、というかまんまX JAPANな「Black Diamond」のオーケストラバージョン、ボーナストラックとして追加されたドイツのバンドDIE ÄRZTEの「Unholy」ドイツ語カバー(途中でディスコな“あの曲”も飛び出したり)など、聴きどころ満載。トリビュートアルバムとしては、かなり力の入った1枚ではないでしょうか。そりゃまあ、アーティスト本人が尽力してるんだもんね。

ちなみに本作、今のようにKISSがメイク時代に戻る前の作品ながらも、全米19位まで上昇。50万枚を超えるヒット作となりました。今思えば、このへんの成功が数年後のオリメン&メイク復活の布石になったんでしょうね。

なお、本作はストリーミング配信はおろか、デジタル配信自体が行われておりません。勿体ないったらありゃしない。



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2017年11月22日 (水)

EXTREME『III SIDES TO EVERY STORY』(1992)

1992年秋に発表された、EXTREME通算3作目のオリジナルアルバム。1990年夏にリリースした前作『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』からのシングル「More Than Words」が全米1位、続く「Hole Hearted」も全米4位とヒット曲を連発し、アルバム自体も全米10位まで上昇し、200万枚以上も売り上げる結果に。続く本作はその成功を踏まえた、前作の延長線上にある内容になるかと思われました。

しかし、いざ届けられたアルバムはアナログ盤で2枚組に相当するコンセプチュアルな内容。確かに「More Than Words」的アコースティック/バラード路線も「Get The Funk Out」の流れを組むファンクメタル路線も引き継いでいるものの、よりやりたい放題でとっ散らかった作風と言えるような代物でした。

「Yours」「Mine」「The Truth」という3つの側面=III SIDESから構成された本作は、大雑把に言うと「Yours」がハードロック/ファンクロックサイド、「Mine」がメロウ/バラードサイド、「The Truth」はプログレッシヴロックサイド……といったところでしょうか。

「Yours」はヌーノ・ベッテンコート(G)のギタープレイが前面に打ち出されたファストナンバー「Warheads」からスタート。続く先行シングル「Rest In Peace」はファンキーでサイケデリックながらも歌メロがキャッチーな、いかにもシングル向きの1曲。ギターソロ終盤に登場するジミヘンの名フレーズ含め、彼らの遊び心が感じられる仕上がりです。「Politicalamity」「Cupid's Dead」は彼らのファンクロックサイドを強調させた楽曲で、それぞれ前作の延長線上にありながらもより深みを増した印象があります。そんな中で「Color Me Blind」はちょっと異色の1曲かな。ストレートなメロディアスハードロックなのですが、すごく引っかかりのある楽曲なんです。そういう意味では、彼らの新境地と言えるかもしれません。

続く「Mine」は、ギターレスのポップバラード「Seven Sundays」からスタート。これなんて、もろにQUEENですよね。そこから「Hole Hearted」の流れをくむ「Tragic Comic」続き、次の「Our Father」からの構成はまさに初期のQUEENのアルバム。大げさでドラマチックで、ロックの域を逸脱したポップさは、確かにハードロックを彼らに求める層にはちょっと疑問が残る楽曲群かもしれません。

で、そこをさらに激化させたのが「The Truth」サイド。全3曲から構成された「Everything Under The Sun」という組曲は、トータル22分におよぶ大作で、ストリングスや管楽器まで登場する……もはやハードロックの枠で語りたくなくなる壮大な交響曲です。「ああ、ヌーノはこれがやりたかったんだな」と、ここにたどり着いて納得させられました。つまり、メタルサイドもファンクサイドもポップサイドもちゃんと残して、それを序盤に詰め込んで、最後の最後に「ここからは好きにやらせてもらいます」と20分以上の組曲を投入する。見方次第では作り手のオナニーと受け取られてしまう可能性も高いですが、でもリスナーが求めるものもしっかり提供しているわけで、そこはちゃんとバランスが取れてると思うんですよね。

そういうオナニー的な部分が災いして、というわけではないでしょうが、本作は全米10位と前作同様の記録を残すものの、セールス的には50万枚止まり。というのも、世の中的にはNIRVANAをはじめとするグランジ勢がロックシーンを席巻し、ハードロック勢は“時代遅れ”として後ろに追いやられてしまったわけです。そんな状況下でもこれだけの数字を残せたのは、ある意味ラッキーだったのかもしれませんね。

ちなみに本作、収録時間の関係でCDバージョンだと「Mine」サイドラストナンバーの「Don't Leave Me Alone」がカット。アナログやカセット版には問題なく収録されているのですが……ということもあって、国内盤初版発売時は同曲のみが収められたオマケの8cmCDが付いていたりもしました。配信が主流になった今こそ、完全版で再発してほしいんですけどね。



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2015年2月 5日 (木)

EXTREME『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』Deluxe Edition(1990 / 2015)

言わずと知れたEXTREMEの出世作である2ndアルバム『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』(1990年発売)が、リリースから25年を経てデラックスエディション化……と書けばカッコがつくかもしれませんが、要はユニバーサル系にありがちな「シングルのB面や別バージョン、未発表テイクなどを加えて水増しした2枚組」です。昨年はBON JOVIの4thアルバム『NEW JERSEY』(1988年)がこのスタイルで再発(かつ、DVDも付いたスーパーデラックスエデョンも用意)されましたが、まさかExtremeまでこの企画で再発されるとは思ってもみませんでした。

先日、たまたまCDショップのHR/HMコーナーをうろうろしてたら偶然こいつを見つけて、そのまま手にして即レジ行き。このアルバム自体はリリース当時に輸入盤で買って持っているのにも関わらず……完全にDISC 2目当てですけどね。

今回のデラックスエディション化で気になっていたのは、下記の2点。

1. オリジナルアルバム(DISC 1)はリマスタリングされているか。
2. 「More Than Words」のMV音源は収録されているか。
3. シングルのカップリング曲は網羅されているか。レアトラックは収録されているか。

「1」に関しては、まあせっかく2枚目を買うんだから、ちょっとでも音がよくなっていてほしいなと。「2」については……過去に8cmシングル(短冊形のシングル)として国内盤がリリースされた際にはこの音源が収録されておらず、別のショートバージョンだった記憶があるんです。当時このシングルを購入したんですが、確か違ってたと思うんですよね。輸入盤のシングルも購入したけど、そこにも収録されてなかったし。

こちらの音源ですね。1コーラスから2コーラスに入る直前の「Fu〜」というハーモニー、エンディングのハーモニーがオリジナルバージョンにないものなんですよね。これが個人的に気に入ってまして。ま、原曲が一番という大前提があって、この風変わりなショートバージョンが気に入ってるだけなんですが。

というわけで、実際に購入して聴いてみました。

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2004年11月11日 (木)

再結成EXTREME、来年1月に来日

 今年だったか昨年末だったか、MTVの企画によって再結成「させられた」EXTREME。その彼等が来日してライヴを行うそうですよ(→UDO音楽事務所)。

 今回のメンバーがこれまた変則的で、ギターはヌーノ・ベッテンコート(ソロ〜MORNING WIDOWSとして活動中)、ボーカルがゲイリー・シェロン(EXTREME解散後、VAN HALENに加入→アルバム1枚でクビ)、ドラムがポール・ギアリー(3rdアルバムリリース後、ミュージシャン生活から引退。マネージメント業を営み、現在ではGODSMACK辺りを手掛けてます)、ベースがカール・レスティヴォ。

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