2019年1月22日 (火)

FEVER 333『STRENGTH IN NUMB333RS』(2019)

2019年1月18日に世界同時リリースされた、FEVER 333待望の1stフルアルバム。日本では前作にあたるミニアルバム(EP)『MADE AN AMERICA』(2018年)がCD化されましたが、海外では同作はデジタル版およびアナログ版のみでの発売。つまり、このフルアルバムが初のCDリリースとなるわけです。

プロデュースを担当したのは、GODLFINGERのジョン・フェルドマン(DISTURBEDBLACK VEIL BRIDESONE OK ROCKなど)とBLINK-182のトラヴィス・バーカーという前作から参加の面々。ジョンはアディショナル・ギター、トラヴィスはアディショナル・ドラムおよびプログラミングでも貢献しているようです。

さて、『MADE AN AMERICA』の時点では「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」的な捉えられ方も多かったようですが、今作では「One Of Us」などラップコア的方向性をより推し進めるかと思いきや、「Burn It」や「Prey For Me」などメロディアスでエモーショナルな方向性も強めています。

このへんの楽曲は前作のレビューでも触れたように、TWENTY ONE PILOTS以降のポストハードコア/エモ/ラウド/ポップスの流れを踏襲したものであると同時に、今作ではさらにニューメタルおよびそこを起点にエレクトロ方面へと進化していったLINKIN PARKからの影響も強く感じられ、前作では見せきれなかった多面性がより表面化してきたのではないでしょうか。「Inglewood」や「Out Of Control」のアンセム感なんて、完全にその影響が見えますしね。

思った以上に歌モノとしての即効性が強いことに、最初は面食らったというか驚いたのですが、それも最初だけ。何度も聴き込むうちに、シンプルに「カッコいい!」と思えるのですから、不思議なものです。懐かしさを感じさせつつも、しっかり今の音としてド真ん中を突いてくる。聴きやすさと同時に、しっかりアグレッシヴさも備わっているので、一筋縄ではいかない。このへんの絶妙なさじ加減も、FEVER 333というバンドの魅力のひとつではないでしょうか。

また、メッセージ性の点においても、彼らが「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」と呼ばれる理由が理解できるものがある。直接的に特定の誰かを攻撃するわけではなく、誰もが思い浮かべられるであろう共通の仮想敵を歌の中で作り上げ、聴き手との意思疎通を図る。リスナー1人ひとりが脳内でイメージする仮想敵はすべて一緒ではないものの、これらの楽曲を前にしたら誰もが叫びたいことは一緒。そういう意味でも非常に器用だし、ポップシーンでも成功を収められるだけの器量を持っていると思うのです。

こりゃ売れますよ。最近、ロック系アーティストがBillboard 200でなかなか1位を獲れずにいるけど、これは久しぶりにやっちゃうんじゃないか……そう強く実感させてくれる、非常に“NOWな”アルバムだと思います。3月に予定されているジャパンツアー、ものすごいことになるんじゃないかな。今のうちにチケットを押さえておいたほうがいいと思いますよ。



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投稿: 2019 01 22 12:00 午前 [2019年の作品, Fever 333, The] | 固定リンク

2018年12月26日 (水)

2018年総括(番外編):HR/HM、ラウドロック編

隔月の奇数月に「リアルサウンド」さんにて、HR/HMやラウドロックの新譜キュレーション記事を書いているのですが、2018年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2018年ラウドロック年間ベスト10 ネガティブな話題の中にも豊作が揃った1年」が12月25日に公開されました。

基本的には順位を付けるのは苦手なのですが、ここでま毎回思い切って1位から10位まで順番をつけて10枚紹介しています。今年に関しては上位3作品に関しては不動なのですが、4位以降は日によって変動があると思うので、セレクトの際に泣く泣く10枚から落とした準候補10枚を加えた20枚を紹介する意味で、SpotifyとApple Musicに記事と同名のプレイリストを作成しました。

改めて、20枚を紹介しておきますね(基本的には順位は付けていませんが、先のリアルサウンドさんで1〜10位と順位付けしているため、便宜上20までナンバリングしておきます)。


01. DEAFHEAVEN『ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE』(レビュー
02. VOIVOD『THE WAKE』(レビュー
03. ALICE IN CHAINS『RAINIER FOG』(レビュー
04. Crystal Lake『HELIX』
05. AZUSA『HEAVY YOKE』(レビュー
06. IHSAHN『ÁMR』(レビュー
07. JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(レビュー
08. SIGH『Heir to Despair』
09. LOVEBITES『CLOCKWORK IMMORTALITY』(レビュー
10. ARCHITECTS『HOLY HELL』(レビュー
11. CORROSION OF CONFORMITY『NO CROSS NO CROWN』(レビュー
12. FEVER 333『MADE AN AMERICA』(レビュー
13. GHOST『PREQUELLE』(レビュー
14. THE STRUTS『YOUNG & DANGEROUS』(レビュー
15. MANTAR『THE MODERN ART OF SETTING ABLAZE』
16. NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
17. NOTHING『DANCE ON THE BLACKTOP』(レビュー
18. SHINEDOWN『ATTENTION ATTENTION』(レビュー
19. SLEEP『THE SCIENCES』
20. CHTHONIC『BATTLEFIELDS OF ASURA』


最初の10曲が「リアルサウンド」さんで紹介した10枚から。一応順位どおりに楽曲を並べています。で、後半の10曲が選から漏れた10枚から。こちらは基本的には順不同ですが、まあ大体こんな並びかなと。基本的には当サイトで紹介した作品、あるいはキュレーション連載で紹介した作品ばかりですが、個人的にはこういう1年だったのかなとこれを聴いて振り返っているところです。

せっかくなので、この20枚から漏れた「今年よく聴いたHR/HM、ラウドロック系アルバム」も紹介しておきます。こちらはアルファベット順に並べています。


・BEHIMOTH『I LOVED YOU AT YOUR DARKNESS』
・BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(レビュー
・COHEED AND CAMBRIA『THE UNHEAVENLY CREATURES』
・Crossfaith『EX_MACHINA』
・DIMMU BORGIR『EONIAN』(レビュー
・DIR EN GREY『The Insulated World』
・Graupel『Bereavement』
・GRETA VAN FLEET『ANTHEM OF THE PEACEFUL ARMY』(レビュー
・HALESTORM『VICIOUS』(レビュー
・HER NAME IN BLOOD『POWER』
・JONATHAN DAVIS『BLACK LABYRINTH』(レビュー
・LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』(レビュー
・MICHAEL SCHENKER FEST『RESURRECTION』(レビュー
・OBSCURE『DILUVIUM』
・A PERFECT CIRCLE『EAT THE ELEPHANT』
・SAXON『THUNDERBOLT』(レビュー
・SHINNING『X - VARG UTAN FLOCK』
・SKINDRED『BIG TINGS』(レビュー
・SURVIVE『Immortal Warriors』
・THERAPY?『CLEAVE』(レビュー
・U.D.O.『STEELFACTORY』(レビュー
・UNITED『Absurdity』
・VENOM『STORM THE GATES』(レビュー
・陰陽座『覇道明王』

投稿: 2018 12 26 05:14 午前 [2018年の作品, A Perfect Circle, Alice in Chains, Architects, Azusa, Behemoth, Burn The Priest, Chthonic, Coheed and Cambria, Corrosion of Conformity, Crossfaith, Crystal Lake, Deafheaven, Dimmu Borgir, DIR EN GREY, Fever 333, The, Ghost, Graupel, Greta Van Fleet, Halestorm, HER NAME IN BLOOD, Ihsahn, Jonathan Davis, Judas Priest, Loudness, LOVEBITES, Mantar, Michael Schenker Fest, Nine Inch Nails, Nothing, Obscure, Saxon, Shinedown, Shinning, Sigh, Skindred, Sleep, Struts, The, Survive, Therapy?, U.D.O., United, Venom, Voivod, 「1年のまとめ」, 「音楽配信」, 陰陽座] | 固定リンク

2018年11月14日 (水)

THE FEVER 333『MADE AN AMERICA』(2018)

ボーカル、ギター、ドラムのトリオ編成によるアメリカのラップコアバンド、THE FEVER 333のデビューEP。海外では2018年3月にデジタルリリースされ、ここ日本では同年7月の『FUJI ROCK FESTIVAL '18』での初来日に合わせて同月に初CD化発売されています(海外では未CD化でデジタルとアナログ盤のみ)。

フジロックでのパフォーマンスが大反響を呼び、ロックファンのみならずメタル界隈の一部でも話題になった彼ら。早くも来年3月の単独来日も決まり、さらに年明け1月には1stフルアルバム『STRENGTH IN NUMB333RS』のリリースも控えています。海外では新人ながらも『KERRANG!』誌の表紙を飾り、BRING ME THE HORIZONのサポートアクトも決まるなど、まさに今もっとも旬なバンドのひとつと言えるでしょう。

Roadrunner Records期待の新人という文字面だけで判断したら「どんなメタルバンドだよ!?」と期待してしまいがちですが、お聴きのとおりモダンなテイストを含む、メタルやパンク、ラウドの枠だけには収まらない音をかましています。「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」なんて声も聞こえてきましたが、いやいや、彼らはTWENTY ONE PILOTS以降のポストハードコア/エモ/ラウド/ポップスの流れを踏襲した、生まれるべくして生まれたバンド……ルーツや出身が異なるだけで、実はベクトル的にはTWENTY ONE PILOTSと比較的近いような気がするのは、僕だけでしょうか。きっとフジロックでのパフォーマンス映像を観た影響も強いんでしょうね。

とはいえ、そう判断するのはこのEPに含まれた7曲と、先のライブパフォーマンスによるものが大きいので、続く1stフルアルバムを聴いたらまた印象が変わるかもしれませんが、それはそれとして(すでに配信済みのリードトラック「Burn It」からはこのEPをさらに一歩押し進めたカッコよさが漂っています)。

確かにRATM以降のラウドシーンに現れた新たな可能性として、メタル/ラウド村側から花火を打ち上げたいのはよくわかります。けど、そこはもっと広い目で見ておかないとね。

ポップな側面も至るところから感じられますが、基本的にはストリート寄りの攻め攻めな内容。収録曲の「(The First Stone) Changes」にはラッパーのイェラウルフがフィーチャーされていたり、このプロジェクト自体にBLINK-182のドラマー、トラヴィス・パーカーが携わっていたり、メタル/ラウド/パンク系プロデューサーとしても活躍するジョン・フェルドマン(GOLDFINGER)が全面参加していたりという点からも、彼らの出身が伺えるし、現時点でどこに進んでいきたいのかも理解できます。

というわけで、個人的にはメタル/ラウド村よりはもっと広いフィールドでのびのびと活躍してほしいなと願わんばかり。まずはフルアルバムと、来年の来日公演ですね。そこで正確な判断を下したいと思います。



▼THE FEVER 333『MADE AN AMERICA』
(amazon:国内盤CD / 海外盤アナログ / MP3


投稿: 2018 11 14 12:00 午前 [2018年の作品, Fever 333, The] | 固定リンク