2003/02/28

FLASHCUBES『LIVE IN JAPAN -RAW POWER POP-』(2002)

自分が足を運んだライヴがたまたまライヴアルバム、あるいはライヴビデオとしてリリースされたってことが過去何度かありました。しかもそれがアリーナクラスの会場じゃなくて、小さいライヴハウス程度のハコだったりすると、尚更嬉しかったりするんですよね。ここ最近で思いつくところだと、THE WiLDHEARTS「TOKYO SUITS ME」('98年10月24日の赤坂ブリッツ公演)とか、ナンバーガールの記録シリーズ緑盤での水戸公演とか。他にもあるんだろうけど、今は思い浮かばないや。特にワイハーのライヴ盤は思い出深い公演だったこともあって、何度も聞き返してはあの日のライヴを思い返してみたりしてました(再結成してしまった今となっては、単なる記録の断片でしかないのかもしれないけどね)。

そして今回、ここに新たに1枚、大切な「記録」、いや「記憶」が加わることになりました。2002年5月18日(土)。場所は下北沢シェルター。そう、あの日俺が観たFLASHCUBESのライヴがアルバムになったのです。本来なら'02年後半に初のオリジナルアルバムをリリースのはずだったのでは‥‥ま、こうやってボーナスみたいなアルバムがリリースされたんだ、もうそれだけで嬉しいよね。

で、そういう「自分が参加したライヴの記録」っていう面を排除して、このアルバムを語ってみますと‥‥40歳越えたオヤジ共が何故、この時期に再結成したのか。シングル2枚しかリリースしてなかったバンドがどうして来日出来たのか。その理由がこのアルバムに全て詰め込まれています。もうね、全然オッサンぽくないのよ。パワーポップの草分け的存在なんて言われてるらしいけど、そんなのお構いなしにハードな演奏を聴かせてくれる。勿論、メロディやコーラスは甘すぎる程にポップ。けど、演奏は録音状態もあってか、かなりハード。いや、実際あの場にいた俺でさえも、他の共演バンド(日本のFIRESTARTERやSAMANTHA'S FAVOURITE等)よりもハードだと感じていたし。最初メンバーを見た時、腹の出かかった(いや、実際に出てたメンバーもいたけど)オッサンばっかで、正直全然期待出来なかったんだけど、もうね、音楽は見た目じゃないな、と猛烈に反省しました。そりゃルックスいいに越したことはないけど、この音だけ聴いたら「どこぞのパンクバンドだ!?」ってみんな思うはずだし。それくらい活き活きしてて、激しいサウンドなのね。

曲の良さは折り紙付き。殆どの楽曲が編集盤「BRIGHT LIGHTS」からの曲なんだけど、遊び心満載でカバーも結構やってくれてたのね。例えば知ってる人は知ってるFLAMING GROOVIESの"Shake Some Action"、最近マイケル・モンローもカバーしたEDDIE & THE HOT RODSの"Do Anything You Wanna Do"、RAMONESの名曲"I Wanna Be Sedated"、そしてニック・ロウの"Heart Of The City"の4曲。後半2曲は一番最後にメドレーでやってたので記憶に残ってるんだけど、前者2曲は原曲を知らなかったので(いや、EDDIE & THE HOT RODSのは知ってるな。けど当日やったの全然記憶に残ってなかった/汗)あれだけど‥‥全然違和感なし。オリジナル曲だけでも十分ライヴやれるだけの曲数あるはずなのに、敢えてカバーをこれだけやるってのに驚いたと共に、奇跡の来日が実現して喜んだ俺ら以上にメンバーがこのライヴを心底楽しんでいたんだな、と再確認。つうか、上手いバンドはカバーやらせるとセンスっつうか、その実力が端的に表れるよね。特にパワーポップ系のバンドは面白いカバーやってることが多いしね(TEENAGE FANCLUBとかJELLYFISHを思い浮かべてみて)。

全15曲。メドレー分もカウントしても17曲。全部で50分程度‥‥って、当日そんなに短かったっけ!? ギタートラブルとかあって結構間が空いたりしたし、CD聴く限りでは曲間を出来るだけ短く編集してるし、MCも殆ど削られてるから、余計短くなったんだろうけど‥‥ライヴレポに俺、約90分くらいかな!?とか書いてたのに、実際はそんなにやってなかったってことになるんだわ‥‥だってあの日やった曲、削られてないもんね?(多分)ということは、それだけ充実した、内容の濃いライヴだったってことなのでしょう。

当サイトでも度々取り上げる「パワーポップ」というキーワード。オリジナルと言える存在であるBADFINGERとかRASPBERRYSとか、既に解散している歴史的グループをまず聴くのもいいでしょう。けど、こうやって再結成して細々と活動してるグループがいることもお忘れなく。若くてルックスのいいモダンなバンドが持てはやされる時代ではあるんだけど、やっぱり「2003年はオヤジのロケンロー」がブームになると断言した俺としては、このFLASHCUBESのライヴ盤をイチオシしたいと思います。だって、俺の声が(多分)入ってるとかそういうの関係なしに、本当に素晴らしいロックンロールアルバムなんだもん。パンク好きも、パワーポップ/ギターポップ好きも、そしてハードな音を好む人も皆、これを聴いて何かを感じて欲しいな。

そして、今年こそリリースされるであろうオリジナル・フルアルバムと、来るべき再来日に向けて、もっとFLASHCUBESの名前を世に知らしめて行きたいなぁ、と考えながら、このアルバムを爆音で毎日聴いていきたいと思います。



▼FLASHCUBES『LIVE IN JAPAN -RAW POWER POP-』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 02 28 07:16 午後 [2002年の作品, Flashcubes] | 固定リンク

2002/05/21

FLASHCUBES@下北沢SHELTER(2002年5月18日)

  FLASHCUBESというバンド名を知ったのは、実は2ヶ月ちょっと前のことだった。たまたまトルちゃんと共にSNAKE HIP SHAKES(現ZIGGY)を観に行った時に、日本のFIRESTARTERについて話していた。丁度4月上旬に彼等のライヴがあるので、俺が行こうかどうか悩んでいたところ、「5月にアメリカのパワーポップの元祖的存在、FLASHCUBESが初来日してFIRESTARTERが前座に付く日が丁度土曜だから、それ行かない?」という流れになって、俺もご一緒させてもらうことにしたのだった。一昨年末辺りから、トルちゃんには本当にパワーポップ関係でお世話になっていて、昨年1月のTEENAGE FANCLUB来日時には、彼に5枚組のパワーポップMDを作って貰った程だ。

  ライヴが近づくにつれて、当日はFLASHCUBESの他に日本のパワーポップ/ガレージバンドが4バンドも演奏することを知る。知ってるのはFIRESTARTERのみ。この時点ではまだFLASHCUBESの音すら未聴だった。で、ライヴ観る前にどうしても音を聴きたくなって探すわけだが‥‥驚いたことに、FLASHCUBESとしての活動期間中、アルバムは1枚もリリースされておらず、シングルが2枚のみ。解散後にパワーポップのコンピレーション盤に未発表曲が幾つか収録されたりしていたそうだが、数年前にその活動期間中の音源をまとめたコンピレーション盤が出るまでは、FLASHCUBES名義のCDアルバムというのはこの世に存在しなかったのだ。そんな、いわば「パワーポップ界での伝説の存在」と呼べるようなバンドを、2002年に日本で観れるというのは、ある意味もの凄くラッキーなことなのかもしれない。

  丁度、この頃全く音に接したことのないバンドを観る機会が何度かあったので、今回もFLASHCUBESとFIRESTARTER以外については特に情報を得ることなく、真っ白な気持ちでライヴに挑むことにした。


◎FIRESTARTER

  当日、会場前に着いて出演順を知って驚いたのだが、何とFIRESTARTERがトップなのだ。いきなりお目当てのバンドを、しかもド真ん前で観れてしまうのだから‥‥どうしよう(汗)

  ライヴは淡々と、アルバム「FIRESTARTER」1曲目の"Keith Richards Man"からスタート‥‥した途端に、熱い、熱いぜ。ボーカル&ギターのFifiさんはとてもクールなイメージがあったんだけど、実際その通りの人で、けど唄い始めたらやはりそこはフロントマン。風格というか、独特な格好良さがあるんだわ。方やギターのFinkさんは正反対で、コードひとつ弾くにもビシバシアクション決めまくり。これがロックだぜ!と言葉ではなくて身体で表現してる感じ。そしてリズム隊‥‥ここのリズム隊がまたしっかりしてて気持ちいい。ベースは動きの激しいラインを的確に奏で、ドラムは淡々と叩いているようで、実はかなりデカイ音で叩きまくってる。このバンドはやはり、この「静と動」のコントラストがカッコイイ。クールだけど熱い、低温火傷しそうな内なる熱さ/鋭さ‥‥こんなにスゲェバンドがメディアから無視され続けてるってのがおかしいし、間違ってる!

  音はガレージパンク寄りのパワーポップ。アルバムを聴いた時は正直、単調な印象があったんだけど、ライヴだと全くそういった印象、全くなかった。とにかくあっという間の30分。もっと観たいというのが正直な感想。


◎ROCKBOTTOM

  続いてはROCKBOTTOMというバンド。その名前を聞いた瞬間に「ニヤリ」としたのは言うまでもなく、音を聴く前から既に俺の中ではストライクゾーンなバンドだった。実際、その直感に間違いはなかった。バンド名(間違いなくKISS初期の名曲"Rock Bottom"から拝借したのだろう。そう、俺が昔BLACK DIAMONDというKISSタイプのバンドをやってたのと同様に)から想像出来る音‥‥'70年代の王道パワーポップ&ハードロック路線なのだ。CHEAP TRICKやKISSといったバンドの名曲に匹敵するポップなメロディにパワフルな演奏。フロントのふたりが曲によってリードボーカルを唄い分ける辺りも然り。時々挿入されるツインリードなんて、まるでTHIN LIZZYだ‥‥そしてボーカル&ギターのINAGAKI氏の動き‥‥いちいちスゴイの何のって! ハイジャンプ等の決めが多くて、視覚的にも全く飽きさせず。常に目が彼に行きっぱなし状態。本当に好きなんだなぁってのが、痛いほどよく判った。

  そして何より凄かったのが、ドラム。キース・ムーン並みの手数の多さ/ハードヒットで、聴く者の目を/耳を惹き付けるわけで‥‥このバンドは本当に曲はいいし、見せるの上手いし。嗚呼、会場で売ってたデモCD-R買っておけばよかった(涙)

  そうそう、この日はもうひとりのボーカル&ギターのTOMMY氏(笑)の誕生日だったそうで「自分の誕生日に、憧れのFLASHCUBESと同じステージに立てた事を一生忘れない」って言ってたっけ‥‥羨ましい、心の底から。INAGAKI氏もそんなような事、言ってたっけ‥‥

  とにかく、ROCKBOTTOM。このバンド名、覚えておいて損はないと思うよ?


◎SNEEZE

  この日出演した全バンド、4ピースバンドだったんだけど、このバンド以外はボーカルもギターやベース弾きながらって形だったのに、このSNEEZEだけシングルギターでボーカルは楽器持ってなかったわけ。まぁそういうのが如何にもフロントマンっぽくていいんだろうけど‥‥残念ながら、俺はこのバンドからは何も感じなかったなぁ。トルちゃんも言ってたけど、全出演者中、このバンドだけちょっとレベルが落ちるかな、と。曲調も似たようなものが連発で(マイナーキーでパンキッシュ)、個人的にはちょっとここでダレる。FIRESTARTER、ROCKBOTTOMと思いっきりストライクゾーンなバンドが続いただけに、ここはちょっとキツかったかも‥‥で実際、特に印象にも残ってないし。

  ドラムがとにかく弱かったな、俺的に。他のどのバンドもスネアの音がビシバシ響いてたんだけど、一番前で観ててもこのバンドの時だけスネアの音がよく聞こえなかった。シングルギターバンドなのに。逆にラウドなFIRESTARTERやROCKBOTTOMではドラムがデカいくらいだと感じたのに‥‥音楽性を考えても、ここだけちょっと浮いてたしね?(パワポの要素は薄かったし)


◎SAMANTHA'S FAVOURITE

  このバンド、日本のパワーポップの草分け的バンドだそうで、実はここ数年活動休止状態だったにも関わらず、このFLASHCUBES奇跡の初来日に合わせて、この日から活動再開だったそうだ。

  で、実際にこの日初めて彼等の音に触れて‥‥まず、いきなりこの辺から客が一気に増えた。それだけ復活が待たれてたってことなんだろうな。始まった瞬間、後ろから押されまくり、客大合唱みたいな感じで‥‥で、その音も納得いく煌びやかなパワーポップサウンド。コーラス、メチャ上手なのよ! 多分、リバーブが強めにかかってるから余計に感じたんだろうけど、もうね、JELLYFISHかと思える程にゴージャスなのよ。適度にパンキッシュで、適度に優しくて、適度に爽やか。TFCをもっと骨太にした感じかな?

  ステージ袖に目をやると、FIRESTARTERのFifiさんが気持ち良さそうに頭振って聴いてるし‥‥そういえば、サマンサのOZAKIさんとウガンダさんって、以前FifiさんとTWEEZERSってパワーポップバンドをやってたそうな‥‥そういう横の繋がりも深いんだね、日本のパワポシーンって。

  とにかく、個々の演奏力もハンパじゃないし、曲も素晴らしいし‥‥って俺、ずっと誉めてばっかじゃんか。だって本当にスゴイんだもん。こんなバンド達が全く雑誌やメディアに取り上げられずにひっそり活動してるっての、何か間違ってない?(もっとも、FIRESTARTERは前身バンドTEENGENERATE時代には海外での評価も高くて、海外だけで40万枚ものレコード売り上げを記録してたり、サマンサも海外でライヴやったりして向こうでの評価がかなり高かったりするし。数年後になって「日本の伝説のバンド~」とかいって取り上げるようになってからじゃ遅いんだよ!?)


◎FLASHCUBES

  いよいよトリの登場だ‥‥まず楽器のセッティングをローディーらしきガタイのデカイ外人さんが行うわけだけど‥‥どうやら何かが違うらしい‥‥トルちゃんと「レスラーみたい(笑)」なんて話してたけど、やっぱりこのローディーらしき身体のデカイ人達が、かのFLASHCUBESのメンバーらしい(驚)。CDのライナーにあった写真をイメージしていた我々は、その変貌振りに軽い衝撃を受けた。いきなりカウンターかよっ!

  まぁそんな冗談はどうでもいいんだけど、メンバー全員が揃った時に、今回の招集を実現させた中上マサオ氏と、日本にFLASHCUBESの凄さを知らしめたオッサン(笑)が、今回の来日実現の裏話なんぞを話してくれた。そして、いよいよ‥‥"No Promise"からスタートしちゃうわけ。あの甘いメロディーがギュウギュウ詰めになったシェルターを包むわけよ‥‥みんな大合唱、勿論笑顔で。どの曲をどの順番にやったかは覚えてないんだけど、とにかくどれも名曲ってのだけは間違いなし。前半のハイライトといえるデビューシングル"Christi Girl"、そして俺が一番好きな"It's You Tonight"(超名曲!)の流れで俺、鳥肌立ったもん‥‥気付けば、ステージ一番前にはROCKBOTTOMのメンバーがクシャクシャの笑顔で唄ってるし、袖にはFifiさんが相変わらず頭を激しく振り、サマンサのOZAKIさんが泣きそうな顔で演奏を観てるし。FIRESTARTERのドラムとROCKBOTTOMのドラムもふたりでFLASHCUBESの曲に合わせてドラム叩く振りしたり唄ったり‥‥本当にFLASHCUBESは愛されていて、そしてこの来日というのがどれだけの意味を持つのかというのが判る瞬間だった。

  途中、何度かギターの弦を切ったりして、OZAKIさんのレスポール・ゴールドトップ、Finkさんのギブソン・エクスプローラーを借りて弾いてたりして。何か羨ましかったなぁ‥‥そしてTOMMYさんがステージに上げられて一緒に唄ったり、Fifiさんは酔った勢いで激しいポゴダンスして、天上に頭がぶつかりそうになるし(しかも加減知らず‥‥恐るべし)

  ラストのアンコールでは、曲の途中でRAMONES取り混ぜたりして、大興奮。メチャクチャ楽しかった。2度目のアンコールを求めようとしたら、先述の中上氏が登場し「時間の都合でこれ以上演奏できません」とのこと。この時初めて時計を見たのだけど‥‥既に23時10分前だったという(汗)。てっきり俺、まだ22時くらいだと思ってた‥‥要するに、それくらい時間を感じさせない、飽きさせないバンド達ばかりだったということだろう。恐らく時間にして、前座の日本のバンド群が各30分、FLASHCUBESが約90分程度といったところだろうか?
  この日演奏された曲の殆どが数年前にリリースされたコンピレーション盤「BRIGHT LIGHTS」と、来日記念盤「ROCKIN' OVER JAPAN」からの曲だったが、そんな中2曲程、9月にリリースされるという初の(驚)オリジナル・ファーストアルバムからも演奏されたが、過去の楽曲群に引けを取らない、逆に更に力強くてポップな面が強調された、純粋にいい曲だった。これはかなり期待していいんじゃないだろうか?

  というわけで、パワーポップ好きにとっては至福の4時間となったこの日のライヴ。共演したバンドのメンバーのみならず、あの場にいた数百人のお客にとっても一生忘れられないライヴになったはずだ。だって、この俺にとってもいろいろ考えさせられる、本当に内容の濃いライヴだったのだから。

  ‥‥さっ、早いとこバンドのメンバー探そ。

投稿: 2002 05 21 12:00 午前 [2002年のライブ, Firestarter, Flashcubes, ROCKBOTTOM, Samantha's Favourite, Sneeze] | 固定リンク