LOVE AND DEATH『PERFECTLY PRESERVED』(2021)
2021年2月12日にリリースされたLOVE AND DEATHの2ndアルバム。現時点で日本盤未発売。
LOVE AND DEATHはKORNのブライアン“ヘッド”ウェルチ(G)が2012年に結成したニューメタル・バンド。当時はKORN脱退中だったこともあり、このバンドがヘッドにとってのメインバンドだったわけですが、2013年1月に1stアルバム『BETWEEN HERE & LOST』を発表してしばらくしてKORNに正式復帰。その後も2016年にシングル「Lo Lamento」を発表していますが、2020年に入り新たなリズム隊を迎えてバンドを再編。前作から8年の歳月を経て、Earache Recordsから2作目を無事届けることができました。
新メンバーはBREAKING BENJAMINのジェイセン・ラウチ(BREAKING BENJAMINではリードギターですが、こちらではベース)、PHINEHASのアイザイア・ペレッツという元クリスチャンメタル・バンド出身者(ジェイセンはBREAKING BENJAMINの前にクリスチャンバンドのREDに在籍)。ヘッド自身もクリスチャンに転向することでKORNを離れていますし、本作にゲスト参加しているレイシー・シュトゥルム(ex. FLYLEAF)、キース・ウォーレン(BREAKING BENJAMIN)、ライアン・ヘイズ(RIGHTEOUS VENDETTA)という面々も直接的/間接的にそちら側の方々ですから、歌われている内容的にも深読みすると“教え”的なものを汲み取ることができるのかもしれません。
が、サウンドや楽曲自体はKORNにも通ずるゴリゴリさとメロディアスさ/センチメンタルさが感じられる、90年代後半以降の音といった印象で、かなり聴きやすいと思います。ヘッドのボーカルもジョナサン・デイヴィスほどクセも強くなく、ときどきスクリームやグロウルを響かせるものの、全体的には(顔に似合わず。笑)爽やかな歌声といったところでしょうか。演奏面、歌唱面ともにKORN的なフックも随所に用意されているので、KORNのファンも十分楽しめるはずです。
ジョナサンのソロアルバム『BLACK LABYRINTH』(2018年)がその“声”でKORNとのつながりをアピールするものならば、本作は楽曲面やサウンドメイクでKORNとの接点を強く感じられる1枚。そういった個々の要素が組み合わさることで今のKORNになるんだなと、改めて実感できる貴重な機会ではないでしょうか。
どの曲も好みですが、もっともKORNらしい「Affliction」や「White Flag」、レイシーの歌声がフックになっている「Let Me Love You」などは特にお気に入り。全11曲/約35分というトータルランニングもイマドキっぽくて聴きやすいですし、往年のKORN節と現在のKORNらしさを同時に味わいつつも良質なメロディも楽しめる。これは非常に“みっけもの”かもしれませんよ。
▼LOVE AND DEATH『PERFECTLY PRESERVED』
(amazon:海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)