2017/08/15

FOO FIGHTERS『FOO FIGHTERS』(1995)

1994年4月、カート・コバーン(Vo, G)の自殺によりNIRVANAは事実上の解散。メンバーのデイヴ・グロール(Dr)はNIRVANAのツアー中などに書き溜めた楽曲を同年秋からレコーディング。ドラムのみならずギター、ベース、そしてボーカルまですべてをデイヴ自身が手がけた純粋なソロアルバムを完成させました。そしてそれは、FOO FIGHTERSというバンド名のもと、1995年初夏に正式リリースされたのでした。

確かにデイヴはNIRVANA時代にもシングルのカップリングに曲を提供したり、歌ったりしていましたが、正直そこまで印象に残るものではなく。なので、こういったプロジェクトを立ち上げたと知り、ぶっちゃけ「大丈夫かよ?」と不安視したのをよく覚えています。

が、完成したアルバムは“NIRVANAのフォーマット”をうまく用いつつ、アメリカンハードロック的な“陽”の空気に満ちた作品集でした。冒頭2曲(「This Is A Call」「I'll Stick Around」)の突き抜け感、ポップでキャッチーな「Big Me」。正直、この3曲を聴いただけで完敗でした。「やるじゃん、デイヴ」と。

ただ、聴き進めるうちに、やはり心のどこかでNIRVANAと比較してしまう自分がいたのも事実。「カートならこんなアレンジにしないだろうな」とか「カートならこんなギターフレーズにしてたはず」とか「カートならここはこう歌てったんじゃ」とか。

いやいや、歌ってるのカートじゃないし。カートまったく関係ないから!

でも、当時は無理だったんですよ。亡くなってから1年ちょっとしか経っておらず、NIRVANAの時間が止まったのと相反して、SOUNDGARDEN『SUPERUNKNOWN』でバカ売れし、PEARL JAM『VITALOGY』という新たな傑作を世に放った1994年。いろんな場面でカートの不在を実感し、そのたびに遺作となった『IN UTERO』(1993年)ばかり聴いていたものです。

というわけで、FOO FIGHTERSのデビュー作を素直な気持ちで聴けるようになったのは、2ndアルバム『THE COLOUR AND THE SHAPE』(1997年)がリリースされてから。完全な“バンド”となった同作で、ようやく僕らもNIRVANAの呪縛から解き放たれた気がします。

今や完璧なスタジアムロックバンドにまで成長したFOO FIGHTERSですが、その原点は間違いなく本作。現在の質感とは異なるものの、デイヴ自身もNIRVANAの呪縛、グランジの呪縛から解き放たれようと必死で本作と向き合ったんでしょうね。完全には抜けきれてないこのアルバムを聴くと、なぜひとりで全部作らなくちゃいけなかったのかが、なんとなく理解できたりして。

実質1stアルバムではあるものの、その後の活動スタンスを考えたら本作は“プレデビュー盤”という位置付けがぴったりかもしれませんね。



▼FOO FIGHTERS『FOO FIGHTERS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 08 15 12:00 午前 [1995年の作品, Foo Fighters, Nirvana] | 固定リンク

2016/01/10

祝ご成人(1995年4月〜1996年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。昨年度に初めて実施したこの企画、今回も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1995年4月〜1996年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

並びはすべてアルファベット順です。(2015年の新成人編はこちら


Alice in Chains『Alice in Chains』(Amazon

Ben Folds Five『Ben Folds Five』(Amazon

Björk『Post』(Amazon

Blur『The Great Escape』(Amazon

Bon Jovi『These Days』(Amazon

The Chemical Brothers『Exit Planet Dust』(Amazon

Fear Factory『Demanufacture』(Amazon

Foo Fighters『Foo Fighters』(Amazon

The Fugees『The Score』(Amazon

Garbage『Garbage』(Amazon

King Crimson『Thrak』(Amazon

Oasis『(What's the Story) Morning Glory?』(Amazon

Pulp『Different Class』(Amazon

Queen『Made in Heaven』(Amazon

Red Hot Chili Peppers『One Hot Minute』(Amazon

Reef『Replenish』(Amazon

The Smashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(Amazon

Sepultura『Roots』(Amazon

Teenage Fanclub『Grand Prix』(Amazon

The Wildhearts『P.H.U.Q.』(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下ざっと候補を羅列します。

Alanis Morissette『Jagged Little Pill』
Anthrax『Stomp 442』
The Beatles『Anthology 1』
The Boo Radleys『Wake Up!』
Bruce Springsteen『The Ghost of Tom Joad』
The Charlatans『The Charlatans』
D'Angelo『Brown Sugar』
David Bowie『Outside』
In Flames『The Jester Race』
Michael Jackson『HIStory: Past, Present and Future, Book I』
Nine Inch Nails『Further Down the Spiral』
Ozzy Osbourne『Ozzmosis』
Paul Weller『Stanley Road』
The Rentals『Return of the Rentals』
Ron Sexsmith『Ron Sexsmith』
Sonic Youth『Washing Machine』
Supergrass『I Should Coco』
Terence Trent D'Arby『Terence Trent D'Arby's Vibrator*』
Terrorvision『Regular Urban Survivors』
Underworld『Second Toughest in the Infants』
White Zombie『Astro-Creep: 2000』

こうやって振り返ると、1995年から1996年初頭ってブリットポップの最盛期だったんですね。1995年3月にはElasticaやGeneのアルバムも発表されてるし、1996年後半になるとKula Shakerの1stもリリースされますし。やっぱり1995年夏のBlur vs Oasisの直接対決がピークでしたね、いろんな意味で。

あ、Underworldをあえて選外にしたのは、日本盤のリリースが1996年6月だったから。海外では3月発売ですが、その後の「Born Slippy」のヒットなど含めて考えると、このアルバムは1996年から1997年の作品かなと思いまして。来年はマストかな。

メタルの世界はグランジがひと段落したものの、ポストグランジ的サウンドのバンドが増えつつあり、前年からのMotley Crue、Dokkenの失敗など、あまり芳しくない状況でした。そんな中、1994年のKornデビューを機にグルーヴ感のあるヘヴィロックが台頭し始めます。前年デビューのMachine Headもその1つですね。Sepulturaは前作『Chaos A.D.』でのシフトチェンジから、ブラジル音楽のルーツを取り入れた傑作『Roots』で活動のピークを迎えるのも、1996年初頭のお話。Fear Factoryのようなデジタル要素を取り入れたヘヴィバンドも人気を集め始めたのも印象に残ってます。同時期に国内ではTHE MAD CAPSULE MARKETSが『4 PLUGS』をリリースしたのも、海外の動きとリンクしていて興味深いです。

ちなみに日本国内ではこの頃、ブルーハーツの解散(6月)やUP-BEATの解散(8月)、光GENJI(光GENJI SUPER5)の“卒業”(9月)、Winkの活動停止(96年3月)といった出来事がありました。いわゆるTKサウンドがチャートを席巻し、MY LITTLE LOVERやglobeがデビューしたのもこの頃でした。

投稿: 2016 01 10 12:00 午前 [1995年の作品, 1996年の作品, Ben Folds, Bon Jovi, Foo Fighters, Queen, Smashing Pumpkins, Teenage Fanclub, Wildhearts, The, 「20年前」] | 固定リンク

2005/07/24

FOO FIGHTERS『IN YOUR HONOUR』(2005)

 FOO FIGHTERSがここまでデカイ存在になるなんて、10年前は想像もしてなかったよね。あの頃はリキッドルームや赤坂BLITZ程度が程よい大きさだと思ってたのに、気づいたら世界各国の大型フェスティバルのヘッドライナークラスですよ。確かにNIRVANAは越えられない大きな壁かもしれないけど、もはやそんなこと気にする必要もなくなっちゃいましたよね。

 通算5作目となるアルバムは、ロックサイドとアコースティックサイドの2面性を強調した2枚組。昨年のレコーディング前からデイヴ・グロウルは「BEATLESの『ホワイト・アルバム』的な2枚組アルバムを作りたい」なんて発言していて、その時はまぁ何だかんだ言って1枚ものになるんだろうなぁと思ってましたが、まさか有言実行するとはね。逆に、それだけ今のバンドの状態が良いってことなのかもしれませんね、これだけの短期間に集中して、これだけ濃い作品集を作れてしまったってことは。

 メンバー自体は前作「ONE BY ONE」と同じ、ロックサイド的なDISC-1の方も作風自体はその前作の延長線上にある流れなのですが、個人的には今回の方が更にしっくり来るというか。王道ハードロック路線を突き進んだ前作の後、デイヴはメタル道追求プロジェクト「PROBOT」を経てこのアルバム制作に挑んだわけですが、「ONE BY ONE」にあった堅苦しさというか(悪い意味での)暑苦しさが「PROBOT」で灰汁抜きされたのか、同じ方向性でも今回の方がもっとナチュラルに感じられる。良い意味で1st〜3rdまでの集大成的な要素さえも感じられる。だから自分にとって聴きやすかったのかもしれませんね。

 そして問題のDISC-2。アコースティック/バラード調を主体とした、いわば新境地/冒険作と呼べる内容で、こういうことが出来るってことはやはりバンド自体が上手く機能していて、尚かつ余裕が出来てきたんだろうなぁ、なんてことを勝手に想像してます。デイヴがこういうアコースティック主体のスローチューンを歌うのは決して初めてのことではなく(NIRVANA時代にもありましたしね)、そういう意味での物珍しさ/新鮮さはそこまで感じませんでしたし、俺は周りが感じた程の驚きというのもそこまでなかったんですよ。むしろその片鱗は1stの頃からあったし("Big Me" なんてアレンジがアレンジなら、このディスクに入っていても違和感ないですしね)。ジョン・ポール・ジョーンズ(元LEZ ZEPPELIN)やノラ・ジョーンズといったゲスト陣や、ドラムのテイラー・ホーキンスが "Cold Day In The Sun" でボーカルを取っていたり等、話題となりそうな焦点は幾つもあるけど、俺的にはそういった二次的要素よりも楽曲‥‥とにかくデイヴ及びFOO FIGHTERSのメンバーは、こっちのディスクの曲がやりたくて今回のアルバムを作ったんだろうなぁ‥‥と邪推をしたくなっちゃう程、ホントよく出来てるんですよ。デイヴがアルバム制作前に比喩した、BEATLESの「ホワイト・アルバム」‥‥確かにこのディスク2にはあのアルバムにあったような多面性や雑多性が強く感じられる内容になってるし、そしてアルバムとして散漫にならないようにちゃんと工夫されてる。そして従来のファンを納得させるためにも、更に自分達の得意とするものを最も得意な手法で作ったDISC-1があって、初めてこの2枚組は「FOO FIGHTERSのアルバム」として成立する。お見事としか言いようがないなぁ。

 デイヴひとりで「おもちゃ箱をひっくり返す」ように制作された1stから10年。FOO FIGHTERSはちゃんとした『バンド』になり、そして大人になった。ただ目の前をおもちゃを手当り次第に使ってたデイヴはもうここにはおらず、そのおもちゃひとつひとつの使い方を熟知し、更に吟味するレベルにまで到達してしまってるんだから‥‥そりゃ、オーバーグラウンドでここまで大きくなってしまったのも納得がいく話ですよ。

 実はFOOは初来日以来、一度もライヴを観れてなかったので(運悪く、俺が行けなかった年のフジロックに出てたり、あとギリギリまで悩んだ「MAGIC ROCK OUT」初年度にも出てたんだよね)、今年のフジでは是非その勇姿を拝みたいなぁと思ってるんですが。フジ初日、個人的ハイライトのひとつですね。楽しみです。



▼FOO FIGHTERS「IN YOUR HONOUR」(amazon:日本盤:CDDAUS盤:CCCD

投稿: 2005 07 24 09:08 午前 [2005年の作品, Foo Fighters] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/05/29

PROBOT『PROBOT』(2004)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロールが、約4年前からその存在を臭わせる発言を繰り返してきたメタル・プロジェクト「PROBOT」。それが'04年になってやっと日の目を見ることになりました。「デイヴがデスメタルをやる」とか「いや、ドゥームメタルみたいだ」とか噂だけが一人歩きしてた感がありますが、結果は見ての通り、もの凄い「豪華プロジェクト」となっております。

基本はデイヴが全ての楽器を多重録音し(一部例外あり)、そこに各曲毎にゲストボーカルを迎えるという形で、曲もデイヴが各シンガーに合わせて起用に作ってます(歌詞は各シンガーが作詞)。全11曲(+シークレットトラック)に11人のシンガー。恐らく、メタルを普段聴かない(聴いていても'90年代初頭以前の古き良き時代のメタル/ハードコアを知らない)世代からすると、知ってる人なんて誰もいないのかも‥‥いや、かろうじてレミー(MOTORHEAD)くらいは知ってるかな? 決して全米/全英チャートで大ヒットを飛ばしたようなバンドのシンガーは参加してない、所謂「アングラ」的、カルト的な存在ばかりが選ばれているように感じます。もっとも、普段からメタルしか聴かないようなコアなファンからすれば、「何でクロノスやキング・ダイアモンドと一緒にC.O.C.のマイク・ディーンの名前があるの? そもそもマイクってベースで、ボーカルはペッパー・キーナンじゃないの?」とかいろいろ不満の声も挙がりそうな気がしますが、それは完全に無視ね。だってメタルファンやフーファイのファンに向けて作られたアルバムじゃないもんこれ。絶対に「デイヴのオナニー」的自己満足アルバムだもん。じゃなきゃ、もっと売れる要素を取り入れて、メジャーレーベルから出すんじゃないの?(今回のアルバムをリリースする「Southern Lord」っていうレーベルもCHURCH OF MISERYとかTHE OBSESSED、ELECTRIC WIZARDみたいなコアなバンドを扱うインディーレーベルですしね)。

先に書いたように、1曲1曲がバラバラで、アルバムのトータル性を考えると微妙ですが、メタルのオムニバスアルバムと考えた場合、非常によく出来た作品なんじゃないかな、と思うわけです。マックス・カヴァレラが参加した曲なんて、彼が参加するSOULFLYや'90年代半ばのSEPULTURAでやってたことをよく研究して、曲調だけでなく演奏スタイルもそれらを模倣してるんですよね。同じくリー・ドリアン参加曲も彼のCATHEDRALチックなドゥームメタルしてるし。レミー参加曲もまんまMOTORHEADだしね。デイヴがそんなによくメタルものを聴いてるなんて知らなかったよ。もっと初期の‥‥それこそ今回参加してるVENOMやCELTIC FROST、VOIVOD辺りに拘った作風になるのかと思ってたもんで、NIRVANA前後の同時代に活躍するバンド‥‥SEPULTURAやNAPALM DEATH‥‥を選ぶのがかなり意外に思えましたね。単純にメタル/ハードコア好きなのね、この人。

デイヴがNIRVANA以前にハードコアバンドでドラムを叩いてた話は有名ですが、その名残りなのか、'8O年代後半頃のC.O.C.をイメージしてマイク・ディーンをボーカルに起用したり(彼、一時期ボーカルもやってたんですよ)、D.R.I.みたいな懐かしい名前も飛び出す始末。この辺は、完全に'80年代してますよね。それぞれが参加した曲も見事にそれっぽいし。かと思えば'80年代ドゥーム/ストーナーロックの元祖・TROUBLEのエリック・ワグナーなんて人まで呼んでるし。この辺はQUEENS OF THE STONE AGEのアルバムに参加した流れかなぁ、なんて勝手な推測をしてみたいりして(ご存知の通り、デイヴはQOTSAの前作でドラムを叩いてます。QOTSA自体、元々はストーナーロックバンドのKYUSSが前身ですしね)。

‥‥とここまで書いて、多分殆どのフーファイ・ファンがチンプンカンプンな名前や内容ばかりだろうな‥‥なんて思ったんですが、要するにあれですよ、カッコいいと感じればそれでいいし、理解できなければ素直にフーファイやNIRVANAまで戻ればいい。それで十分じゃないですかね、このアルバムへの接し方って。そこまでシビアに考える必要ないと思いますよ、だって単なる「遊び」なんですから(売れる/売れないは二の次でしょう、上にも書いたようにね)。で、これ聴いて「メタルってカッコいいかも‥‥」とかちょっとでも思ったら、各シンガーが参加するバンドに手を出せばいい、と。そうやってデイヴのルーツを探っていくのも面白いかもしれませんよね。

あ、個人的には勿論楽しめる1枚でしたが、やっぱり俺的にはデイヴのハードなドラミングを久し振りに堪能しまくれたのが一番の収穫ですね。QOTSAのアルバムやライヴ@フジロックも良かったけど、やっぱりね、ここまで派手にやってくれるとさぁ、嬉しいじゃない? 最近のフーファイはドラムが固定してるから、アルバムで彼のプレイを聴くような機会もないしね。たまにでいいんで、またこういう「遊び」を見せて/聴かせて欲しいですよね、NIRVANA時代からのファンとしては。



▼PROBOT『PROBOT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2004 05 29 03:48 午後 [2004年の作品, Foo Fighters, Probot] | 固定リンク