カテゴリー「Foo Fighters」の27件の記事

2023年8月11日 (金)

2023年上半期総括

約4ヶ月ぶりの更新となります。皆様お元気でしたでしょうか? 2023年上半期が異常なほどに激務状態が続いたこと、生活習慣が変わったこと、新たな趣味ができたことなどがあり、しばらく放置気味でしたこのブログ。なんとか様子を見て書こう、書こうと思っていたのですが、どうにもモチベーションが上がらずに今日まで至りました。これが復活宣言というわけではないのですが、ここからまた不定期ながらも気になることを記していけたらと思っております。

さて、本来なら毎年7月くらいには公開していたこの記事。やっぱり記録として残しておきたいと思います。

今年は一昨年まで同様に「洋楽5枚/作品、邦楽5枚/作品」という形で、アルバムにこだわらずシングル/EP/単曲含む10作品を紹介していきます。

 

DEPECHE MODE『MEMENTO MORI』(amazon

 

LITURGY『93696』(amazon

 

METALLICA『72 SEASONS』(amazon

 

QUEENS OF THE STONE AGE『IN TIME NEW ROMAN...』(amazon

 

SLEEP TOKEN『TAKE ME BACK TO EDEN』(amazon

 

YOASOBI「アイドル」(amazon

 

櫻坂46「Start over!」(amazon

 

花冷え。「お先に失礼します。」(amazon

 

暴動クラブ『初期作品集』

 

揺らぎ『Here I Stand』(amazon

 

なお、以下5作品が次点となります。

 

BLONDSHELL『BLONDSHELL』
FOO FIGHTERS『BUT HERE WE ARE』
SIGUR RÓS『ÁTTA』
TENDRE『BEGINNING』
凛として時雨『last aurorally』

2023年1月12日 (木)

IGGY POP『EVERY LOSER』(2023)

2023年1月6日にリリースされたイギー・ポップの19thアルバム。日本盤は同年1月18日発売予定。

前作『FREE』(2019年)から3年4ヶ月ぶりの新作。Atlantic Recordsが新設した傘下レーベル・Gold Tooth Recordsへの移籍第1弾アルバムとなり、プロデューサーにも若手のアンドリュー・ワット(オジー・オズボーン、ポスト・マローン、ジャスティン・ビーバーなど)を迎えるなど心機一転の1枚に仕上がっています。

レコーディングにはアンドリューがギターのベーシックトラックで参加したほか、ダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)&チャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)というオジーの近作でもプレイしたリズム隊やジョシュ・クリングホッファー(G/ex. RED HOT CHILI PEPPERS)、ストーン・ゴッサード(G/PEARL JAM)、デイヴ・ナヴァロ(G/JANE'S ADDICTION)、エリック・エイヴリー(B/JANE'S ADDICTION)、クリス・チェイニー(B/ex. JANE'S ADDICTIONなど)、トラヴィス・バーカー(Dr/BLINK-182)、テイラー・ホーキンス(Dr, Piano/FOO FIGHTERS)といった、これぞ“イギー・ポップ・チルドレン”と言わんばかりの精鋭が顔を揃えています。

近年は生々しいガレージロックと穏やかなジャズ/ブルース的作品をほぼ交互に発表してきたイギー。前作『FREE』が後者寄りの作品だったこともあり、続く今作は再びエネルギッシュなパンクロックが期待されるところですが、その期待を大きく上回る内容に仕上がっています。といっても、全曲パンクロック/ガレージロックで固められているわけではなく、むしろイギーのソロキャリアの原点である『THE IDIOT』(1977年)『LUST FOR LIFE』(1977年)、80年代半ばに本格的復活を果たした『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)あたり、そして90年代以降のハードロック的なテイスト、さらにはTHE STOOGES時代をも網羅したキャリア総括的な作風。なもんですから、悪いわけがない。

オープニングを飾る「Frenzy」や「Day Rip Off」のようなパブリックイメージどおりのガレージロックで華やかさを演出しつつも、初期のニューウェイヴ的色合いを見せるミディアムチューン「Strung Out Johnny」、低音域でアダルトさを醸し出すバラード「Morning Show」など、多彩さに満ちた内容は聴き手をまったく飽きさせることがありません。かと思えば、ジャズ/ブルース路線を彷彿とさせる1分前後のインタールード「The News For Andy」では、イギーのナレーションのようなボーカルワークも楽しめる。そこから「Neo Punk」という疾走ナンバーに続く構成には、思い切り笑わせてもらいました。最高ったらありゃしない。

この4月には76歳(!)の誕生日を迎えるイギー、なお盛んです。日本公演は2007年のフジロック(THE STOOGESとして出演)以来16年も実現していませんが、この傑作を携えた夏フェス出演に期待したいところです。また「The Passenger」でステージに上がりたいですからね(笑)。

 


▼IGGY POP『EVERY LOSER』
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2023年1月 9日 (月)

2002年4月〜2003年3月発売の洋楽アルバム20選

2015年から毎年この時期に用意してきたこの成人企画。ちょうど昨年から成人年齢が18歳へと引き下げされ、現在は成人式の概念も崩れつつあります。が、この企画はこの企画として毎年やっていってはどうかと思い直し、タイトルから「祝ご成人」の文字を外し、20年前を振り返る企画として残すことにしました。

通常なら1月はじまりでカウントするところを、これまで同様4月はじまりの翌年3月終わりという年度縛りで進めるのは、ちょっと日本的なのかな。とはいえ、今さらこのフォーマットを崩すのも何かなと思い、このまま続けさせていただきます。

この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2002年4月〜2003年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップする……というのが本来の趣旨。20年って結構節目にもなると思うので、改めて「ああ、自分が生まれた頃はこういうアルバムがヒットしていたのか」とか「これってもう20年前の作品なのか」とか、いろいろ浸っていただいたり驚いていただけるとうれしいです。

 

では、サブスクを通して20年前の名盤20枚をお楽しみください。

 

AVRIL LAVIGNE『LET GO』(2002年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

BECK『SEA CHANGE』(2002年9月発売)(Spotify

 

COLDPLAY『A RUSH OF BLOOD TO THE HEAD』(2002年8月発売)(Spotify

 

EMINEM『8 MILES: MUSIC FROM AND INSPIRED BY THE MOTION PICTURE』(海外:2002年10月発売、日本:2003年4月発売)(Spotify

 

EVANESCENCE『FALLEN』(2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

FOO FIGHTERS『ONE BY ONE』(2002年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

JURASSIC 5『POWER IN NUMBERS』(2002年10月発売)(Spotify

 

KILLSWITCH ENGAGE『ALIVE OR JUST BREATHING』(2002年5月発売)(Spotify

 

THE LIBERTINES『UP THE BRACKET』(2002年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『METEORA』(2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

MAROON 5『SONGS ABOUT JANE』(2002年6月発売)(Spotify

 

MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』(2003年2月発売)(Spotify)(レビュー

 

MOBY『18』(2002年5月発売)(Spotify

 

THE MUSIC『THE MUSIC』(2002年9月発売)(Spotify

 

RED HOT CHILI PEPPERS『BY THE WAY』(2002年7月発売)(Spotify)(レビュー

 

SIGUR ROS『( )』(2002年10月発売)(Spotify

 

STONE SOUR『STONE SOUR』(2002年8月発売)(Spotify)(レビュー

 

SUM 41『DOES THIS LOOK INFECTED?』(2002年11月発売)(Spotify

 

t.A.T.u.『200 KM/H IN THE WRONG LANE』(海外:2002年12月発売、日本:2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

UNDERWORLD『A HUNDRED DAYS OFF』(2002年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

このほかにも、以下の作品を候補に挙げていました。

ASIAN DUB FOUNDATION『ENEMY OF THE ENEMY』
BEN HARPER『DIAMONDS ON THE INSIDE』
BON JOVI『BOUNCE』(レビュー
BRUCE SPRINGSTEEN『THE RISING』
DAVID BOWIE『HEATHEN』(レビュー
DISTURBED『BELIEVE』(レビュー
EMINEM『THE EMINEM SHOW』
FEEDER『COMFORT IN SOUND』(レビュー
HANOI ROCKS『TWELVE SHOTS ON THE ROCKS』(レビュー
THE HELLACOPTERS『BY THE GRACE OF GOD』(レビュー
IN FLAMES『REROUTE TO REMAIN』
KING CRIMSON『THE POWER TO BELIEVE』
KORN『UNTOUCHABLES』(レビュー
MESHUGGAH『NOTHING』
OASIS『HEATHEN CHEMISTRY』(レビュー
OK GO『OK GO』
OPETH『DELIVERANCE』
PET SHOP BOYS『RELEASE』
PETER GABRIEL『UP』
PRIMAL SCREAM『EVIL HEAT』(レビュー
QUEENS OF THE STONE AGE『SONGS FOR THE DEAF』
ROYKSOPP『MELODY A.M.』
RUSH『VAPOR TRAILS』(レビュー
SPARTA『WIRETAP SCARS』(レビュー
THE USED『THE USED』(レビュー
THE VINES『HIGHLY EVOLVED』

 

2022年11月25日 (金)

QUEEN + PAUL RODGERS『THE COSMOS ROCKS』(2008)

2008年9月15日にリリースされた、「QUEEN + PAUL RODGERS」名義唯一のスタジオアルバム。日本盤は同年9月17日発売。

それまでも何度か共演経験のあったブライアン・メイ(G, Vo)とポール・ロジャース(Vo/ex. FREE、ex. BAD COMPANY)でしたが、2004年にフェンダー・ストラトキャスター発売50周年イベントで一緒になったことを機に、ロジャー・テイラー(Dr, Vo)を含む3人でのコラボレーションを画策。2005年に入り、先の名義によるワールドツアーを開催し、1986年の『Magic Tour』以来19年ぶりとなるQUEENを冠したライブツアーが実現しました。

ここ日本にも同年10月に訪れており、当方も10月30日の横浜アリーナ公演を訪れております。同じタイミングには、同ワールドツアーをパッケージ化したライブ作品『RETURN OF THE CHAMPIONS』(2005年)もリリースされ、ここでひと段落かなと思っていたら、活動はさらに続き、今度は完全新作を完成させるに至りました。

全13曲すべてが書き下ろし楽曲で、それぞれがブライアン、ロジャー、ポールの単独名義で制作されています。クレジットを見ると、ブライアンが3曲、ロジャーが6曲、ポールが5曲というバランス。3分の2がQUEENで残りがFREEもしくはBAD COMPANYと受け取ることもできますが、どの曲も“らしい”多重ハーモニーとブライアンのギターオーケストレーションが加えられることで、“それっぽく”聴こえてくるから不思議です。あと、「Still Burnin'」みたいに過去の楽曲をサンプリングする(ここでは「We Will Rock You」のリズムパターン)ことで「QUEEN」らしく聴かせることに意識的なポイントも散見されます。

しかし、やはりボーカリストがまったく異なると、最終的には似て非なるものになってしまう。もともとフレディ・マーキュリーのように華のある歌い手ではないポールですから、どうしても地味で小さくまとまってしまう。「Cosmos Rockin'」みたいに従来のQUEENがやっていそうなロックンロールナンバーも、ポールが歌うと不思議とこじんまりした形に落ち着く。言い方は悪いですが、力技で突き抜けるような爽快感は皆無です。が、ポールの節回しなど含め、深みのある歌唱スタイルは聴き込めば聴き込むほど味わいが伝わってくる。と同時に、ポールに引っ張られるようにブライアンのギタープレイもQUEENではあまり見せなかったフリーキーさーを見せてくれる。「Voodoo」あたりで披露されるフレージングは、まさにそういった好演の代表例ではないでしょうか。

QUEENもポールも、もともとブラックミュージックの影響下にあるロックを独自の形で昇華させてきたアーティスト。そのアプローチこそそれぞれ異なるものの、こうしてひとつに融合することで、“第3の解釈”をここに封じ込むことができたのではないでしょうか。もちろん、それはQUEENそのものではないし、もっと言えばFREEでもBAD COMPANYでもポールのソロとも違う。どっちつかずと言ってしまえばそれまでですが、僕は本作を「QUEENとソウルフルなロックを題材にした化学反応を楽しむ場」と受け取るようにしています。なので、リリースされた当時よりも大人になった今のほうが、フラットな気持ちでこの良作と向き合えているのではないかな。

なお、本作には今は亡きテイラー・ホーキンス(FOO FIGHTERS)が「C-lebrity」のバックコーラスで参加しています。いかにもブライアン・メイらしいエッジの効いたハードロックは、今聴いても抜群にカッコいいですね。

 


▼QUEEN + PAUL RODGERS『THE COSMOS ROCKS』
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2022年10月30日 (日)

OZZY OSBOURNE『PATIENT NUMBER 9』(2022)

2022年9月9日にリリースされたオジー・オズボーンの12thアルバム(スタジオアルバムとしては通算13作目)。

コロナ禍ということもあり、前作『ORDINARY MAN』(2020年)から約2年半という非常に短いスパンで届けられた今作。前作が10年ぶりの新作だったことを考えると、この間隔の短さは異常と思わずにはいられません。

全米3位という過去最高順位を獲得した前作に倣い、今作も引き続きアンドリュー・ワット(ポスト・マローン、ジャスティン・ビーバー、マイリー・サイラスなど)がプロデュースを担当。ただ、前作がダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)とチャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)、そしてアンドリュー(G)がベースのトラックをレコーディングにしたのに対し、今回はベースにダフ、ロバート・トゥルヒーヨ(METALLICA)、クリス・チェイニー(ex. JANE'S ADDICITIONなど)、ドラムにチャドのほかテイラー・ホーキンス(FOO FIGHTERS/本作が生前最後のレコーディング作品)が参加し、ギターのベーシックトラックもアンドリューに加えザック・ワイルドBLACK LABEL SOCIETY )もプレイしていることから、前作以上に“戻ってきた感”が強まっています。

また、リードギター/ギターソロに関しても曲ごとに豪華なゲストを迎えているのが本作最大の特徴。ザックが4曲でそれらしいプレイを披露しているほか、マイク・マクレディ(PEARL JAM)が1曲、BLACK SABBATH時代の盟友トニー・アイオミが2曲、60年代“3大ギタリスト”のうちの2人……ジェフ・ベックが2曲、エリック・クラプトンが1曲にゲスト参加と、ツアーが行えず固定バンドを持たない今のタイミングならではのバラエティ豊かな布陣が華を添えています。

楽曲の指向自体は『ORDINARY MAN』の延長線上にある、“BLACK SABBATHのいいとこ採り+『NO MORE TEARS』(1991年)以降の王道ハードロック”路線を踏襲した楽曲ばかり。例えば、アイオミ参加の「No Escape From Now」はアレンジ含め完全にサバスを踏襲したものだし、ジェフ・ベックがプレイするタイトルトラックも前作に収録されていても不思議じゃない仕上がり。そんな中、クラプトンがいかにもなプレイを披露する「One Of Those Days」が“サバス meets CREAM”みたいなサイケデリックハードロックで、思わずニヤリとしてしまいます。

かと思えば、ザックが豪快なギタープレイを聴かせてくれる「Parasite」や「Evil Shuffle」はもろにBLACK LABEL SOCIETY経由のオジーサウンドだし、「Mr. Darkness」や「Nothing Feels Right」は良い意味で『NO MORE TEARS』以降を思わせるコラボレーションといった印象。さすが息が合っていると言いますか、痒いところに手が届く仕上がりです。

個人的には、マイク・マクレディ参加の「Immortal」が曲調/メロディ含め『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)〜『NO MORE TEARS』期のオジーっぽかったり、終盤に収められた「Dead And Gone」も『THE ULTIMATE SIN』(1986年)期を彷彿とさせたりと好印象。さらに、ラストを飾る2分程度のスローブルース「Darkside Blues」もお遊び以上の魅力があり、非常に気に入っています。

前作に存在したピアノバラードなどスローナンバー皆無、全13曲で60分強と非常にボリューミーな内容で、消化するまでに少々時間を要する作品ですが、個人的には今作って前作『ORDINARY MAN』と対で存在することで成立する1枚なのかなという気がしています。これ1枚だけで評価するとミスリーディングしてしまいそうだけど、『ORDINARY MAN』から地続きの連作として捉えると初めて見えてくるものがある。そんな意味深な良作ではないでしょうか。

 


▼OZZY OSBOURNE『PATIENT NUMBER 9』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD生産限定ジャケット / 海外盤CD / 海外盤CD生産限定ジャケット / 海外盤アナログ / 海外盤カセット / MP3

 

2022年4月 4日 (月)

DREAM WIDOW『DREAM WIDOW』(2022)

2022年3月25日にリリースされたDREAM WIDOWの1stアルバム。デジタルリリース&ストリーミングサービスでの配信のみで、現時点ではフィジカル未発売。

DREAM WIDOWはかつて活動していた伝説のヘヴィメタルバンド。彼ら唯一残したこのセルフタイトルのアルバムは、FOO FIGHTERSが10thアルバム『MEDICINE AT MIDNIGHT』(2021年)のレコーディングしたことでも知られるロスの邸宅で制作されており、その魔力じみた破壊力は『MEDICINE AT MIDNIGHT』にも多少なりとも影響を与えた……とか与えなかったとか。

以上は、架空のお話。というのも、これは海外で先日公開されたFOO FIGHTERS制作/出演のホラーコメディ映画『STUDIO 666』の設定で、DREAM WIDOW自体もこの物語に登場する架空のバンド。物語にリアリティを求めるあまり、デイヴ・グロール(Vo, G)のメタル熱が久しぶりに高まり、なんとほぼすべてのパートをひとりで担当して完成させたのがこの『DREAM WIDOW』というアルバムなのです(これはマジの話)。

ご存じのとおり(いや、最近のファンは知らないか)、デイヴはかつて一大メタルプロジェクトPROBOTを始動させ、レミー(MOTÖRHEAD)、クロノス(VENOM)、マックス・カヴァレラ(SOULFLY、ex. SEPULTURA)、リー・ドリアン(ex. CATHEDRAL)、スネイク(VOIVOD)、キング・ダイアモンド(KING DIAMOND、MERCYFUL FATE)などメタル界のそうそうたるフロントマンを多数迎えて『PROBOT』(2004年)というアルバムを制作。同作でもデイヴはボーカルやギター以外にドラム、ベースをプレイしています。

今回のDREAM WIDOWではリードギターのみジム・ロタ(FIREBALL MINISTRY)が参加。それ以外の楽曲ではデイヴのメタル魂が炸裂した、遊びにしては本気出しすぎな両メタルアルバムに仕上がっています。

オープニングを飾る「Encino」こそグロウルで叫びまくる疾走デスメタルチューンですが、以降はダークメタルを軸にストーナーやブラックメタルなど比較的オールドスクールなヘヴィメタルを展開。ギターがピロピロと速弾きしているのも非常に“らしさ”を醸し出していますが、全体を通して聴いているとFOO FIGHTERSらしさも随所に見つけることができ、それこそ「Angel WIth Severed Wings」や「Come All Ye Unfaithful」なんて味付けを変えたらそのままFOO FIGHTERSとしても通用するのではないかと思えるほど。やっぱり血には抗えませんね(笑)。

圧巻なのが、ラスト2曲の「Becoming」と「Lacrimus dei Ebrius」。スロー&ヘヴィでダークな質感の「Becoming」はブラックメタル的な長尺曲(約7分半)。途中でBLACK SABBATH的な展開も織り込まれており、ストーナーロックの側面も含まれているのかな。ただ、ボーカルに関しては宗教色濃いめのブラックメタルテイストですけどね。また、「Lacrimus dei Ebrius」は10分半にもおよぶインスト大作で、こちらも同テイストですが若干ドゥーミーさが強いかな。テンポチェンジも随所に織り込まれており、ただスローで10分保たせるわけではないところにデイヴのこだわりが透けて見えます。また、この曲のみならず収録曲の至るところにツインリードがフィーチャされており、このあたりの味付けもデイヴのヘヴィメタル感が垣間見えて興味深いです。

昨年のBEE GEESお遊びカバーバンド・DEE GEESといい、『MEDICINE AT MIDNIGHT』リリース以降も精力的に新録作品を発表し続けるデイヴ・グロール。テイラー・ホーキンスの急逝もあり、しばらくバンドとしての動きは期待できなさそうですが、今はこういったアイテムを楽しみつつ次のアクションをゆっくり待ちたいと思います。

その前に……‥テイラー生前最後の勇姿を拝むことができる映画『STUDIO 666』を、ぜひ日本でも視聴できるようにしていただきたい……各方面の皆様、よろしくお願いします……。

 


▼DREAM WIDOW『DREAM WIDOW』
(amazon:MP3

 

2021年7月22日 (木)

DEE GEES『HAIL SATIN』/FOO FIGHTERS『LIVE』(2021)

2021年7月19日にリリースされたDEE GEESとFOO FIGHTERSのスプリットアルバム。日本盤未発売。

本作はRecord Store Dayの一環で制作されたもので、先に7月17日にアナログ盤みて発表。続いて、翌々日にデジタルリリースおよびストリーミング配信されています。前半5曲がDEE GEESのスタジオ音源(BEE GEESのカバー4曲とアンディ・ギブのカバー1曲)で、後半が FOO FIGHTERSの最新アルバム『MEDICINE AT MIDNIGHT』(2021年)収録曲のライブバージョンとなります。

このDEE GEESですが、すでにファンの皆さんはご存知の通りFOO FIGHTERSの覆面(?)ユニット。アー写は70年代のディスコムーブメントを意識した出立ちですが、先に公開された「You Should Be Dancing」ではFOO FIGHTERSの6人がそのまんまの姿でBEE GEESの名曲群をカバーしています。デイヴ・グロール(Vo, G)のファルセットボイスは聴いているうちにだんだんと笑えてきますし、唯一アンディ・ギブの「Shadow Dancing」のみ地声ボーカル。とはいえ、こちらも普段のボーカルとは毛色が異なるので、笑える感じはそのままなのですが(笑)。

にしても、よく練り込まれたアレンジだなと。随所でハードなサウンドも聞こえてくるものの、基本的には「ロックバンドがディスコサウンドを取り入れたら」以上の力の入れ具合。ボーカルワークに関しては頭が下がるくらいのこだわりようです。これ、カバーだからまだいいけど、オリジナル曲を作り始めたらどんなリアクションがあるんでしょうね。

で、後半のライブテイクですが、こちらはバンドがロサンゼルスに所有するStudio 606でのスタジオライブ音源。アルバム同様に女性ボーカルをフィーチャーしており、しっかり作り込まれたスタジオテイクとは異なる生々しさ、ライブならではのグルーヴ感などを思う存分堪能できます。前半(アナログでいうところのA面)からの落差はハンパないですが(笑)、カッコいいので良しとしましょう。

 


▼DEE GEES『HAIL SATIN』/FOO FIGHTERS『LIVE』
(amazon:MP3

 

 

FOO FIGHTERSはこのスプリットアルバムに先駆け、『MEDICINE AT MIDNIGHT』収録曲「Making A Fire」のマーク・ロンソンによる新バージョンも公開。もともとソウルフルな色合いの強い大らかなノリの楽曲でしたが、新バージョンは大らかさにさらなる磨きがかかり、レイドバックしたテイストはまさに60年代末のTHE ROLLING STONESそのもの。こちらもあわせてお楽しみいただけたらと思います。

 


▼FOO FIGHTERS『MAKING A FIRE (MARK RONSON RE-VERSION)』
(amazon:MP3

 

2021年5月12日 (水)

NANCY WILSON『YOU AND ME』(2021)

2021年5月7日にリリースされたナンシー・ウィルソンHEART)初のソロアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年4月28日に発売。

ソロ名義では1999年にライブアルバム『LIVE AT McCABES GUITAR SHOP』を発表しているものの、スタジオアルバムはキャリア45年にしてこれが初めて。もともと2020年HEARTとしての大々的なツアーが予定されていたところ、新型コロナウイルスの影響で中止に。その空いた時間をソロアルバム制作に充てたらどうかと周りから提案されたことにより、重い腰を上げついに制作に乗り出したとのこと。レコーディングにはHEARTのメンバーを中心に、サミー・ヘイガーダフ・マッケイガンGUNS N' ROSES)、テイラー・ホーキンス(FOO FIGHTERS)といったゲストミュージシャンがリモートにて参加したそうです。

全体的にアコースティック中心な作風は近年のHEARTにも通ずるものがあり、これは想定内かなと。そんな中、ダフ&テイラーが参加した「Party At The Angel Ballroom」やオリジナル曲「The Inbetween」「The Dragon」、PEARL JAMのカバー「Daughter」などロックテイスト強めの楽曲も含まれており、安心安定の内容を楽しむことができます。特に前者はかなり生々しいサウンドで録音されており、HEARTの良き時代を思うかべることができるはずです。

また、本作には先の「Daughter」以外にもブルース・スプリングスティーン「The Rising」、サイモン&ガーファンクル「The Boxer」、THE CRANBERRIES「Dreams」といったカバー曲も用意。「The Boxer」ではサミー・ヘイガーとのハーモニーを味わえるほか、「Dreams」ではナンシーのバンドROADCASE ROYALEのメンバーでもあるリヴ・ウォーフィールドとのコラボレーションを楽しむことができます。

さらにアルバム終盤には、昨年亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)に捧げたアコースティック・インストゥルメンタル曲「4 Edward」も用意。エディっぽいフレージングを含む、アルバムのクロージングにぴったりな1曲と言えるでしょう。

さすがに現在67歳の彼女に「These Dreams」や「There's A Girl」のようなハードロックチューンを求めるのは酷ですし、そもそも2021年の今、彼女にそういったスタイルを求めるリスナーもそう多くないはず。特に90年代以降のHEARTはアコースティックをひとつの武器としているので、このアルバムで聴けるスタイルは非常に自然なものであり、バンドの作品からの流れで楽しむことができるはずです。と同時に、ナンシーが歌うスプリングスティーンやPEARL JAM、THE CRANBERRIESというのも非常に興味深く、バンドとは違ったテイストを味わえるのではないでしょうか。

ハードなテイストはアン・ウィルソンが中心で歌うHEARTに任せて、ソロはこれくらい肩の力が抜けていていいのでは……という、納得の1枚です。

 


▼NANCY WILSON『YOU AND ME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

 

2021年2月 6日 (土)

FOO FIGHTERS『MEDICINE AT MIDNIGHT』(2021)

2021年2月5日にリリースされたFOO FIGHTERSの10thアルバム。

二度目の全米1位を獲得した前作『CONCRETE AND GOLD』(2017年)から3年5ヶ月ぶりの新作。その合間には“Foo Files EPs”と題して、過去のシングル・カップリングトラックや未発表ライブトラックを配信するプロジェクトもありましたが、2020年にデビュー25周年を迎えたことで、この10thアルバムからのリードトラック「Shame Shame」がリリースされると、オリジナル新作に対する期待度が一気に高まっていきました。

プロデュースは前作から引き続き、THE BIRD AND THE BEEのグレッグ・カースティン(アデル、リリー・アレンポール・マッカートニーリアム・ギャラガーなど)とバンドが担当。ポップスを中心に手がけるグレッグが携わることで、デイヴ・グロール(Vo, G)が本来持ち合わせたメジャー感/メインストリーム感がよりわかりやすい形で作品化され、さらにそこにモダンポップの質感が加えられることで“2021年のロックバンド感”が強まる結果となりました。

タイトなロックサウンドにゴスペル的なコーラスパートを加えた王道感が加えられたオープニングトラック「Making A Fire」に、新たなFOO FIGHTERSの魅力を見つけることができたかと思うと、続くリードシングル「Shame Shame」でその新境地要素はさらに増していく。ある意味では実験色の強い作風と言えるかもしれませんね。そういった意味では、メインストリームでオルタナティヴなことにチャレンジするという、デビュー当時とは逆の方向性と捉えることもできるでしょう。

以降は「Cloudspotter」や「Waiting On A War」と、前作の延長線上にあるFOO FIGHTERSらしさが強くにじみ出た楽曲が続きます。このへんのバランス感も非常に“らしい”ものがあります。で、ブラックミュージックからのえいきょうが表出したタイトルトラック「Medicine At Midnight」で、再び新境地を提示したかと思えば、アップテンポの「No Son of Mine」で暑苦しいハードロックを展開する。この緩急に富んだバランス感、さすがの一言です。

楽曲の幅がかなり広いように感じられるかもしれませんが、統一感に関しては前作以上に強いものがあるように思いました。新しいことに挑戦していても、そのトーンが全体的に近しいものがあるというのが、この統一感の秘密ではないでしょうか。そんな気がします。

だから、終盤の3曲……初期を思わせる王道ロックチューン「Holding Poison」、穏やかなスローバラード「Chasing Birds」、キャッチーなロックナンバー「Love Dies Young」と従来の“らしさ”が強くにじみ出た楽曲群でクライマックスを迎えると、全9曲/約37分があっという間に感じられるわけです。実際、FOO FIGHTERSの全アルバム中もっともトータルランニングの短い作品ですしね。

サラッと楽しめてしまうのに、実は1曲1曲の濃さが尋常じゃない。そう感じさせないくらい自然に聴かせてしまう、楽しませてしまうのはその構成力や完成度の高さのなせる技だと思います。NIRVANA消滅という傷から立ち直り作り上げた1stアルバム『FOO FIGHTERS』(1995年)から25年超を経て、FOO FIGHTERSがこんなに“大人のロックバンド”としてメインストリームに君臨しているなんて、当時は想像もできませんでした。

このバンドがこういう素晴らしいロックアルバムを作り続けてくれている間は、まだまだロックは死なないと信じ続けることができますね。

 


▼FOO FIGHTERS『MEDICINE AT MIDNIGHT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

2021年1月 9日 (土)

DAVID BOWIE『HEATHEN』(2002)

2002年6月11日にリリースされたデヴィッド・ボウイの23rdアルバム。日本盤は海外に先駆けて、同年6月5日に発売。

90年代に入ってからのボウイは『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993年)でソロ活動を再びソフトランディングさせ、以降は『1. OUTSIDE』(1995年)『EARTHLING』(1997年) と実験的かつ前衛的な作品に着手し続けます。しかし、特に『EARTHLING』ではドラムンベースやインダストリアルロックなど良くも悪くも時代に迎合するかのように、モダンなテイストを前面に打ち出すも絶対的な成功とは言い難い結果を残すにとどまりました。

そんな実験と挫折(とちょっとの手応え)を経て、前作『'hours...'』(1999年)では原点回帰とも言える「良い曲を作ることにこだわる」作風へとシフト。結果的にはこちらも成功とは言い切れないような結果しか残せませんでしたが、同作は間違いなく90年代のボウイの頂点であり、続く2000年代への布石でした。

『'hours...'』での試みの“その先”として、本来は2001年に『TOY』というアルバムをリリースする予定でした。同作は60年代にボウイが制作した楽曲をセルフカバーし、そこに新曲を加えるといった内容で、方向的には『'hours...'』の延長線上にあるものだったと言えるでしょう。ところが、同作のために制作した新曲に手応えを感じたボウイは、『TOY』という作品をお蔵入りにし、完全なるオリジナルアルバム制作に着手。かつ、そのアルバムのプロデューサーに70年代からの盟友であるトニー・ヴィスコンティを約20年ぶりに迎えることになるのでした。

本作には『1. OUTSIDE』や『EARTHLING』で見せたド派手なアレンジは皆無ですし、『BLACK TIE WHITE NOISE』のようなダンサブルさもゼロ。あるのはソウルやフォーク、ロックンロールをベースにした穏やかな“いい曲”。そこに往年のボウイを思わせるゴシック感も若干散りばめられておりますが、そのへんは単なる味付けにすぎず、やっていること自体は間違いなく『'hours...'』の“その先”。もっと言えば、初期の名盤『HUNKY DORY』(1971年)の“その先”と解釈することもできる。そんな「地味だけど、時の経過とともにじわじわ効いてくる」1枚なのです。この時点でボウイ55歳。人生も折り返しに入り、いかにエキセントリックなアートを生み出すかということよりも、純粋に音楽を楽しむ方向にシフトしたってことなんでしょうか。

全12曲の収録曲の中には、もはや80年代以降のボウイの十八番ともいえるカバー曲も3曲収録。中にはPIXIESの「Cactus」なんてものも含まれており、そのセンスに思わずニヤリとしてしまいます。また、アルバムにはカルロス・アロマー(G)などおなじみの面々に加え、ピート・タウンゼンド(G/THE WHO)が「Slow Burn」に、デイヴ・グロール(G/FOO FIGHTERS)が「I've Been Waiting For You」にそれぞれゲスト参加しているというトピックも用意されています。が、本作を前にすると、そういった要素はおまけにしかすぎないなと思わされます。

それくらいよく作り込まれた、純粋に“良い”作品。リリースされた当時より大人になった今聴くほうが、その魅力にたくさん気づける“今聴くべき”1枚です。そんなアルバムに異教徒や野蛮人を意味する『HEATHEN』と名付け、ジャケットではそのタイトルを上下逆に表記するというユーモアもさすがの一言です。

なお、現在まで未発表のアルバム『TOY』の収録曲の大半は、すでにいろいろな形で発表済み。『HEATHEN』には「Slip Away」(オリジナルタイトルは「Uncle Floyd」)と「Afraid」がリテイクという形で収録され、同作のデラックス盤では「Baby Loves That Way」「Conversation Piece」「Shadow Man」「You've Got A Habit Of Leaving」、3枚組ベストアルバム『NOTHING HAS CHANGED』(2014年)では「Let Me Sleep Beside You」「Toy (Your Turn To Drive)」「Shadow Man」をそれぞれ耳にすることができます。

 


▼DAVID BOWIE『HEATHEN』
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