2017/05/13

FOREIGNER『INSIDE INFORMATION』(1987)

FOREIGNERというと、80年代前半に発表された2枚のアルバム……『4』(1981年)と『AGENT PROVOCATEUR』(1984年)と、各アルバムからシングルカットされた「Waiting For A Girl Like You」(全米2位)と「I Want To Know What Love Is」(全米1位)というバラード2曲の印象が強いですが、個人的に好きなアルバムは?と問われると、ルー・グラム(Vo)在籍時第1期ラストアルバムの『INSIDE INFORMATION』なんですよね。

このアルバムが発売される10ヶ月前、1987年2月にルー・グラムは初のソロアルバム『READY OR NOT』を発表。シンプルでストレートなロックを中心としたこのアルバムからは、「Midnight Blue」(全米5位)というヒットシングルも生まれ、もっとこういうサウンドをFOREIGNERでもやればいいのに……と思っていたところにFOREIGNER再始動、ニューアルバムからの先行シングル「Say You Will」がリリース。哀愁のメロディを伴うハードロック調の楽曲は個人的にも好物だったので、当然アルバムにも期待しました。

完成したアルバムは、良くも悪くもルー・グラムとミック・ジョーンズ(G)のカラーが二分して表現された内容で、今思えばバンドの終焉を迎えようとしていることがここに明確に表れていたんだなと。とはいえ、各曲の仕上がりはさすがとしか言いようがなく、“産業ロック万歳!”と叫びたくなるハードポップ「Heart Turns To Stone」からスタートし、バラード風のミドルテンポ「Can't Wait」、「Say You Will」同様に全米トップ10入りしたバラード「I Don't Want To Live Without You」、ルーのソロアルバムにも通ずるストレートなロック「Counting Every Minute」と、2人のカラーが個別に色濃く表れた楽曲が並びます。

後半もそのバランス感は崩れることなく、ミック主導のハードポップ「Inside Information」、イントロと本編の対比が気持ち良いハードチューン「The Best Of My Heart」、シンセを前面に打ち出した泣き曲「Face To Face」、これぞ産業ロックバラードといわんばかりの「Out Of The Blue」、ラストを飾るにふさわしいアメリカンロック「A Night To Remember」と緩急自在の選曲で楽しませてくれます。

アレックス・サドキン(DURAN DURANやTHOMPSON TWINSなどを手がけるポップ系プロデューサー)と制作した前作『AGENT PROVOCATEUR』の大ヒットとそれまでのバラード路線を推し進めようとしたミック、ソロ活動を経てよりシンプルかつストレートにロックがしたいルー。そのギリギリの均等関係は本作を最後に崩れ、のちにルーはバンドを脱退。アルバムも70年代から続いた全米トップ10入りを逃し(全米15位)、セールス的にも100万枚と過去の作品と比べれば低調に終わります。

しかし、アルバム自体の出来が悪いとは言いがたく、HR/HM全盛期の中で大健闘した1枚だったと思います。BON JOVIが大ヒットを果たしたタイミングだけに、「Say You Will」のような楽曲がちゃんと受け入れられたのも個人的には興味深かったし、バラード以外でもちゃんと勝負できるんだという底力を最後に見せつけられた良作と断言したいです。



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投稿: 2017 05 13 12:00 午前 [1987年の作品, Foreigner] | 固定リンク