2018年12月24日 (月)

THE MONKEES『CHRISTMAS PARTY』(2018)

前作『GOOD TIMES!』(2016年)で本格的復活を果たしたTHE MONKEESが2年ぶりの新作として発表した、初のクリスマスアルバム。相変わらず正式メンバーはミッキー・ドレンツとピーター・トークの2人ですが、前作同様に脱退しているオリジナルメンバーのマイク・ネスミスも参加。さらに、2012年に亡くなったデイヴィ・ジョーンズのボーカルテイクを使った楽曲も含まれており、完全に“あのモンキーズ”のアルバムとして仕上げられています。

内容的にはクリスマスソングのスタンダードと、ポール・マッカートニー「Wonderful Christmastime」やBIG STAR「Jesus Christ」といったロック/ポップスのクリスマスソングカバーが中心。そこに、前作でもオリジナル曲を提供したアダム・シュレシンジャー(FOUNTAINS OF WAYNE)やアンディ・パートリッジ(XTC)、リヴァース・クオモ(WEEZER)がオリジナル曲を書き下ろし。さらに、今回は元R.E.M.のピーター・バックもソングライティング&ギターで参加するなど、アメリカンロック/パワーポップ界的には今回もたまらない内容となっています。

全体のプロデュースを手がけたのは、今回もアダム。演奏面でも全面的に彼が関わっており、プレイヤー陣の中にはジョディ・ポーター(G)やブライアン・ヤング(Dr)といったバンドメイトの名前も見つけることができます。今や解散状態のFOUNTAINS OF WAYNEなだけに、こういう形で再び共演が楽しめるのはファンとしては嬉しいかぎり。

数少ないオリジナル曲4曲は、オープニングを飾るアンディ・パートリッジ作「Unwrap You At Christmas」こそ“らしい”クリスマスソングですが、リバース・クオモ作「What Would Santa Do」はハンドベルこそ用いているものの、基本的にはWEEZERっぽいパワーポップ。アダム・シュレシンジャーによる「House Of Broken Gingerbread」もFOW風パワーポップで、特にクリスマスソングという印象は薄いかもしれません。

そしてもう1曲、ピーター・バックが関わるアルバムタイトルトラック「Christmas Party」もそのギターフレーズのせいもあってか、どこかR.E.M.を彷彿とさせるもの。これを歌うミッキー・ドレンツの声もどこかマイケル・スタイプっぽいような……気がしませんか?

もちろん、それ以外のカバー曲も原曲が素晴らしいですし、それを演奏するプレイヤー陣も優れているので、安心して楽しめるはず。若々しいデイヴィのボーカルを用いた「Mele Kalikimaka」や「Silver Bells」には、ちょっとウルっとしてしまいますけどね。アコースティックテイストにアレンジされた「Wonderful Christmastime」も素敵な仕上がりですし。安心安定の1枚として、この時期にお楽しみくださいませ。



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投稿: 2018 12 24 12:00 午前 [2018年の作品, Fountains of Wayne, Monkees, The, Paul McCartney, R.E.M., Weezer] | 固定リンク

2016年12月19日 (月)

THE MONKEES『GOOD TIMES!』(2016)

60年代にアメリカを中心に一世を風靡し、その後何度か再結成をしているTHE MONKEES。バンドの顔としてアイドル的人気を誇ったデイヴィ・ジョーンズが2012年に亡くなり、音楽的支柱だったマイク・ネスミスも脱退。現在はミッキー・ドレンツとピーター・トークの2人だけが正式メンバーですが、THE MONKEESをリスペクトするフォロワーたちの協力を得て、20年ぶりに完成させたオリジナルアルバムが今作です。そういった話題性もあったか、本作はビルボード200にて14位という好成績を残しています。

プロデュースにFOUNTAINS OF WAYNEのアダム・シュレシンジャーが参加。もちろん楽曲制作にも携わっており、この他にもアンディ・パートリッジ(XTC)、リヴァース・クオモ(WEEZER)、ベン・ギバート(DEATH CAB FOR CUTIE)、ノエル・ギャラガーポール・ウェラーといった錚々たる面々が楽曲提供。さらに60年代にレコーディングされたデイヴィ・ジョーンズのボーカルを活かした楽曲も含まれているだけでなく、レコーディングにはマイク・ネスミスも参加しています。ボーカルの比重の違いこそあれど、これはまさしく僕が洋楽原体験として聴き親しんだTHE MONKEESそのものなのです。

楽曲はどれも悪いわけがない。ハリー・ニルソンやニール・ダイヤモンドの楽曲も含まれているのですが、フォロワーたちがTHE MONKEESに新曲を書くと意気込んだこともあってか、いい意味でどれが新曲でどれがカバーかわからないくらいに充実しています。もっとも、各アーティストのファンが聴けば、どの曲もそれぞれのクセが散りばめられているので「これは誰の曲」とおわかりになると思いますが。

2016年にTHE MONKEESの新作が聴くことができたという事実もさることながら、その完成度の高さにただただ驚かされた1枚。2016年は個人的に非常に豊作でしたが、そんな1年を語る上で欠かせないアルバムと言えます。


こちらはリヴァース提供楽曲。らしさがありますね。


こちらはアンディ・パートリッジ先生の楽曲。本気度が違います。



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投稿: 2016 12 19 12:00 午前 [2016年の作品, Fountains of Wayne, Monkees, The, Noel Gallagher's High Flying Birds, Paul Weller, Weezer] | 固定リンク

2003年6月15日 (日)

FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999)

アメリカの4人組ギターポップ/パワーポップ・バンド、FOUNTAINS OF WAYNEが'99年4月にリリースしたセカンドアルバム「UTOPIA PARKWAY」。4人組とはいっても基本的にはこのバンド、メインソングライターであるクリス(リードボーカル&ギター)とアダム(ベース&コーラス)の2人が中心人物なんですわ。実際プロデュースもこのふたりが手掛けてますし、課外活動として余所のバンドやアーティストを手掛けたり、元SMASHING PUMPKINSのジェイムズ・イハ(ギター)のソロアルバムにも参加したり、一緒にレーベルを立ち上げたり等、いろいろやってますしね。あとアダムはフランス人女性をボーカルに迎えたバンド、IVYも並行してやってるんで、知ってる人は多いんじゃないでしょうか。と、そういう課外活動がいろいろ忙しいこともあってか、このアルバムから次のアルバムまで4年以上も空いちゃったんだから‥‥ファンにしてみれば有り難迷惑というか。

俺が彼等と出会ったのが正しくこのアルバムからで、当時毎月行ってたロック系クラブイベント「CLUB K」で、シングルにもなった"Denise"が頻繁にかかってたんですよ。特徴のあるギターのリフはグランジっぽくもあるんだけど、サビ前後になると途端にファルセットによるコーラスが入ったり、サビの甘美な世界観といったらもう、とろけそうになる程。この曲にノックアウトされない人がいたとしたら、きっとその人はロックをちゃんと聴いてない、表面的な格好良さにしか惹かれてない人なんじゃないか‥‥なんて思える程、クラブにて大音量で聴くこの曲はホントに素敵だったわけ。チープなシンセサウンドも雰囲気モノで、ダサ格好良さ満点。リリースから4年経った今聴いても、全然古くなってないんだからさすが。

ポップなメロディにハーモニー、それを包み込むようなギターサウンドや優しいアコースティックサウンド、そして要所要所に使われているアナログっぽいシンセ。一歩間違えば本当にダサくなってしまうのに、何故か抜群にカッコイイ。何故か。やっぱり楽曲がしっかりしてて、ユーモアに溢れてて、センスがあるってのが大きいんだろうね。

このアルバムを聴いてると、先の"Denise"や"It Must Be Summer"のような直接的なギターポップ/パワーポップ的な楽曲もあるんだけど、それだけに留まらず、例えば1曲目に"Utopia Parkway"みたいなユルユルのミディアムポップをいきなり持ってきたり、ちょっとWINGSっぽい"Red Dragon Tattoo"だったり、アコースティック色の強い名曲"Troubled Times"だったり、思いっきりサウンドや歌い方がOASISしてる"Go, Hippie"だったり(ってこれ、ある種パロディだよね!?)‥‥その他にも所々にELOやエルトン・ジョン、当然BEATLESといった先代達からの影響を感じさせます。同世代であろうWEEZERっぽくもあり、かといってあそこまで一辺倒でもなく、非常に引き出しの多いバンドだなという印象。そしてそういったバンドが精魂込めて作った、ポップの玉手箱がこのアルバム。ホントにいろんなタイプの楽曲が入ってて、しかも14曲(日本盤は15曲)もあるのに長く感じさせないし(実際15曲で50分にも満たないですからね)。

多分、自分達が聴いてきたものを1枚にまとめた感じなんでしょうか。「自分が聴きたいアルバムを作ったら、こうなった」といったところでしょうか。ホント羨ましい。才能って凄いね。

それにしてもさぁ‥‥WEEZERにしろ、'90年代以降に登場したアメリカのギターポップ/パワーポップ勢の多くに言えることなんだけど、何でこの手のバンドって歌詞が女々しいというか、情けなさ満載なんですかね? どうしてもアメリカというと強いとかマッチョといったイメージが強いから、余計にそう感じちゃうんですが‥‥だからこそ、多くの人達から共感を得たんでしょうか? このアルバムの曲も、「赤い龍の刺青 僕の肌にそれが 君のために彫ったんだ これで君は僕を欲しがってくれるかな」「今の僕はちょっとKORNみたいでしょ」("Red Dragon Tattoo")とか、「とうとうこの日が来てしまったね 僕らはガス欠になり 空気はだんだん濁ってきて 女の子達は気分が悪くなってきて 僕らは浜辺で気を失って 車の鍵もなくしちゃって すぐに僕らはサヨナラを言う それから後は死ぬまで働くだけ」("Prom Theme")とか‥‥ああ、書いててこっちまで凹んできた。いや、断片的に取り上げると凹みそうなんだけど、全体像としてはやりきれなくて切ない青春時代を歌ったものが多い‥‥のかな? そうい意味では10代の子達が読んだら、もしかしたら共感できるのかもしれないね? いや、30代の俺が読んでも「うんうん、判る判る」っていう歌詞ですけどね。誰もが通過する時代や出来事、日常を切り取った内容になってるんじゃないですかね。

とにかく、一度は聴いて欲しい作品ですね。もしアナタがUKギターポップとかを好んで聴くなら、間違いなく気に入るはず。WEEZER程ギターが激しくはないけど、この手のバンドが好きな人でも絶対に気に入るはずなんで、ファーストアルバム(これも名盤!)と合わせて聴くことをオススメします。



▼FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』
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投稿: 2003 06 15 07:23 午後 [1999年の作品, Fountains of Wayne] | 固定リンク