NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)
昨日のMEATHOOK SEEDを聴いて、急に思い出したのが今回紹介するNAILBOMB。名のあるメタル/ラウド系バンドのメンバーが集まって作ったプロジェクト、90年代前半という微妙なタイミングでのインダストリアルメタルへの接近など共通項がいくつかあってか、自分の中で同じ枠に入れていた2組なんですよね。
NAILBOMBは当時SEPULTURAに在籍していたマックス・カヴァレラ(Vo, G)と、当時FUDGE TUNNELの一員だったアレックス・ニューポート(Vo, G)が立ち上げたプロジェクト。本作『POINT BLANK』は1994年3月(日本盤は4月)にリリースされた唯一のオリジナルアルバムで、レコーディングには同じくSEPULTURAのアンドレアス・キッサー(G)、イゴール・カヴァレラ(Dr)、FEAR FACTORYのディーノ・カザレス(G)がゲスト参加しています。
サウンド的には当時のSEPULTURAが持っていたモダンヘヴィネス的な重さよりも、もっと直線的でパンキッシュなメタルサウンドに、インダストリアル調のサンプリングや打ち込みビートなどをミックスしたもので、感覚的にはMINISTRYに近いものがあるかも。
最初に「MEATHOOK SEEDと同じ枠」と書いたものの、手法は一緒でも出てくる音が異なるものというのが面白い。もちろんそれは「NAPALM DEATH+OBITUARY」と「SEPULTURA+FUDGE TUNNEL」という違いによるものであって、違うのは当たり前の話なんですけど。だけど、なぜか同じ枠で括りたくなってしまう理由、同意してもらえますかね?
SEPULTURAのスラッシュメタル/モダンヘヴィネスとも異なる、どこか単調でパンキッシュなスタイルはカヴァレラがのちに結成するCAVALERA CONSPIRACYにちょっと近いものがあったりすると思うのですが、いかがでしょう? もちろん、完全に一致しているわけではないですけど、カヴァレラがこのNAILBOMBでアレックス・ニューポートと試したことが10数年後に再びCAVALERA CONSPIRACYでトライされたと考えたとき、その間の出来事やバンドの経緯を踏まえると合点がいくのではないでしょうか。
あと、MEATHOOK SEEDを久々聴いたときは新鮮さが得られたのに、このNAILBOMBでは同じような感覚が得られなかったのはなぜなんでしょうね。それも不思議……って、CAVALERA CONSPIRACYがあったからか。納得(苦笑)。
NAILBOMBは本作リリース後にライブを行なっており、翌1995年にはライブアルバム『PROUD TO COMMIT COMMERCIAL SUICIDE』を発表しています。なお、こちらにはライブ音源のほかにスタジオ音源2曲が追加収録されているので、新曲目当てで聴いてみてもいいかもしれません。