MICK JAGGER『GODDESS IN THE DOORWAY』(2001)
2001年11月に発表されたミック・ジャガーの4thソロアルバム。
ソロ名義では前作『WANDERING SPIRIT』(1993年)から8年9ヶ月ぶりのアルバム。同作以降、THE ROLLING STONESとして『VOODOO LOUNGE』(1994年)、『BRIDGES TO BABYLON』(1997年)と精力的な活動が続き、それに伴うワールドツアーも大々的に行われていたので、ミック個人としてもアク抜き、もしくはインプットの意味でこのソロアルバムを制作したのでしょう。
ビル・ラズウェルやナイル・ロジャース(1st『SHE'S THE BOSS』)、デイヴ・スチュワート(2nd『PRIMITIVE COOL』)、リック・ルービン(3rd『WANDERING SPIRIT』)と毎回旬のプロデューサーを迎えて制作してきたソロ作ですが、この『GODDESS IN THE DOORWAY』ではストーンズでの仕事で知られるマット・クリフォード、AEROSMITHやオジー・オズボーン、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルなど幅広いアーティストを手がけるマーティ・フレデリクセンとミック自身の3人による共同プロデュースで制作。楽曲の大半はミック単独で書かれたものですが、数曲でマット・クリフォードと共作、さらにロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)、レニー・クラヴィッツ、ワイクリフ・ジョン(THE FUGEES)ともコラボしています。
前作がナマ感の強いバンドサウンドを軸にした作風だったのに対し、今作では曲ごとにバンドサウンドや打ち込みをセレクトした初期の路線に回帰。ただ、ポップス色濃厚だった『SHE'S THE BOSS』とも異なり、ゴスペルやソウル、ラテンなどのルーツミュージックを現代的に解釈した作風の、比較的地味な楽曲が揃った1枚に仕上がっています。
そういった意味では、過去3作と比較すると非常に肩の力が抜けているのが明確な作品かもしれません。それが、先のアク抜きにもつながり、ルーツミュージックの現代的解釈(および、さまざまなアーティストとのコラボ)がインプットになったのかなと。つまり、本作はアーティストとして制作することに意味を見出す、リスナー視点では評価の難しい1枚とも言えるでしょう。
もちろん、ミックが作っているんですから悪いわけがない。平均点以上の仕上がりですし、こちら側も今まで以上にリラックスして聴くことができる作品だと思います。でも、視点を変えると“アクの弱い”アルバムとも言えるわけでして。確かに、先のロブ・トーマスやレニー・クラヴィッツに加え、ボノ(U2)やジョー・ペリー(AEROSMITH)、ピート・タウンゼンド(THE WHO)といった豪華ゲストも多数参加しています。でも、そういったスタープレイヤーの華やかさが表出した作風というわけでもなく、過去のソロ作と比較してもどうにも影の薄い1枚とも言えるわけでして。
ライトリスナーにはオススメはしないけど、ストーンズファンなら聴いておいて損はしない。そんな1枚かもしれません。まあミックのソロに手を出すなんて、確実にストーンズにヤラれた人以外いないでしょうから(偏見です)。
▼MICK JAGGER『GODDESS IN THE DOORWAY』
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