THE GATHERING『HOME』(2006)
女性ボーカルのゴシック系メタル/ラウドロックをいろいろ聴いていると、必ずといっていいくらいに名前が出てくる「THE GATHERING」というバンド名。不勉強なんですが、ホント名前を耳にしたことある程度で、どんなサウンドのバンドかも知らないし、これまで接する機会もなかったのね。で、先日リリースされた最新作「HOME」を手に取ってみまして。
このバンド、オランダ出身で結成は1989年。元々は男性ボーカルのデスメタルだったんだけど、途中から女性ボーカル、アネク・ガースバーゲンを迎えて音楽性を一変。ゴシック色の強いハードロックへと移行していって、アルバムを重ねる毎にプログレ色も強くなり‥‥という存在なんだそうな。
で、この最新作。これ、もはやハードロックでも何でもないよね。ゴシック色は感じるものの、すごくシンプルな音を鳴らしてるなぁ、と。アネクの声は本当にキレイだし、歌メロも美しい。あ、美メロ系メタルのそれともちょっと違うかな。もっとこう、民族音楽チックというか‥‥ケルト系とか、あっちの色を感じる。節回しとか裏声の使い方がそれっぽいのかな。
サウンドやアレンジも、がっちり音を詰め込むタイプとは正反対で、空間を上手く使ってる。リズムのない曲だったり、コーラスの重ね方だったり、ギターのフレーズだったり。すごいトリップ感の強い音を鳴らすバンドだなぁって思った。なんていうか‥‥ツボを心得てるっていうか。わかってるよなーって。昨今のゴシックテイストの曲を爆音で鳴らせばいいや、っていう短絡的なバンドとは一線を画する存在。なぜこの人達がこのジャンルで重要視されているのかが、よーくわかる1枚ですわ。
決して派手さはないし、どちらかというとイージーリスニングに近いノリもある。人によっては聴いてると心地よいっていう意見もあるんじゃないかな。でも、楽に聴けそうで、実はじっくり集中して聴かせてしまう力作。そういう作品じゃないかな。
やっぱ本流は違うな。そう思わせるに十分な1枚でした。これ聴いたらその辺の似非ゴスメタルは聴けないわ。
▼THE GATHERING「HOME」(amazon:US盤)