RONNIE WOOD『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO』(1974)
1974年9月13日に発売されたロニー・ウッドの1stソロアルバム。
当時FACESのギタリストだったロニーにとってキャリア初となるソロアルバムは、そのFACESのメンバーでもあるロッド・スチュワート(Vo)やイアン・マクレガン(Key)のほか、のちに加入することになるTHE ROLLING STONESのミック・ジャガー(Vo)、キース・リチャーズ(G, Vo)、ミック・テイラー(G, B)、さらにはジョージ・ハリスン(G, Vo)なども参加する、まさに邦題の『俺と仲間』どおりの内容となっています。
FACESはもちろん、ストーンズの血が濃く混じっていることもあり、本作は両バンドの個性をロニーなりに消化したルーズなロックンロール&ソウルを存分に堪能することができます。ジャガー&リチャーズ書き下ろし曲「Act Together」「Sure The One You Need」や、ジョージとロニーの共作曲「Far East Man」、のちにイジー・ストラドリン(ex. GUNS N' ROSES)が本家ロニーをゲストに迎えてカバーする「Take A Look At The Guy」、ミックのボーカルもしっかりフィーチャーされた「I Can Feel The Fire」など、とにかく印象的な楽曲が多いのですが、どの曲もロニー以上にゲストミュージシャンの主張が強く(苦笑)、そういったところにロニーの人柄が表れているような気がしないでもないです。
だって、「Am I Grooving You」なんてミック・ジャガーとキース・リチャーズの掛け合いボーカルの印象が強いですし、「Far East Man」もジョージ・ハリスンのスライドギターが主役みたいなものですし(なんなら曲自体もジョージのそれだし)。いくら『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO』とタイトルに掲げていても、「俺が俺が」の性格ではないことが良くも悪くも“フロントマン=ロニー・ウッド”の影を薄くしてしまっている。もっと言えば、迎え入れたゲストのアクが強すぎるんです。初のソロ作、ご祝儀がわりにゲストが豪華なのはよろしいのですが、もうちょっと考えたほうがいいんじゃないの?とこちらが心配になるという(苦笑)。
でも、アルバムとしてのまとまりや個々の楽曲の完成度は非常に高く、1枚のロックンロールアルバムとしてはかなりクオリティが高い。正直、個人的には同時期に制作されたFACESのアルバムよりもダントツに好きなんですよね、こっちのほうが。それは別にロッドがダメとかじゃなくて、単純にフィーリングの問題。本当は比べようがないんですが、趣味的にこっちのほうがど真ん中というだけの話です。
あと、このアルバムを聴いたあとにストーンズの『IT'S ONLY ROCK 'N ROLL』(1974年)を聴くと、非常に納得するものがあるという……ああ、そうか。単に自分がストーンズ側の人間なだけか。納得です。
ストーンズ・ワークスとしては先の『IT'S ONLY ROCK 'N ROLL』と、ロニー加入後の『BLACK AND BLUE』(1976年)の間にある1枚。実は両作をつなぐ上でも重要な作品ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
▼RONNIE WOOD『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO』
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