2016/12/27

GEORGE MICHAEL and QUEEN with LISA STANSFIELD『FIVE LIVE』(1993)

1993年春に発表された、ライブ音源で構成されたEP。ジョージ・マイケルのソロ名義の作品ではなく、QUEENやリサ・スタンスフィールドとの共演が繰り広げられた1992年4月20日のイギリス・ウェンブリースタジアムでのフレディ・マーキュリー追悼ライブでのライブ音源がメインのため、こういうアーティスト名義となっております。

5曲中2曲がQUEENナンバーのカバー。1曲目「Somebody To Love」はシングルカットもされて、当時全米30位まで上昇しております。もう1曲は4曲目の収められた「These Are The Days Of Our Lives」。こちらはQUEEN、リサ・スタンスフィールドとの共演トラックです。「Somebody To Love」ほどのインパクトはないものの、これはこれでアリかなと。

そういえば、このステージでの共演を機に「フレディの後任はジョージがいいんじゃ」なんて話をちらほら挙がったこともありましたっけ。歌唱力はもちろんのこと、いわゆるセクシャリティにおいても共通点があるし、そういったところで適任なんて噂されたのかもしれないけど、結局QUEENはご存知のとおり現在アダム・ランバートと一緒にステージに立っているわけですから。結果論とはいえ、結局はこれでよかったのかな、と。

QUEENとの共演トラックばかりに目が行きがちですが、そのほかの3曲にも注目しておきたいです。ジョージ・マイケルはWHAM!時代からカバー曲のセレクト、その仕上がりに対して定評がありましたが、今作ではハウス系アーティストADAMSKIとソウルシンガーのシールによるコラボ曲「Killer」と、THE TEMPTATIONSなどのカバーでも有名な「Papa Was A Rollin' Stone」の10分にわたるメドレー、そして映画『バグダッド・カフェ』の主題歌として知られる「Calling You」をセレクト。それぞれ1991年春にウェンブリーアリーナで行われた、2ndアルバム『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1』(1990年)を携えたツアーからの音源で、同作での作風の延長線上にあるアレンジ(主に前者のメドレーで)を堪能することができます。一方で、「Calling You」は『FAITH』(1987年)での「Kissing A Fool」にも通ずるジャジーなテイスト。ジョージのスウィートな側面が遺憾なく発揮された、名カバーのひとつと言えるのではないでしょうか。

ちなみに今作、最後の最後にQUEENの「Dear Friends」(1974年の3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』収録)が収められたバージョンも存在します。これは同作が、当時ジョージが所属するソニー系からではなく、QUEENの所属レーベルParlophone(北米圏ではHollywood Records)からのリリースというのも大きく影響しており、「あくまでQUEENプロジェクトの一環」として発表されたものであることが伺えます。ジョージ自身、その後のリリースは『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1』から続く3rdソロアルバム『OLDER』まで約6年もの歳月を要することになるので、その中間となる1993年にこういう作品をリリースしておけたのは(しかもそこそこのヒット作になったのは)以降の活動へつなげる意味でもいい効果をもたらしたのではないでしょうか。また、QUEENも2年後の1995年に“オリジナル”アルバム『MADE IN HEAVEN』を発表することになりますしね。



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投稿: 2016 12 27 12:00 午後 [1993年の作品, George Michael, Queen, 「R.I.P.」] | 固定リンク

GEORGE MICHAEL『FAITH』(1987)

WHAM!の解散が1986年6月で、ソロシングル「I Want Your Sex」リリースが翌1987年6月。WHAM!在籍中に「Careless Whisper」(1984年)、「A Different Corner」(1986年)の2曲をソロ名義で発表していたり、それらの楽曲がWHAM!のオリジナルアルバム(前者が2nd『MAKE IT BIG』、後者が『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』)にも収録と、WHAM!解散後のソロ活動は当然の流れなわけで。

そりゃ「I Want Your Sex」を最初に聴いたときの衝撃は、相当なものでした。直接的なタイトルもそうですし、いわゆるポップミュージックのフィールドのど真ん中で戦ってきたWHAM!からよりアダルトな路線へと移行したそのサウンドにも、ただただビックリしたものです。

1987年秋、ついにリリースされた1stソロアルバム『FAITH』は、「I Want Your Sex」から想像できたアダルト路線をより突き詰めたものでしたが、予想よりも聴きやすい1枚でまた驚かされたのも、まるで昨日のことのように覚えています。当時高校1年生だった自分に“大人すぎず、子供すぎず”な絶妙なバランス感の上に成り立っていたこのアルバムは、当然のように全米&全英1位。アルバムからシングルカットされた5曲(「Faith」「Father Figure」「One More Try」「Monkey」「Kissing A Fool」)中、「Kissing A Fool」以外の4曲が全米1位を獲得し、アルバム自体もアメリカで当時700万枚、現在までに1000万枚超を売り上げるメガヒット作となりました。これは同年に発表されたマイケル・ジャクソンのアルバム『BAD』からの全米No.1シングル5曲に次ぐ大記録。そう考えると、1987年って本当に面白い年だったなぁ……。ちなみに、このアルバムは1988年のビルボード年間ランキングで1位、シングル「Faith」も1988年の年間チャートで1位という快挙を成し遂げています。WHAM!というスーパーグループはたった数年の活動で終了したものの、それ以上の成功をソロになっていきなり達成してしまったわけです。

事実、本作はそのセールスや記録に負けないだけの内容だと思います。賛美歌のようなオープニングに続いて、ボ・ディドリー調のリズムと意外なほどに音が薄いタイトルトラック「Faith」の意外性。アジアテイストのイントロ&ゴスペル調コーラスと同じくらい、一緒になれない男女(もしくは男同士)の別れをつづった歌詞が意味深な「Father Figure」から、ストレートな「I Want Your Sex」への流れ。ジョージの真骨頂といえるバラード「One More Try」、どこかプリンスにも通ずるダーク&コールドなファンク「Hard Day」、アメリカンドリームを否定する冷ややかな「Hand To Mouth」、ジャム&ルイスがリミックスしたシングルバージョンもなかなかなファンクチューン「Monkey」で緩急をつけて、ラストはジャジーな「Kissing A Fool」で締めくくるという完璧な構成。アルバム全体はもちろんのこと、1曲1曲を取り上げても、リリースから29年経った今聴いてもまったく古さを感じさせないのだから、本当にすごいアルバムだなと思います。

にしても、アルバム全9曲(「I Want Your Sex」がパート1&2のメドレーなので、実質10曲ですが)6曲がシングル曲っていう強みもすごいし、WHAM!からこういったアダルト路線に見事シフトチェンジできた事実もすごい。CDだとボーナストラックとして、ラストに「A Last Request (I Want Your Sex Part III)」が収録されているのですが、この組曲的にアルバムに位置する「I Want Your Sex」という曲が、結局はジョージ・マイケルのソロキャリア開始における支柱だったのかなと。その後の彼のアレコレを考えると、いろいろ感慨深いものがありますね。



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投稿: 2016 12 27 12:00 午前 [1987年の作品, George Michael, Wham!, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2004/10/05

とみぃ洋楽100番勝負(47)

●第47回:「Faith」 GEORGE MICHEAL ('87)

 WHAM!を解散させた翌年、まずは映画「ビバリーヒルズ・コップ2」のサントラに提供した "I Want Your Sex" で正式なソロデビューを果たしたジョージ・マイケル。あの曲の衝撃もハンパじゃなかったけど、その後に続いたアルバムの予告編といえる大ヒットシングルが、このタイトルナンバー "Faith"。

 明らかにプリンスを意識してるであろうミニマムな作りといい、押さえ気味に歌う歌唱法といい、その「ゲイ」チックなビジュアルといい(ま、実際にそっち方向の人だったわけですが)、フレディ・マーキュリーの大衆性とプリンスのアーティスティックな面を見事に併せ持ったアルバムだった、ソロデビュー作「FAITH」はどの曲も捨て難いけど、やっぱりアルバムトップを飾るこの曲をまずオススメしましょう。

 あの頃、フォークギターでよく真似したっけ。今でこそこのリズムがボ・ディドリーが得意とする『ジャングル・ビート』(ドラムンベース等で知られる、あのジャングルとは完全に別モノですからね、お間違えなく)だって認識があるけど、あの頃は単純にリズムがカッコいい、ギターのストロークのリズムがステキといった純粋な気持ちが先行してたっけ。後にU2が "Desire" って曲で同じリズムを使った時には「へっ!?」なんて思ったりもしたけど。

 その後のジョージはより偏った方向へと突き進み‥‥残念ながらプリンス並みな多作振りとは間違っても呼べないようなリリースペースで現在に至るわけですが(ま、そこには所属レコード会社との裁判なんかも関係してくるんですけど)‥‥このアルバムから現在に至るまで、たった3枚のオリジナルアルバム、1枚のカバー集、そして2枚組ベスト盤しかリリースしていないという事実‥‥お願いです、もっと頑張ってください。滅茶苦茶才能ある人なんだからさ!



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投稿: 2004 10 05 12:00 午前 [1987年の作品, George Michael, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック