GOING STEADY『青春時代』(2003)
今年1月に電撃解散した、GOING STEADY。その彼等が最後の置き土産として同年4月にリリースしたのが、この「青春時代」という3曲入りマキシシングル。リリース後すぐにチャートのトップ10入りしたので、記憶に残っている人も多いでしょう。
俺自身、彼等に対して何の思い入れもなく、まぁ普通に音源を楽しむといった程度の存在でした。この手のバンドって正直腐るほどいるだろうし、そんな中で彼等が10~20代の子達に支持されたというのは、そのサウンドよりも実直な歌詞だったのかなぁ‥‥とオッサンの俺は思うんですが。青すぎる程に青い。中学~高校生の頃、悶々としながらもちょっと深いことを考えてみたり、けどホントは夢見る夢子ちゃんだった、そんな誰もが通過する「あの時期」をそのまま真空パックしたかのような純度の高さ。だからこそ、聴き手によって反応は様々。ま、それこそが「音楽」なんだけどさ。
ゴイステの作品を取り上げようと思った時、アルバムではなく、このシングルを真っ先に思い付き、そして選んだ理由は単純明快。これが一番俺の中でしっくりきて、尚かつ共感できたから。楽曲的にいったら他のシングル曲の方が彼等らしいんだろうけど、何の思い入れもない俺にしてみればそんなの関係ない。響くか、響かないか。そのどちらかだから。
表題曲の「やりっぱなし」感‥‥というか、制作作業中に解散してしまったかのような「ヤリ逃げ」感がたまらないし、その歯が浮くような青臭さが充満する歌詞も含めて、素直に好きと言える。最初に聴いたのは仕事中に流れる有線でだったんだけど、気づいたら歌詞に耳が行って集中して聴いてたし。ある意味大したことは言ってないんだろう‥‥大人の観点からすればね‥‥けど、何かね‥‥こういう気持ちをまた取り戻したいな、という気持ちにはなった。そしてこの曲に恋した。ホントそれだけの曲。いや、それで十分だよね。
カップリングの "駆け抜けて性春" はライヴ音源なんだけど、とにかくその音の酷さが強烈で曲自体は殆ど記憶に残らないんだけど‥‥まぁそれもゴイステらしさなのかな? 去年のフジロックで観るチャンスはあったものの、結局スルーしたんだよね。ま、いつでも観れるだろう‥‥って思って。結局「次」はなかったわけだけど。けど特に惜しいとも思わないし。それでよかったのかもね。
もうひとつのカップリング曲 "惑星基地ベオウルフ" はスタジオ音源。"青春時代" 程ストレートな表現ではないものの、これもまたゴイステらしい歌詞。途中で挿入される "星に願いを (WHEN YOU WISH UPON A STAR)" と、そこで読まれるセリフもまた彼等らしい。ちょっとググッとくるかも。
ライヴ音源を除いたスタジオ音源2曲が共にミディアムスローのバラード調というのは、解散等を意図せずにそうなったのか、それとも最後のリリースってことでワザとこの2曲を選んだのか‥‥その真相は判らないけど、少なくとも俺にとっては意味のある2曲だったと思う。単純に良い曲だと思うし。
何度も書くけど、やはり自分にとってはそこまで重要な存在というわけではないんだよね(ファンの皆さんには申し訳ないと思います)。けど、少なくともこのシングル‥‥特に "青春時代" は自分に強くアピールするものでした。多分、今後も春先になる度にこの曲を聴くと‥‥いろいろ思い出すんだろうなぁ‥‥今年の春にあったいろんな出来事を。そしてそれがまたこの曲と見事にシンクロするもんだから‥‥切ないというか、やるせなくなるよ。
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