2002/11/29

GRAPEVINE『another sky』(2002)

  GRAPEVINE通算5作目のオリジナルアルバムとなる「another sky」は、ある意味『最も「GRAPEVINE」らしいアルバム』になっていると思う。特に革新的なことをやっているわけでもなく、逆に時代に逆行してるようにも感じられる‥‥だけど、これだけ自信を持って「己の信じた道」を突き進み、そして深く表現することができるってのは尊敬に値するし、正直羨ましいよ。

  個人的には前作「CIRCULATOR」が地味だけど傑作だっただけに、それに続くオリジナルアルバムってことでかなり期待してました。勿論、この半年の間にリリースされたシングル曲"ナツノヒカリ"と"BLUE BACK"がこれまたすこぶる好調だっただけに、必要以上に期待してたんだなこれが。ところが‥‥いざ出来上がったアルバムを聴くと‥‥「‥‥へっ!?」って程に地味、地味、地味。前作よりも更に派手さが後退し(いや、前作だって決して派手ではなかったけどね)、もしかしたらこれまでのアルバムで一番地味かもしれない。確かにここ数作のシングルの中では一番アッパーな"BLUE BACK"なんかは派手な部類に入るだろうけど、音使いが地味‥‥いや、渋いのよ。

  「地味、地味‥‥」ってしつこい程に書きまくってるけど、この地味さ・渋さがいいのよ。楽曲的には確かに地味なタイプの曲が多い。けど、内容的にはこれまでの集大成に近いような作りになっているにも関わらず、過去の作品より高純度。演奏だけに耳を向けると、実はかなりテンションが高かったりするし。そういう意味では「地味」という言葉は不向きなのかもしれないけど‥‥けどね、ここで言う「地味」って、ある意味「唯一無二」と同意義だと思ってください。それくらい、誰にも真似できないレベルにまで到達してると思うのね、今のGRAPEVINEって。

  思うに今回のアルバム、ここまで高純度な作品集となったのには、外部ゲストを一切交えず、バンドのメンバー4人+前作のツアーにも参加したサポートキーボーディスト、そしてプロデューサー兼ベーシストの根岸孝旨(Dr.Strangelove)の6人で作られたからだろうな。腱鞘炎から復帰したベースの西原はまだ完全復帰とはいかず、曲によっては根岸やボーカル&ギターの田中がベースを弾いていたりするんだけど、基本的には気心知れたメンツで作った「ホームメイドなアルバム」という印象が強い。例えば前作ではキーボードやドラム/パーカッションにゲストミュージシャンを迎えたり、アルバムの殆どを西原抜きで制作していたりするし。通常なら「西原復帰したし、ここで一発気合いの入ったのを‥‥!」ってなるんだろうけど、そこはバイン。完全に肩の力が抜けきった、ホントに味わい深い1枚を作ってくれた。

  フォーキー且つブルージーでサイケな"マリーのサウンドトラック"からアルバムは緩くスタート。そのままアッパーな"ドリフト160(改)"~"BLUE BACK"と勢いをつけ、如何にもバインらしいファンキーな"マダカレークッテナイデョー"、男泣きバラード2連発の"それでも"~"Color"で前半戦終了。後半はバイン濃度が非常に高いミドルチューン"Tinydogs"~"Let me in ~おれがおれが~"から、俺の2002年夏のテーマソングとなった爽やかなポップチューン"ナツノヒカリ"へと続く。この曲が後半でいいアクセントになってるんだな、うん。そのまま如何にもバインらしい(ってその例えばっかだな俺)"Sundown and hightide"~"アナザーワールド"~"ふたり"でアルバムはしっとりと終了。これといった超山場を迎えぬまま、適度な高揚感と適度な潤いを我々にもたらし、50数分・12曲収録のこのアルバムは終了するんだけど‥‥そのままエンドレスでまた"マリーのサウンドトラック"に戻ってたりするんだよね。そういう意味では本当に飽きさせない、「かっぱえびせん」のようなアルバムだと思います、これは。

  GRAPEVINEというバンドは常に「自分達なりのブルーズ」を鳴らしてきたバンドだと思います。確かにバンドのタイプとしては「ブリットポップ/OASIS以降」なのかもしれません。しかし、今やブリットポップを通過して生き残った英国産バンドも数少なく、あのムーブメントに触発されて結成された日本のバンドも今では音楽性を変えたり姿を消してしまったり。そんな中、バインは劇的な変化や成長をすることなく、常にマイペースで等身大の自分達を表現してきました。ひとつの型を持ち、それをアルバム毎、ツアー毎に追求し、更に深い表現力・表現方法を身に付け、周りから地味だと言われながらもそれに相反するようなライヴを繰り広げる。セールス的には決して大成功しているとは言えないだろうけど、「バンド」という生き物としてみれば、ここまで成功している存在はそうはいないんじゃないでしょうか? ホント、羨ましいと思います。

  未だにこのバンドを「女子供がギャアギャア言う、アイドルバンド」という色眼鏡で見る洋楽信者が多いみたいですが、もうそんなのどうでもいいや。ホント、いいバンドがリラックスして作った、いいアルバムですよこれは。前作で彼等に入った人は更に気に入るんじゃないかな。ただ‥‥このアルバムを最高傑作とは呼びたくないな、俺は。なんていうか、これよりももっと凄いアルバムは彼等なら作れるんだろうけど、これよりももっと濃くて深いアルバムは、今みたいなリラックスの仕方じゃないと作れないんじゃないだろうか‥‥と思うのね。だから俺はこれを最高傑作とは呼びません。だけどこれまでの作品の中ではダントツで一番好きなアルバムであります。回りクドイ言い方だけど、そういうことでいいじゃない?



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投稿: 2002 11 29 01:57 午前 [2002年の作品, Grapevine] | 固定リンク

2001/08/22

GRAPEVINE『CIRCULATOR』(2001)

  たまたま買った1枚が大当たりだったって経験、時々あると思う。視聴機が大量に置かれている都会なら聴いてから手に取るなんてことも可能だが、こと田舎に住んでいるとそうもいかない。視聴機がある店もあるにはあるが、大体が売れ線ばかりだ。ジャケット買いやインスピレーションだけで購入を決めてしまったことなんて昔はよくあったが、最近はCD屋に行っても漁るのは旧譜や中古盤ばかり。

  そんな中、たまたま手にしてしまったのが、このGRAPEVINEの4作目となる「CIRCULATOR」だった。先行シングルとなっていた"discord"や"風待ち"はTVのヒットチャート番組でチラッと聴いた程度だったが、かなり好印象だった。そこへこのアルバムと偶然CD屋で出会う。決してイチ押しされていたわけでもなく、店頭にたまたま1枚、置かれていただけ。けど、何故か手にしてレジまで行ってしまった。

  前作「HERE」は未聴だった。今考えてみると、何故なのか思い出せない。きっと金がない時とリリースタイミングが合ってしまったのと、中古盤をあまり見かけなかったことが原因だろう。それまでのアルバムはちゃんと聴いていたし、個人的にはセカンド「LIFETIME」は気に入っていて、今でもたまに聴いている。その後に出ていたシングル曲もちょっと耳にする程度。だから、俺の中では一昨年の春以来‥‥約2年振りにちゃんと聴く新譜ということになる。

  はっきり言って、これは地味な作品だ。しかし、2度、3度と聴きたくなる作品集である。基本的にはミディアム~スロウテンポの曲がメイン。よく「OASIS以降」なんて形容詞が使われることがあるが、このバンドは正しくその形容詞が相応しいバンドだ。勿論、ただの「OASIS以降」では終わっていないが。

  マーヴィン・ゲイの曲名から取ったと言われるそのバンド名から想像できる、非常に黒っぽい、グルーヴィーで腰の据わったサウンドを聴かせるバンド。曲は決して派手ではなく、ブルーズを基調としながらも、そこに現代的な彩りを重ねることにより、自分達らしさを追求してきたバンドだ。メンバー全員がソングライターとして確立した個性を持っていて、プレイヤー/シンガーとしてのアビリティーも高い。一歩間違えば「玄人受け」止まりなのだが、この数年、契約を切られることもなく地道なヒットを飛ばしてきて、現在は中堅に届きそうなポジションといえる。

  そんなこのバンドの決定打となるであろう作品。これは間違いなくその「一手」となるはずだ。軽いショックを受けたよ‥‥「GRAPEVINEって、こんなにすげぇバンドだったっけ?」と。常々、このバンドは渋いけどカッコイイ、男受けするバンドでは‥‥なんてことを話したりしていたが、このアルバムがそれを全て証明してくれている。濃くて渋くて、それでいてカッコよくて、男の心を惹くバンド。海外にもいたよ、そんなバンドが‥‥OCEAN COLOUR SCENEっていうんだけどね。決して派手ではないけれど、誰もが認める庶民派バンドだけど、気づけばいつもそこにいる。両者に共通する点ではないだろうか?

  とにかく、今回のアルバムは各楽曲がこれまで以上に際立っている。シングルとして発表されていた上記以外の2曲("ふれていたい"、"Our Song")の完成度もさることながら、それ以外の新曲も激渋でありながら、男の色気を感じさせるファンキーな曲満載だ。アルバムのトップを飾る"Buster Bluster"、従来の彼らの魅力を存分に発揮する"lamb"、CMソングにもなっている"(All the young) Yellow"、既に昨年からライヴで披露されていた"B.D.S."等はその最もたる例だろう。勿論、先の"discord"もしかり。

  更にそれだけではない。およそ20代のバンドが出す音とは考えにくい、濃すぎるくらいに濃いヘヴィブルーズ"壁の星"、THE POLICE的レゲエからサビで一転するメロウな"フィギュア"、サイケデリックに響くブルーズ"アルカイック"、夏の終わりをイメージさせる"波音"、BEATLES的コーラスが印象的なロッカバラード"I found the girl"‥‥って全曲挙げてしまったが、とにかく捨て曲なし。この手のギターロックから離れつつあった自分だったが、これは購入後3週間経った今でも、ヘヴィローテーションだ。

  これだからロックって面白い。嗚呼、もうOASISも前みたいに売れてないし、他のバンドも消えてるのが多いし、ヘヴィロックは苦手でヒップホップはもってのほか、テクノに手を出す程勇気もないしなぁ‥‥と最近元気がない、そんなあなたにこそ手にしてもらいたい1枚。日本にだっていいバンドは沢山いる。切っ掛けがないだけで、出会えてない素敵なバンドがまだまだいる。ここまで書いてきたことにピンときた人、是非これからCD屋に出かけて、このアルバムを手にして欲しい。気に入るはずだ。そしたら旧譜も聴いてみるといい。「何故もっと早く出会わなかったんだろう」と思うはずだから。

  最後に‥‥男性諸君、もっとこのバンドを応援しようじゃないか? ボーカル・田中のルックス等からどうしても女性ファンが多い彼らではあるが、こいつらは間違いなく「男の為の」バンドなのだから。既に"風待ち"は俺の今年(29~30歳)の夏のテーマソングに決定。毎回聴く度に目をウルウルさせている。ちょっと汗ばむ夏の夜、このアルバムを聴きながら酒飲んでると、好きな人が恋しくてたまらなくなる。ギュッと胸が苦しくなる‥‥30男をも唸らせる、これはそんなアルバムだ。



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投稿: 2001 08 22 01:55 午前 [2001年の作品, Grapevine] | 固定リンク

2001/08/19

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL '01」DAY 3@茨城・国営ひたち海浜公園(2001年8月5日)

  さあ、丁度2週間遅れで順調に(苦笑)アップされていく「ひたちなか」フェスレポートも、いよいよ最終回。今年は運良く2つのフェス(フジロックとこれ)に足を運ぶことができ、非常に幸運だったと言えます。これを書いている丁度今も、千葉と大阪では同時にサマソニが行われ、今朝にはエゾロックも無事終了したようです。今年はどのフェスもいろいろと課題点を残したようですが、来年は更に素晴らしい、世界に誇れるフェスを沢山我々に提供して欲しいものです。


◎LOVE PSYCHEDELICO (at GRASS STAGE)

  昨年デビュー、今年1月のファーストアルバムがいきなりミリオンを達成し、「グレイテスト・ホープ」なのか「~ハイプ」なのか‥‥いろんな意味で話題のデリコ。さて、ステージではどういったものを我々に提示してくれるのやら‥‥

  ジョン・レノンの"Give Peace A Chance"という、如何にもなS.E.に乗せメンバーが登場。ボーカルとギター以外は全てサポートメンバー。キーボード&ギターの人は、どうやらニール&イライザの人らしい(後で聞いた話だが)。他にはベースとドラム。意外とシンプルな編成。で、出す音もこれでもか?って位にシンプル。いきなり最新シングル"FREE WORLD"からスタート。みんな手を上に手拍子。ボーカルもアルバムと同様、非常に英語っぽい日本語で唄う。思ったよりも骨太なロックンロールなのね? アルバムからは「胡散臭いレニクラ」っていう印象を受けたが(いや、レニクラも十分胡散臭いのだけど、いい意味で)、ステージは骨太でシンプル、かなりパワフルなイメージで、時々シェリル・クロウなんかを思い浮かべた。その印象を確信に変えたのは、続くカヴァー曲"LIKE A ROLLING STONE"だろう。ディランというよりも、ストーンズがカヴァーしたアレンジに比較的近いかも。その後も帰国子女っぽい!?MCを挟みつつ、アルバムからのチューンやヒットシングルを披露。思ってたよりも好印象だった。

  先のS.E.とイメージがダブる"A DAY FOR YOU"でしっとりとステージは終了。アルバム1枚しか出してないグループにしては上出来と言っていい内容だったと思う。どっちかっていうと野外よりもクラブとかで観た方が好印象かな?と最初思ってたものの、こういった開放的な空間でこそ活きてくるライヴアクトだった。ミリオンアーティストやそれに近い存在(BUMP OF CHICKEN)が各日のオープニングを飾るってのは、かなり豪華だ。こんなフェス、海外を探してもそうはないだろう。また積極的に観たいかと問われれば返答に困ってしまうが、まぁ1回は観ておきたかったバンドなので、これで良しとしよう。


01. FREE WORLD
02. LIKE A ROLLING STONE (cover of BOB DYLAN)
03. I MEAN LOVE ME
04. I MISS YOU
05. YOUR SONG
06. LOW
07. ノスタルジック '69
08. "O"
09. LADY MADONNA
10. LAST SMILE
11. A DAY FOR YOU


◎GRAPEVINE (at GRASS STAGE)

  つうわけで、定刻通りにメンバーがステージに現れる。先日ベーシストでリーダーの西原が腱鞘炎悪化の為、バンドを離脱~一時休業を発表した後の初ツアー。西原を欠いた後に発表した「CIRCULATOR」がこれまた大傑作ということもあって、否が応でも期待してしまう。あのアルバムでの「男気ロック」をこの大舞台でどれだけ表現することができるのか‥‥サポートのベーシストとキーボーディストを含めた5人が揃い、まず最初に新作からの先行シングルのひとつ"discord"からスタート。アルバムよりも柔らかいイメージの演奏。もっとゴツゴツしたもんだと思ってたが、想像とは違いちょっとだけ肩すかし。けど、彼らはこんなもんじゃなかった。

  基本的には先日の新作「CIRCULATOR」を中心に進められ、それ以外の曲はその新作収録のシングルカップリング曲という「全編新曲」オンリーの、挑発的なステージ‥‥びっくりしたことに、ヒットシングル"スロウ"や"羽根"、"光について"といったオイシイ曲は完全に排除された、本気汁100%の「男気ロック」路線だった。田中は何度も曲の合間に「気持ちえぇ~♪ ここ、めっちゃ気持ちえぇ~!」と叫ぶ。相当このシチュエーション、そしてステージを気に入ったらしい。終始笑顔だ。後半ではTシャツも脱いで上半身裸でギターを掻きむしっていた程だ。

  やっぱりライヴで聴いても"風待ち"は名曲以外の何ものでもなかった。ググッときた。この感覚‥‥アルバムを聴いていた時点でも思っていたが、やはりそうだ。このバンド、OCEAN COLOUR SCENEと同じ空気を感じる。特にそう感じさせたのは、圧巻だったヘヴィブルーズ3連発("アルカイック"~"パブロフドッグとハムスター"~"壁の星")だろう。「暑苦しくてゴメンな」と田中が言ってた通り、この選曲は野外、いや、フェス向きとは言い難い。しかし、それでも自信を持って連発するってのは今のバンドの好調振りと揺るぎない自信の表れではないだろうか。2番手でこんな冒険、普通のバンドならしないだろう。実際、この辺から後ろへと戻っていく客も多く見受けられたし、つまらなそうにしてる客も少なくなかった。失敗と取ることもできるが、俺は田中の歌から目を、耳を離すことができなかった。言い過ぎだが、スティーヴ・マリオットを彷彿とさせるソウルフルな歌声に、シビレていた。あの細い身体からこんなに太い声を出すんだから‥‥

  後半は比較的ノリのいい曲を並べて、最後もやはり新作からの"B.D.S."で幕を閉じた。ここまでくると頭が下がる思いだ。「アルバムの方がよかった」という声もちらほら聞こえ賛否両論のようだが、俺は彼らを支持したいと思う。


01. discord
02. きみが嫌い
03. 風待ち
04. アルカイック
05. パブロフドッグとハムスター
06. 壁の星
07. (All the young) Yellow
08. So.
09. HEAD
10. B.D.S.


◎GO!GO!7188 (at LAKE STAGE)

  お堅いロックファンからは小馬鹿にされることの多いGO!GO!7188だが、俺はかなり気に入っていて、アルバムは現在に至るまで愛聴している程だ(ちなみに、ひたちなかに向かう車の中でもエンドレス状態で「蛇足歩行」を回していた)。昨年デビュー組の中では、RIZEと共に大プッシュしていたのだが‥‥

  メンバー3人がステージに登場し、適当に楽器を鳴らしていると、それがそのままインストナンバーへと続いていく。そしてそれはオープニング曲"ロック"へと続く。ユミとアッコのツインボーカルともいえるハーモニーがバシバシ決まる。そういえば‥‥1年前はまだ垢抜けてなかった彼女達も、気づけば二人共金髪やらになっていて‥‥(笑)

  MCや曲紹介はベースのアッコがするようで、間髪入れずにあの曲名が叫ばれる‥‥そう、"ジェットにんぢん"だ(笑)。きっと、この曲で引いちゃう人が多かったんだろうな。俺は逆で、これでバカ笑いしながら絶賛したんだけど。最後のオチ(「ジッタリン・ジン」)もオーディエンスみんなが大合唱(爆)。いや~、馬鹿馬鹿しくてよろしい!

  この日は未発表の新曲も幾つか披露され、その中でも新境地ともいえるナンバー"考え事"がかなりよかった。オープニングとエンディングをアッコが唄い、それに応えるようにユミが唄うといったバラードナンバーで、とっても切ない曲だ。ちょっとホロッときてしまった(苦笑)。

  考えてみれば、この日はファーストからのヒット曲"こいのうた"も、夏にピッタリな"太陽"も演らなかった。勿体ない‥‥とは思うものの、新曲をバンバンやるってことは、既に彼女達は次のフェイズに向かって走り始めているってことなのかもしれない。それは最新シングル"あぁ青春"からも伺えた。思っていた以上にゴツゴツとした音を出すバンドへと成長していて、ある意味この日俺が観たバンドの中では一番硬派な音をしていたかも‥‥また観たい。純粋にそう思った。セカンドアルバム次第でどんどん化けていくバンドだろうな‥‥是非次のアルバムが出たら、単独公演を観たいな♪


01. ロック
02. ジェットにんぢん
03. 行方不明
04. 考え事(新曲)
05. とかげ3号(新曲)
06. あぁ青春
07. 文具
08. パンク


◎In the Soup (at LAKE STAGE)

  選曲等は前回の野音+αといった感じなので、聴き覚えのある曲が並び、前回よりも安心して観ることができた。ファンも大勢前へ駆けつけ、かなりいい感じだった。それにしても、ボーカルの中尾は本当にソウルフルでいい声してるなぁ‥‥

  MCがこの日はバシバシ決まっていて、かなりの笑いを誘っていて好印象。「今日の僕達は3~4車線の高速道路だ。意味は家に帰ってから考えればいい」とか(笑)。で、圧巻だったのはやはり"グリーングリーン"のパンクバージョン。アドリブが続出、それが上手い具合に大ウケ、野音での悪夢が嘘のようだ。コールアンドレスポンスも感動する位に上手くいってたし、中尾も興奮して「何やってもいいよ」とか言ってステージを下りて、スタンディングエリアの後方まで走り回るし(!)。その後、「殺気を覚えたよ」といって戻る。最後はもうじきリリースされる(野音でもエンディングだった)"檸檬~レモン~"で頂点に。いやぁ~、俺。こいつらマジで気に入った! アルバム出たら買うよ。いや、シングルとりあえず買うってば。今度は単独公演ですな。10月の野音、行けるかなぁ‥‥


01. イタイ×イタイ
02. 針の山
03. ホライズン
04. 存在の証明
05. 風の子
06. 東京野球
07. グリーングリーン
08. 檸檬~レモン~


◎POLYSICS (at LAKE STAGE)

  一昨年のフジロック3日目に出演。ホワイトステージ1発目だったこともあって、俺は観れなかったが‥‥ずっと観たかったんだよね♪

  マーチングバンドのよく耳にする曲が流れる中、メンバー4人がでっかい「POLY」のロゴの入った旗を持って行進しながら入場(笑)、この時点で爆笑の渦。ギター&ボーカルのハヤシがホイッスルを吹いて、全体止まれ(笑)。旗をスタッフに預け(しかもスタッフの彼氏、ライヴ終了までその旗を持ったままステージ後方に立たされっぱなし)、ハイテンションに演奏スタート。かなり懐かしい曲(インディーズ盤から)も交え、1曲目が終わった時点で「いくぞ!残り12曲!!」って笑いも欠かさない。途中、ハヤシがMCを取り始めると、全員が同時にMCを始める(爆)。こりゃ狂気の沙汰だ‥‥マジ腹抱えて笑わせてもらった。昔はよくこのネタ、やってたみたいだね? さすがにもう食パンは投げないようだが(苦笑)、演奏や楽曲はポップで親しみやすく、それ以外では笑いが絶えない。こんなにエンターテイメント色が強いバンドだとは‥‥

  後半、シンセのカヨがTHE KNACKの"My Sharona"のカヴァーを唄ったりなど、最後まで全く飽きさせない内容で、本当にこいつら13曲もやったの!?って疑ったくらい、あっという間に終わってしまった。お客も大絶賛&大爆笑だった。ここまでのレイク3連発、大当たり!


01. T RIANGLE
02. URGE ON!!
03. NEW WAVE JACKET
04. GOOD
05. KASUGAI
06. Pike
07. My Sharona
08. Poly-Farm
09. XCT
10. MS 17
11. AT AT
12. go ahead now!
13. Hot Stuff


◎エレファントカシマシ (at GRASS STAGE)

  昨年から引き続き連続出演となるエレカシ。フェスで観るエレカシ、一体どうなるのやら‥‥意外と俺は、フジロックのグリーンステージにも合ってると思うのだけど‥‥

  メンバーはいつも通り、勿体ぶらずに登場。宮本はのっけから「オ~イェ~ッ!」と煽る。そしてカウントが入り、いきなり"ガストロンジャー"だ。彼らを知らない人でも、この曲に惹き付けられたらしく、スタート直後に後方から前へと客が駆け寄る。俺はかなり前の方で観てたのだが、宮本は調子良さそうな感じだった。前日、仙台のフェスにも出演していたそうだけど、その疲れは感じさせない。まだ1曲目だというのに、既に宮本、石くんいじりが始まる(笑)。シャツ脱がされてます、蹴り入れられてます、羽交い締めにされてます‥‥(涙)

  続けざまに、音源としては未発表(?)のライヴ定番曲"夢をみようぜ"に突入。初めて聴くのだが、初期エレカシらしい、ストレートでアップテンポなナンバー。珍しく石くんがコーラスを取っている。「いつも同じことばっかりやってんじゃねぇよ!アドリブがきかねぇんだよ!!」と宮本に叱られる一面も(苦笑)。嗚呼、石くん‥‥

  宮本の「僕ら、もう20年選手なんですけどね‥‥」てなMCに続いて、なぁ~んとサードアルバムから"夢のちまた"が!! よくこんな曲をアルバムのトップに持ってきたもんだ‥‥端から市場のこととか考えてないんじゃないだろうか、この男‥‥(苦笑)それにしても‥‥名曲には違いない。すっげぇ‥‥ため息しか出ない。そこから前のゼップツアーでもやってた"孤独な旅人"~"悲しみの果て"へと続く。

  トミのカウベルでのカウントで、次の曲の想像がついた‥‥今回も聴けるのか、"デーデ"だよ! 前回聴いた時よりも演奏はまとまっていた。やっぱり初期のハードコアな曲はググッとくるね。そしてアルバム通り、間髪入れずに"星の砂"へ‥‥!!! 俺、この時点で衝天してました(笑)。7月の野音ライヴでのセットリストに比較的近い選曲だけど、あれ観てない身分としては、大興奮。石くん、ここでもコーラスやってました(そうえいば、曲終了後に宮本「"星娘"でした」って言ってたけど‥‥それって西郷輝彦の曲じゃ‥‥/苦笑)。

  フェスだろうが何だろうが、宮本マイペース。相変わらずMC長い。けど、やはりフェスってことだろうか、「‥‥ってつまらないですか?」と気を遣う一面も(苦笑)。そして名曲"孤独な太陽"‥‥ここで男泣き(心の中で)。夕焼け空にまたピッタリなんだわ、この曲。

  続いて"昔の侍"‥‥なのだが、トミが入りを間違える。テープに合わせて演奏する曲だけに(オーケストラパートね)、入りが難しそうだ。宮本に「プロとしてあるまじき行為」となじられ、2回目も危うかったが無事終了。ちょっと冷や冷やもんだった。そして宮本「レディ~ス、アァ~ンド、ジェントルメェ~ン‥‥グッドイブニィ~~ング!」と叫び、前作より"ゴッドファーザー"を披露。カッコイイねぇ、「GOOD MORNING」の楽曲は。初期の攻撃性とはまた違った「攻め」の空気感があるんだよね。そして同作より"武蔵野"。更に新曲"暑中見舞 -憂鬱な午後-"。この曲、絶対にライヴバージョンの方が何百倍も素晴らしい。小林武史プロデュースってことで、一体どうなるんだろうと期待したものだが、出来上がったテイクは正直「うそぉ‥‥」っていう代物だった。先にライヴで聴いてた曲だけに、その仕上がりにかなりガッカリしたものだった。この辺は宮本も気づいているようだが‥‥アルバムは一体どうなることやら‥‥11月にツアーがあるってことは、その辺にアルバム、又はまたシングルが出るってことだろうからなぁ‥‥ちょっと怖いです、今度のアルバム。

  最後はお約束ともいえる"コールアンドレスポンス"‥‥なのだが、またテープと演奏が噛み合わない。やり直しを命じる宮本。しかし、テープの頭出しに手間取る。手際悪すぎ、今日のスタッフ。痺れを切らした宮本、トミにテープなしで演奏開始することを命じる。結局、コーラスパートや打ち込みパートの一切ない、生々しいバージョンの"コールアンドレスポンス"を体験することとなる。「時間なんて関係ないよな?」と言ってたものの、やはり宮本も人の子。とりあえず時間超過したものの、なんとか終了。はっきり言って、こりゃトリですわ、事実上の。ここで燃え尽きたって人、多かったんじゃないかな? 実際、中村くんを観ないで帰っていく観客の姿を数多く目にしたし(それともそのままギターウルフ観に行ったのかな?)

  1時間ちょっとと、確かにいつもより短いのだけど‥‥それでも内容はかなり濃いもので、これまでに観た3回の中で、一番満足のいくセットリストだった、個人的には。こりゃ、秋のツアーも追っかけるんだろうな、俺‥‥(苦笑)


01. ガストロンジャー
02. 夢を見ようぜ
03. 夢のちまた
04. 孤独な旅人
05. 悲しみの果て
06. デーデ
07. 星の砂
08. 孤独な太陽
09. 昔の侍
10. ゴッドファーザー
11. 武蔵野
12. 暑中見舞-憂鬱な午後-
13. コールアンドレスポンス


◎中村一義 (at GRASS STAGE)

  さぁ、中村くんだ。セットチェンジも30分かからずに、パッパと進められたようだ。すると、千葉県民なら誰でも聴き覚えのある、ある曲が‥‥「ERA」にもシークレットトラックとして収められていた、「千葉テレビ」の放送開始時&終了時に流れる、あの曲がステージに流れ始めた(笑)。おお、始まるな‥‥そう思っていると、バンドメンバーが続々とステージ上に現れる。最後にペットボトルを持った中村一義が登場。少々緊張気味の中村くん、ステージから観客を見渡し、引きつった笑顔で応える。そしてギターを抱えて、あの「4,3,2,1‥‥」というカウントの後に「どぉ~おぉ~、(ドン/バスドラの音)どぉ~おぉ~♪(ドンドン!)」っていう、あの名フレーズが‥‥そう、デビュー曲"犬と猫"からスタートだ! 実は俺と中村くんの間には、ちょっとしたエピソードがあって‥‥って別に知り合いだとかそういうのではない。4年程前、東京の某区に住んでいた頃、よく利用していた近所のCD屋があった。そこの常連が中村くんだったのだ。1度だけ、デビュー前の彼と遭遇したことがある。オーラすら感じさせない、ごく普通の青年だった。「今度デビューするんで、CD買ってあげてね♪」と店長に勧められ、その場で予約購入を約束。その直後にこの"犬と猫"が発表されたのだ。個人的には当時の趣味の範疇ではなかったこともあり、このシングル1枚しか聴いてこなかった‥‥それが昨年、俺の中で一気にブレイクした。そして、今年‥‥まさかこういう形で再会するとは‥‥感慨深いものがある。

  続けざまに新作より"ショートホープ"の「両切りバージョン」(オープニングとエンディングの弾き語りパートをカットした、シングルバージョン)を披露。宅録アーティストと思われがちな彼、こういうライヴ映えするナンバーもいくつも抱えている。勿体ないよな、ライヴやらないなんて‥‥

  ここで、初のMC‥‥「やっと唄えたよぉ~!」思わず吹き出してしまったが、本人や昨年涙を飲んだファンからすれば、感動の一言だっただろう。けど、第一声にそれはないだろう‥‥まぁ中村くんらしくて、微笑ましいが。その後"歌"や、新作からの短いナンバー"グレゴリオ"、そして「4500円」CMでお馴染みの"君ノ声"を間髪入れずに演奏。思ったよりも声が出ていて、最初は確かに緊張を感じさせたが、だんだんリラックスしていったようだ。気持ちよさそうに唄ってたっけ。そりゃそうだろう。生まれてからまだ数本しかライヴをやってない人間が、いきなりこんな大舞台だもの。

  5曲終えた時点で「次の曲で最後です‥‥」‥‥って、おいぃ!(爆)30分で終わりかよ!? セッティングで押したせいだ、エレカシが超過したせいだとか色々言われたが、結局最初っから30分の予定だったらしい。今後、ツアーの予定どころか、全くライヴの予定のない彼。現在既に次のアルバムに向けて作業中ということもあって、ちょっとした息抜きにはなっただろう。最後は現在のニッサン「4500円」CMに使われている未発表の新曲"キャノンボール"(但し仮タイトル)でエンディング。この曲もまだ発売日が決まっておらず、「できたら年内に発表できれば‥‥」ってことらしい。アップテンポの、ポップで親しみやすいメロディーを持った、いかにも中村一義らしいロックナンバーだ。もしかしたら今後、アレンジとか変わるかもしれないが、この時点でもかなりの好印象。早く新しい音源を聴きたいものだ(その前に、俺にはファースト&セカンドアルバムが待っているが)。

  きっと、1年待たされたファンにしてみれば、「1年待たされて、たった30分」という人と「30分でも幸せ♪やっと聴けたわ」という人で意見が分かれるんだろうな。俺は‥‥確かに短いとは思った。トリじゃないだろ、これじゃあ?とも感じた。けど、次に繋ぐ意味では、この物足りなさで丁度いいのかも‥‥なんて思ったりして。とにかく、やっぱり観て正解だった。ますます好きになったかも。


01. 犬と猫
02. ショートホープ(両切りバージョン)
03. 歌
04. グレゴリオ
05. 君ノ声
06. キャノンボール(仮題)


◎総評

  どうしても一番最初にできたフェスということもあり、また俺が唯一何度も経験しているということもあってフジロックと比べてしまうのだが‥‥そりゃ別物だから比較がどれだけ意味があるものかは判らない。けど、学ぶべき箇所は沢山あるはずだ。

  まず、リストバンドの問題。これは昨年よりも弱いことが判明。来年への課題のひとつだろう。更に、出演バンドにアイドル的人気アーティストが多かったことから発生する「場所とり」。1年目のイエモンから既に問題になっているし、特に今年はミスチルが出演した2日目、これが問題になったようだ。大体、場所取りしてるだけで他の音楽には全く興味なし、ってのは出演者やそのファン、更にはスタッフに対しても失礼この上ない。確かにミスチルのようなバンドはそう前で観る機会はないだろう。チケットも取り難いし。けど、フェスにはフェスの常識‥‥「無言の了解」がある。それを守らないと、後々に大きな事故に繋がる恐れだってある。例えば、今年はフェス前に関西で大きな将棋倒しの事故があった。ああいう事故だって十分に考えられる。この辺はファンの意識の問題だから主催者がどれだけ呼びかけようが、どうしようもないのかもしれない。だからといって、そういうファンの多い、人気のあるバンドを呼ばない‥‥なんてのはちょっと違うし。例えば、来年GLAYが出たとしたら‥‥間違いなく、今年と同じようなことやってたら、大きな事故に繋がるだろう。

  それと、外タレ。絶対に呼ばない方がいいって。特にジョンスペは昨年、サマソニでJBが前に演奏することによって、あんな目に合ってるってのに、今年も散々な目にあわされて‥‥これで日本が嫌いになったらどうするの?(苦笑)とてもあの「rockin'on」の仕事とは思えない代物だった。JJ72も可哀想だったよ。

  また、セットチェンジの時間が30分ではやはり短いような気がする。結局後に後にと影響していくんだから‥‥それなら各日出演者数を1つずつ減らして、セッティング時間を40分に延ばし、更に余った時間をそれぞれのアクトに回してやればいい。ファンも納得するだろう。3日間で40アーティスト。確かに多くて魅力的だが、それだけ多ければ、観る側にも負担がかかる。「全部を観ようとするな」とは言われても、やはり観れるだけ観たいと思うのがロックファンの常だろう。そういう心理も判って欲しい。だからこそ、間のインターバルの時間を長めに取って、その分を休憩に回したり、移動の時間に当ててやったらどうだろう。

  勿論、悪い面ばかりではない。トイレの数。まずトイレ前で並ぶなんてことはなかった。それだけ数があったし、フジやサマソニでの混雑が嘘のようだった。しかも、トイレ内が意外と綺麗だったこと。これも声を大にして言っておきたい。スタッフが徹底されているのか、それともファンの意識がフジよりも高いのか‥‥今年のフジはゴミ問題にしろ、例年以上に悪かったようなので、この辺は見習うべきだろう。

  また、ゴミが思ったよりも散らかっていなかったこと。確かに「燃えるゴミ」と「ペットボトル」という風にしか分別されていなかったので面食らったが、それでもタバコのポイ捨てやゴミの散乱は余り見受けられなかった‥‥本当、頻繁に回収されていたようだし。

  サマソニと違って、もの凄く「観る側」の視点で作られているフェスだな、と感じた。この辺はフジやエゾを経験してきた「rockin'on」社員の意見によるものなのだろう。或いは、フジ経験スタッフが多かったのかもしれない。個人的な意見としては、毎年絶対に3日間通して行こうとは思わないが、近場だし、出演者によっては通しで行こうかな?って感じだろうか。けど、間違いなく、日帰りでも必ず1日は行くんだろうな‥‥だって、楽しかったもん。フジとは違う楽しさ‥‥ライヴ以外の娯楽ってのが少ないのだけど、DJブースとか、場合によっては遊園地アトラクションもあるし、カップルで行ったら楽しめるかも‥‥(涙)

  というわけで、来年も行きます。是非このまま、ひたちなかで続けてください。そして、来年はもっと素晴らしいフェスになることを祈って‥‥

投稿: 2001 08 19 04:02 午前 [2001年のライブ, GO!GO!7188, Grapevine, In the Soup, LOVE PSYCHEDELICO, POLYSICS, ROCK IN JAPAN FESTIVAL, エレファントカシマシ, 中村一義] | 固定リンク